JP4629866B2 - 人工種子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存安定性が高く、土壌に播種すると速やかに発芽する再分化可能な植物細胞組織を包含するカプセル化人工種子に関する。より詳しくは、本発明は、三層以上の構造のシームレスソフトカプセルからなる人工種子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、再分化可能な植物細胞組織(以下、単に「細胞組織」ということがある)を人工種子化する試みがなされている。一般的には、細胞組織を多糖類、重合性低分子あるいは架橋性高分子の溶液に分散、懸濁し、これをゲル化させることによりゲル内に細胞組織を包括し、ビーズ状、平板状、棒状もしくは繊維状に成形して、人工種子化することが行われている。
【0003】
ところで、人工種子は種子としての機能を持つ必要があり、農家の納屋や倉庫などの特別な冷蔵設備がない乾燥した場所で少なくとも3ヶ月間は保存でき、また土壌に播種すると数日で発芽に至ることが求められている。
【0004】
しかしながら、上記のように、ゲル内に細胞組織を包括した人工種子は、室温での乾燥に対して耐性がなく、製造後4日以内に播種しなければならないという問題があり、乾燥を防ぐために、冷蔵保存もしくは液中保存しなければ、1ヶ月間保存することも出来なかった。
【0005】
このような乾燥の問題を解決するために、ゲルの表面をパラフィン、ワックスなどで覆うという試みがなされている。この試みにより、確かに保存安定性が改良されるものの、パラフィンあるいはワックスが安定で分解されにくいため、土中に播種しても発芽しないという問題がある。そのため、播種に際して、1粒ずつ穴を開けなければならないという不便さがあり、実用的な人工種子となり得ていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、いまだ、実用レベルに達した人工種子は得られていないのが実情であり、特別な冷蔵設備がない乾燥した場所で少なくとも3ヶ月間は保存でき、土壌に播種すると数日で発芽に至ることできる人工種子が求められている。このような人工種子が得られれば、実際に広範な植物に対して適用でき、植物細胞組織培養技術、クローン技術やウイルスフリー技術と相まって、農業、林業、園芸業、花卉業などへの広範な応用が可能となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、再分化可能な植物細胞組織(細胞組織)を包含した中空シームレスソフトカプセルの内皮膜を硬化油とし、外皮膜を生分解性のゲル(タンパク質、多糖類)、生分解性プラスチック類などで構成し、表面を乾燥させて、人工種子を作成した。このように構成することにより、カプセル内への酸素供給が制限され、カプセル内で細胞組織が一種の休眠状態で生存することができ、しかも、水分の蒸発も抑えられて常温で2ヶ月以上保存することが可能であることを見出した。さらに、カプセルを土壌に播種することにより、水と土壌中の微生物の作用で外皮膜、更には内皮膜の硬化油が分解され、酸素の透過性が高まり、再分化が進み発芽に至ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明は、最内層、該最内層を覆う内皮層、および該内皮層を覆う外層の三層またはそれ以上の層構造を有するシームレスソフトカプセルからなる人工種子であって、該最内層には、再分化可能な植物細胞組織(細胞組織)が含まれ、該内皮層が硬化油を主成分とする内皮膜で構成され、そして、該外層が生分解性を有する外皮膜である、人工種子に関する。
【0009】
好ましい実施態様においては、前記外皮膜が乾燥されている。
【0010】
好ましい実施態様においては、前記再分化可能な植物細胞組織が不定胚、不定芽、多芽体、茎頂、生長点、プロトコルム様体、不定根、および毛状根からなる群から選択される。
【0011】
また、好ましい実施態様においては、前記内皮膜が、常温では固体であり微生物分解性の硬化油である。
【0012】
