JPH08138548A - 緑色発光蛍光体の製造方法 - Google Patents

緑色発光蛍光体の製造方法

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JPH08138548A
JPH08138548A JP28058794A JP28058794A JPH08138548A JP H08138548 A JPH08138548 A JP H08138548A JP 28058794 A JP28058794 A JP 28058794A JP 28058794 A JP28058794 A JP 28058794A JP H08138548 A JPH08138548 A JP H08138548A
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phosphor
emitting phosphor
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green color
green light
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JP28058794A
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Kengo Toda
健吾 戸田
Tatsuo Matsuyama
辰夫 松山
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Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 長時間に亘って高輝度および優れた色純度が
維持される緑色発光用蛍光体を提供する。 【構成】 ガリウム酸塩系複合酸化物のLi源としてLi3P
O4が用いられているため、合成された緑色発光蛍光体
は、比較的低いアノード電圧で発光が生じると共に、他
のLi源が用いられた場合に比較して、低いアノード電圧
で高い輝度が得られ、高い発光効率が得られる。また、
ガリウム酸塩系複合酸化物は色純度の優れた緑色発光が
得られると共に、非硫化物蛍光体であるためカソード電
極の硫化物による劣化が生じない。したがって、長時間
に亘って高輝度と優れた色純度が維持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子線または紫外線に
より励起されて発光する蛍光体の製造方法に関するもの
であり、特に、蛍光表示管やPDP(プラズマ・ディス
プレイ・パネル)等に好適に用いられ得る緑色発光蛍光
体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、蛍光体は、数10kV程度の高
電圧で加速された高速電子線によって励起されて発光す
るブラウン管や大画面表示装置の発光管等用と、1kV
以下、特に300V以下の低速電子線で励起されて発光
する蛍光表示管用と、紫外線で励起されて発光するPD
P等放電管用とに大別される。
【0003】例えば、低速電子線用の蛍光体が用いられ
る蛍光表示管は、一般にプレートガラス、フロントガラ
ス、および両者を接合するスペーサガラスとによって形
成された真空容器の中に、陽極配線層とアノード電極と
から成る陽極、グリッド、およびカソード電極とが配設
された三極真空管として構成され、蛍光体層は上記アノ
ード電極上に形成される。この蛍光表示管では、アノー
ド電極およびカソード電極間に所定の電圧が印加される
と共にグリッドに所定の制御電圧が印加されることによ
って、電子がカソード電極から放出されてアノード電極
に向かわせられ、更にグリッドで加速されて蛍光体層に
衝突させられる。このとき、加速電子が蛍光体を励起す
ることにより蛍光体が発光するのである。
【0004】
【発明が解決すべき課題】上記のような蛍光表示管用の
低速電子線用蛍光体としては、従来、青緑色発光の Zn
O:Zn(但し、「:」の右側の「Zn」は賦活剤を表す。
以下同じ)、赤色系発光の(Zn,Cd)S:Ag、緑色発光の Z
nS:Cu, Al、青色発光の ZnS:Ag、 ZnS:Zn等が用いら
れており、このような蛍光体が用いられた蛍光表示管に
よってフルカラー表示をさせる場合には、R(赤),G
(緑),B(青)に対応する3種の蛍光体が適宜選択さ
れて所定の配色パターンで設けられる。このとき、緑色
発光用蛍光体としては、上記の蛍光体のうち、青緑色発
光の ZnO:Zn或いは緑色発光のZnS:Cu, Alが用いられ
得るが、 ZnO:Znは他の蛍光体に比較して輝度が高く且
