JPH08134447A - ゲル状給水材 - Google Patents

ゲル状給水材

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JPH08134447A
JPH08134447A JP6269655A JP26965594A JPH08134447A JP H08134447 A JPH08134447 A JP H08134447A JP 6269655 A JP6269655 A JP 6269655A JP 26965594 A JP26965594 A JP 26965594A JP H08134447 A JPH08134447 A JP H08134447A
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Akira Yoshino
吉野  彰
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 人手を要することなく植物などに給水を行え
るゲル状給水材の開示 【構成】 →3)−β−D−グルコピラノース−(1→
4)−β−D−グルクロン酸−(1→4)−β−D−グ
ルコピラノース−(1→4)−α−L−ラムノピラノー
ス−(1→の繰り返し単位からなる多糖類を,0.05
質量パーセント濃度ないし5.0質量パーセント濃度で
水に溶解させると共に,さらにこの水に対してゲル化促
進剤を0.001質量パーセント濃度〜1.0質量パー
セント濃度で溶解させてゲル化させたことを特徴とする
ゲル状給水材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,散水装置や貯水槽を用
いないで鉢植え植物などに給水を行うゲル状給水材に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】現在市販されている液体肥料入りのプラ
スチックボトルには瓶の口を開けて鉢植えの土に差し込
み,肥料を徐々に放出するものがあるが,水の補給を目
的としたものではない。また,定量の潅水を行う装置に
は,定量ポンプとパイプ並びにバルブを備えたものや底
部に貯水槽を備えたプランター等が市販されている。
【0003】植物に散水する装置としてはスプリンクラ
ーやシャワー等が知られているが,室内に配置された多
数の鉢植えに散水する場合には,フロアや床等の濡れを
少なくするために,じょうろや噴霧器などが用いられ
る。なお,底部に貯水層を設けたプランター等も市販さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,従来の
液体肥料入りのプラスチックボトルの場合には,内容物
の液体が水ではないので給水ができないが,給水に用い
たとしても,容量も少ないので不十分である。また,定
量の潅水を行う装置の場合,一つ一つの鉢植えにシャワ
ーや散水ノズルをセットしたり,これらシャワーや散水
ノズルをパイプを介して定量ポンプに接続することは非
常に手間がかかる。スプリンクラー等は室内や車内・船
内等では使用が難しいし,設備も大がかりであり,家庭
内や小さな建物には不向きである。さらに,じょうろや
噴霧器などによる散水は,手作業で行える点で手軽であ
るが,作業者が必要であるので,留守や連休などでの給
水ができないという不具合もある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は,このような課
題に着目してなされたものであり,鉢植え等の給水対象
などに放置しておくだけの手軽さであり,数日から1週
間程度の間給水を行う手間がかからず,安価で,後処理
の不要なゲル状給水材を提供することを目的とする。
【0006】上記目的を達成するために,本発明は,給
水材そのものをゲル状に形成することに着眼点があり,
このゲル状の給水材の保水性と離水性とのバランスをと
って数日から1週間程度の給水能力を得るために,溶質
並びに濃度の選択にも研究を行ったものである。
【0007】ゲルの材料として種々の材料を検討した結
果,分子の格子間に水分子を水和させて保持できる多糖
類を得ることができた。
【0008】この多糖類は,→3)−β−D−グルコピ
ラノース(Glcp)−(1→4)−β−D−グルクロ
ン酸(GlcpA)−(1→4)−β−D−グルコピラ
ノース(Glcp)−(1→4)−α−L−ラムノピラ
ノース(Rhap)−(1→の繰り返し単位を重合した
多糖類であり,ジェランガムといわれる多糖類である。
【0009】溶媒である水に対して,このジェランガム
を0.05質量パーセント濃度ないし5.0質量パーセ
ント濃度で溶解させ,さらに前記水に対してゲル化促進
剤を0.001質量パーセント濃度〜1.0質量パーセ
ント濃度で溶解させ,ゲル化させると,ゲル強度が50
