JPH08138711A - 燃料電池の駆動装置および触媒被毒率検出装置並びに燃料電池システム - Google Patents

燃料電池の駆動装置および触媒被毒率検出装置並びに燃料電池システム

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JPH08138711A
JPH08138711A JP6302832A JP30283294A JPH08138711A JP H08138711 A JPH08138711 A JP H08138711A JP 6302832 A JP6302832 A JP 6302832A JP 30283294 A JP30283294 A JP 30283294A JP H08138711 A JPH08138711 A JP H08138711A
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poisoning
catalyst
cell
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料電池の触媒が被毒を受けて電池出力が低
下した場合に、制御遅れや失速を解消することを目的と
する。 【構成】 燃料電池の初期状態時の電池特性L0をRO
Mに予め記憶しておく。この燃料電池を定電圧制御方式
で運転していたとする。この状態で触媒のCO被毒が発
生すると、その動作点OはQ点に移動するが、この時の
電流密度を検出し、その電流密度とO点の電流密度との
比率(被毒率)Rを算出する。そして初期状態時の電池
特性L0上の各点の電流値に対してその比率Rを乗算す
ることにより、現在の電池特性L1を求める。この状態
から運転の方式を定電力制御に切り換える場合、その一
定電力のラインL2と現在の電池特性L1との交点が、
ガードG1〜G3とラインL0とで囲まれる動作許可領
域内に含まれるかを判定し、含まれる場合に、運転切換
が可能として動作点をQ点からP点に一気に変更する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、触媒を担持した電極
に反応ガスを供給して、その反応ガスの化学反応から起
電力を得る燃料電池の駆動装置と、その燃料電池の触媒
の被毒率を検出する燃料電池の触媒被毒率検出装置と、
燃料電池システムとに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、燃料の有しているエネルギを直
接電気的エネルギに変換する装置として燃料電池が知ら
れている。燃料電池は、通常、電解質を挟んで一対の電
極を配置するとともに、一方の電極の表面に水素の反応
ガス(燃料ガス)を接触させ、また他方の電極の表面に
酸素を含有する酸化ガスを接触させ、このとき起こる電
気化学反応を利用して、電極間から電気エネルギを取り
出すようにしている。
【0003】こうした燃料電池では、電流−電圧特性を
もって電池の特性を定めているが、この電池特性は、種
々の駆動条件(直接制御できる要因)により変化する。
例えば、ガス圧力、ガス利用率、電池温度などがその駆
動条件に相当するが、これら駆動条件が一定でも、電池
出力が低下する場合がある。これは、直接制御できない
要因によっても電池特性が変わるためであり、例えば、
電極の濡れすぎ、電極の乾きすぎ、触媒の一酸化炭素被
毒などによっても電池出力が低下する。こうした要因が
加わると、電池出力は低下して、どのような電池特性に
なるのかはわからない。
【0004】こうした背景のもと、従来より、燃料電池
が予め定めた電流−電圧特性を下回った場合に、駆動条
件の制御を行なうことにより、燃料電池を正常な電流−
電圧特性に調整する燃料電池の駆動装置が提案されてい
た(特開平5−47394号公報の段落0012)。電
極が濡れすぎ状態になると電池出力は徐々に低下し始
め、ついには予め定めた電流−電圧特性を下回る出力に
なるが、この駆動装置によれば、乾燥した空気を燃料電
池のセルに送ることにより、電極の濡れすぎを徐々に乾
燥し、その結果、正常な電流−電圧特性を得ることがで
きた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の燃料電池の駆動装置では、燃料電池が予め定めた電
流−電圧特性を下回る出力になってからやおら訂正動作
を起こすものであることから、正常な電流−電圧特性に
戻すには若干時間がかかった。このため、電池出力に制
御遅れが生じた。
【0006】また、その訂正動作は、始めからこれだけ
制御対象を変化させれば、目標とする電流−電圧特性に
戻るという確証があってやっているのではなく、少しず
つ変化させていき、その目標に達したら、そこで制御を
止めるという、言うならば、手探りの制御であり、この
ことによっても、前述した制御遅れを大きなものとして
いた。
【0007】さらに、少しずつ変化させる変化量が大き
過ぎれば、制御がオーバーシュートすることがあり、燃
料電池本体が失速(燃料電池の出力が急激に低下するこ
と)する恐れが生じた。
【0008】こうした電池出力の制御遅れや失速は、触
媒が一酸化炭素により被毒した場合にも起こり得る。こ
の発明の燃料電池の駆動装置は、こうした問題点に鑑み
てなされたもので、燃料電池の触媒の被毒に起因して電
池出力が低下した場合に、制御遅れや失速を解消するこ
とを目的としている。
【0009】一方、この発明の燃料電池の触媒被毒率検
出装置は、触媒の一酸化炭素による被毒を定量的に検出
可能とすることを目的としている。従来より燃料ガス中
の一酸化炭素濃度を検出することで、間接的に触媒がど
れ程被毒しているかを求める構成はあったが、この構成
では、触媒のどれだけの部分が被毒を起こしているかを
求めることはできなかった。即ち、従来には、触媒の被
毒を定量的に求めるものはなく、この発明はその定量的
な検出を可能とすることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
べく、前記課題を解決するための手段として、以下に示
す構成をとった。
【0011】即ち、本発明の燃料電池の駆動装置は、触
媒を担持した電極に反応ガスを供給して、その反応ガス
の化学反応から起電力を得る燃料電池の駆動装置におい
て、前記燃料電池の初期状態時における電池特性を予め
記憶する初期電池特性記憶手段と、前記触媒が被毒状態
にあることを検知する被毒状態検知手段と、該被毒状態
検知手段により前記触媒が被毒状態にあることが検知さ
れたとき、前記燃料電池の出力信号を検出する出力信号
検出手段と、該検出された燃料電池の出力信号と前記初
期電池特性記憶手段により記憶された前記電池特性とか
ら、前記触媒の被毒率に応じた比率を算出し、該比率と
前記電池特性とから、前記燃料電池の被毒状態時におけ
る電池特性を求める電池特性演算手段とを備えたこと
を、要旨としている(請求項1記載のもの)。
【0012】ここで、電池特性とは、燃料電池の電流と
電圧との関係を示す電流−電圧特性のことである。ま
た、燃料電池の初期状態というのは、電池出力を低下さ
せる要因となる触媒被毒が発生する以前の定常状態を言
い、換言すれば、供給される燃料ガスに一切の一酸化炭
素を含まず水素だけを含む状態を言う。触媒の被毒率と
は、触媒に対する一酸化炭素による被毒の程度を表わす
ものである。
【0013】前記構成の燃料電池の駆動装置において、
前記燃料電池の運転を制限する種々の条件から前記燃料
電池の動作を許可する運転領域を設定する動作許可領域
設定手段を備えた構成とすることが好ましい(請求項2
記載のもの)。
【0014】また、前記燃料電池の駆動装置において、
前記電池特性演算手段で算出された前記被毒状態時にお
ける電池特性を、前記動作許可領域設定手段で設定され
た運転領域で限定して、当該限定された電池特性上に、
制御の動作点を移動可能か否かを判定する判定手段と、
該判定手段で移動が可能と判定されたときに、前記動作
点の移動を実現する燃料電池の運転の制御方式の切換を
許可する制御方式切換許可手段とを備えた構成としても
よい(請求項3記載のもの)。
【0015】さらに、電池特性演算手段で算出された前
記被毒状態時における電池特性と、前記動作許可領域設
定手段で設定された運転領域とを、外部に設けられた負
荷用の制御手段に送る情報送信手段を備えた燃料電池の
駆動装置としてもよい(請求項4記載のもの)。
【0016】さらにまた、判定手段で動作点の移動が不
可能と判定されたときに、前記燃料電池の動作を安全側
に制御する安全制御手段を備えた燃料電池の駆動装置と
してもよい(請求項5記載のもの)。
【0017】この発明の燃料電池の触媒被毒率検出装置
は、触媒を担持した電極に反応ガスを供給して、その反
応ガスの化学反応から起電力を得る燃料電池と、該燃料
電池の初期状態時における電池特性を予め記憶する初期
電池特性記憶手段と、前記触媒が被毒状態にあることを
検知する被毒状態検知手段と、該被毒状態検知手段によ
り前記触媒が被毒状態にあることが検出されたとき、前
記燃料電池の出力信号を検出する出力信号検出手段と、
該検出された燃料電池の出力信号と前記初期電池特性記
憶手段により記憶された前記電池特性とから、前記触媒
の被毒率を求める被毒率演算手段とを備えたことを、要
旨としている(請求項6記載のもの)。
【0018】この発明の燃料電池システムは、請求項6
記載の燃料電池の触媒被毒率検出装置を備える燃料電池
システムであって、前記燃料電池に接続される負荷と、
補助用電源と、前記触媒被毒率検出装置により求めた触
媒の被毒率が、予め定めた所定値以上であるか否かを判
定する被毒率判定手段と、該被毒率判定手段により触媒
の被毒率が所定値以上であると判定されたときに、前記
負荷への接続を前記燃料電池から前記補助用電源に切り
換えるとともに、前記触媒の被毒対策を実行する被毒時
