JPH08139511A - ガラスアンテナ - Google Patents

ガラスアンテナ

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JPH08139511A
JPH08139511A JP27100694A JP27100694A JPH08139511A JP H08139511 A JPH08139511 A JP H08139511A JP 27100694 A JP27100694 A JP 27100694A JP 27100694 A JP27100694 A JP 27100694A JP H08139511 A JPH08139511 A JP H08139511A
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antenna
defogger
glass
conductor element
conductor
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JP27100694A
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Tatsuaki Taniguchi
龍昭 谷口
Kazuo Shigeta
一生 重田
Kenji Kubota
健治 久保田
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 防曇性能に優れたガラスアンテナを提案す
る。 【構成】 車幅方向に複数の熱線がデフォッガとして延
設されたガラス上に設けられたガラスアンテナであっ
て、デフォッガの少なくとも1本の熱線と交差し略上下
方向に前記デフォッガ内で延設され、前記デフォッガの
外部から給電された第1のアンテナ導体素子と、前記第
1のアンテナ導体素子と容量結合し、前記デフォッガ領
域内で略上下方向に前記ガラス面上で延設された第2の
アンテナ導体素子とを具備する。前記第1のアンテナ導
体素子と第2のアンテナ導体素子とが1つのアンテナと
して機能する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両等のウィンドガ
ラスに設置されるガラスアンテナに関し、詳しくは、デ
フォッガ内に設けられた互いに容量結合する2つのアン
テナ導体素子を有するガラスアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両用アンテナとして、そのボ
ディにポール(ロッド)を絶縁状態で突設してこれに給
電するようにしたポールアンテナが広く知られている
が、このポールアンテナは、ポールの折れ曲がりや破損
を招き易く、しかも走行時に風切り音が発生するという
問題があることから、これに代わるアンテナとしてガラ
スアンテナが実用化されている。
【0003】このガラスアンテナは、例えば実開昭63
−92409号公報等に開示されるように、車両のウィ
ンドガラスに設けられるデフォッガの側部に近接してア
ンテナ線を配置し、それに給電するようにしたものであ
る。しかし、この従来のガラスアンテナでは、アンテナ
線をデフォッガに対し近接配置してアンテナの受信性能
をチューニングしており、そのアンテナの性能を向上さ
せるための方法が定性的でなく、チューニングが不明確
で予測し難いとともに、アンテナ自体の構成が複雑にな
るという問題がある。
【0004】一方、これとは別に、特開昭62−131
606号公報に開示されるように、ガラス面に透明電導
膜を設けるとともに、この電動膜上側のガラス面に、給
電点を有するアンテナ体を配置し、このアンテナ体と透
明電動膜とを容量結合させてアンテナとするようにした
ものが提案されている。また、米国特許第5,029,
308号では、デフォッガ熱線が張られた領域内におい
てデフォッガ領域の略中央で上下方向に延びた第1のア
ンテナ導体を設け、この第1のアンテナ導体と交差する
熱線を電気的に接続する。さらに、デフォッガの最上位
(若しくは最下位)の熱線に接続させるようにして、デ
フォッガの上部(若しくは下部)において第2のアンテ
ナ導体を設ける。即ち、前記第1のアンテナ導体と第2
のアンテナ導体とが1つのアンテナとして機能するよう
にしているのである。しかしながら、第1,第2のアン
テナ導体を接続すると、デフォッガに流れる直流電流が
第1のアンテナ導体に分流してしまい、上記接続点近傍
において曇り除去の効果が落ちてしまう。そこで、この
米国特許では、第1のアンテナ導体と第2のアンテナ導
体との間にコンデンサを設け、デフォッガに流れる電流
が第1のアンテナ導体に分流しないようにしている。
尚、このコンデンサの容量は、第1のアンテナ導体と第
2のアンテナ導体とが1つのアンテナとして機能するよ
うに、受信周波数帯域において、高いインピーダンスを
持たないような値を有するものが選択されている。
【0005】また、さらに、特開昭55−60304号
は、デフォッガ領域内に上下方向に第1のアンテナ導体
を、デフォッガ領域外に第2のアンテナ導体を設ける。
そして、第1の導体に接続し且つこの第1の導体に直交
(即ち、デフォッガ熱線に平行するように)するように
して設けた第1の導線と、この第1の導線に平行させ前
記第2のアンテナ導体に接続された第2の導線とをガラ
ス面上に設け、これらの第1,第2の導線同士を近接さ
せて容量結合させるというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記提案の従来例(実
開昭63−92409号や特開昭62−131606
号)では、アンテナ体を透明電導膜と容量結合させてい
るものの、ガラスの透明性を確保すべく、この電導膜の
透明度を確保しようとして薄膜のものを利用すると、そ
の電気抵抗値が極めて高くならざるを得ず、受信電流が
流れ難くなり、実用上は良好なアンテナ性能を期待でき
ない虞れがある。
【0007】また、米国特許第5,029,308号で
は、設けられたコンデンサが受信電波の周波数帯域にお
いて低インピーダンスとなるように選ばれているため
に、デフォッガ熱線がアンテナとして機能してしまい、
そのために、熱線に流れる加熱電流がアンテナに影響し
てしまい、結局のところアンテナ性能が劣化してしまう
という欠点がある。
【0008】また、特開昭55−60304号において
も、上記米国特許第5,029,308号と同じよう
に、デフォッガ領域外に設けられたアンテナ形状に配慮