〜7000×103dyn/cm2となる。
【0010】このようなジェランガムゲルによれば,重
合した分子間に水分子が水和して取り込まれて保水性を
維持するが,重力によって徐々に格子間から水分子が流
出する。ジェランガム水溶液のジェランガム濃度が低い
と,ゲル格子が粗くなって水分子の入り込む隙間が大き
くなるため,同時に水和した水分子の流出量も増大する
が,崩れ易くなり,水を保持する保水性が減少する。ジ
ェランガム水溶液におけるジェランガムの濃度が高い
と,ゲル強度が増大して崩れ難くなるが,水分子の入り
込む隙間が小さくなって単位時間・単位質量当たりの離
水量が減少する。
【0011】特に,ジェランガム水溶液の濃度を0.1
質量パーセント濃度〜1.0質量パーセント濃度の範囲
内に設定すると,保水性と離水性のバランスがよくな
り,崩れ難くしかも長時間の離水性が維持される。
【0012】また,ジェランガム水溶液に植物活性剤,
土壌改良剤,ゲル強度調整剤等のいずれかを単一にまた
は混合して添加すると,添加した物質にともなう効果を
得ることができる。
【0013】このように,ジェランガム水溶液の濃度を
調整してジェランガムゲルを形成すると,例えば,鉢植
え植物などに給水を行う場合,鉢植え植物の土の上にジ
ェランガムゲルを載せておくだけで,ジェランガムゲル
から水が徐々に土中に給水されるため,所定期間鉢植え
植物へ給水でき,人手を要しない。水が土中に吸収され
る時間はジェランガム濃度の選択により決定されるた
め,各種の給水能力時間を有する複数種のジェランガム
ゲルを土壌上に置くことにより,長期間の給水も可能と
なる。
【0014】また,給水時間の調整方法として,ジェラ
ンガムゲルを入れる容器の底部や周壁下部に一定面積の
開口部を設けることが有効である。また,鉢の用土の吸
水性が良くない場合や,短時間に多量の水を与えたい場
合には,ジェランガムゲルと土の間に不織布を置き,そ
の毛細管現象を利用して水分の放出を加速することもで
きる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例にかかるゲル状給水材
を図面に基づいて説明する。
【0016】本発明の実施例にかかるゲル状給水材は,
例えば鉢植え植物やプランターに植えられた植物に給水
するものであるが,大きさや硬さ等を調整することによ
り,鉢植えの植物に限らず,温室やビニールハウス等の
植物或いは干ばつ時の露地植えの植物への給水,そのほ
か鳥或いはペット等の小動物等への給水材としても使用
できるものである。
【0017】このゲル状給水材は,重合分子の格子間に
水分子を取り込んでゲル化した後に,徐々に水分子が格
子間から流出するジェランガムゲルの性質を利用するも
のであって,ジェランガム水溶液におけるジェランガム
濃度が低いと,水分子の入り込む隙間が大きくなるた
め,同時に水和した水分子の流出量も増大するが,ゲル
格子が粗くなって崩れ易くなり,水を保持する保水性が
減少する。ジェランガム水溶液におけるジェランガムの
濃度が高いと,水分子の入り込む隙間が小さくなって単
位時間・単位質量当たりの離水量が減少するが,ゲル強
度が増大して崩れ難くなる。
【0018】本発明のゲル状給水材を調製するための多
糖類は,図1の構造式に示すように,→3)−β−D−
グルコピラノース(Glcp)−(1→4)−β−D−
グルクロン酸(GlcpA)−(1→4)−β−D−グ
ルコピラノース(Glcp)−(1→4)−α−L−ラ
ムノピラノース(Rhap)−(1→からなる繰り返し
単位を重合した多糖類であって,一般的にはジェランガ
ムといわれる多糖類である。
【0019】このジェランガムゲルは,溶媒である水に
対してジェランガムを0.05質量パーセント濃度ない
し5.0質量パーセント濃度で溶解させ,さらに溶媒で
ある水に対してゲル化促進剤を0.001質量パーセン
ト濃度〜1.0質量パーセント濃度で溶解させてゲル化
させたものであり,ゲル強度は50〜7000×103
dyn/cm2である。特に,ジェランガム水溶液にお
けるジェランガムの濃度を0.1質量パーセント濃度〜
0.5質量パーセント濃度に設定すると,保水性と離水
性のバランスがよくなり,崩れ難くしかも長時間の離水
性が維持される。
【0020】このジェランガムゲルのゲル強度は50×
103dyn/cm2〜7000×103dyn/cm2
あるが,ジェランガムゲルのゲル強度が50×103
yn/cm2以下であると,形状を維持する能力が弱い
ために,十分な保水性を維持できない。そのゲル強度が
7000×103dyn/cm2以上であると,離水性が
不十分になる。分散媒の水には上記ジェランガムのほか
に,ゲル化促進剤,ゲル強度調整剤,植物活性剤,土壌
改良剤等が分散される。
【0021】ゲル化促進剤にはこの実施例では塩化カル
