JP3514836B2 - 緑色発光蛍光体 - Google Patents

緑色発光蛍光体

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JP3514836B2 JP23305494A JP23305494A JP3514836B2 JP 3514836 B2 JP3514836 B2 JP 3514836B2 JP 23305494 A JP23305494 A JP 23305494A JP 23305494 A JP23305494 A JP 23305494A JP 3514836 B2 JP3514836 B2 JP 3514836B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子線または紫外線に
より励起されて発光する蛍光体に関するものであり、特
に、蛍光表示管やPDP(プラズマ・ディスプレイ・パ
ネル)等に好適に用いられ得る緑色発光蛍光体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、蛍光体は、数10kV程度の高
電圧で加速された高速電子線によって励起されて発光す
るブラウン管や大画面表示装置の発光管等用と、1kV
以下、特に300V以下の低速電子線で励起されて発光
する蛍光表示管用と、紫外線で励起されて発光するPD
P等放電管用とに大別される。
【0003】例えば、低速電子線用の蛍光体が用いられ
る蛍光表示管は、一般にプレートガラス、フロントガラ
ス、および両者を接合するスペーサガラスとによって形
成された真空容器の中に、陽極配線層とアノード電極と
から成る陽極、グリッド、およびカソード電極とが配設
された三極真空管として構成され、蛍光体層は上記アノ
ード電極上に形成される。この蛍光表示管では、アノー
ド電極およびカソード電極間に所定の電圧が印加される
と共にグリッドに所定の制御電圧が印加されることによ
って、電子がカソード電極から放出されてアノード電極
に向かわせられ、更にグリッドで加速されて蛍光体層に
衝突させられる。このとき、加速電子が蛍光体を励起す
ることにより蛍光体が発光するのである。
【0004】
【発明が解決すべき課題】上記のような蛍光表示管用の
低速電子線用蛍光体としては、従来、青緑色発光のZn
O:Zn(但し、「:」の右側の「Zn」は賦活剤を表
す。以下同じ)、赤色系発光の(Zn,Cd)S:A
g、緑色発光のZnS:Cu,Al、青色発光のZn
S:Ag、ZnS:Zn等が用いられており、このよう
な蛍光体が用いられた蛍光表示管によってフルカラー表
示をさせる場合には、R(赤),G(緑),B(青)に
対応する3種の蛍光体が適宜選択されて所定の配色パタ
ーンで設けられる。このとき、緑色発光用蛍光体として
は、上記の蛍光体のうち、青緑色発光のZnO:Zn或
いは緑色発光のZnS:Cu,Alが用いられ得るが、
ZnO:Znは他の蛍光体に比較して輝度が高く且つ長
寿命であるものの、発光色が白っぽい青緑色であるので
適さない。フルカラー表示の場合には色純度が要求され
るためである。そのため、フルカラー表示の場合には、
一般に硫化物蛍光体であるZnS:Cu,Alが用いら
れていた。
【0005】しかしながら、硫化物蛍光体が用いられた
蛍光表示管は、特開昭62−243679号公報におい
て、青色発光蛍光体であるZnS:ZnやZnS:Ag
+In2 3 について説明されているように、動作中に
カソード電極の出力特性延いては蛍光表示管の発光特性
が劣化するという問題がある。蛍光表示管のカソード電
極は、例えば、タングステンワイヤ上に電子放出層とし
て(Ba,Sr,Ca)Oのような仕事関数の低いアル
カリ土類金属の酸化物固溶体がコーティングされたフィ
ラメント状のものが用いられているが、このカソード電
極から放出された電子が蛍光体層に衝突して発光が生じ
る際に、蛍光体の一部が電子によって分解されて、S,
SO,SO2 等の硫化物系ガスが飛散する。これがカソ
ード電極表面に付着すると、その表面に硫化物と酸化物
固溶体との化合物が形成されて、その出力特性が劣化す
るのである。したがって、蛍光表示管に硫化物蛍光体を
用いることは寿命および輝度の点からは好ましくないの
である。
【0006】ところで、色純度が良い非硫化物蛍光体と
して、例えば、特公昭48−43030号公報には、青
色発光を示すZnGa2 4 −MgGa2 4 −Li
0.5 Ga2.5 4 系の固溶体(すなわち、スピネル型結
晶構造のガリウム酸塩系複合酸化物)が開示されてお
り、これに賦活剤として2価のMnを適量(例えば0.
