JP2009032568A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒電極の劣化によって低下した発電能力を回復する燃料電池システムを提供することを課題とする。
【解決手段】燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応によって発電する燃料電池システムであって、電気化学反応のための触媒物質を含有し、カーボンを主材とする触媒電極14と、触媒電極14に接合される電解質膜18と、を有する膜電極接合体13と、触媒電極14からの触媒物質15の溶出による膜電極接合体13の発電能力の低下を検知する劣化検知手段10,11と、劣化検知手段10,11が膜電極接合体13の発電能力の低下を検知すると、触媒電極14中に含まれるカーボンを酸化処理して減量するカーボン酸化手段6と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池は、燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応によって発電を行う。電気化学反応は、膜電極接合体やガス拡散層を担持した燃料電池セルで行われる。
例えば、特許文献1には、燃料電池起動時の触媒の劣化を抑制する技術が記載されている。また、特許文献2には、負荷変動による燃料電池への影響を緩和する技術が記載されている。また、特許文献3には、発電停止時に燃料電池内部の水分を除去する技術が記載されている。
特開2005−166550号公報 特開2004−207059号公報 特開2004−311348号公報
燃料電池の膜電極接合体の電極は、触媒を介して燃料ガスからプロトンを生成したり或いはプロトンと酸化ガスとを結合したりする。電極の触媒は、負荷変動や起動停止による電位変動により、酸化と還元を繰り返し、電解質膜側に溶出する。触媒が電極から溶出すると燃料電池の発電能力が低下する。
本発明は、上記した問題に鑑み、触媒電極の劣化によって低下した発電能力を回復する燃料電池システムを提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため、触媒を含有する膜電極接合体の電極のカーボンを酸化させる。
詳細には、燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応によって発電する燃料電池システムであって、前記電気化学反応のための触媒物質を含有し、カーボンを主材とする触媒電極と、該触媒電極に接合される電解質膜と、を有する膜電極接合体と、前記触媒電極からの前記触媒物質の溶出による前記膜電極接合体の発電能力の低下を検知する劣化検知手段と、前記劣化検知手段が前記膜電極接合体の発電能力の低下を検知すると、前記触媒電極中に含まれるカーボンを酸化処理して減量するカーボン酸化手段と、を備える。
触媒物質を含有した触媒電極を電解質膜と接合した膜電極接合体の場合、触媒物質は発電時の電位変動に晒される。触媒物質は、電位変動により酸化還元を繰り返し、電極から徐々に溶出する。これにより、電解質膜付近の触媒物質が溶出し、その密度が低下する。膜電極接合体で燃料ガスと酸化ガスとを電気化学反応させる燃料電池システムは、電解質膜付近の触媒物質が溶出していると、発電能力が低下する。
そこで、本発明に係る燃料電池システムは、触媒物質の溶出による発電能力の低下を検知すると、カーボン酸化手段により触媒電極中に含まれるカーボンを酸化処理する。触媒電極は、カーボンを主材としているため、カーボンを酸化処理して除去することにより、触媒物質の密度が高まる。電解質膜付近の触媒物質の密度が高まると、発電能力が回復する。
以上、本発明に係る燃料電池システムによれば、触媒電極の劣化によって低下した発電能力を回復することが可能になる。
ここで、前記カーボン酸化手段は、前記触媒電極に含まれるカーボンのうち、前記膜電極接合体の領域内で含水量の不足により発電能力が低下する所定領域に対応する部分のカーボンを酸化処理するようにしてもよい。
