JP5347253B2 - 燃料電池の起動方法、燃料電池の起動装置およびその起動装置を搭載した車両 - Google Patents

燃料電池の起動方法、燃料電池の起動装置およびその起動装置を搭載した車両 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池の起動方法、燃料電池の起動装置およびその起動装置を搭載した車両に関し、さらに詳しくは、電極触媒として白金が用いられている燃料電池の起動方法、その燃料電池の起動装置およびその起動装置を搭載した車両に関にする。
近年、環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、燃料電池が注目されている。特に、イオン導電性の高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池(以下、「PEFC」と称する)は、100℃以下の低い温度で作動可能なことから、車両用駆動源や定置型電源として期待され、実用化に向けて開発が進められている。PEFCが車両用駆動源や定置型電源として実用化されるためには、長期間に渡る耐久性を備えることが必要である。
PEFCの構成は、一般的には、膜―電極接合体(以下、「MEA」と称する)をセパレータで狭持した構造となっている。MEAは、一般的には、ガス拡散層、カソード触媒層、固体高分子電解質層、アノード触媒層が順に積層した構造を有する。電池反応は、少なくとも触媒、触媒を担持する担体、およびイオン導電性高分子からなる触媒層において進行する。このため、触媒層の劣化を抑制することは、PEFCの耐久性を高める上で重要な課題となっている。
触媒の劣化を抑制する従来技術は、下記特許文献1に記載されている。特許文献1には、カーボンブラックに担持した白金合金触媒を熱処理した後に、一酸化炭素と接触させ、これを不活性ガス雰囲気下で再度熱処理する触媒の製造方法が記載されている。すなわち、白金−白金原子間距離を小さくかつ安定化させることにより、触媒活性および耐久性に優れた触媒を製造する方法が提案されている。
特開2001−52718号公報
しかし、特許文献1に記載された技術によっても、燃料電池の起動直後における白金の溶出を抑制することはできない。
すなわち、MAEを構成するカソード触媒層やアノード触媒層は、電位サイクルの変動にさらされると、触媒の表層が酸化されたり還元されたりする。酸化の過程ではプレースエクスチェンジという現象が発生し、酸素が触媒の表層の最表面を超えて触媒の表層の中まで侵入する。酸素の侵入によって触媒の表層の構造は変化し、触媒の表層の構造が不安定になるので、電位が大きく変動する燃料電池の起動直後に、特にカソード触媒層の白金が溶出してしまう。
本発明は、燃料電池の起動直後に溶出した白金を再析出させることによって、結果的に、燃料電池の起動直後における白金の溶出を抑制することができる、燃料電池の起動方法および燃料電池の起動装置を提供し、燃料電池の起動直後における白金の溶出を抑制した耐久性の有る、燃料電池の起動装置を備えた車両の提供を目的とする。
本発明に係る燃料電池の起動方法は、電極触媒として白金が用いられている燃料電池の起動方法であって、まず、前記燃料電池のアノードガス流路にアノードガスを供給し、次に、前記アノードガス流路がアノードガスで充満された後直ちに前記燃料電池のカソード電位を一定時間以上0.6V以下に維持する。アノードガス流路がアノードガスで充満されたか否かの判断は、燃料電池のアノードとカソードとの間のセル電圧が0.9V以上になっているか否かによって行なう。
このように、燃料電池の起動直後に一定時間燃料電池のカソード電位を0.6V以下に維持することによって、燃料電池の起動直後における白金の溶出を抑制することができる。
本発明に係る燃料電池の起動装置は、電極触媒として白金が用いられている燃料電池の起動装置であって、アノードガス供給手段とアノードガス充満検出手段と電位維持手段とを備えている。
前記アノードガス供給手段は、前記燃料電池のアノードガス流路にアノードガスを供給する。前記アノードガス充満検出手段は、前記アノードガス流路がアノードガスで充満されたことを検出する。前記電位維持手段は、前記アノードガス流路がアノードガスで充満された後直ちに前記燃料電池のカソード電位を一定時間以上0.6V以下に維持する。前記アノードガス充満検出手段は、前記燃料電池のアノードとカソードとの間のセル電圧を検出するセル電圧検出手段によって前記セル電圧が0.9V以上になっているか否かによって前記アノードガス流路がアノードガスで充満されたことを検出する。
このような構成により燃料電池の起動直後における白金の溶出を抑制することができる。
本発明に係る燃料電池の起動装置を搭載した車両は、上述した、アノードガス供給手段とアノードガス充満検出手段と電位維持手段とを備えている。
このため、燃料電池の起動直後における白金の溶出を抑制できることから、耐久性の有る燃料電池を備えた車両の提供が可能となる。
本発明に係る燃料電池の起動方法によれば、燃料電池の起動直後における白金の溶出を抑制できるため、燃料電池の耐久性が向上する。
本発明に係る燃料電池の起動装置によれば、燃料電池の起動直後における白金の溶出を抑制できるため、燃料電池の耐久性が向上する。
本発明に係る燃料電池の起動装置を搭載した車両によれば、耐久性の有る燃料電池を備えていることから、車両の信頼性が向上する。
以下に、本発明に係る燃料電池の起動方法、燃料電池の起動装置およびその起動装置を搭載した車両について図面を参照しながら詳細に説明する。