がないために、換言すれば、デフォッガ熱線がアンテナ
として機能させないようにすることを考慮していないた
めにアンテナ性能が劣化していた。このように、上述の
従来のガラスアンテナでは、デフォッガが設けられてい
ない領域においてアンテナ導体素子の一部を設けること
を前提としているために、即ち、アンテナ導体素子を延
設するためにデフォッガ熱線を設けない空白領域を前提
とするために、そのような空白領域では防曇機能が落ち
ることとなる。
【0009】そもそも、従来では、2つのアンテナ導体
素子を容量結合させるガラスアンテナを規定する理論若
しくは設計方法が確立していないが故に、デフォッガ内
に2つのアンテナ導体素子を設けて容量結合させること
など思いもよらず、設計しようとしても、デフォッガが
アンテナ特性に影響してしまい、目的のアンテナ性能を
得ることができるものではなかった。
【0010】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、防曇性能とアンテナ受
信性能を両立させたガラスアンテナを提案するものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべ
く、請求項1に係る本発明の、車幅方向に複数の熱線が
デフォッガとして延設されたガラス上に設けられたガラ
スアンテナは、前記デフォッガの少なくとも1本の熱線
と交差し略上下方向に前記デフォッガ内で延設され、前
記デフォッガの外部から給電された第1のアンテナ導体
素子と、前記第1のアンテナ導体素子と容量結合し、前
記デフォッガ領域内で略上下方向に前記ガラス面上で延
設された第2のアンテナ導体素子とを具備することを特
徴とする。
【0012】かかるガラスアンテナによると、第1のア
ンテナ導体素子と第2のアンテナ導体素子とが容量結合
することにより1つののアンテナとして機能する。ま
た、前記第1のアンテナ導体素子も第2のアンテナ導体
素子もデフォッガ領域内に延設されているので、防曇機
能は維持される。請求項2のガラスアンテナは、さら
に、前記デフォッガの少なくとも1本の熱線と交差し略
上下方向に前記デフォッガ内で延設され第3のアンテナ
導体素子と、前記第3のアンテナ導体素子と容量結合
し、前記デフォッガ領域内で略上下方向に前記ガラス面
上で延設された第4のアンテナ導体素子とを具備し、前
記第1のアンテナ導体素子は前記第3のアンテナ導体素
子に対して前記デフォッガの車幅方向の中心線に関して
略対称位置に配され、前記第2のアンテナ導体素子は前
記第4のアンテナ導体素子に対して前記中心線に関して
略対称位置に配されている。
【0013】このようなガラスアンテナによると、さら
に、前記第3のアンテナ導体素子と第4のアンテナ導体
素子とが1つのアンテナとして機能するので、ダイバシ
ティアンテナシステムを構成することができる。しか
も、前記第1のアンテナ導体素子は前記第3のアンテナ
導体素子に対して前記デフォッガの車幅方向の中心線に
関して略対称位置に配され、前記第2のアンテナ導体素
子は前記第4のアンテナ導体素子に対して前記中心線に
関して略対称位置に配されているので、デフォッガの中
央部分にはアンテナ導体素子が存在せず、したがって後
方視認性が確保される。
【0014】また、請求項3のガラスアンテナによれ
ば、第1のアンテナ導体素子と第2のアンテナ導体素子
とは共に、前記デフォッガの車幅方向に関して略中央位
置に配され左右方向において均一な指向性が確保され
る。また、請求項4にガラスアンテナによれば、第2の
アンテナ導体素子は前記第1のアンテナ導体素子の延長
線上にあるので、即ち、これら2つのアンテナ導体素子
は1つの直線状に並ぶので、さらにデフォッガ熱線がア
ンテナ性能に影響するのを防止することができる。
【0015】また、請求項5のガラスアンテナによれ
ば、第4のアンテナ導体素子は前記第3のアンテナ導体
素子の延長線上にあるので、即ち、これら2つのアンテ
ナ導体素子は1つの直線状に並ぶので、さらにデフォッ
ガ熱線がアンテナ性能に影響するのを防止することがで
きる。また、請求項6のガラスアンテナによれば、前記
第1のアンテナ導体素子の一端は、前記第2のアンテナ
導体素子の一端と、前記デフォッガの上下方向で最外側
から第1番目の熱線若しくは第2番目の熱線を介して容
量結合することを特徴とする。アンテナ性能が最適にな
る。
【0016】また、請求項7のガラスアンテナによれ
ば、前記第3のアンテナ導体素子の一端は、前記第4の
アンテナ導体素子の一端と、前記デフォッガの上下方向
で最外側から第1番目の熱線若しくは第2番目の熱線を
介して容量結合することを特徴とする。アンテナ性能が
最適になる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。先ず、デフォッガが設けられたリヤウインドガラ
スの構造(図1,図2)について説明し、次に本発明の
ガラスアンテナの基礎をなす容量結合型アンテナについ
て、図3〜図10を用いて、その原理を説明する。次
に、この原理に基づいて設計されたところの2つ以上の
受信アンテナを組み込んだガラスアンテナを図11,図
12を用いて説明する。そして、次に、本発明の実施例
のガラスアンテナを説明する。
【0018】第1実施例〜第3実施例のガラスアンテナ
は、ガラス中央の視界を確保するために、2組アンテナ
導体をガラスの中央の左右対称な位置に設定する。第4
実施例〜第5実施例は、防曇性能を確保するために、ア
ンテナ導体を熱線で囲むようにしたものである。尚、以
下の説明における車両用ガラスアンテナは、特にリアガ
ラスのアンテナに適用したものである。各実施例の説明
では、「左」は車両のボディの左側を、また「右」は同
右側を、また「上」は上側を、さらに「下」は下側をそ
れぞれ示すものとする。
【0019】〈デフォッガ付ガラスアンテナの構造〉図
1は本明細書に於いてガラスアンテナが適用される車両
の後部を示し、1は車両のボディであって、このボディ
1の後部にはリヤウィンド2が開口され、このリヤウィ
ンド2にはリヤウィンドガラス3(以下、単にウィンド
ガラスという)が略気密状に嵌装されている。
【0020】図2に示すように、自動車のリヤウインド
ガラス3にはデフォッガ5の熱線が、ウィンドガラス3
の上端部(ウィンド2周囲上側のボディ1)から所定の
大きさの空白部4だけ隔てられ、さらに左右方向におけ
る中央部がウィンドガラス3の左右中央部と略一致する