電解質膜付近の触媒物質の溶出による発電能力の低下は、プロトンが移動しにくい領域においてその低下率が特に著しい。プロトンが移動しにくい領域とは、プロトンの移動に必要な水が少ない領域である。係る領域では、電解質膜中のプロトンが十分に移動することができないため、電解質膜付近の触媒物質の溶出により膜電極接合体の発電能力が著しく低下する。そこで、膜電極接合体のうち特に所定領域内のカーボンを酸化処理することにより効果的な酸化処理を施すことが可能となる。なお、所定領域とは、膜電極接合体のうち一部の領域であり、例えば、電気化学反応により発生する生成水が流入しないことで電解質膜が乾燥した状態になりやすい、酸化ガスの上流部分にあたる領域である。
また、上記の燃料電池システムは、前記酸化処理により前記膜電極接合体のカソード側から排出されるカソードオフガスの二酸化炭素の量が所定量に達すると、前記カーボン酸化手段によって行われている該酸化処理を停止するカーボン酸化停止手段を更に備えるようにしてもよい。
酸化処理されたカーボンの量は、発生した二酸化炭素の量と正比例する。このため、カソードオフガスの二酸化炭素の量を検知し、これが所定量に達したらカーボン酸化処理を停止することにより、カーボン酸化処理量を所望の量にすることが可能となる。なお、所定量とは、カーボン酸化処理中にカソードオフガスから排出される二酸化炭素の量であり、例えば、触媒物質の溶出により低下した膜電極接合体の発電能力が所望の水準まで回復する量である。
また、前記カーボン酸化手段は、前記触媒電極のうち前記酸化処理をすべきカーボンが存在する部位の触媒電極に電圧を印加することで前記酸化処理を行うようにしてもよい。
生成水等の水を含んだ触媒電極を高電位に晒すと、カーボンが水と反応し、二酸化炭素として酸化処理される。電圧印加によるカーボン酸化処理により、触媒電極の劣化によって低下した発電能力を回復することが可能となる。なお、酸化処理をすべきカーボンが存在する部位とは、膜電極接合体の触媒電極の一部のみならず、全てを含む概念である。
ここで、前記触媒電極は、カソード側の電極であり、前記カーボン酸化手段は、発電中の前記膜電極接合体のアノード側を流れる燃料ガスの量を減らすことで前記酸化処理を行うようにしてもよい。
アノード側を流れる燃料ガスの量を減らすと、上流側では電気化学反応に必要な量の燃料ガスが確保できるものの、下流側では電気化学反応に必要な量の燃料ガスが不足する。換言すれば、燃料ガスの量を減らすことにより、電気化学反応に必要な燃料ガスを部分的に欠乏させることができる。燃料ガスが部分的に不足していると、燃料ガスが不足している領域のカーボンが水と反応し、二酸化炭素として酸化処理される。これにより、触媒電極の劣化によって低下した発電能力を回復することが可能となる。
本発明に係る燃料電池システムによれば、触媒電極の劣化によって低下した発電能力を
回復することが可能になる。
<実施形態1>
以下、本発明の第一実施形態を例示的に説明する。以下に示す実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施形態1の構成>
図1は、本実施形態に係る燃料電池システム1の構成図である。図1において示すように、燃料電池システム1は、燃料電池スタック2、燃料電池スタック2のアノード側に燃料ガスである水素を供給する水素貯蔵タンク3、及び燃料電池スタック2のカソード側に酸化ガスである酸素を含む空気を供給する空気圧縮機4を備えている。また、燃料電池システム1は、各機器を制御する制御装置5(ECU:Electronic Control Unit)を備え
ている。なお、本実施形態に係る燃料電池システム1は、電気モータで走行する燃料電池自動車に搭載されることを前提としている。しかし、本発明はこれに限定されるものでなく、地上に設置したり、自動車以外の移動媒体に搭載したりしてもよい。
燃料電池スタック2は、燃料電池自動車等の移動媒体に適する高分子電解質形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)であり、水素と酸素の供給を受けて発電
する。燃料電池スタック2は、燃料ガスである水素と酸化ガスである酸素との電気化学反応によって発電する膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を多数備え
ており、これら膜電極接合体を有する燃料電池セルが積層されていることにより、所望の電圧を出力するように構成されている。なお、本実施形態において、燃料電池スタック2は、カソード側のガスとアノード側のガスとが対向して流れるカウンター流路方式であることを前提としている。
