JP2010003586A - 燃料電池システム、燃料電池の運転方法、および燃料電池自動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池の耐久性の低下を抑制しつつ、燃料電池の発電性能を回復させることができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】本発明の燃料電池システム100は、燃料電池10および電位制御手段30,60,80を有する。燃料電池10は、電極触媒として白金を含む。電位制御手段30,60,80は、燃料電池10の空気極電位を、可逆水素電極に対して0.6Vよりも高い電位まで低下させることにより、燃料電池10の発電性能を回復させる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の燃料電池システム100は、燃料電池10および電位制御手段30,60,80を有する。燃料電池10は、電極触媒として白金を含む。電位制御手段30,60,80は、燃料電池10の空気極電位を、可逆水素電極に対して0.6Vよりも高い電位まで低下させることにより、燃料電池10の発電性能を回復させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池システム、燃料電池の運転方法、および燃料電池自動車に関する。
近年、環境負荷の少ない電源として、燃料電池が注目されている。燃料電池は、酸素および水素の供給を受けて電力を発生するものである。燃料電池では、電極触媒として白金または白金合金が用いられている。
電極触媒として白金を含む燃料電池に関する技術としては、白金触媒の酸化にともなう発電性能の低下を抑制する見地から、下記の特許文献1に示すような燃料電池の運転装置が知られている。特許文献1に開示されている燃料電池の運転装置は、定格運転よりも大きな電流を流すための負荷器を備える。このような構成の燃料電池の運転装置によれば、負荷器に電流を流して燃料電池のセル電圧を単セルあたり0.6V以下にすることにより白金酸化物を還元し、燃料電池の発電性能を回復させることができる。
特開2003−115318号公報
しかしながら、上記燃料電池の運転装置では、白金酸化物が還元される一方で白金の溶解および再凝集が促進されるため、白金触媒の表面積(以下、触媒表面積と称する)が減少するという問題がある。触媒表面積の減少は、燃料電池の耐久性の低下を引き起こす。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものである。したがって、本発明の目的は、燃料電池の発電性能を回復させるとともに、燃料電池の耐久性を向上させることができる燃料電池システムおよび燃料電池の運転方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
本発明の燃料電池システムは、燃料電池および電位制御手段を有する。前記燃料電池は、電極触媒として白金を含む。前記電位制御手段は、前記燃料電池の空気極電位を、可逆水素電極に対して0.6Vよりも高い電位まで低下させることにより、当該燃料電池の発電性能を回復させる。
本発明の燃料電池の運転方法は、電極触媒として白金を含む燃料電池の空気極電位を、可逆水素電極に対して0.6Vよりも高い電位まで低下させることにより、当該燃料電池の発電性能を回復させる。
本発明の燃料電池自動車は、上記燃料電池システムを駆動用電源として搭載している。
本発明の燃料電池システムおよび燃料電池の運転方法によれば、白金酸化物が還元されて触媒活性が回復されるとともに、白金の溶解および再凝集が抑制されて触媒表面積の減少が抑制される。その結果、燃料電池の発電性能を回復させるとともに、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
本発明の燃料電池自動車によれば、燃料電池の耐久性が向上するため、燃料電池自動車の信頼性が向上する。
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では、本発明を燃料電池自動車の電源システムに適用した場合を例にとって説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における燃料電池システムの概略構成を示す図である。本実施の形態における燃料電池システムは、燃料電池の空気極電位(以下、カソード電位と称する)を可逆水素電極(Reversible Hydorogen Electrode:RHE)に対して0.6V(vs.RHE)よりも高い電位まで低下させることにより、燃料電池の発電性能を回復させるとともに、燃料電池の耐久性を向上させるものである。
図1は、本発明の第1の実施の形態における燃料電池システムの概略構成を示す図である。本実施の形態における燃料電池システムは、燃料電池の空気極電位(以下、カソード電位と称する)を可逆水素電極(Reversible Hydorogen Electrode:RHE)に対して0.6V(vs.RHE)よりも高い電位まで低下させることにより、燃料電池の発電性能を回復させるとともに、燃料電池の耐久性を向上させるものである。
図1に示すとおり、本実施の形態の燃料電池システム100は、燃料電池10、燃料タンク20、コンプレッサ30、電圧検出部40、抵抗検出部50、負荷器60、電流検出部70、および制御部80を備える。
