JPH07126814A - 石炭ガス化プラント伝熱管用耐食合金 - Google Patents

石炭ガス化プラント伝熱管用耐食合金

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JPH07126814A
JPH07126814A JP29462493A JP29462493A JPH07126814A JP H07126814 A JPH07126814 A JP H07126814A JP 29462493 A JP29462493 A JP 29462493A JP 29462493 A JP29462493 A JP 29462493A JP H07126814 A JPH07126814 A JP H07126814A
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JP
Japan
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alloy
corrosion
high temperature
coal gasification
resistance
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JP29462493A
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Nobuo Otsuka
伸夫 大塚
Shigeru Tokura
茂 戸倉
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 石炭ガス化プラント、特に石炭ガス化複合発
電プラントの合成ガス冷却機器に配設される過熱器等の
伝熱管用材料に適する耐食合金を提供する。 【構成】 C:0.01〜0.10%、Si:1.5〜3.
5%、Mn:0.20%以下、Cr:26〜32%、N
i:25〜35%、Mo:0.5〜3%、N:0.1〜
0.35%、希土類元素を0.02〜0.10%、残部が
Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする。
さらに必要に応じて、所定量のNb、Ti、Zr、M
g、Ca、Al、Bの1種以上を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は石炭ガス化プラント、特に石炭ガ
ス化複合発電プラントの合成ガス冷却機器に配設される
過熱器等の伝熱管の構造材料として好適な耐食合金に関
する。
【0002】近年、地球環境問題の観点から、クリーン
な燃料を用いた高効率発電への指向が一段と強まってい
る。天然ガス(LNG)を燃料とする高効率のガスター
ビン複合発電はすでに実用化され、現在いくつかの発電
機が稼働中であるが、エネルギー資源の安定確保の点か
ら天然ガスに換えて石炭を燃料とする高効率発電の実用
化が強く望まれている。石炭ガス化複合発電は石炭加圧
流動床ボイラによる発電とともに石炭利用の高効率発電
が可能な有力なシステムであり、世界的に見ても実証プ
ラントがオランダにおいて建設をほぼ終えた段階にまで
到達している。
【0003】石炭ガス化複合発電において、発電効率を
さらに飛躍的に高めるためには、900℃以上の高温の
合成ガスの顕熱を有効に活用して蒸気を過熱する過熱器
を設置する必要がある。しかしながら、過熱器では伝熱
管と高温で接触する合成ガスは多量のCO,H2を含有
する強い還元性を示し、炭種によっては極めて腐食性の
強いH2S,HClを含むため、かかる機器は高温硫化
腐食を受けることおよび高温硫化腐食は伝熱管のメタル
温度に強く依存し、メタル温度が高いほど腐食は厳しい
ことが知られている。(例えば、S.Araki et al.“Eval
uation for Corrosion Resistance of Tube Material i
n Coal Gasification Atmosphere”Proc. ASM Material
Workshop '87, pp 97〜104) なお、合成ガスの組成は、例えば、次のとおりである。
2:約30%、H2O:約20%、CO:約40%、C
2:約10%、H2S:約0.5%、HCl:約0.1
%。
【0004】従来技術ではメタル温度で350〜400
℃前後の伝熱管の設置がせいぜいで、高効率発電が狙え
る蒸気温度600℃クラスの過熱器の伝熱管は、400
〜650℃の温度域で耐高温硫化性を有し、かつ高温強
度にも優れたボイラチューブ材が見当たらないため、設
置できない状況にあった。そして、それ以上の高温度で
硫化腐食に耐える過熱器の伝熱管用の材料は未だ開発さ
れていない。
【0005】石炭ガス化用機器の内部には停缶時に水分
が結露してClを含む酸が生成する。その酸水溶液は、
例えば、HCl:0.06%、H2SO4:0.2%、N
a:0.05%を含み、pH約4.5である。このため、
市販のステンレス鋼、耐食合金では孔食を発生しやすい
腐食環境に曝されることも知られており(例えば W.T.B
