JPH0813099A - 石炭ガス化プラント過熱器管用耐食合金 - Google Patents

石炭ガス化プラント過熱器管用耐食合金

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JPH0813099A
JPH0813099A JP6144498A JP14449894A JPH0813099A JP H0813099 A JPH0813099 A JP H0813099A JP 6144498 A JP6144498 A JP 6144498A JP 14449894 A JP14449894 A JP 14449894A JP H0813099 A JPH0813099 A JP H0813099A
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alloy
corrosion
coal gasification
resistance
corrosion resistance
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Shigeru Tokura
茂 戸倉
Nobuo Otsuka
伸夫 大塚
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】石炭ガス化プラント過熱器管用耐食合金の提
供。 【構成】C:0.01〜0.10%、Si: 1.5〜3.5 %、Mn:
1.5〜5.0 %、Cr:26〜32%、Ni:20〜30%、Mo: 0.5
〜3 %、N:0.3 〜0.6 %、希土類元素:0.02〜0.10
%、更に、Nb、Ti及びZrのうちの1種又は2種以上の合
計で0〜1 %、Mg及びCaのうちの1種又は2種の合計で
0〜0.01%、B:0〜0.01%、Al:0〜0.1 %を含み、
残部がFe及び不可避的不純物からなるスケ−ルの密着性
及び耐食性に優れた石炭ガス化プラント過熱器管用耐食
合金。 【効果】メタル温度が600 ℃までの範囲で優れた耐高温
硫化腐食性、耐酸露点腐食性、クリープ破断強度、組織
安定性及び経済性を有する合金である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭ガス化プラント、
特に石炭ガス化複合発電プラントの合成ガス冷却機器の
過熱器管として用いるのに好適な耐食合金に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題の観点から、高効率
発電指向がさらに強まっている。天然ガス(LNG) を燃料
とする高効率なガスタービン複合発電はすでに実用化さ
れ現在稼働中であるが、エネルギー資源の安定確保の点
から石炭を燃料とする高効率発電の実用化が強く望まれ
ている。石炭ガス化複合発電は加圧流動床ボイラととも
に石炭利用の高効率発電が可能な有力なシステムであ
り、世界的に見てもオランダにおいて実証プラントが建
設をほぼ終えた段階まで到達している。
【0003】石炭ガス化複合発電において、発電効率を
更に飛躍的に高めるためには、 900℃以上の高温の合成
ガスの顕熱を有効に活用して蒸気を過熱する過熱器管を
設置する必要がある。しかしながら過熱器管では管が高
温であり、曝される合成ガスは多量のCO、H2を含有する
強い還元性を示し、炭種によっては極めて腐食性の強い
H2S、HCl を含むため、かかる機器は高温硫化腐食を受
けることが知られている。
【0004】高温硫化腐食は管のメタル温度に強く依存
し、メタル温度が高いほど腐食は厳しい( 例えば、Pro
c. ASM Materials Workshop1987, P.97〜104 参照 )。
従来技術では、メタル温度で 350〜400 ℃前後の蒸発管
の設置がせいぜいで、400 ℃以上の温度域で耐高温硫化
性を有し、かつ高温強度にも優れたボイラチューブ材が
見あたらないため、高効率発電に欠かせない過熱器管が
設置できない状況にあった。
【0005】石炭ガス化用機器には停缶時にClを含む酸
が結露してしまう。このため、市販のステンレス鋼・耐
食合金では孔食が発生しやすい腐食環境になることも知
られており( Corrosion 89, Paper No.525参照 )、かか
る部位には高温強度に加え高温硫化腐食とともに酸露点
腐食に対しても優れた抵抗性を有するボイラチューブ材
が必要となる。
【0006】石炭ガス化機器用材料としては種々の合金
がすでに提案されているが、メタル温度が600 ℃を超え
る高温硫化環境に耐え、かつ酸露点腐食に対しても優れ
た抵抗性を有するとともに、ボイラチューブとして高温