これらの発明の説明をする前に、本発明の理解を容易にするために、燃料電池の基本的な原理と燃料電池の起動時に起こる白金溶出現象について説明しておく。
[燃料電池の基本的な原理]
図1は燃料電池スタックの全体構成を示す斜視図である。図2は燃料電池スタックのセル構造を示す要部拡大断面図である。なお、本明細書では、燃料電池スタックについて説明するが、燃料電池スタックは燃料電池と等価である。
燃料電池スタック1は図1に示すように構成されている。アノードガス(本明細書では水素)とカソードガス(本明細書では酸素)の反応により起電力を生じる単位電池セル(以下、単に「セル」と称する)2を所定数積層して積層体3を形成する。その積層体3の両端に集電板4、絶縁板5およびエンドプレート6を配置する。その積層体3の内部に貫通した貫通孔(図示は省略する)にタイロッド7を挿入し、そのタイロッド7の端部にナット(図示は省略する)を螺合させる。
この燃料電池スタック1においては、一方のエンドプレート6に、アノードガス供給口8、アノードガス排出口9、カソードガス供給口10、カソードガス排出口11、媒体供給口12および媒体排出口13を形成している。アノードガス、カソードガスおよび液状媒体(具体的には冷却水又は温水)はそれぞれ各セル2のセパレータ(図示は省略する)に形成された流路溝を流通する。
アノードガスは、アノードガス供給口8より供給されてセパレータに形成されたアノードガス供給用の流路溝を流れ、アノードガス排出口9より排出される。カソードガスは、カソードガス供給口10より供給されてセパレータに形成されたカソードガス供給用の流路溝を流れ、カソードガス排出口11より排出される。液状媒体は、媒体供給口12より供給されてセパレータに形成された媒体供給用の流路溝を流れ、媒体排出口13より排出される。
セル2は、図2に示すように、膜電極接合体(以下、MEA(membrane electrode assembly)とも称する。)14と、このMEA14の両面にそれぞれ配置されるセパレータ15とから構成される。以下、MEA14のアノード側に配置されるセパレータ15を、アノードセパレータ15Aと称し、カソード側に配置されるセパレータ15をカソードセパレータ15Bと称する。
MEA14は、アノードガス、例えば水素イオンを通す高分子電解質膜である固体高分子電解質膜141と、アノード触媒層142Aとガス拡散層143Aからなるアノード電極144Aと、電極触媒として白金が用いられるカソード触媒層142Bとガス拡散層143Bからなるカソード電極144Bとからなる。MEA14は、アノード電極144Aとカソード電極144Bによって、固体高分子電解質膜141をその両側から挟み込んだ積層構造とされている。
セパレータ15は、板厚の薄い導電性金属板を金型で所定形状に成形することにより形成される。セパレータ15は、図に示すように、発電に寄与するアクティブ領域(MEA14と接する中央部分の領域)に、凸条部16と凹条部17を交互に形成した凹凸形状(いわゆるコルゲート形状)を有している。
MEA14のアノード電極144A側に接して配置されるアノードセパレータ15Aの凸部16Aと凹部17Aは、MEA14との間にアノードガス(水素;H2)を流通させる流路溝となりアノードガス流路18を形成する。一方、MEA14のカソード電極144B側に接して配置されるカソードセパレータ15Bの凸部16Bと凹部17Bは、MEA14との間にカソードガス(酸素;O2)を流通させる流路溝となりカソードガス流路19を形成する。
アノードガス流路18に水素を、カソードガス流路19に酸素を、それぞれ流通させると、水素はアノード触媒層142Aの触媒作用で水素イオンに変わり電子を放出する。電子を放出した水素イオンは固体高分子電解質膜141を通過する。カソード触媒層142Bでは固体高分子電解質膜141を通過してきた水素と外部回路(図示せず)を経由してきた電子が酸素と反応して水を生成する。この作用によってアノード電極144Aがマイナスに、カソード電極144Bがプラスになり、図2に示すように、アノード電極144Aとカソード電極144Bとの間で直流電圧が発生する。
本明細書では、アノード電極144Aとカソード電極144Bとの間に現れる電圧(すなわちアノード電極の電位に対するカソード電極の電位)をセル電圧と称する。セル電圧はセル電圧検知手段として機能するセル電圧計20によって検出できる。セル電圧は、燃料電池スタック1を構成する全てのセルから検出するようにしても良いし、燃料電池スタック1を構成するセルの内の複数の代表的なセルのみから検出するようにしても良い。
[燃料電池の起動時に起こる白金溶出現象]
図3は起動前における燃料電池スタックのアノードガス流路とカソードガス流路のガスの充満状態を示した図である。図4は起動時における燃料電池スタックのアノードガス流路とカソードガス流路のガスの充満状態を示した図である。図5は起動前後の燃料電池スタックのセル電圧の変動状態を示すグラフである。
図2では、アノードガス流路とカソードガス流路とが交差しているタイプの燃料電池スタックについて説明したが、燃料電池スタックの起動前後のガスの充満状態の説明を容易にするために、図3および図4ではアノードガス流路とカソードガス流路とが平行して設けられているタイプの燃料電池スタックを例示して燃料電池の起動時に起こる白金溶出現象を説明する。
