JPH08137375A - レリーフ画像形成材及びレリーフ画像形成法 - Google Patents

レリーフ画像形成材及びレリーフ画像形成法

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JPH08137375A
JPH08137375A JP26961694A JP26961694A JPH08137375A JP H08137375 A JPH08137375 A JP H08137375A JP 26961694 A JP26961694 A JP 26961694A JP 26961694 A JP26961694 A JP 26961694A JP H08137375 A JPH08137375 A JP H08137375A
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JP
Japan
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relief
image forming
relief pattern
thermoplastic resin
forming material
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JP26961694A
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English (en)
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Yoshimi Inaba
喜巳 稲葉
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】レリーフパターンの変形、又は硬化を利用した
新規なレリーフ画像形成材及びレリーフ画像形成方法、
具体的には表面レリーフ型ホログラムに利用される形成
材とその製造方法を提供することを目的とする。 【構成】支持体上に、表面に凹凸形状のレリーフパター
ンを有する光硬化性で室温では固体状態の熱可塑性樹脂
組成物層を設け、且つ前記レリーフパターンの任意の部
分に一定もしくは異なる強度の光、又はレーザー光を照
射することにより、部分的に硬化度合い、又は変形度合
いの異なる硬化領域を形成させて成るレリーフ画像形成
材及びその製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレリーフパターンの変
形、又は硬化を利用した新規なレリーフ画像形成材及び
レリーフ画像形成法に関するものであり、具体的には表
面レリーフ型ホログラムに利用される分野に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ホログラムは三次元立体像を再生するこ
とから、その優れた意匠性が好まれ、書籍、雑誌等の表
紙、POPディスプレイ、ギフト、包装材のデコレーシ
ョン等に利用されている。またサブミクロンオーダーの
情報を記録していることと等価である為、有価証券、ク
レジットカード等の偽造防止に利用されている。
【0003】従来、レリーフ型ホログラムを作製する場
合、まず感光材料原版として、ガラス板上にホトレジス
ト層をスピンコート等の方法によって設け、次いでレジ
スト表面にレーザー干渉縞の露光を加えた後、アルカリ
現像等によってグレーティングイメージを作製する方法
が一般的である。また特に文字等の2値画像のグレーテ
ィングイメージを作製する場合は、ホトレジスト原版の
ホトレジスト表面に銀塩乾板等によって作製されるマス
クを密着させた後露光を加え、現像する方法が一般的で
ある。さらに前記ガラス板上に形成されただけのグレー
ティングイメージでは製品とはならないため、これを大
量複製する場合にはホトレジスト表面から金属メッキ等
で型取りし、この金型を用いて任意のフィルム、シート
基材上に塗布された熱可塑性樹脂を熱圧成形することに
よりホログラムを大量複製する方法が知られている。
【0004】上述のように従来のレリーフ型ホログラム
原版の作製プロセスではホトレジストの塗布、レーザー
干渉縞の露光、湿式現像等の長い工程と煩雑な作業が必
要であり、さらに小ロットの製品を生産する場合に於い
ても必ずエンボス成形用の金型を複製しなければならな
いことから、生産に要する工程数が多く、品質管理が困
難となる上、多量の時間と労力が必要であることから製
