JPH0662949B2 - 蛍光体 - Google Patents

蛍光体

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JPH0662949B2
JPH0662949B2 JP18076986A JP18076986A JPH0662949B2 JP H0662949 B2 JPH0662949 B2 JP H0662949B2 JP 18076986 A JP18076986 A JP 18076986A JP 18076986 A JP18076986 A JP 18076986A JP H0662949 B2 JPH0662949 B2 JP H0662949B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電子線又は紫外線により励起されて可視光を
発光し蛍光表示管やPDPや大型発光装置等に使用で
き、特に蛍光体組成式中に硫黄(S)成分が含有してい
なく、例えば蛍光表示管用の蛍光体としてエミッション
特性に優れ、ドープさせる希土類元素を変えることによ
り各種の発光色が得られる酸化物系の蛍光体に関するも
のである。
〔従来技術〕
電子線励起蛍光体は、励起エネルギーが電子線によるも
のであり、この電子線が数10KV以上の加速電圧によるC
RT用や大型発光セル用の蛍光体と、数10Vの加速電圧
で発光する蛍光表示管用がある。前記蛍光表示管用蛍光
体は、数10Vの低加速電圧で発光するので低速電子線励
起蛍光体(以後低速用蛍光体と略す)とも称せられてい
る。それに対し、CRT用や大型発光セル用を高速用蛍
光体とも称されている。
前記低速用蛍光体の中でも従来から多く使用されている
蛍光体に、緑色発光のZnO:Zn蛍光体がある。このZnO:
Zn蛍光体は発光しきい値が1〜2Vときわめて低く、通
常10〜20V程度の陽極電圧で表示に十分な輝度が得られ
るすぐれた蛍光体である。
しかし、前記のZnO:Zn蛍光体は、緑色系の発光色しか
なく、それ以外の発光色を有する蛍光体が要求されてい
た。しかして、ZnO:Zn蛍光体以外の発光色を有する蛍
光体が開発されたが、多くは、前記高速用蛍光体にIn2O
3、SnO2等の導電物質を混合して蛍光体の抵抗を下げた
ものが多かった。
そして、前記高速用蛍光体は組成式中に硫黄(S)元素
を含有している硫化物蛍光体が多く使用されていた。硫
化物蛍光体の例としては、ZnS:〔Zn〕蛍光体(青
色)、ZnS:Mn蛍光体(黄橙)、ZnS:Ag蛍光体(青
色)、ZnS:Ag,Al蛍光体(青色)、ZnS:Au,Al蛍光体
(黄緑)、ZnS:Cu,Al蛍光体(緑色)、(Zn0.9Cd0.1
S:Au,Al蛍光体(黄色)、(Zn0.2Cd0.1)S:Au,Al蛍光
体(オレンジ色)、Y2O2S:Eu蛍光体(赤色)等があ
る。
前記硫化物蛍光体は、S成分を含有しているために電子
線のエネルギーにより励起されて発光すると同時に蛍光
体自身を分解し、S、SO、SO2、H2S等の硫化物系のガス
を飛散させる。この硫化物系のガスが蛍光表示管のフィ
ラメント状陰極に付着すると表面のアルカリ土類金属の
酸化物(Ba,Sr,Ca)Oと反応し表面を毒化(ポイゾン)
させてしまい、エミッション特性を劣化させてしまうこ
とが知られている。この蛍光体を分解する現像は、硫化
物蛍光体に直接射突する電子線の密度が大であると特に
顕著であることも知られている。
そこでこれらの対策として、まず電子線の密度が小さく
ても表示を得るのに十分な輝度が得られるように蛍光体
自体の発光効率を上げることが考えられるが、前記硫化
蛍光体ではまだ満足するものはできていない。
また、非硫化物系の蛍光体の開発も行われているが、発
光色、輝度、発光効率、寿命特性とも満足するものが得
られていない。
非硫化物系の蛍光体の一例として、ガリウム酸塩系複合
酸化物蛍光体があり組成式がZnO・Ga2O3で示される蛍光
体が特公昭60-31236号で公知である。この蛍光体の発光
色は青色であるが、発光輝度は、陽極電圧を80V、陰極
電圧を0.6V印加した場合に4ft-L程度であり、実用上
はまだ低く、蛍光表示管用としては使用できないという