001〜0.1mol 程度)ドープすることにより、色純
度の良い緑色発光蛍光体が得られることが知られてい
る。例えば、特開昭51−149772号公報に示され
る、組成式 A(Zn1-X ,Mg)O・Ga2 3 :B
Mn(但し、 0.6≦A≦1.2 , 0≦B≦ 5×10-2, 0≦
X≦1.0 )で規定される緑色発光蛍光体や、或いはJAPA
N DISPLAY '92 予稿集の421乃至423頁に示され
る、組成式ZnGa2 4 :Mnで規定される緑色発光
蛍光体がそれである。しかしながら、上記のガリウム酸
塩系複合酸化物から成る蛍光体は、一般に導電性が比較
的低いため、そのまま用いると動作中に蛍光体層表面に
電荷が蓄積されて、カソード電極とアノード電極との間
の電位差が小さくなり易い。そのため、特に低速電子線
用蛍光体としては充分高い輝度が得られないという問題
がある。
【0007】そのため、上記の蛍光体を用いて蛍光体層
を形成するに際しては、蛍光体に例えばIn2 3 ,Z
nO,Nb2 5 ,SnO2 等の導電性物質が所定量混
合される。ところが、これらの導電性物質は非発光物で
あるため、蛍光体に充分な導電性が付与される程度の量
(例えば20%以上)を混合すると、蛍光体中の非発光
物の比率が高くなって、結局高い輝度が得られないので
ある。しかも、導電性物質が比較的多く混合されると、
非発光物を経由して流れる電流が多くなるため、消費電
力が増大して蛍光表示管の発光効率が低下することにも
なる。
【0008】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、長時間に亘って高輝度お
よび優れた色純度が維持される緑色発光用蛍光体を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、本発明の要旨とするところは、2価のMnがドープ
されたスピネル型結晶構造のガリウム酸塩系複合酸化物
緑色発光蛍光体を主成分とする緑色発光蛍光体であっ
て、Zn(亜鉛)を賦活剤とする青緑色発光蛍光体であ
って390nmにピークを有する紫外線を放射するZn
O:Znが10乃至30重量%含まれることにある。
【0010】
【作用および発明の効果】このようにすれば、主成分と
してスピネル型結晶構造のガリウム酸塩系複合酸化物
2価のMnがドープされた緑色発光蛍光体が用いられて
いるため、色純度の優れた緑色発光が得られる。前述の
ように、このガリウム酸塩系複合酸化物緑色発光蛍光体
は、比較的導電性が低いものであるが、これに比較的導
電性が高い蛍光体であるZnO:Znが10〜30重量
%含まれることにより、輝度を低下させることなく、蛍
光体全体として高い導電性が得られる。ZnO:Znは
青緑色発光蛍光体であるが、上記の含有量の範囲では蛍
光体全体の色純度を大きく損なわず、従来の硫化物蛍光
体と略同様の色純度が得られるのである。しかも、上記
ZnO:Znは390nmにピークを有する紫外線を放
射するため、この紫外線によっても緑色発光蛍光体が励
起されて発光させられるので、輝度が一層高められる。
また、これらの蛍光体の成分は何れも非硫化物であるた
め、蛍光表示管に用いられた場合等にも、使用中にカソ
ード電極の硫化物による劣化が生じない。したがって、
長時間に亘って高輝度および優れた色純度が維持される
緑色発光蛍光体が得られるのである。
【0011】ここで、好適には、前記ガリウム酸塩系複
合酸化物緑色発光蛍光体は、組成式が次式 (1)で表され
るものである。 A(Li0.5X Zn1-X-YMgY O1-0.75X)・(1+0.25X)Ga2O3:BMn ・・・ (1)
【0012】上記 (1)式のガリウム酸塩系複合酸化物緑
色発光蛍光体は、前記特公昭48−43030号公報、
或いは本願出願人が先に出願した特開平6−10804
6号公報に開示されている、ZnGa2 4 −MgGa
2 4 −Li0.5 Ga2.5 4 系の固溶体にMnがドー
プされたものであり、特に色純度が良いため好適であ
