JPH0814128B2 - 建物用張出部分構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は建物用張出部分構造に関
し、プレハブ式住宅建物の外壁部分に設置されるフラワ
ーシェルフや小型バルコニー等の小規模な張出部分に利
用できる。

【０００２】

【背景技術】近年のプレハブ式建物においては、工場生
産されたユニットパーツを現場で組み立てることで工期
の短縮等のメリットを得ている。例えば、住宅建物等に
利用されるバルコニーや窓下のフラワーシェルフ等の張
出部分については、工場で張出ユニットとして組み立て
ておき、現場で建築中の建物の外壁面に取付けることが
なされている。

【０００３】一方、プレハブ式建物においては、断熱性
や遮音性が良好なうえ施工性についても優れているた
め、外壁材として軽量気泡コンクリート製のパネルが多
用されている。そして、張出ユニットの外側面について
も、建物の外壁材と同様な軽量気泡コンクリートが用い
られている。

【０００４】このような外側面に軽量気泡コンクリート
パネルを用いる張出ユニットにおいては、構造用に鉄骨
製の枠体を用い、その外側面に軽量気泡コンクリートパ
ネルを配列するとともに、この枠体を建物に固定するこ
とで当該ユニットの建物への取付けを行っている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前述のよう
な従来の張出ユニットにおいては、工場生産にあたり、
先ず鉄骨を溶接して構造用の枠体を組み立て、その表面
に軽量気泡コンクリートパネルをねじ等で締め付け固定
等する必要があり、部品点数が多く、生産効率が低いと
いう問題があった。

【０００６】また、鉄骨製の枠体を用いることで、張出
ユニットとしての重量が大きくなり、建築現場への運搬
ないし設置作業における取扱いが煩雑になるという問題
があった。さらに、建物の取付け部分に十分な支持強度
が必要となり、取付け部分の大型化に伴って納まりが難
しくなる等の問題があった。

【０００７】本発明の目的は、軽量で簡単な構造にでき
るとともに、生産や取扱いを容易にできる建物用張出部
分構造を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、軽量気泡コン
クリートおよび内部配筋により一体形成された本体ユニ
ットを設け、前記本体ユニットの両端部の建物側に前記
内部配筋に結合された連結部材を設け、前記建物の外壁
面の各連結部材に対応する部位に当該建物の構造材に固
定された受け部材を露出させ、これらの連結部材と受け
部材とを相互連結して前記本体ユニットを建物外壁面に
取付けたことを特徴とする。

【０００９】この際、内部配筋としては、軽量気泡コン
クリートによる本体ユニットを維持するのに十分な強度
をもたせることが望ましい。また、連結部材としては、
予め内部配筋に溶接固定しておいた埋め込みナット等を
用いればよく、あるいはこのナットに後から螺合固定さ
れる部材等を用いてもよい。

【００１０】そして、受け部材としては、建物の柱や梁
に基端部を固定され、先端部が外壁を貫通して延びる持
ち出しブラケット等が利用できる。さらに、これらの連
結部材と受け部材との相互連結にはボルトによる締め付
け固定を用いればよく、この固定にあたってはピン等を
用いた凹凸係合による位置決め案内構造を採用すること
が望ましい。

【００１１】

【作 用】このような本発明においては、本体ユニット
を一体式とするとともに、内部配筋に連なる連結部材を
建物に設けた受け部材に接続することで、軽量コンクリ
ートの内部配筋が全体としての構造材を代替することに
なり、従来の張出ユニットで用いられていたような鉄骨
製の枠体が省略できることになり、これにより前記目的
が達成される。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図１において、本実施例の建物10は、予め工場
生産された箱型居室ユニット11を現場で組み立てて建築
されるプレハブ式住宅である。

【００１３】各居室ユニット11は、角型鋼管製の柱12お
よびＣ型鋼製の梁13を組み合わせた略直方体状のフレー
ム14を有し、各々の外側面部分に軽量気泡コンクリート
製の外壁パネル15を配列して構成されている。そして、
二階の居室ユニット11の外壁パネル15には窓16が形成さ
れ、その下方には張出部分であるフラワーシェルフ17が
取付けられている。

【００１４】図２ないし図４に示すように、フラワーシ
ェルフ17は、軽量気泡コンクリートの型枠成形により一
体形成された本体ユニット30を備えている。本体ユニッ
ト20は、正面部分21および両側部分22により長い略コ字
状に形成され、正面部分21の下方には内側に控えた段差
部分23が形成されている。