制御手段とを備えたことを、要旨としている(請求項7
記載のもの)。
【0019】前記構成の燃料電池システムにおいて、前
記被毒時制御手段は、互いに異なる手法で前記触媒の被
毒を解消する複数の被毒解消手段と、前記触媒被毒率検
出装置により求めた触媒の被毒率に応じて前記複数の被
毒解消手段から任意のものを選択して、該選択した被毒
解消手段を駆動させる選択駆動手段とを備えた構成とし
てもよい(請求項8記載のもの)。
【0020】
【作用】請求項1記載の燃料電池の駆動装置によれば、
被毒状態検知手段により触媒が被毒状態にあることが検
知されたとき、燃料電池の出力信号を、出力信号検出手
段により検出する。そして、その燃料電池の出力信号と
初期電池特性記憶手段により予め記憶した燃料電池の初
期状態時における電池特性とから、電池特性演算手段に
より、触媒の被毒率に応じた比率を算出し、該比率と前
記電池特性とから燃料電池の被毒状態時における電池特
性を求める。
【0021】したがって、この燃料電池の駆動装置によ
れば、触媒の被毒状態時に、燃料電池の出力信号さえ検
出すれば、被毒状態時における電池特性を求めることが
できる。このため、従来のように手探りで徐々に電流ま
たは電圧を制御していくのではなく、この求めた被毒状
態時における電池特性に基づき電流または電圧を制御す
れば、目標とする電池特性に即座に移行することが可能
となる。
【0022】この発明は、被毒状態時における燃料電池
の出力と、燃料電池の初期状態時における電池特性とが
判れば、被毒状態時における電池特性が一義的に定まる
という、本願発明者の新たな知見に基づいて創作された
ものである。以下、燃料電池の駆動方法をまず説明し
て、この新たな知見がどのようにして判明したのかを説
明する。
【0023】燃料電池の駆動方法には、負荷と接続形態
や、2次電池とのハイブリッドの有無などの違いによ
り、定電圧制御、定電流制御、定電力制御の3種類の制
御方式のいずれかが用いられる。定電力制御は出力電力
によって決まる動作点で運転するもので、例えば、図1
ののカーブの上のいずれかの動作点で運転することに
なる。ただし、こののカーブ(ここでは0.3W/c
m2)のいずれの上で動作しても良いわけではなく、いく
つかの制限がある。
【0024】それらの制限としては、燃料電池の電極の
保護のための最低電極電位の制限から決まるのライ
ン、システムのガス供給可能量によって決まる電流制限
のライン、そしてシステムの最大発熱許容量から決ま
るのラインである。
【0025】無論、電池特性の初期値ののカーブを上
回ることはないから、これもある意味での限定条件とい
える(無理にガス圧力を上げたり、電池温度を変えて、
電池特性の初期値を変えることは、ここでは議論しな
い)。結局、この燃料電池は図1の〜のカーブ、ラ
インで囲まれた範囲(図中、ハッチング領域)の中の
のライン上のいずれかの動作点で定電力制御運転される
ことになる。
【0026】なお、定電圧制御、定電流制御について
は、上記の定電力制御の説明に準ずるので、ここでは詳
しい説明は省略する。
【0027】定電圧制御の方式で燃料電池を駆動してい
るときに、燃料電池に触媒被毒が発生した場合の電池出
力について、次に説明する。図2において、初期の電池
特性として、に示すような電池特性を持つ燃料電池
を、動作点Aで定電圧制御方式で運転していたとする。
ここで、当該燃料電池が触媒の一酸化炭素(CO)被毒
の影響により、この燃料電池の電池出力が低下し、その
動作点はBに移動したとする。
【0028】この時、検出可能な情報は、動作点Bのた
だ一点だけではあるが、この点における電流密度と動作
点Aの電流密度とを比較すると、B点ではA点での50
%の電流が流せることがわかる。そこで、A点を含む
の電池特性のカーブを構成する全ての点で、同一電圧に
対して電流が50%になる点を計算により求め、これら
の計算により得られた点を結んで線を引くと、図2の
のカーブになる。実際に、CO被毒した後の燃料電池の
電池特性測定、つまり、電流を変化させながら、電池電
圧を測定すると、この計算で求めた図2ののカーブと
実測値がよく一致することが確認できた。
【0029】つまり、定電圧制御で運転している燃料電
池が、CO被毒によってその電池出力が低下した場合、
特性変化後のある一点の電流、電圧(つまり動作点)が
決まれば、初期の電池特性における同一電圧での電流量
と比較することにより、そのCO被毒状態での燃料電池
の電池特性(電流−電圧特性)を推定することができ
る。
【0030】定電流制御の方式で燃料電池を駆動してい
るときに、燃料電池に触媒被毒が発生した場合の電池出
力について、次に説明する。図3において、初期の電池
特性として、に示すような電池特性を持つ燃料電池
を、動作点Aで定電流制御方式で運転していたとする。
ここで、当該燃料電池がCO被毒の影響により、この燃
料電池の電池出力が低下し、その動作点はCに移動した
とする。
【0031】この時、検出可能な情報は、動作点Cのた
だ一点だけではあるが、この点における電流−電圧の関
係のうち電圧に着目し、この電圧と同じ電圧をの電池
特性カーブ上で探す。この同じ電圧の動作点は図中D点
となり、このD点における電流密度と動作点Cの電流密
度とを比較すると、C点ではD点での50%の電流が流
せることがわかる。
【0032】そこで、A点、D点を含むの電池特性の
カーブを構成する全ての点で、同一電圧に対して電流密
度が50%になる点を計算により求め、これらの計算に
より得られた点を結んで線を引くと、図3ののカーブ
になる。実際に、CO被毒した後の燃料電池の電池特性
測定、つまり、電流を変化させながら、電池電圧を測定
すると、この計算で求めた図3ののカーブと実測値が
よく一致することが確認できた。
【0033】つまり、定電流制御で運転している燃料電
池が、CO被毒によってその電池出力が低下した場合、
特性変化後のある一点の電流、電圧(つまり動作点)が
決まれば、初期の電池特性における同一電圧での電流量
と比較することにより、そのCO被毒状態での燃料電池
の電池特性(電流−電圧特性)を推定することができ
る。
【0034】定電力制御の方式で燃料電池を駆動してい
るときに、燃料電池に触媒被毒が発生した場合の電池出
力について、次に説明する。図4において、初期の電池
特性として、に示すような電池特性を持つ燃料電池
を、動作点Aで定電力制御方式で運転していたとする。
ここで、当該燃料電池がCO被毒の影響により、この燃
料電池の電池出力が低下し、その動作点はEに移動した
とする。定電力制御方式なので、電流−電圧特性のカー
ブの上での動作点の移動は、図4に示したように同一の
電力出力を結んだ曲線となる。
【0035】この時、検出可能な情報は、動作点Eのた
だ一点だけではあるが、この点における電流−電圧の関
係のうち電圧に着目し、この電圧と同じ電圧をの電池
特性カーブ上で探す。この同じ電圧の動作点は図中F点
となり、このF点における電流密度と動作点Eの電流密
度とを比較すると、E点ではF点での50%の電流が流
せることがわかる。
【0036】そこで、A点、F点を含むの電池特性の
カーブを構成する全ての点で、同一電圧に対して電流が
50%になる点を計算により求め、これらの計算により
得られた点を結んで線を引くと、図4ののカーブにな
る。実際に、CO被毒した後の燃料電池の電池特性測
定、つまり、電流を変化させながら、電池電圧を測定す
ると、この計算で求めた図4ののカーブと実測値がよ
く一致することが確認できた。
【0037】つまり、定電力制御で運転している燃料電
池が、CO被毒によってその電池出力が低下した場合、
特性変化後のある一点の電流、電圧(つまり動作点)が
決まれば、初期の電池特性における同一電圧での電流量
と比較することにより、そのCO被毒状態での燃料電池
の電池特性(電流−電圧特性)を推定することができ
る。
【0038】以上のことから、CO被毒によって燃料電
池の出力が低下したとき、ある一点の電流、電圧が決ま
れば、当該燃料電池の制御方式が、定電圧制御、定電流
制御、定電力制御のいずれの方式であろうと、そのCO
被毒状態での燃料電池の電池特性(電流−電圧特性)を
推定することができるのである。
【0039】即ち、一酸化炭素による被毒の状態におい
ては、少なくとも、ある1点の動作情報から、幅広い動
作領域での電池特性が推定できる。このため、予め電池
特性がわかった上で、動作特性を予見しながら、当該燃
料電池の電流,電圧または電力制御を行なえば、所望の
電池特性に即座に移行することができる。
【0040】このようにCO被毒状態での、燃料電池の
電池特性(電流−電圧特性)を推定することができる理
由として、発明者は次のメカニズムを考えた。それは、
「一酸化炭素の影響で白金触媒の一部が、電気化学反応
触媒としてのその機能を停止している。即ち、一酸化炭
素に被覆された部分では電池反応が起こらず、一酸化炭
素に被覆されていない部分でのみ正常に電池反応が起こ
っている。」というメカニズムである。
【0041】CO被毒により電極のすべての白金触媒
が、CO被毒の強弱に応じて、その活性の程度が変わる
のではなく、1個1個の白金の粒子(わずかオングスト
ロームのレベルである。ただし、単原子ではない)に着
目すると、完全に働かないか、完全に働いているかのい
ずれかであり、CO被毒がないときには、全ての白金粒
子は働いているが、CO被毒が発生すると、一部の白金
粒子はまったく働かなくなるのである。CO被毒の程度
である被毒率は、この完全に働いている白金粒子と、完
全に働いていない白金粒子の比率で決まるのである。
【0042】働き具合いに強弱があると、燃料電池の電
圧に関係してくるが、完全に働いているか、完全に働い
ていないかであるから、燃料電池の電圧は同じで、電流
が違ってくるのである。つまり、全ての白金粒子が働い