燃料電池10は、水素および酸素の供給を受けて電力を生成するものである。燃料電池10は、単位電池としての単セルが複数積層されて構成される。各単セルには、電極触媒として白金が用いられている。燃料電池10についての詳細な構成については後述する。
燃料タンク20は、燃料電池10に供給されるアノードガス(水素を含む燃料ガス)を貯蔵するものである。燃料タンク20は、水素供給用配管を通じて、燃料電池10のアノード(燃料極)にアノードガスを供給する。
コンプレッサ30は、燃料電池10にカソードガス(たとえば、空気)を供給するものである。コンプレッサ30は、酸素供給用配管を通じて、燃料電池10のカソード(空気極)に接続されている。本実施の形態のコンプレッサ30は、制御部80によって制御され、燃料電池10のカソードにカソードガスを供給する。
電圧検出部40は、燃料電池10のセル電圧を検出するものである。電圧検出部40は、燃料電池10に取り付けられる電圧センサを含み、燃料電池10を構成する複数の単セルのうち一の単セルのセル電圧を検出する。電圧検出部40は、制御部80に電気的に接続されており、電圧検出部40からの信号は、制御部80に送信される。
抵抗検出部50は、燃料電池10の抵抗値を検出するものである。抵抗検出部50は、燃料電池10に電気的に並列に接続される抵抗計を含み、燃料電池10の電気的な抵抗値を測定する。抵抗検出部50は、制御部80に電気的に接続されており、抵抗検出部50からの信号は、制御部80に送信される。
負荷器60は、燃料電池10から電力を取り出すものである。負荷器60は、燃料電池10に電気的に並列に接続されており、燃料電池10で発生される電力を消費または蓄電する。本実施の形態の負荷器60は、燃料電池自動車を駆動させるための駆動モータ、燃料電池10の補機、および二次電池を含む。負荷器60は、制御部80によって制御され、燃料電池10で発生される電力を取り出す。
電流検出部70は、燃料電池10を流れる電流を検出するものである。電流検出部70は、負荷器60と燃料電池10との間に設けられる電流計を含み、燃料電池10から取り出される電流を検出する。電流検出部70は、制御部80に電気的に接続されており、電流検出部70からの信号は、制御部80に送信される。
制御部80は、コンプレッサ30および負荷器60を制御するものである。制御部80は、コンプレッサ30および負荷器60を制御して、燃料電池10のカソード電位を0.6Vvs.RHEよりも高い範囲で算出される目標とする電位(以下、目標電位と称する)まで低下させる。本実施の形態の制御部80は、電圧検出部40、抵抗検出部50、および電流検出部70から信号を受信して、コンプレッサ30および負荷器60に指令信号を送信する。コンプレッサ30、負荷器60、および制御部80は、電位制御手段として機能する。
また、本実施の形態の制御部80は、被覆率算出部(被覆率算出手段)、目標電位算出部(目標電位算出手段)、およびカソード電位算出部(空気極電位算出手段)として機能する。ここで、被覆率算出部は、白金の白金酸化物による被覆率を算出するものであり、目標電位算出部は、被覆率から目標電位を算出するものである。カソード電位算出部は、電圧検出部40で検出されるセル電圧からカソード電位を算出するものである。
次に、図2を参照して、本実施の形態の燃料電池10について詳細に説明する。
図2は、図1に示す燃料電池システムにおける燃料電池のセル構造を示す斜視図である。上述したとおり、本実施の形態の燃料電池10は、アノードガスとカソードガスとの反応により起電力を生じる単位電池としての単セルが複数積層されて構成されている。
図2に示すとおり、燃料電池10を構成する各単セル11は、MEA12と、MEA12の両面にそれぞれ配置されるセパレータ13とから構成される。
MEA12は、固体高分子電解質膜14と、固体高分子電解質膜14を両側から挟み込むアノード15およびカソード16と、を有する。固体高分子電解質膜14は、水素イオンを通す高分子電解質膜から構成される。アノード15は、アノード触媒層15Aおよびガス拡散層15Bから構成され、カソード16は、カソード触媒層16Aおよびガス拡散層16Bから構成される。カソード触媒層16Aは、電極触媒として白金(Pt)を含む。カソード触媒層16Aは、白金の粒子が、たとえば、炭素粉末の担体によって担持されてなる。なお、本実施の形態とは異なり、電極触媒として、Pt−Mo合金、Pt−Fe合金、Pt−Ni合金、およびPt−Co合金などの白金合金が用いられてもよい。
セパレータ13は、導電性を有する材料により形成される。セパレータ13の一方の面の発電に寄与するアクティブ領域には、MEA12にアノードガスを流通させるアノードガス流路17Aをなす溝部17が形成されている。一方、セパレータ13の他方の面のアクティブ領域には、MEA12にカソードガスを流通させるカソードガス流路18Aをなす溝部18が形成されている。アノードガスは、アノードガス導入口より導入されて溝部17を流れ、アノードガス排出口より排出される。カソードガスは、カソードガス導入口より導入されて溝部18を流れ、カソードガス排出口より排出される。
