JPH0816077A - ホログラム感光性記録材料およびホログラム感光性記録媒体並びにそれを用いたホログラム製造方法 - Google Patents

ホログラム感光性記録材料およびホログラム感光性記録媒体並びにそれを用いたホログラム製造方法

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JPH0816077A
JPH0816077A JP14824594A JP14824594A JPH0816077A JP H0816077 A JPH0816077 A JP H0816077A JP 14824594 A JP14824594 A JP 14824594A JP 14824594 A JP14824594 A JP 14824594A JP H0816077 A JPH0816077 A JP H0816077A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】化学的安定性、耐環境性、解像度、回折効率、
透明性、再生波長再現性に優れたホログラム感光性記録
材料およびホログラム感光性記録媒体並びにそれを用い
たホログラム製造方法を提供する。 【構成】溶媒可溶性でカチオン重合可能であり、常温、
常圧で固体であるフルオレン誘導体を含有する熱硬化性
エポキシオリゴマーおよび/または単量体と、常温、常
圧で液体で、かつ常圧で沸点が100℃以上であるラジ
カル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1個
以上有し、上記オリゴマーおよび/または単量体と屈折
率の異なる重合性モノマーと、化学作用放射線に露光す
るとラジカル重合およびカチオン重合を活性化するよう
なラジカル種およびブレンスッテド酸またはルイス酸を
同時に発生する光開始剤と、増感色素とから構成され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、体積位相型ホログラム
形成に用いられるホログラム感光性記録材料及びホログ
ラム感光性記録媒体並びにそれを用いたホログラム製造
方法にかかり、可視光、とくにアルゴンレーザ光、或い
は電子線に対して高感度で、さらに耐候性及び保存安定
性に優れ、かつ解像度、回折効率、透明性などのホログ
ラム特性値が良好なホログラム感光性記録材料及びホロ
グラム感光性記録媒体並びにそれを用いたホログラム製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ホログラムは三次元立体像の再生
が可能であることから、その優れた意匠性、装飾効果か
ら書籍、雑誌等の表紙、POPなどのディスプレイ、ギ
フトなどに利用されている。またホログラムはサブミク
ロン単位での情報の記録と等価であるといえることから
有価証券、クレジットカードなどの偽造防止用のマーク
などにも利用されている。
【0003】とくに体積位相型ホログラムは、ホログラ
ム記録媒体中に光学的吸収ではなく屈折率の異なる空間
的な干渉縞を形成することによって、像を通過する光ビ
ームを吸収することなく位相を変調することができるた
め、近年においては、ディスプレイ用途の他に、自動車
搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)に代表さ
れるホログラム光学素子(HOE)への応用が期待され
ている。
【0004】ところで体積位相型ホログラム記録材料
は、可視発振波長を持つレーザ光に高感度で感光し、し
かも高い解像性を示すことが要求されている。また、実
際にホログラムの形成に使用するに当たり、ホログラム
の回折効率、再生光の波長再現性やバンド幅(再生光ピ
ークの半値幅)等の特性がその目的に合うことが要求さ
れる。とくにHOE用のホログラム記録材料には、回折
効率が空間周波数5000〜6000本/mmで90%
以上、再生光のピークの半値幅(バンド幅)が20〜3
0nm、再生波長のピーク波長は、撮影波長から5nm
以内であることが望ましく、さらに、長期にわたって保
存安定性に優れていることも必要とされている。
【0005】ホログラム作製に関する一般的原理は、い
くつかの文献や専門書、たとえば「ホログラフィックデ
ィスプレイ」(辻内順平編;産業図書)2章に記載され
ている。これらによれば、二光束のコヒーレントな一般
には、レーザ光の一方を記録対象物に照射し、それから
の全反射光を受け取れる位置に感光性の記録媒体、例え
ば写真用乾板が置かれる。記録媒体には、対象物からの
反射光の他に、もう一方のコヒーレントな光が、対象物
に当たらずに直接照射される。対象物からの反射光を対
象光、また直接媒体に照射される光を参照光といい、参
照光と対象光との干渉縞が画像情報として記録される。
次に、処理された記録媒体が光に曝され、適切な目の位
置で観測されると、照明光源からの光は、記録の際に対
象物から記録媒体に最初に到達した反射光の波面を再現
するようにホログラムによって回折され、その結果、対
象物の実像と似た物体像が三次元的に観測される。参照
光と対象光を同じ方向から記録媒体に入射させて形成さ
れるホログラムは透過型ホログラムとして知られてい
る。一方、互いに記録媒体の反対側から入射させて形成
したホログラムは、一般に反射型ホログラムとして知ら
れている。透過型ホログラムは、例えば米国特許第35
06327号公報、米国特許第3894787号公報な
どで開示されているような公知の方法によって得ること
ができる。また、反射型ホログラムは、例えば米国特許
第3532406号公報に開示された公知の方法で作製
できる。
【0006】像として形成されたホログラムを比較する
