JPH0816079A - ホログラム感光性記録材料およびホログラム感光性記録媒体 - Google Patents

ホログラム感光性記録材料およびホログラム感光性記録媒体

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JPH0816079A
JPH0816079A JP6149797A JP14979794A JPH0816079A JP H0816079 A JPH0816079 A JP H0816079A JP 6149797 A JP6149797 A JP 6149797A JP 14979794 A JP14979794 A JP 14979794A JP H0816079 A JPH0816079 A JP H0816079A
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hologram
photosensitive recording
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hologram photosensitive
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JP6149797A
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English (en)
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Yasushi Oe
靖 大江
Hiromitsu Ito
浩光 伊藤
Madoka Yasuike
円 安池
Yasumasa Toba
泰正 鳥羽
Yoshinori Kano
美紀 鹿野
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Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】化学的安定性、耐環境性、解像度、回折効率、
透明性、再生波長再現性に優れたホログラム感光性記録
材料およびホログラム感光性記録媒体を提供する。 【構成】溶媒可溶性でカチオン重合可能なエポキシ等量
が1000から6000である熱硬化性エポキシオリゴ
マーと、常温、常圧で液体であり且つ常圧で沸点が10
0℃以上であるラジカル重合可能なエチレン性不飽和結
合を少なくとも1個以上有する脂肪族モノマーと、化学
作用放射線に露光するとラジカル重合およびカチオン重
合を活性化するようなラジカル種およびブレンスッテド
酸またはルイス酸を同時に発生する光開始剤と、増感色
素とから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、体積位相型ホログラム
形成に用いられるホログラム感光性記録材料及びホログ
ラム記録用媒体並びにそれを用いたホログラム製造方法
にかかり、可視光、とくにアルゴンレーザ光、或いは電
子線に対して高感度で、さらに耐候性及び保存安定性に
優れ、かつ解像度、回折効率、透明性などのホログラム
特性値が良好なホログラム感光性記録材料及びホログラ
ム感光性記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ホログラムは三次元立体像の再生
が可能であることから、その優れた意匠性、装飾効果か
ら書籍、雑誌等の表紙、POPなどのディスプレイ、ギ
フトなどに利用されている。またホログラムはサブミク
ロン単位での情報の記録と等価であるといえることから
有価証券、クレジットカードなどの偽造防止用のマーク
などにも利用されている。
【0003】とくに体積位相型ホログラムは、ホログラ
ム記録媒体中に光学的吸収ではなく屈折率の異なる空間
的な干渉縞を形成することによって、像を通過する光ビ
ームを吸収することなく位相を変調することができるた
め、近年においては、ディスプレイ用途の他に、自動車
搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)に代表さ
れるホログラム光学素子(HOE)への応用が期待され
ている。
【0004】ところで体積位相型ホログラム記録材料
は、可視発振波長を持つレーザ光に高感度で感光し、し
かも高い解像性を示すことが要求されている。また、実
際にホログラムの形成に使用するに当たり、ホログラム
の回折効率、再生光の波長再現性やバンド幅(再生光ピ
ークの半値幅)等の特性がその目的に合うことが要求さ
れる。とくにHOE用のホログラム記録材料には、回折
効率が空間周波数5000〜6000本/mmで90%
以上、再生光のピークの半値幅(バンド幅)が20〜3
0nm、再生波長のピーク波長は、撮影波長から5nm
以内であることが望ましく、さらに、長期にわたって保
存安定性に優れていることも必要とされている。
【0005】ホログラム作製に関する一般的原理は、い
くつかの文献や専門書、たとえば「ホログラフィックデ
ィスプレイ」(辻内順平編;産業図書)2章に記載され
ている。これらによれば、二光束のコヒーレントな一般
には、レーザ光の一方を記録対象物に照射し、それから
の全反射光を受け取れる位置に感光性の記録媒体、例え
ば写真用乾板が置かれる。記録媒体には、対象物からの
反射光の他に、もう一方のコヒーレントな光が、対象物
に当たらずに直接照射される。対象物からの反射光を対
象光、また直接媒体に照射される光を参照光といい、参
照光と対象光との干渉縞が画像情報として記録される。
次に、処理された記録媒体が光に曝され、適切な目の位
置で観測されると、照明光源からの光は、記録の際に対
象物から記録媒体に最初に到達した反射光の波面を再現
するようにホログラムによって回折され、その結果、対
象物の実像と似た物体像が三次元的に観測される。参照
光と対象光を同じ方向から記録媒体に入射させて形成さ
れるホログラムは透過型ホログラムとして知られてい
る。一方、互いに記録媒体の反対側から入射させて形成
したホログラムは、一般に反射型ホログラムとして知ら
れている。透過型ホログラムは、例えば米国特許第35
06327号公報、米国特許第3894787号公報な
どで開示されているような公知の方法によって得ること
ができる。また、反射型ホログラムは、例えば米国特許
第3532406号公報に開示された公知の方法で作製
