JPH08134178A - 光硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

光硬化性エポキシ樹脂組成物

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JPH08134178A
JPH08134178A JP27632894A JP27632894A JPH08134178A JP H08134178 A JPH08134178 A JP H08134178A JP 27632894 A JP27632894 A JP 27632894A JP 27632894 A JP27632894 A JP 27632894A JP H08134178 A JPH08134178 A JP H08134178A
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Japan
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epoxy resin
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present
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JP27632894A
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Tomio Nobe
富夫 野辺
Masahiko Yamanaka
正彦 山中
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New Japan Chemical Co Ltd
Original Assignee
New Japan Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐候性に優れ、光硬化速度が速く、厚膜の均
一硬化が可能で酸素による表面の硬化性阻害がなく、接
着性、可撓性、耐衝撃性等の塗膜物性に優れ、毒性、皮
膚刺激性の低い光硬化性樹脂組成物を提供する。 【構成】 脂環骨格を有し、且つ2個以上のグリシジル
エーテル基を有する1種若しくは2種以上のエポキシ樹
脂と光カチオン重合開始剤とを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光硬化性エポキシ樹脂
組成物に関する。当該樹脂組成物は、耐候性に優れ、塗
料、コーティング材料、インク、成形材料、封止材料等
に有用な素材である。
【0002】
【従来の技術】従来、光硬化性樹脂としてはアクリル系
樹脂が知られているが、このものはラジカル重合反応で
硬化するために空気中の酸素により重合阻害を受けて表
面硬化性が悪く、更にアクリルモノマーは毒性が強いこ
と、金属やプラスチックとの接着性が悪い等の問題点が
指摘されている。
【0003】カチオン重合性物質と光カチオン重合開始
剤からなる光硬化性樹脂組成物は、空気による表面の硬
化阻害がないこと、毒性、皮膚刺激性が少ないこと、金
属やプラスチックに対する接着性に優れること等から近
年注目されており、缶コーティングやプラスチックのコ
ーティング等で実用化されている。
【0004】カチオン重合性物質としては、特公昭52
−14278、特開平5−239402等に示されるビ
スエノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型
エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、
脂肪族グリシジルエーテル化合物、3,4−エポキシシ
クロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキ
サンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘ
キシルメチル)アジペート等の脂環型エポキシ樹脂及び
特開昭53−32831に示されるビニルモノマー、環
状エーテル、ビニルエーテル等のオキシラン酸素非含有
の単量体又は低重合体状有機物質等が例示される。
【0005】しかし、上記カチオン重合性物質は全ての
用途に適合する材料ではない。例えば、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹
脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の芳香族含
有エポキシ樹脂は、光硬化速度が遅く、更に得られた硬
化物は耐候性が悪いために屋外に使用するようなコーテ
ィング材料等には使用できず、厚い膜の光硬化が困難で
ある。
【0006】3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレー
ト、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジ
ペート等の脂環型エポキシ樹脂は、光硬化速度は速く実
用レベルであり、耐候性も良好であるが、工業的に入手
できるものが限られており、厚い膜を均一に硬化するこ
とが困難であり、又、得られた塗膜が脆く可撓性、耐衝
撃性に欠け、接着性が劣る欠点がある。
【0007】ビニルエーテルは、光硬化速度は速いが、
悪臭があり、多量に添加すると硬度、可撓性、耐衝撃
性、接着性、耐熱着色安定性等の塗膜物性が劣る欠点が
ある。これらのカチオン重合性物質を併用使用すること
で、有る程度は欠点を補うことは可能であるが、完全な
解決策とは成り得ないのが現状である。このことが光カ
チオン重合性樹脂分野の拡充には大きな障害となってい
る。
【0008】更に、光硬化性樹脂組成物の基本配合素材
は、カチオン重合性物質と光カチオン重合開始剤からな
るが、このとき光カチオン重合開始剤とカチオン重合性
物質の相溶性、耐熱着色安定性、耐候性に優れる光カチ
オン重合性開始剤との組み合わせが求められている。
【0009】このように、耐候性に優れ、光硬化速度が
速く、厚膜の均一硬化が可能で接着性、可撓性、耐衝撃
性等の塗膜物性に優れるカチオン重合性物質は知られて
おらず、更に相溶性や耐熱着色安定性、耐候性に優れる
光カチオン重合開始剤との組み合わせによる光硬化性樹
脂組成物は知られていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐候性に優
れ、光硬化速度が速く、厚膜の均一硬化が可能で酸素に
よる表面の硬化性阻害がなく、接着性、可撓性、耐衝撃
性等の塗膜物性に優れ、毒性、皮膚刺激性の低い光硬化
性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決できる光硬化性樹脂組成物を提案すべく鋭意検討
した結果、カチオン重合性物質として特定の構造を有す
るエポキシ樹脂を選択し、当該樹脂と光カチオン重合開
始剤を必須成分として成る光硬化性エポキシ樹脂組成物
が、耐候性に優れ、光硬化速度が速く、厚膜の均一硬化
が可能で、酸素による表面の硬化性阻害がなく、接着
性、可撓性、耐衝撃性等の塗膜物性に優れ、毒性、皮膚
刺激性の低いことを見いだし、かかる知見に基づいて本