る。特に、ZnまたはMgの一部がLiで置換される0
<Xの範囲では、導電性の高いLiが含まれることとな
るため、固溶体自体が比較的高い導電性を有する。その
ため、蛍光体全体として一層高い導電性が得られて一層
高い輝度が得られると共に、高い発光効率が得られる。
また、青緑色発光蛍光体であるZnO:Znの含有量を
比較的少なくしても比較的高い導電性が得られるため、
一層色純度に優れ、高い輝度が得られる緑色発光蛍光体
が得られる。
【0013】なお、上記組成式 (1)において、Aの値
は、0.8未満ではGa2 3 が過剰となり、反対に
1.5よりも大きくなるとZn等が過剰となるため、何
れも蛍光体母体全体に対するスピネル型結晶構造の粒子
の比率が充分大きいものとならず、高い発光効率が得ら
れない。また、XおよびYの値が0.6よりも大きくな
ると、スピネル型結晶構造のZnサイトに置換されるL
i或いはMgの占める割合が高くなって同様に高い発光
効率が得られない。したがって、上記の範囲が定められ
ているのである。なお、上述のようにZnまたはMgの
一部がLiで置換されると比較的高い導電性が得られる
ため、Xの値は 0<X≦6.0 であることが一層好まし
い。
【0014】また、好適には、前記緑色発光蛍光体は、
In2 3 ,ZnO,Nb2 3 ,SnO2 のうちの少
なくとも1種が1乃至20重量%含まれているものであ
る。このようにすれば、導電性が比較的高い添加物が蛍
光体に更に含まれることとなるため、一層高い導電性が
得られ、一層高い輝度が得られることとなる。したがっ
て、例えば、比較的高い色純度の緑色発光を得るために
前記ZnO:Znの含有量を比較的低くする場合にも、
色純度を維持すると共に充分高い輝度を得ることが可能
である。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。
【0016】図1および図2は、本発明の一実施例の緑
色発光蛍光体が用いられた蛍光表示管10の断面図およ
び斜視図である。蛍光表示管10は、透明平板状のプレ
ートガラス12およびフロントガラス14が、中央部が
矩形に除去された矩形のスペーサガラス16によって接
合されて、長手平箱状に形成されている。上記プレート
ガラス12の上面(すなわち、真空容器内に位置する
面)には、長手方向中央部に陽極配線層18が、両端部
に一対の陰極端子20,20がそれぞれ設けられてい
る。陰極端子20,20間には、プレートガラス12か
ら比較的離隔した位置において長手方向に平行な方向に
所定の間隔で、表面に電子放出層として(Ba,Sr,
Ca)O等の仕事関数の低いアルカリ土類金属の酸化物
固溶体がコーティングされた複数本のタングステンワイ
ヤが設けられており、これによりカソード電極22が構
成されている。
【0017】また、陽極配線層18の上には絶縁層24
を介して、所定の表示パターン形状に対応して区画され
た複数のアノード電極26が設けられており、そのアノ
ード電極26上には上記所定の表示パターンの蛍光体層
28が設けられている。この蛍光体層28は、R
(赤)、G(緑)、B(青)等の発光色の種々の蛍光体
から、所望の発光色に対応するものが選択されて用いら
れる。この蛍光体層28からフロントガラス14側に離
隔した上方には、複数の金網状のグリッド30が所定の
発光区画毎に設けられ、例えばアノード電極26の真空
容器の幅方向における両側に設けられた複数の接点32
に、その幅方向の両端に設けられた端子34において導
電性接着剤等によって接続されている。
【0018】上記陽極配線層18、陰極端子20、接点
32等は、真空容器の長手方向の側部に、例えばプレー
トガラス12とスペーサガラス16との間を通して外部
に貫通して設けられた複数本の接続端子36に接続され
ている。蛍光表示管10は、この接続端子36を通して
所定のアノード電極26およびカソード電極22間、グ
リッド30に所定の駆動電圧が印加されると、カソード
電極22から電子が放出されると共に、その電子がグリ