アノードガス流路17Aおよびカソードガス流路18Aにアノードガスおよびカソードガスをそれぞれ流通させると、水素はアノード触媒層15Aの触媒作用で水素イオンに変わり電子を放出する。電子を放出した水素イオンは固体高分子電解質膜14を通過する。カソード触媒層16Aでは固体高分子電解質膜14を通過してきた水素イオンと外部回路(不図示)を経由してきた電子がカソードガス中に含まれる酸素と反応して水を生成する。この作用によってアノード15がマイナスに、カソード16がプラスになり、図2に示すとおり、アノード15とカソード16との間で直流電圧が発生する。本実施の形態では、この直流電圧を電圧検出部40によって検出する。なお、通電していない状態では、この直流電圧は、理想的には1.23Vである。しかしながら、燃料電池には内部抵抗が存在するため、電圧検出部40によって検出される電圧は、理想的な電圧よりも低い値を示す。
以上のとおり構成される本実施の形態の燃料電池システム100によれば、燃料電池10のカソード電位を0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位まで低下させることにより、燃料電池10の発電性能を回復させるとともに、燃料電池10の耐久性を向上させることができる。以下、図3および図4を参照して、本実施の形態の燃料電池システムにおける燃料電池の運転方法について説明する。
図3は、本実施の形態の燃料電池システムによる燃料電池の運転方法を説明するためのフローチャートである。上述したとおり、本実施の形態における燃料電池の運転方法は、燃料電池10のカソード電位を0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位まで低下させることにより、燃料電池10の発電性能を回復させるとともに、燃料電池10の耐久性を向上させるものである。
図3に示すとおり、本実施の形態における燃料電池の運転方法では、まず、白金触媒が酸化される酸化領域において、燃料電池10の運転が継続されていることが検知される(ステップS101)。具体的には、たとえば、燃料電池10のセル電圧が0.8V以上の値を維持している状態が所定時間以上継続しているか否かを判定することによって、酸化領域における燃料電池10の運転の継続が検知される。なお、酸化領域における燃料電池の運転が継続されている状態とは、たとえば、渋滞時に、燃料電池自動車が長時間アイドリング運転されている状態である。このような状態では、白金の酸化が進行して、セル電圧がゆっくりと低下する。
次に、燃料電池10の単セル11あたりのセル電圧が検出される(ステップS102)。本実施の形態では、電圧検出部40が燃料電池10を構成する一の単セル11の電圧をセル電圧として検出する。
次に、燃料電池10のカソード電位が算出される(ステップS103)。本実施の形態では、ステップS102に示す処理で検出されたセル電圧から、燃料電池10のカソード電位が算出される。ここで、セル電圧とカソード電位とは、次のような関係にある。
セル電圧=カソード電位−アノード電位−(電流i×内部抵抗R)
一般的に、アノード側の過電圧は無視できるほど小さいので、燃料電池10に電流が流れない状態であれば、カソード電位は、セル電圧と同じ値を示す。一方、燃料電池10に電流が流れる場合、電流検出部70によって電流iが検出され、抵抗検出部50で検出される燃料電池10の抵抗値を単セル11の積層数で割ることにより、一の単セル11の内部抵抗Rが算出される。そして、これらの値に基づいて、セル電圧からカソード電位が算出される。
一般的に、アノード側の過電圧は無視できるほど小さいので、燃料電池10に電流が流れない状態であれば、カソード電位は、セル電圧と同じ値を示す。一方、燃料電池10に電流が流れる場合、電流検出部70によって電流iが検出され、抵抗検出部50で検出される燃料電池10の抵抗値を単セル11の積層数で割ることにより、一の単セル11の内部抵抗Rが算出される。そして、これらの値に基づいて、セル電圧からカソード電位が算出される。
次に、触媒として用いられている白金の白金酸化物による被覆率が算出される(ステップS104)。本実施の形態では、燃料電池10に用いられる材料毎に、カソード電位と被覆率との関係を示すカソード電位−被覆率変換テーブルが予め定められており、ステップS103に示す処理で算出されたカソード電位に応じて、被覆率が算出される。なお、カソード電位が低いほど、被覆率は高くなる。
次に、0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位が算出される(ステップS105)。本実施の形態では、燃料電池10に用いられる材料毎に、被覆率と目標電位との関係を示す被覆率−目標電位変換テーブルが予め定められており、ステップS104に示す処理で算出された被覆率に応じて、目標電位が算出される。なお、被覆率が大きいほど、目標電位は0.6Vvs.RHEに近い値になるように算出される。また、目標電位は、0.6〜0.95Vvs.RHEの範囲で算出されることが好ましい。
以上のとおり、ステップS101〜S105に示す処理によれば、まず、白金触媒が酸化される酸化領域における燃料電池10の継続運転が検知される。次に、燃料電池10のセル電圧からカソード電位が算出され、カソード電位に対応する白金酸化物の被覆率が算出される。そして、白金酸化物の被覆率に応じて、0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位が算出される。
次に、白金を被覆している物質が白金酸化物のみか否かが判断される(ステップS106)。本実施の形態では、ステップS101に示す処理で用いられる所定時間に対応して材料毎に予め求められている白金の被覆率と、ステップS104の被覆率とを比較して、白金が白金酸化物によってのみ覆われているか否かが判断される。ステップS104で算出される被覆率の方が時間に応じて定められている被覆率よりも大きい場合、白金酸化物以外の物質(以下、コンタミ物質と称する)が白金酸化物とともに白金を覆っていると判断される。