品の高価格化につながるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上述のごとく従来のホトレジスト原版を使
用するレリーフパターンの作製方法に対して、新規なレ
リーフパターンの変形に基づく原理を利用することによ
って、より単純で効率的なレリーフパターンの製造方法
を提供し、さらに小ロット製品を生産する場合に於いて
は、その都度絵柄に応じた金型の複製を必要としないレ
リーフパターンの製造方法を実現することを目的とする
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために考えられたもので二つの手段を提案する。ま
ず一つは、(a)任意の支持体上に凹凸形状のレリーフ
パターンを有する光硬化性で室温では固体状態の熱可塑
性樹脂組成物層を設け、且つ前記レリーフパターンの任
意の部分に一定もしくは異なる強度の光を照射すること
により、部分的に硬化度合いの異なる硬化領域を形成さ
せたレリーフ画像形成材を特定の温度下で加熱軟化変形
することによって、硬化度合いの異なる硬化領域間に、
目視確認可能なコントラストを生ぜしめ、その後、全面
露光を加えることによって変形レリーフパターンを定着
するレリーフ画像形成法及びその製造方法である。
【0007】二つ目は、(b)任意の支持体上に凹凸形
状のレリーフパターンを有する光硬化性で室温では固体
状態の熱可塑性樹脂層を設け、且つ前記レリーフパター
ンの任意の部分に一定もしくは異なる強度のレーザー光
を位置を変えながら照射することにより、該レーザー光
の熱モードによって部分的にレリーフパターンの変形度
合いが異なる領域を形成させたレリーフ画像形成材に全
面露光を加えることによって、変形レリーフパターンを
定着するレリーフ画像形成法であり、また該光硬化性で
室温では固体状態の熱可塑性樹脂組成物層が、その層内
に赤外吸収材を含有するレリーフ画像形成材及びその製
造方法である。
【0008】以下、まず、本発明の構成材料、次に製造
工程を図面を用いて、部分的に硬化度合いの異なる領域
を形成する場合と部分的に変形度合いの異なる領域を形
成する場合に分けて順次、詳細に説明する。
【0009】まず、硬化度合いの異なる領域を設ける場
合について説明する。図1に於いて、1は熱可塑性樹脂
組成物層であり、光硬化性樹脂もしくはオリゴマー、モ
ノマー等を少なくとも一成分とする熱可塑性樹脂組成物
からなり、2は支持体であり、プレート、シート若しく
はフィルムである。
【0010】本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物1とし
ては、一般的な熱可塑性樹脂と少なくとも二官能以上で
良好な架橋反応を行なうアクリレート、若しくはメタク
リレートとの混合物に光重合開始剤を少量添加したもの
が使用できる。具体的には、熱可塑性樹脂としてアクリ
ル樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート樹脂、
塩ビ−酢ビ共重合樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹
脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、熱可塑性
ポリウレタン樹脂等が使用できる。
【0011】また、アクリレート若しくはメタクリレー
ト単独でも室温では固体状態を呈する熱可塑性樹脂であ
れば使用することができる。例えば、種々のウレタンア
クリレート及びメタクリレートオリゴマー、分子内にイ
ソシアヌレート環構造を有する種々のアクレリート及び
メタクリレート、分子内にビスフェノールA、ビスフェ
ノールS等の構造を有するエポキシアクリレート及びメ
タクリレート、ポリブタジェンウレタンメタクリレー
ト、ポリスチリルエチルメタクリレート等が挙げられ
る。上記の熱可塑性樹脂組成物層を表面に設けるための
支持体2としては、該熱可塑性樹脂組成物との接着が十
分満たされている限り、金属、紙、高分子材料、ガラス
又はセラミックス等の無機材料を含めて、あらゆる素材
のプレート、シート若しくはフィルムが使用可能であ
る。
【0012】また、光重合開始剤としてはベンゾイン、
ベンジルケタール、アセトフェノン等の誘導体に代表さ
れる自己開裂型の化合物及びベンゾフェノン、芳香族ケ
トン、ミヒラーズケトン等の分子構造を有する種々の水
素引き抜き型の光重合開始剤が使用でき、種々の増感剤
との併用も可能である。