ていれば、初期値通りの電流が流せるが、白金粒子の5
0%がCO被毒により働いていなければ、同一電圧で比
較すると、50%の電流しか流せなくなるのである。
【0043】前述したCO被毒のメカニズムから新たな
知見を得た。燃料電池が、CO被毒によってその電池出
力が低下した場合、特性変化後のある一点の電流、電圧
(つまり動作点)が決まれば、初期の電池特性における
同一電圧での電流密度と比較することにより、そのCO
被毒状態での、燃料電池の電池特性を推定することがで
きるのであるが、同時に、初期値に比べ、電流密度が何
割(何%)低下したかという数値から、当該燃料電池に
おけるその時点でのCO被毒の程度を定量的に求めるこ
とが出来るのである。
【0044】先に述べたように、電流密度の低下は、働
かない白金粒子の割合で規定できるから、電流密度の低
下は、「白金粒子のうち一酸化炭素がその表面を被覆
し、白金触媒として機能を停止した割合」で規定でき
る。この割合を、便宜的に白金触媒に対する「CO被覆
率」と呼ぶこととする。なお、この割合は触媒被毒率に
相当する。
【0045】従って、燃料電池がCO被毒によってその
電池出力が低下した場合、特性変化後のある一点の電
流、電圧(つまり動作点)が決まれば、初期の電池特性
における同一電圧での電流密度と比較することにより電
流密度の低下の程度を知ることができ、この結果、燃料
電池における、その時点での「CO被覆率」を算出でき
るのである。例えば、図1ないし図4は、この「CO被
覆率」で考えるならば、いずれもCO被覆率=50%の
状態である。
【0046】請求項6記載の燃料電池の触媒被毒率検出
装置は、前述した知見に従って「CO被覆率」を算出す
るものである。この燃料電池の触媒被毒率検出装置によ
れば、被毒状態検知手段により触媒が被毒状態にあるこ
とが検知されたとき、燃料電池の出力信号を、出力信号
検出手段により検出する。そして、その燃料電池の出力
信号と初期電池特性記憶手段により予め記憶した燃料電
池の初期状態時における電池特性とから、被毒率演算手
段により、触媒の被毒率、即ち、前記「CO被覆率」を
求める。
【0047】従って、この燃料電池の触媒被毒率検出装
置によれば、触媒の被毒状態時に、燃料電池の出力信号
さえ検出すれば、触媒の被毒率を求めることができる。
【0048】前述した請求項1および6以外の請求項に
記載した発明の作用について、以下説明する。
【0049】請求項2記載の燃料電池の駆動装置によれ
ば、燃料電池の運転を制限する種々の条件から燃料電池
の動作を許可する運転領域を、動作許可領域設定手段に
より設定する。このため、請求項1で電池特性への制御
を的確なものとした上で、さらに燃料電池の動作できる
範囲をその運転領域から予め知ることができ、より的確
な制御が可能となる。
【0050】請求項3記載の燃料電池の駆動装置によれ
ば、被毒状態時における電池特性を動作許可領域設定手
段で設定された運転領域で限定して、その限定された電
池特性上に、制御の動作点を移動可能か否かを、判定手
段により判定する。この判定手段で移動が可能と判定さ
れると、その動作点の移動を実現する燃料電池の運転の
制御方式の切換を、制御方式切換許可手段により許可す
る。このため、従来の技術のように、動作点を徐々に変
化させて最終的に所望の位置に移動させるのではなく、
運転制御方式を切り換えて、動作点を一気に移動するこ
とが可能となり、制御速度の向上が図られる。
【0051】請求項4記載の燃料電池の駆動装置によれ
ば、電池特性演算手段で求めた被毒状態時における電池
特性と動作許可領域設定手段で設定された運転領域と
を、外部に設けられた負荷用の制御手段に、情報送信手
段により送る。このため、負荷用の制御手段では、前記
運転領域を逸脱しないように負荷の制御を行なうことが
可能となる。
【0052】請求項5記載の燃料電池の駆動装置によれ
ば、判定手段で動作点の移動が不可能と判定されたとき
に、燃料電池の動作を、安全動作制御手段により安全側
に制御する。このため、動作点を徐々に変化させてやお
ら動作を安全側に制御するのではなく、素早く安全側へ
制御を移すことが可能となる。
【0053】請求項7記載の燃料電池システムによれ
ば、燃料電池が動作許可領域内から外れる恐れがある場
合に、実際に外れる前から負荷を補助用電源に切り換え
ることができ、負荷への電源供給を安定的に行なうこと
が可能となる。また、燃料電池の触媒の被毒対策が施さ
れることで、触媒被毒の解消が図られる。
【0054】請求項8記載の燃料電池システムによれ
ば、触媒被毒率検出装置により求めた触媒の被毒率に応
じて複数の被毒解消手段から任意のものを選択して、該
選択した被毒解消手段を駆動させることができる。この
ため、触媒の被毒の程度が低いような場合には、応答性
が比較的劣る被毒解消手段で、被毒の程度が高いような
場合には、応答性に優れた被毒解消手段でというように
最適な被毒解消手段を採用することが可能となる。
【0055】
【実施例】以上説明した本発明の構成・作用を一層明ら
かにするために、以下本発明の好適な実施例について説
明する。
【0056】図5は、本発明の第1実施例としての燃料
電池発電システム1の概略構成図である。図5に示すよ
うに、この燃料電池発電システム1は、電気を発生する
固体高分子型の燃料電池スタック10と、メタノールタ
ンク12に貯留されたメタノールと水タンク14に貯留
された水とから水素リッチガスを製造する改質器16
と、改質器16で製造された水素リッチガスを燃料ガス
として燃料電池スタック10に送る燃料ガス供給通路1
8と、燃料電池スタック10から排出されたガスを外部
に送る燃料ガス排出通路20とを備える。
【0057】また、この燃料電池発電システム1は、燃
料電池スタック10で発生した直流電気を交流電気に変
換するインバータ22を備えており、このインバータ2
2からの交流電気は図示しない負荷(例えば、モータ)
へ供給される。なお、負荷には二次電池24も接続され
ており、切換器26により負荷へ供給される電源がイン
バータ側の燃料電池スタック10と二次電池24との間
で適宜切り換えられる。
【0058】さらに、この燃料電池発電システム1は、
電気的な制御系統として、燃料ガス排出通路20の途中
に設けられ、燃料ガス中のCO濃度を検出する一酸化炭
素センサ30と、燃料電池スタック10とインバータ2
2との間に設けられ、燃料電池スタック10から出力さ
れる電気信号の電圧および電流量を検出する出力検出回
路32と、これら一酸化炭素センサ30および出力検出
回路32からの出力信号を取り込んで各種の制御処理を
実行する電子制御ユニット80とを備える。
【0059】燃料電池スタック10の構成について次に
説明する。燃料電池スタック10は、前述したように固
体高分子型の燃料電池であり、その単一セル構造とし
て、図6に示す構造を備える。即ち、図6に示すよう
に、そのセルは、電解質膜41と、この電解質膜41を
両側から挟んでサンドイッチ構造とするガス拡散電極と
してのアノード42およびカソード43と、このサンド
イッチ構造を両側から挟みつつアノード42およびカソ
ード43とで燃料ガスおよび酸化ガスの流路を形成する
セパレータ44,45と、セパレータ44,45の外側
に配置されアノード42およびカソード43の集電極と
なる集電板46,47とにより構成されている。
【0060】電解質膜41は、高分子材料、例えばフッ
素系樹脂により形成されたイオン交換膜であり、湿潤状
態で良好な電気電導性を示す。アノード42およびカソ
ード43は、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンク
ロスにより形成されており、このカーボンクロスには、
触媒としての白金を担持したカーボン粉がクロスの隙間
に練り込まれている。
【0061】セパレータ44,45は、ち密質のカーボ
ンプレートにより形成されている。また、アノード42
側のセパレータ44には、複数のリブが形成されてお
り、このリブとアノード42の表面とで燃料ガスの流路
溝44pを形成する。一方、カソード43側のセパレー
タ45にも、複数のリブが形成されており、このリブと
カソード43の表面とで酸化ガスの流路溝45pを形成
する。集電板46,47は、銅(Cu)により形成され
ている。
【0062】以上説明したのが燃料電池スタック10の
単一セルの構成であるが、実際には、セパレータ44,
アノード42,電解質膜41,カソード43,セパレー
タ45をこの順に複数組積層して、その外側に集電板4
6,47を配置することにより、燃料電池スタック10
は構成されている。
【0063】燃料ガス供給通路18は、改質器16と燃
料電池スタック10のアノード側ガス入口10a(図
5)とをつなぐものであり、実際は、アノード側ガス入
口10aは、図示しないマニホールドに接続されてお
り、このマニホールドを介して燃料電池スタック10の
燃料ガス側の複数の流路溝44pに分岐接続されてい
る。一方、燃料電池スタック10のアノード側ガス出口
10bは、図示しないマニホールドに接続されており、
このマニホールドを介して燃料電池スタック10の複数
の流路溝44p(燃料ガス供給通路18とは反対側から
接続)に分岐接続されている。
【0064】一酸化炭素センサ30の構成について次に
説明する。図7は、その一酸化炭素センサ30の縦断面
図である。図7に示すように、この一酸化炭素センサ3
0は、電解質膜50と、この電解質膜50を両側から挟
んでサンドイッチ構造とする2枚の電極52,54と、
このサンドイッチ構造を両側から挟むことにより、サン
ドイッチ構造の撓みを防ぐ2枚のメッシュ状の金属板5
6,58と、このサンドイッチ構造および金属板56,
58を保持する2個のホルダ60,62と、両ホルダ6
0,62を電気的に絶縁状態で連結する絶縁性部材64
とを備える。
【0065】電解質膜50は、固体高分子材料、例えば