コンタミ物質が白金酸化物とともに白金を覆っていると判断される場合(ステップS106:NO)、白金酸化物とともにコンタミ物質を除去するために、ステップS112に示す処理に移行する。一方、白金が白金酸化物のみで覆われていると判断される場合(ステップS106:YES)、燃料電池10へのカソードガスの供給が停止される(ステップS107)。本実施の形態では、制御部80がコンプレッサ30に指令信号を送信して、コンプレッサ30の作動を停止することにより、燃料電池10へのカソードガスの供給が停止される。その結果、燃料電池10のカソード電位が低下する。
そして、カソード電位がモニタリングされる(ステップS108)。本実施の形態では、ステップS105に示す処理で算出された0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位までカソード電位が低下したことを検知するために、セル電圧からカソード電位が算出されてモニタリングされる。本実施の形態では、セル電圧からカソード電位を算出して直接的にモニタリングすることにより、燃料電池10のカソード電位を正確に制御する。なお、セル電圧からカソード電位を算出する方法は、ステップS102,S103に示す処理と同様であるため、省略する。
次に、カソード電位が目標電位まで到達したか否かが判断される(ステップS109)。カソード電位が目標電位まで到達しない場合(ステップS109:NO)、カソード電位が目標電位に到達するまで待機する。一方、カソード電位が目標電位に到達した場合(ステップS109:YES)、保持時間が経過したか否かが判断される(ステップS110)。本実施の形態では、予め設定されている所定の保持時間だけカソード電位が目標電位に保持されるように、所定の保持時間が経過したか否かが判断される。この間、白金を覆っている白金酸化物が還元されて燃料電池10の発電性能が回復される一方で、白金の溶解が抑制されて燃料電池10の耐久性の低下が抑制される。なお、白金酸化物の還元反応を確実に発生させる見地から、保持時間は0.25秒以上であることが好ましい。
保持時間が経過していない場合(ステップS110:NO)、保持時間が経過するまで待機する。一方、保持時間が経過した場合(ステップS110:YES)、燃料電池10へのカソードガスの供給が再開される(ステップS111)。本実施の形態では、制御部80が、コンプレッサ30に指令信号を送信して、コンプレッサ30を作動させることにより、燃料電池10へのカソードガスの供給が再開される。
以上のとおり、ステップS106〜S111に示す処理によれば、燃料電池10へのカソードガスの供給を停止することにより、燃料電池10のカソード電位が0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位まで低下される。その結果、白金酸化物が還元されて触媒活性が回復することにより、燃料電池10の発電性能が回復される。また、カソード電位が0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位に低下されることにより、白金の溶解が抑制され、燃料電池10の耐久性の低下が防止される。
一方、ステップS106において、白金が白金酸化物とコンタミ物質とによって覆われていると判断される場合(ステップS106:NO)、燃料電池10から電流が取り出される(ステップS112)。本実施の形態では、制御部80が、負荷器60に指令信号を送信して負荷器60を作動させ、燃料電池10から電流を取り出させる。その結果、カソード電位が低下するとともに、燃料電池10の発電にともなって水が生成される。
そして、カソード電位がモニタリングされる(ステップS113)。本実施の形態では、ステップS105に示す処理で算出された0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位までカソード電位が低下したことを検知するために、セル電圧からカソード電位が算出されてモニタリングされる。本実施の形態では、セル電圧からカソード電位を算出して直接的にモニタリングすることにより、燃料電池10のカソード電位を正確に制御する。なお、セル電圧からカソード電位を算出する方法は、ステップS102,S103に示す処理と同様であるため、省略する。
次に、カソード電位が目標電位まで到達したか否かが判断される(ステップS114)。カソード電位が目標電位まで到達しない場合(ステップS114:NO)、カソード電位が目標電位に到達するまで待機する。一方、カソード電位が目標電位に到達した場合(ステップS114:YES)、保持時間が経過したか否かが判断される(ステップS115)。本実施の形態では、予め設定されている所定の保持時間だけカソード電位が目標電位に保持されるように、所定の保持時間が経過したか否かが判断される。この間、白金を覆っている白金酸化物が還元されて燃料電池10の発電性能が回復される一方で、白金の溶解が抑制されて燃料電池10の耐久性の低下が抑制される。さらに、燃料電池10で生成される水の流れによって、白金表面を覆うコンタミ物質が取り除かれる。なお、白金酸化物の還元反応を確実に発生させる見地から、保持時間は0.25秒以上であることが好ましい。