ように配置されて取り付けられている。このデフォッガ
5は、上下段部5a,5bを有するコ字状のもので、車
幅方向に左右に延びる複数本のヒータ線6,6,…(熱
線)を上下2段に分け、上段側ヒータ線6,6,…及び
下段側ヒータ線6,6,…の各一側(右側)の端部同士
をそれぞれ独立バスバー7,8で接続し、全体のヒータ
線6,6,…の他側(左側)の端部同士を共通バスバー
9で接続したものである。
【0021】尚、図示しないが、上側独立バスバー7は
ボディ1にアースされてデフォッガ5のアース側とされ
ている。また、下側独立バスバー8は図外のスイッチを
介して車載バッテリーの+電源に接続されており、スイ
ッチをON操作することで、バッテリーからデフォッガ
5の各ヒータ線6に給電して発熱させ、その発熱により
ウィンドガラス3面の曇りを除去するようになってい
る。
【0022】尚、本明細書中では、上段側ヒータ線6,
6,…及び下段側ヒータ線6,6,…の各左側の端部同
士を夫々独立バスバー7,8で接続し、全体のヒータ線
6,6,…の右側の端部同士を共通バスバー9で接続し
たもの、即ち、左右逆形状のデフォッガも「コ」字状と
呼ぶことにする。 〈容量結合型アンテナの原理〉デフォッガは、ガラスア
ンテナの性能に大きな影響を与える。特に、デフォッガ
に流れる直流電流はノイズ成分が多くこのノイズがアン
テナに載らないことが好ましい。さらに、デフォッガの
熱線がアンテナ導体素子として機能してしまい、目標の
性能のガラスアンテナを設計することはなかなか難しか
った。
【0023】容量結合型アンテナは、従来のガラスアン
テナよりも飛躍的に性能を高めるために、本発明の発明
者達が、デフォッガからのノイズ成分をカットし、さら
に、デフォッガ熱線がアンテナ素子として機能しないよ
うにされたもので、特願平6−205767号として提
案されたものである。この特願平6−205767号に
提案されたガラスアンテナの設計方法およびその設計方
法によって構成されたガラスアンテナの構造を先に説明
することにより、デフォッガの熱線がアンテナの動作に
影響を与えないようにすることができる理由について説
明する。
【0024】図3は、デフォッガの熱線が配された領域
において熱線6に交差して導体41が配線されていると
ころを示す。最上位の熱線6に平行して導体42が配さ
れ、この導体42に直交して導体40が配されている。
導体40の給電点からの長さをL、デフォッガの熱線
(最上位の熱線6a)の長さを2Yとする。導体40と
熱線6との関係を見るために、図4のような等価回路図
を考える。図4でコンデンサは導体42と熱線6aとに
よる結合容量である。コンデンサ43によるアンテナ短
縮率をαで表す。今、結合容量C=11pF(84MH
z)、L=12cm、Y=28cmとすると、コンデンサ43
による短縮効果により、図4のアンテナは図5に示した
アンテナと等価となる。この例では、コンデンサ43以
降のアンテナ導体の長さが28cmから22cmに短縮した
ので、コンデンサ短縮率αは、 α=22/28 となる。短縮率αと結合容量との関係を実験的に求めれ
ば、図6及び図7のようになる。図6,図7のグラフに
よれば、結合容量Cが増えれば短縮率αは増加する。し
かし、短縮率αは、結合容量Cが40pFを超えると、
Cが増えても1を超えない。このことは、結合容量を4
0pFを超えて増やすことは意味がないことを物語って
いる。
【0025】長さ2Yの熱線6がアンテナに大きく影響
しなくなるためには、その熱線のインピーダンスが極め
て大きくなればよい。発明者達による実験の結果、熱線
6のインピーダンスが極めて大きくなるためには、 β・λ/4=L+α・Y …(1) の関係を満足するように、導体(アンテナの一部)の長
さLと、熱線(最上位の熱線)の長さYと、容量結合に
よる短縮率αとの関係を設定すれば良いことを見いだし
た。ここで、λは受信しようとする電波の波長であり、
βはガラスによるアンテナ短縮率であり、自動車用のガ
ラスであれば、通常、β=0.6程度であることが知ら
れている。
【0026】(1)式を変形すると、 α=(β・λ/4 −L)・1/Y …(2) となる。(2)式を使って、車両が異なる場合について
考察する。車両によって、Lが長くなる場合は、(2)
式からαは小さくなることが分かるから、デフォッガの
影響を少なくするためには、図6のグラフに従って結合
容量Cを低くする。一方、Yの長さが短いような車両で
は、(2)式からαが大きくなることが分かるから、容
量Cを大きく設定する。
【0027】このような手法により決定された、デフォ
ッガがアンテナ特性にほとんど影響しなくなるような設
定は、FM周波数域の波長であれば、 70cm≦λ/4≦100cm であり、車載状態ではガラス短縮率(β=0.6)を掛
けて、 42cm≦β・λ/4≦60cm、 即ち、 42cm≦L+α・Y≦60cm となる。
【0028】尚、上記式(1)の関係はデフォッガのバ
スバー端部が車体ボデイに短絡されている理想状態を想
定した場合に成り立つもので、実際の車両においては、
バスバーとボデイ間とはある程度の容量結合によって接
続されている構成と見做されえることから、FMラジオ
用としての、上記のL+α・Yの取るべき好ましい範囲
としては、 20cm≦L+α・Y≦70cm …(3) であることが実験的に得られた。また、FMラジオの周
波数帯域が88MHz〜108MHzの北米に於て使用するに
特に相応しいアンテナについては、 40cm≦L+α・Y≦50cm となり、一方、日本におけるFM電波の周波数帯域76
MHz〜90MHzについては、 50cm≦L+α・Y≦60cm に設定されるガラスアンテナが特に好ましい性能を示
す。
【0029】また、実際にはFMラジオ用電波等広がり
を有する周波数帯域の電波を受信するので、全域に亘っ
て受信性能を確保するためには、L+α・Yは受信しよ
うとする周波数帯域の略中央部分の周波数にあわせた長
さとするのが良いことは勿論である。図3のアンテナに
於て、第1の導体40部分をループ45に変更した場合
のアンテナを図8,図9に示す。ループ導体の特徴は、
車幅方向に幅Wを有することであり、このようなループ
導体を用いると、結合容量の設定がWを変えることによ
り簡単に行なうことができる。図10に、ループ導体4
5の幅Wを色々と変えたときに、そして、ループ導体4
5とデフォッガ熱線6との距離dを色々と変えたとき
に、結合容量がどのように変わるかを示す。
【0030】図8のような形状のガラスアンテナはアン