値としては屈折率変調がある。これは、記録媒体に直接
的に二光束が媒体となす角度が同じにようにして照射
し、回折格子を作製した時、その回折格子によって回折
される入射光の割合すなわち回折効率並びに記録媒体の
厚さより特定される値である。屈折率変調は、体積型ホ
ログラムの露光部および未露光部、すなわち光が干渉し
て強め合う部分と弱め合う部分で生じる屈折率の変化の
定量的尺度であり、コーゲルニック(H. Kogelnik)の理
論式〔Bell.Syst.Tech.J.,48,2
909,(1969).〕によって求めることができ
る。一般に、反射位相型ホログラムは透過型ホログラム
に比べて解像度が高い、すなわち1mm当たりに形成さ
れる干渉縞の数が多いために記録が困難であり、高い屈
折率変調を得ることが難しい。
【0007】このような体積位相型ホログラムの記録材
料としては、従来、漂白処理銀塩および重クロム酸ゼラ
チン系の感光材料が一般に使用されてきた。この重クロ
ム酸ゼラチン系の感光材料は、その高い回折効率と低ノ
イズ特性によって、体積位相型ホログラムを記録するの
に最も広く用いられる材料である。しかし、この感光材
料は貯蔵寿命が短く、作製の度に調製しなければならな
い。また、湿式現像を行うため、ホログラム作製の際に
必要となるゼラチンの膨潤および収縮過程においてホロ
グラムの変形を生じる。このため、ホログラムの再現性
が悪いという問題点も有している。また、銀塩感材は、
記録後に煩雑な処理を必要とし、安定性および作業性の
観点から満足できる感光材料ではない。さらに、これら
の上記の感光材料は、何れも耐環境特性、例えば耐湿
性、耐候性に劣るという問題点を有していた。
【0008】これに対して、耐環境特性に優れ、かつ、
高解像度、高回折効率などのホログラム記録材料の有す
べき特性を備えた材料として、ポリ−N−ビニルカルバ
ゾールを用いたホログラム記録材料があげられる。例え
ば、架橋剤として環状シス−α−ジカルボニル化合物と
増感剤からなるホログラム記録材料(特開昭60−45
283号公報)、1,4,4,5,6,7,7−ヘキサ
クロロ−5−ノルボルネン−無水−2,3−ジカルボン
酸と色素からなるホログラム記録材料(特開昭60−2
27280号公報)、2,3−ボルナンジオンとチオフ
ラビンからなるホログラム記録材料(特開昭60−26
0080号公報)、チオフラビンTとヨードホルムから
なるホログラム(特開昭62−123489号公報)等
が提案されている。ところがこれらのホログラム記録材
料は、やはり湿式現像を必要とするため、煩雑な処理工
程を必要とし、再現性に劣るという問題点を有し、また
ポリ−N−ビニルカルバゾールを主剤とした感光材料で
あるため、化学的安定でかつ高解像度、耐環境特性に優
れているものの、ポリ−N−ビニルカルバゾールは結晶
化して非常に白化しやすく、透明性の再現性がわるく、
また溶剤も限られてしまうという問題を有している。加
えて、感度特性において、なお一層の向上が望まれてい
る。
【0009】また高感度で光硬化出来る材料として、光
重合開始剤の構成成分である、3−ケトクマリン類とジ
アリールヨードニウム塩との組み合わせで用いる光硬化
樹脂組成物(特開昭60−88005号公報)、さら
に、該光重合開始剤と担持重合体としてポリメチルメタ
クリレートとを組み合わせたホログラム記録材料(特開
平4−31590号公報)が提案されており、化学的に
安定でかつ高解像度、高感度を有しているものの、湿式
処理により空隙を形成させるため、再生波長のピーク波
長のばらつきやピーク波長の半値幅の拡大、また、現像
の際、膨潤溶媒に胆持ポリマーが若干溶解するため、現
像むらが起き易いという問題を有し、さらにホログラム
中に空隙が多数存在することから、耐熱性及び耐熱圧性
に劣るという問題点を有している。
【0010】かかる問題に対して、湿式処理を伴わない
1回の処理工程でホログラムの作製が可能な光重合型感
光材料が、米国特許第3993485号公報および米国
特許第3658526号公報に開示されている。前者は
2つのタイプの感光材料があり、第1の例としては、反
応性および屈折率のことなる2つの重合可能な不飽和エ
チレン性モノマーと光重合開始剤の組み合わせ、例えば
シクロヘキシルメタクリレート、N−ビニルカルバゾー
ルおよびベンゾインメチルエーテルからなり、これを2
枚のガラス板に狭持し、二光束光学系で露光することに
よってホログラム記録できる感光性樹脂組成物である。
また、第2の例としては、同程度の屈折率を持つ重合可
能な不飽和エチレン性モノマーとそれが重合する際に架
橋剤として働く不飽和エチレン性モノマー、および2つ
のモノマーと屈折率を異にする非反応性化合物と重合開
始剤の4成分、例えばブチルメタクリレート、エチレン
グリコールジメタクリレート、1−フェニルナフタレン
およびベンゾインメチルエーテルからなり、第1の例と
同様にしてホログラムを作製することができる感光性樹
脂組成物である。何れの感光性樹脂組成物を用いても、
二光束によってできる干渉縞の光強度が強くなる部分で
より反応性の高いモノマーの重合が進むと共に、モノマ
ーの濃度勾配が生じ、反応性の高いモノマーは光強度の
強い部分に、また反応性の低いモノマーあるいは非反応
性化合物は光強度の弱い部分に拡散する。このようにし
て干渉縞が屈折率の差で記録され、体積位相型ホログラ
ムが形成される。
【0011】しかしながら、従来のこのようなホログラ
ム記録用感光性樹脂組成物にあっては、次のような問題
点がある。すなわち、第1の例で示されたものは、反応
性の低いモノマーもある程度の重合が起こり、高い屈折
率変調が得られない。第2の例では、非反応性化合物で