できる。
【0006】像として形成されたホログラムを比較する
値としては屈折率変調がある。これは、記録媒体に直接
的に二光束が媒体となす角度が同じにようにして照射
し、回折格子を作製した時、その回折格子によって回折
される入射光の割合すなわち回折効率並びに記録媒体の
厚さより特定される値である。屈折率変調は、体積型ホ
ログラムの露光部および未露光部、すなわち光が干渉し
て強め合う部分と弱め合う部分で生じる屈折率の変化の
定量的尺度であり、コーゲルニック(H. Kogelnik)の理
論式〔Bell.Syst.Tech.J.,48,2
909,(1969).〕によって求めることができ
る。一般に、反射位相型ホログラムは透過型ホログラム
に比べて解像度が高い、すなわち1mm当たりに形成さ
れる干渉縞の数が多いために記録が困難であり、高い屈
折率変調を得ることが難しい。
【0007】このような体積位相型ホログラムの記録材
料としては、従来、漂白処理銀塩および重クロム酸ゼラ
チン系の感光材料が一般に使用されてきた。この重クロ
ム酸ゼラチン系の感光材料は、その高い回折効率と低ノ
イズ特性によって、体積位相型ホログラムを記録するの
に最も広く用いられる材料である。しかし、この感光材
料は貯蔵寿命が短く、作製の度に調製しなければならな
い。また、湿式現像を行うため、ホログラム作製の際に
必要となるゼラチンの膨潤および収縮過程においてホロ
グラムの変形を生じる。このため、ホログラムの再現性
が悪いという問題点も有している。また、銀塩感材は、
記録後に煩雑な処理を必要とし、安定性および作業性の
観点から満足できる感光材料ではない。さらに、これら
の上記の感光材料は、何れも耐環境特性、例えば耐湿
性、耐候性に劣るという問題点を有していた。
【0008】これに対して、耐環境特性に優れ、かつ、
高解像度、高回折効率などのホログラム記録材料の有す
べき特性を備えた材料として、ポリ−N−ビニルカルバ
ゾールを用いたホログラム記録材料があげられる。例え
ば、架橋剤として環状シス−α−ジカルボニル化合物と
増感剤からなるホログラム記録材料(特開昭60−45
283号公報)、1,4,5,6,7,7−ヘキサクロ
ロ−5−ノルボルネン−無水−2,3−ジカルボン酸と
色素からなるホログラム記録材料(特開昭60−227
280号公報)、2,3−ボルナンジオンとチオフラビ
ンからなるホログラム記録材料(特開昭60−2600
80号公報)、チオフラビンTとヨードホルムからなる
ホログラム(特開昭62−123489号公報)等が提
案されている。ところがこれらのホログラム記録材料
は、やはり湿式現像を必要とするため、煩雑な処理工程
を必要とし、再現性に劣るという問題点を有し、またポ
リ−N−ビニルカルバゾールを主剤とした感光材料であ
るため、化学的安定でかつ高解像度、耐環境特性に優れ
ているものの、ポリ−N−ビニルカルバゾールは結晶化
して非常に白化しやすく、透明性の再現性がわるく、ま
た溶剤も限られてしまうという問題を有している。加え
て、感度特性において、なお一層の向上が望まれてい
る。
【0009】また高感度で光硬化出来る材料として、光
重合開始剤の構成成分である、3−ケトクマリン類とジ
アリールヨードニウム塩との組み合わせで用いる光硬化
樹脂組成物(特開昭60−88005号公報)、さら
に、該光重合開始剤と担持重合体としてポリメチルメタ
クリレートとを組み合わせたホログラム記録材料(特開
平4−31590号公報)が提案されており、化学的に
安定でかつ高解像度、高感度を有しているものの、湿式
処理により空隙を形成させるため、再生波長のピーク波
長のばらつきやピーク波長の半値幅の拡大、また、現像
の際、膨潤溶媒に胆持ポリマーが若干溶解するため、現
像むらが起き易いという問題を有し、さらにホログラム
中に空隙が多数存在することから、耐熱性及び耐熱圧性
に劣るという問題点を有している。
【0010】かかる問題に対して、湿式処理を伴わない
1回の処理工程でホログラムの作製が可能な光重合型感
光材料が、米国特許第3993485号公報および米国
特許第3658526号公報に開示されている。前者は
2つのタイプの感光材料があり、第1の例としては、反
応性および屈折率のことなる2つの重合可能な不飽和エ
チレン性モノマーと光重合開始剤の組み合わせ、例えば
シクロヘキシルメタクリレート、N−ビニルカルバゾー
ルおよびベンゾインメチルエーテルからなり、これを2
枚のガラス板に狭持し、二光束光学系で露光することに
よってホログラム記録できる感光性樹脂組成物である。
また、第2の例としては、同程度の屈折率を持つ重合可
能な不飽和エチレン性モノマーとそれが重合する際に架
橋剤として働く不飽和エチレン性モノマー、および2つ
のモノマーと屈折率を異にする非反応性化合物と重合開
始剤の4成分、例えばブチルメタクリレート、エチレン
グリコールジメタクリレート、1−フェニルナフタレン
およびベンゾインメチルエーテルからなり、第1の例と
同様にしてホログラムを作製することができる感光性樹
脂組成物である。何れの感光性樹脂組成物を用いても、
二光束によってできる干渉縞の光強度が強くなる部分で
より反応性の高いモノマーの重合が進むと共に、モノマ
ーの濃度勾配が生じ、反応性の高いモノマーは光強度の
強い部分に、また反応性の低いモノマーあるいは非反応
性化合物は光強度の弱い部分に拡散する。このようにし
て干渉縞が屈折率の差で記録され、体積位相型ホログラ
ムが形成される。
【0011】しかしながら、従来のこのようなホログラ
ム記録用感光性樹脂組成物にあっては、次のような問題
点がある。すなわち、第1の例で示されたものは、反応
性の低いモノマーもある程度の重合が起こり、高い屈折
率変調が得られない。第2の例では、非反応性化合物で
ある1−フェニルナフタレンがホログラム完成後も、低
分子量の化合物として系内に存在するため、保存安定性
がない。また何れの例においても低分子量の混合物で粘
度が低いため、基板に挟持しにくいことや厚膜を形成し
にくいことなど、作業性および再現性に多くの問題を有
する。
【0012】後者の米国特許第3658526号公報に
は、ポリマーマトリックス中に液体モノマーおよび光重
合可能なエチレン性モノマーおよび光重合開始剤を配合
したホログラム記録材料からなる安定なホログラムの製
造方法が開示され、化学作用放射線の1回露光によっ
て、永久的な体積位相型ホログラムが得られる。形成さ