つ長寿命であるものの、発光色が白っぽい青緑色である
ので適さない。フルカラー表示の場合には色純度が要求
されるためである。そのため、フルカラー表示の場合に
は、一般に硫化物蛍光体である ZnS:Cu, Alが用いられ
ていた。
【0005】しかしながら、硫化物蛍光体が用いられた
蛍光表示管は、特開昭62−243679号公報におい
て、青色発光蛍光体である ZnS:Znや ZnS:Ag+In2O3
について説明されているように、動作中にカソード電極
の出力特性延いては蛍光表示管の発光特性が劣化すると
いう問題がある。蛍光表示管のカソード電極は、例え
ば、タングステンワイヤ上に、電子放出層として(Ba,S
r,Ca)O のような仕事関数の低いアルカリ土類金属の酸
化物固溶体がコーティングされたフィラメント状のもの
が用いられているが、このカソード電極から放出された
電子が蛍光体層に衝突して発光が生じる際に、蛍光体の
一部が電子によって分解されて、S,SO,SO2等の硫化物系
ガスが飛散する。これがカソード電極表面に付着する
と、その表面に硫化物と酸化物固溶体との化合物が形成
されて、その出力特性が劣化するのである。したがっ
て、蛍光表示管に硫化物蛍光体を用いることは寿命およ
び輝度の点からは好ましくないのである。
【0006】ところで、色純度が良い非硫化物蛍光体と
して、例えば、特公昭48−43030号公報には、青
色発光を示す ZnGa2O4−MgGa2O4 −Li0.5Ga2.5O4系の固
溶体(すなわち、スピネル型結晶構造のガリウム酸塩系
複合酸化物)が開示されており、これに賦活剤として2
価のMnを適量(例えば 0.001〜0.1mol程度)ドープする
ことにより、色純度の良い緑色発光蛍光体が得られるこ
とが知られている。例えば、特開昭51−149772
号公報に示される、組成式 A(Zn1-X , Mg)O・Ga2O3
BMn (但し、 0.6≦A ≦1.2 , 0≦B ≦ 5×10-2, 0≦
X ≦1.0 )で規定される緑色発光蛍光体や、或いはJAPA
N DISPLAY '92 予稿集の 421乃至423 頁に示される、組
成式 ZnGa2O4:Mnで規定される緑色発光蛍光体がそれで
ある。しかしながら、上記のガリウム酸塩系複合酸化物
から成る蛍光体は、一般に導電性が比較的低いため、そ
のまま用いると動作中に蛍光体層表面に電荷が蓄積され
て、カソード電極とアノード電極との間の電位差が小さ
くなり易い。そのため、特に低速電子線用蛍光体として
は充分高い輝度が得られないという問題がある。
【0007】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、長時間に亘って高輝度お
よび優れた色純度が維持される緑色発光用蛍光体の製造
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、本発明の要旨とするところは、Zn(亜鉛)源となる
原料、Li(リチウム)源となる原料、およびGa(ガリウ
ム)源となる原料とを含む複数の出発原料を所定の比率
で混合して所定の温度で加熱することによりスピネル型
結晶構造の化合物を合成する合成工程と、その化合物に
Mn(マンガン)を所定量ドープする賦活剤ドープ工程と
を含み、賦活剤としてMnがドープされたスピネル型結晶
構造のガリウム酸塩系複合酸化物緑色発光蛍光体の製造
方法であって、前記Li源となる原料がLi3PO4であること
にある。
【0009】
【作用および発明の効果】このようにすれば、スピネル
型結晶構造のガリウム酸塩系複合酸化物緑色発光蛍光体
を合成するに際して、Li源となる原料としてLi3PO4が用
いられているため、高い発光効率の緑色発光蛍光体が得
られる。しかも、ガリウム酸塩系複合酸化物緑色発光蛍
光体は、前述のように、非硫化物系材料であるため蛍光
表示管に用いられた場合等にも使用中にカソード電極の
硫化物による劣化が生じず、また、優れた色純度の発光
を示す。したがって、長時間に亘って高輝度および優れ
た色純度が維持される緑色発光蛍光体を製造することが
できるのである。
【0010】すなわち、蛍光体の合成工程においては、
通常、合成を容易に行わせるためのフラックスが必要と
されるが、そのフラックスは、蛍光体の合成後に発光効
率や色純度を低下させないために、蛍光体母体を構成す
る元素を含む材料であることが好ましい。本発明者等
は、種々の材料について検討を重ねた結果、Li源となる
Li3PO4をフラックスとして用いた場合に、極めて高い発
光効率が得られることを見出した。本発明は、斯かる知
見に基づいて為されたものである。