保持時間が経過していない場合(ステップS115:NO)、保持時間が経過するまで待機する。一方、保持時間が経過した場合(ステップS115:YES)、燃料電池10からの電流の取り出しが停止される(ステップS116)。本実施の形態では、制御部80が、負荷器60に指令信号を送信して負荷器60の作動を停止させることにより、燃料電池10からの電流の取り出しが停止される。
以上のとおり、ステップS112〜S116に示す処理によれば、燃料電池10から電流を取り出すことにより、燃料電池10のカソード電位が0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位まで低下される。その結果、白金酸化物が還元されて触媒活性が回復することにより、燃料電池10の発電性能が回復される。また、カソード電位が0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位に低下されることにより、白金の溶解が抑制され、燃料電池10の耐久性の低下が防止される。加えて、燃料電池10の発電にともなって生成される水の流れにより、白金を覆うコンタミ物質が取り除かれる。
以上のとおり、図3に示すフローチャートの処理によれば、白金触媒の酸化にともなう発電性能の低下を回復させるために、燃料電池10のカソード電位が0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位まで低下される。したがって、白金酸化物が還元されて燃料電池10の触媒活性が回復される一方で、白金の溶解が抑制されることにより触媒表面積の減少が抑制される。その結果、燃料電池10の発電性能が回復されるとともに、燃料電池10の耐久性が向上される。
次に、図4を参照して、本実施の形態における燃料電池の運転方法による触媒活性の回復と白金の溶解防止のメカニズムについて説明する。
図4は、本実施の形態における燃料電池の運転方法における白金の状態変化を説明するための図である。なお、図4では、燃料電池のカソード電位を0.6Vvs.RHE以下の電位まで低下させる場合を比較例として示している。
図4(B)に示すとおり、比較例では、燃料電池の発電性能を回復させるために、燃料電池のカソード電位を0.6Vvs.RHE以下の電位まで低下させる。この場合、白金酸化物(PtOx)が白金(Pt)に還元される現象に加えて、白金が白金イオン(Ptn+)にイオン化される現象が発生するものと考えられる。したがって、比較例では、燃料電池の発電性能が回復する一方で、白金の溶解および再凝集が促進され、触媒表面積が減少する。加えて、溶解した白金が電解質膜の内部で再析出することにより、電解質膜の劣化が引き起こされる。その結果、比較例では、燃料電池の発電性能が一時的に回復するものの、燃料電池の長期的な性能、すなわち、燃料電池の耐久性が低下する。
一方、図4(A)に示すとおり、本実施の形態における燃料電池の運転方法では、燃料電池の発電性能を回復させるために、燃料電池のカソード電位を0.6Vvs.RHEよりも高い電位(たとえば、0.8Vvs.RHE)まで低下させる。この場合、白金酸化物の一部が還元されるとともに、残りの白金酸化物(PtOx)が状態変化を起こし、白金表面に保護被膜として残留するものと考えられる。そして、状態変化を起こした白金酸化物(PtOx)によって、白金の溶解が抑制されるものと考えられる。
したがって、本実施の形態における燃料電池の運転方法によれば、燃料電池10のカソード電位を0.6Vvs.RHEよりも高い電位まで低下させることにより、白金酸化物を還元しつつ、白金の溶解を抑制することができる。白金の溶解が抑制されることにより、触媒表面積の減少および電解質膜の劣化が抑制される。その結果、本実施の形態における燃料電池の運転方法によれば、燃料電池10の発電性能を回復させるとともに、燃料電池10の耐久性を向上させることができる。
次に、図5を参照して、本実施の形態における燃料電池システム100を搭載した燃料電池自動車について説明する。
図5は、本実施の形態における燃料電池システムが搭載された燃料電池自動車を説明する図である。本実施の形態における燃料電池自動車200は、燃料電池システム100を駆動用電源として搭載している。燃料電池10によって生成される電力により自動車200のモータが駆動され、自動車200が走行する。上述したとおり、燃料電池自動車200が渋滞に巻き込まれ、燃料電池10のアイドリング運転が長期間継続される場合であっても、上述した処理により燃料電池10の発電性能は維持される。そして、本実施の形態の燃料電池自動車200によれば、燃料電池10の耐久性の低下が抑制されるため、自動車200の信頼性が向上する。
以上のとおり、説明した本実施の形態は、以下の効果を奏する。
(a)本実施の形態の燃料電池システムは、電極触媒として白金を含む燃料電池と、燃料電池のカソード電位を、0.6Vvs.RHEよりも高い電位まで低下させることにより、燃料電池の発電性能を回復させるコンプレッサ、負荷器、および制御部と、を有する。したがって、白金酸化物が還元されて触媒活性が回復されるとともに、白金の溶解および再凝集が抑制されて触媒表面積の減少が抑制される。その結果、燃料電池の発電性能を回復させるとともに、燃料電池の耐久性を向上させることができる。また、白金の溶解が抑制されることにより、電解質膜の劣化が抑制される。
(b)本実施の形態の燃料電池システムは、白金の白金酸化物による被覆率を算出する被覆率算出部と、算出される被覆率に基づいて、0.6Vvs.RHEよりも高い範囲で目標電位を算出する目標電位算出部と、をさらに有する。そして、コンプレッサ、負荷器、および制御部は、算出される目標電位まで、燃料電池のカソード電位を低下させる。したがって、被覆率に応じて目標電位を決定することにより、必要最小限の還元操作で燃料電池の発電性能を効率的に回復させることができる。