フッ素系樹脂により形成されたプロトン導電性の膜体で
ある。電極52,54は、炭素繊維からなる糸で織成し
たカーボンクロスにより形成されており、このカーボン
クロスには、触媒としての白金を担持したカーボン粉が
クロスの隙間に練り込まれている。
【0066】こうした電解質膜50と電極52,54は
具体的には次のような方法で接合されている。
【0067】電極基材(カーボンクロスまたはカーボ
ンペーパ)の表面に、予めカーボン粉の表面に白金を担
持して製作した触媒粉を塗布し、電解質膜50とこの電
極基材をホットプレスで一体化するもの。 電極基材の表面に、予めカーボン粉の表面に白金を担
持して製作した触媒粉を塗布し、電解質膜50とこの電
極基材を、プロトン導電性固体高分子溶液で接着して一
体化するもの。
【0068】予めカーボン粉の表面に白金を担持して
製作した触媒粉を、適当な有機溶剤に分散させてペース
ト化し、電解質膜50の表面にスクリーン印刷法等の手
法で塗布する。その後、電極基材とホットプレスで一体
化するもの。 電解質膜50の表面に、スパッタ法、蒸着法、CVD
法、PVD法などの薄膜形成法で、白金を担持し、その
後、電極基材とホットプレスで一体化するもの。
【0069】白金触媒を担持したカーボン粉は次のよう
な方法で作成されている。塩化白金酸水溶液とチオ硫酸
ナトリウムを混合して、亜硫酸白金錯体の水溶液を得
る。この水溶液を攪拌しながら、過酸化水素水を摘下し
て、水溶液中にコロイド状の白金粒子を析出させる。次
に担体となるカーボンブラック〔例えばVulcanX
C−72(米国のCABOT社の商標)やデンカブラッ
ク(電気化学工業株式会社の商標)〕を添加しながら、
攪拌し、カーボンブラックの表面にコロイド状の白金粒
子を付着させる。次に溶液を吸引ろ過または加圧ろ過し
て白金粒子が付着したカーボンブラックを分離した後、
脱イオン水で繰り返し洗浄した後、室温で完全に乾燥さ
せる。次に、凝集したカーボンブラックを粉砕器で粉砕
した後、水素還元雰囲気中で、250℃〜350℃で2
時間程度加熱することにより、カーボンブラック上の白
金を還元するとともに、残留していた塩素を完全に除去
して、白金触媒が完成する。
【0070】なお、前述した燃料電池スタック10の電
解質膜41に用いられる白金触媒も、前記方法と同様に
して形成されている。また、電極52,54の面積は、
0.1cm2〜1cm2程度が望ましい。
【0071】金属板56、58は、メッシュ状のもの
で、ガスの電極52,54への到達を妨げない構造とな
っている。その材料としては、電気伝導性に優れ、錆に
くく、水素脆性を生じないものが望ましく、具体的には
チタンやステンレスが用いられている。また、メッシュ
状の銅板の表面を金、白金、チタン等の金属で被覆(例
えば鍍金)した物でもよい。さらに、前述の要求性能を
満たすものであれば、多孔質のカーボン板や、発泡ニッ
ケルの表面を金、白金、チタン等の金属で被覆(例えば
鍍金)した物、あるいは、エンジニアリングプラスチッ
クの表面を金、白金、チタン等の金属で被覆(例えば鍍
金)し、電気導電性を確保した物であってもよい。
【0072】ホルダ60,62は、円柱の内部にフラン
ジ60a,62aを持つ形状で、そのフランジ60a,
62aで電解質膜50,電極52,54および金属板5
6,58を挟持する。その材料としては、電気伝導性に
優れ、錆にくく、水素脆性を生じないものが望ましく、
具体的にはチタンやステンレスが用いられる。また銅板
の表面を金、白金、チタン等の金属で被覆(例えば鍍
金)した物でもよい。さらに、前述の要求性能を満たす
ものであれば、緻密質のカーボン板や、エンジニアリン
グプラスチックの表面を金、白金、チタン等の金属で被
覆(例えば鍍金)し、電気導電性を確保した物であって
もかまわない。
【0073】なお、ホルダ62の電解質膜50側には、
Oリング66が設けられており、一方の電極側の雰囲気
が他方の電極側に漏れるのを防止している。ここで、O
リング66に換えて、電解質膜50の端部をホルダ62
に接着剤で直接張り付けたり、熱圧着で張り付けたりし
て、シール性を確保する構成としてもよい。
【0074】ホルダ60,62の外周には、ネジ60
b,62bが切られており、これらネジ60b,62b
と絶縁性部材64の内側に切られた2つのネジ64a,
64bとを互いに螺合することで、両ホルダ60,62
は、その間の電極52,電解質膜50および電極54を
挟持した状態で連結される。なお、絶縁性部材64の材
料としては、例えばテフロンが用いられている。
【0075】また、この一酸化炭素センサ30は、一方
側のホルダ60にネジ合いにて連結されるガス流入通路
68を備えている。このガス流入通路68は、被検出ガ
スを電極52に導く通路であり、絶縁性の材料から形成
されている。なお、他方側のホルダ62には、特別なガ
ス通路は接続されておらず、電極54は大気に開放され
た状態となっている。
【0076】さらに、この一酸化炭素センサ30は、両
ホルダ60,62に設けられた検出端子60T,62T
に電気的に接続され、電極52,54間に生じる起電力
を測定する電気回路70を備えている。この電気回路7
0は、電圧計72と負荷電流調整用の抵抗器74とから
構成されており、電圧計72の信号は外部の制御系統に
出力される。なお、燃料ガスが供給される電極52側の
ホルダ60の検出端子60Tはマイナス極、大気に連通
する電極54側のホルダ62の検出端子62Tはプラス
極となるように電圧計72が接続されている。
【0077】こうして構成された一酸化炭素センサ30
は、燃料ガス供給通路18の分岐口18aにネジ合いに
て連結されており、図示しない燃料電池本体に供給する
燃料ガス中のCO濃度の検出用に用いられている。
【0078】この一酸化炭素センサ30では、電極52
に燃料ガスが供給されると電解質膜50を介して電極5
2,54間に起電力が生じることから、この起電力を電
気回路70の電圧計72を用いて検出している。この起
電力は、燃料電池本体と同様に、一酸化炭素による触媒
の被毒を受けて低下することから、CO濃度が高い場合
には小さく、CO濃度が低い場合には大きい。このた
め、既知のCO濃度のガスを使って、CO濃度とその時
の電圧計72の測定値との関係を予め調べておくことに
より、被検出ガスのCO濃度を測定することが可能とな
る。なお、この測定の際の検出感度は水素の影響を受け
ることがないことから、燃料ガスのように多量の水素を
含んだ被検知ガスにおいてもその中の一酸化炭素を高精
度で測定することができる。
【0079】電子制御ユニット80は、マイクロコンピ
ュータを中心とした論理回路として構成され、詳しく
は、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算
等を実行するCPU82と、CPU82で各種演算処理
を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が
予め格納されたROM84と、同じくCPU82で各種
演算処理を実行するのに必要な各種データが一時的に読
み書きされるRAM86と、一酸化炭素センサ30,出
力検出回路32からの出力信号および負荷用の電子制御
ユニット(図示せず)からの出力信号を入力するととも
に、CPU82での演算結果に応じて改質器16,燃料
電池スタック10,インバータ22および切換器26に
制御信号を出力する入出力インターフェース88等を備
える。
【0080】なお、ROM84には、燃料電池スタック
10の初期状態時の電池特性を示す初期電池特性データ
DT0が予め記憶されている。図8にその初期電池特性
データDT0の一例を示した。図8に示すように、この
初期電池特性データDT0は、電流密度と電圧とから定
まる特性L0を示す二次元のマップであり、電流密度が
高密度になるにつれ電圧は低下する。電流密度が200
[mA/cm2 ]のとき、電圧は0.80[V]とな
り、電流密度が400[mA/cm2 ]のとき電圧は
0.73[V]となっている。
【0081】燃料電池の初期状態時における電池特性L
0は、燃料電池が定常運転されておれば、ガス圧力やガ
ス利用率や電池温度などの運転条件が常に一定になるよ
うに制御されていることから、こうした状態時における
電池特性L0は一義的に定めることができる。このた
め、前記初期電池特性データDT0は一つのデータとし
て格納されている。
【0082】また、図5ではガス系統についてはアノー
ド側のガス系統のみを記載し、カソード側のガス系統の
記載は省略してある。
【0083】こうした構成の電子制御ユニット80のC
PU82によって、改質器16,燃料電池スタック1
0,インバータおよび切換器26が適宜制御される。こ
の結果、この燃料電池発電システム1では、定電圧制
御、定電流制御、定電力制御の3種類の制御方式から最
適なものを選択しつつ、適正な電気供給を負荷に対して
行なう。
【0084】まず、負荷が動作していないとき(例え
ば、電気自動車で言えば停止しているとき)を考える
と、このときには、燃料電池スタック10は定電圧制御
がなされて、一定の電圧で二次電池24へ電気が供給さ
れる。その後、負荷が動き始めると(電気自動車で言え
ば走行しているとき)、燃料電池スタック10はその負
荷により規定される電力で定電力制御の運転がなされ、
切換器26が切り換えられて燃料電池スタック10から
負荷にその電気が供給される。ここでは、こうした定電
圧制御から定電力制御に制御方式が切り換わって電気供
給がなされる場合について、電子制御ユニット80のC
PU82によってどのように制御処理が実行されるかを
説明する。
【0085】図9ないし図10は、電子制御ユニット8
0のCPU82によって実行される制御ルーチンを示す
フローチャートである。この制御ルーチンは、負荷用電