れるホログラムは、引き続く化学作用放射線の全面照射
によって、定着される。ここで開示されたホログラム記
録材料は作業性や再現性などの点で多くの利点を与えよ
うとするものであるが、その回折効率は低い。このホロ
グラム記録材料においては、完成したホログラムの屈折
率変調は、0.001から0.003の範囲である。そ
の結果、形成されたホログラムの再生像は限られた輝度
しか持たない。ホログラム記録層を厚くすることによっ
てある程度の輝度を持たせることも可能ではあるが、こ
の解決方法は、製造者に対して多量のホログラム記録材
料を使用させる結果になると共に、ある媒体、例えば車
載用のヘッドアップディスプレイなどのような合わせガ
ラス中に固定させて用いる場合などに支障をきたす。ま
た、これによって形成されたホログラムは、一般に長時
間保存によって回折効率の低下が起こることも留意され
るべきである。
【0013】この米国特許第3658526号公報に開
示されたホログラム記録材料の製造法も含めた改良技術
として、米国特許第4942112号公報および米国特
許第5098803、また特開平2−3081号公報お
よび特開平2−3082号公報に開示されている。これ
らには熱可塑性樹脂、重合可能な不飽和エチレン性モノ
マーおよび光重合開始剤を基本組成とし、屈折率変調を
向上させるために熱可塑性樹脂または重合可能な不飽和
エチレン性モノマーのどちらか一方に芳香環を有する化
合物を用いて屈折率差を持たせる工夫をしている。しか
しながら、米国特許第3658526号公報開示されて
いるものと同様に、高分子量の樹脂をバインダーマトリ
クッスとして使用しているため、露光時のモノマーの拡
散性が制限され、多くの露光量が必要となると共に高い
回折効率を得ることができない。また、この点を改善す
るために、非反応性の可塑剤を添加しているが、この使
用によって、形成されたホログラムの被膜強度に問題点
を有すると共に、非反応性である可塑剤がホログラム完
成後も、低分子量の化合物として系内に存在し、保存安
定性がない。これに加えて、これを保持する担体が熱可
塑性樹脂であるため、耐熱性に劣る欠点を有している。
【0014】これに対して上記欠点の改良技術である特
開平5−107999号公報によれば、上記特許におけ
る可塑剤の代わりにカチオン重合性モノマーおよびカチ
オン重合開始剤を配合し、ホログラム形成後に非反応性
の可塑剤の残留による問題点は解決される。
【0015】しかしながら、ホログラム形成後に定着の
ためにかなりの光照射を必要とすると共に、定着の際に
低分子量のカチオン重合性モノマーが拡散するために、
形成されたホログラムに歪が生じ、高い回折効率を得る
ことができない。また、従来技術と同様に、これを保持
する担体が熱可塑性樹脂であるため、耐熱性に劣る欠点
を有している。さらに、保持するための担体として、熱
可塑性樹脂を用いない系では、粘度が低いため基板に挟
持しにくいことや厚膜を形成しにくいことなど、作業性
および再現性に多くの問題を有している。
【0016】さらに、エポキシ樹脂とラジカル重合性不
飽和エチレン性モノマーおよび光ラジカル重合剤からな
るホログラム記録用感光性樹脂組成物が特開平5−94
014に開示されている。実施例を見る限り2種類のエ
ポキシ樹脂が使用されているが、紫外線硬化性エポキシ
樹脂を用いた場合には、ラジカル重合およびカチオン重
合を別々の波長域の光で行うなどの煩雑な作業を要する
と共に、モノマーの拡散性を調製するために、前露光に
よって粘度を上げるなどの微調整を必要とし、作業性お
よび再現性が困難である。また、熱硬化性エポキシ樹脂
および硬化剤を用いた場合には、定着のためのエポキシ
樹脂の硬化にかなりの紫外線硬化と加熱時間を要するた
め、作業性が非常に悪い。加えて、ここで開示された改
良技術においては高い回折効率を得ることができない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、湿式
処理を伴わない1回の処理工程でホログラムの作製が可
能な光重合型感光材料においては、屈折率変調を得るた
めのモノマーの重合性或いは分散性の問題、またモノマ
ーを担持する担体及び非反応性添加剤の添加による保存
安定性の問題等を有しており、さらにはホログラム作製
の作業性、得られるホログラムの回折効率、透明性、再
現性などのホログラム特性に優れたホログラム感光性記
録材料及びホログラム記録用媒体を得ることができず、
依然としてホログラム記録のための改良された光重合性
組成物が求められており、とくにそれを用いる光学素子
においてその必要性が高まっている。そこで、本発明は
化学的安定性、耐環境性、特に耐熱性に優れ、しかも乾
式処理により、解像度、回折効率、透明性、再生波長再
現性に優れ、とくに回折効率を向上させることが可能な
ホログラム感光性記録材料及びホログラム感光性記録媒
体を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
すべくなされたものであり、請求項1記載の発明は、溶
媒可溶性、カチオン重合可能なエポキシ当量が400か
ら6000である熱硬化性エポキシオリゴマーと、
(B)常温、常圧で液体で、かつ常圧で沸点が100℃
以上であるラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を
少なくとも1個以上有する脂肪族モノマーと、(C)化
学作用放射線に露光するとラジカル重合およびカチオン
重合を活性化するラジカル種およびブレンスッテド酸ま
たはルイス酸を同時に発生する光開始剤と、(D)光開
始剤(C)を増感する増感色素からなるホログラム感光
性記録材料において、光開始剤が鉄アレーン錯体、トリ
ハロゲノメチル置換s−トリアジン、スルフォニウム
塩、ジアゾニウム塩、フォスフォニウム塩、セレノニウ
ム塩、アルソニウム塩、芳香族スルホン酸ジアリールヨ
ードニウム塩から選択されてなることを特徴とするホロ
グラム感光性記録材料である。
【0019】請求項2記載の発明は、請求項1のホログ
ラム感光性記録材料において、増感色素(D)がシアニ
ンまたはメロシアニン誘導体、クマリン誘導体、カルコ
ン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、
アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、テトラフ
