JPH08134152A - カチオン変性ポリエステル系樹脂 - Google Patents

カチオン変性ポリエステル系樹脂

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JPH08134152A
JPH08134152A JP27382594A JP27382594A JPH08134152A JP H08134152 A JPH08134152 A JP H08134152A JP 27382594 A JP27382594 A JP 27382594A JP 27382594 A JP27382594 A JP 27382594A JP H08134152 A JPH08134152 A JP H08134152A
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polyester
resin
acid
ion
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JP27382594A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Shimizu
敏之 清水
Masaya Higashiura
真哉 東浦
Masakatsu Oguchi
正勝 大口
Minoru Wada
實 和田
Chikao Morishige
地加男 森重
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明性、密着性、力学物性、他の樹脂との相
溶剤に優れたカチオン変性ポリエステル系樹脂を提供す
る。 【構成】 主鎖が全カルボン酸成分のうち芳香族ジカル
ボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸を60モル%以上
含むポリエステルまたはポリエステルポリウレタンであ
り、側鎖が一般式(1)で表される官能基を有するラジ
カル重合性単量体の重合体であり、一般式(1)の官能
基の含有量が全樹脂中に100 〜5000当量/106gであるカ
チオン変性ポリエステル系樹脂。 一般式(1):>N+ <・X- (X- は、ハロゲンイオ
ン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、カルボン
酸イオン、スルホン酸イオン)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種基材に塗布した場
合、透明性及び密着性、塗膜の力学物性、他の樹脂との
相溶性に優れたカチオン変性ポリエステル系樹脂に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、フィルム、繊維などに帯電防
止性を付与するために、あるいは、抗菌性を付与するた
めに、基材表面に4級アミノ基、ホスホニウム基などの
カチオン性官能基を有する樹脂層を設けることが効果的
であることが知られている。これらのカチオン性ポリマ
ーに関し、特公平5−25268号、特公平5−612
90号、特公平5−62602号、特公平5−6497
0号、特開平5−125301号、特開平5−1791
55号、特開平5−193074号、特開平5−194
671号など、各種の技術が公開されている。 しかし
ながら、これらの樹脂を用いて樹脂層を形成させた場合
は、塗膜としての強度が不足することからキズが入りや
すく、また、各種プラスティック基材への密着性が不足
するなどの問題がある。これらの問題点を解決するため
に、カチオン性ポリマーにその他の樹脂や架橋剤を混合
して使用することが試みられているが、その場合におい
ては、カチオン性ポリマーとその他の樹脂(アクリル系
樹脂、ポリエステル系樹脂など)や架橋剤との相溶性が
低く、少量のカチオン性ポリマーの添加により、塗膜層
が白濁し、塗膜中に必要とするカチオン性官能基濃度を
十分高めることができない。
【0003】このようなカチオン性官能基濃度と塗膜の
透明性を両立することは困難であるが、これらの問題を
解決するための先行技術として以下の2件の特許が知ら
れている。即ち、特公昭60-11068号及び特公昭60-17388
号では、不飽和ポリエステル樹脂を3級アミノ基含有ラ
ジカル重合性単量体などで変性した電着塗料用の水系熱
硬化性樹脂塗料組成物に関して開示されている。これら
の特許では、意図しているものは低分子量の不飽和アル
キド樹脂であり、硬化剤を配合しない場合で使用する場
合、塗膜の力学物性、加工性が不十分であるとともに、
導入される3級アミノ基は、4級アミノ基と比較すると
そのカチオン性が弱く、帯電防止剤、抗菌剤などへの使
用は不可である。更に、全グラフト体中において不飽和
ポリエステル樹脂を40重量%以下しか用いないため、P
ETなど各種基材への密着性は満足できるレベルにな
い。また、特開平5-25268 号では、主鎖に4級アンモニ
ウム塩基を含有するグラフト体からなる熱可塑性樹脂用
帯電防止剤に関して開示されているが、ここでのグラフ
ト体は主鎖、側鎖共にビニル系単量体から構成されてい
る。そのため、PETなどの各種基材への密着性は全く
ないに等しく、また、PET、PBT、芳香族ポリアミ
ドなどのアクリル系樹脂以外の樹脂への添加の場合は、
相溶性が低いことを原因とする透明性低下などの各種ト
ラブルが発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上述した
従来技術の問題点を解決するものであり、カチオン性官
能基濃度、塗膜物性及び塗膜の透明性のすべてを満足さ
せるカチオン性ポリマーを鋭意追求し、本発明を完成し
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、以下の要
件を満たすカチオン変性ポリエステル系樹脂に関するも
のである。主鎖が全カルボン酸成分のうちの芳香族ジカ
ルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸を60モル%以上
含むポリエステルまたはポリエステルポリウレタンであ
り、側鎖が一般式(1)で表される官能基を有する、ラ
ジカル重合性単量体の重合体であり、一般式(1)の官
能基の全樹脂中の含有量が100 〜5000当量/106g である
カチオン変性ポリエステル系樹脂。 一般式(1):>N+ <・X- (X- は、ハロゲンイ
オン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、カルボ
ン酸イオン、スルホン酸イオン)
【0006】本発明におけるポリエステル系樹脂とは、
ポリエステルおよび該ポリエステルをウレタン化したポ
リエステルポリウレタンを意味する。 (ポリエステル樹脂)本発明におけるポリエステル樹脂
とは、分子量3000〜100000であり、その好ま
しい組成は、ジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸及
び/又は脂環族ジカルボン酸60〜99.5モル%、脂
肪族ジカルボン酸0〜40モル%、重合性不飽和二重結
合を含有するジカルボン酸0.5〜20モル%からな
り、芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフ
タル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビ
フェニルジカルボン酸等を挙げることができ、脂環族ジ
カルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−
シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物等を挙げる
ことができる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸、ダイマー酸等を挙げることができる。
【0007】重合性不飽和二重結合を含有するジカルボ
ン酸としては、α、β−不飽和ジカルボン酸類としてフ
マル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シ
トラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボ
ン酸として2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、
テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。こ
の内最も好ましいものはフマル酸、マレイン酸、イタコ
ン酸および2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物で
ある。
【0008】さらにp−ヒドロキシ安息香酸、p−(2
−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、あるいはヒドロキシ
ピバリン酸、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン
等のヒドロキシカルボン酸類も必要により使用できる。
【0009】一方、グリコ−ル成分は炭素数2〜10の
脂肪族グリコ−ルおよびまたは炭素数が6〜12の脂環
族グリコ−ルおよびまたはエ−テル結合含有グリコ−ル
よりなり、炭素数2〜10の脂肪族グリコ−ルとして
は、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−
ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−
ル、1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−
ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、3−メチル−1,5−
ペンタンジオ−ル、1,9−ノナンジオ−ル、2−エチ
ル−2−ブチルプロパンジオール、ヒドロキシピバリン
酸ネオペンチルグリコールエステル、ジメチロールヘプ
タン等を挙げることができ、炭素数6〜12の脂環族グ
リコ−ルとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノ−
ル、トリシクロデカンジメチロール等を挙げることがで
きる。
【0010】エ−テル結合含有グリコ−ルとしては、ジ
エチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ジプロ
ピレングリコ−ル、さらにビスフェノ−ル類の2つのフ
ェノ−ル性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレン
オキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリ
コ−ル類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキ
シフェニル)プロパンなどを挙げることが出来る。ポリ
エチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリ
テトラメチレングリコ−ルも必要により使用しうる。
【0011】本発明で使用されるポリエステル樹脂は、
ジカルボン酸成分が芳香族および脂環族ジカルボン酸6
0〜99.5モル%、望ましくは70〜99モル%、脂
肪族ジカルボン酸が0〜40モル%であるが望ましくは
0〜30モル%である。芳香族または脂環族ジカルボン
酸が60モル%未満でである場合、塗膜の力学物性が劣
る。また脂肪族ジカルボン酸が40モル%を超えると硬
度、耐汚染性などが低下するのみならず、脂肪族エステ
ル結合が芳香族エステル結合に比して耐加水分解性が低
いために保存する期間にポリエステルの重合度を低下さ
せてしまうなどのトラブルを招くことがある。
【0012】重合性不飽和二重結合を含有するジカルボ
ン酸は0.5〜20モル%であるが、望ましくは1〜1
2モル%であり、更に望ましくは1〜9モル%である。
重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が0.5
モル%未満の場合、ポリエステル樹脂に対する不飽和単
量体組成物の有効なグラフト化が行なわれず、不飽和単
量体組成物からのみなる単独重合体が主として生成さ
れ、目的の変性樹脂を得ることができない。
【0013】重合性不飽和二重結合を含有するジカルボ
ン酸が20モル%以上の場合、各種物性の低下が大きい
ので望ましくない。重合性不飽和二重結合を含有するグ
リコールとしては、グリセリンモノアリルエーテル、ト
リメチロールプロパンモノアリルエーテル、ペンタエリ
スリトールモノアリルエーテル、等を挙げることができ
る。
【0014】重合性不飽和二重結合を含有するグリコー
ルは0.5〜20モル%であるが、望ましくは1〜12
モル%であり、更に望ましくは1〜9モル%である。重
合性不飽和二重結合を含有するグリコールが0.5モル
%未満の場合、ポリエステル樹脂に対するラジカル重合
性単量体組成物の有効なグラフト化が行なわれず、ラジ
カル重合性単量体組成物からのみなる単独重合体が主と
して生成され、目的の変性樹脂を得ることができない。
重合性不飽和二重結合を含有するグリコールが20モル
%以上の場合、各種物性の低下が大きいので望ましくな
い。
【0015】本発明で使用されるポリエステル樹脂中に
0〜5モル%の3官能以上のポリカルボン酸および/又
はポリオ−ルが共重合されるが3官能以上のポリカルボ
ン酸としては(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメ
リット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、
トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒドロト
リメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリ
メリテート)等が使用される。一方3官能以上のポリオ
−ルとしてはグリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリ
メチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル等が使用さ
れる。3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリ
オ−ルは、全酸成分あるいは全グリコ−ル成分に対し0
〜5モル%望ましくは、0.5〜3モル%の範囲で共重
合されるが、5モル%を越えると充分な加工性が付与で
きなくなる。
【0016】本発明で使用されるポリエステル樹脂は望
ましくは重量平均分子量が3000〜100000の範
囲であり、より望ましくは重量平均分子量が7000〜
70000の範囲であり、更に望ましくは10000〜
50000の範囲である。重量平均分子量が3000以
下であると各種物性が低下し、また、重量平均分子量が
100000以上であるとグラフト化反応の実施中、高
粘度化し、反応の均一な進行が妨げられる。
【0017】(ポリエステルポリウレタン樹脂)本発明
におけるポリエステルポリウレタン樹脂は、ポリエステ
ルポリオール(a) 、有機ジイソシアネート化合物(b) 、
及び必要に応じて活性水素基を有する鎖延長剤(c) より
構成され、分子量は5000〜100000、ウレタン
結合含有量は500〜4000当量/106 g、重合性
二重結合含有量は鎖一本当たり平均 1.5〜30個である。
本発明で使用するポリエステルポリオール(a) はジカル
ボン酸成分及びグリコール成分成分として既にポリエス
テル樹脂の項で例示した化合物を用いて製造され、両末
端基が水酸基であり分子量が500〜10000である
ものが望ましい。ポリエステル樹脂の場合と同様に、本
発明で使用されるポリエステルポリオールはジカルボン
酸成分が少なくとも60モル%以上、望ましくは70モ
ル%以上が芳香族及び脂環族ジカルボン酸よりなること
が必要である。
【0018】一般のポリウレタン樹脂に広く用いられる
脂肪族ポリエステルポリオール、例えばエチレングリコ
ールやネオペンチルグリコールのアジペートを用いたポ
リウレタン樹脂は耐水性能が極めて低い。一例として、
70℃温水浸せき20日経過後の還元粘度保持率は20
〜30%と低く、これに対して同じグリコールのテレフ