燃料電池スタック1(図1参照)を起動する前は、MEA14とカソードセパレータ15Bとで形成されるカソードガス流路19と、MEA14とアノードセパレータ15Aとで形成されるアノードガス流路18とは、図3に示すように空気で満たされている。カソードガス流路19とアノードガス流路18との両方の流路が空気(空気/空気)で充満されているときには、図5に示したように、セル電圧は0.1Vにも満たない電圧である。MEA14に存在しているカソード触媒層142B内の触媒(白金)は、セル電圧が0.7V以上になると溶出が著しくなるといわれている。したがって、カソードガス流路19とアノードガス流路18との両方の流路が空気/空気で充満されているときには、白金の溶出は生じない。
次に、燃料電池スタック1を起動した直後から、カソードガス流路19にはカソードガス(空気)が供給され、アノードガス流路18にはアノードガス(水素)が供給される。アノードガス流路18内では、水素の供給に伴って、図4に示したように、アノードガス流路18内に充満していた空気が徐々に水素に置き換わる過程が生じる。つまり、水素と空気の界面(水素/空気フロント)が、アノードガス流路18内に充満していた空気が完全に水素に置き換えられるまで、アノードガス流路18の上流側から下流側まで移動するという過程が生じる。
燃料電池スタック1を起動した直後、MEA14は、カソードガス流路19とアノードガス流路18の両方の流路のガスの分布によって二つの領域に分かれる。すなわち、カソードガス流路19には空気が存在しアノードガス流路18には水素が存在する領域Aと、カソードガス流路19とアノードガス流路18の両方の流路に空気が存在する領域Bの二つの領域である。
領域Aは、カソードガス流路19に空気がアノードガス流路18には水素が存在しているので、両方の流路は水素と空気(水素/空気)が充満されている状態である。領域Aでは、図4に示したような反応が行なわれ、図5に示したように、領域Aでは約1Vの起電力が発生する。一方、領域Bは、カソードガス流路19とアノードガス流路18との両方の流路には空気が存在しているので、両方の流路は空気(空気/空気)で充満されている状態である。領域Bでは、図4に示したような反応が行なわれ、上記のように、0.1Vにも満たない起電力が発生する。
領域Aの起電力(約1V)と領域Bの起電力(0.1V未満)との電位差によって、図4に示すように、領域Aと領域Bとの間でMEA14内に内部循環電流が発生する。
領域Aでは、図5に示したように、カソード側で酸素が還元され、アノード側で水素が酸化される。領域Bでは、アノード側で酸素の還元が行なわれる一方、カソード側で水の分解が行なわれ(水電解)、炭素が酸化され(カーボン腐食)、白金が酸化され(白金酸化)、白金の溶出が行なわれる(溶出反応)。領域Bのカソード側の白金酸化はすばやく進行するため、固体高分子電解質膜141とカソード触媒層142Bとの界面の電位は必然的に高くなる。また、燃料電池スタック1を起動した直後は、数秒程度で水素/空気フロントがアノードガス流路18を通過するので、白金の表面がまだ酸化に対して十分に防備されていない状態である。
以上のような理由から、燃料電池の起動時には、カソードガス流路19の水素/空気フロントの下流側に位置するカソード触媒層142Bの白金が瞬間的に1V以上の電位にさらされ、カソード触媒層142B近傍の白金イオン濃度が非常に高くなり、白金の溶出が助長される。
[燃料電池の起動時に起こる白金溶出現象の解消]
上記のような理由で燃料電池の起動時に白金溶出現象が生じる。本発明では、燃料電池の起動時に起こる白金溶出現象を解消するために、再析出操作をしている。再析出操作は、カソードから溶出した白金を、セルの過電圧を大きくすることによって再析出させ、白金溶出の進行を防止するために行う。過電圧とは電極の電位と白金溶出/析出の平衡電位の差をいい、電圧を下げる要因となる抵抗の総称を言う。過電圧は分極を大きくすることにより大きくすることができる。再析出操作は、具体的には、アノードガス流路がアノードガスで充満された後燃料電池のカソード電位を一定時間以上0.6V以下に維持することによって行っている。図5に示すように、燃料電池の起動前後のセル電圧は、短時間の間に0.1V以下の電圧から1V程度の電圧まで不規則かつ曲線的に変化する。本発明では、アノードガス流路がアノードガスで充満されたことを、セル電圧が0.9Vを超えたか否かによって判断している。下記に記述する本発明の実施形態を実施することによって、起動直後に溶出した白金を再析出させ、燃料電池の起動時における白金溶出耐性を向上させている。
なお、セル電圧とカソード電位は次のような関係にある。
セル電圧Vcell=カソード電位Ec−アノード電位Ea−(電流抵抗i×オーム抵抗R)
カソード電位Ec=カソード自然電位Ec(i=0)−カソード側の反応過電圧ηF−カソード側の拡散過電圧ηm
ここで、カソード自然電圧とは電流が流れていないときの電位である。カソード側の反応過電圧は空気供給量SR(stoichiometric ratio)が小さいほど、電流密度が大きいほど大きくなる。カソード側の拡散過電圧はSRが小さいほど、電流密度が大きいほど大きくなる。
一般的に、アノード側の過電圧は無視できるほど小さいので、セル電圧をオーム損失i×Rで補正すると、カソード電位を知ることができる。燃料電池スタック1のオーム抵抗はわかっているので、燃料電池スタック1から流れる電流を知ることによって、セル電圧から正確なカソード電位を知ることができる。
以下に、第1実施形態から第4実施形態に分けて、本発明に係る燃料電池の起動方法、燃料電池の起動装置およびその起動装置を搭載した車両について具体的に説明する。