【0011】ここで、好適には、前記緑色発光蛍光体
は、組成式が下記 (1)式で表されるものである。 A(Li0.5XZn1-X-Y MgY O1-0.75X)・(1+0.25X)Ga2O3:BMn ・・・ (1)
【0012】上記 (1)式のガリウム酸塩系複合酸化物緑
色発光蛍光体は、前記特公昭48−43030号公報、
或いは本願出願人が先に出願した特開平6−10804
6号公報に開示される、 ZnGa2O4−MgGa2O4 −Li0.5Ga
2.5O4系の固溶体にMnがドープされたものであり、特に
色純度が良いため好適である。しかも、ZnまたはMgの一
部が置換されることにより、0.45mol 以下の範囲で導電
性の高いLiが含まれることとなるため、固溶体自体が比
較的高い導電性を有する。そのため、蛍光体全体として
一層高い導電性が得られて一層高い輝度が得られると共
に、高い発光効率が得られる。なお、上記 (1)式から明
らかなように、出発原料にはMg源となる原料が含まれて
いても良い。
【0013】なお、上記組成式 (1)において、A の値
は、0.8 未満ではGa2O3 が過剰となり、反対に 1.5より
も大きくなるとZn等が過剰となるため、何れも蛍光体母
体全体に対するスピネル型結晶構造の粒子の比率が十分
大きいものとならず、高い発光効率が得られない。ま
た、X およびY の値が 0.6よりも大きくなると、スピネ
ル型結晶構造のZnサイトに置換されるLi或いはMgの占め
る割合が高くなって、同様に高い発光効率が得られな
い。したがって、上記の範囲が定められているのであ
る。
【0014】また、好適には、前記複数の出発原料の混
合比は、合成される前記蛍光体母体の結晶の80%以上が
スピネル型結晶構造である粒子から構成される値に設定
される。このようにすれば、合成される蛍光体母体のう
ちのスピネル型結晶構造の粒子すなわち発光に寄与する
粒子の比率が比較的高くされるため、一層高い発光効率
が得られる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。
【0016】図1および図2は、本発明の一実施例の緑
色発光蛍光体が用いられた蛍光表示管10の断面図およ
び斜視図である。蛍光表示管10は、透明平板状のプレ
ートガラス12およびフロントガラス14が、中央部が
矩形に除去された矩形のスペーサガラス16によって接
合されて、長手平箱状の真空容器に形成されている。上
記プレートガラス12の上面(すなわち、真空容器内に
位置する面)には、長手方向中央部に陽極配線層18
が、両端部に一対の陰極端子20,20がそれぞれ設け
られている。陰極端子20,20間には、プレートガラ
ス12から比較的離隔した位置において長手方向に平行
な方向に所定の間隔で、表面に電子放出層として、(Ba,
Sr,Ca)O 等の仕事関数の低いアルカリ土類金属の酸化物
固溶体がコーティングされた複数本のタングステンワイ
ヤが設けられており、これによりカソード電極22が構
成されている。
【0017】また、陽極配線層18の上には絶縁層24
を介して、所定の表示パターン形状に対応して区画され
た複数のアノード電極26が設けられており、そのアノ
ード電極26上には上記所定の表示パターンの蛍光体層
28が設けられている。この蛍光体層28は、R
(赤)、G(緑)、B(青)等の発光色の種々の蛍光体
から、所望の発光色に対応するものが選択されて用いら
れる。この蛍光体層28からフロントガラス14側に離
隔した上方には、複数の金網状のグリッド30が所定の
発光区画毎に設けられ、例えばアノード電極26の真空
容器の幅方向における両側に設けられた複数の接点32
に、その幅方向の両端に設けられた端子34において導
電性接着剤等によって接続されている。
【0018】上記陽極配線層18、陰極端子20、接点
32等は、真空容器の長手方向の側部に、例えばプレー
トガラス12とスペーサガラス16との間を通して外部
に貫通して設けられた複数本の接続端子36に接続され
ている。蛍光表示管10は、この接続端子36を通して
所定のアノード電極26およびカソード電極22間、グ
リッド30に所定の駆動電圧が印加されると、カソード
電極22から電子が放出されると共に、その電子がグリ
ッド30によって加速されてアノード電極26に向かわ
せられ、アノード電極26上の蛍光体層28に衝突す
る。これにより、蛍光体が励起されて所定の色の発光を
示すのである。なお、図において38は、プレートガラ
ス12等によって真空容器が形成された後に排気して内
部を真空にするための排気管であり、40はゲッタであ
る。
【0019】以下、上記の蛍光表示管10に用いられる