問題点を有していた。
〔発明の目的〕
本発明は、前述の公知のZnO・Ga2O3蛍光体に着目し、こ
の蛍光体にCdをドープすることにより低抵抗させ、かつ
希土類元素をドープすることにより発光色を変えて発光
させることが可能であり、発光輝度及び発光効率が高く
蛍光表示管用として使用できるばかりでなく、PDPや
大型発光セル用としても使用できるガリウム酸系複合酸
化物蛍光体を提供することを目的とするものである。
〔発明の構成〕
前述の目的を達成するために本発明の蛍光体は、一般式
がZnO・Ga2O3で表わされる母体に付活剤としてCdと希土
類元素のEu,TbおよびTmのうち少なくとも1元素とをド
ープしたことを特徴とする。
また、前記付活剤のドープ量は、ZnO・Ga2O3で表わされ
る母体1molに対しCdを5×10-4〜3×10-1atm/molであり
希土類元素の量が1×10-3〜2×10-1atm/molであること
が好ましい。
〔作用〕
本発明のZnO・Ga2O3:Cd,Re蛍光体(但し、Reは希土類元
素)は電子線又は紫外線の励起により可視光を発光す
る。発光色は発光中心としてドープした希土類元素によ
り各種発光色に変えることが可能である。この希土類元
素による発光は、内部遷移の発光であり、発光中心間の
干渉が少ないために母体内部に付活剤を比較的多量にド
ーピングすることが可能である。更に希土類元素が全て
3価の物質であり、母体中のGaと価数が同じである理由
からもドーピングが容易である。
更に母体にCdをドープして蛍光体自身のエネルギー変換
効率を改善させる作用が有する。
〔実施例〕
本発明の蛍光体の一般式は、ZnO・Ga2O3:Cd,Re(但し、
Reは希土類元素で示す。)希土類元素Reはユーロピウム
Eu、テルビウムTb、ツリウムTmのなかから1元素又は2元
素以上選択されてドープされる。
本発明の蛍光体の母体の一般式はZnO・Ga2O3で示される
ようにZnOとGa2O3の混晶であるが、ZnOとGa2O3の割合
は、実験結果からGa2O31molに対し、ZnOを0.5〜4.0mol
の割合が好ましい値であった。ZnOが5.0mol以下である
と蛍光体の抵抗が高くなり低速電子線では発光しなくな
り、ZnOが4.0mol以上だと付活剤のCdと希土類元素がド
ープしなくなり目的とする蛍光体が得られなかった。
なかでもGa2O31molに対しZnOが1molの割合が良好であっ
たので以下の実施例では、前記の割合の場合を説明す
る。
ZnO・Ga2O3母体にドープする付活剤はカドミウムCdと前
述の希土類元素である。
付活剤のCdは、例えばCdCO3のような炭酸塩で加える
が、その他硝酸塩や硫酸塩等で混合することも可能であ
る。次にCdの付活量を求める為に、Ga2O3を1molとZnOを
1molに固定し、Cdのドープ量を5×10-4〜5×10-1atm/mo
lに変化させてZnO・Ga2O3:Cd蛍光体を合成して、それぞ
れ蛍光表示管に実装して相対輝度を測定したところ第5
図に示すようなCdのドープ量と相対輝度の関係を示すグ
ラフ得られた。このグラフからもわかるように、相対発
光輝度の点から見るとCdのドープ量が5×10-4atm/mol以
下ではCdの効果があらわれず、またCdのドープ量が2×1
0-1atm/mol以上で、例えば5×10-1atm/molでは、相対発
光輝度が50%以下になっている。したがって、Cdの好ま
しいドープ量は、前記の結果から5×10-4〜3×10-1atm/
molの範囲が適している。なかでも1×10-1atm/molのCd
のドープ量が最良の輝度であった。
次に付活剤の希土類元素について説明する。
希土類元素は、蛍光体にドープされて発光中心を形成す
るので、ドープする希土類元素によって発光色が決ま
る。本発明の蛍光体においても次のような各種希土類元
素を1×10-2atm/molドープさせた結果、希土類元素と発
光色の関係は次の表−1のとおりである。
前記希土類元素は、酸化物で混合される。例えば、酸化
ユーロピウムEu2O3、酸化テルビウムTb2O3、酸化ツリウ
ムTm2O3というような酸化物である。
次にこの希土類元素のドープ量は次のように決めた。前