[第1実施形態]
図6は本発明の第1実施形態に係る燃料電池の起動装置の概略構成図である。また、図7は図6に示した燃料電池の起動装置の動作フローチャートである。なお、この動作フローチャートは、本発明に係る燃料電池の起動方法の手順に相当するものである。
本実施形態に係る燃料電池の起動装置は、電極触媒として白金が用いられている燃料電池に好適な起動装置であって、図6に示すように、燃料電池スタック1、セル電圧計20、水素流量調整器22、酸素流量調整器24、アノードガス充満検出部26、電位維持部28、スイッチ30及び二次電池又はキャパシター32を備えている。
燃料電池スタック1は、アノードガス(水素)とカソードガス(酸素)との供給によって直流電力を発生し、発生した直流電力を車両負荷に供給するものである。
セル電圧計20は、セル電圧検出手段として機能するものであって、燃料電池スタック1を構成するセルのアノード電極とカソード電極との間の電圧であるセル電圧を検出するものである。
水素流量調整器22は、水素タンク34から燃料電池スタック1に供給される水素の流量を調整するものであり、その流量は、燃料電池スタック1の負荷に応じ図示されていない制御装置によって制御される。なお、燃料電池スタック1から出力される未使用の水素はコンプレッサ35によって圧縮されて水素タンク34に戻される。
酸素流量調整器24は、コンプレッサ36から燃料電池スタック1に供給される酸素の流量を調整するものであり、その流量は、図示されていない制御装置によって制御される。なお、燃料電池スタック1から出力される酸素は大気中に排出される。
水素タンク34と水素流量調整器22は、燃料電池スタック1のアノードガス流路に水素を供給するアノードガス供給手段として機能する。
アノードガス充満検出部26は、燃料電池スタック1のアノードガス流路が水素で充満されたか否かを検出する。燃料電池スタック1のアノードガス流路が水素で充満されたか否かは、アノードガス充満検出部26に入力されるセル電圧が0.9V以上になっているか否かによって検出する。0.9Vの電圧をアノードガス流路が水素で充満されたか否かを判断する電圧としたのは次のような理由による。図5に示したように、0.9Vに満たない電圧では、アノードガス流路に水素と酸素が混在している場合が考えられる。水素と酸素が混在している状態で燃料電池スタック1から大電流を取り出すと、アノードカーボンが酸化される恐れがあるからである。
したがって、アノードガス充満検出部26に入力されるセル電圧が0.9V以上になっていれば、アノードガス流路が水素で充満されたと判断し、セル電圧が0.9Vに達していなければ、アノードガス流路はまだ水素で充満されていないと判断する。
アノードガス充満検出部26とセル電圧計20は、アノードガス充満検出手段として機能する。
電位維持部28は、アノードガス充満検出部26によってアノードガス流路がアノードガスで充満されたことが検出された後に、燃料電池スタック1のカソード電位を数秒間にわたって0.6V以下に維持するための制御を行なうものである。
スイッチ30は、電位維持部28によってその開閉が制御され、燃料電池スタック1を二次電池又はキャパシター32に接続し、燃料電池スタック1に負荷を与え、燃料電池スタック1のカソード側に過電圧を生じさせるものである。ここで、過電圧とは、燃料電池スタック1に負荷をかけたときに電圧を下げる要因となる抵抗の総称を言う。
電位維持部28、スイッチ30、二次電池又はキャパシター32は、電位維持手段として機能し、二次電池又はキャパシター32は、燃料電池スタック1のカソード側の過電圧を数秒以上にわたって増加させる過電圧増加手段として機能する。
次に、図7の動作フローチャートに基づいて、図6に示した燃料電池の起動装置の動作を説明する。この動作フローチャートの処理は、燃料電池の起動指令を図示しない制御装置が入力したときから開始される。
まず、燃料電池の起動指令が出されると、燃料電池スタック1にアノードガス(水素)とカソードガス(酸素)を供給する。具体的には、水素タンク34から燃料電池スタック1のアノードガス流路に水素流量調整器22を介して水素が供給される。同時に、コンプレッサ36から燃料電池スタック1のカソード流路に酸素流量調整器24を介して酸素が供給される(S1)。
次に、アノードガス充満検出部26は、燃料電池スタック1のアノードとカソードとの間の電圧であるセル電圧を検出する(S2)。
アノードガス充満検出部26は、アノードガス流路がアノードガスで充満されたか否かを判断するために、アノードガス充満検出部26に入力されるセル電圧が0.9V以上であるか否かを判断する(S3)。セル電圧が0.9Vに達していなければ(S3:NO)、そのままセル電圧を入力し続け、セル電圧が0.9V以上になったら(S3:YES)、電位維持部28に、アノードガス流路がアノードガスで充満された旨を知らせる信号を出力する。
電位維持部28は、アノードガス充満検出部26からの信号を受けて、アノードガス流路がアノードガスで充満されたことを認識する。電位維持部28は、燃料電池スタック1に負荷を与え燃料電池スタック1のカソード電圧を0.6V以下に維持するために、スイッチ30を閉じて、燃料電池スタック1で発生する直流電力を二次電池又はキャパシター32に供給する。スイッチ30が閉じられている間、燃料電池スタック1のカソード側の過電圧が増加し、カソード電位が0.6V以下に保たれる(S4)。
