JPH08131180A - サイトカラシンの製造法及びそれらを含有する抗コクシジウム剤 - Google Patents

サイトカラシンの製造法及びそれらを含有する抗コクシジウム剤

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JPH08131180A
JPH08131180A JP6278182A JP27818294A JPH08131180A JP H08131180 A JPH08131180 A JP H08131180A JP 6278182 A JP6278182 A JP 6278182A JP 27818294 A JP27818294 A JP 27818294A JP H08131180 A JPH08131180 A JP H08131180A
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cytochalasin
ppm
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JP6278182A
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Mitsuaki Sakashita
満明 坂下
Masayuki Takagi
誠之 高木
Kenzou Harimaya
健蔵 播磨谷
Tadaaki Okada
忠昭 岡田
Noriko Chiba
紀子 千葉
Mina Kanda
三奈 神田
Takashi Mikawa
隆 三川
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Meiji Seika Kaisha Ltd
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Mitsubishi Chemical Corp
Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 ラミクロリジウム属に属するカビによる既知
抗生物質、サイトカラシンの製造法の提供。 【構成】 ラミクロリジウム属に属するカビを培養し、
培養物からサイトカラシンを得るサイトカラシンの製造
法及びそれらを含有するコクシジウム原虫の予防治療
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はラミクロリジウム属に属
するカビによる既知抗生物質、サイトカラシンの製造法
及びその用途に関するものである。さらに詳しくは、ラ
ミクロリジウム属に属するカビを培養し、培養物からサ
イトカラシンを得ることを特徴とするサイトカラシンの
製造法及びそれらを含有するコクシジウム原虫の予防治
療剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】抗コクシジウム作用を有する化合物は多
数知られており、本物質の如く微生物の生産物で抗コク
シジウム活性を有する抗生物質には、モネンシン、サリ
ノマイシン等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記のとおり多数の抗
コクシジウム剤が知られているが、豚・牛・羊・山羊等
の家畜や鶏等の家禽及び犬・猫等のペットにおいて、コ
クシジウム症は現在も流行しており、かつ経済的に深刻
な問題である。すなわち、コクシジウム原虫の感染によ
って、感染動物は貧血症、栄養不良、虚弱、体重の減
少、胃・腸管壁及び他の組織・器官の損傷を引き起こ
し、飼料効率の低下、生産性低下の原因のひとつとなっ
て経済的損失が大きい。また、コクシジウム原虫は薬剤
に対する耐性を発現させ、薬剤の効力を低下させる場合
が多い。したがって、新規な抗コクシジウム剤を提供す
ることは常に求められている課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はこれらの課題を
解決するために、サイトカラシンの製造法及びそれらを
含有する抗コクシジウム剤を提供するものである。サイ
トカラシンは、D.C.Aldridge等(J.Chem.Soc.,Chem.Com
mun.,1967,1667;1969,923;1973,551) によって、ヘルミ
ントスポリウム・デマテイオイデウム(Helminthospori
um dematioideum)、ザイゴスポリウム(Zygosporiu
m)属等のカビの培養液から得られた物質であり、それ
らの主な物質は下記の化学構造式で示される。
【0005】
【化1】
【0006】本物質はボトリテイス(Botrytis)属、ペ
ニシリウム(Penicillium)属等に対する抗菌作用、ポ
リオウイルスに対する抗ウイルス作用、抗腫瘍作用及び
抗炎症作用等を有することが知られている。
【0007】本発明者らは抗コクシジウム活性物質のス
クリーニングを行い、ラミクロリジウム属の培養液に強
い活性物質の存在を確認し、本物質を単離し、サイトカ
ラシンであることを明らかにした。さらに、種々のサイ
トカラシンについて試験したところこれらが抗コクシジ
ウム活性を有することを発見し、本発明を完成させた。
【0008】前述したサイトカラシンは、公知の方法、
即ちヘルミントスポリウム・デマテイオイデウム(Helm
inthosporium dematioideum)属、ザイゴスポリウム(Z
ygosporium)属に属するカビ等の培養液から得ることも
可能であるが、本発明者らはラミクロリジウム(Ramich
loridium)属に属するカビの培養液中にもサイトカラシ
ンが産生されることを見出した。かかるカビとしては、
ラミクロリジウム(Ramichloridium)属に属し、その培
養液中にサイトカラシンを産生する能力を有するもので
あれば特に制限はされないが、具体的には本発明者らが
分離したラミクロリジウム・シュルツェリー・バル・シ
ュルツェリー(Ramichloridium Schulzeri var.schulze
ri)D2951株(以下、「本菌株」と略す)が挙げら
れる。本菌株は工業技術院生命工学工業技術研究所にFE
RM P-14620として寄託されているが、本菌株の微生物学
的性状は以下の通りである。
【0009】(1)形態学的性状 コロニーの生育は三浦培地(LCA)上、27℃、3週
間の培養で中程度、コロニーの形状は、幾分気生菌糸が
発達し、綿毛状となる、はじめ無色、のちに黄褐色を呈
する。基底菌糸は分枝し、多数の隔壁を有する、巾6.