【0013】図2において、3は熱可塑性樹脂組成物層
の表面にレリーフパターンを熱圧成形によってあらかじ
め設けておくための金型若しくは樹脂型である。特に樹
脂型を使用する場合、具備すべき特性としては、少なく
とも熱圧成形時の加熱温度に耐え得る耐熱性を満たす樹
脂材料であれば使用することができる。
【0014】次に製造工程について、まず、光の照射に
より硬化度合いの異なる領域を形成する場合について説
明する。
【0015】図1に於いて、支持体2上に感光性熱可塑
性樹脂組成物層1を設ける方法として、ナイフコート、
ロールコート、バーコート等、公知の塗布方法によって
作製することができる。一方、部分的に熱可塑性樹脂組
成物層を形成する場合にはスクリーン印刷、グラビアコ
ーティング等の一般的な印刷技術を応用する方法、ある
いは転写技術を利用することもできる。
【0016】次に、図2に示すごとく、熱可塑性樹脂組
成物層表面に金型若しくは樹脂型3を密着させ、熱と圧
力を加えることによって表面に凹凸形状のレリーフパタ
ーン4を形成する。次いで、図3に示すように、凹凸形
状のレリーフパターン4の表面の任意のマスク5を介し
て光6照射を行なうことにより、部分的に硬化度合いの
異なる領域を形成させる。尚、マスク5の光6の透過量
は部分的に異なり、図3中では左側ほど大きい。図4で
7、8、9は部分的に硬化度合いの異なる領域を示し、
その中で7はマスクの光を最も良く通す部分の下にあ
り、硬化度合いが最大の領域である。また、9は光を通
さない部分の下に位置し、硬化していない。
【0017】図5は図1から図4に示す方法によって記
録された光硬化潜像を可視化する工程を示したものであ
る。すなわち、部分的に硬化度合いの異なる硬化領域が
記録されたレリーフ画像形成材を任意の温度で加熱する
ことにより、レリーフパターンを軟化変形させ、硬化度
合いの異なる領域間のコントラストを可視化する現像工
程を示したものである。10、11、12は軟化変形後
のレリーフパターンを示し、マスクの光を最も多く透過
する部分の下にあたる領域10は加熱による変形が最も
小さい。しかし光が透過しない部分の下にあたる領域に
は、加熱による変形によってレリーフパターンの凹凸が
消滅する。
【0018】図6は図5に示す現像工程によって可視化
されたレリーフパターンを全面露光によって定着する工
程を示したものである。
【0019】次に、光の照射により部分的に変形度合い
の異なる領域を形成する場合の製造方法について説明す
る。
【0020】図7に於いて、支持体17上に感光性熱可
塑性樹脂組成物層16を設ける方法として、ナイフコー
ト、ロールコート、バーコート等、公知の塗布方法によ
って作製することができる。一方、部分的に熱可塑性樹
脂組成物層を形成する場合にはスクリーン印刷、グラビ
アコーティング等の一般的な印刷技術を応用する方法、
あるいは転写技術を利用することもできる。
【0021】次に、図8に示すごとく、熱可塑性樹脂組
成物層表面に金型若しくは樹脂型18を密着させ、熱と
圧力を加えることによって表面に凹凸形状のレリーフパ
ターン19を形成する。
【0022】次いで、図9に示すように、凹凸形状のレ
リーフパターン19の表面の任意の部分に一定もしくは
異なる強度のレーザー光20を位置を変えながら照射す
ることにより、レーザーの熱モードによって部分的にレ
リーフパターンの変形度合いが異なる領域21を形成さ
せる。
【0023】本発明に用いられるレーザー光としては、
ArイオンレーザやHe−Neレーザー等の気体レーザ
ーや、Nd:YAGレーザー等の固体レーザー、GaA
s等で構成される半導体レーザー等からのレーザー光
を、各種レンズや空間フィルター等の光学素子によって
光ビーム化したものを用いることができる。これらのレ
ーザー光ビームにより画像を形成するためには、画像情
報に従ったレーザー光の強度変調が必要であり、上記の
気体レーザーと固体レーザーは、電気光学効果や音響光
学効果による光強度変調器を外部に必要とするが、半導
体レーザーでは、駆動電流の変調だけでレーザー光強度
を変調できるので、光強度変調器が不要となり、装置全
体が簡便になるという利点がある。
【0024】図10は図7から図9に示す方法によって
記録されたレリーフパターンの熱変形像を紫外線等の全
面露光22によって、熱可塑性樹脂組成物層全体を硬化
23させることで画像を定着する工程を示したものであ
る。
【0025】次に変形度合いの異なる領域を設ける場合
について説明する。図7に於いて、16は感光性熱可塑