電位維持部28は、スイッチ30の閉じられている時間が一定時間(数秒)を経過したか否かを判断する(S5)。スイッチ30の閉じられている時間が一定時間(数秒)を経過していなければ、そのままスイッチ30を閉じ続け(S5:NO)、スイッチ30の閉じられている時間が一定時間(数秒)を経過したら、スイッチ30を開放する(S5:YES)。スイッチ30の開放が終了したら、燃料電池の起動処理を終了する(S6)。
なお、以上の実施形態では、燃料電池の起動時に溶出した白金イオンが触媒の表面付近から拡散によって遠く離れていく前に、白金イオンを再析出させることによって、白金溶出による触媒としての能力の劣化を抑えている。触媒の能力の指標として白金の表面積を表す有効電気化学表面積(ECA)があるが、以上の実施形態では、燃料電池の起動時に、一旦小さくなったECAの値を再び元に戻している。
また、以上の実施形態では、カソード電位を0.6V以下にすることを目標としたが、白金イオンの再析出速度は、過電圧に指数関数的に依存するので、カソード電位は低ければ低いほど再析出の進行速度は速くなる。したがって、目標とするカソード電位は0.5V程度が最も好ましい。また、カソード電位を0.6V以下にすることを数秒としたのは、カソード触媒層の厚さと白金イオンのアイオノマー内の有効拡散係数を勘案し、カソード触媒層において、イオン化した白金がアイオノマー内を拡散していくのに要する時間よりも大きい時間としたためである。なお、触媒層の厚さ[m]をδとし、白金イオンのアイオノマー内有効拡散係数[m2/s]をDとすると、カソード触媒層において、イオン化した白金がアイオノマー内を拡散していくのに要する時間Tは、T=δ/Dで求めることができる。
第1実施形態によれば、カソード電位を0.6V以下に抑えているので、低電位で溶出した白金の再析出を促進し、結果的に、燃料電池の起動直後における白金の溶出を抑制できるため、燃料電池の耐久性が向上する。また、水素がアノード流路に行き渡った後に、再析出操作に入るようになっているので、再析出操作に入るタイミングを取るために、専用の部品を設けることなく、再析出操作に入ることができる。水素の欠乏状態のまま燃料電池スタック1から大電流が取り出されることがなく、アノード側のカーボンが酸化される恐れがなくなる。さらに、白金を再析出させるための時間は数秒程度と短い時間で良いので、燃料の損失が少なくて済む。白金イオンの再析出は電極の電位と白金溶出/析出平衡電位との差(過電圧)に自然対数的に依存するので、カソード電極の電位が低いほど再析出進行速度が速くなる。また、カソード側の過電圧を数秒以上にわたって増加させているので、大きな電流を流すことなく、低電位で溶出した白金の再析出を促進させることができ、燃料電池の起動直後における白金の溶出を抑制できるため、燃料電池の耐久性が向上する。
[第2実施形態]
図8は本発明の第2実施形態に係る燃料電池の起動装置の概略構成図である。また、図8に示した燃料電池の起動装置の動作は、基本的に図7の動作フローチャートと同一であるので、その動作は図7のフローチャートを用いて説明する。
図8に示す燃料電池の起動装置の概略構成図が図6に示した燃料電池の起動装置と異なるのは、スイッチ30と二次電池又はキャパシター32が存在しないことであり、燃料電池スタック1の負荷を電位維持部28によって車両負荷に振り向けるようにした点である。
図8において、燃料電池スタック1、セル電圧計20、水素流量調整器22、酸素流量調整器24、アノードガス充満検出部26、水素タンク34、コンプレッサ35、コンプレッサ36の作用は、図6に示した燃料電池の起動装置と全く同じであるので、これらの構成要素の説明は省略する。
図8に示してある電位維持部28は、アノードガス充満検出部26によってアノードガス流路がアノードガスで充満されたことが検出された後に、燃料電池スタック1のカソード電位を数秒間にわたって0.6V以下に維持するための制御を行なうものである。具体的には、車両負荷を制御する制御装置に、車両の負荷をピークパワーまで上昇させるべき旨の信号を出力し、カソード電位を0.6V以下にする。
燃料電池の普通の運転条件で、ピークパワー時の電流を供給するようにすれば、カソード電位を0.6Vまで下げることができる。なお、ピークパワー時の電流よりも大きな電流を供給するようにすれば、カソード電位は0.5Vというさらに低い電位まで下げることができる。
本実施形態では、電位維持部28は過電圧増加手段として機能する。
次に、図7の動作フローチャートに基づいて、図8に示した燃料電池の起動装置の動作を説明する。この動作フローチャートの処理は、燃料電池の起動指令を図示しない制御装置が入力したときから開始される。
まず、燃料電池の起動指令が出されると、燃料電池スタック1にアノードガス(水素)とカソードガス(酸素)を供給する。具体的には、水素タンク34から燃料電池スタック1のアノードガス流路に水素流量調整器22を介して水素が供給される。同時に、コンプレッサ36から燃料電池スタック1のカソード流路に酸素流量調整器24を介して酸素が供給される(S1)。
次に、アノードガス充満検出部26は、燃料電池スタック1のアノードとカソードとの間の電圧であるセル電圧を検出する(S2)。
アノードガス充満検出部26は、アノードガス流路がアノードガスで充満されたか否かを判断するために、アノードガス充満検出部26に入力されるセル電圧が0.9V以上であるか否かを判断する(S3)。セル電圧が0.9Vに達していなければ(S3:NO)、そのままセル電圧を入力し続け、セル電圧が0.9V以上になったら(S3:YES)、電位維持部28に、アノードガス流路がアノードガスで充満された旨を知らせる信号を出力する。