タレート、イソフタレートをポリエステルポリオールと
する樹脂では同一条件の還元粘度保持率は80〜90%
と高い。従って、塗膜の高い耐水性能のためには芳香族
ジカルボン酸を主体とするポリエステルポリオールの使
用が必要である。また、ポリエーテルポリオール、ポリ
カーボネートジオール、ポリオレフィンポリオールなど
も必要に応じて、これらポリエステルポリオールと共に
使用することができる。
【0019】本発明で用いる有機ジイソシアネート化合
物(b) としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テ
トラメチレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ
−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、p−キシ
リレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネ
ート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサ
ン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキサン、
4,4’−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イ
ソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシ
アネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フ
ェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシ
アネート、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−
ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−
4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−
ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−ナフタ
レンジイソシアネート等が挙げられる。
【0020】本発明において、必要に応じて使用する活
性水素基を有する鎖延長剤(c) としては、例えば、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチル
グリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオ
ール、ジエチレングリコール、スピログリコール、ポリ
エチレングリコールなどのグリコール類、ヘキサメチレ
ンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミンなどのアミン類が挙げられる。
【0021】本発明に用いるポリエステルポリウレタン
樹脂は、ポリエステルポリオール(a) 、有機ジイソシア
ネート(b) 、及び必要に応じて活性水素基を有する鎖延
長剤(c) とを、(a)+(c) の活性水素基/イソシアネート
基の比で0.4 〜1.3 (当量比)の配合比で反応させて得
られるポリウレタン樹脂であることが必要である。(a)+
(c) の活性水素基/イソシアネート基の比がこの範囲外
であるとき、ウレタン樹脂は充分高分子量化することが
出来ず、所望の塗膜物性を得ることが出来ない。本発明
で使用するポリエステルポリウレタン樹脂は、公知の方
法、溶剤中で20〜150℃の反応温度で触媒の存在下
あるいは無触媒で製造される。この際に使用する溶剤と
しては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、
キシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチ
ルなどのエステル類が使用できる。反応を促進するため
の触媒としては、アミン類、有機錫化合物等が使用され
る。
【0022】本発明で使用するポリエステルポリウレタ
ン樹脂はラジカル重合性単量体によるグラフト化反応の
効率を高めるために重合性二重結合をウレタン鎖一本当
たり平均1.5 〜30個、望ましくは2〜20個、更に望まし
くは3〜15個含有していることが必要である。この重合
性二重結合の導入については、下記の3つの方法があ
り、 1)ポリエステルポリオール中にフマル酸、イタコン
酸、ノルボルネンジカルボン酸などの不飽和ジカルボン
酸を含有せしめる。 2)ポリエステルポリオール中に、アリルエーテル基含
有グリコールを含有せしめる。 3)鎖延長剤として、アリルエーテル基含有グリコール
を用いる。これらの単独または組み合わせにおいて実施
可能である。
【0023】(ラジカル重合性単量体)本発明において
使用されるラジカル重合性単量体としては、4級アミノ
基を有するラジカル重合性単量体及び/またはグラフト
重合を行った後に4級アミノ基に変換できる反応性官能
基を有するラジカル重合性単量体を必須とし、それらに
対して各種のラジカル重合性単量体を共重合させること
が可能である。4級アミノ基を有するラジカル重合性単
量体として、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメ
チルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオ
キシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メ
タ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム
サルフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ
エチルアンモニウムサルフェート、(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルトリメチルアンモニウムホスフェート、
(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニ
ウムホスフェートなどが挙げられる。また、グラフト重
合を行った後に4級アミノ基に変換できる反応性官能基
を持つラジカル重合性単量体として、1級、2級および
3級アミノ基を有するラジカル重合性単量体、不飽和結
合を有するアルキル化剤、が挙げられ、この例として、
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチ
ルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの窒素原子
含有モノマーが挙げられ、この例として、クロロメチル
スチレン、モノクロロ酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0024】本発明においては、上記のラジカル重合性
単量体の1種以上を選択して使用できる。4級アミノ基
を有するラジカル重合性単量体は、一般に水にしか溶け
ず、疎水性樹脂に対して均一系においてグラフト化を行
う場合、反応溶媒の選定が困難になるため、グラフト重
合を行った後に4級アミノ基に変換するのが好ましい。
但し、4級アミノ基を有するラジカル重合性単量体を使
用する場合も溶剤や乳化剤の選定によりグラフト重合が
可能である。1級、2級および3級アミノ基含有ラジカ
ル重合性単量体を使用する場合、グラフト重合後に、各
種アルキル化剤によりアミノ基を4級アミノ基に変換で
きる。また、クロロメチルスチレンなどの不飽和結合を
有するアルキル化剤を使用する場合には、アンモニア、
ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、
トリエタノールアミン、トリブチルアミン、トリエチレ
ンジアミン、N-エチルモルホリンなど1級、2級、3級
のアミンを反応させることで4級アミノ基を導入できる
が、好ましくはトリエチルアミン、N-エチルモルホリ
ン、トリエチレンジアミンなどの3級アミンである。