ェニルポルフィリン誘導体、テトラベンゾポルフィリン
誘導体、テトラピラジノ誘導体から選択される有機染料
化合物であることを特徴とする。
【0020】請求項3記載の発明は、請求項1または2
に記載のホログラム感光性記録材料を溶媒に溶解して調
製した感光液を基板上に塗布、乾燥してなる感光層と、
酸素遮断膜とを設けてなることを特徴とするホログラム
感光性記録媒体である。
【0021】
【作用】本発明のホログラム感光性記録材料によるホロ
グラム記録では、ラジカル重合可能な脂肪族モノマー
(B)は、溶媒可溶性でカチオン重合可能なエポキシ当
量が400から6000の熱硬化性エポキシオリゴマー
(A)に均一に分布しているが、この記録材料にレーザ
干渉光を照射することにより、レーザ照射部位中の光干
渉作用の強い部位において、光開始剤(C)が増感剤
(D)の作用により、ラジカル重合およびカチオン重合
を活性化するようなラジカル種およびブレンスッテド酸
またはルイス酸を同時に発生する。ここで発生したラジ
カル種によって、モノマー(B)が重合しポリマー化す
るに伴い、その濃度差が生じるため、周囲からモノマー
(B)が拡散移動する。すなわちレーザ照射部位中の光
干渉作用の強い部位においてはモノマー濃度が高くな
り、レーザ照射部位中の光干渉作用の弱い部位において
は低くなる。また、エポキシオリゴマー(A)はレーザ
照射部位中の光干渉作用の弱い部位に押し出され、その
部分での濃度が高くなると共に、レーザ照射部位中光干
渉作用の強い部位での濃度は低下する。これにより、両
部位において屈折率差を生じるため、ホログラムの潜像
が記録されるものと推定される。さらに、ホログラム露
光後の加熱により、残留したモノマーが重合により固定
されると共に、ラジカル種と同時に発生した強酸によっ
て、脂肪族モノマー(B)の重合により生じた濃度差か
ら形成される干渉縞の周りにある支持体であるエポキシ
オリゴマーがカチオン重合により架橋構造となり屈折率
が高くなり、屈折率変調が増強される。また、この架橋
によって耐候性も向上する。とくに酸発生効果の高い光
開始剤と増感色素との組み合わせを用いることにより、
支持体となるエポキシオリゴマーを架橋構造とする際に
作用する酸の酸発生効率を上げ、加熱後のホログラムの
回折効率がさらに向上する。
【0022】また、本発明のホログラム感光性記録材料
は、従来のホログラム記録材料よりも、再生光のピーク
波長ならびにそのバンド幅の再現性が優れており、さら
に耐環境特性も優れていることから、ホログラム光学素
子への応用が可能となる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明する。図1は本発
明のホログラム感光性記録材料からなるホログラム感光
性記録媒体の構成を説明する概略図であり、図2はホロ
グラム撮影用の二光束光学系を説明する概略説明図であ
る。
【0024】本発明のホログラム感光性記録材料を構成
する成分(A)は、溶媒可溶性でカチオン重合可能な熱
硬化性エポキシオリゴマーであり、例えばビスフェノー
ルA、ビスフェノールAD、ビスフェノールB、ビスフ
ェノールAF、ビスフェノールS、ノボラック、o−ク
レゾールノボラック、p−アルキルフェノールノボラッ
ク等の各種フェノール化合物とエピクロロヒドリンとの
縮合反応により生成される以下のエポキシ化合物が挙げ
られる。なおこれらに限定されるものではない。
【0025】
【化1】 (式中、n=1〜20である。)
【0026】
【化2】 (式中、Rは、アルキル基を示し、n=1〜20であ
る。)
【0027】とくに熱硬化性エポキシオリゴマーのエポ
キシ当量は400から6000が好ましく、これよりも
小さいと感光液を調製する際に、一定の粘度を得るため
に要する熱硬化性エポキシオリゴマーの量が増加するた
めに不経済であると共に、低分子であることに起因し
て、定着時に熱硬化性エポキシオリゴマーがある程度移
動するため、明るいホログラムが得られない傾向があ
る。一方、この範囲よりも大きなエポキシ当量を有する
熱硬化性エポキシオリゴマーでは、一般的に安定した分
子量で再現性良く合成することが困難であり、モノマー
の拡散性が悪くなるため感度が低下し、かつ明るいホロ
グラムが得られない。またこの範囲以外では良好なカチ
オン重合が進行しない問題がある。
【0028】また成分(B)のラジカル重合可能な脂肪
族モノマーとしては、構造単位中にエチレン性の不飽和
結合を少なくとも1個以上含むものであり、1官能であ
るビニルモノマーの他に多官能ビニルモノマーを含むも
のであり、またこれらの混合物であってもよい。具体的
には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、
(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の高沸点
ビニルモノマー、さらには、脂肪族ポリヒドロキシ化合
物、例えば、エチレングルコール、ジエチレングルコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオ
ール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニト
ールなどのジあるいはポリ(メタ)アクリル酸エステル
類、或いは脂環式ポリヒドロキシ化合物、例えばジシク
ロペンタノール、ジシクロペンテノール、トリシクロデ
カンジメチロール等のモノ或いはジ(メタ)アクリル酸
エステル類が挙げられるが、好ましくは、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレートまたはポリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレートを挙げることがで
きる。
【0029】本発明の成分(C)の化学作用放射線に露
光するとラジカル重合とカチオン重合を活性化する光開
始剤系としては、例えば光照射によりラジカル種および
ブレンスッテド酸またはルイス酸を同時に発生する化合
物であり、本発明で用いられる光開始剤系は、例として
J.Photopolym.Sci.Techno
l.,2,283(1989).に記載される化合物、
具体的には鉄アレーン錯体、トリハロゲノメチル置換s
−トリアジン、スルフォニウム塩、ジアゾニウム塩、フ
ォスフォニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩、
芳香族スルホン酸ジアリールヨードニウム塩等が挙げら
れる。また有機染料化合物を増感剤として用いることも
できる。
【0030】さらに、本発明の増感色素(D)として
は、シアニンまたはメロシアニン誘導体、クマリン誘導
体、カルコン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテ
ン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導
体、ポルフィリン誘導体などの有機染料化合物が使用で
き、その他に「色素ハンドブック」(大河原信他編 講
談社 1986年)、「機能性色素の化学」(大河原信
他編 シーエムシー 1981年)、「特殊機能材料」
(池森忠三郎他編 シーエムシー 1986年)に記載
される色素および増感剤が用いられる。なお、これらに
限定されるものではなく、その他の可視域の光に対して
吸収を示す色素および増感剤であれば用いることができ
る。以下に具体的な例を述べる。
【0031】シアニンまたはメロシアニン誘導体の例と
しては、フルオレセン、ローダミン、2’7’−ジクロ
ロフルオレセン、3,3’−ジカルボキシエチル−2,
2’−チオシアニン ブロミド、アンヒドロ−3,3’
−ジカルボキシメチル−2,2’−チオシアニン ベタ
イン、1−カルボキシメチル−1’−カルボキシエチル
−2,2’キノシアニン ブロミド、アンヒドロ−3,
3’−ジカルボキシエチル−5,5’,9−トリメチル
−2,2’−チアカルボシアニン ベタイン、3,3’
−ジヒドロキシエチル−5,5’ジメチル−9−エチル
−2,2’−チアカルボシアニン ブロミド、アンヒド
ロ−3,3’−ジカルボキシメチル−2,2’−チアカ
ルボシアニン ベタイン、2−[3−エチル−4−オキ
ソ−5−(1−エチル−4−キノリニデン)−エチリデ
ン−2−チアゾリニデン−メチル]−3−エチルゼンゾ
キサゾリウム ブロミド、3−エチル−5−2−(3−
エチル−2−ベンゾチアゾイリデン)−エチリデン]ロ
−ダニン、3−エチル−5−[2−(3−メチル−2
(3H)−チアゾリニリデン)−エチリデン]−2−チ
オ−2,4−オキサザリジオン、3−エチル−5−(3
−エチル−ゼンゾチアゾリリデン) ローダニン、2−
(p−ジメチルアミノスチリル)−3−エチル, ベンゾ
チアゾリウム ヨージド、2−(p−ジエチルアミノス
チリル)−1−エチル ピリジニウム ヨージド、1,
3’−ジエチル−2,2’−キノチアシアニン ヨージ
ドなどの使用が好ましいが、これらに限定されるもので
はない。
【0032】クマリン誘導体の例としては、3−(2’
−ベンズイミダゾール)7−N,N−ジエチルアミノク
マリン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミ
ノクマリン)、3,3’−カルボニルビスクマリン、
3,3’−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、
3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリ
ン)、3,3’−カルボニルビス(6−メトキシクマリ
ン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマ
リン)、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジイソプ
ロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(5、
7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3、3’−カルボ
ニルビス(5,7−ジ−n−ブトキシクマリン)、3,
3’−カルボニルビス(7−ジメチルアミノクマリ
ン)、7−ジエチルアミノ−5’,7’ジメトキシ−
3,3’−カルボニルビスクマリン、3−ベンゾイルク
マリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリ
ン、3−ベンゾイル−6−メトキシクマリン、3−ベン
ゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−
メトキシクマリン、3−ベンゾイル−8−エトキシクマ
リン、3−ベンゾイル−6−ブロモクマリン、3−ベン
ゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル
−7−ジエチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−
ヒドロキシクマリン、3−アセチル−7−ジエチルアミ
ノクマリン、3−アセチル−7−メトキシクマリン、3
−アセチル−5,7−ジメトキシクマリン、7−ジメチ
ルアミノ−3−(4−ヨードベンゾイル)クマリン、7
−ジエチルアミノ−3−(4−ヨードベンゾイル)クマ
リン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノ
ベンゾイル)クマリンなどが挙げられるが、これらに限
定されるものではない。
【0033】カルコン誘導体の例としては、以下の化合
物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
【化3】
【0035】ポルフィリン誘導体としては、9,10−
ジヒドロポルフィリン、5,9,15,19−テトラメ
チルポルフィリン、4,5,14,15−テトラヒドロ
−4,9,14,19−テトラメチル−2,7,12,
17−テトラザポルフィリン、メソ−テトラフェニルポ
ルフィリン、4,5,9,10,14,15,19,2
0−オクタメチルポルフィリン、5,9,ジアセチル−
4,10,14,15,19,20−ヘキサメチルポル
フィリン、5,9−ジアセチル−14−エチル−4,1
0,15,19,20−ペンタメチルポルフィリン、
4,9,14,19−テトラメチル−5,10,15,
20−テトラプロピルポルフィリン、2−アミノ−4,
5,9,10,14,15,19,20−オクタエチル
ポルフィリン、2−ニトロ−4,5,9,10,14,