燃料電池システム1は、水素貯蔵タンク3から燃料電池スタック2へ水素を供給する通路の途中に、水素入口弁6(本発明でいう、カーボン酸化手段に相当する)を備えている。水素入口弁6は、制御装置5の指令で開度を調整可能なコントロールバルブであり、水素貯蔵タンク3から燃料電池スタック2に流れる水素を制御する。
また、燃料電池システム1は、燃料電池スタック2のアノード側から大気へアノードオフガスを放出する通路の途中に水素出口弁7を備えている。水素出口弁7は、制御装置5の指令で開度を調整可能なコントロールバルブであり、大気へ放出するアノードオフガスを制御する。
また、燃料電池システム1は、空気圧縮機4から燃料電池スタック2へ空気を供給する通路の途中に、加湿器8を備えている。加湿器8は、制御装置5の指令に応じて空気圧縮機4から燃料電池スタック2へ流れる空気の湿度を調整する。
また、燃料電池システム1は、燃料電池スタック2のアノード側から大気へカソードオフガスを放出する通路の途中に空気出口弁9を備えている。空気出口弁9は、制御装置5の指令で開度を調整可能なコントロールバルブであり、大気へ放出するカソードオフガスを制御する。
制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory
)、ROM(Read Only Memory)、及び入出力インターフェース等で構成されており、空気圧縮機4、加湿器8、空気出口弁9、水素入口弁6、及び水素出口弁7を制御する。
なお、制御装置5は、燃料電池スタック2の出力電圧を測定する電圧センサ10、燃料
電池スタック2の出力電流を測定する電流センサ11(電圧センサ10や電流センサ11は、本発明でいう劣化検知手段に相当する)、及び燃料電池スタック2と空気出口弁9との間の通路の途中に設けられたカソードオフガスの二酸化炭素濃度を測定する二酸化炭素濃度センサ12(本発明でいうカーボン酸化停止手段に相当する)と電気的に接続されており、燃料電池スタック2の出力電圧、出力電流、及びカソードオフガスの二酸化炭素濃度を取得する。
<実施形態1の制御フロー>
次に、本実施形態に係る燃料電池システム1の運転制御について説明する。図2は、燃料電池システム1の制御フロー図である。以下、図2に示す制御フロー図を参照しながら、燃料電池システム1の運転制御について説明する。
(ステップS101:発電開始)燃料電池自動車に乗車した運転者によって燃料電池システム1が起動されると、制御装置5は、水素入口弁6および水素出口弁7を開いて燃料電池スタック2に水素を供給すると共に、空気出口弁9を開いて空気圧縮機4を起動することで燃料電池スタック2に酸素を含む空気を供給する。制御装置5は、燃料電池スタック2への水素と酸素の供給を開始したら、燃料電池スタック2に電気的負荷を接続する。これにより、燃料電池スタック2内の膜電極接合体で水素と酸素とが電気化学反応し、発電が開始される。
(ステップS102:状態監視)制御装置5は、ステップS101の処理を実行して発電を開始したのち、電流センサ11で燃料電池スタック2の出力電流を監視する。制御装置5は、燃料電池スタック2の出力電流に変化が無ければ(出力電流の変化率がゼロであれば)燃料電池スタック2の運転状態が安定していると判断し、触媒電極の劣化を検知する処理(ステップS103)を実行する。燃料電池スタック2の運転状態の安定を待ってから劣化検知処理を実行するのは、劣化検知に際して燃料電池スタック2の出力電圧や出力電流のパラメータを用いているためである。
(ステップS103:劣化検知)制御装置5は、ステップS102において燃料電池スタック2の運転状態が安定していることを確認したら、燃料電池スタック2の出力電圧と出力電流を測定する。制御装置5は、燃料電池スタック2の出力電圧と出力電流の実測値が予め設定されている値(ROM等に記憶されたマップが示す値であり、触媒電極の厚さや寿命、触媒の含有量等に応じて任意に決定した値)以上であれば、膜電極接合体の触媒電極が劣化していないと判断し、ステップS104の処理を実行する。一方、制御装置5は、燃料電池スタック2の出力電圧と出力電流の実測値が予め設定されている値未満であれば、膜電極接合体の触媒電極が劣化していると判断し、ステップS106の処理を実行する。