性樹脂組成物層であり、光硬化性樹脂もしくはオリゴマ
ー、モノマー等を少なくとも一成分とする熱可塑性樹脂
組成物からなり、17は支持体であり、プレート、シー
ト若しくはフィルムである。
【0026】本発明に述べる熱可塑性樹脂組成物16と
しては、一般的な熱可塑性樹脂と少なくとも二官能以上
で良好な架橋反応を行なうアクリレート若しくはメタク
リレートとの混合物に光重合開始剤を少量添加したもの
が使用できる。具体的には、熱可塑性樹脂としてアクリ
ル樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート樹脂、
塩ビ−酢ビ共重合樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹
脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、熱可塑性
ポリウレタン樹脂等が使用できる。
【0027】また、アクリレート若しくはメタクリレー
ト単独でも室温では固体状態を呈する熱可塑性樹脂であ
れば使用することができる。例えば、種々のウレタンア
クリレート及びメタクリレートオリゴマー、分子内にイ
ソシアヌレート環構造を有する種々のアクレリート及び
メタクリレート、分子内にビスフェノールA、ビスフェ
ノールS等の構造を有するエポキシアクリレート及びメ
タクリレート、ポリブタジェンウレタンメタクリレー
ト、ポリスチリルエチルメタクリレート等が挙げられ
る。また前記熱可塑性樹脂には、特に装置がコンパクト
で利用価値が高い赤色から赤外域の光を発する半導体レ
ーザーの発振波長域に吸収を持つ任意の染料、顔料等の
近赤外もしくは赤外光吸収材を添加することにより、レ
ーザー光を有効に熱エネルギーに変換することが好まし
い。
【0028】近赤外もしくは赤外光吸収材の一般的な例
としては、使用するレーザー光波長での吸収係数が大き
い色素等が利用できる。例えば半導体レーザーに適合す
るものとしては、780〜830nm領域の波長で吸収
係数が104 以上の強い吸収となる分子構造を持つシア
ニン系やピリリウム系等のポリメチン系色素、銅フタロ
シアニン等のフタロシアニン系色素、ナフタロシアニン
系色素、ジチオール金属錯塩系色素、ナフトキノン系色
素、アントラキノン系色素、トリフェニルメタン系色
素、アルミニウム系色素、ジインモニウム系色素等が挙
げられる。
【0029】上記の熱可塑性樹脂組成物層を表面に設け
るための支持体17としては、該熱可塑性樹脂組成物と
の接着が充分満たされている限り、金属、紙、高分子材
料、ガラス又はセラミックス等の無機材料を含めて、あ
らゆる素材のプレート、シート若しくはフィルムが使用
可能である。
【0030】また、光重合開始剤としてはベンゾイン、
ベンジルケタール、アセトフェノン等の誘導体に代表さ
れる自己開裂型の化合物及びベンゾフェノン、芳香族ケ
トン、ミヒラーズケトン等の分子構造を有する種々の水
素引き抜き型の光重合開始剤が使用でき、種々の増感剤
との併用も可能である。
【0031】図8に於いて、18は熱可塑性樹脂組成物
層の表面にレリーフパターンを熱圧成形によってあらか
じめ設けておくための金型若しくは樹脂型である。特に
樹脂型を使用する場合、具備すべき特性としては、少な
くとも熱圧成形時の加熱温度に耐え得る耐熱性を満たす
樹脂材料であれば使用することができる。
【0032】図4は図1から図3に示す方法によって記
録されたレリーフパターンの熱変形像を紫外線等の全面
露光7によって、熱可塑性樹脂組成物層全体を硬化8さ
せることで画像を定着する工程を示したものである。
【0033】
【作用】以上のように、本発明に於いては、絵柄がない
全面均一なレリーフパターンのみを有する金型もしくは
樹脂型を用意し、これによって光硬化性で室温では固体
状態の熱可塑性樹脂組成物の表面にあらかじめ凹凸形状
のレリーフパターンを設けたレリーフ画像形成材を使用
することを特徴とする為、後のレリーフ画像をレーザー
による部分露光と定着のための紫外線等の全面露光のみ
による簡便な乾式プロセスによって形成することができ
る。
【0034】
【実施例】
〈実施例1〉絵柄のない全面均一なレリーフパターンを
有する金型を、以下のように従来のレリーフ型ホログラ
ムの大量複製時に利用される工程によって作製した。ま
ずこの原版として、厚さ3mmのガラス板からなる支持
体上に、膜厚約1.5μmのホトレジスト層をスピンコ
ートによって作製し、アルゴンレーザー(波長457.