蛍光体のうち、緑色発光蛍光体の製造方法について図3
の工程フロー図に従って説明する。
【0020】出発原料として、 ZnO(酸化亜鉛;純度5N
=99.999%)、 Ga2O3(酸化ガリウム;純度5N)、Li3P
O4(燐酸リチウム;純度3N)を使用した。各原料の平均
粒径は何れも 5μm 以下である。なお、Li3PO4は、Li源
となると共に、蛍光体母体結晶を合成するためのフラッ
クスとしても作用するものである。先ず、秤量・混合工
程においてこれらの原料を例えば下記表1に示す比率で
秤量し、ボールミル或いは乳鉢等によって十分に混合し
た。次いで、焼成工程において、この混合物を例えば純
度99.5%以上のアルミナ製ルツボに入れ、例えば大気雰
囲気中1200℃にて3時間焼成することにより蛍光体母体
結晶を合成し、更に粉砕工程において例えば平均粒径 2
μm 程度の所定の粒度に粉砕して粉末とした。そして、
洗浄工程において、この粉末から例えば希硝酸(濃度1
N)で未反応のLi3PO4とZnO を溶解して洗浄除去し、第
1乾燥工程において例えば 120℃程度にて2時間程度乾
燥して蛍光体母体粉末を得た。本実施例においては、上
記秤量・混合工程乃至第1乾燥工程が合成工程に対応す
る。
【0021】
【表1】
【0022】次に、分散工程において、 MnSO4の水溶液
に上記の蛍光体母体粉末を分散さて懸濁液とした後、第
2乾燥工程において例えば 120℃程度にて5時間程度乾
燥することにより、蛍光体母体粉末の表面に MnSO4層を
形成した。この試料を、熱処理工程において、例えば還
元雰囲気中で1100℃にて2時間熱処理することにより、
蛍光体母体結晶中に2価のMnをドープし、組成式が下記
(2)式に示される蛍光体を作製した。なお、上記分散工
程における MnSO4水溶液の濃度は、蛍光体母結晶 1mol
に対して、Mnドープ量が0.01mol になるように調製し
た。このMnは賦活剤として作用し、これにより蛍光体母
体が活性化されて緑色発光蛍光体となる。なお、本実施
例においては、上記分散工程乃至熱処理工程が賦活剤ド
ープ工程に対応する。 A(Li0.5XZn1-X O1-0.75X)・(1+0.25X)Ga2O3:0.01Mn ・・・ (2) 但し、 0.8≦A ≦1.5 , 0<X ≦0.6
【0023】上記蛍光体母体は、 ZnOおよびGa2O3 から
合成されて化学式 ZnGa2O4で規定される正スピネル型結
晶と、Li3PO4から生成される Li2O3(酸化リチウム)お
よびGa2O3から合成されて化学式Li0.5Ga2.5O4で規定さ
れる逆スピネル型結晶とから合成されるスピネル型固溶
体、すなわち、前記特公昭48−43030号公報に開
示されているような、青色発光を示すガリウム酸塩複合
酸化物蛍光体であり、上記 (2)式に示される蛍光体は、
このスピネル型固溶体に賦活剤として作用する2価のMn
を添加することによって、色純度の優れた緑色発光を実
現したものである。
【0024】前記蛍光体層28は、例えば、上記の蛍光
体に導電性物質である In2O3(酸化インジウム)粉末を
5wt%添加し、更に、有機バインダと有機溶剤から成る
ビヒクルと混合することにより、蛍光体ペーストを調製
し、例えばスクリーン印刷等によって、前記アノード電
極26上に印刷することによって形成されたものであ
る。
【0025】上記蛍光体から蛍光体層28が形成された
蛍光表示管10の低速電子線による発光特性(発光効
率)を前記表1の右欄に示す。なお、測定は、グリッド
電圧E c =30V,アノード電圧Eb =30V,パルス幅τ
= 100μsec ,デューティ比1/10の条件で行った。蛍光
表示管10においては、一般に発光効率が 0.3(lm/W)以
上であることが望ましいが、上記の蛍光体は全て十分高
い発光効率を示し、Li3PO4の混合比を0.1molとしたNo.3
で発光効率の最大値を示した。なお、上記No.1〜4 の蛍
光体は、色純度の良い緑色発光蛍光体であり、CIE標
準色度図の座標で示すと、x=0.10,y=0.70の近傍に
位置するものである。
【0026】なお、本実施例においては、添加されたLi
3PO4の一部が、蛍光体母体の合成時にスピネル型構造の
Znサイトの一部を占有するため、 ZnOが過剰となり、焼
成後に希硝酸(1N)で洗浄する際に、未反応のLi3PO4
共に除去される。しかも、還元雰囲気中で活性化処理を
する際に、スピネル構造中に酸素欠陥が生じるため、還
元されたZnが蒸発し易くなる。この結果、合成された蛍
光体は、調合組成に比較してZnとLiの量が減少し、元素
分析の結果は下記表2に示すようになる。これにより、