テナ性能として十分なモノが得られるもので、従来のリ
アポールアンテナ(90cmのロッドアンテナ)に比して
保守性の面や風切り音等の面で圧倒的に優れているの
で、実用的な価値は特に大きい。
【0031】次に、図9のように、ループ導体45(W
=20cm)をデフォッガの下部に配し、デフォッガの中
央位置に於てこのアンテナ45に給電した例でも、高性
能が得られる。なお、発明者達の知見(例えば、特願平
6−205767号)によると、モノポール型アンテナ
をガラスアンテナとして車両に搭載した場合、モノポー
ル型アンテナの長さをLxとすると、 20cm≦Lx≦70cm …(4) の範囲で高性能のアンテナが得られる。
【0032】また、上記のアンテナシステムは、前述し
たように(1)式を満足するように設定すれば、TVの
VHF帯にも適用が可能である。
【0033】TVのVHF帯域の波長(92MHz〜22
2MHz)に於ては、デフォッガがアンテナ特性に殆ど影
響しなくなる設定は、 34cm≦λ/4≦82cm であり、車載状態ではガラス短縮率(β=0.6)を掛
けて、 20cm≦β・λ/4≦50cm 即ち、 20cm≦L+α・Y≦50cm …(5) となる。
【0034】前述のように、(1)式はデフォッガのバ
スバーの端部が車体ボデイに短絡されている理想状態を
考えた場合に成り立ち、実際の車載状態に於いてはバス
バーとボデイとの間はある程度の容量結合によって接続
されていると見做すことができるから、上記TVのVH
F帯域用としてのL+α・Yの取り得る好ましい範囲と
してはFM周波数用のアンテナと同様に理想状態よりも
若干の広がりを有することとなり、10cm以上60cm以
下である。さらに、実用上VHF帯全域に亘って受信性
能を確保するためには、L+α・YはVHF帯の略中央
部分の周波数にマッチした長さとするのが良いことは勿
論である。
【0035】図9のガラスアンテナにおいては、導体4
5は、下部においてデフォッガと容量結合すると共に、
さらにもう一本の熱線によって囲まれている。導体45
は熱線によって囲まれてはいるものの、熱線とは接して
いない。従って、導体45は熱線の直流電流の影響を受
けることはほとんどない。そして、導体45の周辺のガ
ラス領域はこの熱線によって暖められ曇ることはない。
【0036】〈容量結合型アンテナシステムの具体例〉
以上説明したガラスアンテナを拡張発展して、実際の自
動車に適用可能な2つのアンテナを組み込んだガラスア
ンテナを図11,図12に従って説明する。尚、図1
1,図12は、図3のガラスアンテナなどと異なり、自
動車内部から見たときの図である。従って左右が逆にな
っている。
【0037】具体例1 デフォッガは2つの領域130,140に分割されてい
る。デフォッガ130の中央に導体100が複数の熱線
6と交差するように配設されている。長さXの導体10
0は、熱線6の車幅方向の中央において各熱線6と接続
されているので、ヒータ電流が内部を流れることはな
い。2つの受信アンテナ(例えば、FMダイバシテイア
ンテナやFM放送とテレビ放送両方用の受信アンテナ)
を組み込んだアンテナシステムを構成するために、デフ
ォッガが配設されていない領域において、2つのアンテ
ナ110,120が、最上位の熱線108と容量結合す
べく配設されている。各アンテナの給電点は、同軸フィ
ーダ線を介して、アンテナブースタ等を介さずに直接ラ
ジオ受信機、そしてスピーカに接続される。
【0038】メインアンテナ素子としてのアンテナ11
0は、「目」の字形状を有している。また、サブアンテ
ナ素子としてのアンテナ120は「日」または「目」の
字形状を有している。アンテナ110の高さはLであ
り、幅はWである。従って、L,W,d等は前記(1)
〜(3)式を満たす最適な値(W,dによってαを決
定)に決定される。
【0039】具体的なアンテナの設定に当たっては、先
ず、前記(1)式の関係を基に、受信しようとする電波
の波長(中心)λとガラスに配されるデフォッガの長さ
Yとから、デフォッガの影響を受けにくい最適な第1ア
ンテナ導体素子(メインアンテナ素子110)の高さL
と結合容量C(短縮率αに関連する)の組み合わせを決
定する。幅W,dの寸法は、この結合容量Cの値に基づ
いて決定される。
【0040】次に、導体100の長さXが車両毎に実験
等により求められる最適なモノポール型アンテナ長(L
x)との関係式 L+α・X=Lx …(6) に基づいて決定される。尚、Lxの値は、FMラジオ電
波を受信する場合は、通常の使用形態において、20cm
〜70cmの範囲内に入り、この範囲は前述の範囲と同じ
である。また、メインアンテナの幅Wの値としては50
mm〜300mmの範囲が好ましく、より好ましくは100
mm〜250mmの範囲に設定されるのが良い。高さLの値
としては40mm〜300mmの範囲内が好ましい。
【0041】メインアンテナ110の給電点から導電線
125が伸びてデフォッガ130のバスバーに接続され
ている。本来はFM用のアンテナである110が導電線
125によってデフォッガのバスバーに接続されること
により、アンテナ110の共振点がAM領域にも生ま
れ、AMアンテナとしても使うことができる。具体例2 図12に示されたアンテナシステムは、図11のアンテ
ナシステムに対して、デフォッガ130内に配設された
アンテナ導体100に加えて、デフォッガ140内にお
いて導体150が追加されている。アンテナ110の高
さをL1、アンテナ120の高さをL1’、アンテナ11
0と熱線との距離をd1’、アンテナ120と熱線との
距離をd1”、導体100の長さをX1、導体150の長
さをX1’とし、デフォッガ130とデフォッガ140
との間の距離をd2とすると、アンテナ110に対し
て、 20cm≦L1+α1・(X1+α2・X1’)≦70cm …(7) アンテナ120に対して、 20cm≦L1’+α1’・(X1+α2・X1’)≦70cm …(8) が成り立つと、好ましいアンテナ長として、性能の良い
ガラスアンテナが提供される。但し、α1はアンテナ1
10のデフォッガ130による短縮率であり、α1’は
アンテナ120のデフォッガ130による短縮率であ
り、α2は、導体150の、デフォッガ130と140
との容量結合による短縮率である。
【0042】以上が、本発明の発明者達が見いだした容
量結合型アンテナの設計方法、そしてその方法によって
設計されたアンテナシステムの構成である。
【0043】〈後方視界の改良〉図3,図8,図9に示