シウムを用いている。この塩化カルシウムの濃度は,カ
ルシウム塩類中のカルシウムイオンのみのジェランガム
水溶液に対する相対的な質量パーセント濃度であって,
ジェランガム水溶液におけるカルシウムイオンの相対的
濃度は0.001質量パーセント濃度ないし0.1質量
パーセント濃度である。
【0022】なお,ゲル化促進剤としては,塩化カルシ
ウム以外のハロゲン化カルシウム,燐酸カルシウム,乳
酸カルシウムその他のカルシウム塩類でも良いが,マグ
ネシウム,マンガンなどのII価の金属塩,ナトリウ
ム,カリウムなどの1価の金属塩,塩酸,クエン酸,乳
酸などの酸も利用できる。この場合,勿論植物への影響
を考慮して選択する。
【0023】ゲル強度調整剤としては,キサンタンガ
ム,ローカストビーンガム,多価アルコール,デンプ
ン,セルロース,アルギン酸,カラギーナン,グルコマ
ンナン,寒天,ペクチン,プルラン,キチン,キトサ
ン,グアーガム,アラビアガム,タマリンド種子多糖
類,大豆タンパク質,卵白,グルテン,ゼラチン,コラ
ーゲン等の天然高分子化合物の他に合成高分子化合物が
ある。いずれも離水性を損なわない程度に添加する。試
験例としてはカルボキシメチルセルロースを添加して強
度を調製することにより200時間程度の離水が可能で
ある。
【0024】植物活性剤として,ぶどう糖,ビタミン
類,ホルモン剤等を添加すると,植物の活性状態を維持
することができる。
【0025】土壌改良剤として,溶性リン肥,ケイ酸
肥,リグノセルロース・フミン酸,ニトロフミン酸等を
添加することもできる。
【0026】このジェランガムゲルは,図2の工程表に
示すように,まず,所定容量のビーカー等の貯液槽に5
0°cで容器に充填する際の最終調製濃度が0.2質量
パーセント濃度となるようにジェランガムに冷水を加
え,90°c〜95°cの温度になるように加熱しなが
ら攪拌し,ジェランガム水溶液を得る。他方,前記と同
様の最終調製濃度が0.05質量パーセント濃度となる
ように塩化カルシウム水溶液を別に調製する。
【0027】次に,この調製した塩化カルシウム水溶液
を前述のビーカー内のジェランガム水溶液に加えて攪拌
して調製する。ジェランガムゲルと塩化カルシウムとを
水に溶かした水溶液を調製したら,このジェランガムと
塩化カルシウムの水溶液を混合し,50°c以上で容器
に充填し,冷却してゲル化させると,本実施例のジェラ
ンガムゲルができる。
【0028】このジェランガムゲルの形状は,偏平な直
方体形状,円板状,球状,粒状等が有り得,筒状或いは
箱型又は漏斗状の容器に入れて給水開口部以外は開口部
を閉じて乾燥を防ぐことも考えられる。また,ジェラン
ガムゲルの外表面側にゲル強度の硬い層を設け,内側に
ゲル強度の柔らかい層を設けたり,ゲルの強度の異なる
層を複数層形成することにより,給水時間を制御するこ
とも考えられる。形状を粒状や球状にした場合には,ば
らまきが容易であると共にばらまく量の調整が容易であ
る。また,外側層のゲル強度を少し硬くすると,保水性
を長い時間維持できるので,給水時間制御が容易であ
り,ゲル強度の異なるものを複数種類混ぜてばらまくこ
とにより給水時間を制御することも可能である。
【0029】<実験例1>次に,上記実施例のジェラン
ガムゲルの調製方法を実験例1を参照にしつつ説明す
る。この実験例では,最初にジェランガム水溶液を調製
する場合に,1リットルのビーカーにジェランガム1.
7gを入れ,約950mlの冷水を加える。冷水を加え
たら,90°c〜95°cの温度になるように加熱しな
がら攪拌し,ジェランガム水溶液を得る。他方,0.5
gの塩化カルシウムを50mlの水に溶かして塩化カル
シウム水溶液を別に調製する。
【0030】調製した塩化カルシウム水溶液を前述のビ
ーカー内のジェランガム水溶液に加えて攪拌し,さらに
蒸発した水相当量の水を加えてジェランガムと塩化カル
シウムとを混ぜた水溶液の量を1000gに調整する。
ジェランガムゲルと塩化カルシウムの水溶液を1000
gに調整したら,このジェランガムと塩化カルシウムの
水溶液を攪拌しつつ50°c〜55°cに冷却する。な
お,抗菌剤を添加しておくと,後の微生物の発生を抑え
られる。これ以上温度が低下すると,容器への充填工程
でゲル化するおそれがあるので,最低でも50°c程度
に保温しながら所定容量の容器に充填する。
【0031】所定容器への充填後は,冷却してゲル化さ
せると,ゲル状給水材ができあがる。なお,ジェランガ
ムゲルの容量は植物の量,種類,天候,温度等により異
なるので,ジェランガムゲルの容量は100ml〜30
00ml程度にすると,室内温度で2〜5日程度は水切
れを起こさないようにすることができる。
【0032】<実験例2>実験例2では,ジェランガム
を0.17質量パーセント濃度,塩化カルシウムを0.