【００１５】本体ユニット20の内部には、構造用の内部
配筋30が埋設されている。内部配筋30は、基本構造とし
てアングル材31を本体ユニット20に対応した一体の枠状
に組み立てたものであり、各部のアングル材31に沿って
型枠成形の際に軽量気泡コンクリートを維持するための
メッシュ筋32が溶接されている。

【００１６】本体ユニット20の内側下部両端には、箱型
の連結部材40が設置されている。連結部材40は、略Ｃ字
状の鋼材41の上下端面および中間位置に補強用の鋼板42
を溶接したものであり、両側部分22ないし段差部分23の
内側面に沿わされるとともに、建物10への取付け面43が
両側部分22から僅かに突出する状態で配置されている。

【００１７】連結部材40が配置される両側部分22および
段差部分23には、軽量気泡コンクリート材の表面に端部
が露出するように埋め込みナット33が埋設されている。
各埋め込みナット33はそれぞれ本体ユニット20の型枠成
形に先立って内部配筋30のアングル材31に溶接されてい
る。各埋め込みナット33にはそれぞれ連結部材40の側面
を貫通するボルト44が螺合され、各ボルト44の締め付け
により連結部材40の固定が行われている。

【００１８】なお、各埋め込みナット33と連結部材40の
締め付け部位との間にはスペーサ45が介装され、周囲の
両側部分32および段差部分23の表面と連結部材40との間
には所定間隔が開けられている。また、スペーサ45はス
テンレス等の防錆材料とされ、表面にはブチルゴム等の
防水シール材が張られ、埋め込みナット33の周囲の防水
シールが可能である。

【００１９】図５および図６にも示すように、本体ユニ
ット20は連結部材40を居室ユニット11に設置された受け
部材50に連結することで建物10に取付けられている。受
け部材50は、長方形断面の鋼管を直交方向に溶接して形
成された略Ｌ字型の部材であり、居室ユニット11の外側
両端の柱12の内側にそれぞれ二個づつ溶接されている。
受け部材50の先端側は、本体ユニット20の連結部材40に
対応した位置において外壁パネル15の受け部材挿通孔18
を貫通して露出され、先端面51は外壁パネル15の表面か
ら僅かに突き出た状態に保持されている。

【００２０】ここで、受け部材50の先端面51には、中央
に位置決め案内用の係合ピン52が固定され、その上下に
はボルト孔53が形成され、各ボルト孔53の裏側にはナッ
ト54が溶接されている。また、連結部材40の取付け面43
には、上半分および下半分にそれぞれ係合孔46およびそ
の上下のボルト孔47が形成されている。これらにより、
係合孔46に係合ピン52を挿通係合させ、ボルト孔47, 53
を挿通したボルト55をナット54に螺合させることで、連
結部材40の取付け面43は受け部材50の先端面51に密着固
定されるようになっている。

【００２１】なお、外壁パネル15の受け部材挿通孔18と
受け部材50との隙間には、他の外壁パネル15どうしの目
地部分と同様に、発泡樹脂製のバックアップ材を押し込
んだうえでコーキング材を充填した防水処理19が施され
ている。

【００２２】図２に戻って、本体ユニット20の上面側に
は植木鉢等を置くための表面材25が設けられ、下面側に
は目隠し用の底面材26が設けられている。表面材25およ
び底面材26は、それぞれ鉄骨製の矩形枠27の内側にエキ
スパンドメタル28を張ったものであり、矩形枠27を連結
部材40の上面および下面にボルト締め等することにより
固定されている。

【００２３】このように構成された本実施例において
は、予め工場で内部配筋30を形成し、型枠成形により本
体ユニット20を形成し、連結部材40を取付けておく。ま
た、型枠成形により受け部材挿通孔18を有する外壁パネ
ル15を成形するとともに、柱12および梁13を組み立てて
フレーム14を形成し、これらにより居室ユニット11を組
み立てたうえ、受け部材50を取付けておく。