ある1−フェニルナフタレンがホログラム完成後も、低
分子量の化合物として系内に存在するため、保存安定性
がない。また何れの例においても低分子量の混合物で粘
度が低いため、基板に挟持しにくいことや厚膜を形成し
にくいことなど、作業性および再現性に多くの問題を有
する。
【0012】後者の米国特許第3658526号公報に
は、ポリマーマトリックス中に液体モノマーおよび光重
合可能なエチレン性モノマーおよび光重合開始剤を配合
したホログラム記録材料からなる安定なホログラムの製
造方法が開示され、化学作用放射線の1回露光によっ
て、永久的な体積位相型ホログラムが得られる。形成さ
れるホログラムは、引き続く化学作用放射線の全面照射
によって、定着される。ここで開示されたホログラム記
録材料は作業性や再現性などの点で多くの利点を与えよ
うとするものであるが、その回折効率は低い。このホロ
グラム記録材料においては、完成したホログラムの屈折
率変調は、0.001から0.003の範囲である。そ
の結果、形成されたホログラムの再生像は限られた輝度
しか持たない。ホログラム記録層を厚くすることによっ
てある程度の輝度を持たせることも可能ではあるが、こ
の解決方法は、製造者に対して多量のホログラム記録材
料を使用させる結果になると共に、ある媒体、例えば車
載用のヘッドアップディスプレイなどのような合わせガ
ラス中に固定させて用いる場合などに支障をきたす。ま
た、これによって形成されたホログラムは、一般に長時
間保存によって回折効率の低下が起こることも留意され
るべきである。
【0013】この米国特許第3658526号公報に開
示されたホログラム記録材料の製造法も含めた改良技術
として、米国特許第4942112号公報および米国特
許第5098803、また特開平2−3081号公報お
よび特開平2−3082号公報に開示されている。これ
らには熱可塑性樹脂、重合可能な不飽和エチレン性モノ
マーおよび光重合開始剤を基本組成とし、屈折率変調を
向上させるために熱可塑性樹脂または重合可能な不飽和
エチレン性モノマーのどちらか一方に芳香環を有する化
合物を用いて屈折率差を持たせる工夫をしている。しか
しながら、米国特許第3658526号公報開示されて
いるものと同様に、高分子量の樹脂をバインダーマトリ
クッスとして使用しているため、露光時のモノマーの拡
散性が制限され、多くの露光量が必要となると共に高い
回折効率を得ることができない。また、この点を改善す
るために、非反応性の可塑剤を添加しているが、この使
用によって、形成されたホログラムの被膜強度に問題点
を有すると共に、非反応性である可塑剤がホログラム完
成後も、低分子量の化合物として系内に存在し、保存安
定性がない。これに加えて、これを保持する担体が熱可
塑性樹脂であるため、耐熱性に劣る欠点を有している。
【0014】これに対して上記欠点の改良技術である特
開平5−107999号公報によれば、上記特許におけ
る可塑剤の代わりにカチオン重合性モノマーおよびカチ
オン重合開始剤を配合し、ホログラム形成後に非反応性
の可塑剤の残留による問題点は解決される。
【0015】しかしながら、ホログラム形成後に定着の
ためにかなりの光照射を必要とすると共に、定着の際に
低分子量のカチオン重合性モノマーが拡散するために、
形成されたホログラムに歪が生じ、高い回折効率を得る
ことができない。また、従来技術と同様に、これを保持
する担体が熱可塑性樹脂であるため、耐熱性に劣る欠点
を有している。さらに、保持するための担体として、熱
可塑性樹脂を用いない系では、粘度が低いため基板に挟
持しにくいことや厚膜を形成しにくいことなど、作業性
および再現性に多くの問題を有している。
【0016】さらに、エポキシ樹脂とラジカル重合性不
飽和エチレン性モノマーおよび光ラジカル重合剤からな
るホログラム記録用感光性樹脂組成物が特開平5−94
014に開示されている。実施例を見る限り2種類のエ
ポキシ樹脂が使用されているが、紫外線硬化性エポキシ
樹脂を用いた場合には、ラジカル重合およびカチオン重
合を別々の波長域の光で行うなどの煩雑な作業を要する
と共に、モノマーの拡散性を調製するために、前露光に
よって粘度を上げるなどの微調整を必要とし、作業性お
よび再現性が困難である。また、熱硬化性エポキシ樹脂
および硬化剤を用いた場合には、定着のためのエポキシ
樹脂の硬化にかなりの紫外線硬化と加熱時間を要するた
め、作業性が非常に悪い。加えて、ここで開示された改
良技術においては高い回折効率を得ることができない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、湿式
処理を伴わない1回の処理工程でホログラムの作製が可
能な光重合型感光材料においては、屈折率変調を得るた
めのモノマーの重合性或いは分散性の問題、またモノマ
ーを担持する担体及び非反応性添加剤の添加による保存
安定性の問題等を有しており、さらにはホログラム作製
の作業性、得られるホログラムの回折効率、透明性、再
現性などのホログラム特性に優れたホログラム感光性記
録材料及びホログラム記録用媒体を得ることができず、
依然としてホログラム記録のための改良された光重合性
組成物が求められており、とくにそれを用いる光学素子
については当然と言える。そこで、本発明は化学的安定
性、例えば耐環境性、特に耐熱性に優れ、しかも乾式処
理により、高解像度、高回折効率、高透明性、再生波長
再現性に優れたホログラム感光性記録材料及びホログラ
ム感光性記録媒体並びにそれを用いたホログラム製造方
法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