9nm、強度50mJ/cm2 )の二光束干渉法によっ
て、正方形で面積が9cm2 、空間周波数が1300
line/mmの干渉縞を約1分間露光した後、アルカ
リ現像によってグレーティングを作製し、これをレリー
フ原版とした。ホトレジストはMICROPOSIT
1400(シプレイ社製)を使用した。次に、上述の方
法によって作製したホトレジストレリーフ原版の表面に
約200ÅのAu薄膜層を真空蒸着法にて設けた後、こ
れを電極として約250μmのNiメッキを施し、次い
で原版からNiメッキ層を剥離すると共にNiメッキ層
に付着する余分なAu薄膜層及びホトレジスト層を除去
したものをレリーフパターン成形用の金型とした。
【0035】光硬化性で室温では固体状態の熱可塑性樹
脂組成物層として、下記組成の光硬化性の重合性単量体
を含有する熱可塑性樹脂組成物をポリカーボネートシー
ト上に、乾燥後、膜厚が約10μmとなるようにワイヤ
ーバーコーティングすることによって作製した。尚乾燥
条件は70℃、30分、ポリカーボネート基材の厚みは
400μmである。 飽和共重合ポリエステル樹脂(ユニチカ社製、エリーテルUE−3200) …3重量部 アクリル樹脂(三菱レイヨン社製、ダイヤナールBR−50) …3重量部 ペンタエリスリトールヘキサアクリレート …2.5重量部 トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート …1.5重量部 光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュア184)…0.4重量部 2−ブタノン …45重量部 トルエン …45重量部
【0036】次に、上述の方法で得られた光硬化性の熱
可塑性樹脂組成物層の表面に、前述の金型レリーフ面を
密着させ、次いで圧力10kg/cm2 、温度80℃、
圧着時間30秒の条件にて平圧プレス成形を行ない、圧
力を一定に保ったまま室温まで冷却した後、金型を剥離
することにより凹凸形状のレリーフパターンのエンボス
成形を行った。これより得られた表面に凹凸形状のレリ
ーフパターンを有するレリーフ画像形成材のレリーフ面
に、4段階の濃度階調を持つグレースケールを密着させ
た後、強度1200mJ/cm2 の紫外線を照射するこ
とによってレリーフパターンに部分的に硬化度合いが異
なる領域を形成させた。グレースケールを透過した紫外
線の強度はそれぞれ155、470、736、1140
(mJ/cm2 )である。
【0037】次いで、上述の方法で作製されたレリーフ
画像形成材をあらかじめ110℃に加熱したホットプレ
ート上に5分間放置した後、レリーフパターンの軟化変
形度合いを目視観察した。その結果、紫外線照射量15
5mJ/cm2 の条件で硬化させた部分のレリーフパタ
ーンはほぼ完全に消去されたように見えた。一方114
0mJ/cm2 で硬化した部分のレリーフパターンは、
熱処理後に於いてもほぼ完全に保持していることが確認
できた。上述の観察結果をさらに定量的に評価するた
め、熱処理後のグレーティングレリーフパターンの相対
回折効率を以下の方法にて測定した。回折効率は以下の
計算式で示すように試料の1次回折光強度と0次回折強
度(通常の反射光の成分)の比として算出した。光源に
はHe−Neレーザー(波長:633nm)を使用し、
光強度はホトダイオードによる起電力として測定した。
この測定結果から、露光及び熱現像前のレリーフ画像形
成材の回折効率を100%とし、この値と熱現像後の変
形レリーフパターンとの比を求めることにより相対回折
効率を算出した。 1 :1次回折光強度 R0 :0次回折光強度 χ1 :露光及び熱現像前のレリーフ画像形成材の回折効