15,19,20−オクタエチルポルフィリン、メソ−
ジフェニルテトラベンゾポルフィリン、4,5−ジブロ
モ−9,10−,14,15−,19,20−トリベン
ゾ−2,7,12,17−テロラザポルフィリン、4,
5,9,10,14,15,19,20−オクタフェニ
ルポルフィリン、テトラキス(3,4−ジメトキシフェ
ニル)ポルフィリン、4,5,9,10,14,15,
19,20−オクタ(p−メトキシフェニル)ポルフィ
リンやそれらの銅、コバルト、ニッケル、亜鉛、白金、
マグネシウムなどの金属錯体などの使用が好ましいが、
これらに限定されるものではない。
【0036】これらの増感剤は、使用目的に応じて光源
となる輻射線の波長に合うように選択することができ、
用途によっては2種類以上を組み合わせて使用しても構
わない。
【0037】本発明のホログラム感光性記録材料は、上
記したように(A)溶媒可溶性でカチオン重合可能なエ
ポキシ当量が400から6000である熱硬化性エポキ
シオリゴマーと、(B)常温、常圧で液体であり且つ常
圧で沸点が100℃以上であるラジカル重合可能なエチ
レン性不飽和結合を少なくとも1個以上有する脂肪族モ
ノマーと、(C)化学作用放射線に露光するとラジカル
重合およびカチオン重合を活性化するようなラジカル種
およびブレンスッテド酸またはルイス酸を同時に発生す
る光開始剤および(D)光開始剤(C)を増感するよう
な増感色素からなり、通常記録材料がエポキシオリゴマ
ー(A)100重量部に対して、脂肪族モノマー(B)
を20から80重量部を混合したものである。とくに好
ましくは、40から70重量部の割合である。20重量
部未満では、レーザによるホログラフィック露光で重合
するモノマー量が不足するために、加熱処理後において
も高い屈折率変調が得られず、明るいホログラムを得る
ことができない。また、100重量部を越えるとモノマ
ー量が過剰となり、最初のホログラフィック露光で重合
が起こらずに系内に残留するモノマー量が多くなり、こ
の結果、製造工程における加熱処理において拡散しなが
ら残留するモノマー量が重合を起こし、一旦形成された
ホログラムの干渉縞が乱れ、高い屈折率変調が得られな
くなり、明るいホログラムを得ることができない。また
成分(C)の光開始剤の量は、成分(A)100重量部
に対し、0.1から20重量部、好ましくは1から10
重量部である。さらに、成分(D)の増感剤は、成分
(A)100重量部に対して0.1から10重量部、好
ましくは0.5から2までの範囲をとることが可能であ
る。使用量は、形成する感光層膜厚とその膜厚の光学濃
度によって制限を受けるため、光学濃度が2を越えない
範囲で使用することが好ましい(或いは透過率とする場
合は、ホログラム撮影時の照射光の透過率が1%以上と
なるような範囲とすることが好ましい)。この範囲を逸
脱すると高い回折効率を得ることが困難となるとともに
感度特性が低下する。
【0038】このように、これらの各成分を適宜選択
し、任意の割合で混合して得た感光液をスピンコータ
ー、ロールコータ、バーコーターなど公知の塗工手段を
用いて、ガラス板やポリカーボネート板、ポリメチルメ
タクリレート板、ポリエステルフィルムなどの基板2上
に皮膜状に塗布したものが図1に示すホログラムが作製
される通常のホログラム撮影用のホログラム感光性記録
媒体1である。さらに感光層3上には酸素遮断膜として
保護層4を設けてもよい。保護層4には例えば上記基板
と同等なもの、或いはポリオレフィン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールまたは
ポリエチレンテレフタレートなどのプラスチック、ガラ
スなどの光学的に透明なものを用いて、感光層を挟持す
る貼り合わせ、押出機などによる積層、溶液の塗工など
により形成される。なお、感光液を塗布する際は、必要
に応じて適当な溶剤で希釈してもよいが、その場合には
基板上に塗布した後に、乾燥を要し、また上記したよう
に撮影時の照射光の透過率が1%以上となるように、調
製することが望ましい。
【0039】さらに本発明のホログラム感光性記録材料
には、必要に応じて公知の熱重合禁止剤、連鎖移動剤、
酸化防止剤などの各種添加剤を加えてもよい。
【0040】次に本発明のホログラム感光性記録材料を
用いてなるホログラム感光性記録媒体から高い屈折率変
調による明るいホログラムを得る唯一の製造方法として
は、適当なホログラフィック露光を施して潜像を形成し
た後、60℃から120℃で加熱処理することで達成さ
れる。なお、加熱処理前に紫外線やその他の化学作用放
射線によって露光するとエポキシの加熱硬化による回折
効率の向上は見られなくなる。また、加熱処理によって
唯一高い屈折率変調を得るため、ホログラフィック露光
時には、米国特許3658526号公報に開示されてい
る程度の屈折率変調でも十分であり、必ずしも米国特許
4942112号公報および米国特許5098803号
公報、また特開平2−3081号公報および特開平2−
3082号公報に記載されているような高い屈折率変調
を必要としない。また、これらの先行技術の製造方法
は、唯一の処理工程として化学作用放射線に露光するこ
と、さらにホログラムの屈折率調節を全面露光に続く加
熱による工程で行うことが明記されていることから、本
発明の材料の場合の屈折率変調および高い回折効率が得
られる作用は、これらの先行技術と区別される。また、
本発明のホログラム用感光性記録材料を用いた場合、特
開平5−94014号公報で示されている組成比および
製造方法では、明るいホログラムが全く得られないこと
から、この先行技術とも区別されるものである。
【0041】上記のホログラフィック露光を施して潜像
を形成する工程を説明する図2は透過型ホログラム撮影
用の二光束光学系を説明する概略図であり、レーザ5か
ら発振されたレーザ光6は、ミラー7、ビームスプリッ
ター8、スペイシャルフィルター9、レンズ10を介し
てホログラム感光性記録媒体1に照射される。なお本発
明では露光によるホログラム撮影後、定着工程を乾式処
理で行なっている。なお、本発明は、詳細な説明及び図
示をしないが反射型ホログラムの作製についても同様に
可能であり、優れたホログラム特性を有する反射型ホロ
グラムが得られる。
【0042】このホログラム感光性記録媒体1にホログ
ラム画像を記録する場合は、所望の画像に合わせてレー