(ステップS104:通常運転)制御装置5は、ステップS103の処理において触媒電極が劣化していないと判断したら、燃料電池スタック2への水素と酸素の供給を続け、発電状態を維持する。制御装置5は、発電状態を維持するにあたり、出力電圧や出力電流を監視し、車両の加速や減速等による負荷変動に応じた適切な量の水素と酸素を燃料電池スタック2に供給する。
ここで、燃料電池の劣化のメカニズムについて説明する。燃料電池は、発電を行うと、電極の触媒が溶出して徐々に劣化し、発電能力が低下する。図3において、劣化による触媒電極の状態変化を示す。図3において示すように、膜電極接合体13の触媒電極14は、白金の触媒15を担持した粒状のカーボン16と、複数のカーボン16同士を結合するアイオノマ17で構成される。初期(工場出荷時)の触媒電極14は、図3(a)に示すように、カーボン16に担持されている触媒15が触媒電極14内に略均一に分布してい
る。一方、発電を繰り返した触媒電極14は、図3(b)に示すように、電解質膜18付近にある触媒15が減少している。これは、触媒15が、発電に伴う電位変動に晒されて酸化還元を繰り返し、徐々に電解質膜18側に溶出するためである。
ここで、発電中の膜電極接合体13の電解質膜18(ここでは、カソード側の電極について説明する)が十分な含水量を有している場合、アノード側で発生したプロトンH+
電解質膜18内を十分に移動することができる。このため、電解質膜18付近にある触媒15が減少していても発電能力の低下は比較的小さい。ところが、発電中の膜電極接合体13が低加湿環境下(例えば、加湿器8で十分に加湿されておらず、カソードの入口付近にある触媒電極14の湿度が低い場合等)にあり、電解質膜18が十分な含水量を有していない場合、アノード側で発生したプロトンH+は電解質膜18内やアイオノマ17内を
十分に移動することができない。プロトンH+が移動しにくい低加湿環境下では、主に電
解質膜18付近の触媒15が発電に寄与するが、触媒電極14が劣化しているとプロトンH+が酸素と反応できず、膜電極接合体13(燃料電池スタック2)の発電能力が低下す
る。燃料電池の劣化のメカニズムについて以上である。
運転者によって燃料電池システム1の停止操作が行われると、制御装置5は、発電を停止するため次のステップS105の処理を実行する。
(ステップS105:発電停止)制御装置5は、ステップS104において燃料電池システム1の停止操作が行われると、燃料電池スタック2に接続された電気的負荷を切り離す。そして、制御装置5は、水素入口弁6および水素出口弁7を閉じて燃料電池スタック2への水素の供給を停止すると共に、空気圧縮機4を停止して空気出口弁9を閉じることで燃料電池スタック2への酸素の供給を停止する。これにより、電気化学反応が止まり、燃料電池システム1の停止処理が完了する。
(ステップS106:カーボン酸化処理)一方、制御装置5は、ステップS103の処理において膜電極接合体13の触媒電極14が劣化していると判断したら、水素入口弁6の開度を減じて膜電極接合体13のアノード側に供給する水素の量を減らす(ガスストイキ制御)。これにより、膜電極接合体13が部分水素欠状態になる。制御装置5によって部分水素欠状態になると、膜電極接合体13において以下のような現象が生ずる。
図4は、ガスストイキ制御の概念図である。図4において示すように、膜電極接合体13は、アノード側を水素が流れ(図でいう右下から左上に向かう流れ)、カソード側を酸素が流れる(図でいう左下から右上に向かう流れ)。水素と酸素の電気化学反応によって発生する生成水は、ガスによって下流側に流される。よって、カソードの上流側(図でいう左側)が低加湿部位(含水量が不足しやすい部位)となる。ここで、カウンター流路方式の場合、ガスストイキ制御によりアノード側に供給する水素の量を減らすと、アノードの下流部付近(すなわち、図でいう左側)が部分水素欠状態になる。
図5において、部分水素欠状態にある膜電極接合体13の状態を示す。図5において示すように、燃料電池スタック2は、膜電極接合体13の表面が部分的に水素欠状態になっていても水素欠になっていない部分では電気化学反応が起きているため、水素欠になっている領域のアノード側とカソード側の両電極間にも電位差が生じている。このため、水素欠の領域(図5における右側の領域)にある触媒電極14(触媒層)では、アノード側からプロトンH+が供給されないまま高電位に晒され、カソード側の触媒電極14のカーボ