率 χ0 :熱現像後の変形レリーフパターンの回折効率 測定結果を表1に示す。これより紫外線照射量が155
mJ/cm2 と1140mJ/cm2 の間にはほぼ10
0%に近いコントラストを得ることができた。グレース
ケールによる各濃度領域間の軟化変形によるコントラス
トは鮮明であった。
【0038】〈実施例2〉実施例1で作製したレリーフ
画像形成材に、実施例1で使用したグレースケールの代
わりに人物の顔が撮影された白黒ポジ画像の透過フィル
ム原稿を密着させ、実施例1と同一の方法、条件にてレ
リーフ画像を形成した。グレーティングレリーフの回折
光コントラストが鮮明なレリーフ画像を得た。
【0039】
【表1】
【0040】〈実施例3〉実施例1と同一の方法にて、
全面均一なレリーフパターンを有する金型を作製し、こ
れをレリーフパターン成形用の金型とした。
【0041】光硬化性で室温では固体状態の熱可塑性樹
脂組成物層として、下記組成の光硬化性の重合性単量体
を含有する熱可塑性樹脂組成物をポリカーボネートシー
ト上に、乾燥後、膜厚が約5μmとなるようにワイヤー
バーコーティングすることによって作製した。尚乾燥条
件は70℃、30分、ポリカーボネート基材の厚みは4
00μmである。 飽和共重合ポリエステル樹脂(ユニチカ社製、エリーテルUE−3201) …2重量部 アクリル樹脂(三菱レイヨン社製、ダイヤナールBR−52) …4重量部 ペンタエリスリトールトリアクリレート …2.5重量部 EO変性ビスフェノールAジアクリレート …1.5重量部 光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュア651)…0.4重量部 近赤外光吸収色素(日本化薬社製、CY−9) …0.1重量部 2−ブタノン …45重量部 トルエン …45重量部
【0042】次に、上述の方法で得られた光硬化性の熱
可塑性樹脂組成物層の表面に、前述の金型レリーフ面を
密着させ、次いで平圧プレス機により圧力15kg/c
2、温度80℃、圧着時間30秒の条件にてプレス成
形を行ない、圧力を一定に保ったまま室温まで冷却した
後、金型を剥離することによって、凹凸形状のレリーフ
パターンのエンボス成形を行なった。これより得られた
表面に凹凸形状のレリーフパターンを有するレリーフ画
像形成材のレリーフ面に対し、以下の方法によってレー
ザービーム露光を加えた。
【0043】レーザー露光装置は半導体レーザ(ソニー
株式会社製、SLU304×R)及びレーザードライバ
ー5(グローバル電子工業株式会社製、GSB353
0)と、レリーフ画像形成材を取り付け、移動させる手
段としてXYステージ(中央精機株式会社製、PS12
0EX・Y、コントローラーCAT−11、ドライバー
パックSD−Pを組み合わせたもの)からなり、レーザ
ー照射パターンはパーソナルコンピュータ内にメモリさ
れている画像情報に応じて、LDドライバから駆動電流
をON/OFFし、これで制御される半導体レーザ光を
光ファイバーで伝送後、収束光学系により走査面へ集光
させることによってパターン露光を行なった。露光条件
は出力0.8Wで、波長800nmのレーザーを1/l
2 直径が100μmとなるように集光したビームを主走
査定速度40mm/秒、副走査ピッチ75μmの条件で
走査露光を行なった。この条件はあくまでも本実施例で
の適正値であり、使用するレリーフ画像形成材の樹脂特
性等で変化するので、各種条件を考慮すると共に、形成
される可視画像を確認しながら調整することが必要であ
る。
【0044】上記、レーザー露光方法によって、レリー
フ画像形成材のレリーフ面に面積5mm×5mmのベタ