ッド30によって加速されてアノード電極26に向かわ
せられ、アノード電極26上の蛍光体層28に衝突す
る。これにより、蛍光体が励起されて所定の色の発光を
示すのである。なお、図において38は、プレートガラ
ス12等によって真空容器が形成された後に排気して内
部を真空にするための排気管であり、40はゲッタであ
る。
【0019】上記の蛍光表示管10に用いられる蛍光体
のうち、緑色発光蛍光体は、例えば、スピネル型結晶構
造のガリウム酸塩系複合酸化物にZnO:Znが1〜5
0重量%の範囲で含まれたものである。以下、この緑色
発光蛍光体の製造方法について説明する。
【0020】先ず、例えば、組成式が前記 (1)式で示さ
れるスピネル型結晶構造のガリウム酸塩系複合酸化物の
合成方法を説明する。出発原料として、ZnO(純度5
N=99.999%)、Ga23(純度5N)、Li3
PO4(純度3N)を使用した。各原料の平均粒径は何
れも5μm以下である。例えば、上記原料をZn:G
23:Li3PO4=1:1:0.1(但し、モル比)
の調合組成で、ボールミル或いは乳鉢等によって充分に
混合した。この混合物を、例えば純度99.5%以上の
アルミナ製ルツボに入れ、例えば大気雰囲気中1200
℃にて3時間焼成した。この焼成物を粉砕すると共に希
硝酸(濃度1N)で溶解・洗浄し、未反応のZnOおよ
びLi3PO4を除去して、粉末状の蛍光体母体結晶を得
た。
【0021】上記の粉末状とされた蛍光体母体結晶を、
MnSO4 の水溶液に分散させて懸濁液とした後、乾燥
することにより、蛍光体母体結晶粉末の表面にMnSO
4 層を形成した。この試料を還元雰囲気中で1100℃
にて2時間熱処理することにより、蛍光体母体結晶中に
2価のMnをドープした。なお、MnSO4 水溶液の濃
度は、蛍光体母体結晶1mol に対して、Mnドープ量が
0.01mol になるように調製した。このMnは賦活剤
として作用し、これにより蛍光体母体が活性化されて色
純度の優れた緑色発光が得られる。なお、この蛍光体
は、前記 (1)式において、A=1.046,X=0.0
98,Y=0とされた組成であった。
【0022】なお、上記蛍光体母体は、ZnO(酸化亜
鉛)とGa2 3 (酸化ガリウム)とから合成されて化
学式ZnGa2 4 で規定される正スピネル型結晶と、
Li 2 3 (酸化リチウム)とGa2 3 とから合成さ
れて化学式Li0.5 Ga2.54 で規定される逆スピネ
ル型結晶から合成されるスピネル型固溶体、すなわち、
前記特公昭48−43030号公報に開示されているよ
うな、青色発光を示すガリウム酸塩複合酸化物蛍光体で
あり、上記蛍光体は、このスピネル型固溶体に賦活剤と
して作用する2価のMnを添加することによって、色純
度の優れた緑色発光を実現したものである。
【0023】次に、酸化亜鉛に賦活剤として亜鉛が添加
された青緑色発光蛍光体であるZnO:Zn、例えば、
EIA(米国のElectronics Industrial Association)
に定められたP−15,P−24等を別途用意し、上記
スピネル型結晶構造のガリウム酸塩系複合酸化物蛍光体
(下記表1においては「スピネル」と表記)と下記表1
のNo.1〜10に示す重量比で混合した。前記蛍光体層28
は、この混合粉末を有機バインダと有機溶剤から成るビ
ヒクルと混合することにより、蛍光体ペーストを調製
し、例えばスクリーン印刷等によって、前記アノード電
極26上に印刷することによって形成されたものであ
る。なお、No.1,9,10 はZnO:Znが含まれない、或
いは過剰とされた比較例である。
【0024】
【表1】
【0025】上記の蛍光体から蛍光体層28が形成され
た蛍光表示管10の発光特性(すなわち、低速電子線に
よる発光特性)を測定した結果を、上記表1の右欄およ
び図3のCIE標準色度図に示す。なお、測定は、グリ
ッド電圧Ec =30V,アノード電b=30V,パ
ルス幅τ=100μsec,デューティ比1/10の条件
で行った。また、上記表1においてNo.11は、色純度が