発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明に係る光硬化性エポキシ樹脂
組成物は、脂環骨格を有し、且つ2個以上のグリシジル
エーテル基を有する一般式(1)で表される1種若しく
は2種以上のエポキシ樹脂(以下「本エポキシ樹脂」と
いう。)と光カチオン重合開始剤とを含有することを特
徴とする。
【0013】 [式中、R1は一般式(2)で表される1種若しくは2
種以上のエーテル結合を有していても良いアルキレン基
を表す。R2は水素原子又は一般式(3)で表される置
換基を表す。nは0〜50の整数を表す。]
【0014】 [式中、R3はシクロアルキレン基を1個以上有し、且
つ分岐を有していても良い炭素数6〜30のアルキレン
基を表す。OAは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を
表す。aは0又は1を表す。bは0又は1〜25の整数
を表す。cは2〜6の整数を表す。b×cは0〜50の
整数を表す。]
【0015】 [式中、R1、R2は一般式(1)において記載したとお
りである。mは0〜20の整数を表す。]
【0016】本エポキシ樹脂の製造方法は、一般式
(4)で表される1種又は2種以上のポリオール(以下
「本ポリオール」という。)、エピハロヒドリン及び一
般式(5)で表されるジグリシジルエーテル(以下「本
グリシジルエーテル」という。)をルイス酸(付加反応
触媒)の存在下に付加反応してハロヒドリンエーテル体
を得、次いで塩基性化合物の存在下に閉環反応すること
で製造できる。
【0017】 [式中、R3、OA、a、b、c及びb×cは一般式
(2)において記載したとおりである。]
【0018】 [式中、R4は基−CH2−X−CH2−又は基−X−Y
−X−を表す。Xはシクロヘキシレン基を表す。Yは−
CH2−又は−C(CH32−を表す。OAは一般式
(1)において記載したとおりである。d、eは0〜1
8の整数を表す。]
【0019】本ポリオールとしては、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,2−シクロヘキサンジメタノール及びそれら
のアルキレンオキサイド1〜50モル付加体、水素化ビ
スフェノールA、水素化ビスフェノールF及びそれらの
アルキレンオキサイド1〜50モル付加体等が例示さ
れ、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用す
ることが可能である。
【0020】ここで、アルキレンオキサイドとは、エチ
レンオキサイド、プロピレンオキサイド及びこれらの共
付加体の総称である。
【0021】中でも、耐水性を重視する場合には、水素
化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF及びシク
ロヘキサンジメタノールが推奨され、可撓性を重視する
場合には、アルキレンオキシド付加体が推奨される。
【0022】本ジグリシジルエーテルとしては、例え
ば、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノール
F、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シ
クロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジ
メタノール及びそれらのアルキレンオキサイド1〜36
モル付加体に例示されるジオールのジグリシジルエーテ
ルが例示され、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わ
せて使用することが可能である。
【0023】中でも、耐水性や塗膜硬度向上を重視する
場合には、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエー
テル及び1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシ
ジルエーテルが推奨され、可撓性を重視する場合には、
アルキレンオキシド付加体が推奨される。
【0024】本エポキシ樹脂製造における付加反応触媒
として適用されるルイス酸としては、ブチル錫トリクロ
ライド、オクチル錫トリクロライド、塩化第二錫及びそ
の水和物、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素及びそれらの
錯化合物、フリーデルクラフト触媒等が例示され、夫々
単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することが
可能である。中でも塩化第二錫及びその水和物が推奨さ
れる。
【0025】エピハロヒドリンとしては、エピクロロヒ
ドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロロヒ
ドリン、β−メチルエピブロモヒドリン等が代表例であ
って、これらは単独で又は2種以上を適宜組み合わせて
使用することが可能である。
【0026】本エポキシ樹脂製造に適用される塩基性化
合物としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、
カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸
化物、炭酸塩、酸化物、アルコラート等が例示され、固
体又は溶液の形態で使用される。
【0027】本エポキシ樹脂の具体的な製造方法を以下
に示す。
【0028】製造工程は、本ポリオール、本ジグリシジ
ルエーテル及びエピハロヒドリンを反応させて、特定分
子量範囲のハロヒドリンエーテル体を製造する付加反応
工程(以下「付加工程」という。)と、次いで、このハ
ロヒドリンエーテル体を塩基性化合物の存在下に脱ハロ
ゲン化水素・閉環反応して、本発明に係るエポキシ樹脂
を製造する閉環反応工程(以下「閉環工程」という。)
に分けられる。
【0029】[付加工程]付加工程としては、下記に示
す二種類の方法が有用である。 (A)法:本ポリオール及びその水酸基に対して、通
常、0.1〜1モル%程度のルイス酸を仕込み、室温〜
150℃で0.5〜2時間かけて本ジグリシジルエーテ
ルを滴下反応させてポリエーテルポリオールとした後、
室温〜150℃で0.5〜2時間かけてエピハロヒドリ
ンを滴下反応させる。この反応は、通常、常圧で行わ
れ、0.5〜6時間で完結し、ハロヒドリンエーテル体
を得る。
【0030】(B)法:本ポリオール及びその水酸基に
対して、通常、0.1〜1モル%程度のルイス酸を仕込
み、室温〜150℃で0.5〜2時間かけてエピハロヒ
ドリンと本ジグリシジルエーテルを交互又は同時に滴下
反応させる。この反応は、通常、常圧で行われ、0.5
〜6時間で完結し、ハロヒドリンエーテル体を得る。
尚、(B)法は、本ポリオールが反応温度で完全に溶融
しない場合に、本ポリオールをハロヒドリンエーテル体
に一部又は全量溶解させた状態で付加工程を実施できる
ため、エポキシ基単独の重合等の副反応を抑えるために
は有効な手段である。
【0031】[閉環工程]閉環工程は、このハロヒドリ
ンエーテル体の加水分解性の塩素に対して、通常、1.