パターンを作製した。その結果、レーザー露光によるレ
リーフパターンの軟化変形部分と未露光部のレリーフパ
ターンとのコントラストは鮮明であった。
【0045】次いで、可視画像を形成したレリーフパタ
ーンを定着するために、強度800mJ/cm2 の紫外
線をレリーフ画像形成材のレリーフ面に全面照射するこ
とによって、光硬化性の熱可塑性樹脂組成物層全体を硬
化させた。
【0046】上述の変形レリーフ画像の観察結果をより
定量的に評価するため、前記レーザー露光部と未露光部
のグレーティングレリーフパターンの回折効率を実施例
1と同一の方法で測定した。測定の結果、未露光部の回
折効率が11.2%、一方露光部の回折効率は0.36
%であり、未露光部の回折効率を100とした場合、ほ
ぼ100%に近い回折効率のコントラストが得られた。
【0047】〈実施例4〉実施例3で作製したレリーフ
画像形成材に、実施例1で作製したベタ部を塗り潰す走
査露光の代わりに、レーザー光を文字パターン情報に基
づき、ON/OFFして画像形成を行なった。その結
果、途切れがほとんど見られず、高コントラストで視認
性が高い良好な品質の文字画像を作製することができ
た。
【0048】
【発明の効果】上述の実施例の説明からも明らかなよう
に、本発明によるレリーフ画像形成材及びレリーフ画像
形成方法は、レリーフパターンの光定着及び熱変形を利
用する原理的に単純で簡便な乾式プロセスであるため、
従来のグレーティングレリーフパターンによって作製さ
れる代表的な製品であるレリーフ型ホログラムの製造プ
ロセスの効率を改善することができる。特に文字等の二
値画像のグレーティングイメージを作製する場合に効果
的で、たとえ、小ロットの製品を生産する場合でもその
都度、絵柄に応じた金型もしくは樹脂型を容易する必要
がなく、最初にレリーフ原版として一枚の絵柄のない全
面均一なレリーフパターンのみを有する金型もしくは樹
脂型を容易しておくだけで良い。
【0049】また、レリーフ画像を得るための絵柄は露
光プロセスで決定するため、異なる絵柄の多重露光等の
方法を用いて新規な意匠性を有するレリーフパターンの
開発が容易になる。
【0050】また、レーザー光を用いた場合もレーザー
光を位置を変えながら照射することによりレーザー光の
熱モードによる熱変形及び光定着を利用する原理的に単
純で簡便な乾式プロセスで製造でき、生産効率を改善す
ることができる。
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の発明のレリーフ画像形成材の初期製造工
程を示す説明図である。
【図2】第一の発明のレリーフパターンの形成工程であ
り、レリーフ画像形成材の作製法を示す説明図である。
【図3】第一の発明のマスクを介して強度の異なる光を
照射する工程を示す説明図である。
【図4】第一の発明のレリーフパターンに硬化度合いの
異なる領域を形成した説明図である。
【図5】第一の発明の光による硬化潜像を熱によって可
視化する工程を示す説明図である。
【図6】第一の発明の熱現像されたレリーフパターンに
全面露光を加えることにより画像を定着する方法を示す
説明図である。
【図7】第二の発明のレリーフ画像形成材の初期製造工
程を示す説明図である。
【図8】第二の発明のレリーフパターンの形成工程であ
り、レリーフ画像形成材の作製法を示す説明図である。
【図9】第二の発明のレーザー光を照射し、レリーフ画
像形成材のレリーフパターンを変形させる工程を示す説
明図である。
【図10】第二の発明のレリーフパターンの変形画像が
記録されたレリーフ画像形成材に全面露光を加えること