強度もあり、長時間の使用による加熱脆化も少なく、耐
圧部材として安心して使用できる経済的な合金は見あた
らないのが実情である。
【0007】例えば、特開昭58−81953 号公報ではNbを
6〜20%含み残部が鉄の合金が提案されているが、この
合金は通常の製管プロセスではボイラチューブに製造で
きない。特開昭59−229468号公報ではAl添加合金が提案
されているが、高温における耐食性は良好なものの酸露
点腐食に弱い欠点を有する。特開昭60−215747号公報の
合金のなかで、Alが高いものは高温での硫化腐食に優れ
た性能を有し、なかでもその請求項2の合金は酸露点腐
食に対しても良好な耐食性能を示すが、高温に長時間曝
されると靱性劣化が著しく、また高温強度もはなはだ不
足するため、ボイラチューブとして使用できない。
【0008】特開昭61−551 号公報ではCrとNi+Coを含
む合金に冷間加工を施した合金が提案されているが、石
炭ガス化では腐食環境は酸化性でなく高温硫化のみが重
要となるため耐食性は不十分で使用に耐えない。特開昭
61−56263 号公報で提案されている合金は、酸露点腐食
に対して良好な耐食性能を示すものの、高温硫化腐食に
対して耐食性が十分でなく、また高温強度も不十分であ
る。
【0009】特開昭61−113748号公報の合金は高温にお
ける耐食性は抜群であるが、高温で使用中に極めて脆い
相(シグマ相)が析出し、使用中にガラスのように脆化
してしまい、ボイラチューブのような耐圧容器用材料と
しては危なくてとても使用できない。特開昭62−164852
号公報のボイラチューブも同じである。
【0010】特開昭62−164854号公報および特開昭62−
164855号公報の合金は、高温での耐硫化腐食性は良好な
ものの、高温強度、酸露点腐食に対する抵抗性が劣る欠
点を有する。特開昭62−235459号公報の合金はCo:8〜
30%を含むため、熱間変形抵抗が高まり、通常の製管プ
ロセスでは非常に加工しにくい。さらにCoは非常に高価
な合金元素であるため、材料コストが著しく上昇し、ボ
イラチューブとして極めて高価なものとなってしまう。
特開昭62−270751号公報ではMnを2〜30%、Tiを2〜5
%含む合金が提案されているが、この合金は高温で使用
中にCr炭化物が著しく析出し、脆化してしまう欠点を有
している。
【0011】このように、高温の硫化環境における耐食
性、酸露点腐食に対する耐食性とともに長時間使用時の
組織安定性、高温強度、さらには施工性(曲げ加工性、
溶接性)、経済性等の点を勘案すると、すべての性能を
満足する耐食合金はまだ知られていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、石炭
ガス化複合発電プラントにおいて、メタル温度で600 ℃
までの温度域で単管として過熱器管に使用可能な経済性
に優れた耐食合金を提供することにある。詳しくは、通
常の製管プロセスで容易に製管でき、耐食性は従来使用
されているAlloy800( NCF800 )あるいはAlloy 28の10倍
以上、高温強度はSUS 347Hと同等以上で、長時間使用に
際して著しい加熱脆化がなく、通常の施工法で溶接・曲
げ加工が可能な経済性にも優れたボイラチューブ材を提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の石
炭ガス化プラント過熱器管用耐食合金にある。
【0014】重量%で、C:0.01〜0.10%、Si: 1.5〜
3.5 %、Mn: 1.5〜5.0 %、Cr:26〜32%、Ni:20〜30
%、Mo: 0.5〜3 %、N:0.3 〜0.6 %および希土類元
素:0.02〜0.10%を含有し、さらに、Nb、TiおよびZrの
うちの1種または2種以上の合計で0〜1 %、Mgおよび
Caのうちの1種または2種の合計で0〜0.01%、B:0
〜0.01%、Al:0〜0.1 %を含み、残部がFeおよび不可
避的不純物からなることを特徴とするスケ−ルの密着性
および耐食性に優れた石炭ガス化プラント過熱器管用耐
食合金。
【0015】ここでいう希土類元素には、通常分類され
る希土類元素に加えてYを含む。上記合金においては、
Nb、TiおよびZr、MgおよびCa、BならびにAlは、いずれ
も無添加でもよい。
【0016】Nb、TiおよびZrのうちの1種または2種以
上を含有させる場合は合計で0.1 %以上とすること、Mg
および/またはCaを含有させる場合は合計で0.001 %以
上とすること、Bを含有させる場合は0.001 %以上とす
ること、Alを含有させる場合は0.02%以上とすること、
