JPH08132066A - 金属含有排水の処理方法 - Google Patents

金属含有排水の処理方法

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JPH08132066A
JPH08132066A JP27773194A JP27773194A JPH08132066A JP H08132066 A JPH08132066 A JP H08132066A JP 27773194 A JP27773194 A JP 27773194A JP 27773194 A JP27773194 A JP 27773194A JP H08132066 A JPH08132066 A JP H08132066A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属含有排水にアルカリを添加して金属水酸
化物を生成させ、処理水と汚泥とに固液分離することに
より、不純物混入量の少ない高濃度汚泥を安価に得る。 【構成】 排水にまず酸化マグネシウム又は水酸化マグ
ネシウムを添加して遊離の無機酸を予備中和し、次い
で、他のアルカリを添加することにより中和する。 【効果】 反応性に劣るものの、単純な無機酸との中和
には実用的な中和速度を得ることができるMg系アルカ
リ剤を無機酸の予備中和に用い、その後、反応性の高い
他のアルカリを添加して金属水酸化物を効率的に析出さ
せることにより、汚泥中への不純物の混入やスケール生
成の問題がなく、かつ、安価なMg系アルカリ剤の工業
的な使用を可能とし、容易かつ低コストで効率的な処理
を行って、有価金属濃度の高い汚泥を回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属含有排水の処理方法
に係り、特に、金属含有排水にアルカリを添加して金属
水酸化物を生成させ、処理水と汚泥とに固液分離するこ
とにより、不純物混入量の少ない高濃度汚泥を安価に得
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び先行技術】近年、汚泥処分場の不足、
処分場の環境問題等から、金属含有排水の処理で排出さ
れる汚泥の減容化及び汚泥回収が進められ、この目的に
応じた改良技術として、特公昭61−156号公報に、
シックナー排泥と排水中和用の水酸化ナトリウム(Na
OH)又は消石灰(Ca(OH)2 )等のアルカリ剤を
混合し、混合汚泥で排水の中和を行うことにより固形物
濃度の高い汚泥を得、生成汚泥の減容化を図る方法(H
DS法)が提案されている。この特公昭61−156号
公報の方法の作用機構は、当該公報の記載、即ち、「本
発明は中和剤をキャリヤーの表面に吸着させ…」、「中
和剤の全部ではないが、大部分は殆ど即座にキャリヤー
の粒子の表面に吸着…」旨の記載から、キャリヤー表面
に重金属を析出させることにより固形物濃度の高い汚泥
を得るものであると推察される。
【0003】このような金属含有排水の処理において使
用されるアルカリとしては、Ca(OH)2 又はNaO
Hがあるが、酸洗廃水を主体とする金属含有排水の処理
では、大量のアルカリが必要となるため、安価なCa
(OH)2 が使用されている。
【0004】ところで、汚泥中に鉄などの有価金属が含
有されている場合、このような有価金属含有汚泥は金属
原料として回収再利用される。この場合において、石膏
などの不純物の汚泥中への混入は、回収価値を下げる要
因となることから、これらの不純物の混入は避ける必要
がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】アルカリとしてCa
(OH)2 を使用して酸洗廃水を主体とする排水のよう
な、遊離の無機酸を含む金属含有排水を処理すると、汚
泥中の不純物となる石膏が生成する。また、同時に炭酸
カルシウムも生成し、これがスケール化して配管を閉塞
させるなどの不具合がある。
【0006】例えば、特公昭55−19643号公報に
は、このような遊離の無機酸をアルカリ、具体的にはC
a(OH)2 で予備中和することが記載されているが、
この方法では石膏などの不純物が金属水酸化物汚泥中に
混入し、金属の回収価値が低下する。
【0007】Ca(OH)2 によるこのような問題を解
決するものとして、酸化マグネシウム(MgO)又は水
酸化マグネシウム(Mg(OH)2 )などのMg系アル
カリを用いることも考えられるが、これらのMg系アル
カリでは、排水を鉄などの重金属水酸化物の沈殿領域で