前記表1に示される調合組成から前記 (2)式に示される
組成式の範囲内にある蛍光体が得られる。
【0027】
【表2】
【0028】図4は、前記 (2)式において A=1 , X=
0.1 (すなわち、上記のNo.3と略同様な組成)の組成の
蛍光体から蛍光体層28が形成された蛍光表示管10に
ついて、アノード電圧Eb と輝度との関係を測定した結
果を示すものである。この測定は、Li源としてLi3PO4
用いられた本実施例の蛍光体の特性と、Li2CO3,LiClが
用いられた蛍光体の特性とを比較したものであり、図に
示されているLi3PO4等は、Li源として用いられた原料を
表す。なお、Li源原料が異なる他は、全て同様な製造方
法によった。
【0029】図から明らかなように、本実施例において
は、Li源としてLi3PO4が用いられているため、比較的低
いアノード電圧で発光が生じると共に、他のLi源が用い
られた場合に比較して、低いアノード電圧で高い輝度が
得られ、高い発光効率が得られる。なお、図において
「無添加」と表しているものは、Li源を混合していない
X=0 の場合を対比のために示しているものである。
【0030】また、本実施例においては、緑色発光蛍光
体が、前記特公昭48−43030号公報に記載されて
いる青色発光のガリウム酸塩複合酸化物蛍光体に2価の
Mnがドープされることにより合成されて、前記 (2)式に
示される組成とされていることから、前述のようにCI
E標準色度図の座標でx=0.10,y=0.70の近傍に位置
する色純度の優れた緑色発光が得られると共に、非硫化
物蛍光体であることから、カソード電極22の劣化が生
じない。したがって、長時間に亘って高輝度と優れた色
純度が維持される。
【0031】次に、前記 (2)式の組成において、A およ
びX の値を変化させた場合の発光効率の変化について説
明する。なお、蛍光体を合成するに際しては、調合比の
みを変化させ、出発原料および製造方法は、前述の実施
例と同様とした。組成および発光効率を下記表3に示
す。なお、下記表3において、右欄(判定)の○は発光
効率が十分高いことを、×は発光効率が不十分であるこ
とを示す。但し、No.11は発光効率は0.35(lm/W)と十分
高いが、 X=0 すなわちLi3PO4が添加されていないこと
から、前記の図4のLi無添加の場合の説明から明らかな
ように輝度の立ち上がりが悪いため、判定が×とされて
いる。
【0032】
【表3】
【0033】上記の表3において、No.5〜10は、前記
(2)式のスピネル型固溶体のZnサイトの10%をLiとGaで
置換し、更に、スピネル型構造の化学量論組成からのず
れに対する発光効率の変化を比較したものである。 A=
1.5 (No.6)のときには合成した酸化物は80%以上がス
ピネル型構造であり、0.8 ≦A ≦1.25の範囲(No.7〜9)
でも同様にスピネル型構造の酸化物の比率が比較的高
く、この範囲においては高い発光効率が得られる。これ
に対して、 A=1.75(No.5)のときには過剰のZnOが30
%検出され、反対に、 A=0.6 (No.10)のときには過剰
のGa2O3 が検出され、何れも低い発光効率となった。
【0034】また、No.8およびNo.11 〜15は、 A=1 の
ときにZnサイトのLiとGaの置換量を変化させた場合の発
光効率の変化を比較したものである。微量のLiでZnを置
換すると、蛍光体母体の導電性が飛躍的に改善され、表
3の範囲内においては、 X=0.1 のときに発光効率の最
大値を示す。これに対して、 X=0 すなわちLi含有量が
0 のときは蛍光体母体の導電性が比較的低いため、高い
発光効率は得られない。一方、 Xの値が 0.6を越えた場
合にも、スピネル型結晶構造のZnサイトに置換されるLi
およびGaの占める割合が高くなって発光効率は急激に低
下する。
【0035】上記結果から明らかなように、スピネル型
構造の化学量論組成からのずれは、0.8≦A ≦1.5 の範
囲が好適であり、一方、ZnサイトのLiとGaの置換量に対
応する Xの値は、 0<X ≦0.6 の範囲が好適である。
【0036】なお、緑色発光蛍光体の組成は前記 (1)式
に示されるように、Mgが含有されたものでも良い。この
場合、出発原料としては先の実施例に示したものに加え
て、例えば、平均粒径 5μm 以下の MgCO3(純度5N)が
用いられる。組成および発光特性を下記表4に示す。な
お、本実施例においては、合成される蛍光体母体がスピ
ネル型結晶構造の化学量論組成となるように、前記 (1)
式において A=1 とすると共に、Znサイトの置換量(X