0〜2.0倍当量程度の塩基性化合物を添加し、減圧下
(通常、20mmHg程度まで)乃至常圧下、30〜100
℃程度で0.5〜6時間かけて脱ハロゲン化水素して閉
環反応を完結させる。このとき、アルカリ濃度を高く保
つために水を留去してもよい。
【0032】脱ハロゲン化水素・閉環反応を促進させる
目的で相間移動触媒をハロヒドリンエーテル体に対し
て、通常、0.05〜1.0重量%程度添加してもよ
い。
【0033】かかる相間移動触媒としては、塩化テトラ
メチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、
塩化ベンジルトリメチルアンモニウム及びそれらの臭化
物等の第四級アンモニウム塩、12−クラウン−4−エ
ーテル、15−クラウン−5−エーテル等のクラウンエ
ーテル等が例示される。
【0034】次いで、副生塩や未反応の塩基性化合物
を、濾過、水洗、遠心分離、吸着、脱水等の工程を適宜
組み合わせることにより除去する。
【0035】上記の方法において、付加工程及び/又は
閉環工程時に、水酸基、カルボン酸及び/又はアミノ基
等の活性水素を持たない溶媒を、原料の仕込み重量に対
して5〜200重量%程度使用することは、系内の粘度
を低下せしめ、エポキシ基単独の重合や閉環反応時の生
成エポキシ基の開裂等の副反応を抑えるためには有効な
手段である。
【0036】尚、溶媒を使用した場合、脱溶媒を行って
もよく、脱溶媒をせず溶液状態で製品としても差し支え
ない。又、付加工程と閉環工程とにおいて、溶媒を変更
しても良い。
【0037】上記溶媒としては、ベンゼン、トルエン、
キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素
類、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメ
チルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジオキサン、アニソール等のエーテル類、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等のケ
トン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテー
ト、フタル酸ジメチル等のエステル類等が例示され、中
でもエーテル類及び炭化水素類が推奨される。
【0038】本エポキシ樹脂は、必要に応じて蒸留、低
沸点成分のトッピング、溶媒抽出、再沈澱、再結晶等の
操作により精製して適用してもよい。
【0039】本エポキシ樹脂の数平均分子量としては、
一般式(1)におけるn、m、R1及びR4の分子量によ
り変わるが、250〜10000、特に300〜500
0程度が推奨される。数平均分子量が大きい方が光硬化
速度が速くなるが、250未満では、光硬化速度の遅
く、その硬化塗膜が脆く、10000を越える場合は、
粘度が高く、コーティング等の作業性が低下する傾向が
ある。
【0040】上記範囲の数平均分子量を有するエポキシ
樹脂は、付加工程における本ポリオールと本ジグリシジ
ルエーテルの仕込み比を適宜選択し、付加反応させるこ
とにより得ることができる。
【0041】具体的には、(A)法においては、本ポリ
オールの水酸基に対する本ジグリシジルエーテルのエポ
キシ基の当量比(以下「エポキシ基/水酸基当量比」と
いう。)が0以上1未満、特に0〜0.9程度であるこ
とが好ましい。エポキシ基/水酸基当量比が1以上にな
る場合には、反応途中で三次元架橋を生じることにより
ゲル化してしまうため製造が困難である。
【0042】(B)法においては、(A)法同様、エポ
キシ基/水酸基当量比を0以上1未満、好ましくは0以
上0.9未満に設定し、且つエピハロヒドリンの付加し
ていない水酸基のモル数が本ジグリシジルエーテル中の
エポキシ基のモル数以下にならないようにエピハロヒド
リンの仕込み時期及び/又は滴下速度を調節する。エピ
ハロヒドリンの付加していない水酸基のモル数が本ジグ
リシジルエーテル中のエポキシ基のモル数以下となる
と、反応途中で過剰のエポキシ基が三次元架橋を生じる
ことによりゲル化してしまうため製造が困難となる。
【0043】又、(A)法、(B)法ともに、本ジグリ
シジルエーテルのエポキシ基の70%、好ましくは90
%以上が付加反応していることが推奨される。本ジグリ
シジルエーテルのエポキシ基の反応率が70%に満たな
い場合には、所定の分子量範囲のエポキシ樹脂を得るこ
とができない。
【0044】一般式(1)においてnが0であるエポキ
シ樹脂は、エポキシ基/水酸基当量比を0とすることに
より製造できる。
【0045】本エポキシ樹脂の1分子当たりのグリシジ
ルエーテル基の平均官能基数及びエポキシ当量は、本ポ
リオールとエピハロヒドリンの仕込み比を適宜選択する
ことにより制御でき、具体的には、本ポリオール中の水
酸基に対するエピハロヒドリンの当量比として0.1〜
2程度が推奨される。
【0046】本エポキシ樹脂のグリシジルエーテル基の
平均官能基数は、大きいほど光硬化性が良いが、2〜5
0、特に2〜25の範囲であることが好ましい。2未満
では光硬化性が不十分となり、35を越える場合はその
塗膜又は硬化物が脆くなる傾向がある。
【0047】又、本エポキシ樹脂のエポキシ当量として
は、130〜5000、特に200〜2500程度の範
囲であることが好ましい。130未満では、その塗膜又
は硬化物が脆く、5000を越える場合は、光硬化性が
不十分となり、一方、水酸基が多く残存することによっ
て硬化物の耐水性が低下する傾向がある。
【0048】本エポキシ樹脂に於いて数平均分子量が大
きい場合は、粘度を下げ、コーティング、注型等の作業
性を向上させる為に、一般式(1)に於けるnが0の成
分を混合させることが有効である。
【0049】本エポキシ樹脂は、単独で用いることもで
きるが、他のエポキシ化合物と併用することもできる。