したガラスアンテナは、デフォッガ内に設けられたモノ
ポール型アンテナ素子(図3の41や図8や図9の縦型
アンテナ)と、デフォッガ外に設けられたアンテナ導体
素子(図3の縦アンテナ40や図8と図9のループアン
テナ素子45)とを容量結合させて1つのアンテナとし
て機能するものであった。また、図3〜図10に示した
容量結合型アンテナの設計方法は、簡単に且つ確実に所
期の目標性能を達成することができた。しかしながら、
図3,図8,図9に示したガラスアンテナは、モノポー
ル型アンテナ素子がデフォッガ内の中央に設定されてい
るために、そのアンテナ素子が後方視界を妨害するおそ
れがある。
【0044】第1実施例 図13に、2組の容量結合型アンテナをガラス面上に設
けたアンテナシステムの概念を示す。図13に概念的に
示されたアンテナシステムは上述の後方視界の悪化を防
止することを目的とするものである。同図において、デ
フォッガの中央線について対称の位置に2つのアンテナ
導体158L,158Rが延設されている。デフォッガ
の左側においてアンテナ導体158Lはデフォッガ熱線
と略直交して交差し、夫々の交差点において直流的に熱
線と接続されている。デフォッガの右側においてアンテ
ナ導体158Rはデフォッガ熱線と略直交して交差し、
夫々の交差点において直流的に熱線と接続されている。
【0045】導体158L,158Rは、夫々、コンデ
ンサ152L,152Rを介して、縦型導体151L,
151Rと容量結合している。即ち、図13のアンテナ
システムは図3などのアンテナシステムを2組ガラス面
上に設定したものとなる。図13に示したアンテナシス
テムは概念として示したもので、導体158L,158
Rはデフォッガ熱線に対して直交した縦線である必要が
あるものの、アンテナ導体素子151L,151Rは、
縦線導体であっても、ループ導体であっても、または、
導体板であっても、あるいは日の字状、あるいは目の字
状であってもよい。
【0046】またさらに、コンデンサ152L,152
Rも、図3などに示した平行導体による容量結合、ある
いはチップコンデンサ素子であってもよい。第2実施例 図14は、図13に示した概念を具体化したものであ
る。図14のアンテナシステムでは、デフォッガは2つ
の部分に分かれ(コの字状になっている)ている。20
4は共通バスバーで、205からプラス直流電源が接続
され、206にはマイナス直流電源が接続される。
【0047】縦線導体153Lは、最上位のデフォッガ
熱線201から第6番目の熱線202まで交差して直流
的に接続している。同じく、縦線導体153Rは、上記
熱線201から熱線202まで交差して直流的に接続し
ている。さらに、縦線導体156L(156R)が第7
番目の熱線203から第10番目の熱線まで延びてい
る。
【0048】デフォッガの延設されていない領域には、
縦型導体154L(154R)が略垂直に伸びている。
縦型導体154L(154R)は横型導体155L(1
55R)と直流的に接続し、したがって、縦型導体15
4L(154R)は、平行導体155L(155R)と
熱線201とが形成するコンデンサを介して、縦型導体
153L(153R)と容量結合している。
【0049】さらに、デフォッガ内の縦型導体153L
(153R)は同じくデフォッガ内の縦線導体156L
(156R)と、熱線202,203が形成するコンデ
ンサを介して容量結合している。尚、縦型導体153L
(153R)と縦線導体156L(156R)との関係
は、図12における、導体100と150との関係と同
じである。即ち、第2実施例のアンテナ導体の長さの決
定は式7,8にしたがって行なう。
【0050】尚、図14のアンテナシステムにおいて、
アンテナ導体154Lと154Rは、両方とも給電され
ても、あるいは一方のみが給電されてもよい。第3実施例 図15に示した第3実施例は、図14の第2実施例がデ
フォッガ領域外においてアンテナ導体154L(154
R)を有していたのに対し、代わりに、ループ型のアン
テナ導体160L(160R)を有している点において
異なる。尚、161L(161R)は夫々の給電点であ
る。
【0051】図15において、165は別のアンテナで
ある。第1実施例〜第3実施例においては、ガラス上部
の中央部分には空白部分があるので、その部分に他のア
ンテナ165を設けているのである。尚、第1実施例〜
第3実施例のガラスアンテナは、後方視界に優れている
ので、第3実施例においてガラス上に他のアンテナ16
5を設けたものであるが、ガラス上にアンテナを設置す
るのではなく、例えば、ハイマウントストップランプや
後方監視カメラを後部ダッシュボードにおいてもよい。
【0052】第1〜第3実施例の実験結果 図14に示したアンテナシステムの特性を以下に説明す
る。図16の実線I、破線IIは、図14のアンテナ導体
を図17に示したようにガラスの中央から左右対称な位
置に配置した場合において、右側導体154Rの受信強
度、左側導体154Lの受信強度を示す。一方、図16
の破線III、破線IVは、図14の右側アンテナ導体16
5Rを図18に示したようにガラスの中央に配置し、左
側導体165Lをガラス中央から左側に30cmの位置に
配置した場合(即ち、非対称な配置)において、中央導
体154Rの受信強度、左側導体154Lの受信強度を
示す。
【0053】図16から明らかなことは、2組のアンテ
ナ導体を左右対称に配置する方が、非対称に配置するよ
りも受信感度としては優れている。図19は、図14の
アンテナシステムにおいて、容量結合を設定する位置を
色々と変更した場合の受信強度を示す。図19におい
て、実線Iは容量結合をせずに、アンテナ導体154と
153を直結にした場合の受信強度を示し、破線IIは最
上位の熱線(図14の例では熱線201)を挟んでアン
テナ導体154と153を容量結合させた場合、破線II
Iは最上位から2番目の熱線を挟んでアンテナ導体15
4と153を容量結合させた場合、一点鎖線IVは最上位
から3番目の熱線を挟んでアンテナ導体154と153
を容量結合させた場合における受信強度を示す。
【0054】図19は垂直偏波された電波を受信した場
合の特性図、図20は水平偏波した電波を受信した場合
の特性図を示す。図19,図20のグラフから明らかな
ことは、容量結合を最上位の熱線若しくはそれから2番
目の熱線位置において容量結合をさせることによって性
能のよいアンテナシステムを構成できることである。
【0055】図21は、図13若しくは図14のアンテ