別の好ましい態様においては、前記外皮膜が、タンパク質、多糖類、および生分解性プラスチックからなる群から選択される微生物分解性の外皮膜である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の人工種子は、最内層、該最内層を覆う内皮層、および該内皮層を覆う外層の三層またはそれ以上の層構造を有するシームレスソフトカプセルからなる人工種子である。本発明の人工種子の断面模式図を図1に示す。図1は、三層構造の場合の図である。最内層には、細胞組織である不定胚が含まれている。この最内層には、不定胚の生命維持に必要な培地成分と生長調節剤を含む液体成分またはゲルが満たされている。内皮層は、硬化油を主成分とする内皮膜(図では内皮膜(硬化油皮膜)として表示)で構成されている。そして、この硬化油皮膜が、水分の蒸発を防止し、酸素の透過も抑制している。外層は、図1で外皮膜(ゼラチン皮膜)と表示されており、物理的強度を保ち、酸素の透過を抑制している。
【0014】
なお、種々の学術文献、特許文献等の記述において、アルギン酸カルシウムゲルの単一球のビーズをカプセルと表記している場合があるが、このようなカプセルは、後の製法でも明らかになるように、本発明のシームレスソフトカプセルとは全く異なるものである。さらに、本発明の人工種子は、好ましくは、表面が乾燥されており、湿潤アルギン酸ゲルとは、異なるものである。
【0015】
本発明に用いられる、最内層に含まれる細胞組織としては、不定胚、不定芽、多芽体、茎頂、生長点、プロトコルム様体、不定根、毛状根などが好ましく用いられる。ウイルスフリー組織を用いてもよい。
【0016】
細胞組織の生命を維持させるためには、例えば、水、生理食塩水、緩衝液、培養液もしくは、細胞組織の再分化(発芽)活性の維持に必要な成分を含有する液状物質またはゲル状物質(以下、まとめて培地という)に細胞組織を懸濁させておくことが好ましい。培地としては、所望の植物に適した培地であって、当業者が通常用いる培地、例えば、ムラシゲ・スクーグ(Murashige&Skoog)の基本培地(1962年:以下、「MS培地」という)あるいはその改変培地が代表的な培地として挙げられるが、これに限定されない。また、通常の培養に使用される植物ホルモン、ココナッツミルク、カゼイン加水分解物や酵母エキス等を併せて添加しても良い。さらに、播種後に内皮膜が崩壊し、発芽までに時間がかかり、微生物によるダメージを受ける場合には、微生物の増殖を抑制をするために抗菌物質を添加しても良い。
【0017】
内皮膜としては、硬化油を主成分とする油脂が好ましく用いられる。「硬化油を主成分とする」とは、硬化油のみの場合、あるいは、硬化油に他の油脂などを混合して、所望の性質を有するように調整したものを含む意味である。好ましい内皮膜は、常温では固体であり微生物分解性の硬化油である。「常温では固体の硬化油」とは、融点が約20℃以上であるような硬化油をいう。融点が30℃以上でもよく、40℃以上でもよく、また50℃以上であってもよい。融点が20〜50℃の硬化油が好ましく用いられる。どのような硬化油を選択するかは、保存温度、播種時期などを考慮して決定すればよい。
【0018】
硬化油としては、中鎖脂肪酸のトリグリセリドやジグリセリド等が挙げられ、バター、マーガリン、ショートニングやカカオバター等が例示されるが、これらに限定されない。
【0019】
この内皮膜は、耐水性のあることが、水系の物質のカプセル形成に必要なだけでなく、細胞組織を含む最内層の水分の揮散を防止するためにも重要である。
【0020】
生分解性あるいは微生物分解性とは、土壌に播種したときに微生物その他の生物により分解され、あるいは資化されることを意味する。硬化油が分解あるいは資化されることにより、内皮膜が崩壊し、カプセル外に出現する際の障害が取り除かれるとともに、酸素の透過性が高まり、細胞組織が休眠状態から目覚め、分化、増殖できる環境となる。
【0021】
外皮膜は、水で膨潤し、生分解性あるいは微生物分解性であることが、細胞組織が分化、増殖して、カプセル外に発芽する際の障害が取り除かれるという観点から、好ましい。生分解性あるいは微生物分解性の外皮膜としては、タンパク質、多糖類、生分解性プラスチックなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2以上組合せて用いる事ができる。
【0022】