3μmに至る、無色〜淡色を呈する。厚膜胞子は形成さ
れない。気生菌糸の発達は中程度、菌糸は分枝し多数の
隔壁を有する、巾4.4μmに至る。分生子柄は基底菌
糸あるいは気生菌糸より単生的に生じる、通常分枝しな
い、直立または上方部で時々湾曲する、長さ、47〜2
03μm、巾2.8〜4.1μm、多数の小歯状突起を形
成、シンポジアルに長く伸びる、分生子柄下方部は褐
色、先端部は無色〜淡褐色、隔壁を有する。分生子はシ
ンポジオ型分生糸形成様式を示す、小歯上に単生、大き
さ6.6〜9.4×2.8〜3.8μm、倒卵形〜しずく
形、基部は裁断状、無色、平滑。
【0010】(2) 各種培地上における培養上の性状 ポテト・デキストロース寒天培地(PDA)上、2
7℃、3週間の培養、コロニーの生育は旺盛、コロニー
形状はビロード状、はじめ茶灰色、のちに暗い黄茶色を
呈する。厚膜胞子は形成されず。気生菌糸は豊富に形成
される、巾4.7μmに達する、淡褐色を呈する。PD
A上、3週間の培養で、分生子の形成は観察されなかっ
た。 麦芽寒天培地(MA)上、27℃、3週間の培養、コ
ロニーの生育は中程度、コロニー形状はビロード状、は
じめ茶灰色のちに黄茶色を呈する。基底菌糸は分枝し、
多数の隔壁を有する、巾5.3μmに至る、淡褐色を呈
する、時々菌糸内に赤褐色の色素を含有する。MA上、
3週間の培養で分生子の形成は観察されなかった。
【0011】(3)生理学的性状 生育温度(PDA上、7日間培養);15〜30℃ 至適温度;20〜27℃(37℃での生育は認められ
ず) 生育pH(三浦培地、7日間培養);3〜8 至適pH;4〜6
【0012】(4)分類学的考察 本菌株(D2951)は、シンポジオ型分生子形成様
式を示す分生子柄は無分枝、多数の小歯状突起を形成
子、シンポジアルに長く伸びる、分生子離脱後、多数の
分生子分離痕を生ずる分生子は1細胞、という特徴を
有することから不完全菌亜門−不完全糸状菌網のシンポ
ジオ型分生子形成群のラミクロリジウム属 (Ramichlori
dium)に帰属する。同属は近縁属であるリノクラデエラ
属(Rhinocladiella)から主に分生子柄形成構造の特徴
によって区別されている。Rhinocladiella属は分生子形
成構造が分枝し、先端部で複雑に分化する特徴を有す
る。さらに出芽型細胞あるいはExophialaステージの多
形性のアナモルフが共存する特徴を有する。G.S.De Hoo
g(1977)のRhinocladiella and allied genera, (Stu
dies in Mycology No.15;1〜140 ページ)によれば、R
amichloridium属には、13種3変種が知られている。
これらの分類群は主として分生子柄、分生子の形態学的
特徴によって区別されている。G.S.De Hoog(1977)のR
amichloridium属の種の検索表(60〜61ページ)に従っ
て、本菌株(D2951)の種のレベルの検索を行った
ところ、ラミクロリジウム・シュルツェリー・バル・シ
ュルツェリー(Ramichloridium schulzeri var.schulze
ri)の特徴と合致した。R.schulzeri の変種として、他
にvar.triticとvar.flexuosum が知られているが、本生
産菌は分生子形態の特徴から、これら二変種から明確に
区別できた。よって本生産菌は、Ramichloridium schul
zeri var.schulzeri(D2951)と同定した。
【0013】次に、本発明におけるサイトカラシン製造
法につき説明する。例えばラミクロリジウム(Ramichlo
ridium)属に属するサイトカラシン生産菌を、通常の微
生物が利用しうる栄養物を含有する培地で培養する。栄
養源としては、従来菌類の培養に利用されている公知の
ものが使用できる。例えば、栄養源としては、米、グル
コース、水飴、デキストリン、澱粉、糖蜜、動・植物油
等を使用しうる。また、窒素源としては、大豆粉、小麦
胚芽、コーンスティープリカー、綿実粕、肉エキス、ペ
プトン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウ
ム、尿素等を使用しうる。その他必要に応じ、ナトリウ
ム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、コバルト、