【0025】上記のラジカル重合性単量体と共重合でき
る単量体として、例えば、アクリル酸、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのアクリル酸
エステル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸エステ
ル、スチレン、酢酸ビニルなどのビニル化合物、フマル
酸、フマル酸ジブチルなどのフマル酸ジ(またはモノ)
エステル、マレイン酸及びその無水物、マレイン酸ジブ
チルなどのマレイン酸ジ(またはモノ)エステル、マレ
イミド類、イタコン酸、イタコン酸ジ(またはモノ)エ
ステル、アリルアルコールなどのアリル化合物など、こ
れらの中から1種以上を選択して使用できる。これによ
り、側鎖のTgや主鎖との相溶性を調節し、また、任意の
官能基を導入することができる。
【0026】また、導入される4級アミノ基量はカチオ
ン変性ポリエステル樹脂中に100 〜5000当量/106g であ
り、望ましくは300 〜4000当量/106g 、更に望ましくは
500〜3000当量/106g である。4級アミノ基量が100 当
量/106g 以下の場合、帯電防止性、抗菌性などが十分で
なく、5000当量/106g 以上の場合、各種基材への密着
性、力学物性、他の樹脂との相溶性が低下する。
【0027】(グラフト化反応)本発明におけるグラフ
ト重合体は、前記ベース樹脂中の重合性不飽和二重結合
に、ラジカル重合性単量体をグラフト重合させることに
より得られる。本発明においてグラフト重合反応は、重
合性二重結合を含有するベース樹脂を有機溶剤中に溶解
させた状態において、ラジカル開始剤およびラジカル重
合性単量体混合物を反応せしめることにより実施され
る。グラフト化反応終了后の反応生成物は、グラフト重
合体の他にグラフトを受けなかったベース樹脂およびベ
ース樹脂とグラフト化しなかった単独重合体より成るの
が通常である。一般に、反応生成物中のグラフト重合体
比率が低く、非グラフトベース樹脂及び非グラフト単独
重合体の比率が高い場合は、変性による効果が低く、そ
ればかりが、非グラフト単独重合体により塗膜が白化す
るなどの悪影響が観察される。従ってグラフト重合体生
成比率の高い反応条件を選択することが重要である。
【0028】ベース樹脂に対するラジカル重合性単量体
のグラフト化反応の実施に際しては、溶媒に加温下溶解
されているベース樹脂に対し、ラジカル重合性単量体混
合物とラジカル開始剤を一時に添加して行なってもよい
し、別々に一定時間を要して滴下した後、更に一定時間
撹拌下に加温を継続して反応を進行せしめてもよい。ま
た、ベース樹脂の重合性二重結合のe値との差の小さい
ラジカル重合性単量体を先に一時的に添加しておいてか
らベース樹脂の重合性二重結合のe値との差の大きなラ
ジカル重合性単量体、開始剤を一定時間を要して滴下し
た後、更に一定時間撹拌下に加温して反応を進行させる
ことは本発明の望ましい実施様式の一つである。
【0029】反応に先立って、ベース樹脂と溶剤を反応
機に投入し、撹拌下に昇温して樹脂を溶解させる。ベー
ス樹脂と溶媒の重量比率は70/30 〜30/70 の範囲である
ことが望ましい。この場合、重量比率はベース樹脂とラ
ジカル重合性単量体の反応性や溶剤溶解性を考慮して、
重合工程中、均一に反応が行える重量比率に調節され
る。グラフト化反応温度は50〜120℃の範囲にある
ことが望ましい。
【0030】本発明の目的に適合する望ましいベース樹
脂とラジカル重合性単量体(グラフト鎖)の重量比率は
ベース樹脂部/グラフト鎖部で45/55〜99/1の
範囲であり、最も望ましくは50/50〜95/5の範
囲である。ベース樹脂の重量比率が45重量%以下であ
るとき、既に説明したベース樹脂の優れた性能、即ち、
高い加工性、優れた耐水性、各種基材への密着性を充分
に発揮することが出来ない。ベース樹脂の重量比率が9
9重量%以上であるときは、グラフト生成物中のグラフ
トされていないベース樹脂の割合がほとんどになり、変
性の効果が低く好ましくない。
【0031】本発明におけるグラフト鎖部分の重量平均
分子量は1000〜30000 である。ラジカル反応によるグラ
フト重合を行なう場合、グラフト鎖部分の重量平均分子
量を1000以下にコントロールすることは一般に困難であ
り、グラフト効率が低下し、ベース樹脂への官能基の付
与が十分に行なわれないため好ましくない。また、グラ
フト鎖部分の重量平均分子量を30000 以上にした場合、
重合反応時の粘度上昇が大きく、目的とする均一な系で
の重合反応が行えない。ここで説明した分子量のコント
ロールは開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応
溶媒、モノマー組成あるいは必要に応じて連鎖移動剤や
重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行なうことが
出来る。
【0032】(ラジカル開始剤)本発明で使用されるラ
ジカル重合開始剤としては、良く知られた有機過酸化物
類や有機アゾ化合物類を利用しうる。すなわち有機過酸
化物としてベンゾイルパ−オキサイド、t−ブチルパ−
オキシピバレ−ト、有機アゾ化合物として2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)などを例示することが出
来る。
【0033】ラジカル開始剤化合物の選定については、
その化合物の反応実施温度におけるラジカル生成速度す
なわち半減期(Half−life)を考慮して行なわ
れる必要がある。一般に、その温度における半減期の値
が1分ないし2時間の範囲にあるようなラジカル開始剤
を選定することが望ましい。グラフト化反応を行うため
のラジカル開始剤の使用量は、ラジカル重合性単量体に
対して少なくとも0.2 重量%以上が必要であり、望まし
くは、0.5 重量%以上使用されることが必要である。
【0034】連鎖移動剤、例えば、オクチルメルカプタ
ン、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、α
−メチルスチレンダイマーの添加も、グラフト鎖長調整
のため、必要に応じて使用される。その場合、ラジカル
重合性単量体に対して0〜20重量%の範囲で添加される
のが望ましい。
【0035】(反応溶媒)反応溶媒として、例えば、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香
族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類
といった汎用の溶媒が利用できる。しかし、グラフト化
反応に用いられる反応溶媒の選択はきわめて重要であ
る。望ましい反応溶媒として具備すべき条件は、1)溶
解性、2)ラジカル重合溶媒としての適性、3)溶媒の
沸点、4)溶媒の水への溶解性、である。1)につい
て、ベース樹脂を溶解または分散し、同時にラジカル重
合性単体混合物から成るグラフト重合体の枝部分および
非グラフト単独重合体を可及的に良く溶解することが重
要である。2)について、溶媒自体がラジカル開始剤を
分解せしめたり(誘発分解)、或は特定の有機過酸化物
と特定のケトン類溶媒の間で報告されているような爆発
性危険を招く組み合せでないこと、更にラジカル重合の
反応溶媒として適当に小さい連鎖移動定数を有すること
が重要である。3)について、ラジカル重合性単量体の
ラジカル付加反応は一般に発熱反応であるから、反応温
度を一定に保つためには溶媒の還流条件下で行なわれる
ことが望ましい。4)についてはグラフト化反応それ自
体には必ずしも本質的要件とは言えないが、変性により
ベース樹脂に親水性官能基を導入し、その変性樹脂を水
分散化させることを目的とする場合、工業的実施の観点
より望ましいのは1)〜3)の要件下に選定された溶媒
が水に自由に混合しうる有機溶媒であるか、水と該有機
溶媒間の相互溶解性が高いことである。この第4番目の
要件が満たされるとき、溶媒を含んだままのグラフト化
反応生成物に加熱状態のまま、直接、塩基性化合物によ
る中和後に水を添加することにより水分散体を形成せし
めうる。更に望ましいのは自由に混合しうるか或は相互
溶解性の高い有機溶剤の沸点が水の沸点より低い場合で