あるpH8以上とするためには、2時間前後の長い中和
時間を必要とし、実用的ではない。
【0008】本発明は上記従来の問題点を解決し、金属
含有排水にアルカリを添加して金属水酸化物を生成さ
せ、処理水と汚泥とに固液分離することにより、不純物
混入量の少ない高濃度汚泥を安価に得ることができる方
法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の金属含有排水の
処理方法は、遊離の無機酸を含有する金属含有排水にア
ルカリを添加して中和することにより金属水酸化物を生
成させ、処理水と汚泥とに固液分離する方法において、
前記排水にまず酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウ
ムを添加して遊離の無機酸を予備中和し、次いで、他の
アルカリを添加して中和することを特徴とする。
【0010】
【作用】HDS法の特徴はシックナー排泥の一部を循環
して、これを中和槽へ返送し、中和槽へ添加するアルカ
リをこの返送汚泥と混合(以下、この混合物を「アルカ
リ汚泥」と称する場合がある。)して注入することにあ
る。このように汚泥を返送して、アルカリ汚泥を添加す
ることにより、得られる汚泥濃度は10重量%以上にな
るが、その原理は下記2つの反応によると考えられてい
る。
【0011】 汚泥とアルカリを混合して、得られる
アルカリ汚泥では、アルカリは汚泥表面に吸着されてい
るため、中和槽ではこのアルカリ汚泥表面に金属水酸化
物が析出し、これにより含水率の高い三次元構造のゲル
状とならず、二次元構造の水酸化物となる。
【0012】 二次元構造の水酸化物汚泥はシックナ
ーを経て返送され、アルカリと混合されるが、この時、
例えば下式に示す脱水縮合反応が生じ、汚泥の結晶水が
減少する。
【0013】 Fe(OH)3 ・nH2 O→FeOOH+(n+1)H2 O ところで、Fe3+のアルカリ汚泥との反応は、特公昭6
1−156号公報に記載されるようにpH3.5〜5.
0で生起する。このFe3+とアルカリ汚泥との反応に当
り、排水に添加された返送汚泥とアルカリのうち、返送
汚泥はpH8以上であり、汚泥表面にはFe3+を析出さ
せるためのアルカリは既に吸着されている。即ち、汚泥
と同時に添加するアルカリは遊離の無機酸を中和するた
めに使用される。従って、ここでは添加アルカリは単純
な無機酸との中和反応であるため、重金属イオンの中和
に比べ反応は迅速であり、反応性に劣るMg系アルカリ
でも十分な中和速度が得られる。
【0014】本発明においては、このような原理に基
き、反応性に劣るものの、単純な無機酸との中和には実
用的な中和速度を得ることができるMg系アルカリ剤を
無機酸の予備中和に用い、その後、反応性の高い他のア
ルカリを添加して金属水酸化物を効率的に析出させるこ
とにより、汚泥中への不純物の混入やスケール生成の問
題がなく、かつ、安価なMg系アルカリ剤の工業的な使
用を可能とし、容易かつ低コストで効率的な処理を行っ
て、有価金属濃度の高い汚泥を回収する。
【0015】なお、本発明において、予備中和(以下
「無機酸中和工程」と称する場合がある。)後、Mg系
アルカリ剤以外のアルカリを添加して中和する工程(以
下「金属中和工程」と称する場合がある。)としては、
特に制限はないが、一般には、次の (I)〜(III) の工程
を採用することができる。
【0016】(I) 金属中和工程を2段中和とし、前段
は後工程からの返送汚泥のみによる中和とし、後段はア
ルカリ汚泥による中和とする。
【0017】(II) 金属中和工程を2段中和とし、前段
は返送汚泥のみによる中和とし、後段はアルカリの直接
添加による中和とする。
【0018】(III) 金属中和工程を1段中和とし、アル
カリ汚泥による中和とする。
【0019】
【実施例】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。
【0020】図1は本発明の金属含有排水の処理方法の
一実施例方法を示す系統図である。
【0021】図1において、1は予備中和槽、2は第1
中和槽、3は第2中和槽、4は凝集槽、5は沈殿槽、6
は混合槽、7はMg(OH)2 貯槽、8はCa(OH)
2 貯槽である。11〜23の各符号は配管を示す。V
1 ,V2 ,V3 は自動弁であり、各々、予備中和槽1に
設けられたpH計1A,第1中和槽2に設けられたpH
計2A,第2中和槽3に設けられたpH計3Aに連動し
て開閉する。V4 は自動弁、Pはポンプである。