タンパク質類としては、ゼラチン、コラーゲン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、それぞれ単独で、あるいは2以上組合せて用いる事ができる。
【0023】
多糖類としては、ゲルを形成する多糖が好ましく用いられる。このような多糖類としては、寒天、カラギーナン、アラビアガム、ジェランガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、それぞれ単独で、あるいは2以上組合せて用いる事ができる。
【0024】
生分解性プラスチック類としては、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、それらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは、それぞれ単独で、あるいは2以上組合せて用いる事ができる。
【0025】
また、必要に応じて、上記生分解性の物質に、糖、糖アルコール、多価アルコール、プルラン、キトサン等を添加することで、皮膜の性質を変えることができる。
【0026】
特に好ましい皮膜としては、乾燥後、酸素バリアー性が高くなるゼラチンが挙げられる。
【0027】
本発明のカプセル化された人工種子は、必要に応じて、四層以上の構造とすることが出来、素材を選ぶことで皮膜に種々の性質を持たせることが出来る。さらに、カプセル表面に薬剤等をコーティングしてもよい。
【0028】
本発明のシームレスソフトカプセルからなる人工種子は、当業者がシームレスソフトカプセルを製造する際に通常用いる方法で製造される。三層構造を有するシームレスソフトカプセルを製造する場合、三重ノズルを用いた滴下法で製造することが最も好ましい。シームレスソブトカプセルの製造方法は、例えば、バイオサイエンスとインダストリー、Vol.58、No.7、p31〜34(2000)に記載されている。このシームレスソブトカプセルの製造方法は、すでに工業的大量生産に使用されている方法であるため、本発明のシームレスソフトカプセル化された人工種子の大量生産は容易である。
【0029】
具体的には、例えば、液体培地あるいは固体培地で作出した細胞組織(例えば不定胚)から適切な大きさの不定胚を取得し、培地に懸濁し、カプセルの内容物(最内層)とし、内皮膜として常温で固体の硬化油を用い、外皮膜を適切な濃度の上記生分解性物質の溶液(例えば、22%ゼラチン溶液)として、三重管ノズルのシームレスソフトカプセル製造機を用いて液中滴下法により造粒する。このとき、内容液の不定胚が一個ずつ入るようにポンプを調節する。カプセル滴形成と固化は、凝固油中で行い、三層構造のカプセルとする。得られたカプセルから凝固油を脱油後、ドラム乾燥することにより乾燥カプセル化不定胚の人工種子が得られる。乾燥は、細胞組織が死滅しないように低温で行われる。
【0030】
得られるカプセル化人工種子の粒径は、組織細胞のサイズによっても異なるが、lmm〜12mmである。より好ましくは、3mm〜10mmである。カプセルに封入する細胞組織の数は、組織の大きさにもよるが、1個から数個まで可能であることから、再分化率(発芽率)も考慮し、人工種子として適した性質を与えることが出来る数を封入するとよい。植物にもよるが、好ましくは、1〜4個である。
【0031】
このようにして得られた本発明の人工種子は、乾燥した納屋などの室温で発芽能力を保持したまま3ヶ月以上保存することが可能であり、特別に冷蔵庫や、低温水中で保存する必要はない。10℃以下の冷蔵保管庫で保存するなら、6ヶ月以上の長期保存が可能である。
【0032】
本発明のカプセル化人工種子は、土壌中に播種し、水を散布することで、外皮膜がゼラチンであればゼラチン層が膨潤し、かつ土壌微生物の作用で分解され、続いて硬化油も微生物の作用で分解される。その時、酸素透過性が上がり、休眠状態から目覚め、発芽状態に移行すると考えられる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0034】
実施例1:ニンジン不定胚をカプセル化した人工種子