すべくなされたものであり、請求項1記載の発明は、
(A)溶媒可溶性、カチオン重合可能であり、かつ常
温、常圧で固体であるフルオレン誘導体を含有する熱硬
化性エポキシオリゴマーおよび/または単量体と、
(B)常温、常圧で液体で、かつ常圧で沸点が100℃
以上であるラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を
少なくとも1個以上有し、熱硬化性エポキシオリゴマー
(A)と屈折率の異なる重合性モノマーと、(C)化学
作用放射線に露光するとラジカル重合およびカチオン重
合を活性化するラジカル種およびブレンスッテド酸また
はルイス酸を同時に発生する光開始剤と、(D)光開始
剤(C)を増感せしめる増感色素からなることを特徴と
するホログラム感光性記録材料である。
【0019】請求項2記載の発明は、請求項1のホログ
ラム感光性記録材料において、光開始剤(C)がジフェ
ニルヨードニウム塩であることを特徴とする。
【0020】請求項3記載の発明は、請求項1のホログ
ラム感光性記録材料において、増感色素(D)がシアニ
ンまたはメロシアニン系染料、クマリン系染料、カルコ
ン系染料、ポルフィリン系染料から選ばれた有機染料化
合物であることを特徴とする。
【0021】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3記
載のホログラム感光性記録材料を溶媒に溶解して調製し
た感光液を基板上に塗布、乾燥してなる感光層と、酸素
遮断膜とを設けてなることを特徴とするホログラム感光
性記録媒体である。
【0022】請求項5記載の発明は、請求項4記載のホ
ログラム感光性記録媒体の感光層に対して、ホログラフ
ィックな露光を施し潜像を形成した後、唯一の処理工程
として60〜120℃の範囲で、1〜30分間の加熱処
理をすることによりホログラムを製造することを特徴と
するホログラム製造方法である。
【0023】
【作用】本発明のホログラム感光性記録材料によるホロ
グラム記録では、ラジカル重合可能な重合性モノマー
(B)は、溶媒可溶性でカチオン重合可能であり、常
温、常圧で固体であるフルオレン誘導体を含有する熱硬
化性エポキシオリゴマーおよび/または単量体(A)か
らなる固相中に均一に分布しており、この記録材料にレ
ーザ干渉光を照射することにより、レーザ照射部位中の
光干渉作用の強い部位において、光開始剤(C)が増感
剤(D)の作用により、ラジカル重合およびカチオン重
合を活性化するようなラジカル種およびブレンスッテド
酸またはルイス酸を同時に発生する。ここで発生したラ
ジカル種によって、モノマー(B)が重合しポリマー化
するに伴い、その濃度差が生じるため、周囲からモノマ
ー(B)が拡散移動する。すなわちレーザ照射部位中の
光干渉作用の強い部位においてはモノマー濃度が高くな
り、レーザ照射部位中の光干渉作用の弱い部位において
は低くなる。また、エポキシオリゴマーおよび/または
単量体(A)はレーザ照射部位中の光干渉作用の弱い部
位に押し出され、その部分での濃度が高くなると共に、
レーザ照射部位中光干渉作用の強い部位での濃度は低下
する。これにより、両部位において屈折率差を生じるた
め、ホログラムの潜像が記録されるものと推定される。
さらに、ホログラム露光後の加熱により、残留したモノ
マーが重合により固定されると共に、ラジカル種と同時
に発生した強酸によって重合性モノマー(B)の重合に
より生じた濃度差から形成される干渉縞の周囲に存在す
る支持体であるエポキシオリゴマーおよび/または単量
体(A)がカチオン重合により架橋構造となり屈折率が
高くなり、屈折率変調が増強される。また、この架橋に
よって耐候性も向上する。
【0024】また本発明のホログラム感光性記録材料
は、屈折率変調が大きく回折効率の高いホログラムとな
り、従来のホログラム記録材料よりも、再生光のピーク
波長ならびにそのバンド幅の再現性が優れており、さら
に耐環境特性も優れていることから、ホログラム光学素
子への応用が可能となる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明する。図1は本発
明のホログラム感光性記録材料からなるホログラム感光
性記録媒体の構成を説明する概略図であり、図2はホロ
グラム撮影用の二光束光学系を説明する概略説明図であ
る。
【0026】本発明のホログラム感光性記録材料を構成
する成分(A)は、溶媒可溶でカチオン重合可能であ
り、かつ常温、常圧で固体であるフルオレン誘導体を含
有する熱硬化性エポキシオリゴマーおよび/または単量
体であり、例えば下記一般式(I)、(II)、(III)で
示される化合物を挙げることができる。これらはエポキ
シオリゴマーまたは単量体の一般的な合成法により得る
ことができる。例えば「高分子合成の実験法」(大津隆
行、木下雅悦共著;化学同人)12章に記載される方法
により、相当するフェノール化合物とエピクロロヒドリ
ンとから合成することができる。なお、これらに限定さ
れることなく、上記の特性を有するものであれば、用い
ることができる。
【0027】
【化1】
【0028】(式中、nは0以上の整数であり、Xは水
素原子、メチル基またはエチル基を示し、R1 は水素原
子または臭素原子を示す。)
【0029】
【化2】
【0030】(式中、nは0以上の整数であり、Xは水
素原子、メチル基またはエチル基を示し、R1 は水素原
子または臭素原子を示す。)
【0031】
【化3】 (式中、nは0以上の整数である。)
【0032】また、本発明では熱硬化性エポキシオリゴ
マーまたは単量体を2種類以上混合して用いることもで
き、とくに熱硬化性エポキシオリゴマーと熱硬化性エポ