ザ照射を加えることにより、レーザ照射部位の光干渉作
用の強い部位は、芳香族系熱硬化性エポキシオリゴマー
(A)中に均一に分散しているラジカル重合可能な脂肪
族モノマー(B)が、レーザー(レーザ干渉光)照射に
より感光させると光重合開始剤の作用によって、重合し
ポリマー化するため、その周囲のラジカル重合可能な脂
肪族モノマー(B)の移動が生じる。このためレーザ照
射部位の光干渉の強い部位では、ラジカル重合可能な脂
肪族モノマー(B)の濃度が高くなり、また光干渉作用
の弱い部位では、ラジカル重合可能な脂肪族モノマー
(B)の濃度が低下するので、ホログラム感光性記録媒
体1の光干渉の強い部位と光干渉作用の弱い部位との密
度差から屈折率が異なることによる屈折率変調が生じ、
ホログラム画像記録が行われるものである。さらに支持
体となる芳香族系熱硬化性エポキシオリゴマー(A)も
架橋構造となるため、ホログラム感光性記録媒体1の強
度など耐候性、化学的安定性が向上する。
【0043】干渉パターンの露光工程における、本発明
のホログラム感光性記録材料に適した光源としては、ヘ
リウム−カドミウムレーザ、アルゴンレーザ、クリプト
ンレーザ、ヘリウムネオンレーザ等が利用できるが、こ
れに限定されるものではない。
【0044】以下、具体的な実施例により本発明をさら
に詳細に説明する。 <実施例1>ビスフェノール系エポキシオリゴマーエピ
コート1007(エポキシ当量:1750−2100、
油化シェルエポキシ社製)100重量部、トリエチレン
グリコールジアクリレート50重量部および鉄アレーン
錯体(ヘキサフルオロフォスフェート塩)5重量部、
3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマ
リン1重量部を2−ブタノン100重量部に混合溶解し
たものを感光液とした。この感光液をガラス板に、膜厚
が約15ミクロンになるように塗布し感光層を形成した
後、感光層上をポリビニルアルコール(PVA)膜で覆
い、ホログラム感光性記録媒体を作製した。
【0045】ホログラム感光性記録媒体を、図2に示す
ホログラム撮影用の二光束光学系により光源としてアル
ゴンレーザ(488nm)を用いて露光後、100℃で
30分加熱処理を行い、ホログラムを作製した。
【0046】得られたホログラムの回折効率は、日本分
光工業(株)製の分光光度計により測定した。この分光
光度計は、幅3mmのスリットを有したフォトマルチメ
ーターを、試料を中心にした半径20cmの円周上に設
置できるものである。測定条件は幅0.3mmの単色光
を試料に45度の角度で入射し、試料からの回折光を検
出した。正反射光以外で最も大きな値と、試料を置かず
に直接入射光を受光したときとの比を回折効率とした。
また加熱前に於ける回折効率についても同様に測定を行
なった。その評価結果を表1に示す。
【0047】<実施例2−6>トリエチレングリコール
ジアクリレート(TEGDA)の代わりにジエチレング
リコールジアクリレート(DEGDA)、ネオペンチル
グリコールジアクリレート(NPGDA)エチルカルビ
トールアクリレート(EKA)、1,6−ヘキサンジオ
ールジアクリレート(HDDA)またはトリエチレング
リコールジメタアクリレート(TEGDMA)を用いる
以外は、実施例1と同様にホログラムを作製し、その回
折効率を測定した。また加熱前に於ける回折効率につい
ても同様に測定を行なった。その評価結果を表1に示
す。
【0048】
【表1】
【0049】TEGDA ; トリエチレングリコール
ジアクリレート DEGDA ; ジエチレングリコールジアクリレート NPGDA ; ネオペンチルグリコールジアクリレー
ト EKA ; エチルカルビトールアクリレート HDDA ; 1,6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート TEGDMA; トリエチレングリコールジメタアクリ
レート
【0050】<実施例7−12>実施例1のビスフェノ
ール系エポキシオリゴマーエピコート1007(エポキ
シ当量:1750−2100、油化シェルエポキシ社
製)の代わりに、エピコート1001(EP−100
1;エポキシ当量:450−500、油化シェルエポキ
シ社製)、エピコート1004(EP−1004; エ
ポキシ当量:900−1000、油化シェルエポキシ社
製)、エピコート1009(EP−1009;エポキシ
当量:2400−3000、油化シェルエポキシ社
製)、アラルダイト6071(AR−6071;エポキ
シ当量:450−500、日本チバ・ガイギー社製)、
アラルダイト6099(AR−6099;エポキシ当
量:2400−3300、日本チバ・ガイギー社製)、
またはBREN(BREN;エポキシ当量:400−8
00、日本化薬社製)をそれぞれ用いる以外は,実施例
1と同様にホログラムを作製し、その回折効率を測定し
た。また加熱前に於ける回折効率についても同様に測定
を行なった。その評価結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】EP−1001; エピコート1001
油化シェルエポキシ社製 EP−1004; エピコート1004 油化シェルエ
ポキシ社製 EP−1009; エピコート1009 油化シェルエ
ポキシ社製 AR−6071; アラルダイト6071 日本チバ・
ガイギー社製 AR−6099; アラルダイト6099 日本チバ・
ガイギー社製 BREN ; BREN 日本化薬社
【0053】<実施例13−18>実施例1において光
開始剤である鉄アレーン錯体(ヘキサフルオロフォスフ
ェート塩)の代わりに、1,3,5−トリクロロメチル
トリアジンを用いる以外は、実施例1−6と同様にホロ
グラムを作製し、その回折効率を測定した。また加熱前
に於ける回折効率についても同様に測定を行なった。そ
の評価結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】TEGDA ; トリエチレングリコール
ジアクリレート DEGDA ; ジエチレングリコールジアクリレート NPGDA ; ネオペンチルグリコールジアクリレー
ト EKA ; エチルカルビトールアクリレート HDDA ; 1,6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート TEGDMA; トリエチレングリコールジメタアクリ