ニンジンの培養細胞と不定胚の作出は、ニンジンの根を用いて「植物細胞組織培養」(1979年、原田、駒嶺編、理工学社)p91〜104に記載されている方法に準じて行った。液体培地で作出した不定胚を、網目500μmと850μmのナイロンメッシュを用いて選別し、500μm〜850μmの大きさの不定胚を得た。得られた不定胚は、心臓型から魚雷型に至る形状をしていた。これらの不定胚を、ホルモンを含まず、キトサンを0.2%含むMS培地に懸濁し、カプセルの内容物とした。
【0035】
カプセル化は、内皮膜を融点32℃のトリグリセリドの硬化油(ファーマゾルB−115、日本油脂(株)製)とし、外皮膜を22%ゼラチン溶液として、三重管ノズルのシームレスソフトカプセル製造機を用いて液中滴下法により、行った。内容液の不定胚が一個ずつ入るようにポンプを調節した。カプセル滴形成と固化は、凝固油中で行い、三層構造のカプセルとした。得られた生カプセルから凝固油を脱油後、ドラム乾燥することにより乾燥カプセル化不定胚の人工種子を得た。乾燥後の粒径は7mmであった。
【0036】
他方、比較例として、アルギン酸ゲルビーズ包埋ニンジン不定胚(比較例1)を作成した。すなわち、実施例1で作出し選別した不定胚を3%(w/v)アルギン酸ナトリウムを含むMS培地に懸濁し、50mMの塩化カルシウム溶液中に滴下することによって不定胚を包埋したアルギン酸カルシウムゲルビーズ(粒径約5mm)を調製した。これは、従来人工種子として報告されているものと同様のものである。
【0037】
保存及び発芽試験
上記不定胚をカプセル化した人工種子(実施例1)と不定胚をアルギン酸カルシウムゲルビーズ包埋したゲルビーズ(比較例1)とを、20℃、湿度65%の恒温器中で3ヶ月間保存した。保存3日目で、アルギン酸カルシウムゲルビーズはかなり乾燥し、ビーズが小さくなり、1週間で不定胚も乾燥し、干からびた状態になった。他方、カプセル化人工種子には一週間でも外観の変化は認められなかった。
【0038】
人工種子調製直後、1ヶ月後、2ヶ月後、および3ヶ月後に、それぞれ、土壌殺菌を行っていない圃場の土を入れたポットに表土から2cmの深さに各100粒ずつ播種し、散水した。播種後、25℃のインキュベーターに入れ、3000Luxで、1日あたり16時間の照明を行いながら、2日に一回散水し、生育させた。各々3週間後の発芽数を数えた結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0004629866
【0040】
表1に示すように、調製直後の発芽率は、実施例1も比較例1もほぼ同じであった。しかし、1ヶ月間以上保存すると、従来タイプの人工種子である比較例1では全く発芽しなかった。これに対して、本発明のカプセル化人工種子では、3ヶ月保存後でも68%という高い発芽率が認められた。
【0041】
この結果より、本発明のカプセル化不定胚が人工種子としての保存安定性に関して、従来のアルギン酸ゲルビーズ包埋不定胚タイプの人工種子よりもはるかに優れていることが示された。
【0042】
実施例2:イチゴ葉芽をカプセル化した人工種子
栽培されているイチゴから摘出した茎頂組織をシュークロース10g/l及びゲル化剤としてジェランガム2g/lを含むMS培地に置床し、暗所25℃で14日間培養後、ベンジルアデニン0.2mg/l及びシュークロース10g/lを含むMS液体培地に移し、25℃で、1日あたり、2000Luxで16時間照射しながら、150rpmで回転振盪培養を行った。30日間培養後、得られた葉芽を、開き目がlmmと1.7mmのナイロンメッシュを用いて選別し、1〜1.7mmの大きさの葉芽を得た。取得した葉芽を、ホルモンを含まないMS液体培地に懸濁し、カプセル化の内容物とした。
【0043】
葉芽懸濁液を送るポンプの流量を調節した以外は実施例1と同様にしてカプセル化を行った。得られたカプセルを乾燥することによりカプセル化イチゴ葉芽の人工種子を得た。乾燥後の粒径は8mmであった。
【0044】
他方、比較として、アルギン酸ゲルビーズ包埋イチゴ葉芽を作成した(比較例2)。実施例2で作出し、選別したイチゴ葉芽を用いて、比較例1と同様の方法でイチゴ葉芽を包埋したアルギン酸力ルシウムゲルビーズ(粒径約5mm)を調製した。これは、従来、人工種子として報告されているものと同様のものである。
【0045】