ナ導体を図23のように配置し(即ち、2つのアンテナ
導体を左右対称な位置に配置し)、容量結合(容量を1
5pFに調整)を上から2番目の熱線上に設けるように
した場合において、2つのアンテナの受信特性を示す。
図21の実線Iは、左側アンテナ導体を終端した場合に
おける右アンテナ導体で受信した電波の強度を示し、破
線IIは右側アンテナ導体を終端した場合における左アン
テナ導体で受信した電波の強度を示す。また、図21
は、試験用の電波を垂直偏波させたものを、図22は水
平偏波させたものについて実験結果である。
【0056】図21,図22から、2つのアンテナ導体
は共に実用上十分な受信感度を得ていることがわかる。
このことは図13,図14,図15に示したアンテナシ
ステムはダイバシティアンテナシステムとして使用する
ことができることを意味する。図24は、図13若しく
は図14のアンテナシステムを図23のように配置し、
さらに、2番目の熱線上に設定された結合容量を10p
Fと15pFとに別々に設定した場合の夫々の受信強度
を示す。図24において、実線Iは10pFとした場合
の受信強度を、破線IIは15pFとした場合の垂直偏波
に対する受信強度を示す。
【0057】図25,図26は、2組のアンテナ導体間
隔を広げたり狭めたりしたときに、ダイバシティ効果が
いかに変わるかを示す。特に、図25では、2組のアン
テナ導体を中央から左右に40cm離れた位置に夫々配置
し、結合容量を10pFとしたときの指向特性を示す。
実線Iは右側アンテナ導体の出力を、破線IIは左側導体
の出力を示す。図26は、2組のアンテナ導体を中央か
ら左右に30cm離れた位置に夫々配置し、結合容量を1
0pFとしたときの指向特性を示す。実線Iは右側アン
テナ導体の出力を、破線IIは左側導体の出力を示す。
【0058】図27は、図13,図14のアンテナシス
テムのアンテナ導体を図28に示すように、左側導体を
中央から30cmの位置に配し、一方、右側導体を中央
に、さらに中央から15cmの位置に、さらに中央から3
0cmの位置に配置した場合の、左側アンテナ導体の出力
を示す。特に図27において、実線Iは右側導体を中央
においた場合を、破線IIは右側導体を中央から15cmの
位置に配置した場合を、破線IIIは右側導体を中央から
30cmの位置に配置した場合を示す。尚、図27の実験
では、結合容量を10pFとしている。
【0059】図27のグラフが示すことは、右側アンテ
ナ導体が中央に近づくに従って、左側アンテナ導体の指
向性の変化が大きくなることがわかる。 〈第1実施例〜第3実施例の効果〉以上説明した第1実
施例〜第3実施例によると、ガラス上の中央部に従来の
ようにFM用のアンテナが配置されていないので、その
中央部が空白となり、その中央部における運転者の視野
が広く取れ、それ故に後方視認性が向上する。
【0060】特に、第3実施例は、第1実施例に比較し
てデフォッガ空白部を大きく取れることから、その空白
部にポールアンテナ導体よりも性能のよいループ状アン
テナ導体を設定することができる。また、空白部が広い
ので、ループ状アンテナ導体に変更しても広い後方視界
が維持される。また、第1実施例〜第3実施例による
と、結合容量を15pF以下に設定すると、FM受信用
に高い性能のアンテナシステムが得られる。
【0061】さらに、第1実施例〜第3実施例による
と、広い空白部にFM受信用アンテナ以外の、例えば、
TVアンテナなどを設定することができる。尚、第1〜
第3実施例のガラスアンテナでは、デフォッガ空白部は
デフォッガの上側に設けられていたが、図29のよう
に、空白部をデフォッガの下側に設けてもよい。
【0062】後方視界を確保するために、別の構造を有
する変形例としてのアンテナシステムを図30に提案す
る。図30の変形例では、ガラスアンテナの上部にデフ
ォッガの延設されていない領域が確保され、下部にはデ
フォッガ170が延設されている。デフォッガの熱線に
垂直に2つの平行導体172L,172Rが熱線と直流
的に結合されて配されている。デフォッガ170の最上
位の熱線に平行に、所定の長さの導体174が配されて
いる。デフォッガの配されていない領域でガラスの略中
央に設けられた垂直アンテナ導体素子171が、前記導
体174に直流的に接続されている。アンテナ導体素子
171が導体174に接続されていることにより、アン
テナ導体素子171がアンテナ導体素子172L,17
2Rと容量結合する。この変形例では、後方の視認性の
影響するデフォッガ領域の中央にアンテナ導体素子が設
けられていないので、良好な後方視界を確保できる。
【0063】図31(または図32)において、垂直
(又は水平)偏波された電波を受信する場合に、図30
の2つのアンテナ導体素子172L,172Rの間隔を
色々と変更した場合のアンテナ導体素子171での受信
強度を示す。特に、実線Iはアンテナ間隔を零(2本を
中央位置に置く)にした場合を、破線IIは2つのアンテ
ナを中央から等距離の互いに10cm離した場合を、破線
IIIは2つのアンテナを中央から等距離の互いに20cm
離した場合を、破線IVは2つのアンテナを中央から等距
離の互いに30cm離した場合を、夫々示す。このグラフ
から、2つのアンテナ導体素子が中央から離されれば離
されるほど受信感度は低下するものの、最大30cm離し
た状態でも実用上問題のない受信感度を得られることが
分かる。
【0064】〈防曇性能の向上〉上述の図3〜図15の
ガラスアンテナでは、デフォッガが設けられていない領
域にアンテナ導体素子の一部を設けていた。このように
すると、そのような空白領域では熱線が延設されていな
いことから防曇機能が落ちることとなる。第4,第5実
施例は、アンテナ導体をデフォッガの熱線で囲むように
する。
【0065】第4実施例 第4実施例は、1組の容量結合型アンテナをガラス表面
の略中央に設けるというものである。図33は、第4実
施例にかかるアンテナシステムの構成を示す。同図にお
いて、ガラス上にデフォッガ熱線250が必要な範囲で
延設されている。このデフォッガ熱線が延設された領域
内において、上から2番目の熱線から下方に垂直方向に
添ってアンテナ導体183が熱線と直流的に接続されな
がら延びている。また、アンテナ導体180が給電点1
84から下方に第2番目の熱線の近傍まで延びている。
アンテナ導体180は、第2番目の熱線と平行に延設さ
れた導体181と直流的に接続されている。従って、ア
ンテナ導体180はアンテナ導体183と、導体181