比較的優れた緑色発光蛍光体として従来用いられていた
硫化物系蛍光体であり、本実施例と対比するために同様
に測定したものである。上記表1から明らかなように、
スピネル型結晶構造のガリウム酸塩系複合酸化物にZn
O:Znを混合することにより発光輝度が改善され、表
1および図3から明らかなように、混合比が50重量%
以下の範囲では比較的高い色純度が維持される。特に、
混合比が10〜30重量%(すなわち、No.4〜6)とさ
れたときに、従来の硫化物蛍光体と略同様の輝度および
色純度が得られる。
【0026】すなわち、本実施例によれば、スピネル型
結晶構造のガリウム酸塩系複合酸化物に、比較的高い導
電性を有し且つそれ自体が蛍光体であるZnO:Znが
1〜50重量%混合されているため、輝度を損なうこと
なく、蛍光体全体の導電性が改善される。このとき、青
緑色発光するZnO:Znの混合比が上記の範囲に定め
られているため、緑色発光するスピネル型結晶構造のガ
リウム酸塩系複合酸化物の優れた色純度が特に低下させ
られない。しかも、何れの蛍光体も非硫化物であるた
め、蛍光表示管10等に用いられた場合にも、使用中の
カソード電極22の硫化物による劣化が生じない。した
がって、低速電子線用として使用可能であり、長時間に
亘って高い発光輝度と良好な色純度が維持される緑色発
光蛍光体が得られるのである。
【0027】また、前記 (1)式に示されるスピネル型結
晶構造のガリウム酸塩系複合酸化物は、ZnまたはMg
の一部がLiで置換されて0.45mol 未満の範囲で導
電性の高いLiが含まれるものであるため、比較的抵抗
値が低くされている。そのため、蛍光体全体として一層
高い導電性が得られて一層高い輝度が得られると共に、
高い発光効率が得られる。また、青緑色発光蛍光体であ
るZnO:Znの含有量を比較的少なくしても比較的高
い導電性が得られるため、一層色純度に優れ、高い輝度
を有する緑色発光蛍光体が得られる。
【0028】また、本実施例によれば、Liの供給源と
してLi3 PO4 が用いられているため、蛍光体の合成
過程においてLi3 PO4 がフラックスとして作用して
反応が一層容易に行われる。なお、Li源となるフラッ
クスとしては、Li2 CO3等種々のものがあるが、上
記Li3 PO4 を用いた場合に最も高い輝度が得られ
た。
【0029】なお、前記図3のCIE色度図において、
実施例No.7,8は、比較的青緑色発光を示すZnO:Zn
蛍光体に近い座標位置に位置するが、一般に知られてい
るように、白色域に向かうに従って色度を見分け得る最
小の差である識別域は小さくなるため、両実施例とも充
分良好な色純度を示すのである。
【0030】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
【0031】例えば、前述の実施例においては、出発原
料としてZnO、Ga2 3 、Li 3 PO4 が用いられ
ることにより、前記 (1)式においてA=1.046,X
=0.098,Y=0,B=0.01、すなわち、1.04
6(Li0.049 Zn0.902 0. 9265)・1.0245Ga2 3
0.01Mnの組成式で示されるスピネル型結晶構造のガリ
ウム酸塩系複合酸化物が合成された場合について説明し
たが、上記の出発原料は適宜変更される。例えば、同様
な組成式の酸化物を合成する場合に、Li3 PO4 に代
えてLi2 CO3 等が用いられても良く、また、ZnO
やGa2 3 に代えて、ZnやGaの水酸化物,炭酸
塩,硫化物,硝酸塩,有機金属等の800℃以上の高温
焼成によって単独の酸化物またはスピネル型結晶構造の
酸化物になるものが用いられ得る。例えば、Zn源とし
ては、Zn(CH3 COO)2 ・2H2 O(酢酸亜
鉛)、2ZnCO3 ・3Zn(OH)2 ・H2 O(塩基
性炭酸亜鉛、ZnSO4 ・7H2 O(硫酸亜鉛)、Zn
3 (PO4 2 ・4H2 O(燐酸亜鉛)等が用いられ得
る。また、Ga源としては、Ga2 (SO4 3 (硫酸