電位維持部28は、アノードガス充満検出部26からの信号を受けて、アノードガス流路がアノードガスで充満されたことを認識する。電位維持部28は、燃料電池スタック1に負荷を与え燃料電池スタック1のカソード電圧を0.6V以下に維持するために、車両負荷を制御する図示されていない制御装置に、車両の負荷をピークパワーまで上昇させるべき旨の信号を出力し、燃料電池スタック1からはピークパワーで運転するときの電流が取り出される。燃料電池スタック1の電流−電位特性は、燃料電池スタック1から大電流を取り出すと、カソード電圧が低下するという特性を持っている。ピークパワーで運転するときの電流は車両の補器類を作動させることによって吸収したり、車両の加速度を大きくすることによって吸収したりする(S4)。
電位維持部28は、スイッチ30の閉じられている時間が一定時間(数秒)を経過したか否かを判断する(S5)。スイッチ30の閉じられている時間が一定時間(数秒)を経過していなければ、そのままスイッチ30を閉じ続け(S5:NO)、スイッチ30の閉じられている時間が一定時間(数秒)を経過したら、スイッチ30を開放する(S5:YES)。スイッチ30の開放が終了したら、燃料電池の起動処理を終了する(S6)。
以上の実施形態では、実施形態1と同様に、燃料電池の起動時に溶出した白金イオンが触媒の表面付近から拡散によって遠く離れていく前に、白金イオンを再析出させることによって、白金溶出による触媒としての能力の劣化を抑えている。
第2実施形態によれば、燃料電池スタック1にピークパワーを超える大電流を流すことができるので、カソード電位を下げることができ、低い電位で溶出した白金の再析出が促進され、燃料電池の白金溶出耐性が向上して、燃料電池の耐久性が向上する。
[第3実施形態]
図9は本発明の第3実施形態に係る燃料電池の起動装置の概略構成図である。また、図9に示した燃料電池の起動装置の動作は、基本的に図7の動作フローチャートと同一であるので、その動作は図7のフローチャートを用いて説明する。
図9に示す燃料電池の起動装置の概略構成図が図6に示した燃料電池の起動装置と異なるのは、スイッチ30に二次電池又はキャパシター32を接続したことに替えて、スイッチ40に抵抗器42を接続した点にあり、燃料電池スタック1の負荷を抵抗器42で消費させるようにした点である。
図9において、燃料電池スタック1、セル電圧計20、水素流量調整器22、酸素流量調整器24、アノードガス充満検出部26、水素タンク34、コンプレッサ35、コンプレッサ36の作用は、図6に示した燃料電池の起動装置と全く同じであるので、これらの構成要素の説明は省略する。
図9に示してある燃料電池の起動装置は、スイッチ40と抵抗器42を設けてある。
スイッチ40は、電位維持部28によってその開閉が制御され、燃料電池スタック1を短絡電流制限用の抵抗器42に接続し、燃料電池スタック1に負荷を与え、燃料電池スタック1のカソード側に過電圧を生じさせるものである。
抵抗器42は、燃料電池スタック1の+側と−側とを短絡させたときに、過大な電流が流れて燃料電池スタック1が破壊されるのを防止するための、抵抗値の低い抵抗器である。抵抗器の値をどの程度にするかは、燃料電池スタック1に流す短絡電流の大きさによって決めておく。なお、本実施形態では、抵抗器として固定抵抗器を例示したが、可変抵抗器にしてその抵抗値をカソード電圧を検出しながら変えるようにしても良い。
本実施形態では、電位維持部28、スイッチ40、抵抗器42は、電位維持手段として機能し、抵抗器42は、燃料電池スタック1のカソード側の過電圧を数秒以上にわたって増加させる過電圧増加手段及び短絡手段として機能する。
次に、図7の動作フローチャートに基づいて、図9に示した燃料電池の起動装置の動作を説明する。この動作フローチャートの処理は、燃料電池の起動指令を図示しない制御装置が入力したときから開始される。
まず、燃料電池の起動指令が出されると、燃料電池スタック1にアノードガス(水素)とカソードガス(酸素)を供給する。具体的には、水素タンク34から燃料電池スタック1のアノードガス流路に水素流量調整器22を介して水素が供給される。同時に、コンプレッサ36から燃料電池スタック1のカソード流路に酸素流量調整器24を介して酸素が供給される(S1)。
次に、アノードガス充満検出部26は、燃料電池スタック1のアノードとカソードとの間の電圧であるセル電圧を検出する(S2)。
アノードガス充満検出部26は、アノードガス流路がアノードガスで充満されたか否かを判断するために、アノードガス充満検出部26に入力されるセル電圧が0.9V以上であるか否かを判断する(S3)。セル電圧が0.9Vに達していなければ(S3:NO)、そのままセル電圧を入力し続け、セル電圧が0.9V以上になったら(S3:YES)、電位維持部28に、アノードガス流路がアノードガスで充満された旨を知らせる信号を出力する。
電位維持部28は、アノードガス充満検出部26からの信号を受けて、アノードガス流路がアノードガスで充満されたことを認識する。電位維持部28は、燃料電池スタック1に負荷を与え燃料電池スタック1のカソード電圧を0.6V以下に維持するために、スイッチ40を閉じて、燃料電池スタック1で発生する直流電力を抵抗器42に供給する。すなわち、燃料電池スタック1の+極と−極とを短絡電流を制限する抵抗器42を介して短絡させる。スイッチ40が閉じられている間、燃料電池スタック1のカソード側の過電圧が増加し、カソード電位が0.6V以下に保たれる(S4)。