(c)本実施の形態の燃料電池システムは、燃料電池のカソード電位を算出する空気極電位算出部をさらに有する。そして、被覆率算出部は、燃料電池のカソード電位から被覆率を算出する。したがって、カソード電位を算出することにより、被覆率を簡単に算出することができる。
(d)燃料電池の空気極電位は、0.25秒以上目標電位に維持される。したがって、白金酸化物の還元反応を確実に発生させることができる。
(e)本実施の形態の燃料電池自動車は、上記燃料電池システムを駆動用電源として搭載している。したがって、燃料電池の耐久性が向上されるため、燃料電池自動車の信頼性が向上する。
(f)本実施の形態の燃料電池の運転方法は、電極触媒として白金を含む燃料電池の空気極電位を、0.6Vvs.RHEよりも高い電位まで低下させることにより、当該燃料電池の発電性能を回復させる。したがって、白金酸化物が還元されて触媒活性が回復されるとともに、白金の溶解および再凝集が抑制されて触媒表面積の減少が抑制される。その結果、燃料電池の発電性能を回復させるとともに、燃料電池の耐久性を向上させることができる。また、白金の溶解が抑制されることにより、電解質膜の劣化が抑制される。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、0.6Vvs.RHEよりも高い電位までカソード電位を低下させることによって、燃料電池の性能を回復させた。本実施の形態では、0.8Vvs.RHE以上の電位までカソード電位を低下させることにより、燃料電池の性能を回復させる。
第1の実施の形態では、0.6Vvs.RHEよりも高い電位までカソード電位を低下させることによって、燃料電池の性能を回復させた。本実施の形態では、0.8Vvs.RHE以上の電位までカソード電位を低下させることにより、燃料電池の性能を回復させる。
図6は、本発明の第2の実施の形態における燃料電池の運転方法を説明するためのフローチャートである。なお、本実施の形態における目標電位が0.8Vvs.RHE以上の値に算出されることを除いては、本実施の形態の構成は、第1の実施の形態における構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図6のステップS105’に示すとおり、本実施の形態における燃料電池の運転方法では、目標電位が0.8Vvs.RHE以上の値に設定される。そして、燃料電池10のカソード電位が0.8Vvs.RHE以上の目標電位まで低下される。
図7は、燃料電池のカソード電位と燃料電池に流れる電流との関係を示す図である。図7に示すとおり、カソード電位が0.8Vvs.SHE(標準水素電極)に維持される場合、図7において下向きの電流(還元電流)が流れることが分かる。したがって、カソード電位を0.8Vvs.RHE以上の電位まで低下させれば、白金酸化物の還元反応が起こり、燃料電池10の発電性能は回復される。なお、白金酸化物の還元反応を確実に発生させる見地から、上記目標電位は、0.95Vvs.RHE以下に設定されることが好ましい。
そして、このような構成によれば、0.6Vvs.RHEよりも高く、かつ0.8Vvs.RHEよりも低い電位までカソード電位を低下させる場合と比較して、白金の溶解をより効果的に抑制することができる。したがって、触媒表面積の減少をより確実に抑制し、燃料電池10の耐久性をより向上させることができる。
以上のとおり、説明した本実施の形態は、第1の実施の形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(g)本実施の形態のコンプレッサ、負荷器、および制御部は、燃料電池のカソード電位を0.8Vvs.RHE以上の電位まで低下させる。したがって、燃料電池の耐久性をより向上させることができる。
(第3の実施の形態)
第1および第2の実施の形態では、燃料電池のカソード電位から白金酸化膜の被覆率を算出した。しかしながら、燃料電池の交流インピーダンスから白金酸化膜の被覆率を算出することもできる。
第1および第2の実施の形態では、燃料電池のカソード電位から白金酸化膜の被覆率を算出した。しかしながら、燃料電池の交流インピーダンスから白金酸化膜の被覆率を算出することもできる。
図8は、本発明の第3の実施の形態における燃料電池システムの概略構成を示す図である。
図8に示すとおり、本実施の形態の燃料電池システム100は、燃料電池10、燃料タンク20、コンプレッサ30、電圧検出部40、抵抗検出部50、負荷器60、電流検出部70、制御部80、および交流電源90を備える。なお、本実施の形態の燃料電池システムが、燃料電池の交流インピーダンスから白金酸化物の被覆率を算出することを除いては、本実施の形態の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
交流電源90は、交流電流印加手段として、燃料電池10に交流電流を印加するものである。交流電源90によって燃料電池10に交流電流を印加しつつ、燃料電池10の電圧を検出することにより、燃料電池10の交流インピーダンスが算出される。燃料電池10の交流インピーダンスと白金酸化物の被覆率とは、白金酸化物の被覆率が高いほど交流インピーダンスが大きくなる傾向を示すため、燃料電池10の交流インピーダンスを求めることによって、白金酸化物の被覆率を算出することができる。