ガリウム)等が用いられ得る。
【0032】また、スピネル型結晶構造のガリウム酸塩
系複合酸化物の組成は、調合組成が変更されることによ
り前記 (1)式の範囲で適宜変更される他、種々の組成の
ものが適用される。例えば、MgCO3 等が出発原料と
して用いられることにより、Mgが含まれる組成とされ
ても良く、また、Li或いはZnが含まれない組成とさ
れても良い。
【0033】また、スピネル型結晶構造のガリウム酸塩
系複合酸化物に賦活剤としてMnをドープするための原
料としては、実施例で示したMnSO4 の他に、MnC
3等の熱処理過程において蛍光体母体にMnをドープ
することができる種々の原料を適宜用い得る。
【0034】また、ZnO:Zn蛍光体としては、実施
例に示したようにP−15,P−24等が用いられ得る
が、特に、P−15は390nmにピークを有する紫外
線を放射し、この紫外線によってもスピネル型結晶構造
のガリウム酸塩系複合酸化物が励起されて発光させられ
るため、一層好適である。
【0035】なお、緑色発光蛍光体には、In2 3
ZnO,Nb2 3 ,SnO2 等の導電性材料のうちの
少なくとも1種が1乃至20重量%含まれていても良
い。このようにすれば、導電性が比較的高い添加物が蛍
光体に更に含まれることとなるため、一層高い導電性が
得られ、一層高い輝度が得られることとなる。したがっ
て、例えば、比較的高い色純度の緑色発光を得るために
ZnO:Znの含有量を比較的低くする場合にも、色純
度を維持すると共に充分高い輝度を得ることができる。
なお、上記導電性材料は非蛍光体であるため、多量に用
いることは好ましくない。また、上記の導電性材料は、
例えば、蛍光体層28を形成するために蛍光体ペースト
を調製する際に混合される。
【0036】また、実施例においては、本発明の蛍光体
が低速電子線が用いられる蛍光表示管10に適用された
場合を説明したが、その他の高速電子線が用いられるブ
ラウン管や、紫外線で励起されるPDP等放電管用とし
て適用されても良い。
【0037】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の緑色発光蛍光体が適用された蛍光表示
管の断面構造を説明する図である。
【図2】図1の蛍光表示管の全体を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例の緑色発光蛍光体の色度をC
IE標準色度図上に示す図である。
【符号の説明】
10:蛍光表示管 28:蛍光体層(緑色発光蛍光体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−178386(JP,A) 特開 昭55−30177(JP,A) 特開 昭58−204087(JP,A) 特開 昭51−149772(JP,A) 特開 平6−108046(JP,A) 特公 昭48−43030(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 11/08 C09K 11/54 C09K 11/62

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2価のMnがドープされたスピネル型結
    晶構造のガリウム酸塩系複合酸化物緑色発光蛍光体を主
    成分とする緑色発光蛍光体であって、 Zn(亜鉛)を賦活剤とする青緑色発光蛍光体であって
    390nmにピークを有する紫外線を放射するZnO:
    Znが10乃至30重量%含まれることを特徴とする緑
    色発光蛍光体。
  2. 【請求項2】 前記ガリウム酸塩系複合酸化物緑色発光
    蛍光体は、組成式が次式で表されるものである請求項1
    の緑色発光蛍光体。 A(Li0.5XZn1-X-Y MgY O1-0.75X)・(1+0.25X)Ga2O3:BMn
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