子制御ユニットから負荷が動作し始めた旨の指示を受け
た後に実行されるもので、所定時間毎に繰り返し実行さ
れる。図9に示すように、CPU82は、処理が開始さ
れると、まず、負荷用電子制御ユニットからの出力信号
から負荷が一定であるか否かの判別を行ない(ステップ
S100)、さらに、燃料電池スタック10に対するガ
スの供給状態(ガス量等)が一定であるか否かの判別を
行なう(ステップS110)。
【0086】CPU82は、ステップS100またはS
110で否定判別されると、処理を「リターン」に進め
て、この制御ルーチンを一旦終了する。一方、ステップ
S100およびステップS110の双方で肯定判別、即
ち、負荷が一定で、かつガス供給状態が一定であると判
別されたときには、ステップS120に処理を進める。
【0087】ステップS120では、CPU82は、一
酸化炭素センサ30の電圧計72からの出力電圧を、C
O濃度Dとして入力する処理を行なう。次いで、その一
酸化炭素濃度Dが、予め定めた所定の濃度D0より大き
いか否かを判定することにより、アノード電極の触媒は
被毒状態であるか否かを判別する処理を行なう(ステッ
プS130)。
【0088】ステップS130で、触媒が被毒状態でな
いと判別されると、CPU82は、処理を「リターン」
に進めて、この制御ルーチンを一旦終了する。一方、ス
テップS130で、触媒が被毒状態であると判別される
と、出力検出回路32により検出された燃料電池スタッ
ク10の現在の電圧V1および電流I1を入力する(ス
テップS140)。
【0089】次いで、その現在の電圧V1および電流I
1と、RAM86に予め格納された図8に示した初期電
池特性データDT0とから、現在の電池特性データDT
を算出する処理を行なう(ステップS150)。この処
理は具体的には次のように行なう。この時点では、定電
圧制御にて燃料電池スタック10が運転されていること
から、まず、初期電池特性データDT0で定まる特性L
0上において現在の電圧V1に対応する電流値I0を求
める。詳しくは、ROM84に記憶された初期電池特性
データDT0のマップを、そのままRAM86に複写し
て、そのRAM86のマップ上にて、前記電流値I0を
求める(図11参照)。
【0090】次いで、この電流値I0と前記電流I1と
の比率R(これが触媒の被毒率に応じた比率となる)を
求めて、前記初期電池特性L0上の各点を前記比率Rで
乗算することにより、現在の電池特性L1を求める。こ
の算出もRAM86に記憶したマップ上にて行なわれ、
前記初期電池特性L0上の各点の電流値に対して前記比
率Rを乗算することにより、電流密度の軸方向に前記比
率で縮小したライン、即ち、現在の電池特性L1を求め
る(図11参照)。
【0091】続いて、CPU82は、ステップS150
で算出した現在の電池特性データDT1のマップ上に、
制御運転の動作を許可する動作許可領域を設定する処理
を行なう(ステップS160)。図1で示したハッチン
グの領域がこの動作許可領域に相当する。具体的には、
図12に示すように、燃料電池の電極の保護のための最
低電極電位の制限から決まる例えば500mVのライン
G1と、システムのガス供給可能量によって決まる電流
制限の例えば700mA/cm2 のラインG2と、システ
ムの最大発熱許容量から決まる例えば0.6W/cm2
のラインG3(ここでは:発熱は本来「J:ジュール」
であるが分かりやすくするためにWで表示した)と、初
期状態時の電池特性L0とで囲まれた領域(図中、ハッ
チング領域)を動作許可領域Eとして設定する。
【0092】ステップS160の実行後、CPU82
は、図10のステップS170に処理を進め、切換器2
6へ制御信号を送って、負荷の接続を燃料電池スタック
10側へ切り換える処理を行なう(ステップS17
0)。
【0093】次いで、CPU82は、ステップS160
で算出された動作許可領域E内で定電力制御方式の運転
を行なうことができるか否かを判別する処理を行なう
(ステップS180)。この定電力制御の運転は、負荷
の程度により規定される一定電力でもって制御するもの
であり、これが前記動作許可領域E内で実行可能か否か
を次のようにして判別する。図13に示すように、ま
ず、ステップS160の実行後に得られた(図12に示
す)マップ上に、負荷の程度に応じて定まる一定電力の
ラインL2を書込み、このラインL2とステップS15
0で求めた現在の電池特性L1との交点Pを求める。こ
の交点Pが、定電力制御にて運転したい動作点であり、
この交点PがステップS160で設定した動作許可領域
E内に位置するか否かを判定する。こうして、現在の定
電圧制御方式の運転から定電力制御方式の運転に移行す
ることが可能か否かの判別がなされる。
【0094】ステップ180で、前記交点Pが動作許可
領域E内に存在する、即ち、定電力制御方式の運転に移
行することが可能であると判別されると、CPU82
は、図14に示すように、現在の動作点Qから新たな動
作点(上記交点P)へ一気に電流密度を高めて、定電力
運転を実行する(ステップS190)。その後、CPU
82は「リターン」に処理を進めて、この制御ルーチン
を一旦終了する。
【0095】一方、ステップS180で、交点Pが動作
許可領域E内に存在しない、即ち、定電力制御方式の運
転に移行することが不可能であると判別されると、燃料
電池スタック10を安全動作に切り換える処理を実行す
る(ステップS195)。この安全動作は、燃料電池ス
タック10の運転を停止させたり、改質器16からの燃
料電池ガス中のCO濃度を低減させるような制御をした
り、定電力運転に切り替えずに引き続き定電圧運転を行
なったり、負荷側の電力量を低下させるような制御を行
なったりなど、いくつかの方法が採用される。ステップ
S195の処理後、CPU82は「リターン」に処理を
進めて、この制御ルーチンを一旦終了する。
【0096】以上のように構成された第1実施例の燃料
電池発電システム1によれば、定電圧制御下で、触媒が
CO被毒を受けて、動作点がO点(初期状態時)からQ
点に変化した後、定電力制御の運転を行なうに際し、直
ちに動作点をP点に移して所定の電力を得ることができ
る。
【0097】従来の技術では、図15に示すように、動
作点をO点からQ点へ変化した後、定電力制御を運転さ
せると、電流を△iずつ変化させながら、最終的にP点
に到達して所定の電力を得ていた。このため、P点へ動
作点を移行するのに、多大な時間がかかり、その結果、
電池出力に制御遅れが生じた。これに対して、この実施
例の燃料電池発電システム1によれば、前述したように
直ちに動作点をP点に移して所定の電力を得ることがで
きることから、前述したような制御遅れが生じるような
こともない。
【0098】また、従来の技術では、電流の変化量△i
が大き過ぎれば、制御がオーバーシュートすることがあ
り、その結果、燃料電池スタック10が失速するような
自体を招くことがあった。これに対して、この燃料電池
発電システム1によれば、所望の動作点に高精度で移行
することができることから、そのような失速を起こすよ
うなこともない。
【0099】他の例として、従来の技術で、図16に示
すように、CO被毒を受けて、動作点がO点からK点へ
変化した場合について説明する。このときの触媒の被毒
率は、図14で示したよりはるかに大きいものであると
する。この後、定電力制御に運転が移ると、電流を△i
ずつ変化させていくが、所定の出力電力を得る前に、燃
料電池の最低電極電位の制限G1を下回ってしまうこと
から、動作点Mで安全動作が働いて、燃料電池は運転を
停止してしまう。
【0100】一方、この実施例の燃料電池発電システム
1では、図17に示すように、CO被毒を受けて、動作
点がO点からK点へ変化した後、初期の電池特性L0の
情報と現在の出力,即ちK点の値とから、現在の電池特
性L1を求めることができ、この時点で、所定の電力を
得るための動作点が、もはや現時点でG1ないしG3の
制限の範囲内には存在しないこと、即ち、定電力制御の
運転が不可能であることを知ることができる。従って、
こうした情報を基に即座に安全動作を働かすことがで
き、安全動作の制御が遅れるようなこともない。
【0101】なお、この実施例では、燃料電池スタック
10の運転が動作許可領域から外れる以前にその状態を
予測して安全動作を働かせているが、この際に、切換器
26を切り換えて、負荷を二次電池24に接続するよう
にすることが好ましい。この場合、負荷から見ると、電
気供給は途絶えることなく安定的に供給されることにな
る。従って、システム全体の制御性を向上することがで
きる。
【0102】前記実施例では、燃料電池の運転方式を定
電圧制御から定電力制御に切り換える場合の制御につい
て詳しく述べてきたが、こうしたことは、定電圧制御か
ら定電流制御に切り換える場合についても同様に適応す
ることができる。即ち、前記実施例と同様に、触媒が被
毒した状態での現在の電池特性L1を求めた上で、切り
換えようとしている定電流制御の電流値(動作点)を、
動作許可領域内におけるその現在の電池特性上にとるこ
とができるか否かを予め調べて、可能な場合に動作点を
一気に変更するようにする。こうした構成により、定電
圧制御から定電流制御へ切換える場合についても、制御
遅れや燃料電池の失速なしに、適正な運転制御を行なう
ことができる。
【0103】また、燃料電池の切換前の運転方式を前述
のように定電圧制御とするのではなく、他の制御、即ち
定電流制御や定電力制御にした場合について述べる。定
電流制御の方式で燃料電池スタック10を駆動している
ときに、燃料電池スタック10に触媒被毒が発生した場
合の電池特性は、作用の項で図3を用いて説明したよう
に、触媒被毒後の現在の電圧V1,電流I1(これは定
電流で低下)を検出し、この電圧V1と同じ電圧を初期
状態時の電池特性L0上で探す。この探した点の電流密