このとき、本エポキシ樹脂の配合比率は、10重量%以
上であることが望ましい。
【0050】かかる他のエポキシ化合物としては、ビス
フェノルAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジ
グリシジルエーテル等のビスフェノール型のエポキシ樹
脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,
4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジ
(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペー
ト、テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)
ブタンテトラカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシ
シクロヘキシルメチル)−4,5−エポキシテトラヒド
ロフタレート等の脂環型エポキシ樹脂、ノボラック型エ
ポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ネ
オ酸グリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸やテト
ラヒドロフタル酸のジグリシジルエステル等のグリシジ
ルエステル型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールAや
水素化ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAの
アルキレンオキサンド付加アルコール類、ポリプロピレ
ングリコール類、ポリエチレングリコール類、1,6−
ヘキサンジオールやネオペンチルグリコール等の脂肪族
アルコール類等のアルコール類から得られるグリシジル
エーテル類等が例示される。
【0051】特に脂環型エポキシ樹脂を配合した場合に
は、光硬化性を向上することが可能で、更に粘度低下が
可能で塗装等の作業性を向上することが可能である。
【0052】脂環式エポキシ樹脂の配合量は0〜50重
量%で有ることが好ましい、50重量%以上配合すると
接着性、可撓性、耐衝撃性が低下し好ましくない。
【0053】本発明に使用される光カチオン重合開始剤
としては、従来公知の化合物が適用できる。例えば、芳
香族ピリジニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨ
ードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ベンジルスルフ
ォニウム塩、シンナミルスルフォニウム塩、芳香族セレ
ニウム塩及び有機金属系化合物等が挙げられ、それらの
対イオンにはPF6 -、AsF6 -、BF4 -等のアニオンが
用いられる。
【0054】より具体的には、特開平4−32757
4、特開平5−222112、特開平5−262813
等に見られるN−ベンジル−4−ベンゾイルピリジニウ
ムヘキサフルオロアンチモネート、N−シンナミル−2
−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、
N−(3−メチル−2−ブテニル)−2−シアノピリジ
ニウムヘキサフルオロホスフェート等のピリジニウム
塩、
【0055】p−クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフ
ルオロフォスフェート、p−メトキシベンゼンジアゾニ
ウムヘキサフルオロフォスフェート、2,5−ジエトキ
シ−4−トルイルチオベンゼンジアゾニウムヘキサフル
オロフォスフェート等の芳香族ジアゾニウム塩、
【0056】ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフ
ォスフェート、4,4−ジ−tert−ブチルフェニルヨー
ドニウムヘキサフルオロフォスフェート等のヨードニウ
ム塩、
【0057】トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロ
ホスフェート、ビス−[4−(ジフェニルスルフォニ
オ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロフォ
スフェート等の芳香族スルフォニウム塩、
【0058】特開平4−308563、特開平5−14
0209に例示されるα−フェニルベンジルメチルスル
フォニムヘキサヒドロフォスフェート、α−ナフチルメ
チルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネ
ート、α−ナフチルメチルテトラメチレンスルホニウム
ヘキサフルオロフォスフェート等のベンジルスルフォニ
ウム塩、
【0059】特開平5−140210に例示されるシン
ナミルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネ
ート、シンナミルテトラメチレンスルホニウムヘキサフ
ルオロアンチモネート等のシナミルスルホニウム塩、
【0060】トリフェニルセレニウムヘキサフルオロフ
ォスフェート等の芳香族セレニウム塩等が例示される。
【0061】有機金属化合物では、メタロセン化合物、
シラノール/アルミニウム錯体複合開始剤等が例示され
る。より具体的には、(η6−ベンゼン)(η5−シクロ
ペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロフォスフェ
ート、(η6−イソプロピルベンゼン)(η5−シクロペ
ンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロフォスフェー
ト、o−ニトロベンジルシリルエーテル或いはトリフェ