05質量パーセント濃度に調整した水溶液を容器に10
0g調整し,室温まで冷却してゲル化させた。このジェ
ランガムゲルを底部に穴のあいた100mlの直方体の
容器に入れ,ベンジャミンの鉢植え(直径10cm,高
さ8cm)の土の上においたところ,数日間給水しなく
てもベンジャミンが枯れることなく健全な状態を保っ
た。
【0033】<実験例3>実験例3では,ジェランガム
を0.2質量パーセント濃度,塩化カルシウムを0.0
6質量パーセント濃度に調整した水溶液100mlに椰
子殻繊維5gを混ぜ,容器に充填して冷却し,ゲル化さ
せた。容器の底に穴を開け,重量30gになるまで水を
放出させた後,ジェランガムゲルを容器から取り出し,
土の上において適当に砕いたところ,椰子殻繊維のため
ゼリー状部分が目立たず5日間給水できた。乾燥後は椰
子殻繊維が土壌と化した。
【0034】<ジェランガム濃度と短時間内の離水量の
関係>ジェランガム濃度と離水量の関係を図3のグラフ
に基づいて説明する。塩化カルシウムを0.05質量パ
ーセント濃度とし,ジェランガムの質量パーセント濃度
を0.17%,0.20%,0.22%,0.25%,
0.30%に変えて,直径6cmの円柱型のジェランガ
ムゲル100gをそれぞれ調製した。
【0035】次に,1リットルのビーカーに赤玉土(水
分12.7%)700gを加え,ジェランガムゲルをそ
のまま土の上にそれぞれ置いた。ジェランガムゲルから
の離水量は経時的に測定した。離水量はジェランガムゲ
ルの減少重量及び土の増加重量として求めた。
【0036】その結果,ゲル濃度が0.17質量パーセ
ント濃度である場合には,6時間で7割程度の水分を放
出した。この試験では赤玉土の上にジェランガムゲルを
置いたが,赤玉土,黒土,腐葉土等の土の種類並びに礫
・砂の粒径,土に対する割合等により,離水速度が変わ
ることが判明した。
【0037】<ジェランガム濃度と長時間における離水
量との関係>さらに,ジェランガムゲルにおけるジェラ
ンガム濃度と長時間での離水量との関係を調べた。この
試験では,下記の表に示すように,4種類のジェランガ
ムゲルを用い,各々のジェランガムゲルは直径6cmで
高さがほぼ3.5cmの円柱型をしており,重量が10
0gになるように調製した。なお,濃度は質量パーセン
ト濃度を表す。
【0038】 試験にあたっては1リットルのビーカーに赤玉土(水分
13.8%)700gを入れ,上記第1〜第4のジェラ
ンガムゲルをそのまま土の上に置いた。
【0039】第3のジェランガムゲルについてはそのま
まおくものとジェランガムゲルを容器にいれたものとが
ある。この容器は底部に直径1mm程度の穴をそれぞれ
4個開けたものと,9個開けたものを用意した。容器に
充填したジェランガムゲルを容器のまま土の上に置く場
合についても,経時的にジェランガムゲルからの離水量
を測定した。離水量はジェランガムゲルの減少重量及び
土の増加重量として求めた。
【0040】その結果,図4のグラフに示すように,ジ
ェランガム濃度を0.5%とすることで,ジェランガム
ゲルの持つ水分の90%を4〜5日かけて放出させるこ
とができた。
【0041】また,ジェランガムゲルの濃度を低濃度の
ままにしておいて,他の高分子物質,今回はカルボキシ
メチルセルロースナトリウムを0.3%添加することに
より,1日で離水が終了してしまう水分を5日くらいか
けて放出させることが可能であった。また,ジェランガ
ムゲルをそのまま置くのではなく,容器にいれてその底
部の穴の面積により離水速度が制御できることがわかっ
た。
【0042】<土の水分量と離水の関係>さらに,図5
に示すグラフに基づいて,ジェランガムゲルの離水量と
ジェランガムゲルを載せる土の水分量との関係を説明す
る。
【0043】ジェランガムゲルを載せる土として,水分
量8.6%,21%,30.0%,33.0%(重量
%)の赤玉土3.2Kg(水分を除く乾燥重量である。
水分を含むときの土の全重量はそれぞれ変わる。)を用
意した。
【0044】ジェランガムゲルは,0.17質量パーセ
ント濃度のジェランガムと0.05質量パーセント濃度
の塩化カルシウムとの水溶液1Kgを,図6に示す円筒
形の袋1にいれ,直径12cmの円筒型にゲル化させ
た。袋1の底部には,矩形の開口部2を4箇所設けた。
【0045】このジェランガムゲルを前述の赤玉土の上
に載せ,1日後ジェランガムゲルからの離水量を測定し