がそれぞれ望ましい。
【0017】本発明の技術的考え方と特徴は次のとおり
である。
【0018】合金設計では、 (1)酸露点腐食に対する抵抗性を、Cr、MoおよびNの複
合添加とともに、密着性に優れたCr2O3/SiO2二層被膜に
より確保する。
【0019】(2)600 ℃までの高温硫化腐食に対する抵
抗性を、密着性に優れたCr2O3/SiO2二層被膜を合金表面
に生成させることで達成する。
【0020】(3)高温強度は、母材を完全オーステナイ
ト(γ)組織にするとともに、CとNの添加で確保す
る。
【0021】という技術思想に基づき、特に高Mn化によ
り Nの固溶量を増加させ、停缶時の湿食に対する抵抗性
を高めたこと。
【0022】γフォーマーのMnを高めたことで、高価
なNiの低減を可能としたこと。
【0023】最表面に生成するMnS により、Cr2O3/Si
O2二層被膜の安定性を増加させたこと。
【0024】の3点に本発明合金の特徴がある。
【0025】停缶時の湿食に対する抵抗性を高めるに
は、被膜の安定性を増すこと、母材そのものの抵抗性を
高めることの2点が考えられる。本発明者らは、前者に
対しては希土類元素の含有により、後者に対してはMoお
よびN、特にN含有量の増加により、湿食に対する抵抗
性を高めることを試みた。特に後者については、従来の
成分系では製造上の制約等により困難であったが、これ
を克服すべく検討を重ねた結果、Mnを高めた本発明合金
の成分系では耐高温腐食性、加工性、機械的性質等を損
なわずにN含有量を増すことができ、その結果停缶時の
湿食に対する抵抗性を高めることが可能となった。
【0026】MnS の効果については、Sとの親和力の強
いMnがSのゲッターとなり MnSとしてCr2O3/SiO2二層被
膜上に濃化するため、 MnS/Cr2O3界面でのS分圧が低下
する結果、Cr2O3/SiO2二層被膜の安定性が増すと考えら
れる。
【0027】
【作用】本発明合金の化学組成を前述のように定めた理
由について、作用効果とともに説明する。%は重量%を
意味する。
【0028】C:0.01〜0.10% Cは高温強度の点から通常添加される。この効果はC含
有量が0.01%以上で発揮される。一方、0.10%を超える
と高温使用中に結晶粒界を中心に塊状のCr炭化物が析出
し、耐食性を劣化させるとともに靱性の低下も招くこと
から、C含有量の上限は0.10%とした。
【0029】Si: 1.5〜3.5 % Siは高温硫化腐食環境下で、Crとともに優れた耐食性を
付与する元素である。
【0030】この効果はSi含有量が1.5 %以上で顕著と
なることから、下限は1.5 %とした。
【0031】一方、3.5 %を超えるとシグマ脆化を招く
とともに溶接時の高温割れ感受性が顕著になるため、上
限は3.5 %とした。
【0032】Mn: 1.5〜5.0 % Mnは脱酸剤としてだけでなく、Nの固溶限を高め、Niと
ともにオーステナイト組織を安定化させる効果を有す
る。さらに、MnS 被膜を形成し、Cr2O3/SiO2二相被膜の
安定性向上効果もある。Mn含有量が1.5 %以上でこれら
の効果が顕著となる。一方、5.0 %を超えると長時間の
加熱脆化特性が著しく悪化する。よって、Mn含有量の範
囲は 1.5〜5.0 %とした。
【0033】Cr:26〜32% Crは、高温硫化腐食および酸露点腐食に対する抵抗性を
高める観点から添加する。高温硫化腐食に対する抵抗性
は、前述のSiと後述の希土類元素の組合せにより発揮さ
れるが、その効果はCr含有量が26%以上で顕著となるた
め、下限は26%とした。一方、32%を超えると長時間加
熱時に脆いα−Cr相が析出し、材料が脆化するため、上
限は32%とした。
【0034】Ni:20〜30% Niはオーステナイト形成元素であり、合金をオーステナ
イト組織にし、高温強度を確保するために添加する。他
のオーステナイト形成元素であるMn、Nとの組合せによ
り、組織安定性および機械的性質が損なわれないように
するには、20%以上30%以下のNi含有量が必要である。
さらに、Niは高価な合金元素であるため、経済性の点か
らも30%以下とした。
【0035】Mo: 0.5〜3 % Moは、通常湿食環境でステンレス鋼の耐食性を改善する
ため添加される合金元素であり、本発明の石炭ガス化プ
ラント用合金においても酸露点腐食に対する抵抗性をCr
およびNとともに高めるために添加する。その効果はMo
含有量が 0.5%以上で顕著となるため、下限は0.5 %と
した。一方、3%を超えるとその効果が飽和するため、
上限は3%とした。
【0036】N: 0.3〜0.6 % Nはオーステナイト組織の安定化に寄与するのみなら