このような構成によれば、燃料電池10の交流インピーダンスから白金酸化物の被覆率が算出され、被覆率に対応する0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位が算出される。そして、0.6Vvs.RHEよりも高い目標電位まで燃料電池10のカソード電位を低下させることにより、燃料電池10の発電性能を回復させるとともに、燃料電池10の耐久性を向上させることができる。
以上のとおり、説明した本実施の形態は、第1および第2の実施の形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(h)本実施の形態の燃料電池システムは、燃料電池に交流電流を印加する交流電源をさらに有し、被覆率算出部は、燃料電池の交流インピーダンスから被覆率を算出する。したがって、交流インピーダンスを算出することにより、被覆率を簡単に算出することができる。
以上のとおり、説明した第1〜第3の実施の形態において、本発明の燃料電池システム、燃料電池の運転方法、および燃料電池自動車を説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。
たとえば、上述した第1〜第3の実施の形態では、燃料電池のセル電圧から燃料電池のカソード電位を算出した。しかしながら、燃料電池のカソード電位は、参照極などを用いて直接的に測定されてもよい。
また、第1〜第3の実施の形態では、セル電圧からカソード電位を算出するために、燃料電池の内部抵抗を測定した。しかしながら、燃料電池の内部抵抗を測定することなく、たとえば、一の抵抗値を用いてもよい。
また、上述した第1〜第3の実施の形態では、所定の保持時間だけ燃料電池のカソード電位を目標電位に保持した。しかしながら、たとえば、保持時間は被覆率に応じて適宜変更されてもよい。さらに、カソード電位を目標電位に保持することなく、カソード電位が目標電位まで低下した時点で直ちにコンプレッサを作動して、カソード電位を上昇させてもよい。
また、上述した第1〜第3の実施の形態では、燃料電池へのカソードガスの供給を停止することにより、あるいは、燃料電池から電流を取り出すことにより、燃料電池のカソード電位を目標電位まで低下させた。しかしながら、燃料電池のカソード電位を低下させる手法としては、フラッディング(Flooding)、還元剤の供給、アノードとカソードとの短絡、またはカソードガスの減圧などの種々の方法を用いることができる。フラッディング処理では、燃料電池の温度を低下させたり、高加湿ガスを供給したり、液水を供給したりすることによりガスが流れない状態を作り出し、カソード電位を低下させる。還元剤の供給処理では、水素、過酸化水素、ヒドラジン、アスコルビン酸、クエン酸などの酸化剤を含むガスを燃料電池に供給することによりカソード電位を低下させる。
以下、実施例を用いて本発明の実施の形態をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、本実施例によって何ら限定されるものではない。
(実験1)
まず、本発明による燃料電池の耐久性向上効果を調べるために、アノードおよびカソードにH2およびN2をそれぞれ供給しつつ、外部から強制的に電圧を印加してカソード電位を変化させ、時間ごとの触媒表面積(ECA)の変化を測定した。より具体的には、図9(A)に示すとおり、燃料電池のカソード電位を0.95Vvs.RHEから種々の電位(0.6Vvs.RHE、0.7Vvs.RHE、0.75Vvs.RHE、および0.8Vvs.RHE)まで低下させ、その後、0.95Vvs.RHEまで戻す処理を繰り返し、触媒表面積を測定した。測定結果を図9(B)に示す。
まず、本発明による燃料電池の耐久性向上効果を調べるために、アノードおよびカソードにH2およびN2をそれぞれ供給しつつ、外部から強制的に電圧を印加してカソード電位を変化させ、時間ごとの触媒表面積(ECA)の変化を測定した。より具体的には、図9(A)に示すとおり、燃料電池のカソード電位を0.95Vvs.RHEから種々の電位(0.6Vvs.RHE、0.7Vvs.RHE、0.75Vvs.RHE、および0.8Vvs.RHE)まで低下させ、その後、0.95Vvs.RHEまで戻す処理を繰り返し、触媒表面積を測定した。測定結果を図9(B)に示す。
図9(B)に示すとおり、燃料電池のカソード電位の下限値が高いほど、触媒表面積の減少が抑えられることが分かる。より具体的には、0.6Vvs.RHEの電位までカソード電位を低下させた場合、触媒表面積が70%程度減少する一方で、0.8Vvs.RHEの電位まで低下させた場合、触媒表面積は20%程度の減少に収まった。
したがって、可逆水素電極に対して0.6Vよりも高い電位までカソード電位を低下させることにより、燃料電池の耐久性が向上されることが確認された。
(実験2)
次に、本発明による燃料電池の発電性能の回復効果を調べるために、燃料電池のカソード電位を約0.8Vvs.RHEまで低下させて、元に戻し、その際に発生する還元電流を測定した。測定結果を図10(A)に示す。
次に、本発明による燃料電池の発電性能の回復効果を調べるために、燃料電池のカソード電位を約0.8Vvs.RHEまで低下させて、元に戻し、その際に発生する還元電流を測定した。測定結果を図10(A)に示す。