【００２４】次に、これらの居室ユニット11および本体
ユニット20を建築現場に搬入し、建物10を建築するとと
もに、二階部分に設置された居室ユニット11の外側に本
体ユニット20を吊り上げ、連結部材40と受け部材50とを
連結する。この際、先ず係合孔46に係合ピン52を挿通係
合させて位置決め案内し、次に連結部材40側からボルト
55を挿入して受け部材50のナット54に螺合させる。

【００２５】これにより、連結部材40の取付け面43は受
け部材50の先端面51に密着固定され、本体ユニット20は
連結部材40および受け部材50を介して居室ユニット11に
取付けられる。この後、表面材25および底面材26を連結
部材40に取付けることで、建物10の外側にはフラワーシ
ェルフ17が完成する。

【００２６】このような本実施例によれば、本体ユニッ
ト20は一体化された内部配筋30を構造体として用いたた
め、別途構造用の枠体等を設置する必要がない。このた
め、工場生産にあたって、従来方式のように長尺の鉄骨
材を組み立てて枠体を形成し、この枠体に軽量気泡コン
クリートパネルを張ってゆく等の煩雑さを解消できる。

【００２７】また、従来のような鉄骨製の構造用枠体を
省略できるため、本体ユニット20の軽量化が可能であ
り、運搬の際や設置の際の取扱いを簡略なものにでき
る。そして、建物10への取付けにあたっても、耐荷重を
軽減できるため居室ユニット11の支持構造を簡略なもの
にできる。

【００２８】さらに、連結部材40と受け部材50との連結
により本体ユニット20を居室ユニット11に取付けること
ができ、フラワーシェルフ17の設置を極めて簡単に行う
ことができる。

【００２９】そして、表面材25および底面材26はの取付
けは連結部材40で一括して行うことができ、本体ユニッ
ト20には直接取り付ける必要がないため、防水処理を簡
略にできる。

【００３０】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、本発明を実現しようとする範囲内の変形等
は本発明に含まれるものである。すなわち、本体ユニッ
ト20や内部配筋30の具体的形状や材質、建物10における
取付け形態や部位などは任意であり、実施にあたって適
宜選択すればよい。

【００３１】例えば、本体ユニット20は居室ユニット11
による住宅建物10の二階部分に設置されるフラワーシェ
ルフ17を構成するものに限らず、在来工法の建物の他の
階層部分に設置されるものであってもよく、小型バルコ
ニー等を構成するものであってもよい。

【００３２】また、連結部材40や受け部材50の具体的形
状や材質、取付け形態や部位なども実施にあたって適宜
選択すればよく、例えば受け部材50は柱12に限らず、梁
13あるいは建物10の他の構造部分であってもよい。

【００３３】さらに、前記実施例では本体ユニット20に
形成した埋め込みナット33に連結部材40を固定し、この
連結部材40を受け部材50に連結したが、本体ユニット20
の建物10側端面に埋め込みナット33を配列し、この端面
に対向する位置に内部配筋30に連なる受け部材50を配置
し、受け部材50側からボルトを挿通して埋め込みナット
33に螺合させることで本体ユニット20を建物10に取付け
るようにしてもよく、この場合は埋め込みナット33が連
結部材となる。

【００３４】

【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
一体式の軽量気泡コンクリート製本体ユニットを用いて
その内部配筋を構造体として用いるため、従来のような
鉄骨製の構造用枠体が不要となり、軽量かつ簡単な構造
にできるとともに、生産や取扱いを容易にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す一部破断した斜視図。

【図２】同実施例の本体ユニットおよび連結部材を示す
分解斜視図。

【図３】同実施例の要部を示す拡大した縦断面図。

【図４】同実施例の要部を示す拡大した横断面図。

【図５】同実施例の取付け状態を示す縦断面図。

【図６】同実施例の受け部材を示す拡大斜視図。

【符号の説明】

10 建物 14 フレーム 15 外壁パネル 20 本体ユニット 30 内部配筋 33 埋め込みナット 40 連結部材 43 取付け面 50 受け部材 51 受け面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軽量気泡コンクリートおよび内部配筋に
   より一体形成された本体ユニットを設け、前記本体ユニ
   ットの両端部の建物側に前記内部配筋に結合された連結
   部材を設け、前記建物の外壁面の各連結部材に対応する
   部位に当該建物の構造材に固定された受け部材を露出さ
   せ、これらの連結部材と受け部材とを相互連結して前記
   本体ユニットを建物外壁面に取付けたことを特徴とする
   建物用張出部分構造。