akker et al.“Laboratory Study of Superheater Corr
osion in Coal Gasification Power Plants”April 17
〜21,1989, pp525〜525/13)、かかる部位には高温強度
に加え高温硫化腐食とともに酸露点腐食に対しても優れ
た抵抗性を有する伝熱管用の材料が必要となる。
【0006】石炭ガス化機器用材料としては種々の合金
がすでに提案されているが,メタル温度が600℃を超
える高温硫化環境に耐えかつ酸露点腐食に対しても優れ
た抵抗性を有するとともに、伝熱管用として高温強度も
あり、長時間の使用による加熱脆化も少なく、耐圧部材
として安心して使用できる経済的な合金は見当たらない
のが現状である。
【0007】従来の知見、例えば特開昭58−8195
3号公報によれば、Nbを6〜20%含み残部が鉄から
なる合金が提案されたが、この合金は通常の製管プロセ
スでは伝熱管に製造できない。また、特開昭59−22
9468号公報では、Al添加合金が提案されている
が、高温における耐食性は良好なものの、Mo、Nを含
有しないことから、酸露点腐食に弱い欠点を有する。ま
た、特開昭60−215747号公報および特開昭62
ー164852号公報の合金の中で、Alが高いものは
高温での硫化腐食に優れた性能を有し、なかでも前者の
請求項2の合金は酸露点腐食に対しても良好な耐食性能
を示すが、オーステナイトを形成させ高温強度を付与す
るNiおよび高温硫化腐食及び酸露点腐食に対する抵抗
性を与えるCrの含有量が低すぎるために、高温に長時
間曝されると靭性劣化が著しく、また高温強度もはなは
だ不足するため、伝熱管として使用できない。
【0008】また、特開昭61−551号公報では、C
rとNi+Coを含む合金に冷間加工を施した合金が提
案されているが、本発明の後述の設計思想、、お
よびそれに関連した成分元素の組合せおよび含有量の限
定については全く意図されていない。また、本発明にお
ける石炭ガス化では腐食環境は高温酸化でなく高温硫化
のみが重要となるが、特開昭61−551号公報の場合
は高温硫化に対する課題解決手段が明かでなく、そのた
め特開昭61−551号公報の耐高温硫化性は芳しくな
く使用に耐えない。また、特開昭61−56263号公
報で提案されている合金は、酸露点腐食に対して良好な
耐食性能を示すものの、高温硫化腐食に対して耐食性が
十分でなく、また高温強度も不十分である。
【0009】また、特開昭61−113748号公報の
合金は、オーステナイトを形成させ高温強度を付与する
Niおよび高温硫化腐食及び酸露点腐食に対する抵抗性
を与えるCrの含有量が低すぎるために、高温に長時間
曝されると靭性劣化が著しく、また高温強度もはなはだ
不足する。また、高温で使用中に極めて脆い相(シグマ
相)が析出し、使用中にガラスのように脆化してしま
い、伝熱管のような耐圧容器用材料としては危なくてと
ても使用できない。特開昭62−164854号公報)
および特開昭62−164855号公報の合金は高温で
の耐硫化腐食性は良好なものの、NiおよびCrの含有
量が低すぎるために、高温強度、酸露点腐食に対する抵
抗性が劣る欠点を有する。
【0010】また、特開昭62−235459号公報の
合金はCoを8〜30%を含むため、熱間変形抵抗が高
まり、通常の製管プロセスでは非常に作りにくい。さら
にCoは非常に高価な合金元素であるため、材料コスト
が著しく上昇し、伝熱管として極めて高価なものとなっ
てしまう。特開昭62−270751号公報ではMnを
2〜30%、Tiを2〜5%含む合金が提案されている
が、NiおよびCrの含有量が低すぎるために、高温強
度、酸露点腐食に対する抵抗性が劣るという欠点を有
し、また、本合金は高温で使用中にCr炭化物が著しく
析出し、脆化してしまう欠点をも有する。
【0011】このように、高温の硫化環境における耐食
性、酸露点腐食に対する耐食性とともに長時間使用時の
組織安定性、高温強度、さらには施工性(曲げ加工性、
溶接性)、経済性等の点を勘案すると、すべての性能を
満足する耐食合金は未だないのが実情であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑
み、石炭ガス化複合プラントにおいて、メタル温度で6
50℃までの温度域で伝熱管として過熱器に使用可能な
経済性に優れた耐食合金の開発が待ち望まれており、特
に、通常の製管プロセスで容易に製管でき、耐食性は従
来使用されているAlloy 800(NCF800)あるいはAlloy 2
8 の10倍以上、高温強度はSUS 347 H と同等以上で、
長時間使用に際して著しい加熱脆化がなく、通常の施工
法で溶接、曲げ加工が可能な経済性にも優れた伝熱管用
材料材の開発が期待されてきたところである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題解決のために、鋭意研究の結果、 高温硫化腐食に対する抵抗性を、図3に示すような
極めて強固な保護性を有する上層がCr23で下層がS