ある。その場合は上記によって形成された水分散体中よ
り簡単な蒸留によって有機溶剤を系外に取り除くことが
出来る。
【0036】本発明の実施のためのグラフト化反応溶媒
は単一溶媒、混合溶媒のいずれでも用いることが出来
る。沸点が250℃を越えるものは、余りに蒸発速度が
遅く、塗膜の高温焼付によっても充分に取り除くことが
出来ないので不適当である。また沸点が50℃以下で
は、それを溶媒としてグラフト化反応を実施する場合、
50℃以下の温度でラジカルに解裂する開始剤を用いね
ばならないので取扱上の危険が増大し、好ましくない。
【0037】生成するグラフト生成物を水に分散させる
ことを目的とする場合にグラフト反応に利用できる反応
溶媒は、ベース樹脂を溶解もしくは分散せしめ、かつラ
ジカル重合性単量体混合物およびその重合体を比較的良
く溶解する望ましい溶媒として、ケトン類、例えばメチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキ
サノン、環状エ−テル類、例えばテトラヒドロフラン、
ジオキサン、グリコ−ルエ−テル類、例えばプロピレン
グリコ−ルメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルプロ
ピルエ−テル、エチレングリコールエチルエーテル、エ
チレングリコ−ルブチルエ−テル、カルビトール類、例
えばメチルカルビト−ル、エチルカルビト−ル、ブチル
カルビト−ル、グリコ−ル類、若しくはグリコ−ルエ−
テルの低級エステル類、例えばエチレングリコ−ルジア
セテ−ト、エチレングリコールエチルエーテルアセテー
ト、ケトンアルコール類、例えばダイアセトンアルコー
ル、更にはN−置換アミド類、例えばジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等
を例示する事が出来る。
【0038】グラフト化反応を単一溶媒で行なう場合
は、ベース樹脂をよく溶解する有機溶媒から一種を選ん
で行なうことが出来る。また、混合溶媒で行なう場合
は、上記の有機溶媒からのみ複数種選び反応を行うか、
あるいは、上記のベース樹脂をよく溶解する有機溶媒か
ら少なくとも一種を選び、それにベース樹脂をほとんど
溶解しない、低級アルコール類、低級カルボン酸類、低
級アミン類などの有機溶媒の中から少なくとも一種を加
えて反応を行う場合があり、いずれの溶媒においても反
応を行うこともできる。
【0039】(フォーミュレーション)本発明にかかわ
るグラフト生成物は塗料、インキ、コ−ティング剤、接
着剤などのベヒクルとして、或は繊維、フィルム、紙製
品の加工剤として利用され、帯電防止性、抗菌性、防カ
ビ性などを発現する。本発明のグラフト生成物はそのま
までも使用されるが、架橋剤(硬化用樹脂)を配合して
焼付硬化を行うことにより、高度の耐溶剤性、耐水性、
硬度を発現することが出来る。架橋剤としては、フェノ
−ルホルムアルデヒド樹脂、アミノ樹脂、多官能エポキ
シ化合物、多官能イソシアネ−ト化合物およびその各種
ブロックイソシアネート化合物、多官能アジリジン化合
物、オキサゾリン化合物などを挙げることが出来る。
【0040】フェノール樹脂としては、たとえばアルキ
ル化フェノール類、クレゾール類のホルムアルデヒド縮
合物を挙げることが出来る。具体的にはアルキル化(メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル)フェ
ノール、p-tert- アミルフェノール、4、4'-sec- ブチリ
デンフェノール、p-tert- ブチルフェノール、o-,m-,p-
クレゾール、p-シクロヘキシルフェノール、4,4'- イソ
プロピリデンフェノール、p-ノニルフェノール、p-オク
チルフェノール、3-ペンタデシルフェノール、フェノー
ル、フェニル-o- クレゾール、p-フェニルフェノール、
キシレノールなどのホルムアルデヒド縮合物が挙げられ
る。
【0041】アミノ樹脂としては、例えば尿素、メラミ
ン、ベンゾグアナミンなどのホルムアルデヒド付加物、
さらにこれらの炭素原子数が1〜6のアルコールによる
アルキルエーテル化合物を挙げることができる。具体的
にはメトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロール
N,N-エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジア
ミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチ
ロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミ
ン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げ
られるが好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブ
トキシ化メチロールメラミン、およびメチロール化ベン
ゾグアナミンであり、それぞれ単独または併用して使用
することができる。
【0042】エポキシ化合物としては、ビスフェノール
Aのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素
化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびその
オリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イ
ソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリ
シジルエステル、p-オキシ安息香酸ジグリシジルエステ
ル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘ
キサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸
ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステ
ル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグ
リシジルエーテル、1、4-ブタンジオールジグリシジルエ
ーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルお
よびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル
類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリ
シジルイソシアヌレート、1,4-ジグリシジルオキシベン
ゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリ
グリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリ
シジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジル
エーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物の
トリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0043】さらにイソシアネート化合物としては、芳
香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソ
シアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいず
れでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソ
シアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素
化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネ
ート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化
合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピ
レングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリ
ン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンな
どの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリ
オール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の
高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端
イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
【0044】イソシアネート化合物としては、ブロック
化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロ
ック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノー
ル、メチルチオフェノール、クレゾール、キシレノー
ル、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノ
ール等のフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケ
トオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム
類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ルなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3-
ジクロロ-2- プロパノールなどのハロゲン置換アルコー
ル類、t-ブタノール、t-ペンタノールなどの第3級アル
コール類、ε- カプロラクタム、δ- バレロラクタム、
γ- ブチロラクタム、β- プロピルラクタムなどのラク
タム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド
類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸
エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタ
ン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸
ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは
上記イソシアネート化合物とイソシアネート化合物とイ
ソシアネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法よ
り付加反応させて得られる。
【0045】これらの架橋剤には硬化剤あるいは促進剤
を併用することもできる。架橋剤の配合方法としてはベ
ース樹脂に混合する方法が挙げられるが、さらにあらか
じめグラフト生成物の有機溶剤溶液中に溶解させ、その
混合溶液を水に分散させる方法があり、架橋剤の種類に
より任意に選択することが出来る。硬化反応は、一般に
本発明のグラフト生成物100部(固形分)に対して硬
化用樹脂5〜40部(固形分)が配合され硬化剤の種類
に応じて60〜250℃の温度範囲で1〜60分間程度
加熱することにより行われる。必要の場合、反応触媒や
促進剤も併用される。本発明のグラフト生成物には、顔
料、染料、各種添加剤などを配合することが出来る。本
発明のグラフト生成物は、他の樹脂と混合使用すること
ができ、その加工性を向上せしめることが出来る。
【0046】さらに本発明にかかわるグラフト生成物を
使用した塗料、インキ、コーティング剤、接着剤、各種
加工剤は、PET、PP、ナイロンなどのプラスティッ
クフィルム、金属、繊維などの基材に対して、優れた帯
電防止性、抗菌性、抗カビ性などを付与し、また、ディ
ップコート法、はけ塗り法、ロールコート法、スプレー
法、電着塗装法、各種印刷法のすべてに適用可能性を有
している。
【0047】以下に実施例によって本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明はこれらによって限定されるもの
ではない。 (実施例)以下、本発明を実施例を用いて説明する。実
施例中、単に部とあるのは重量部を表し、%とあるのは
重量%を示す。各測定項目は以下の方法に従った。 (1)重量平均分子量 樹脂 0.005g をテトラヒドロフラン 10cc に溶かし、G
PC−LALLS装置低角度光散乱光度計 LS-8000(東
ソー株式会社製、テトラヒドロフラン溶媒、リファレン
ス:ポリスチレン)で測定した。 (2)還元粘度 ポリエステル樹脂0.01gをフェノール/テトラクロロエ
タン(重量比6/4)の混合溶媒25ccに溶かし、30℃で
測定した。 (3)ガラス転移温度(Tg) 示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の昇温速度
で測定した。サンプルは試料5mgをアルミニウム押さえ
蓋型容器に入れクリンプして用いた。
【0048】(4)グラフト側鎖の重量平均分子量の測
定 グラフト重合により得られた生成物を、KOH/水−メタノ
ール溶液中で還流下共重合ポリエステルの加水分解を行
なった。分解生成物を酸性条件下でTHFを用いて抽出
を行ない、ヘキサンで再沈澱によりラジカル重合性単量
体の重合体を精製した。この重合体を GPC装置(島津製
作所製、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算)
で測定し、グラフト側鎖の重量平均分子量を計算した。 (5)水分散体粒子径 水分散体をイオン交換水を用いて固形分濃度 0.1重量%
に調節し、レーザー光散乱粒度分布計 Coulter model N
4 (Coulter 社製)により 20℃で測定した。 (6)水分散体B型粘度 水分散体の粘度は回転粘度計(東京計器(株)製,EM
型)を用い、25℃で測定した。 (7)ポリエステルグラフト効率 グラフト重合により得られた生成物を、220 MHz 1H NMR
および 55 MHz 13C NMR (バリアン社製、測定溶媒CDCl
3/DMSO-d6)により測定を行ない、ポリエステルに共重合
した二重結合含有成分の二重結合由来のシグナルの強度
変化を元にグラフト効率を測定した。 ポリエステルグラフト効率=(1−(グラフト重合生成
物の二重結合含有成分の二重結合由来のシグナルの相対
強度/原料ポリエステルの二重結合含有成分の二重結合
由来のシグナルの相対強度))×100(%) なお、基準シグナルとして内部インターナルのシグナル
強度との比較により相対強度を算出した。
【0049】(8)保存安定性 各種水分散体を30℃において1カ月間放置し、沈降物の
生成を確認した。 ○;沈降物なし。×;沈降物あり。 (9)塗膜の透明性 各種水分散体をPETフィルム(東洋紡績(株)製、E5
100 )上に乾燥後の塗膜の膜厚が50μm になるよう塗布
し、120 ℃、2時間乾燥させた後、肉眼で評価した。 ○;透明。×;濁りあり。 (10)制電性 固有抵抗測定器(タケダ理研社製)で印加電圧500V、24
℃、15%RHの条件下で表面抵抗を測定した。 ○;表面抵抗が 5.0×1010以下。×;5.0 ×1011以上。 (11)密着性 各種水分散体をPETフィルム(東洋紡績(株)製、E5
100 )処理面に乾燥後の塗膜の膜厚が10μm になるよう
塗布し、120 ℃、2時間乾燥させた後、セロテープ剥離
により密着性を評価した。 ○;表面変化なし。△;表面荒れる。×;剥離
【0050】(12)耐ブロッキング性 各種グラフト体を塗布したフィルムの塗布面同士を重ね
合わせて、70℃、1kg/cm2、1時間圧接した後、剥離時
の剥離抵抗より評価した。 ○;剥離抵抗なし。△;剥離抵抗はあるが圧接表面は荒
れない。×;剥離抵抗があり、圧接面は荒れる。 (13)破断点応力 各種水分散体をOPPフィルム(東洋紡績(株)製、P2
161 )上に乾燥後の塗膜の膜厚が80μm になるように塗