得られたイチゴ葉芽人工種子(実施例2)およびアルギン酸ゲルビーズ包埋イチゴ葉芽(比較例2)の保存と発芽試験を実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
Figure 0004629866
【0047】
表2に示すように、調製直後の発芽率は実施例2も比較例2もほぼ同じであった。1ヶ月間以上保存すると、従来タイプの人工種子である比較例2では全く発芽しなかったが、本発明のカプセル化人工種子では高率で発芽が認められ、3ヶ月後でも60%以上の発芽率を維持していた。
【0048】
この結果より、本発明のカプセル化人工種子の保存安定性は、従来のアルギン酸ゲルビーズ包埋タイプの人工種子と比較してはるかに優れていることが明らかである。
【0049】
実施例3:コチョウランのプロトコーム様体をカプセル化した人工種子
白花黄リップのコチョウランの花茎腋芽から形成したプロトコーム様体を、開き目が1.5mmと3mmのナイロンメッシュを用いて選別し、1.5〜3mmの大きさのプロトコーム様体を得た。得られたプロトコーム様体をハイポネックス肥料(N/P/K=6.5:6:19)6g/l、シュークロース15g/l、キトサン0.2%を含んだpH5.6の培地に懸濁し、三重カプセルの内容物とした。
【0050】
このプルトコーム様体懸濁液を送るポンプを調節し、1プロトコームを1カプセル中に包括する様にした以外は実施例1と同様にしてカプセル化を行った。得られたカプセルを乾燥することにより、コチョウランのプロトコーム様体の乾燥カプセル化人工種子を得た。乾燥後の粒径は9mmであった。
【0051】
この人工種子を、15℃の暗所で2ヶ月間保存後、土壌殺菌を行っていない圃場の土を入れたポットに表土から2cmの深さに100粒播種し、散水した。播種後、25℃のインキュベーターに入れ、3000Luxで、1日あたり16時間の照明を行いながら、2日に一回散水し、生育させた。2ヶ月後の発芽数を教えたところ100粒中63粒が発芽していた。
【0052】
実施例4〜9
表3に示す植物の不定胚、頂芽、あるいは不定根を作出し、実施例1と同様にカプセル化を行い、乾燥後、3ヶ月間20℃、湿度65%の恒温器内で保存した後に、各100粒を実施例1と同様にポットに播種し、1〜3ヶ月間、実施例1と同様に生育させ、発芽を観察した。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
Figure 0004629866
【0054】
表3の結果も、本発明のカプセル化人工種子の保存安定性が優れていることを示している。
【0055】
【発明の効果】
本発明の再分化可能な植物細胞組織を包含するカプセル化人工種子は、常温の乾燥状態における保存安定性が高く、かつ土壌に播種することによりカプセル皮膜が膨潤及び微生物作用により崩壊し、速やかに発芽にいたる人工種子を提供できる。植物細胞組織培養技術、クローン技術やウイルスフリー技術と相まって、農業、林業、園芸業、花卉業などへの広範な応用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人工種子の断面模式図である。

Claims (5)

  1. 最内層、該最内層を覆う内皮層、および該内皮層を覆う外層の三層またはそれ以上の層構造を有するシームレスソフトカプセルからなる人工種子であって、
    該最内層には、再分化可能な植物細胞組織が含まれ、
    該内皮層が硬化油を主成分とする内皮膜で構成され、そして、
    該外層が生分解性を有する外皮膜である、人工種子。
  2. 前記外皮膜が乾燥されている、請求項1に記載の人工種子。
  3. 前記再分化可能な植物細胞組織が不定胚、不定芽、多芽体、茎頂、生長点、プロトコルム様体、不定根、および毛状根からなる群から選択される、請求項1または2に記載の人工種子。
  4. 前記内皮膜が、常温では固体であり微生物分解性の硬化油である、請求項1から3のいずれかの項に記載の人工種子。
  5. 前記外皮膜が、タンパク質、多糖類、および生分解性プラスチックからなる群から選択される微生物分解性の外皮膜である、請求項1から4のいずれかの項に記載の人工種子。
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