とデフォッガ熱線とを介して容量結合している。
【0066】従来では、アンテナ導体の多くの部分をデ
フォッガ熱線領域外に配置せざるを得なかったが、第4
実施例では、アンテナ導体はデフォッガ領域内に納ま
り、さらに、デフォッガ熱線はガラス面を覆って延設さ
れているので、アンテナ導体の存在によって防曇能力が
妨げられることはない。図33のアンテナシステムは、
図3〜図10に関連して説明したところの式1〜式5等
に従って設計される。従って、図33のアンテナシステ
ムは、デフォッガ熱線の影響を受けない。換言すれば、
従来では、デフォッガ熱線の影響を受けずにアンテナシ
ステムを設計する手法が確立されていなかったので、ア
ンテナ導体をデフォッガ熱線で囲うということは不可能
であったが、図3〜図10の手法の確立があったからこ
そ、図33のような第4実施例のアンテナシステムが設
計できたのである。
【0067】第5実施例 第4実施例は、ガラス中央部の視界が制限される。第5
実施例は、2組のアンテナ導体をガラス中央について左
右対称に配置することにより後方視界を確保し、さらに
それらのアンテナ導体をデフォッガ熱線で囲うことによ
り防曇能力を向上させたものである。
【0068】図34は第5実施例に係るガラスアンテナ
システムを示す。図中、2組の容量結合されたアンテナ
導体(193Rと192R、193Lと192L)が、
ガラスの中央に関して左右に略対称に配置されている。
そして、アンテナ導体193Rと192Rは最上位の熱
線を介して互いに容量結合し、アンテナ導体193Lと
192Lも同じく最上位の熱線を介して互いに容量結合
している。夫々の組のアンテナ導体の長さなどは前述の
1式〜5式に従って受信電波の波長に応じて決定され
る。尚、デフォッガが図11のシステムのように上下に
分割されている場合には、式6〜式8を用いれればよ
い。
【0069】図34のアンテナシステムの特性を実測す
ると、図16,図19〜22,図24〜図27と実質的
に同じ特性が得られた。従って、第5実施例のアンテナ
システムは、防曇機能に優れ、後方視界が良好だけでな
く、ダイバシティアンテナシステムとしても機能するこ
とになる。尚、第4〜第5実施例のガラスアンテナで
は、給電点はデフォッガの上側に設けられていたが、デ
フォッガの下側に設けてもよい。
【0070】〈さらなる変形〉本発明はその主旨を逸脱
しない範囲でさらに変形することができる。上述の種々
の実施例のガラスアンテナは、想定される使用状態とし
て、FMラジオおよびTVのVHF帯に適用されるもの
としているが、これらの周波数帯を用いる他の通信装置
(例えば、キーレスエントリーシステム)にも適用可能
であることは勿論である。
【0071】また、上述の種々の実施例においては、ア
ンテナ導体素子間の容量結合を、互いに離間させてガラ
ス面上に配置することにより得ているが、アンテナ導体
素子間にチップコンデンサを設けて容量結合を得る構成
としてもよい。さらにこのチップコンデンサを容量を変
化できる可変コンデンサとすれば、アンテナ導体素子間
の結合容量の調整がガラスを車体に取り付けた後でも可
能になり、受信周波数に対するマッチング、また車体個
体差から必要となる最適アンテナ長の微調整が、車体が
生産ラインからラインオフした後でも可能となり、その
効果は絶大である。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よるガラスアンテナによれば、第1のアンテナ導体素子
と第2のアンテナ導体素子とが容量結合することにより
1つののアンテナとして機能する。また、前記第1のア
ンテナ導体素子も第2のアンテナ導体素子もデフォッガ
領域内に延設されているので、防曇機能は維持される。
【0073】請求項2のガラスアンテナによれば、前記
第3のアンテナ導体素子と第4のアンテナ導体素子とが
1つのアンテナとして機能するので、ダイバシティアン
テナシステムを構成することができる。しかも、前記第
1のアンテナ導体素子は前記第3のアンテナ導体素子に
対して前記デフォッガの車幅方向の中心線に関して略対
称位置に配され、前記第2のアンテナ導体素子は前記第
4のアンテナ導体素子に対して前記中心線に関して略対
称位置に配されているので、デフォッガの中央部分には
アンテナ導体素子が存在せず、したがって後方視認性が
確保される。
【0074】また、請求項3のガラスアンテナによれ
ば、第1のアンテナ導体素子と第2のアンテナ導体素子
とは共に、前記デフォッガの車幅方向に関して略中央位
置に配され左右方向において均一な指向性が確保され
る。また、請求項4にガラスアンテナによれば、第2の
アンテナ導体素子は前記第1のアンテナ導体素子の延長
線上にあるので、即ち、これら2つのアンテナ導体素子
は1つの直線状に並ぶので、さらにデフォッガ熱線がア
ンテナ性能に影響するのを防止することができる。
【0075】また、請求項5のガラスアンテナによれ
ば、第4のアンテナ導体素子は前記第3のアンテナ導体
素子の延長線上にあるので、即ち、これら2つのアンテ
ナ導体素子は1つの直線状に並ぶので、さらにデフォッ
ガ熱線がアンテナ性能に影響するのを防止することがで
きる。また、請求項6のガラスアンテナによれば、前記
第1のアンテナ導体素子の一端は、前記第2のアンテナ
導体素子の一端と、前記デフォッガの上下方向で最外側
から第1番目の熱線若しくは第2番目の熱線を介して容
量結合することを特徴とする。アンテナ性能が最適にな
る。
【0076】また、請求項7のガラスアンテナによれ
ば、前記第3のアンテナ導体素子の一端は、前記第4の
アンテナ導体素子の一端と、前記デフォッガの上下方向
で最外側から第1番目の熱線若しくは第2番目の熱線を
介して容量結合することを特徴とする。アンテナ性能が
最適になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両の後部を示す斜視図である。
【図2】実施例が適用される車両のリヤウィンドをウィ
ンドガラス面と直交する方向から見た平面図である。
【図3】デフォッガの影響が極小化される原理を説明す
るためのアンテナの構成を原理的に示す図。
【図4】デフォッガの影響が極小化される原理を説明す
るためのアンテナの構成をモデル化した図。
【図5】デフォッガの影響が極小化される原理を説明す
るためのアンテナの構成をモデル化した図。
【図6】短縮率αと結合容量Cとの関係を示す図。
【図7】短縮率αと結合容量Cとの関係を例示した図。