レート
【0056】<実施例19−23>実施例2において増
感剤である3,3'-カルボニルビス(7−ジエチルアミ
ノ)クマリンの代わりに、ローズベンガル(RB)、
4,4’−ジメチルアミノカルコン(DMAC)、4,
4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンザルアセトン(BD
MABA)、3,3’−ジエチル−2,2’−オキサカ
ルボシアニンヨーダイド(DEOCCI)および2,
4,6−トリフェニルチアピリリウムパークロレート
(TPTPPC)をそれぞれ用いる以外は、実施例2と
同様にホログラムを作製し、その回折効率を測定した。
また加熱前に於ける回折効率についても同様に測定を行
なった。その評価結果を表4に示す。但し、露光に際し
ては、アルゴンレーザの514.5nmの代わりに48
8nmの波長光を使用した。
【0057】
【表4】
【0058】RB ; ローズベンガル DMAC ; 4,4’−ジメチルアミノカルコン BDMABA; 4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベ
ンザルアセトン DEOCCI; 3,3’−ジエチル−2,2’−オキ
サカルボシアニンヨーダイド TPTPPC; 2,4,6−トリフェニルチアピリリ
ウムパークロレート
【0059】実施例1−24のホログラムは25℃、6
0%RHで180日間及び150℃で10時間の環境下
に放置しても回折効率の低下は認められなかった。
【0060】
【発明の効果】以上述べたように本発明は、上記したよ
うに溶媒可溶性でカチオン重合可能なエポキシ当量が4
00から6000である熱硬化性エポキシオリゴマー
と、(B)常温、常圧で液体であり且つ常圧で沸点が1
00℃以上であるラジカル重合可能なエチレン性不飽和
結合を少なくとも1個以上有する脂肪族モノマーと、
(C)化学作用放射線に露光するとラジカル重合および
カチオン重合を活性化するようなラジカル種およびブレ
ンスッテド酸またはルイス酸を同時に発生する光開始剤
および(D)光開始剤(C)を増感するような増感色素
から構成されることにより、とくに支持体となるエポキ
シオリゴマーを架橋構造とする際に作用する酸の酸発生
効率を上げることで、加熱後のホログラムの回折効率が
向上するため、酸発生効果の高い光開始剤と増感色素と
の組み合わせを用いることにより、加熱による回折効率
の向上が顕著となる。
【0061】このように、とくに乾式処理において可視
光域に優れた感度、解像度、回折効率、透明性を有する
とともに、耐熱性など耐候性に優れ、かつ化学的に安定
したホログラム感光性記録材料及びホログラム用感光性
記録媒体を提供できる。また極めて要求性能の高いHO
E用のホログラム用感光性記録材料に用いることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラム感光性記録材料からなるホ
ログラム感光性記録媒体の構成を説明する概略図であ
る。
【図2】ホログラム撮影用の二光束光学系を説明する概
略図である。
【符号の説明】
1 ホログラム感光性記録媒体 2 基板 3 感光層 4 保護層 5 レーザ 6 レーザ光 7 ミラー 8 ビームスプリッター 9 スペイシャルフィルター 10 レンズ 11 レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安池 円 東京都中央区京橋2丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内 (72)発明者 鳥羽 泰正 東京都中央区京橋2丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内 (72)発明者 鹿野 美紀 東京都中央区京橋2丁目3番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶媒可溶性、カチオン重合可能なエポキシ
    当量が400から6000である熱硬化性エポキシオリ
    ゴマーと、(B)常温、常圧で液体で、かつ常圧で沸点
    が100℃以上であるラジカル重合可能なエチレン性不
    飽和結合を少なくとも1個以上有する脂肪族モノマー
    と、(C)化学作用放射線に露光するとラジカル重合お
    よびカチオン重合を活性化するラジカル種およびブレン
    スッテド酸またはルイス酸を同時に発生する光開始剤
    と、(D)前記光開始剤(C)を増感する増感色素から
    なるホログラム感光性記録材料において、 前記光開始剤が鉄アレーン錯体、トリハロゲノメチル置
    換s−トリアジン、スルフォニウム塩、ジアゾニウム
    塩、フォスフォニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウ
    ム塩、芳香族スルホン酸ジアリールヨードニウム塩等か
    ら選択されてなることを特徴とするホログラム感光性記
    録材料。
  2. 【請求項2】前記増感色素(D)がシアニンまたはメロ
    シアニン誘導体、クマリン誘導体、カルコン誘導体、キ
    サンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、アズレニウム
    誘導体、スクアリリウム誘導体、テトラフェニルポルフ
    ィリン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テト
    ラピラジノ誘導体から選択される有機染料化合物である
    ことを特徴とする請求項1記載のホログラム感光性記録
    材料。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載のホログラム用感
    光性記録材料を溶媒に溶解して調製した感光液を基板上
    に塗布、乾燥してなる感光層と、酸素遮断膜とを設けて
    なることを特徴とするホログラム感光性記録媒体。
JP6149797A 1994-03-17 1994-06-30 ホログラム感光性記録材料およびホログラム感光性記録媒体 Pending JPH0816079A (ja)

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