記のCdのドープ量の結果から最良の結果を選び、ZnOを1
mol、Ga2O3を1molで母体を構成し、Cdのドープ量として
0.1atm/molを固定して希土類元素のなかからEu、Tb、Tm
を選び、Eu、Tb、Tmとして母体1mol中に1×10-3〜2×10
-1atm/molドープさせてZnO・Ga2O3:Cd,Re蛍光体(Reは
希土類元素)を合成して、それぞれ蛍光表示管に実装し
て相対発光輝度を測定した。第6図は希土類元素の付活
剤濃度と、相対発光輝度の関係を示すグラフである。
このグラフからもわかるように相対発光輝度の観点から
見ると希土類元素のドープ量が1×10-3〜2×10-1atm/mo
lの間が相対輝度が50%以上で実用上使用できる。ま
た、ドープ量が1×10-3atm/molより少ない場合は、希土
類元素による発光中心が少なく、希土類の発光が得られ
ず、2×10-1atm/molより多い場合は濃度消光により発光
輝度が低下する。
したがって、希土類元素のドープ量は1×10-3〜2×10-1
atm/molの範囲が好ましい範囲である。
なお、ドープ量を決定する実験には希土類元素のなかか
らEu、Tb、Tmの3元素について実験したが、他の希土類
元素についても同様の特性になることは容易に考えられ
る。また、ドープ量を1×10-2atm/molにして各希土類元
素をドープさせて蛍光体を合成し、蛍光表示管に実装し
て発光色を測定するときに輝度も測定したが実用上表示
を得るに十分な輝度であった。
次に本発明の蛍光体の製造方法を説明する。
Ga2O3を1mol秤量し、ZnOを0.5〜4.0molの範囲から選ん
で秤量する。さらにCdCO3をZnO・Ga2O3母体1molに対しCd
の量が5×10-4〜3×10-1atm/molの範囲のなかから選ん
だ量になるようにCdCO3量に換算して秤量する。そして
希土類元素は目的とする発光色により元素を選び、選ん
だ希土類元素のドープ量が1×10-3〜2×10-1atm/molに
なるよう希土類成素の酸化物を秤量する。
秤量したZnOとGa2O3とCdCO3とRe2O3(Reは希土類元素)
をよく混合する。混合物はアルミナボート等の耐熱容器
に入れて電気炉で1000〜1500℃で2〜10時間焼成を行
う。電気炉内の雰囲気は、酸化物雰囲気又は中性雰囲気
又は弱還元性雰囲気のいずれかで行う。
合成された蛍光体は、蛍光体結晶の凝集体であるのでこ
れを粉砕した後弱還元性雰囲気で1000〜1500℃で1〜5時
間位焼成させることにより、より結晶状態の良い蛍光体
が得られる。
〔実施例1〕 本実施例の蛍光体は、ZnO・Ga2O3の母体にCdと希土類元
素の中からEuがドープされたものである。母体は、Ga2O
3の1molに対してZnOを1molの割合で結晶させた。付活剤
はCdを1×10-1atm/molと、Euを1×10-2atm/molドープさ
せた。
具体的には母体材料であるZnOを0.81gとGa2O3を1.87g
と付活剤であるCdとEuとして、CdCO3を1×10-1atm/mol
に相当する0.17gとEu2O3を1×10-2atm/molに相当する
0.018gを秤量し、粉体の状態でよく混合する。混合方
法は、乳鉢やボールミル、ミキサー等を使用して充分混
合する。
混合した蛍光体材料をアルミナボートに入れ、電気炉で
焼成する。電気炉の雰囲気は空気中であり、焼成温度は
1300℃で2時間焼成した。焼成後室温まで放冷し、合成
した蛍光体結晶の凝集体を粉砕し、アルミナボートに入
れ、還元雰囲気又は弱還元雰囲気中で1000℃で3時間焼
成させることにより結晶状態のよいZnO・Ga2O3:Cd,Eu蛍
光体が得られた。
前述のようにして合成された蛍光体を蛍光表示管の陽極
導体上に有機系のバインダーを用いてスクリーン印刷法
で被着させて蛍光表示管に実装して、陰極電圧を1.7V
印加させ、制御電極電圧を12V、陽極電圧を30〜100V
印加したところ第1図のaに示すような陽極電圧と輝度
の関係を示す曲線が得られた。この結果から陽極電圧が
100Vであると120ft-Lの輝度が得られた。
また発光色は、第2図の発光スペクトル図に示すように
600nm付近に主ピークを有する赤色発光が得られた。