ンと水とが反応し、二酸化炭素とプロトンH+と電子が発生する。酸素と結合したカーボ
ンは二酸化炭素のガスになって放出されるため、カソード側の触媒電極14のカーボンが徐々に減る。図6において、劣化した触媒電極14のカーボンを酸化処理する際の状態変化を示す。図6において示すように、カソード側の触媒電極のカーボンが酸化されてその
量が減少すると触媒電極14全体の体積が減り、電解質膜18付近の触媒15の密度が上がる(図6における(a)から(b))。
触媒電極14中に含まれる触媒15の密度が上がると、膜電極接合体13(燃料電池スタック2)の発電能力が上昇する。これは、触媒電極14中に含まれる触媒15の密度が上がることにより電解質膜18付近の触媒15の量が増え、アノード側から移動してきたプロトンH+が酸素と結合しやすくなるからである。図7および図8は、燃料電池スタッ
ク2の出力電圧と出力電流との関係を、初期(工場出荷直後)のものと触媒電極14が劣化したものとそれぞれプロットしたグラフである。図7は膜電極接合体を十分に加湿した状態で運転した場合のグラフであり、図8は膜電極接合体を低加湿状態で運転した場合のグラフである。図7と図8とを比較すると判るように、触媒電極14が劣化している場合、低加湿環境下で発電するとその性能低下が特に著しいことが判る。図9は、低加湿状態で運転した場合の燃料電池スタック2の出力電圧と出力電流との関係を、初期(工場出荷直後)、触媒電極14の劣化後、およびカーボン酸化処理実行後のものとそれぞれプロットしたグラフである。図9において示すように、触媒15の溶出によって性能の低下した燃料電池スタック2は、カーボン酸化処理を実行することにより、初期に近い水準までその性能が回復することが判る。
制御装置5は、カーボン酸化処理の実行を開始した後、二酸化炭素濃度センサ12を監視して二酸化炭素の発生量を測定する。二酸化炭素の発生量は、二酸化炭素濃度センサ12によって得られるパラメータを経過時間で積分することにより取得する。そして、制御装置5は、二酸化炭素の発生量が、触媒電極14の表面積等によって予め決定された所定量に達したら、水素入口弁6の開度を本ステップ実行前の開度に戻す。これにより、部分水素欠状態が解消されてカーボン酸化処理が止まる。制御装置5は、本ステップの処理を実行したのち、ステップS104の処理を実行して通常運転を続ける。
<実施形態1の効果>
以上、本実施形態に係る燃料電池システム1によれば、触媒電極の劣化によって低下した発電能力を回復することが可能になる。なお、本実施形態において、カーボンの酸化処理は通常運転前に実施しているが、通常運転中や通常運転終了後であってもよい。
<実施形態2>
以下、本発明の第二実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第一実施形態に係る構成や処理内容と同様のものについては同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。本実施形態と上述した第一実施形態との相違点は、カーボンの酸化方法の違いである。第一実施形態では部分水素欠によりカーボンを酸化処理していたが、本実施形態では触媒電極に外部電源の電圧を印加することでカーボンを酸化させる。以下、本実施形態について詳述する。
<実施形態2の構成>
図10は、第二実施形態に係る燃料電池システム19の構成図である。図10において示すように、燃料電池システム19は、燃料電池スタック20、燃料電池スタック20のアノード側に燃料ガスである水素を供給する水素貯蔵タンク3、及び燃料電池スタック20のカソード側に酸化ガスである酸素を含む空気を供給する空気圧縮機4を備えている。また、燃料電池システム19は、各機器を制御する制御装置21を備えている。なお、燃料電池システム19は、燃料電池スタック20の燃料電池セルに電圧を印加するためのバッテリ22とスイッチ23(バッテリ22およびスイッチ23は、本発明でいうカーボン酸化手段に相当する)を備えている。
燃料電池スタック20は、上述の実施形態1に係る燃料電池スタック2と同様、高分子