塩素、リン酸,硫酸及びその他のイオンを生成すること
のできる無機塩類を添加することも有効である。また、
菌の生育を助け、サイトカラシンの生産を促進するよう
な有機物及び無機物を適宜添加することもできる。
【0014】培養法としては、好気的条件での培養法、
特に固体培養法や深部培養法が適している。 培養に適
当な温度は、15〜35゜Cであるが、より好ましくは20〜3
0゜C付近で培養する。サイトカラシンの生産は培地や培
養条件により異なるが、固体培養、振とう培養、タンク
培養のいずれにおいても通常2〜14日間でその蓄積が最
高に達する。培養中のサイトカラシンの蓄積量が最高に
なった時に培養を停止し、培養液から目的物質を単離精
製する。
【0015】本発明方法によって得られるサイトカラシ
ンは、サイトカラシン生産菌の培養物から、その性状を
利用した通常の分離手段、例えば、溶剤抽出法、吸着又
は分配カラムクロマト法、ゲル濾過法、透析法、沈殿法
等を単独で又は適宜組み合わせて抽出精製することがで
きる。例えば、サイトカラシンは、培養菌体中からは、
アセトン−水、メタノール−水等で抽出される。この抽
出液に含まれるアセトン、あるいはメタノールを留去し
た水層を、酢酸エチルで抽出し、濃縮物をシリカゲルク
ロマトグラフィーにて展開することにより、サイトカラ
シンは精製できる。
【0016】サイトカラシンを抗コクシジウム剤として
適用しようとする動物は豚・牛・山羊・羊・鶏・アヒル
・七面鳥・ウズラ・犬・猫等の家畜、家禽、ペット等を
挙げることができる。また、これらの動物のコクシジウ
ム原虫としては、豚・牛・山羊・羊・鶏を始めとする家
禽類のEimeria属、豚・犬・猫のIsospora属、猫のToxop
lasma属、その他、種々のコクシジウム原虫が知られて
いる。
【0017】サイトカラシンはコクシジウム症の治療及
び予防に用いることができる。治療のための投与方法
は、経口的または非経口的な方法がある。経口的に投与
する場合は、液状の製剤を胃カテーテル等の器具を用い
て強制的に投与する方法、通常の飼料または飲料水に混
合して投与する方法、あるいは、通常の経口投与に適し
た剤型、例えば錠剤、カプセル剤、ペレット剤、巨丸
剤、粉剤あるいは軟カプセル剤等で投与する方法があ
る。非経口的に投与する場合は、ピーナッツ油、大豆油
等の非水溶性処方、グリセロール、ポリエチレングリコ
ール等の水溶性処方を注射などにより皮下、筋肉内、静
脈内、腹腔内等に投与する。また、予防のための投与方
法は通常用いられている飼料に混合し経口的に投与する
のが一般的な方法である。投与法としては散剤、粒剤、
懸濁剤等の形で使用できる。希釈剤としては飼料または
飼料の一部になり得るものが望ましく、例えば大麦粉、
小麦粉、裸麦粉、トウモロコシ粉、大豆粉、大豆油か
す、菜種油かす、モミガラ、米ぬか、米ぬか油かす、カ
ンショ粉、豆腐かす、各種澱粉、繊維素、乳糖、しょ
糖、ブドウ糖、果糖、酵母、廃酵母、菌体残渣、魚粉及
び発酵残留物が好ましい。また、一般に知られている飼
料添加物、例えば各種ビタミン類、ミネラル類、防腐
剤、酵素製剤、蛋白質、炭水化物、アミノ酸類、解熱
剤、鎮痛剤及び殺菌剤等と配合併用してもよい。投与期
間は予防の場合特に制限はないが、通常肉用鶏では約2
カ月、豚では5カ月で充分であることが多い。サイトカ
ラシンの投与量は対象動物及びコクシジウム原虫の種類
あるいは投与方法により異なる。例えば、鶏のコクシジ
ウム症を予防するためにサイトカラシンAを飼料に混合
して経口的に投与する場合は飼料中80ppm以上を連続的
に投与するのが望ましい。
【0018】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、サイトカラ
シンの性状に基づきその製造法を種々考案することがで
きる。従って本発明は実施例に限定されるものではな
く、実施例の修飾手段は勿論、サイトカラシンの性状に
基づいて公知の手段を施してサイトカラシンを生産、濃
縮、抽出、精製する方法をすべて包括する。
【0019】実施例1 水飴 2.0%、大豆粉 1.0%、大豆油 0.15
%、サングレイン 0.15%、綿実粕 0.5%、FeSO
4・7H2O 0.0005%、NiCl2・6H2O 0.00005
%、CoCl2・6H2O 0.00005%及び CaCO3 0.