〔実施例2〕 本実施例の蛍光体は、ZnO・Ga2O3の母体にCdと希土類元
素の中からテルビウムTbをドープした蛍光体である。
母体は、Ga2O31molに対してZnOを1molの割合で混晶させ
た。付活剤はCdを1×10-1atm/molと、Tbを1×10-2atm/m
olドープさせた。
具体的には、ZnOを0.81gとGa2O3を1.87gとCdCO3を0.1
7g、Tb2O3を0.018gを秤量し実施例1と同様によく混
合し、焼成し、ZnO・Ga2O3:Cd1×10-1,Tb1×10-2atm/m
olの蛍光体が得られた。
この合成された蛍光体を蛍光表示管に実装して、陰極電
圧を1.7V印加させ、制御電極を12V印加させ、陽極電
圧を0〜100Vまで変化させて印加したときの発光輝度を
測定したら第1図のbに示す曲線が得られた。この結果
から陽極で電圧を100V印加したときの発光輝度は200ft
-Lであった。
また、発光色は第3図の発光スペクトル図からもわかる
ように550nm付近に主ピークを有し500〜620nm付近にス
ペクトルを分布している緑色発光であった。
〔実施例3〕 本実施例の蛍光体は、ZnO・Ga2O3の母体にCdと希土類元
素の中からツリウムTmをドープした蛍光体である。
母体は、Ga2O31molに対してZnOを1molの割合で混晶さ
せ、付活剤はCdを1×10-1atm/molとTmを1×10-2atm/mol
母体にドープさせた。
具体的には、ZnOを0.81gとGa2O3を1.87gとCdCO3を0.1
7gとTm2O3を0.019gを秤量し、よく混合した後焼成し
た。
合成されたZnO・Ga2O3:Cd,Tm蛍光体を蛍光表示管に実装
して、陰極電圧を1.7V印加させ、制御電極を12V印加
させ、陽極電圧を0〜100Vまで変化させて印加したとき
の発光輝度を測定した。発光しきい値電圧は33Vであ
り、陽極電圧を100V印加したところ20ft-Lの輝度が得
られた。各陽極電圧に対する輝度は第1図の曲線cで示
す通りである。
発光色は、第4図の発光スペクトル図に示すように470n
m付近にピークを有する青色発光であった。
〔発明の効果〕
本発明は、以上説明したようにZnO・Ga2O3で表わされる
母体中に付活剤としてCd及び希土類元素のユーロピウム
Eu、テルビウムTb、ツリウムTmのうちの少なくとも1元
素以上ドープさせ、硫化物の含有していない各発光色の
蛍光体を提供できる効果がある。
したがってこの蛍光体を蛍光発光装置に使用すると、電
子線の射突により硫化物系ガスの飛散がおこらず、陰極
のエミッション特性を劣化させることがなくなり、信頼
性に優れた蛍光発光装置を提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の蛍光体を発光させたときの陽極電圧
と輝度の関係を示すグラフ、第2図は、本発明のZnO・Ga
2O3:Cd,Eu蛍光体の発光スペクトル図、第3図は、本発
明のZnO・Ga2O3:Cd,Tb蛍光体の発光スペクトル図、第4
図は、本発明のZnO・Ga2O3:Cd,Tm蛍光体の発光スペクト
ル図、第5図は、付活剤のCdの添加量と相対発光輝度の
関係を示すグラフ、第6図は、希土類付活剤濃度と相対
発光輝度の関係を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式がZnO・Ga2O3で表わされる母体に付
    活剤としてCdと希土類元素のEu、TbおよびTmのうち少な
    くとも1元素とをドープしたことを特徴とする蛍光体。
  2. 【請求項2】前記付活剤のドープ量は、ZnO・Ga2O3で表
    わされる母体に対し、Cdの量が5×10-4〜3×10-1atm/mo
    lであり、希土類元素の量が1×10-3〜2×10-1atm/molで
    ある特許請求の範囲第1項記載の蛍光体。
JP18076986A 1986-06-26 1986-07-31 蛍光体 Expired - Lifetime JPH0662949B2 (ja)

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