電位維持部28は、スイッチ40の閉じられている時間が一定時間(数秒)を経過したか否かを判断する(S5)。スイッチ40の閉じられている時間が一定時間(数秒)を経過していなければ、そのままスイッチ40を閉じ続け(S5:NO)、スイッチ40の閉じられている時間が一定時間(数秒)を経過したら、スイッチ40を開放する(S5:YES)。スイッチ40の開放が終了したら、燃料電池の起動処理を終了する(S6)。
以上の実施形態では、実施形態1と同様に、燃料電池の起動時に溶出した白金イオンが触媒の表面付近から拡散によって遠く離れていく前に、白金イオンを再析出させることによって、白金溶出による触媒としての能力の劣化を抑えている。
第3実施形態によれば、低い抵抗値の抵抗を介して燃料電池スタック1の+側と−側を短絡するので、より大きな電流が燃料電池スタック1を流れることになり、溶出した白金の再析出が促進され、燃料電池の白金溶出耐性が向上して、燃料電池の耐久性が向上する。また、短絡している時間は数秒程度と短いので、燃料の損失が少なくて済む。
[第4実施形態]
図10は本発明の第4実施形態に係る燃料電池の起動装置の概略構成図である。また、図10に示した燃料電池の起動装置の動作は、基本的に図7の動作フローチャートと同一であるので、その動作は図7のフローチャートを用いて説明する。
図10に示す燃料電池の起動装置の概略構成図が図8(実施形態2)に示した燃料電池の起動装置と異なるのは、電位維持部28によって酸素流量調整器24の開度を調整している点であり、酸素流量調整器24の開度を絞り、燃料電池スタック1に大きな電流を発生させることなく、低いカソード電位が得られるようにしている点である。
図10において、燃料電池スタック1、セル電圧計20、水素流量調整器22、酸素流量調整器24、アノードガス充満検出部26、水素タンク34、コンプレッサ35、コンプレッサ36の作用は、図6に示した燃料電池の起動装置と全く同じであるので、これらの構成要素の説明は省略する。
本実施形態では、電位維持部28は、過電圧増加手段及びカソードガス供給量調整手段として機能する。
まず、燃料電池の起動指令が出されると、燃料電池スタック1にアノードガス(水素)とカソードガス(酸素)を供給する。具体的には、水素タンク34から燃料電池スタック1のアノードガス流路に水素流量調整器22を介して水素が供給される。同時に、コンプレッサ36から燃料電池スタック1のカソード流路に酸素流量調整器24を介して酸素が供給される(S1)。
次に、アノードガス充満検出部26は、燃料電池スタック1のアノードとカソードとの間の電圧であるセル電圧を検出する(S2)。
アノードガス充満検出部26は、アノードガス流路がアノードガスで充満されたか否かを判断するために、アノードガス充満検出部26に入力されるセル電圧が0.9V以上であるか否かを判断する(S3)。セル電圧が0.9Vに達していなければ(S3:NO)、そのままセル電圧を入力し続け、セル電圧が0.9V以上になったら(S3:YES)、電位維持部28に、アノードガス流路がアノードガスで充満された旨を知らせる信号を出力する。
電位維持部28は、アノードガス充満検出部26からの信号を受けて、アノードガス流路がアノードガスで充満されたことを認識する。電位維持部28は、燃料電池スタック1に負荷を与え燃料電池スタック1のカソード電圧を0.6V以下に維持するために、酸素流量調整器24の開度を絞って、燃料電池スタック1に供給される酸素の量を、カソードガス流路に供給するカソードガスの量を通常運転時に供給する量よりも少なくする。具体的には、カソード側に供給される空気供給量SR(stoichiometric ratio)を1.2程度にし、カソード電極に流れる電流密度を1A/cmとすることによって、カソード側の拡散過電圧を大きくし、結果的にカソード電圧を低くする(S4)。
電位維持部28は、酸素流量調整器24の開度を絞っている時間が一定時間(数秒)を経過したか否かを判断する(S5)。酸素流量調整器24の開度を絞っている時間が一定時間(数秒)を経過していなければ、そのまま酸素の量を少なく保ち、(S5:NO)、酸素流量調整器24の開度を絞っている時間が一定時間(数秒)を経過したら、酸素流量調整器24の開度を通常の開度に戻し、通常運転時の空気供給量SRにする(S5:YES)。酸素流量調整器24の開度を通常の開度に戻したら、燃料電池の起動処理を終了する(S6)。
第4実施形態によれば、燃料電池スタック1に供給される酸素の量を、カソードガス流路に供給するカソードガスの量を通常運転時に供給する量よりも少なくしたので、低いカソード電位を得ることができ、溶出した白金の再析出が促進され、燃料電池の白金溶出耐性が向上して、燃料電池の耐久性が向上する。また、短絡している時間は数秒程度と短いので、燃料の損失が少なくて済む。
図11は、実施形態1〜4のいずれかの燃料電池の起動装置を搭載した車両である。
通常、燃料電池は車両100の床下に装着される。したがって、燃料電池の起動装置50も燃料電池と同じ床下に取り付けられる。
このように、実施形態1〜4のいずれかの燃料電池の起動装置を搭載した車両によれば、耐久性の有る燃料電池を備えていることから、車両の信頼性を向上させることができる。
本発明は、電極触媒として白金が用いられている燃料電池に応用することができる。