1%を含有する培地(pH6.0)を40mlずつ20
0ml三角フラスコ20本に分注し、121℃で20分
間オートクレーブ滅菌した。これに本菌株を1白金耳ず
つ植菌し、27℃で2日間、210回転にて振とう培養
した。別に米60gと水道水20mlを500ml三角
フラスコ100本に分注し、121℃で20分間、オー
トクレーブ滅菌した。この主発酵培地に前記種培養液を
4mlずつ接種し、27℃において14日間静置培養し
た。
【0020】実施例2 培養終了後、得られた菌体を含む固形物に、50%アセ
トン水9リットルを加え、1時間撹拌後菌体を濾過して
抽出液を得た。菌体抽出液は減圧下でアセトンを留去し
て(200ml)の濃縮液を得た。この濃縮液のpHを
9に調製してから酢酸エチル(400ml)で2回抽出
を行い酢酸エチル層を回収し、さらに脱水し、酢酸エチ
ル層を濃縮すると油状物質(2.93g)が得られた。
この油状物質をシリカゲルカラム(ワコーゲルC−300)
200mlの上部にのせ、ヘキサン500ml及びクロ
ロホルム1000mlさらにクロロホルム−メタノール
の混合溶媒(100:1)1000mlで展開するクロ
マトグラフィーを行い、15mlずつ分画した。このう
ち、フラクションNo.13〜No.40から活性画分Aとし
て(189mg)と活性画分BとしてフラクションNo.
49〜No.68(1.792g)を得た。さらに活性画
分A189mgをアセトン0.5mlに溶解後少量のヘ
キサンを加えて室温において静置したところ、82mg
の無色針状結晶が得られた。一方、活性画分B1.79
2gをアセトン5mlに溶解後1mlのヘキサンを徐々
に加えて室温において静置したところ、877mgの無
色針状結晶が得られた。活性画分A及びBから得られた
結晶は各種機器データからそれぞれサイトカラシンA及
びBに一致した。
【0021】実施例3 in vitro試験における、鶏コクシジウム原虫、アイメリ
ア・テネラ(Eimeriatenella)に対するサイトカラシン
の抗コクシジウム効果を観察した実施例を示す。 サイ
トカラシンA・B・C・D・E・H及びJの7種類のサ
イトカラシンをそれぞれメタノールで溶解し希釈した溶
液にアイメリア・テネラのオーシストを直接曝露し、オ
ーシスト内のスポロシスト、さらにはスポロシスト内の
スポロゾイトを阻害するかどうかを顕微鏡下で観察し
た。サイトカラシンを加えないでメタノールを希釈した
ものを無投与対照とした。その結果を表1に示した。
【0022】 表1 in vitroにおけるサイトカラシンの抗コクシジウム効果 添加濃度(ppm) 42 21 10.4 8.3 5.2 2.6 1.3 サイトカラシンA + + + + + + − サイトカラシンB + + + + − − − サイトカラシンC + − − − − − − サイトカラシンD + + + + + + − サイトカラシンE + + + − − − − サイトカラシンH + + + + + + + サイトカラシンJ + + − − − − − 無投与対照 − − − − − − − +:抗コクシジウム活性あり −:抗コクシジウム活性なし
【0023】すなわち、無投与対照は全く抗コクシジウ
ム活性を示さなかったのに対し、7種のサイトカラシン
A・B・C・D・E・H及びJの最少有効濃度はそれぞ
れ2.6, 8.3, 42, 2.6, 10.4, 1.3及び21 ppmであった。
一方、対照薬として用いたサリノマイシンの最少有効濃
度は125 ppmであった。すなわち、サイトカラシンの投
与によりin vitroにおいて強い抗コクシジウム活性が得
られた。
【0024】実施例4 サイトカラシンを混合した飼料を鶏に経口投与して鶏コ
クシジウム症の予防効果を観察した実施例を示す。試験
群は1群につき2羽を用い、サイトカラシンAの飼料添
加濃度80 ppm群及び240 ppm群、サイトカラシンBの400
ppm群、500 ppm群及び600 ppm群の5群をサイトカラシ
ン投与群とした。サイトカラシンは、賦形剤として米ぬ
か油かすを用いて10%製剤を調製し、それぞれの添加濃
度となるように均一に混合した。対照薬群はサリノマイ
シンの50 ppm群及び75 ppm群とし、対照群は未感染無投
与群と感染無投与群とした。感染1日前より給餌を開始
し、未感染無投与群を除く全群にアイメリア・テネラの
成熟オーシストを各羽約50,000個を経口感染させた。試