【0022】即ち、本実施例の方法は、無機酸中和工程
後の金属中和工程を前記(I) の工程で行うものであり、
原水(遊離の無機酸を含有する金属含有排水)は、ま
ず、配管11より予備中和槽1に導入され、この予備中
和槽1内で、Mg(OH)2 貯槽7内のMg(OH)2
溶液が配管20より添加される。この予備中和槽1にお
いては、系内のpH2.5〜3.5となるようにMg
(OH)2 溶液が添加されて、原水中の遊離の無機酸の
中和が行われる。
【0023】予備中和槽1の流出液は次いで配管12よ
り第1中和槽2に導入され、後段の沈殿槽5で分離さ
れ、配管17,19,19Aを経て返送された汚泥が添
加される。この第1中和槽2においては、系内のpHが
3.5〜5、好ましくは4〜5となるように返送汚泥が
添加され、汚泥表面へのFe3+の析出が行われる。
【0024】なお、原水中の遊離の無機酸が少ない場合
には、予備中和槽を省略しても良く、この場合、第1中
和槽にMg(OH)2 を返送汚泥と同時に添加しても良
い。
【0025】第1中和槽2の流出液は次いで配管13よ
り第2中和槽3に導入され、混合槽6内のアルカリ汚泥
が配管22より添加される。即ち、後段の沈澱槽5の分
離汚泥のうち、配管17,19,19Bを経て混合槽6
に返送された汚泥は、配管21から添加されるCa(O
H)2 貯槽8のCa(OH)2 懸濁液と混合されてアル
カリ汚泥となり、このアルカリ汚泥が配管22より第2
中和槽3に添加される。この第2中和槽3においては、
系内のpHが8以上になるように、アルカリ汚泥のCa
(OH)2 量が調整され、主にFe3+以外の金属、例え
ば、Fe2+,Zn2+,Cr3+などの汚泥表面への析出が
行われる。
【0026】なお、ここで使用されるアルカリとして
は、Ca(OH)2 の他、NaOH,Na2 CO3 等を
用いることができる。また、混合槽6への返送汚泥量
は、混合槽6に添加されるアルカリを吸着するのに十分
な量であれば良く、例えば、第2中和槽3で析出する水
酸化物の15〜40倍重量とされる。
【0027】第2中和槽3の流出液は次いで配管14よ
り凝集槽4に導入され、配管23よりポリマー(高分子
凝集剤)が添加されて凝集処理される。このポリマーと
しては、ポリアクリルアミド系ポリマーが2〜5mg/
l程度添加される。
【0028】凝集槽4の流出液は次いで配管15より沈
殿槽5に導入されて固液分離される。分離された汚泥は
配管17より抜き出され、一部は配管19より第1中和
槽2及び混合槽6に返送され、残部は配管18より系外
へ排出される。また、沈殿槽5の上澄水は配管16より
処理水として系外へ排出される。
【0029】この方法では、予備中和槽1で、遊離の無
機酸がMg系アルカリ剤により予め中和される。この中
和は、反応性の低いMg系アルカリ剤であっても速やか
に進行し、しかも、Mg系アルカリ剤を用いる中和であ
るから、中和により、汚泥中の不純物やスケールとなる
析出物を生じることはない。また、第1中和槽において
は、比較的低pH領域で析出するFe3+の析出が、更
に、第2中和槽においては、高pH領域で析出するFe
3+以外の金属の析出が行われ、これにより、沈殿槽にお
ける固液分離で高水質処理水が得られると共に、高濃度
で不純物の混入が少なく、有価金属濃度の高い高価値の
汚泥を得ることができる。
【0030】本実施例の方法においては、Mg系アルカ
リ剤を用いても、このMg系アルカリ剤の低反応性が問
題となることはないため、中和槽、凝集槽、沈殿槽の各
反応槽の滞留時間は10〜20分で効率的な処理を行え
る。なお、混合槽の滞留時間は3〜5分が適当である。
【0031】このような本発明の金属含有排水の処理方
法は、特に、遊離の無機酸を含む鉄含有排水の処理に極
めて有効である。
【0032】以下に具体的な実施例及び比較例を挙げて
本発明をより詳細に説明する。
【0033】実施例1 図1に示す方法に従って、下記水質の鉄鋼重金属含有廃
水を原水として処理を行い、得られた汚泥の濃度及びこ
の汚泥を脱水して得られた脱水ケーキの成分組成を調
べ、結果を表1に示した。
【0034】原水水質 pH:1.8 T−Fe:1200mg/l Fe3+ : 800mg/l Zn2+ : 20mg/l Ni2+ : 16mg/l Cr3+ : 2.5mg/l SO4 2- :3800mg/l Cl- : 900mg/l なお、原水流量は3リットル/hrとし、混合槽の滞留
時間は3分、その他の各反応槽の滞留時間は10分とし
た。設定pHは予備中和槽pH3,第1中和槽pH4.