ず、高温強度を高める作用を有する。また酸露点腐食環
境における耐食性を高める作用も有する優れた合金元素
である。それらの効果はN含有量が0.3 %以上で顕著と
なるので、下限は0.3 %とした。一方、本発明合金の成
分系では通常の溶製法で0.6 %を超えるN含有量とする
ことが困難であることから、上限は0.6 %とした。
【0037】希土類元素:0.02〜0.10% ここでいう希土類元素は通常のCe、La等の他にYも含む
ものである。Y、CeおよびLa等の希土類元素は、鋼中の
微量Sを固定してCr2O3 等の保護被膜の密着性を改善
し、高温硫化腐食などに対する保護性Cr2O3 スケールの
安定性を改善させ、耐食性を向上させる効果を有する。
この効果は希土類元素の合計含有量が0.02%以上で発揮
されるので、下限は0.02%とした。一方、合計で 0.1%
を超えると脆い金属間化合物が析出するため、その上限
は0.1 %とした。ミッシュメタルとして相当量を添加し
てもよい。
【0038】本発明合金では、上記成分に加えてさら
に、次のようにNb、TiおよびZrのうちの1種または2種
以上を選んで含有させてもよい。
【0039】Nb、Ti、Zr:上限は合計で1% Nb、Ti、およびZrは、いずれも炭化物を形成しやすいの
で炭化物析出による合金の高温強度をさらに向上させる
とともに、鋼中のCを固定してCr炭化物の析出を抑制
し、酸露点腐食に対する抵抗性の劣化を防止する作用を
有する。
【0040】これらの効果を特に得たい場合には、必要
に応じてNb、TiおよびZrのうちの1種または2種以上を
選んで含有させる。この場合は合計で0.1 %以上とする
のが望ましい。これらの元素の含有量が1種または2種
以上の合計で 0.1%未満の場合は添加の効果が得られな
い。一方、1%を超えると上記効果が飽和するため、上
限は1%とした。
【0041】本発明合金では、加えてさらに、次のMgお
よび/またはCaを選んで含有させてもよい。
【0042】Mg、Ca:上限は合計で0.01% これらは活性金属であり、熱間加工性を悪化させる主要
因である合金中のSやOを固定する作用を有するため、
熱間加工性の向上を目的とする場合に添加できる。Mgお
よび/またはCaを含有させる場合は、合計で0.001 %以
上とするのが望ましい。1種または2種の合計で0.01%
を超えると、低融点のMg−Ni、Ca−Ni化合物を形成し、
逆に熱間加工性を悪化させるため、上限は0.01%とし
た。
【0043】本発明合金では、加えてさらに、次のB、
Alを選んで含有させてもよい。
【0044】B:上限0.01% Bは高温強度を高める目的で添加できる。Bは結晶粒界
に偏析し結晶粒界を強化する作用を有する。その効果は
B含有量が0.001 %以上で顕著となるので、Bを含有さ
せる場合は0.001 %以上とするのが望ましい。一方、0.
01%を超えると溶接高温割れ感受性が高まるため、上限
は0.01%とした。
【0045】Al:上限0.1 % AlはMg、Caと同様に活性金属であり、熱間加工性を悪化
させる合金中のOを固定する作用を有することから、熱
間加工性の向上のため添加できる。この効果を得たい場
合には、Al含有量は0.02%以上とするのが望ましい。一
方、0.1 %を超えるとクリープ延性が低下するため、上
限は0.1 %とした。
【0046】
【実施例】表1および表2に示す化学組成の41種の合金
(合金符号1〜36は本発明合金、比1〜5は比較合金)
を真空溶解炉で500kg づつ溶製し、得られたインゴット
を内・外削加工後、1250℃に加熱し、ユジーンセジュル
ネ方式の熱間押出機で外径61.5mm、肉厚5.75mmの素管を
製造した。これらの素管をさらに冷間抽伸後、成品熱処
理を1150℃で施し、外径50.8mm、肉厚8mmのボイラチュ
ーブとした。
【0047】表2に、従来石炭ガス化プラントの蒸発管
に用いられたNCF800合金(既1)とAlloy 28合金(既
2)の化学組成を併せて示す。既1の合金は本発明合金
とSi、Cr、Ni、Mo、N、希土類(以下、REと記す)およ
びAlの含有量が、既2の合金は本発明合金とSi、Ni、M
o、RE、NおよびCuの含有量が、それぞれ異なる。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】得られたボイラチューブを対象として、次
の各方法で高温腐食および酸露点腐食に対する抵抗性、
時効後靱性およびクリープ破断強度を調査した。
【0051】耐高温腐食性は、管肉厚中央部から採取し
た長さ25mm、幅15mm、厚さ3mmの腐食試験片をガス化炉