ニルシリリ−tert−ブチルペルオキシドとアルミニウム
錯体を組み合わせたものが例示される。このアルミニウ
ム錯体としては、トリス(エチルアセトアセタト)アル
ミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウ
ム、トリス(アセチルアセタト)アルミニウム、トリス
(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト)アル
ミニウム等が例示される。
【0062】特に推奨される光カチオン重合開始剤は、
ピリジニウム塩系、ベンジルスルフォニウム塩系、シン
ナミルスルフォニウム塩系であり、本エポキシ樹脂との
相溶性、本発明に係るエポキシ樹脂組成物を光硬化した
塗膜の耐熱着色安定性、耐候性に優れる。更に、上記ピ
リジニウム塩系開始剤と光照射により活性ラジカルを発
生する化合物とを併用することで光硬化性を高め、光照
射後の室温又は加熱時の暗反応を進めることができ、厚
膜硬化に推奨される。
【0063】上記、光照射により活性ラジカルを発生す
る化合物としては、メチルエチルケトンパーオキサイ
ド、シクロヘキサノンパーオキサイド、クメンヒドロパ
ーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ベンゾイル
パーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート等
のパーオキサイド化合物、アゾイソブチロニトリル等の
アゾ化合物、アジド化合物、ジスルフィド化合物等が例
示される。
【0064】光カチオン重合開始剤は、本エポキシ樹脂
100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、
好ましくは0.1〜6重量部程度配合される。0.01
重量部未満では光硬化性が低下し、10重量部を越えて
配合した場合には得られる硬化物の耐水性が低下するた
め、何れの場合も好ましくない。
【0065】スクリーン印刷、コーティング等の作業性
を重視する場合は、光硬化性樹脂組成物は低粘度である
ことが必要で、一般式(1)でnが0の本エポキシ樹脂
とピリジニウム塩系化合物、ベンジルスルフォニウム塩
系化合物及びシンナミルスルホニウム塩系化合物よりな
る群から選ばれる1種若しくは2種以上の光開始剤を含
有する光硬化性エポキシ樹脂組成物が推奨される。
【0066】本発明に係る光硬化性エポキシ樹脂組成物
には、カチオン重合が可能なモノマーとしてのビニルエ
ーテル類、環状エーテル類、環状エステル類、ビシクロ
オルソエステル類、スピロオルソカーボネート類や、本
エポキシ樹脂と共重合可能なポリオール類を配合するこ
とができる。
【0067】ビニルエーテル類としては、トリエチレン
グリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノ
ールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテ
ル、ドデシルビニルエーテル等が例示され、かかるビニ
ルエーテル類を配合することで、光硬化性を向上でき、
更に粘度を低下できることから作業性を向上することが
可能である。
【0068】当該ビニルエーテル類の配合量は、本エポ
キシ樹脂100重量部に対して0〜40重量部が好まし
く、40重量部以上配合する場合は耐熱着色性等が低下
し好ましくない。
【0069】環状エーテル類としては、3,3−ビスク
ロロメチルオキセタン、アルコキシオキセタン、テトラ
ヒドロフラン、ジオキソラン、トリオキサンが例示され
る。
【0070】環状エステル類としては、プロピオラクサ
ン、カプロラクトン等が例示される。
【0071】ビシクロオルソエステル類としては、1−
フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシク
ロ[2,2,2]オクタンが例示される。
【0072】スピロオルソカーボネート類としては、
1,5,7,11−テトラオキサスピロ[5,5]ウン
デカンが例示される。
【0073】ポリオール類としては、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,2−シクロヘキサンジメタノール及びそれら
のアルキレンオキサイド1〜50モル付加体、水素化ビ
スフェノールA、水素化ビスフェノールF及びそれらの
アルキレンオキサイド1〜50モル付加体等の脂環骨格
を有するジオール、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、ポリエチレグリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、2−n−ブチル−2−エ
チルプロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,
4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジ
オール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオー
ル、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチ
ル−1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ
ール等の脂肪族ジオール、トリメチロールプロパン、ト
リメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトール、ソルビット、キシリット
等の3官能以上の脂肪族ポリオール及びこれら脂肪族ポ
リオールのアルキレンオキサイド又はカプロラクトンの
1〜50モル付加体等が例示され、夫々単独で又は2種
以上を適宜組み合わせて使用することが可能である。
【0074】ここで、アルキレンオキサイドとは、エチ
レンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(P
O)及びこれらの共付加体の総称である。
【0075】更に、本発明に係る光硬化性エポキシ樹脂
組成物に対し、チオキサントン、2−クロロチオキサン
トン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4
−ジエチルチオキサントン、アントラセン、ベンゾフェ
ノン、アセトフェノン、ペリノン・ペリレン類、アクリ
ジンオレンジR、ベンゾフラビン等の光増感剤、トリエ
チルアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミ
ノエタノール、トリフェニルフォスフィン、β−チオジ
グリコール等の光増感促進剤、カチオン重合性熱重合開
始剤、充填剤、贈粘剤、可塑剤、紫外線吸収剤、抗酸化
剤、難燃剤、光安定剤、粘着付与剤、溶剤、体質顔料
(シリカ、タルク、硫酸バリウム等)、着色剤、チキソ
トロピー剤、レベリング剤、溶剤、消泡剤等を含有させ
ることは差し支えない。その適用量は、本発明の所定の
効果に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されるもので
はない。
【0076】本発明に係る光硬化性エポキシ樹脂組成物
は、その構成成分を従来公知の装置を用いて攪拌、混合
する事により調製され、暗所に保存される。
【0077】本発明に係る光硬化性エポキシ樹脂組成物
の硬化には、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンア
ーク、メタルハライドランプ、太陽光、電子線、レーザ
ー光等を照射源として使用することができる。
【0078】光照射により硬化させた後、更に、50〜
200℃で熱後硬化することも可能である。かかる操作
は、厚膜硬化や光未照射部分の硬化又は充填剤等を混合
した樹脂組成物を硬化するに際して有効である。
【0079】本発明に係る光硬化性エポキシ樹脂組成物
は、プラスチックや金属のツヤニス等のコーティング材
料、塗料、接着剤、印刷インキ、フォトレジスト、封止
剤、刷版剤等の光硬化性樹脂素材として有用である。
【0080】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。尚、下記の項目の内容は、夫々以下のとおりであ
る。
【0081】数平均分子量(Mn):ゲルパーミエイシ
ョンクロマトグラフィーにより求めた測定結果を解析
し、ポリスチレン換算により表わしたものである。
【0082】1分子当たりの平均官能基数:エポキシ樹
脂1分子あたりのエポキシ基数の平均値を表したもので
ある。(Mn/エポキシ当量)により算出した。
【0083】エポキシ基/水酸基当量比:本ポリオール
中の水酸基に対する本ジグリシジルエーテル中のエポキ
シ基の当量比を表す。
【0084】エピクロロヒドリン/水酸基当量比:本ポ
リオール中の水酸基に対するエピクロロヒドリンの当量
比を表す。
【0085】光硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化条件 所定のエポキシ樹脂100重量部に対し、光カチオン重
合開始剤を所定量溶解し、所定の試験板に70μmの膜
厚で塗布し、紫外線硬化用照射器(UE011-227-01、アイ
グラフィックス社製)を用い、高圧水銀ランプ(1kw/1
2.5cm)で、ベルトコンベアを用い15cmの照射距離
で、ベルトコンベアスピードを変えて1パスで指触乾燥
する条件で硬化する。その後、オーブンで100℃、1
時間後硬化して、耐候性、鉛筆硬度、付着性、耐屈曲
性、耐衝撃性等の塗膜物性を測定した。試験版として、
耐屈曲性には標準試験板(JIS G-3303(SPTE))を用い、
その他の試験には標準試験板(JIS G-3141(SPCC〜SB))
を用いた。
【0086】指触乾燥性 上記硬化条件で、1パスで指触乾燥する最少のベルトコ
ンベアスピードで示す。この時、70μm膜厚のフィル
ムが内部まで硬化していたら内部硬化性を○とし、表面
のみの硬化で内部は未硬化の時は内部硬化性を×で示し
た。
【0087】硬化物の耐候性 試験板上に作成した塗膜について、ウエザオメータCi
35(ATLAS社製)を用いキセノンバーナ(0.39w/m2(at
340nm))を使用して、ブラックパネル温度63℃、2
時間毎に18分間散水の条件下に300時間曝露したも
のの黄変色を目視で観察する。黄変の見られないものを
○で示し、黄変するものを×で示した。
【0088】鉛筆硬度 JIS K−5400に準じた。塗膜硬度を、鉛筆の芯
の硬さを変えて測定し、擦り傷を生じない最大の鉛筆の
芯の硬度で示した。
【0089】付着性(碁盤目テープ法) JIS K−5400に準じた。試験片上の塗膜を貫通
して、素地面に達する切り傷を碁盤目状(1×1mm角、
100個)につけ、この碁盤目の上に、粘着テープをは
り、剥した後の塗膜の付着状態を目視で観察した。1〜
10点で評価し、付着性がよい程点数が高い。
【0090】耐屈曲性 JIS K−5400に準じた。塗膜を外にし半径の異
なる丸棒を軸にして試験片を折り曲げ、この時に生じる
塗膜の上面と下面との伸び率の差による割れの抵抗性を
調べる。割れを生じない丸棒の最大半径で評価する。表
示した折り曲げ半径の小さい方が伸び率の差は大きく、
耐屈曲性は良好である。
【0091】耐衝撃性(衝撃変形試験) JIS K−5400に準じた。塗膜の表面に半径1/
8インチの球体が衝突し、衝撃的変形を生じた時の衝撃
抵抗性を、割れ、剥がれができるかどうかで調べる。質
量500gの落体の落下したとき割れ、剥がれが生じな
い最大距離により評価する。距離が長いほど耐衝撃性が
良好である。
【0092】製造例1 回転式攪拌装置、デカンタ、温度計を備えた反応器に水