2,第2中和槽pH8とし、ポリマーとしてはクリフロ
ックPA−362(栗田工業(株)製)を3ppm添加
した。汚泥濃度が安定した時点で汚泥返送量は第1中和
槽へ350〜400ml/hr,第2中和槽へ150〜
200ml/hrとした。また、予備中和槽へはMg
(OH)2 10重量%溶液を、混合槽へはCa(OH)
2 10重量%懸濁液を添加した。
【0035】比較例1 予備中和槽にMg(OH)2 10重量%溶液に代えて、
Ca(OH)2 10重量%懸濁液を添加したこと以外は
実施例1と同様に行って、得られた汚泥の濃度及びこの
汚泥を脱水して得られた脱水ケーキの成分組成を調べ、
結果を表1に示した。
【0036】実施例2 実施例1において、第2中和槽にはアルカリ汚泥を添加
せずに、アルカリとして、Ca(OH)2 10重量%溶
液を直接添加したこと、即ち、混合槽を設けず、従っ
て、混合槽への汚泥の返送も行わなかったこと以外は、
同様に行って、得られた汚泥の濃度及びこの汚泥を脱水
して得られた脱水ケーキの成分組成を調べ、結果を表1
に示した。
【0037】ただし、第1中和槽への汚泥返送量は35
0〜400ml/hrのままであるが、第2中和槽のp
Hは9に変えた。
【0038】実施例3 実施例1において、第1中和槽を設けず、予備中和槽後
はアルカリ汚泥による一段中和としたこと以外は同様に
行って、得られた汚泥の濃度及びこの汚泥を脱水して得
られた脱水ケーキの成分組成を調べ、結果を表1に示し
た。
【0039】ただし、汚泥返送量は500〜600ml
/hrと変えた。
【0040】
【表1】
【0041】表1より、本発明の方法によれば、汚泥濃
度はわずかに低下するものの、不純物であるSO3 が少
なく、回収対象となる鉄分の含有量が著しく高い汚泥を
回収することができることが明らかである。
【0042】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の金属含有排
水の処理方法によれば、石膏などの不純物の混入が少な
く、しかも、回収対象金属濃度が著しく高い高濃度汚泥
を、安価なアルカリ剤であるMg系アルカリ剤を用いて
容易かつ効率的に回収することができる。
【0043】従って、本発明の方法によれば、汚泥の減
容化と共に、含有有価金属の効率的な有効再利用が図
れ、工業的に極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属含有排水の処理方法の一実施例方
法を示す系統図である。
【符号の説明】
1 予備中和槽 2 第1中和槽 3 第2中和槽 4 凝集槽 5 沈殿槽 6 混合槽 7 Mg(OH)2 貯槽 8 Ca(OH)2 貯槽

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遊離の無機酸を含有する金属含有排水に
    アルカリを添加して中和することにより金属水酸化物を
    生成させ、処理水と汚泥とに固液分離する方法におい
    て、 前記排水にまず酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウ
    ムを添加して遊離の無機酸を予備中和し、次いで、他の
    アルカリを添加して中和することを特徴とする金属含有
    排水の処理方法。
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