電解質形燃料電池である。以下、実施形態1に係る燃料電池スタック2との相違点について説明する。図11は、本実施形態に係る燃料電池セルの断面図である。また、図12は、燃料電池セルの平面図を示す。図11および図12において示すように、燃料電池セルは、膜電極接合体がガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)とセパレータとによっ
て挟持されるように構成されている。このうち、カソードの上流部分である所定領域の触媒電極にバッテリ22の電圧を印加することが可能なようにするため、本実施形態に係る燃料電池スタック20の燃料電池セルは、セパレータのうち所定領域に対応する部分のみが他の領域と絶縁樹脂によって電気的に絶縁されており、また、ガス拡散層のうち所定領域に対応する部分のみが他の領域と空洞によって電気的に絶縁されている。燃料電池スタック20は、このように構成された燃料電池セルを多数積層することで構成されている。
図13は、燃料電池スタック20とバッテリ22、スイッチ23の電気的な接続状態を示す要部拡大図である。図13において示すように、燃料電池スタック20は、触媒電極のうち電気的に区切られた所定領域に対し、バッテリ22の電圧を印加可能なようにスイッチ23(切り替え部)が設けられている。スイッチ23をバッテリ22側に切り替えることにより触媒電極のうち電気的に絶縁された、含水量の少なくなりやすい領域にバッテリ22の電圧を印加し、カーボン酸化処理を施すことが可能になる。また、スイッチ23を反対側(通常ライン)に切り替えることにより、カーボン酸化処理を停止し、通常の発電を行うことが可能になる。なお、図13において、燃料電池セルを積層した燃料電池スタック20は、絶縁部分が上の層から下の層まで貫かれているが、この図は電気的な接続状態の概念を図示したものである。すなわち、図13に示す燃料電池スタック20は、図11に示すような構造の燃料電池セルを多数積層したものであり、ガス拡散層を流れるガスの流れが図13に示す絶縁部分によって遮断されているわけではない。
<実施形態2の制御フロー>
次に、本実施形態に係る燃料電池システム1の運転制御について説明する。図14は、燃料電池システム19の制御フロー図である。以下、図14に示す制御フロー図を参照しながら、燃料電池システム19の運転制御について説明する。
(ステップS201:カーボン酸化処理)ステップS101からステップS105までの処理は上述の実施形態1と同様である。制御装置21は、ステップS103において膜電極接合体の触媒電極が劣化していると判断したら、スイッチ23をバッテリ22側に切り替えて触媒電極に電圧を印加する。これにより、カソード側の触媒電極が高電位に晒され、カソード側を流れる酸素とカーボンとが電気化学反応を起し、触媒電極のカーボンが酸化処理される。カソード側の触媒電極のカーボンが酸化されてその量が減少することにより、実施形態1と同様、触媒電極14中に含まれる触媒15の密度が上がる。触媒電極のカーボンが酸化されることにより触媒電極の性能が回復することは、上述の実施形態1で説明した通りである。
制御装置5は、カーボン酸化処理の実行を開始した後、実施形態1と同様、二酸化炭素濃度センサ12を監視して二酸化炭素の発生量を測定する。そして、制御装置5は、二酸化炭素の発生量が予め設定された所定量に達したら、スイッチ23を開く。これにより、カーボン酸化処理が止まる。制御装置5は、本ステップの処理を実行したのち、ステップS104の処理を実行して通常運転を続ける。
図15は、電圧印加によるカーボン酸化処理の概念図である。図15において示すように、膜電極接合体のアノード側の面を水素が流れ(図でいう右下から左上に向かう流れ)、膜電極接合体のカソード側の面を酸素が流れ(図でいう左下から右上に向かう流れ)ている。低加湿部位であるカソードの上流部分(図でいう左側)にバッテリ22の電圧を印加することにより、電極カーボンの酸化処理を効率よく行うことができる。
<実施形態2の効果>
以上、本実施形態に係る燃料電池システム19によれば、実施形態1に係る燃料電池システム19と同様の効果の他、次のような効果がある。すなわち、水素の供給量を減らして部分水素欠にすることによりカーボンを酸化処理する場合に比べ、酸化処理を施す部位をより確実に特定することが可能になる。これにより、酸化処理する必要の無い領域のカーボンを酸化させることが無くなる。また、CO2量が規定値を超えてから燃料ガス量を