の値)を前記表1〜表3の実施例で比較的高い発光効率
が得られた X=0.1 としたものである。一般に、紫外線
で蛍光体を励起するPDPにおいてはMgが添加される
が、下記表4から明らかなように、本実施例によれば、
Mgが添加された場合にも比較的高い発光効率が得られ
る。
【0037】
【表4】
【0038】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
【0039】例えば、前述の実施例においては、出発原
料としてZnO ,Ga2O3 ,Li3PO4,MgCO3 等を用いたが、
Li3PO4以外の出発原料は適宜変更される。例えば、ZnO
やGa 2O3 に代えてZnやGaの水酸化物,炭酸塩,硫化物,
硫酸塩,有機金属等の 800℃以上の高温焼成によって単
独の酸化物或いはスピネル型結晶構造の酸化物になるも
のが用いられ得る。例えば、Zn源としては、 Zn(CH3CO
O)2・2H2O(酢酸亜鉛),2ZnCO3・3Zn(OH)2・H2O (塩
基性炭酸亜鉛), ZnSO4・7H2O(硫酸亜鉛), Zn3(P
O4)2・4H2O(燐酸亜鉛)等が用いられ得る。また、Ga源
としては、 Ga2(SO4)3(硫酸ガリウム)等が用いられて
も良い。
【0040】また、スピネル型結晶構造のガリウム酸塩
系複合酸化物の組成は、調合組成が変更されることによ
り前記 (1)式の範囲で適宜変更される他、種々の組成の
ものが用いられ得る。例えば、Znが含まれない組成とさ
れても良い。
【0041】また、蛍光体に添加される導電性物質は、
実施例の In2O3(酸化インジウム)の他に、ZnO ,Nb2O
5 ,SnO2等も用いられ得る。なお、これらの導電性物質
は、必ずしも添加されなくとも良い。
【0042】また、賦活剤としてMnをドープするための
原料としては、実施例で示した MnSO4の他に、MnCO3
の熱処理過程において蛍光体母体にMnをドープすること
ができる種々の原料を適宜用い得る。
【0043】また、実施例においては、本発明の蛍光体
が低速電子線が用いられる蛍光表示管10に適用された
場合を説明したが、その他の高速電子線が用いられるブ
ラウン管や、紫外線で励起されるPDP等放電管用とし
て適用されても良い。
【0044】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の緑色発光蛍光体が適用された蛍光表示
管の断面構造を説明する図である。
【図2】図1の蛍光表示管の全体を示す斜視図である。
【図3】本発明の緑色発光蛍光体の製造方法の一例を示
す工程フロー図である。
【図4】Li源原料を代えた場合のアノード電圧と輝度と
の関係を説明するための図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Zn(亜鉛)源となる原料、Li(リチウ
    ム)源となる原料、およびGa(ガリウム)源となる原料
    とを含む複数種類の原料を所定の比率で混合して所定の
    温度で加熱することによりスピネル型結晶構造の化合物
    を合成する合成工程と、該化合物にMn(マンガン)を所
    定量ドープする賦活剤ドープ工程とを含み、賦活剤とし
    てMnがドープされたスピネル型結晶構造のガリウム酸塩
    系複合酸化物緑色発光蛍光体の製造方法であって、 前記Li源となる原料がLi3PO4であることを特徴とする緑
    色発光蛍光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記緑色発光蛍光体は、組成式が次式で
    表されるものである請求項1の緑色発光蛍光体の製造方
    法。 A(Li0.5XZn1-X-Y MgY O1-0.75X)・(1+0.25X)Ga2O3:BMn
JP28058794A 1994-11-15 1994-11-15 緑色発光蛍光体の製造方法 Pending JPH08138548A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100385742B1 (ko) * 1999-10-04 2003-05-28 후다바 덴시 고교 가부시키가이샤 형광체 및 형광 표시관

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KR100385742B1 (ko) * 1999-10-04 2003-05-28 후다바 덴시 고교 가부시키가이샤 형광체 및 형광 표시관

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