布し、120 ℃、2時間乾燥させた後、サンプルを幅1cm
に切り出し、試料原長4cm、クロスヘッドスピード100m
m/min で引っ張り試験機により評価した。
【0051】(14)他の樹脂との相溶性 各種グラフト体を乾燥させた後、固形分濃度5%のテトラ
ヒドロフラン溶液にした後、バイロン200 (東洋紡績
(株)製)の固形分濃度5%のテトラヒドロフラン溶液
と、固形重量比50/50の割合で混合し、乾燥後の膜
厚が 100μm となるようにガラス上に塗布し、80℃、10
分乾燥させ、透明性を評価した。 ○:塗膜は透明性が高い △:塗膜は濁る ×:塗膜は白化する
【0052】ポリエステル樹脂A−1の製造例 撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステ
ンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレ
ート 485部、ジメチルイソフタレート 475部、ネオペン
チルグリコール 401部、エチレングリコール 443部、お
よびテトラ−n−ブチルチタネート 0.52 部を仕込み、
160 ℃〜220 ℃まで 4時間かけてエステル交換反応を行
なった。次いでフマル酸6部を加え 200℃から 220℃ま
で1時間かけて昇温し、エステル化反応を行なった。次
いで 255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧したのち
0.2 mmHg の減圧下で1時間30分反応させ、ポリエステ
ルA−11を得た。得られたポリエステルは淡黄色透明で
あり、還元粘度0.52、Tgは61℃であった。NMR 等によ
り測定した組成は次の通りであった。 ジカルボン酸成分 テレフタル酸 50モル% イソフタル酸 49モル% フマル酸 1モル% ジオール成分 ネオペンチルグリコール 50モル% エチレングリコール 1 50モル%
【0053】ポリエステルポリウレタン樹脂A−2の製
造例 撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステ
ンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレ
ート 594部、ジメチルイソフタレート 198部、ネオペン
チルグリコール 412部、エチレングリコール 573部、お
よびテトラ−n−ブチルチタネート 0.52部を仕込み、1
60 ℃〜220 ℃まで 4時間かけてエステル交換反応を行
なった。次いでセバシン酸 351部、フマル酸21部、t-ブ
チルカテコール 0.1部を加え 200℃から 220℃まで2時
間かけて昇温し、エステル化反応を行なった。次いで 2
55℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧したのち 0.3 mmH
gの減圧下で1時間反応させ、ポリエステルを得た。得
られたポリエステルは淡黄色透明であった。NMR 等によ
り測定した組成は次の通りであった。 ジカルボン酸成分 テレフタル酸 51モル% イソフタル酸 17モル% セバシン酸 29モル% フマル酸 3モル% ジオール成分 ネオペンチルグリコール 45モル% エチレングリコール 55モル%
【0054】このポリエステルポリオール 100部を撹拌
機、温度計および部分還流式冷却器を具備した反応器中
にメチルエチルケトン 100部と共に仕込み溶解後、ネオ
ペンチルグリコール3部、ジフェニルメタンジイソシア
ネート15部、ジブチル錫ラウレート0.02部を仕込み、60
〜70℃で6時間反応させた。次いでジブチルアミン1部
を加え反応系を室温まで冷却し反応を停止し、メチルエ
チルケトンを添加して固形分濃度50重量%に希釈した。
得られたポリウレタン樹脂の還元粘度は0.60、Tgは12
℃であった。
【0055】実施例 1 撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応
器にポリエステル樹脂A−1 48 部、メチルエチルケト
ン36部、イソプロピルアルコール12部、フマル酸ジブチ
ル4部をいれ加熱、撹拌し還流状態で樹脂を溶解した。
樹脂が完溶した後、クロロメチルスチレン28部、α- メ
チルスチレンダイマー 0.5部、アゾビスイソブチルニト
リル 1.7部をメチルエチルケトン24部、イソプロピルア
ルコール8部の混合溶液に溶解した溶液とを、 1.5時間
かけてポリエステル溶液中にそれぞれ滴下し、さらに3
時間反応させ、グラフト体溶液を得た。このグラフト体
溶液にイソプロピルアルコール40部及びトリエチルアミ
ン32部の混合物を添加し、グラフト体の側鎖中のクロロ
メチルスチレンとトリエチルアミンを還流下で30分間反
応させ、4級アミノ基を導入した。更にイオン交換水20
0 部を添加し、加熱により媒体中に残存する溶媒を溜去
し、最終的な水分散体C−1とした。生成した水分散体
は乳白色で平均粒子径80nm、25℃におけるB型粘度は50
cps であった。このグラフト体のグラフト効率は80%で
あった。この水分散体を40℃で60日間放置したが、外観
変化は全く見られず、一方粘度変化もなくきわめて優れ
た貯蔵安定性を示した。また、得られたグラフト体の側
鎖の重量平均分子量は、8000であった。
【0056】実施例 2 撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応
器にポリエステル樹脂A−1 48 部、メチルエチルケト
ン36部、イソプロピルアルコール12部、フマル酸ジブチ
ル4部をいれ加熱、撹拌し還流状態で樹脂を溶解した。
樹脂が完溶した後、クロロメチルスチレン28部、アゾビ
スイソブチルニトリル 1.7部をメチルエチルケトン24
部、イソプロピルアルコール8部の混合溶液に溶解した
溶液とを、1.5時間かけてポリエステル溶液中にそれぞ
れ滴下し、さらに3時間反応させ、グラフト体溶液を得
た。このグラフト体溶液にイソプロピルアルコール40部
及びトリエチレンジアミン15部の混合物を添加し、グラ
フト体の側鎖中のクロロメチルスチレンとトリエチレン
ジアミンを還流下で30分間反応させ、4級アミノ基を導
入した。更にイオン交換水 200部を添加し、加熱により
媒体中に残存する溶媒を溜去し、最終的な水分散体C−
2とした。生成した水分散体は乳白色で平均粒子径80n
m、25℃におけるB型粘度は50cps であった。このグラ
フト体のグラフト効率は80%であった。この水分散体を
40℃で60日間放置したが、外観変化は全く見られず、一
方粘度変化もなくきわめて優れた貯蔵安定性を示した。
また、得られたグラフト体の側鎖の重量平均分子量は、
8000であった。
【0057】実施例 3 撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応
器にポリエステルポリウレタン樹脂A−2 96 部、フマ
ル酸ジブチル4部をいれ加熱、撹拌した後、クロロメチ
ルスチレン28部、アゾビスイソブチルニトリル 1.7部、
t-ドデシルメルカプタン 0.5部をメチルエチルケトン24
部に溶解した溶液を 1.5時間かけてポリエステルポリウ
レタン溶液中にそれぞれ滴下し、さらに3時間反応さ
せ、グラフト体溶液を得た。このグラフト体溶液にイソ
プロピルアルコール40部及びN-エチルモルホリン20部の
混合物を添加し、グラフト体の側鎖中のクロロメチルス
チレンとN-エチルモルホリンを還流下で30分間反応さ
せ、4級アミノ基を導入した。更にイオン交換水 200部
を添加し、加熱により媒体中に残存する溶媒を溜去し、
最終的な水分散体C−3とした。生成した水分散体は乳
白色で平均粒子径80nm、25℃におけるB型粘度は50cps
であった。このグラフト体のグラフト効率は70%であっ
た。この水分散体を40℃で60日間放置したが、外観変化
は全く見られず、一方粘度変化もなくきわめて優れた貯
蔵安定性を示した。また、得られたグラフト体の側鎖の
重量平均分子量は、8000であった。
【0058】比較例 1 撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応
器にポリエステル樹脂A−1 24 部、メチルエチルケト
ン18部、イソプロピルアルコール6部、フマル酸ジブチ