キシ単量体を混合して用いることもできる。さらにフル
オレン誘導体を含有しないエポキシオリゴマーまたは単
量体を適宜添加することも可能である。
【0033】次に成分(B)のラジカル重合可能な重合
性モノマーとしては、構造単位中にエチレン性の不飽和
結合を少なくとも1個以上含み、かつ熱硬化性エポキシ
オリゴマーまたは単量体(A)と屈折率が異なるもので
あり、1官能であるビニルモノマーの他に多官能ビニル
モノマーを含むものであり、またこれらの混合物であっ
てもよい。Kogelnikの理論によれば、成分
(A)と成分(B)との屈折率差が0.03以上である
ことが望ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸、イ
タコン酸、マレイン酸、(メタ)アクリルアミド、ジア
セトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート等の高沸点ビニルモノマー、さらには、脂
肪族ポリヒドロキシ化合物、例えば、エチレングルコー
ル、ジエチレングルコール、トリエチレングリコール、
テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テ
トラプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,10−デカンジオール、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、
ソルビトール、マンニトールなどのジあるいはポリ(メ
タ)アクリル酸エステル類など、ジメチロールトリシク
ロデカンモノアクリレート、ジメチロールトリシクロデ
カンジアクリレートなどの脂環式モノマー、芳香族ポリ
ヒドロキシ化合物、例えばヒドロキノン、レゾルシン、
カテコール、ピロガロール、ビスフェノールA等のジ或
いはポリ(メタ)アクリル酸エステル、イソシアヌル酸
のエチレンオキシド変性(メタ)アクリル酸エステルな
どが挙げられる。
【0034】本発明の成分(C)化学作用放射線に露光
するとラジカル重合とカチオン重合を活性化する光開始
剤系としては、ジフェニルヨードニウム塩などが好まし
く有機染料化合物で増感することも可能である。本発明
で用いられるジフェニルヨードニウム塩のとしては、M
acromolecules、10、1307(197
7).に記載される化合物、例えば、ジフェニルヨード
ニウム、ジトリルヨードニウム、フェニル(p−アニシ
ル)ヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨード
ニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウ
ム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウムなどのヨ
ードニウムのクロリド、ブロミド、あるいはホウフッ化
塩、ヘキサフルオロフォスフェート塩、ヘキサフルオロ
アルセネート塩等のヨードニウム塩、トリアリールスル
ホニム塩、トリアリールホスホニウム塩、鉄アレーン錯
体、トリアジン化合物等を挙げることができるが、これ
らに限定されるものではない。なお、以下に述べる有機
染料化合物等の増感剤と組み合わせて用いることができ
る。
【0035】さらに、本発明の増感色素(D)として
は、シアニンまたはメロシアニン系染料、クマリン系染
料、カルコン系染料、ポルフィリン系染料などの有機染
料化合物が使用できる。具体的な例を以下の述べる。
【0036】シアニンまたはメロシアニン系染料の例と
しては、フルオレセン、ローダミン、2’7’−ジクロ
ロフルオレセン、3,3’−ジカルボキシエチル−2,
2’−チオシアニン ブロミド、アンヒドロ−3,3’
−ジカルボキシメチル−2,2’−チオシアニン ベタ
イン、1−カルボキシメチル−1’−カルボキシエチル
−2,2’キノシアニン ブロミド、アンヒドロ−3,
3’−ジカルボキシエチル−5,5’,9−トリメチル
−2,2’−チアカルボシアニン ベタイン、3,3’
−ジヒドロキシエチル−5,5’ジメチル−9−エチル
−2,2’−チアカルボシアニン ブロミド、アンヒド
ロ−3,3’−ジカルボキシメチル−2,2’−チアカ
ルボシアニン ベタイン、2−[3−エチル−4−オキ
ソ−5−(1−エチル−4−キノリニデン)−エチリデ
ン−2−チアゾリニデン−メチル]−3−エチルゼンゾ
キサゾリウム ブロミド、3−エチル−5−[2−(3
−エチル−2−ベンゾチアゾリリデン)−エチリデン]
ロ−ダニン、3−エチル−5−[2−(3−メチル−2
(3H)−チアゾリニリデン)−エチリデン]−2−チ
オ−2,4−オキサザリジオン、3−エチル−5−(3
−エチル−ゼンゾチアゾリリデン) ローダニン、2−
(p−ジメチルアミノスチリル)−3−エチル, ベンゾ
チアゾリウム ヨージド、2−(p−ジエチルアミノス
チリル)−1−エチル ピリジニウム ヨージド、1,
3’−ジエチル−2,2’−キノチアシアニン ヨージ
ドなどの使用が好ましいが、これらに限定されるもので
はない。
【0037】クマリン系染料の例としては、3−(2’
−ベンズイミダゾール)7−N,N−ジエチルアミノク
マリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミ
ノクマリン)、3,3’−カルボニルビスクマリン、
3,3’−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、
3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリ
ン)、3,3’−カルボニルビス(6−メトキシクマリ
ン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマ
リン)、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジイソプ
ロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(5、
7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3、3’−カルボ
ニルビス(5,7−ジ−n−ブトキシクマリン)、3,
3’−カルボニルビス(7−ジメチルアミノクマリ
ン)、7−ジエチルアミノ−5’,7’ジメトキシ−
3,3’−カルボニルビスクマリン、3−ベンゾイルク
マリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリ
ン、3−ベンゾイル−6−メトキシクマリン、3−ベン
ゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−
メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−エトキシクマ
リン、3−ベンゾイル−6−ブロモクマリン、3−ベン
ゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル
−7−ジエチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−
ヒドロキシクマリン、3−アセチル−7−ジエチルアミ
ノクマリン、3−アセチル−7−メトキシクマリン、3
−アセチル−5,7−ジメトキシクマリン、7−ジメチ
ルアミノ−3−(4−ヨードベンゾイル)クマリン、7
−ジエチルアミノ−3−(4−ヨードベンゾイル)クマ
リン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノ
ベンゾイル)クマリンなどが挙げられるが、これらに限
定されるものではない。
【0038】カルコン系染料の例としては、以下の化合
物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
【化4】
【0040】ポルフィリン系染料としては、9,10−
ジヒドロポルフィリン、5,9,15,19−テトラメ
チルポルフィリン、4,5,14,15−テトラヒドロ
−4,9,14,19−テトラメチル−2,7,12,
17−テトラザポルフィリン、メソ−テトラフェニルポ
ルフィリン、4,5,9,10,14,15,19,2
0−オクタメチルポルフィリン、5,9,ジアセチル−
4,10,14,15,19,20−ヘキサメチルポル
フィリン、5,9−ジアセチル−14−エチル−4,1
0,15,19,20−ペンタメチルポルフィリン、
4,9,14,19−テトラメチル−5,10,15,
20−テトラプロピルポルフィリン、2−アミノ−4,
5,9,10,14,15,19,20−オクタエチル
ポルフィリン、2−ニトロ−4,5,9,10,14,
15,19,20−オクタエチルポルフィリン、メソ−
ジフェニルテトラベンゾポルフィリン、4,5−ジブロ
モ−9,10−,14,15−,19,20−トリベン
ゾ−2,7,12,17−テロラザポルフィリン、4,
5,9,10,14,15,19,20−オクタフェニ
ルポルフィリン、テトラキス(3,4−ジメトキシフェ
ニル)ポルフィリン、4,5,9,10,14,15,
19,20−オクタ(p−メトキシフェニル)ポルフィ
リンやそれらの銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、白金、
マグネシウムなどの金属錯体などの使用が好ましいが、
これらに限定されるものではない。
【0041】さらに、この他に(チオ)キサンテン系染
料、アズレニウム系染料、スクアリリウム系染料、(チ
オ)キサントン系染料、テトラピラジノポルフィラジン
系染料など光開始剤(D)を増感する増感色素を用いる
ことができる。これらの増感剤は、使用目的に応じて光
源となる輻射線の波長に合うように選択することがで
き、用途によっては2種類以上を組み合わせて使用して
も構わない。
【0042】本発明のホログラム感光感熱記録材料は、
上記したように(A)溶媒可溶性、カチオン重合可能で
あり、かつ常温、常圧で固体であるフルオレン誘導体を
含有する熱硬化性エポキシオリゴマーおよび/または単
量体と、(B)常温、常圧で液体であり且つ常圧で沸点
が100℃以上であるラジカル重合可能なエチレン性不
飽和結合を少なくとも1個以上有し、熱硬化性エポキシ
オリゴマー(A)と屈折率の異なる重合性モノマーと、
(C)化学作用放射線に露光するとラジカル重合および
カチオン重合を活性化するようなラジカル種およびブレ
ンスッテド酸またはルイス酸を同時に発生する光開始剤
および(D)光開始剤(C)を増感するような増感色素
からなり、通常記録材料がエポキシオリゴマー(A)1
00重量部に対して、重合性モノマー(B)20から1
00重量部の範囲であることが好ましく、この範囲を逸
脱すると明るいホログラムを再現性よく得ることが困難
になるまた成分(C)の光開始剤の量は、成分(A)1
00重量部に対し、0.1から20重量部、好ましくは
1から10重量部である。さらに、成分(D)の増感剤
は、成分(A)100重量部に対して0.1から10重
量部、好ましくは0.5から2までの範囲をとることが
可能である。使用量は、形成する感光層膜厚とその膜厚
の光学濃度によって制限を受けるため、光学濃度が2を