増やして酸化処理を終了する場合に比べ、酸化処理を瞬時に停止することが可能であり、精密なコントロールが可能となる。
第一実施形態に係る燃料電池システムの構成図。 第一実施形態に係る燃料電池システムの制御フロー図。 劣化による触媒電極の状態変化を示す図。 ガスストイキ制御の概念図。 部分水素欠状態にある膜電極接合体の状態図。 劣化した触媒電極のカーボンを酸化処理する際の状態変化を示す図。 膜電極接合体を十分に加湿した状態で運転した場合の燃料電池スタックの出力電圧と出力電流との関係を示すグラフ。 膜電極接合体を低加湿状態で運転した場合の燃料電池スタックの出力電圧と出力電流との関係を示すグラフ。 低加湿状態で運転した場合の燃料電池スタックの出力電圧と出力電流との関係を示すグラフ。 第二実施形態に係る燃料電池システムの構成図。 第二実施形態に係る燃料電池スタックの膜電極接合体の断面図。 第二実施形態に係る燃料電池スタックの膜電極接合体の平面図。 燃料電池スタックとバッテリ、スイッチの要部拡大図である。 第一実施形態に係る燃料電池システムの制御フロー図。 電圧印加によるカーボン酸化処理の概念図。
符号の説明
1,19・・・燃料電池システム
2,20・・・燃料電池スタック
3・・・・・・水素貯蔵タンク
4・・・・・・空気圧縮機
5,21・・・制御装置
6・・・・・・水素入口弁
7・・・・・・水素出口弁
8・・・・・・加湿器
9・・・・・・空気出口弁
10・・・・・電圧センサ
11・・・・・電流センサ
12・・・・・二酸化炭素濃度センサ
13,24・・膜電極接合体
14・・・・・触媒電極
15・・・・・触媒
16・・・・・カーボン
17・・・・・アイオノマ
18・・・・・電解質膜
22・・・・・バッテリ
23・・・・・スイッチ

Claims (5)

  1. 燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応によって発電する燃料電池システムであって、
    前記電気化学反応のための触媒物質を含有し、カーボンを主材とする触媒電極と、該触媒電極に接合される電解質膜と、を有する膜電極接合体と、
    前記触媒電極からの前記触媒物質の溶出による前記膜電極接合体の発電能力の低下を検知する劣化検知手段と、
    前記劣化検知手段が前記膜電極接合体の発電能力の低下を検知すると、前記触媒電極中に含まれるカーボンを酸化処理して減量するカーボン酸化手段と、を備える
    燃料電池システム。
  2. 前記カーボン酸化手段は、前記触媒電極に含まれるカーボンのうち、前記膜電極接合体の領域内で含水量の不足により発電能力が低下する所定領域に対応する部分のカーボンを酸化処理する、
    請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記酸化処理により前記膜電極接合体のカソード側から排出されるカソードオフガスの二酸化炭素の量が所定量に達すると、前記カーボン酸化手段によって行われている該酸化処理を停止するカーボン酸化停止手段を更に備える、
    請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記カーボン酸化手段は、前記触媒電極のうち前記酸化処理をすべきカーボンが存在する部位の触媒電極に電圧を印加することで前記酸化処理を行う、
    請求項1から3の何れか一項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記触媒電極は、カソード側の電極であり、
    前記カーボン酸化手段は、発電中の前記膜電極接合体のアノード側を流れる燃料ガスの量を減らすことで前記酸化処理を行う、
    請求項1から4の何れか一項に記載の燃料電池システム。
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JP2012054110A (ja) * 2010-09-01 2012-03-15 Honda Motor Co Ltd 燃料電池システム
JP2013030437A (ja) * 2011-07-29 2013-02-07 Ngk Spark Plug Co Ltd 燃料電池の劣化判定方法および燃料電池システム

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