ル8部をいれ加熱、撹拌し還流状態で樹脂を溶解した。
樹脂が完溶した後、クロロメチルスチレン56部、α- メ
チルスチレンダイマー 0.5部、アゾビスイソブチルニト
リル4部をメチルエチルケトン48部、イソプロピルアル
コール16部の混合溶液に溶解した溶液とを、 1.5時間か
けてポリエステル溶液中にそれぞれ滴下し、さらに3時
間反応させ、グラフト体溶液を得た。このグラフト体溶
液にイソプロピルアルコール40部及びトリエチルアミン
32部の混合物を添加し、グラフト体の側鎖中のクロロメ
チルスチレンとトリエチルアミンを還流下で30分間反応
させ、4級アミノ基を導入した。更にイオン交換水 200
部を添加し、加熱により媒体中に残存する溶媒を溜去
し、最終的な水分散体D−1とした。生成した水分散体
は乳白色で平均粒子径80nm、25℃におけるB型粘度は50
cps であった。このグラフト体のグラフト効率はほぼ 1
00%であった。この水分散体を40℃で60日間放置した
が、外観変化は全く見られず、一方粘度変化もなくきわ
めて優れた貯蔵安定性を示した。また、得られたグラフ
ト体の側鎖の重量平均分子量は、8000であった。
【0059】比較例 2 撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応
器中でクロロメチルスチレン50部、メチルメタクリレー
ト50部、アゾビスイソブチルニトリル10部、メチルエチ
ルケトン 200部を、75℃、撹拌下において10時間反応さ
せ、クロロメチルスチレン−メチルメタクリレート共重
合体溶液を得た。この溶液にイソプロピルアルコール 1
00部及びトリエチルアミン32部の混合物を添加し、クロ
ロメチルスチレンとトリエチルアミンを還流下で30分間
反応させ、4級アミノ基を導入した。得られたカチオン
性ポリマーを減圧下で乾燥させたのち水に溶解させ、固
形分濃度15%のカチオン性ポリマー水溶液D−2とし
た。
【0060】比較例 3 撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステ
ンレススチール製オートクレーブにイソフタル酸 326
部、アジピン酸 187部、フマル酸 30 部、ネオペンチル
グリコール 290部、トリメチロールプロパン 167部およ
びテトラ−n−ブチルチタネート 0.52 部を仕込み、窒
素雰囲気下、225 ℃、12時間反応させて、酸価200、重
量平均分子量2800の低分子量ポリエステル樹脂を得た。
【0061】撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置
を備えた反応器に上記低分子量ポリエステル樹脂 48
部、メチルエチルケトン36部、イソプロピルアルコール
12部、フマル酸ジブチル4部をいれ加熱、撹拌し還流状
態で樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、クロロメチル
スチレン28部、アゾビスイソブチルニトリル 1.7部をメ
チルエチルケトン24部、イソプロピルアルコール8部の
混合溶液に溶解した溶液とを、1.5 時間かけて低分子量
ポリエステル溶液中にそれぞれ滴下し、さらに3時間反
応させ、グラフト体溶液を得た。このグラフト体溶液に
イソプロピルアルコール40部及びトリエチルアミン32部
の混合物を添加し、グラフト体の側鎖中のクロロメチル
スチレンとトリエチルアミンを還流下で30分間反応さ
せ、4級アミノ基を導入した。更にイオン交換水 200部
を添加し、加熱により媒体中に残存する溶媒を溜去し、
最終的な水分散体D−3とした。生成した水分散体は乳
白色で平均粒子径100nm、25℃におけるB型粘度は100cp
sであった。
【0062】比較例 4 撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応
器中でクロロメチルスチレン50部、メチルメタクリレー
ト35部、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー(東
亜合成化学(株)製、AA-6)15部、アゾビスイソブチル
ニトリル10部、メチルエチルケトン 200部を、75℃、撹
拌下において10時間反応させ、共重合体溶液を得た。こ
の溶液にイソプロピルアルコール 100部及びトリエチル
アミン32部の混合物を添加し、クロロメチルスチレンと
トリエチルアミンを還流下で30分間反応させ、4級アミ
ノ基を導入し、主鎖にカチオン性基を有するアクリル系
グラフト体を得た。更にイソプロピルアルコール70部、
イオン交換水 200部を添加し、加熱により媒体中に残存
する溶媒を溜去し、最終的な水分散体D−4とした。生
成した水分散体は乳白色で平均粒子径100nm であった。
【0063】
【表1】
【0064】表1にも示しているとおり、以下のことが
理解できる。 1.本発明におけるカチオン変性ポリエステル樹脂は、
各種基材への密着性に優れている。これは、グラフト体
主鎖に高分子量のポリエステルまたはポリエステルポリ
ウレタンを使用していることに起因する。 2.本発明におけるカチオン変性ポリエステル樹脂は、
優れた耐ブロッキング性を有する。これは、グラフト体
の側鎖の存在に起因すると考えられる。 3.本発明におけるカチオン変性ポリエステル樹脂は、
硬化剤などを配合せずとも優れた塗膜物性を有する。こ
れは、グラフト体主鎖に高分子量のポリエステルまたは
ポリエステルポリウレタンを使用しており、適当な主鎖
/側鎖比および側鎖組成を設定していることによる。 4.本発明におけるカチオン変性ポリエステル樹脂は、
他の樹脂との相溶性に優れている。これは、グラフト体
主鎖に高分子量のポリエステルまたはポリエステルポリ
ウレタンを使用しており、適当な主鎖/側鎖比および側
鎖組成を設定していることによる。
【0065】
【発明の効果】本発明のカチオン変性ポリエステル樹脂
は、プラスティックフィルム、繊維、金属などの基材に
対して塗料、インク、接着剤、コーティング剤、加工剤
などとして利用でき、保存安定性、塗膜透明性、帯電防
止性、基材への密着性、耐ブロッキング性、力学物性、
他の樹脂との相溶性において優れている。
フロントページの続き (72)発明者 和田 實 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 森重 地加男 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主鎖が全カルボン酸成分のうちの芳香族
    ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸を60モル%
    以上含むポリエステルまたはポリエステルポリウレタン
    であり、側鎖が一般式(1)で表される官能基を有する
    ラジカル重合性単量体の重合体であり、一般式(1)の
    官能基の含有量が全樹脂中に100 〜5000当量/106g であ
    るカチオン変性ポリエステル系樹脂。 一般式(1):>N+ <・X- (X- は、ハロゲンイ
    オン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、カルボ
    ン酸イオン、スルホン酸イオン)
JP27382594A 1994-11-08 1994-11-08 カチオン変性ポリエステル系樹脂 Pending JPH08134152A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002030125A (ja) * 2000-04-17 2002-01-31 Asahi Medical Co Ltd 新規親水化芳香族高分子
US6629833B1 (en) * 1998-05-15 2003-10-07 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Transparent conductive film and touch panel
CN1294219C (zh) * 2005-05-27 2007-01-10 吉林大学 高强有机/无机纳米复合透明膜层材料及制备方法

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