により画像を定着する方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 感光性熱可塑性樹脂組成物層 2 支持体 3 金型もしくは樹脂型 4 レリーフパターン 5 マスク 6 照射光 7 硬化後のレリーフパターン 8 硬化後のレリーフパターン 9 硬化後のレリーフパターン 10 加熱後のレリーフパターン 11 加熱後のレリーフパターン 12 加熱後のレリーフパターン 13 光硬化定着後のレリーフパターン 14 光硬化定着後のレリーフパターン 15 光硬化定着後のレリーフパターン 16 感光性熱可塑性樹脂組成物層 17 支持体 18 金型もしくは樹脂型 19 レリーフパターン 20 レーザー光 21 レーザー露光後のレリーフパターン 22 照射光 23 光硬化定着後のレリーフパターン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に、表面に凹凸形状のレリーフパ
    ターンを有する光硬化性で室温では固体状態の熱可塑性
    樹脂組成物層を設け、且つ前記レリーフパターンの任意
    の部分に一定もしくは異なる強度の光を照射することに
    より、部分的に硬化度合いの異なる硬化領域を形成させ
    て成るレリーフ画像形成材。
  2. 【請求項2】支持体上に、表面に凹凸形状のレリーフパ
    ターンを有する光硬化性で室温では固体状態の熱可塑性
    樹脂組成物層を設け、且つ前記レリーフパターンの任意
    の部分に一定もしくは異なる強度の光を照射することに
    より、部分的に硬化度合いの異なる硬化領域を形成させ
    て成る請求項1記載のレリーフ画像形成材を特定の温度
    下で加熱軟化変形することによって硬化度合いの異なる
    硬化領域間に目視確認可能なコントラストを生ぜしめ、
    その後全面露光を加えることによって変形レリーフパタ
    ーンを定着することを特徴とするレリーフ画像形成法。
  3. 【請求項3】支持体上に、表面に凹凸形状のレリーフパ
    ターンを有する光硬化性で室温では固体状態の熱可塑性
    樹脂組成物層を設け、且つ前記レリーフパターンの任意
    の部分に一定もしくは異なる強度のレーザー光を位置を
    変えながら照射することにより、該レーザー光の熱モー
    ドによって部分的にレリーフパターンの変形度合いが異
    なる領域を形成させて成るレリーフ画像形成材。
  4. 【請求項4】支持体上に、表面に凹凸形状のレリーフパ
    ターンを有する光硬化性で室温では固体状態の熱可塑性
    樹脂組成物層を設け、且つ前記レリーフパターンの任意
    の部分に一定もしくは異なる強度のレーザー光を位置を
    変えながら照射することにより、該レーザー光の熱モー
    ドによって部分的にレリーフパターンの変形度合いが異
    なる領域を形成させて成る請求項3記載のレリーフ画像
    形成材に全面露光を加えることによって変形レリーフパ
    ターンを定着することを特徴とするレリーフ画像形成
    法。
  5. 【請求項5】光硬化性で室温では固体状態の熱可塑性樹
    脂組成物層が、その層内に近赤外もしくは赤外光吸収材
    を含有することを特徴とする請求項1又は3記載のレリ
    ーフ画像形成材。
JP26961694A 1994-11-02 1994-11-02 レリーフ画像形成材及びレリーフ画像形成法 Pending JPH08137375A (ja)

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