【図8】図3〜図7に示された原理により構成したガラ
スアンテナを示す図。
【図9】図3〜図7に示された原理により構成したガラ
スアンテナの他の例の構成を示す図。
【図10】実施例における、結合容量Cと間隔dとの関
係を説明する図。
【図11】図3〜図10の原理を発展させて、2つの容
量結合を並列に配列したときのアンテナシステムの構成
を示す図。
【図12】図3〜図10の原理を発展させて、2つの容
量結合を並列に配列したときのアンテナシステムの構成
を示す図。
【図13】本発明の第1実施例に係るアンテナシステム
の概念構成を説明する図。
【図14】第2実施例のアンテナシステムの構成を説明
する図。
【図15】第3実施例のアンテナシステムの構成を説明
する図。
【図16】第2実施例のアンテナシステムの受信特性を
説明する図。
【図17】図16の実験結果を得るために適用されたア
ンテナシステムの配置を示す図。
【図18】図16の実験結果を得るために適用されたア
ンテナシステムの配置を示す図。
【図19】第2実施例のアンテナシステムの受信特性を
説明する図。
【図20】第2実施例のアンテナシステムの受信特性を
説明する図。
【図21】第2実施例のアンテナシステムの受信特性を
説明する図。
【図22】第2実施例のアンテナシステムの受信特性を
説明する図。
【図23】図21,図22の実験結果を得るために適用
されたアンテナシステムの配置を示す図。
【図24】第2実施例のアンテナシステムがダイバシテ
ィシステムとして機能することを示す実験結果のグラフ
図。
【図25】第2実施例のアンテナシステムがダイバシテ
ィシステムとして機能することを示す実験結果のグラフ
図。
【図26】第2実施例のアンテナシステムがダイバシテ
ィシステムとして機能することを示す実験結果のグラフ
図。
【図27】第2実施例のアンテナシステムがダイバシテ
ィシステムとして機能することを示す実験結果のグラフ
図。
【図28】図27の実験結果を得るために適用されたア
ンテナシステムの配置を示す図。
【図29】第1〜第3実施例の変形例に係るアンテナシ
ステムの構成を示す図。
【図30】後方視界を確保することを目的とした変形例
にかかるアンテナシステムの配置を示す図。
【図31】図31のアンテナシステムの垂直偏波電波に
対する受信感度特性を示すグラフ。
【図32】図31のアンテナシステムの水平偏波電波に
対する受信感度特性を示すグラフ。
【図33】本発明の第4実施例に係るアンテナシステム
の構成を示す図。
【図34】本発明の第5実施例に係るアンテナシステム
の構成を示す図。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車幅方向に複数の熱線がデフォッガとし
    て延設されたガラス上に設けられたガラスアンテナであ
    って、 前記デフォッガの少なくとも1本の熱線と交差し略上下
    方向に前記デフォッガ内で延設され、前記デフォッガの
    外部から給電された第1のアンテナ導体素子と、 前記第1のアンテナ導体素子と容量結合し、前記デフォ
    ッガ領域内で略上下方向に前記ガラス面上で延設された
    第2のアンテナ導体素子とを具備することにより、前記
    第1のアンテナ導体素子と第2のアンテナ導体素子とが
    第1のアンテナとして機能することを特徴とするガラス
    アンテナ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のガラスアンテナにおい
    て、さらに、 前記デフォッガの少なくとも1本の熱線と交差し略上下
    方向に前記デフォッガ内で延設され第3のアンテナ導体
    素子と、 前記第3のアンテナ導体素子と容量結合し、前記デフォ
    ッガ領域内で略上下方向に前記ガラス面上で延設された
    第4のアンテナ導体素子とを具備し、 前記第1のアンテナ導体素子は前記第3のアンテナ導体
    素子に対して前記デフォッガの車幅方向の中心線に関し
    て略対称位置に配され、前記第2のアンテナ導体素子は
    前記第4のアンテナ導体素子に対して前記中心線に関し
    て略対称位置に配され、前記第3のアンテナ導体素子と
    第4のアンテナ導体素子とが第2のアンテナとして機能
    すると共に、前記第1のアンテナと第2のアンテナとが
    ダイバシティアンテナシステムを構成することを特徴と
    するガラスアンテナ。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のガラスアンテナにおい
    て、 前記第1のアンテナ導体素子と第2のアンテナ導体素子
    とは共に、前記デフォッガの車幅方向に関して略中央位
    置に配されたことを特徴とするガラスアンテナ。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のガラ
    スアンテナにおいて、 前記第2のアンテナ導体素子は前記第1のアンテナ導体
    素子の延長線上にあることを特徴とするガラスアンテ
    ナ。
  5. 【請求項5】 請求項2または4に記載のガラスアンテ
    ナにおいて、 前記第4のアンテナ導体素子は前記第3のアンテナ導体
    素子の延長線上にあることを特徴とするガラスアンテ
    ナ。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5いずれかに記載のガラス
    アンテナにおいて、 前記第1のアンテナ導体素子の一端は、前記第2のアン
    テナ導体素子の一端と、前記デフォッガの上下方向で最
    外側から第1番目の熱線若しくは第2番目の熱線を介し
    て容量結合することを特徴とするガラスアンテナ。
  7. 【請求項7】 請求項2乃至6いずれかに記載のガラス
    アンテナにおいて、 前記第3のアンテナ導体素子の一端は、前記第4のアン
    テナ導体素子の一端と、前記デフォッガの上下方向で最
    外側から第1番目の熱線若しくは第2番目の熱線を介し
    て容量結合することを特徴とするガラスアンテナ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015133759A (ja) * 2015-04-21 2015-07-23 日本板硝子株式会社 車両用ガラスアンテナ

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