度と電流I1との比率Rを求めて、初期状態時の電池特
性L0上の各点をその比率Rで乗算することにより、現
在の電池特性L1を求める。
【0104】また、定電力制御の方式で燃料電池スタッ
ク10を駆動しているときに、燃料電池スタック10に
触媒被毒が発生した場合の電池特性は、作用の項で図4
を用いて説明したように、触媒被毒後の現在の電圧V
1,電流I1(これは定電力で低下)を検出し、この電
圧V1と同じ電圧を初期状態時の電池特性L0上で探
す。この探した点の電流密度と電流I1との比率Rを求
めて、初期状態時の電池特性L0上の各点をその比率R
で乗算することにより、現在の電池特性L1を求める。
【0105】こうして現在の電池特性L1を求めた上
で、前述したように、切り換えようとしている制御方式
での動作点を、動作許可領域内におけるその現在の電池
特性上にとることができるか否かを予め調べるようにす
る。こうした構成により、制御方式の切換時において、
制御遅れや燃料電池の失速なしに、適正な運転制御を行
なうことができる。
【0106】なお、前記実施例では、被毒状態検知手段
として、一酸化炭素センサ30により燃料ガス中のCO
濃度を検出し、そのCO濃度が所定濃度以上となったと
きに、触媒は被毒状態にあると判別検知していたが、こ
れに限るものではなく、一酸化炭素センサ30として、
他の構成のもの、例えば定電位電解式の一酸化炭素セン
サを用いた構成としてもよい。また、電極の燃料ガスの
流入側と流出側との温度差を検出し、その温度差から触
媒の被毒状態を推定することにより、触媒の被毒状態を
検出する構成としてもよい。
【0107】この発明の第2実施例について次に説明す
る。この第2実施例は、図18の概略構成図に示すよう
に、前記第1実施例に記載した燃料電池発電システム1
に、その燃料電池発電システム1から電気の供給を受け
る負荷システム201を加えた燃料電池システム全体に
ついてのものである。
【0108】負荷システム201は、燃料電池発電シス
テム1の出力に接続される負荷(ここでは、モータ)2
10と、この負荷210の動作を制御する負荷用電子制
御ユニット220とを備える。
【0109】負荷用電子制御ユニット220は、燃料電
池発電システム1側の電子制御ユニット(以下、燃料電
池用電子制御ユニットと呼ぶ)80と同様に、マイクロ
ンピュータを中心とした論理回路として構成され、CP
U222、ROM224、RAM226および入出力イ
ンターフェース228を備える。入出力インターフェー
ス228には、負荷210が電気的に接続されており、
負荷210に制御信号を送ることで、負荷210の動作
を制御することが可能となる。更に、入出力インターフ
ェース228には、燃料電池用電子制御ユニット80の
入出力インターフェース88が電気的に接続されてお
り、負荷用電子制御ユニット220と燃料電池用電子制
御ユニット80との間でデータのやり取りが可能となっ
ている。
【0110】両電子制御ユニット80,220間でどの
ようなデータのやり取りがなされて制御処理が実行され
ているかを、次に説明する。図19は、各電子制御ユニ
ット80,220のCPU82,222によって実行さ
れる両制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0111】図19に示すように、燃料電池用電子制御
ユニット80のCPU82では、処理が開始されると、
まず、第1実施例のステップS100〜S160(図
9)と同一の処理を実行する。次いで、ステップS15
0で算出した現在の電池特性データDT1と、ステップ
S160で算出した動作許可領域Eを示すデータDT2
とを、入出力インターフェース88から負荷用電子制御
ユニット220に出力する(ステップS300)。
【0112】これに対して負荷用電子制御ユニット22
0のCPU222では、燃料電池用電子制御ユニット8
0から送られた現在の電池特性データDT1と動作許可
領域Eを示すデータDT2とを入力し(ステップS40
0)、両データDT1,DT2からみて負荷210で規
定される消費電力は適正か否かを判別する(ステップS
410)。ステップS410の処理は、詳しくは、現在
の電池特性データDT1と動作許可領域Eを示すデータ
DTとから図12で示したマップを生成し、このマップ
上において次の処理を行なう。
【0113】即ち、図20に示すように、図12と同じ
マップ上に負荷210の程度に応じて求まる負荷210
の消費電力のラインL2を書込み、このラインL2と現
在の電池特性データDT1で示されるラインL1との交
点Pを求め、この交点Pが動作許可領域E内に存在する
か否かを調べる。ここで、交点Pが動作許可領域E内に
存在することが判ると、負荷210で規定される消費電
力は適正であると判別し、一方、交点Pが動作許可領域
Eの外に存在することが判ると(図中、交点P1の場
合)、その消費電力は不適性であると判別する。
【0114】ステップS410で負荷210の消費電力
が不適性であると判別されると、CPU222は、負荷
210の消費電力を現在の大きさ(例えば、図中、L
2′のライン)からラインL3で示される大きさまで低
下して、そのラインL3と現在の電池特性データDT1
で示されるラインL1との交点P2が動作許可領域E内
に含まれるようにする(ステップS420)。なお、こ
のときの交点P3は動作許可領域E内で最も電流が大き
くなる点となっている。
【0115】このステップS420の実行後、またはス
テップS410で負荷210の消費電力が適正であると
判別されると、処理をステップS430に進めて、燃料
電池用電子制御ユニット80に対して、負荷210の切
換「OK」である旨の信号を入出力インターフェース2
28から燃料電池用電子制御ユニット80に出力する。
【0116】燃料電池用電子制御ユニット80側では、
負荷用電子制御ユニット220側から切換え「OK」の
信号が送られてくるのを待って(ステップS310)、
続くステップS320に処理を進める。ステップS32
0では、切換器26へ制御信号を送って、負荷210の
接続を負荷用電子制御ユニット220側へ切換える処理
を行なうと共に(ステップS310)、触媒被毒後であ
る現在の動作点Qから新たな動作点Pへ一気に電流密度
を高めて、定電力運転を実行する(ステップS22
0)。なお、ここで言う動作点Pは、ステップS420
で負荷の消費電力低下の処理が実行されたときには、図
20における交点P2の位置である。その後、CPU8
2は「リターン」に処理を進めて、この制御ルーチンを
一旦終了する。
【0117】以上詳述したこの第2実施例では、燃料電
池発電システム側の電子制御ユニット80で算出した現
在の電池特性データDT1と動作許可領域Eを示すデー
タDT2とを負荷側の電子制御ユニット220に送るよ
うに構成されている。このため、負荷側の電子制御ユニ
ット220では、負荷の大きさをその動作許可領域Eを
逸脱しないように制御することができる。従って、燃料
電池発電システム側では、切り換えようとする動作点が
動作許可領域E内に含まれるか否かの判定をいちいち行
なう必要もなく、一気に運転制御方式を切り換えること
ができ、制御性に優れているといった効果を奏する。
【0118】この発明の第3実施例について説明する。
この第3実施例は、第2実施例と同様に、燃料電池発電
システム1と負荷システム201からなる燃料電池電池
システム全体についてのものであり、ハードウェアの構
成については第2実施例とほぼ同じものである。相違す
る点は、燃料電池用電子制御ユニット80のROM84
に後述する被毒解消法メニューMNが予め格納されてい
る点にある。また、ソフトウェアである燃料電池用電子
制御ユニット80で実行される制御ルーチンについても
第2実施例と相違する。以下、この制御ルーチンについ
て、図21ないし図22のフローチャートに沿って詳し
く説明する。なお、この制御ルーチンは、所定時間毎に
繰り返し実行されるものである。
【0119】図21に示すように、燃料電池用電子制御
ユニット80のCPU82では、処理が開始されると、
まず、第1実施例のステップS100〜S140(図
9)と同一の処理を実行する。次いで、ステップS14
0で取り込んだ電圧V1および電流I1と、RAM86
に予め格納された初期電池特性データDT0とから触媒
の被毒率Rを算出する処理を行なう(ステップS50
0)。詳しくは、この時点では、定電圧制御にて燃料電
池の運転がなされていることから、まず、初期電池特性
データDT0で定まる特性L0上において現在の電圧V
1に対応する電流値I0を求める。次いで、この電流値
I0と前記電流I1との比率Rを求めて、これを触媒の
被毒率とする。なお、このステップS500の具体的な
内容については、前述した第1実施例のステップS15
0の処理に従うものであり、ここでは詳しい説明につい
ては省略する。
【0120】ステップS500の実行後、CPU82
は、図22に示すステップS510に処理を進める。ス
テップS510では、ステップS500で求めた触媒の
被毒率Rが所定値R0以上であるか否かを判別する処理
を行なう。
【0121】この触媒の被毒率Rは、触媒を構成する白
金粒子のうち一酸化炭素によりその表面が被覆されたも
のの割合であるCO被覆率を示すものであり、この被毒
率Rの大きさにより、その被毒状態を定量的に知ること
ができる。そこで、ステップS510では、その被毒率
Rが所定値R0以上であるか否かを判別することで、触
媒が被毒状態であるか否かを高精度で判定することが可
能となる。
【0122】ステップ510で、被毒率Rが所定値R0
以上である、即ち、触媒が被毒状態にあると判別される
と、CPU82はステップS520に処理を進める。ス
テップS520では、CPU82は、切換器26へ制御
信号を送って、負荷210の接続を二次電池24側へ切