越えない範囲で使用することが好ましい(或いは透過率
とする場合は、ホログラム撮影時の照射光の透過率が1
%以上となるような範囲とすることが好ましい)。
【0043】さらに本発明のホログラム感光感熱記録材
料には、必要に応じて公知の熱重合禁止剤、連鎖移動
剤、酸化防止剤などの各種添加剤を加えてもよい。
【0044】このように、これらの各成分を適宜選択
し、任意の割合で混合して得た感光液をスピンコータ
ー、ロールコータ、バーコーターなど公知の塗工手段を
用いて、ガラス板やポリカーボネート板、ポリメチルメ
タクリレート板、ポリエステルフィルムなどの基板2上
に皮膜状に塗布したものが図1に示すホログラムが作製
される通常のホログラム撮影用のホログラム感光性記録
媒体1である。さらに感光層3上には酸素遮断膜として
保護層4を設けてもよい。保護層4には例えばポリオレ
フィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビ
ニルアルコールまたはポリエチレンテレフタレートなど
のプラスチック、ガラスなどの光学的に透明なものを貼
り合わせ、押出機などによる積層、溶液の塗工などによ
り形成される。なお、感光液を塗布する際は、必要に応
じて適当な溶剤で希釈してもよいが、その場合には基板
上に塗布した後に、乾燥を要する。また、撮影時の照射
光の透過率が1%以上となるように、調製することが望
ましい。
【0045】図2は反射型ホログラム撮影用の二光束光
学系を説明する概略図であり、レーザ5から発振された
レーザ光6は、ミラー7、ビームスプリッター8、スペ
イシャルフィルター9、レンズ10を介してホログラム
感光性記録媒体1に照射される。なお本発明では露光に
よるホログラム撮影後、定着工程を乾式処理で行なって
いる。なお、本発明は、詳細な説明及び図示をしないが
透過型ホログラムの作製についても同様に可能であり、
優れたホログラム特性を有する透過型ホログラムが得ら
れる。
【0046】このホログラム感光性記録媒体1にホログ
ラム画像を記録する場合は、所望の画像に合わせてレー
ザ照射を加えることにより、レーザ照射部位の光干渉作
用の強い部位では、熱硬化性エポキシオリゴマーおよび
/または単量体(A)の固相中に均一に分散している、
ラジカル重合可能な重合性モノマー(B)が、レーザー
(レーザ干渉光)照射により感光させると光重合開始剤
の作用によって、重合しポリマー化するため、その周囲
のラジカル重合可能な重合性モノマー(B)の移動が生
じる。このためレーザ照射部位の光干渉の強い部位で
は、ラジカル重合可能な重合性モノマー(B)の濃度が
高くなり、また光干渉作用の弱い部位では、ラジカル重
合可能な重合性モノマー(B)の濃度が低下する。さら
に熱硬化性エポキシオリゴマーおよび/または単量体
(A)はレーザ照射部位中の光干渉作用の弱い部位に押
し出され、その部分での濃度が高くなると共に、レーザ
照射部位中光干渉作用の強い部位での濃度は低下する。
すなわち両部位において屈折率差を生じ、これによりホ
ログラム感光性記録媒体1の光干渉の強い部位と光干渉
作用の弱い部位との密度差から屈折率が異なることによ
る屈折率変調が生じ、ホログラム画像記録が行われるも
のである。さらにホログラム露光後の加熱(60〜12
0℃の範囲で、1〜30分間の加熱処理)により、残留
したモノマーが重合により固定されると共に、ラジカル
種と同時に発生した強酸によって重合性モノマー(B)
の重合により生じた濃度差から形成される干渉縞の周囲
に存在する支持体である熱硬化性エポキシオリゴマーお
よび/または単量体(A)がカチオン重合により架橋構
造となり屈折率が高くなり、屈折率変調が増強される。
また、この架橋によってホログラム感光性記録媒体1の
強度など耐候性、化学的安定性が向上する。
【0047】干渉パターンの露光工程における、本発明
のホログラム感光性記録材料に適した光源としては、ヘ
リウム−カドミウムレーザ、アルゴンレーザ、クリプト
ンレーザ、ヘリウムネオンレーザ等が利用できるが、こ
れに限定されるものではない。
【0048】以下、具体的な実施例により本発明をさら
に詳細に説明する。 <実施例1>次式(V)で示される熱硬化性エポキシ単
量体100重量部、
【0049】
【化5】
【0050】トリエチレングリコールジアクリレート5
0重量部およびジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ
フォスフェート5重量部、3,3’−カルボニルビス
(7−ジエチルアミノ)クマリン1重量部を1,4−ジ
オキサン200重量部に混合溶解したものを感光液とし
た。この感光液をガラス板に、膜厚が約15ミクロンに
なるように塗布し感光層を形成した後、感光層上をポリ
ビニルアルコール(PVA)膜で覆い、ホログラム感光
性記録媒体を作製した。
【0051】ホログラム感光性記録媒体を、図2に示す
ホログラム撮影用の二光束光学系により光源としてアル
ゴンレーザ(514.5nm)を用いて露光後、100
℃で30分加熱処理を行い、ホログラムを作製した。
【0052】得られたホログラムの回折効率は、日本分
光工業社製の分光光度計により測定した。この分光光度
計は、幅3mmのスリットを有したフォトマルチメータ
ーを、試料を中心にした半径20cmの円周上に設置で
きるものである。測定条件は幅0.3mmの単色光を試
料に45度の角度で入射し、試料からの回折光を検出し
た。正反射光以外で最も大きな値と、試料を置かずに直
接入射光を受光したときとの比を回折効率とした。また
加熱前における回折効率についても同様に測定を行なっ
た。その評価結果を表1に示す。但し、表中のD.E.