た。土の水分量は温度105°cで4時間乾燥して測定
した。その結果,図5のグラフに示すように,土の水分
が少ないと,ジェランガムゲルからの離水が多くなって
いるのがわかる。
【0046】以上の試験によれば,ジェランガムの濃度
を0.17%,0.20%とすると図3,図4に示すよ
うに,ほぼ24時間くらいで100gのジェランガムゲ
ルのうちほぼ85g前後の水が離水し,ほぼ50時間程
度で離水が完了する。また,ジェランガム濃度を0.2
2%,0.25%,0.30%とすると,6時間以内の
離水状況ではほぼ60g以下であり,1日程度の給水に
は十分有効であることがわかる。ジェランガム濃度を
0.5%〜1.0%程度とすると,離水能力を150時
間(約6日間)程度持続できるので,輸送等には便利で
ある。
【0047】カルボキシメチルセルロースナトリウムの
代わりに他の合成高分子化合物,天然高分子化合物を添
加することも考えられる。ジェランガムゲルの充填容器
底部に1mm程度の直径を有する小さな穴を開口するこ
とでよりいっそう離水時間を長期化させることができ
る。
【0048】図4からすると,ジェランガム濃度がいず
れの場合でも,最初の24時間の離水量の傾きは大きい
が,図5に示すように,赤玉土に含まれる水分の量が3
0%を越えると離水量が急激に減少するので,給水始め
においては離水速度が速くても,すぐに離水速度が低下
して24時間以降の離水量の傾きは少なくなり且つほぼ
一定となる。従って,200時間(1週間)程度の長期
にわたってほぼ一定の給水を行うことが可能である。
【0049】
【発明の効果】本発明にかかるゲル状給水材によれば,
ジェランガム水溶液の濃度を調整してジェランガムゲル
を形成すると,例えば,鉢植え植物などに給水を行う場
合,鉢植え植物の土の上にジェランガムゲルを載せてお
くだけで,ジェランガムゲルから水が徐々に土中に給水
されるため,所定期間鉢植え植物へ給水でき,人手を要
しない。
【0050】また,水が土中に吸収される量及び時間は
ジェランガムゲルの容量及び濃度の選択により決定され
るため,各種の給水能力時間を有する複数種のジェラン
ガムゲルを土壌上に置くことにより,長期間の給水も可
能となる。
【0051】さらに,底部や周壁下部に一定面積の開口
部を有する容器にジェランガムゲルを入れておくことに
より,給水時間を調整することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】処理工程図
【図2】ジェランガム分子の重合単位の構造式
【図3】ジェランガム濃度の違いによる短時間における
離水量変化を示すグラフ
【図4】ジェランガム濃度の違いによる長時間における
離水量変化を示すグラフ
【図5】搭載土壌の水分の比率と離水量との関係を示す
グラフ。
【図6】ジェランガムゲルを入れる袋の底面図
【符号の説明】
1 円筒型の袋 2 開口部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】→3)−β−D−グルコピラノース−(1
    →4)−β−D−グルクロン酸−(1→4)−β−D−
    グルコピラノース−(1→4)−α−L−ラムノピラノ
    ース−(1→の繰り返し単位からなる多糖類を,0.0
    5質量パーセント濃度ないし5.0質量パーセント濃度
    の範囲で水に溶解させると共に,さらにこの水に対して
    ゲル化促進剤を0.001質量パーセント濃度〜1.0
    質量パーセント濃度の範囲で溶解させて,ゲル化させた
    ことを特徴とするゲル状給水材。
  2. 【請求項2】請求項1のゲル状給水材において,前記ジ
    ェランガム水溶液の濃度を0.1質量パーセント濃度〜
    1.0質量パーセント濃度の範囲に設定したことを特徴
    とするゲル状給水材。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2のゲル状給水材にお
    いて,前記ジェランガム水溶液に植物活性剤,土壌改良
    剤,ゲル強度調整剤等のいずれかを単一にまたは混合し
    て添加したことを特徴とするゲル状給水材。
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Cited By (2)

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