り換える処理を行なう。続いて、ステップS500で求
めた触媒の被毒率Rに基づいてROM84に格納された
被毒解消法メニューMNを検索して、その被毒率Rで定
まる所定の被毒対策を選定する(ステップS530)。
【0123】被毒解消法メニューMNの一例を図23に
示した。この図23に示すように、被毒解消法メニュー
MNとは、検索キー項目である触媒の被毒率RのA欄
と、被毒の解消手法を記したB欄とからなる表である。
ステップS520では、ステップS500で算出した被
毒率RをA欄に照らし合わせることにより、任意のB欄
を特定して、その内容を選択する。なお、B欄には、改
質器16の改質反応部の温度を上昇するという第1手法
と、改質器16の酸化反応部の温度を低下するという第
2手法と、および改質器16の酸化反応部への供給空気
量を増加するという第3手法とが記憶されている。な
お、これらの手法は順位が後ろほど、応答性の優れたも
のであり、対応する被毒率Rは大きなものとなってい
る。
【0124】被毒解消法メニューMNのA欄の内容とB
欄の内容とは次のような考えで決定されている。被毒率
Rが小さいときには、燃料電池が一酸化炭素被毒によっ
て失速してしまうまでの時間的な余裕があるため、制御
を始めてから効果がみられるまでの時間が長くてもよい
(むしろ、その制御により、システムのエネルギ効率が
下がったりするような副作用が少ない制御方法を選んで
実施することが望ましい)。一方、被毒率Rが大きいと
きには、燃料電池が一酸化炭素被毒によって失速してし
まうまでの時間的な余裕がないため、直ちに効果の出る
制御が必要である(その制御により、システムのエネル
ギ効率が下がったりするような副作用があったとして
も、とにかく速やかに効果のみられる制御方法を選んで
実施することが望ましい)。ただし、被毒解消法のメニ
ューは個々の燃料電池のシステム構成によって決定され
るため、個々の燃料電池のシステム構成に応じて予め被
毒解消法のメニューを決めておく必要がある。
【0125】ステップS530の実行後、CPU82
は、ステップS530で選定した被毒対策を実行する
(ステップS540)。これら対策を実行すると、改質
器16から燃料電池スタック10へ供給される改質ガス
中の一酸化炭素濃度が低減し、その結果、触媒の被毒が
回復する。その後、CPU82は、負荷210の接続状
態を示すフラグFに値1をセットした後、「リターン」
に処理を進めて、この制御ルーチンを一旦終了する。
【0126】一方、ステップS510で、触媒の被毒率
Rが所定値R0より小さい、即ち、触媒が被毒状態にな
いと判別されると、原則的には処理を「リターン」に進
めて、この制御ルーチンを一旦終了する。なお、実際
は、ステップS510で否定判別されると、前述したフ
ラグFが値1であるか否かを判別し(ステップS56
0)、フラグFが値1であると判別されると、ステップ
S520で二次電池24側へ切り換えた負荷の接続状態
を、燃料電池スタック10側へ戻して(ステップS57
0)、フラグFを値0にクリアする(ステップS58
0)。即ち、ステップS540被毒対策を施した結果、
触媒の被毒率Rが所定値R0より小さくなった場合に
は、燃料電池スタック10のCO被毒は回復したとし
て、負荷210を燃料電池スタック10側に切り換えて
いる。
【0127】以上詳述した本第3実施例では、触媒の被
毒状態時に、燃料電池スタック10の出力信号を検出す
ることにより、触媒の被毒状態を被毒率Rとして定量的
に求めることができる。さらに、この求めた被毒率Rが
所定値R0以上となると、負荷への接続を燃料電池スタ
ック10から二次電池24に切り換えるとともに、触媒
の被毒対策を実行することにより、負荷への安定的な電
源の供給と触媒の被毒状態の解消とを図ることができ
る。
【0128】さらにこの実施例では、複数の被毒の解消
手法から一つのものを、その求めた触媒の被毒率Rに応
じて選定する構成としていることから、触媒の被毒の程
度に応じて適切なものを選択することができる。触媒の
被毒率Rが低い場合には、応答性が比較的劣る被毒解消
手段を選択し、被毒率Rが高い場合には、応答性に優れ
た被毒解消手段を選択することができる。応答性が劣る
被毒解消手段は、一般に燃料電池スタック10へのダメ
ージが少ないことから、被毒率Rに応じて被毒解消手段
を選択することで、燃料電池スタック10へのダメージ
を軽減しつつ、被毒状態の解消を図ることができる。
【0129】なお、前記第3実施例では、触媒の被毒率
Rを定量的に計算して、その被毒率Rが所定値以上とな
ったときに、負荷への接続を二次電池24側に切り換え
るとともに、触媒の被毒の解消を図っていたが、これに
替えて、計算した触媒の被毒率Rを次のように利用して
もよい。被毒率Rと比例関係を持つ特性(例えば、前述
した電流−電圧特性、電流−電力特性)について、予め
実験により測定しておき(例えば、被毒率10%,20
%,30%,40%,50%といったときにこうした特
性になるという結果を予め測定しておく)、それをRO
Mに記憶しておく。そして、上記計算により求めた被毒
率Rに応じてそのROMの記憶内容から上記特性の適切
なものを選定するようにする。こうした構成により、被
毒率Rが判れば、とりうる特性を予想することができる
ことから、制御の応答性を高めることができる。
【0130】被毒率Rに比例する制御特性の一例とし
て、固体高分子型燃料電池からの発熱を例に揚げて以下
詳述する。図24に示すように固体高分子型燃料電池か
らの発熱量は、同じ電流密度ならば、被毒率Rが大きく
なるほど大きくなる。従来は、燃料電池を制御しなが
ら、燃料電池の本体の温度や、燃料電池の冷却水温度
や、燃料電池のガス(アノードとカソード)出口温度等
を測定し、これらの測定結果に基づき、燃料電池の冷却
量を調整(冷却水の循環量)して、燃料電池の温度が一
定になるようにしていた。
【0131】こうした制御装置の考え方の根本は、温度
が変化したという事実を知ってから初めて制御するとい
うことであり、決して温度の変化を予見して制御してい
るわけではない。従って、実際に燃料電池の温度が変化
してから、それを検知し、温度を戻す制御を行ない、実
際に燃料電池の温度が元に戻るまでには、時間がかかっ
た。その間は、燃料電池は所定の温度から外れた状態、
いわば、不安定動作をしていることになる。無論、こう
した制御遅れを少しでも短くするための制御方法はいろ
いろあろうが、制御方法を工夫するほど、制御の内容
(ハードウェアもソフトウェアも共に)は複雑になり、
結果として、燃料電池システムの製造コストを押し上げ
ることになるのである。
【0132】これに対して、本発明の例によれば、被毒
率Rがわかれば、各動作点における発熱量がわかる。従
って、ある被毒率Rの時、動作点を変えると、新しい動
作点における燃料電池の発熱量を予め計算できるのであ
る。例えば、電流密度を増加させるときに、予め燃料電
池からの発熱の増加量がわかるので、冷却水量の循環量
を増やしておくこともできる。従って、先に述べた制御
遅れを、事実上問題ないレベルにまで低減することがで
きる効果を奏する。
【0133】前述した第1ないし第3実施例では、燃料
電池スタック10のアノード42の触媒として、白金を
使用する場合について述べたが、この他にもアノード側
電極触媒として、第1成分である白金と、第2成分であ
るルテニウム、ニッケル、コバルト、バナジウム、パラ
ジウム、インジウム等の中の1種類または2種類以上の
成分との合金から成る合金触媒を使用する構成としても
よい。この場合にも、第1ないし第3実施例と同様な効
果を奏することができる。
【0134】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこうした実施例に何等限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々な
る態様で実施し得ることは勿論である。
【0135】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の請求項1記
載の燃料電池の駆動装置では、触媒の一酸化炭素被毒に
よって燃料電池の出力が低下したとき、ある一点の電
流、電圧が決まれば、その被毒状態での燃料電池の電池
特性(電流−電圧特性)を推定することができる。この
ため、予め電池特性がわかった上で、動作特性を予見し
ながら運転制御を行なえば、所望の電池特性に即座に移
行することができる。従って、制御遅れや燃料電池の失
速なしに適正な運転制御を行なうことができる。
【0136】特に、請求項2記載の燃料電池の駆動装置
では、燃料電池の動作できる範囲を燃料電池の動作を許
可する運転領域から予め知ることができることから、制
御精度を向上することができる。
【0137】請求項3記載の燃料電池の駆動装置では、
従来の技術のように、動作点を徐々に変化させて最終的
に所望の位置に移動させるのではなく、運転制御方式を
切り換えて動作点を一気に移動することができることか
ら、制御速度の向上を図ることができる。
【0138】請求項4記載の燃料電池の駆動装置では、
被毒状態時における電池特性と動作許可領域設定手段で
設定された運転領域とを、外部の負荷用の制御手段に送
ることにより、負荷用の制御手段ではその運転領域を逸
脱しないように負荷の制御を行なうことができる。この
ため、この燃料電池の駆動装置では、動作点が運転領域
を逸脱しないかの判定をいちいち行なう必要もなく、制
御性に優れている。
【0139】請求項5記載の燃料電池の駆動装置では、
動作点の移動が不可能なときに、燃料電池の動作を安全
側に制御する。このため、動作点を徐々に変化させてや
おら動作を安全側に制御するのではなく、素早く安全側
へ制御を移すことができ、安全性に優れている。
【0140】請求項6記載の燃料電池の触媒被毒率検出