の合成ガスを模擬した30%H2−15%H2O −40%CO−10%
CO2−0.5 %H2S −0.1 %HCI −bal.N2混合ガス気流中6
00 ℃で100 時間加熱し、脱スケールによる腐食減量を
測定した。また一部の試験片は脱スケールを行わず、次
の耐酸露点腐食性評価試験に供した。
【0052】耐酸露点腐食性は、石炭ガス化実炉の蒸発
管付着灰を試験片(裸材と上記条件でスケール付けをお
こなったもの)に塗布後、水蒸気を飽和させた恒温槽中
に90℃で100 時間加熱保持する試験を行った後試験片を
縦断し、裸材では縦断面の最大孔食深さを、スケール付
き材では縦断面のすきま腐食発生の有無を、それぞれ光
学顕微鏡で観察した。
【0053】時効後靱性は、600 ℃で10000 時間の時効
試験を行い、時効後の0℃シャルピー衝撃値(試験片 J
IS4号、ハーフシャルピー)により評価した。
【0054】クリープ破断強度は、Larson−Miller(ラ
ーソン−ミラー)パラメーター法により600 ℃クリープ
破断強度の105 時間外挿値により評価した。
【0055】表3および表4にこれらの試験結果を示
す。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】表3および表4に示すように、本発明合金
1〜36ではいずれも高温硫化腐食による腐食減量は1mg
/cm2以下である。既存合金(既1、既2)では腐食減量
がそれぞれ18.2mg/cm2、16.9mg/cm2であることを勘案す
ると、高温硫化腐食に対する抵抗性は本発明合金では既
存合金の10倍以上であることが確認された。
【0059】本発明合金1〜36では最大孔食深さがいず
れも5μm 以下であり、本発明合金の酸露点に対する抵
抗性も問題がないことがわかる。また本発明合金1〜36
の時効後靱性は、105 時間使用を想定した加熱条件でい
ずれも140 J/cm2以上の値を示し、本発明合金1〜36は
耐高温硫化腐食性、耐酸露点腐食性、時効後靱性に優れ
たオーステナイト合金であるといえる。
【0060】本発明合金はクリープ破断強度も良好であ
る。例えば符号1の合金では600 ℃クリープ破断強度の
105 時間外挿値は180 MPa を示し、SUS347H の600 ℃
クリープ破断強度の105 時間外挿値の160 MPa よりや
や高い値となっている。
【0061】これに対し比較合金および既存合金(既
1、既2)では、耐高温硫化腐食性、耐酸露点腐食性、
時効後靱性のいずれかで問題点を有している。
【0062】
【発明の効果】本発明合金は、石炭ガス化プラントの過
熱器管の腐食環境でメタル温度が 600℃までの温度範囲
で優れた耐高温硫化腐食性、耐酸露点腐食性を有すると
ともに、優れたクリープ破断強度と組織安定性を有す
る。本発明合金の600 ℃までのクリープ破断強度は、SU
S347H と同等以上である。本発明合金は、溶接施工性
(溶接高温割れ性)、管の曲げ加工性も SUS347H並みで
ある。本発明合金によるチューブを過熱器管などに施工
するに際しても、施工条件は従来鋼であるSUS347H と同
じじでよく、既存の設備で十分施工が可能である。本発
明合金を用いることで、品質上、経済上はもとより施工
面でも極めて有用な効果がもたらされる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.01〜0.10%、Si: 1.5〜
    3.5 %、Mn: 1.5〜5.0 %、Cr:26〜32%、Ni:20〜30
    %、Mo: 0.5〜3 %、N:0.3 〜0.6 %および希土類元
    素:0.02〜0.10%を含有し、さらに、Nb、TiおよびZrの
    うちの1種または2種以上の合計で0〜1 %、Mgおよび
    Caのうちの1種または2種の合計で0〜0.01%、B:0
    〜0.01%、Al:0〜0.1 %を含み、残部がFeおよび不可
    避的不純物からなることを特徴とするスケ−ルの密着性
    および耐食性に優れた石炭ガス化プラント過熱器管用耐
    食合金。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7815848B2 (en) 2006-05-08 2010-10-19 Huntington Alloys Corporation Corrosion resistant alloy and components made therefrom
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