およびR.I.Cはそれぞれ回折効率および屈折率変調
を示す。
【0053】<実施例2−5>トリエチレングリコール
ジアクリレート(TEGDA)の代わりにジエチレング
リコールジアクリレート(DEGDA)、ネオペンチル
グリコールジアクリレート(NPGDA)エチルカルビ
トールアクリレート(EKA)、1,6−ヘキサンジオ
ールジアクリレート(HDDA)を用いる以外は、実施
例1と同様にホログラムを作製ホログラムし、回折効率
を測定した。また加熱前における回折効率についても同
様に測定を行なった。その評価結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】TEGDA ; トリエチレングリコール
ジアクリレート DEGDA ; ジエチレングリコールジアクリレート NPGDA ; ネオペンチルグリコールジアクリレー
ト EKA ; エチルカルビトールアクリレート HDDA ; 1,6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート
【0056】<実施例6、7>実施例1の熱硬化性エポ
キシ単量体(V)の代わりに次式(VI) および(VII)で
示される熱硬化性エポキシ単量体をそれぞれ用いる以外
は,実施例1と同様にホログラムを作製ホログラムを作
製し回折効率を測定した。また加熱前における回折効率
についても同様に測定を行なった。その評価結果を表2
に示す。
【0057】
【化6】
【0058】
【化7】
【0059】
【表2】
【0060】<実施例8−10>実施例1の熱硬化性エ
ポキシ単量体(V)の代わりに次式(VIII) で示され、
nの理論値が1、3および5である各熱硬化性エポキシ
オリゴマーをそれぞれ用いる以外は,実施例1と同様に
ホログラムを作製ホログラムを作製し回折効率を測定し
た。また加熱前における回折効率についても同様に測定
を行なった。その評価結果を表3に示す。
【0061】
【化8】
【0062】
【表3】
【0063】<実施例11−14>実施例1の増感剤で
ある3,3'-カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)ク
マリンの代わりに、3−エチル−5−[2−(3−エチ
ル−2−ベンゾチアゾリリデン)−エチリデン]ロ−ダ
ニン(Dye−1)、メソ−ジフェニルテトラベンゾポ
ルフィリン(Dye−2)、3−(2’−ベンズイミダ
ゾール)7−N,N−ジエチルアミノクマリン(Dye
−3)、2−ベンゾイル−3−(p−ジメチルアミノフ
ェニル)−2−プロペネニトリル(Dye−4)をそれ
ぞれ用いる以外は、実施例1と同様にホログラムを作製
し、回折効率を測定した。また加熱前における回折効率
についても同様に測定を行なった。その評価結果を表4
に示す。但し、露光に際して、Dye−1、Dye−3
及びDye−4には、アルゴンレーザの514.5nm
の代わりに488nmの光を使用し、Dye−2には、
クリプトンレーザの647nmの光を使用した。
【0064】
【表4】
【0065】Dye−1; 3−エチル−5−[2−
(3−エチル−2−ベンゾチアゾリリデン)−エチリデ
ン]ロ−ダニン Dye−2; メソ−ジフェニルテトラベンゾポルフィ
リン Dye−3; 3−(2’−ベンズイミダゾール)7−
N,N−ジエチルアミノクマリン Dye−4; 2−ベンゾイル−3−(p−ジメチルア
ミノフェニル)−2−プロペネニトリル
【0066】実施例1−14のホログラムは25℃、6
0%RHで180日間及び150℃で10時間の環境下
に放置しても回折効率の低下は認められなかった。
【0067】
【発明の効果】以上述べたように本発明は、上記したよ
うに溶媒可溶性でカチオン重合可能であり、かつ常温、
常圧で固体であるフルオレン誘導体を含有する熱硬化性
エポキシオリゴマーおよび/または単量体と、(B)常
温、常圧で液体で、かつ常圧で沸点が100℃以上であ
るラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくと
も1個以上有し、熱硬化性エポキシオリゴマー(A)と
屈折率の異なる重合性モノマーと、(C)化学作用放射
線に露光するとラジカル重合およびカチオン重合を活性
化するようなラジカル種およびブレンスッテド酸または
ルイス酸を同時に発生する光開始剤および(D)光開始
剤(E)を増感するような増感色素から構成することに
より、とくに乾式処理において可視光域に優れた感度、
解像度、回折効率、透明性を有するとともに、耐熱性な
ど耐候性に優れ、かつ化学的に安定したホログラム感光
性記録材料及びホログラム用感光性記録媒体を提供でき
る。また極めて要求性能の高いHOE用のホログラム用
感光性記録材料に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラム感光性記録材料からなるホ
ログラム感光性記録媒体の構成を説明する概略図であ
る。
【図2】ホログラム撮影用の二光束光学系を説明する概
略図である。
【符号の説明】
1 ホログラム感光性記録媒体 2 基板 3 感光層 4 保護層 5 レーザ 6 レーザ光 7 ミラー 8 ビームスプリッター 9 スペイシャルフィルター 10 レンズ 11 レンズ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)溶媒可溶性、カチオン重合可能であ
    り、かつ常温、常圧で固体であるフルオレン誘導体を含
    有する熱硬化性エポキシオリゴマーおよび/または単量
    体と、(B)常温、常圧で液体で、かつ常圧で沸点が1
    00℃以上であるラジカル重合可能なエチレン性不飽和
    結合を少なくとも1個以上有し、熱硬化性エポキシオリ
    ゴマーおよび/または単量体(A)と屈折率の異なる重
    合性モノマーと、(C)化学作用放射線に露光するとラ
    ジカル重合およびカチオン重合を活性化するラジカル種
    およびブレンスッテド酸またはルイス酸を同時に発生す
    る光開始剤と、(D)光開始剤(C)を増感せしめる増
    感色素からなることを特徴とするホログラム感光性記録
    材料。
  2. 【請求項2】前記光開始剤(C)がジフェニルヨードニ
    ウム塩であることを特徴とする請求項1記載のホログラ
    ム感光性記録材料。
  3. 【請求項3】前記増感色素(D)がシアニンまたはメロ
    シアニン系染料、クマリン系染料、カルコン系染料、ポ
    ルフィリン系染料から選ばれた有機染料化合物であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のホログラム感光性記録材
    料。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3に記載のホログラム用感光
    性記録材料を溶媒に溶解して調製した感光液を基板上に
    塗布、乾燥してなる感光層と、酸素遮断膜とを設けてな
    ることを特徴とするホログラム感光性記録媒体。
  5. 【請求項5】請求項4記載のホログラム用感光性記録媒
    体の感光層に対して、ホログラフックな露光を施し潜像
    を形成した後、唯一の処理工程として60〜120℃の
    範囲で、1〜30分間の加熱処理をすることによりホロ
    グラムを製造することを特徴とするホログラム製造方
    法。
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