装置では、触媒の被毒状態時に、燃料電池の出力信号さ
え検出すれば、触媒の被毒率を定量的に求めることがで
きる。
【0141】請求項7記載の燃料電池システムでは、燃
料電池が動作許可領域内から外れる恐れがある場合に、
実際に外れる前から負荷を補助用電源に切り換えること
ができ、負荷への電源供給を安定的に行なうことでき
る。また、燃料電池の触媒の被毒対策が施されること
で、触媒被毒の解消を図ることができる。
【0142】請求項8記載の燃料電池システムでは、触
媒の被毒率が低いような場合には、応答性が比較的劣る
被毒解消手段で、被毒率が高いような場合には、応答性
に優れた被毒解消手段でというように、最適な被毒解消
手段を採用することができる。応答性が劣る被毒解消手
段は、一般に燃料電池へのダメージが少ないことから、
被毒率に応じて被毒解消手段を選択することで、燃料電
池へのダメージを軽減しつつ、被毒状態の解消を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電池特性上の制限を示すグラフである。
【図2】定電圧制御の運転下で燃料電池に触媒被毒が発
生した場合に、その被毒時の電池特性がどのように求め
られるかを示すグラフである。
【図3】定電流制御の運転下で燃料電池に触媒被毒が発
生した場合に、その被毒時の電池特性がどのように求め
られるかを示すグラフである。
【図4】定電力制御の運転下で燃料電池に触媒被毒が発
生した場合に、その被毒時の電池特性がどのように求め
られるかを示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施例としての燃料電池発電シス
テム1の概略構成図である。
【図6】燃料電池スタック10のセル構造を示す構造図
である。
【図7】一酸化炭素センサ30の縦断面図である。
【図8】ROM84に記憶される初期電池特性データD
T0の一例を示すグラフである。
【図9】電子制御ユニット80のCPU82により実行
される制御ルーチンの前半部分を示すフローチャートで
ある。
【図10】その制御ルーチンの後半部分を示すフローチ
ャートである。
【図11】触媒被毒後の現在の電池特性L1がどのよう
に求められるかを示すグラフである。
【図12】動作許可領域Eを示すグラフである。
【図13】現在の電池特性L1と一定電力のラインL2
との交点Pを動作許可領域Eに加えた状態を示すグラフ
である。
【図14】この実施例で動作点がどのように移動してい
くかを示すグラフである。
【図15】従来の技術における制御の問題点を示すグラ
フである。
【図16】同じく従来の技術における制御の問題点を示
すグラフである。
【図17】第1実施例の効果を示すグラフである。
【図18】本発明の第2実施例としての燃料電池システ
ムの概略構成図である。
【図19】二つの電子制御ユニット80,220のCP
U82,222によって実行される両制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図20】負荷側の消費電力を制御することにより、現
在の電池特性データDT1で示されるラインL1との交
点P2を動作許可領域E内にどのように制御するかを示
すグラフである。
【図21】第3実施例における電子制御ユニットのCP
Uにより実行される制御ルーチンの前半部分を示すフロ
ーチャートである。
【図22】その制御ルーチンの後半部分を示すフローチ
ャートである。
【図23】ROMに記憶される被毒解消法メニューMN
の一例を示す説明図である。
【図24】触媒の被毒率Rに比例する制御特性の一例と
しての固体高分子型燃料電池の発熱量を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1…燃料電池発電システム 10…燃料電池スタック 10a…アノード側ガス入口 10b…アノード側ガス出口 12…メタノールタンク 14…水タンク 16…改質器 18…燃料ガス供給通路 18a…分岐口 20…燃料ガス排出通路 22…インバータ 24…二次電池 26…切換器 30…一酸化炭素センサ 32…出力検出回路 41…電解質膜 42…アノード 43…カソード 44…セパレータ 44p…流路溝 45…セパレータ 45p…流路溝 46…集電板 47…集電板 50…電解質膜 52…電極 54…電極 56…金属板 58…金属板 60…ホルダ 60T…検出端子 60a,62a…フランジ 60b,62b…ネジ 62…ホルダ 62T…検出端子 64…絶縁性部材 64a,64b…ネジ 66…Oリング 68…ガス流入通路 70…電気回路 72…電圧計 74…抵抗器 80…燃料電池用電子制御ユニット 82…CPU 84…ROM 86…RAM 88…入出力インターフェース 201…負荷システム 210…負荷 220…負荷用電子制御ユニット 222…CPU 224…ROM 226…RAM 228…入出力インターフェース DT0…初期電池特性データ DT1…現在の電池特性データ L0…初期電池特性 L1…現在の初期電池特性 MN…被毒解消法メニュー R…触媒の被毒率

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒を担持した電極に反応ガスを供給し
    て、その反応ガスの化学反応から起電力を得る燃料電池
    の駆動装置において、 前記燃料電池の初期状態時における電池特性を予め記憶
    する初期電池特性記憶手段と、 前記触媒が被毒状態にあることを検知する被毒状態検知
    手段と、 該被毒状態検知手段により前記触媒が被毒状態にあるこ
    とが検知されたとき、前記燃料電池の出力信号を検出す
    る出力信号検出手段と、 該検出された燃料電池の出力信号と前記初期電池特性記
    憶手段により記憶された前記電池特性とから、前記触媒
    の被毒率に応じた比率を算出し、該比率と前記電池特性
    とから、前記燃料電池の被毒状態時における電池特性を
    求める電池特性演算手段とを備えたことを特徴とする燃
    料電池の駆動装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燃料電池の駆動装置であ
    って、 前記燃料電池の運転を制限する種々の条件から前記燃料
    電池の動作を許可する運転領域を設定する動作許可領域
    設定手段を備えた燃料電池の駆動装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の燃料電池の駆動装置であ
    って、 前記電池特性演算手段で算出された前記被毒状態時にお
    ける電池特性を、前記動作許可領域設定手段で設定され
    た運転領域で限定して、当該限定された電池特性上に、
    制御の動作点を移動可能か否かを判定する判定手段と、 該判定手段で移動が可能と判定されたときに、前記動作
    点の移動を実現する燃料電池の運転の制御方式の切換を
    許可する制御方式切換許可手段とを備えた燃料電池の駆
    動装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の燃料電池の駆動装置であ
    って、 前記電池特性演算手段で算出された前記被毒状態時にお
    ける電池特性と、前記動作許可領域設定手段で設定され
    た運転領域とを、外部に設けられた負荷用の制御手段に
    送る情報送信手段を備えた燃料電池の駆動装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の燃料電池の駆動装置であ
    って、 前記判定手段で動作点の移動が不可能と判定されたとき
    に、前記燃料電池の動作を安全側に制御する安全制御手
    段を備えた燃料電池の駆動装置。
  6. 【請求項6】 触媒を担持した電極に反応ガスを供給し
    て、その反応ガスの化学反応から起電力を得る燃料電池
    と、 該燃料電池の初期状態時における電池特性を予め記憶す
    る初期電池特性記憶手段と、 前記触媒が被毒状態にあることを検知する被毒状態検知
    手段と、 該被毒状態検知手段により前記触媒が被毒状態にあるこ
    とが検出されたとき、前記燃料電池の出力信号を検出す
    る出力信号検出手段と、 該検出された燃料電池の出力信号と前記初期電池特性記
    憶手段により記憶された前記電池特性とから、前記触媒
    の被毒率を求める被毒率演算手段とを備えた燃料電池の
    触媒被毒率検出装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の燃料電池の触媒被毒率検
    出装置を備える燃料電池システムであって、 前記燃料電池に接続される負荷と、 補助用電源と、 前記触媒被毒率検出装置により求めた触媒の被毒率が、
    予め定めた所定値以上であるか否かを判定する被毒率判
    定手段と、 該被毒率判定手段により触媒の被毒率が所定値以上であ
    ると判定されたときに、前記負荷への接続を前記燃料電
    池から前記補助用電源に切り換えるとともに、前記触媒
    の被毒対策を実行する被毒時制御手段とを備えた燃料電
    池システム。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の燃料電池システムであっ
    て、 前記被毒時制御手段は、 互いに異なる手法で前記触媒の被毒を解消する複数の被
    毒解消手段と、 前記触媒被毒率検出装置により求めた触媒の被毒率に応
    じて前記複数の被毒解消手段から任意のものを選択し
    て、該選択した被毒解消手段を駆動させる選択駆動手段
    とを備えた燃料電池システム。
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