図10(A)に示すとおり、カソード電位を0.8Vvs.RHEの電位まで下げることにより、0.1A/cm2以下の低電流密度領域において、セル電圧が10〜15mV程度上昇することが分かる。このことは、カソード電位を0.8Vvs.RHEまで低下させれば、白金触媒表面上の酸化物が還元されて除去されることを意味する。
また、カソード電位を0.95Vvs.RHEから0.80Vvs.RHEの電位まで低下させ、その後、0.95Vvs.RHEまで戻す処理を繰り返した場合の触媒表面積の変化を測定した結果を図10(B)に示す。図10(B)に示すとおり、0.80Vvs.RHEの電位まで低下させた場合、0.95Vvs.RHEで保持した場合と同程度の触媒表面積の減少が観察された。この値は、0.6Vvs.RHEの電位までカソード電位を低下させる場合と比較して、触媒表面積の減少を50%程度抑えられている。
したがって、可逆水素電極に対して0.8V以上の電位まで燃料電池のカソード電位を低下させることによって、燃料電池の発電性能を回復させるとともに、燃料電池の耐久性をより向上させることができることが確認された。
10 燃料電池、
20 燃料タンク、
30 コンプレッサ(電位制御手段)、
40 電圧検出部(電位検出手段)、
50 抵抗検出部、
60 負荷器(電位制御手段)、
70 電流検出部、
80 制御部(電位制御手段)、
90 交流電源(交流電圧印加手段)、
100 燃料電池システム、
200 燃料電池自動車。
20 燃料タンク、
30 コンプレッサ(電位制御手段)、
40 電圧検出部(電位検出手段)、
50 抵抗検出部、
60 負荷器(電位制御手段)、
70 電流検出部、
80 制御部(電位制御手段)、
90 交流電源(交流電圧印加手段)、
100 燃料電池システム、
200 燃料電池自動車。
Claims (8)
- 電極触媒として白金を含む燃料電池と、
前記燃料電池の空気極電位を、可逆水素電極に対して0.6Vよりも高い電位まで低下させることにより、当該燃料電池の発電性能を回復させる電位制御手段と、
を有することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記白金の白金酸化物による被覆率を算出する被覆率算出手段と、
前記算出される被覆率に基づいて、可逆水素電極に対して0.6Vよりも高い範囲で目標とする電位を算出する目標電位算出手段と、をさらに有し、
前記電位制御手段は、前記目標とする電位まで、前記燃料電池の空気極電位を低下させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池の空気極電位を算出する空気極電位算出手段をさらに有し、
前記被覆率算出手段は、前記燃料電池の空気極電位から前記被覆率を算出することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池に交流電流を印加する交流電流印加手段をさらに有し、
前記被覆率算出手段は、前記燃料電池の交流インピーダンスから前記被覆率を算出することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。 - 前記電位制御手段は、前記燃料電池の空気極電位を可逆水素電極に対して0.8V以上の電位まで低下させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記電位制御手段は、前記燃料電池の空気極電位を可逆水素電極に対して0.6Vよりも高い電位まで低下させた状態を0.25秒以上維持することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池システムを駆動用電源として搭載したことを特徴とする燃料電池自動車。
- 電極触媒として白金を含む燃料電池の空気極電位を、可逆水素電極に対して0.6Vよりも高い電位まで低下させることにより、当該燃料電池の発電性能を回復させることを特徴とする燃料電池の運転方法。
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JP2008162453A JP2010003586A (ja) | 2008-06-20 | 2008-06-20 | 燃料電池システム、燃料電池の運転方法、および燃料電池自動車 |
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---|---|---|---|---|
CN103754130A (zh) * | 2014-01-24 | 2014-04-30 | 电子科技大学 | 用于液氢燃料电池汽车的能量回收利用系统及方法 |
JP2015028433A (ja) * | 2013-07-30 | 2015-02-12 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | 貴金属被覆率監視方法、貴金属被覆率監視装置および原子力プラントの運転方法 |
US11069911B2 (en) | 2017-12-19 | 2021-07-20 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Fuel cell system and control method of fuel cell system |
-
2008
- 2008-06-20 JP JP2008162453A patent/JP2010003586A/ja active Pending
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