燃料電池スタックの全体構成を示す斜視図である。 燃料電池スタックのセル構造を示す要部拡大断面図である。 起動前における燃料電池スタックのアノードガス流路とカソードガス流路のガスの充満状態を示した図である。 起動時における燃料電池スタックのアノードガス流路とカソードガス流路のガスの充満状態を示した図である。 起動前後の燃料電池スタックのセル電圧の変動状態を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係る燃料電池の起動装置の概略構成図である。 図6に示した燃料電池の起動装置の動作フローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る燃料電池の起動装置の概略構成図である。 本発明の第3実施形態に係る燃料電池の起動装置の概略構成図である。 本発明の第4実施形態に係る燃料電池の起動装置の概略構成図である。 実施形態1〜4のいずれかの燃料電池の起動装置を搭載した車両である。
符号の説明
1 燃料電池スタック、
2 セル、
3 積層体、
4 集電板、
5 絶縁板、
6 エンドプレート、
7 タイロッド、
8 アノードガス供給口、
9 アノードガス排出口、
10 カソードガス供給口、
11 カソードガス排出口、
12 媒体供給口、
13 媒体排出口、
15A アノードセパレータ、
15B カソードセパレータ、
15 セパレータ、
18 アノードガス流路、
19 カソードガス流路、
20 セル電圧計、
22 水素流量調整器、
24 酸素流量調整器、
26 アノードガス充満検出部、
28 電位維持部、
30 スイッチ、
32 キャパシター、
34 水素タンク、
35 コンプレッサ、
36 コンプレッサ、
40 スイッチ、
42 抵抗器、
50 起動装置、
100 車両、
141 固体高分子電解質膜、
142A アノード触媒層、
142B カソード触媒層、
143A ガス拡散層、
143B ガス拡散層、
144A アノード電極、
144B カソード電極。

Claims (9)

  1. 電極触媒として白金が用いられている燃料電池の起動方法であって、
    前記燃料電池のアノードガス流路にアノードガスを供給する段階と、
    前記アノードガス流路がアノードガスで充満された後直ちに前記燃料電池のカソード電位を一定時間以上0.6V以下に維持する段階と、を含み、
    前記アノードガス流路がアノードガスで充満されたか否かの判断は、前記燃料電池のアノードとカソードとの間のセル電圧が0.9V以上になっているか否かによって行なうことを特徴とする燃料電池の起動方法。
  2. 前記カソード電位を一定時間以上0.6V以下に維持する段階は、
    前記燃料電池のカソード側の過電圧を数秒以上にわたって増加させる段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の起動方法。
  3. 前記燃料電池のカソード側の過電圧を増加させる段階は、
    前記燃料電池から供給する電流をピークパワー供給時の電流よりも数秒以上にわたって増加させる段階を含むことを特徴とする請求項に記載の燃料電池の起動方法。
  4. 前記燃料電池のカソード側の過電圧を増加させる段階は、
    前記燃料電池の+極と−極とを短絡電流を制限する抵抗器を介して数秒以上にわたって短絡させる段階を含むことを特徴とする請求項に記載の燃料電池の起動方法。
  5. 前記燃料電池のカソード側の過電圧を増加させる段階は、
    前記燃料電池のカソードガス流路に供給するカソードガスの量を通常運転時に供給する量よりも数秒以上にわたって少なくする段階を含むことを特徴とする請求項に記載の燃料電池の起動方法。
  6. 電極触媒として白金が用いられている燃料電池の起動装置であって、
    前記燃料電池のアノードガス流路にアノードガスを供給するアノードガス供給手段と、
    前記アノードガス流路がアノードガスで充満されたことを検出するアノードガス充満検出手段と、
    前記アノードガス流路がアノードガスで充満された後直ちに前記燃料電池のカソード電位を一定時間以上0.6V以下に維持する電位維持手段と、を有し、
    前記アノードガス充満検出手段は、
    前記燃料電池のアノードとカソードとの間のセル電圧を検出するセル電圧検出手段によって前記セル電圧が0.9V以上になっているか否かによって前記アノードガス流路がアノードガスで充満されたことを検出することを特徴とする燃料電池の起動装置。
  7. 前記電位維持手段は、
    前記燃料電池のカソード側の過電圧を数秒以上にわたって増加させる過電圧増加手段を有することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池の起動装置。
  8. 前記過電圧増加手段は、
    前記燃料電池から供給する電流をピークパワー供給時の電流よりも数秒以上にわたって増加させるための二次電池またはキャパシター、前記燃料電池の+極と−極とを短絡電流を制限する抵抗器を介して数秒以上にわたって短絡させるための短絡手段、または、前記燃料電池のカソードガス流路に供給するカソードガスの量を通常運転時に供給する量よりも数秒以上にわたって少なくするカソードガス供給量調整手段の少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池の起動装置。
  9. 請求項6〜請求項8のいずれかに記載の燃料電池の起動装置を搭載した車両。
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