素化ビスフェノールA(商品名「リカビノールHB」、
新日本理化社製)123g(0.50モル)及びキシレ
ン300gを仕込み、130℃で0.5時間溶解した。
100℃まで冷却後、塩化第二錫五水塩1.9gを仕込
み、エピクロロヒドリン110g(1.20モル)を1
00℃で1時間かけて滴下し、100℃で1時間熟成し
て付加反応を終了した。次いで、塩化ベンジルトリメチ
ルアンモニウム1.9gを添加し、50%水酸化ナトリ
ウム水溶液142gを80℃で0.5時間かけて添加し
た後、80℃で5時間熟成して閉環反応を終了した。次
いで、副生した塩化ナトリウム及び未反応の水酸化ナト
リウムを水洗により除去した後、水及びキシレンを留去
した。その結果、Mn414、エポキシ当量212、1
分子当たりの平均官能基数2.0のエポキシ樹脂(エポ
キシ樹脂A)を得た。このときのエポキシ基/水酸基当
量比は0、エピクロロヒドリン/水酸基当量比は1.2
である。
【0093】製造例2 製造例1と同様の反応器に「リカビノールHB」123
g(0.50モル)及びキシレン300gを仕込み、1
30℃で0.5時間溶解した。100℃まで冷却後、塩
化第二錫五水塩1.9gを仕込み、エピクロロヒドリン
55g(0.60モル)を100℃で0.5時間かけて
滴下し、100℃で1時間熟成した。次いで、水素化ビ
スフェノールAのジグリシジルエーテル(商品名「リカ
レジンHBE−100」、新日本理化社製)23g
(0.055モル)を100℃で0.5時間かけて仕込
み、100℃で1.5時間反応し、更にエピクロロヒド
リン55g(0.60モル)を100℃で0.5時間か
けて滴下し、100℃で1時間熟成して付加反応を終了
した。次いで、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム
1.9gを添加し、50%水酸化ナトリウム水溶液14
2gを80℃で0.5時間かけて添加した後、80℃で
5時間熟成して閉環反応を終了した。次いで、副生した
塩化ナトリウム及び未反応の水酸化ナトリウムを水洗に
より除去した後、水及びキシレンを留去した。その結
果、Mn542、エポキシ当量247、1分子当たりの
平均官能基数2.2のエポキシ樹脂(エポキシ樹脂B)
を得た。このときのエポキシ基/水酸基当量比は0.1
1、エピクロロヒドリン/水酸基当量比は1.2であ
る。
【0094】製造例3 製造例1と同様の反応器に「リカビノールHB」123
g(0.50モル)及びキシレン300gを仕込み、1
30℃で0.5時間溶解した。100℃まで冷却後、塩
化第二錫五水塩1.9gを仕込み、エピクロロヒドリン
55g(0.60モル)を100℃で0.5時間かけて
滴下し、100℃で1時間熟成した。次いで、「リカレ
ジンHBE−100」85g(0.20モル)を100
℃で0.5時間かけて仕込み、100℃で1.5時間反
応し、更にエピクロロヒドリン55g(0.60モル)
を100℃で0.5時間かけて滴下し、100℃で1時
間熟成して付加反応を終了した。次いで、塩化ベンジル
トリメチルアンモニウム1.9gを添加し、50%水酸
化ナトリウム水溶液142gを80℃で0.5時間かけ
て添加した後、80℃で5時間熟成して閉環反応を終了
した。次いで、副生した塩化ナトリウム及び未反応の水
酸化ナトリウムを水洗により除去した後、水及びキシレ
ンを留去した。その結果、Mn1010、エポキシ当量
302、1分子あたりの平均官能基数3.3のエポキシ
樹脂(エポキシ樹脂C)を得た。このときのエポキシ基
/水酸基当量比は0.40、エピクロロヒドリン/水酸
基当量比は1.2である。
【0095】製造例4 製造例1と同様の反応器に1,4−シクロヘキサンジメ
タノール(商品名「リカビノールDM」、新日本理化社
製)72g(0.50モル)、キシレン400g、塩化
第二錫五水塩1.7gを仕込み、80℃で0.5時間溶
解した。30℃まで冷却後、「リカレジンHBE−10
0」160g(0.38モル)を仕込み攪拌しつつ昇温
して、100℃で2時間反応し、次にエピクロロヒドリ
ン55g(0.60モル)を100℃で0.5時間かけ
て滴下し、更に100℃で1時間熟成して付加反応を終
了した。次いで80℃まで冷却後、塩化ベンジルトリメ
チルアンモニウム0.9gを添加し、固体の水酸化ナト
リウム24gを80℃で0.5時間かけて添加した後、
80℃で2時間熟成して閉環反応を終了した。次いで、
副生した塩化ナトリウム及び未反応の水酸化ナトリウム
を濾過及び水洗により除去した後、水及びキシレンを留
去した。その結果、Mn1910、エポキシ当量47
6、1分子当たりの平均官能基数4.0のエポキシ樹脂
(エポキシ樹脂D)を得た。このときのエポキシ基/水
酸基当量比は0.75、エピクロロヒドリン/水酸基当
量比は0.60である。
【0096】実施例1 エポキシ樹脂A100重量部に光カチオン重合開始剤と
して「CIT1682」(商品名、日本曹達社製、以下
「光開始剤A」と略記する。)2重量部を溶解して光硬
化性エポキシ樹脂組成物を作成した。溶解性は良好であ
った。光硬化性エポキシ樹脂組成物の指触乾燥性を所定
の方法で測定した。更に、指触乾燥後、所定の条件で熱
後硬化した硬化塗膜の耐候性、鉛筆硬度、付着性、耐屈
曲性、耐衝撃性を測定した。得られた結果を表1に示
す。
【0097】実施例2〜4 エポキシ樹脂Aを所定のエポキシ樹脂に変えた以外は実
施例1と同様にして、光硬化性エポキシ樹脂組成物を作
成した。いずれの樹脂組成物においても、その溶解性は
良好であった。又、実施例1と同様に光硬化性エポキシ
樹脂組成物の指触乾燥性、耐候性、鉛筆硬度、付着性、
耐屈曲性、耐衝撃性を測定した。得られた結果を表1に
示す。
【0098】実施例5 エポキシ樹脂B100重量部に光カチオン重合開始剤と
してトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフ
ェート(50%プロピレンカーボネート溶液、以下「光