験期間中は不断給餌とし、感染後7日目に解剖してコク
シジウム症による盲腸病変値を判定し、2羽の平均値を
算出した。また、試験開始時と終了時の群毎の体重を測
定し、未感染無投与群(100 %)に対する相対増体率を
算出し、その結果を表2に示した。
【0025】 表2 サイトカラシン投与による鶏コクシジウム症の予防効果 試験群 盲腸病変値(平均) 相対増体率(%) 未感染無投与群 0 100 感 染無投与群 +4 58 サリノマイシン 50ppm群 +2 85 サリノマイシン 75ppm群 0 92 サイトカラシンA 80ppm群 0 91 サイトカラシンA 240ppm群 0 68 サイトカラシンB 400ppm群 +2 74 サイトカラシンB 500ppm群 0 55サイトカラシンB 600ppm群 0 30 盲腸病変値 0:病変なし +1〜+4:軽度〜重度
【0026】すなわち、盲腸病変値は投与した薬物の抗
コクシジウム効果をそのまま表現する指数とみなされて
いるので、まずその盲腸病変値を見ると、未感染無投与
群は病変はなく、感染無投与群は最も重度の+4であっ
た。次に対照薬のサリノマイシンは50 ppmで+2、75 p
pmで病変なしであった。これに対し、サイトカラシンA
は80 ppm及び240 ppmで病変なし、サイトカラシンBは4
00 ppmで+2、500 ppm及び600 ppmで病変なしであっ
た。すなわち、サイトカラシンAは80 ppm以上、サイト
カラシンBは400 ppm以上でサリノマイシンの実用濃度5
0 ppmと同等もしくはそれ以上の予防効果を得られた。
【0027】次に、体重変化を見ると、相対増体率はサ
リノマイシンは50 ppm及び75 ppmでそれぞれ85%と92%
であった。これに対し、サイトカラシンAは80 ppm及び
240ppmでそれぞれ91%と68%、サイトカラシンBは400
ppm、500 ppm及び600 ppmでそれぞれ74%、55%及び30
%であった。サイトカラシンは濃度が高くなると増体率
が低くなる傾向にあったが、サイトカラシンAは充分な
予防効果を示す80 ppmではサリノマイシンの増体率と比
べ著差はなかった。したがって、サイトカラシンAは80
ppm以上、サイトカラシンBは400 ppm以上で鶏コクシ
ジウム症に対し、明らかな予防効果が認められた。
【0028】
【発明の効果】本発明によりサイトカラシンを工業的に
有利に製造することができ、得られたサイトカラシンは
抗コクシジウム剤としての有用性が期待される。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 491/08 7019−4C (C12P 17/18 C12R 1:645) (C12P 17/10 C12R 1:645) (72)発明者 播磨谷 健蔵 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明 治製菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 岡田 忠昭 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明 治製菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 千葉 紀子 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 神田 三奈 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 三川 隆 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラミクロリジウム属に属するカビを栄養
    培地中で培養し、その培養物からサイトカラシンを採取
    することを特徴とするサイトカラシンの製造法。
  2. 【請求項2】 サイトカラシンの少なくとも1種以上を
    有効成分として含有する抗コクシジウム剤。
JP6278182A 1994-11-11 1994-11-11 サイトカラシンの製造法及びそれらを含有する抗コクシジウム剤 Pending JPH08131180A (ja)

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