開始剤B」と略記する。)2重量部を溶解して、光硬化
性エポキシ樹脂組成物を作成した。このものの溶解性は
やや悪く微濁状態であった。又、実施例1と同様に光硬
化性エポキシ樹脂組成物の指触乾燥性、耐候性、鉛筆硬
度、付着性、耐屈曲性、耐衝撃性を測定した。得られた
結果を表1に示す。
【0099】実施例6 エポキシ樹脂Aをエポキシ樹脂A85重量部、3,4−
エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ
シクロヘキサンカルボキシレート(以下「エポキシ樹脂
E」と略記する。)15重量部の混合物に変えた以外は
実施例1と同様に、光硬化性エポキシ樹脂組成物を作成
した。このものの溶解性は良好であった。又、実施例1
と同様に光硬化性エポキシ樹脂組成物の指触乾燥性、耐
候性、鉛筆硬度、付着性、耐屈曲性、耐衝撃性を測定し
た。得られた結果を表1に示す。
【0100】実施例7 エポキシ樹脂Aをエポキシ樹脂Bに変えた以外は実施例
6と同様にして光硬化性エポキシ樹脂組成物を作成し
た。このものの溶解性は良好であった。又、実施例1と
同様に光硬化性エポキシ樹脂組成物の指触乾燥性、耐候
性、鉛筆硬度、付着性、耐屈曲性、耐衝撃性を測定し
た。得られた結果を表1に示す。
【0101】実施例8 エポキシ樹脂Aをエポキシ樹脂A85重量部、1,4−
シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(以下
「CHDV」と略記する。)15重量部の混合物に変え
た以外は実施例1と同様にして光硬化性エポキシ樹脂組
成物を作成した。このものの溶解性は良好であった。
又、実施例1と同様に光硬化性エポキシ樹脂組成物の指
触乾燥性、耐候性、鉛筆硬度、付着性、耐屈曲性、耐衝
撃性を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0102】比較例1 エポキシ樹脂AをビスフェノールAジグリシジルエーテ
ル(以下「エポキシ樹脂F」と略記する。)に変えた以
外は実施例1と同様にして光硬化性エポキシ樹脂組成物
を作成した。このものの溶解性は良好であった。又、実
施例1と同様に光硬化性エポキシ樹脂組成物の指触乾燥
性、耐候性、鉛筆硬度、付着性、耐屈曲性、耐衝撃性を
測定した。得られた結果を表1に示す。
【0103】比較例2 エポキシ樹脂Aをエポキシ樹脂Eに変えた以外は実施例
1と同様にして光硬化性エポキシ樹脂組成物を作成し
た。このものの溶解性は良好であった。又、実施例1と
同様に光硬化性エポキシ樹脂組成物の指触乾燥性、耐候
性、鉛筆硬度、付着性、耐屈曲性、耐衝撃性を測定し
た。得られた結果を表1に示す。
【0104】
【0105】
【発明の効果】本発明に係る光硬化性エポキシ樹脂組成
物は、耐候性に優れ、光硬化速度が速く、厚膜の均一硬
化が可能であり、酸素による表面の硬化性阻害がなく、
接着性、可撓性、耐衝撃性等の塗膜物性に優れ、毒性、
皮膚刺激性の低く、プラスチックや金属のツヤニス等の
コーティング材料、塗料、接着剤、印刷インキ、フォト
レジスト、封止剤、刷版剤等に有用な光硬化性樹脂組成
物を提供できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂環骨格を有し、且つ2個以上のグリシ
    ジルエーテル基を有する一般式(1)で表される1種若
    しくは2種以上のエポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤
    とを含有することを特徴とする光硬化性エポキシ樹脂組
    成物。 [式中、R1は一般式(2)で表される1種若しくは2
    種以上のエーテル結合を有していても良いアルキレン基
    を表す。R2は水素原子又は一般式(3)で表される置
    換基を表す。nは0〜50の整数を表す。] [式中、R3はシクロアルキレン基を1個以上有し、且
    つ分岐を有していても良い炭素数6〜30のアルキレン
    基を表す。OAは炭素数2〜3のオキシアルキレン基を
    表す。aは0又は1を表す。bは0又は1〜25の整数
    を表す。cは2〜6の整数を表す。b×cは0〜50の
    整数を表す。] [式中、R1、R2は一般式(1)において記載したとお
    りである。mは0〜20の整数を表す。]
  2. 【請求項2】 エポキシ樹脂が、一般式(1)における
    nが1〜50であるエポキシ樹脂又はnが0であるエポ
    キシ樹脂とnが1〜50であるエポキシ樹脂との混合物
    である請求項1に記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 エポキシ樹脂が一般式(1)におけるn
    が0であるエポキシ樹脂であって、光カチオン重合開始
    剤がピリジニウム塩系化合物、ベンジルスルフォニウム
    塩系化合物及びシンナミルスルフォニウム塩系化合物よ
    りなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の化合物で
    ある請求項1に記載の光硬化性エポキシ樹脂組成物。
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PCT/JP1995/000239 WO1995023174A1 (fr) 1994-02-24 1995-02-20 Resine epoxy, procede de production correspondant, composition de resine photodurcissable et composition pour poudrage a la resine a base toutes les deux de ladite resine
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