iO2の二層被膜(以下、Cr23/SiO2二層被膜と
称す)を合金表面に生成させることで達成する、 酸露点腐食に対する抵抗性はCrとMoとNの複合
添加により確保する、 高温強度は母材を完全オーステナイト組織にすると
ともに、CとN添加で確保する、 との設.計思想に基づいて本発明を完成した。
【0014】この二層被膜は、本発明合金の使用時に不
働態被膜として生成し合金地金を環境から遮断する結
果、耐食性が確保されるものである。この二層被膜の構
造は図3に模式的に示すとおりであり、地金の上に形成
されたほぼ純粋なSiO2下層とさらにその上に形成さ
れたほぼ純粋なCr23の上層から成るものである。
【0015】本願発明の最大特徴は項に示したように
保護性のCr23/SiO2二層被膜の耐久性を合金中
のMn量の現象および希土類元素添加の相乗効果により
飛躍的に高めた点にある。とくにMnの作用については
本願発明で初めて明らかにしたもので、以下のメカニズ
ムに基づくものである。すなわち、Mnは酸素との親和
力が強いため、高温の使用環境では合金表面に酸化物と
して濃縮するが、Cr23などの保護性酸化スケールが
同時に形成されると、MnOはCr23/SiO2二層
被膜中に固溶してしまい、保護被膜の安定性を損ねる作
用のあることを明かにした。そこで本願では合金中のM
n量を意図的に低めることで保護性Cr23/SiO2
二層被膜の環境遮断特性を飛躍的に高めることに成功し
たのである。
【0016】また、Mn含有量を低下させることで、合
金の加熱脆化の一因となる脆いシグマ相の析出挙動が顕
著に抑制され、長時間の加熱脆化特性が著しく改善され
る良好な結果も付随して得られた。
【0017】課題解決手段としての本発明の構成は、以
下のとおりである。 (1) C:0.01〜0.10%、Si:1.5〜3.5
%、Mn:0.20%以下、Cr:26〜32%、N
i:25〜35%、Mo:0.5〜3%、N:0.1〜
0.35%、希土類元素を0.02〜0.10%、残部が
Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする石
炭ガス化プラント伝熱管用耐食合金。
【0018】(2) さらにNb、Ti、Zrのうちか
ら選ばれた1種または2種以上を合計で0.1〜1%含
有することを特徴とする上記1記載の石炭ガス化プラン
ト伝熱管用耐食合金。
【0019】(3)さらにMg:0.001〜0.01
%、Ca:0.001〜0.01%およびAl:0.02
〜0.1%のうちの1種以上を含有することを特徴とす
る上記1または2記載の石炭ガス化プラント伝熱管用耐
食合金。
【0020】(4)さらにBを0.001〜0.01%を
含有することを特徴とする上記1、2または3記載の石
炭ガス化プラント伝熱管用耐食合金。
【0021】
【作 用】つぎに、本発明の耐食合金の成分元素の含有
量を数値限定した理由について説明する。Cは高温強度
を高めるために通常添加される。この効果は0.01%
以上で発揮されるが、0.1%を超えて添加すると、高
温使用中に結晶粒界を中心に塊状のCr炭化物を析出
し、耐食性を劣化させるとともに靱性低下も招くことか
ら、上限を0.1%とした。
【0022】Siは上述のように高温硫化腐食環境下
で、Crとともに合金に優れた耐食性を付与する元素で
あり、この効果は1.5%を超える含有量で顕著となる
ことから下限を1.5%とした。3.5%を超える添加で
加熱時にシグマ相が生成し脆化を招くとともに溶接時の
高温割れ感受性が顕著になるため、上限を3.5%とし
た。
【0023】Mnはオーステナイト形成元素であるとと
もに脱酸剤として、また溶解原料からの混入の形で従来
技術では通常0.5〜1.5%程度添加される。しかしな
がら本願発明では上述のように高温硫化に対し保護被膜
として作用するCr23/SiO2二層被膜の安定性を
飛躍的に高めるため、その含有量を0.2%以下とし
た。またMn含有量を0.2%以下とすることで、靱性
低下を引き起こす原因の一つとなるシグマ相の析出が抑
制され、加熱脆化特性の改善効果も得られる。このMn
の限定は、本願の合金では脱酸を主としてSiで行うこ
とが可能なため、経済性を犠牲にすることなく可能とな
った。
【0024】Crは高温硫化腐食および酸露点腐食に対
する抵抗性を改善するために添加する。高温硫化腐食に
対する抵抗性は前述のSi、Mn希土類元素の組合せに
より発揮されるが、その効果は26%以上で保護性を有
するCr23/SiO2二層被膜の均一生成が顕著とな
る。反面32%を超える添加だと長時間加熱に脆いα−
Cr相が析出し、材料が脆化するため、上限を32%と
した。
【0025】Niはオーステナイト形成元素であり、金
属をオーステナイト組織にするために添加される。本願
の発明ではNi含有量が25%より低くなると部分的に
δ−フェライト組織が生成することから、下限を25%
とした。材料をオーステナイト組織にするのは、主とし
て高温強度を確保するためである。Niは高価な合金元
素でもあることから、この上限を35%とした。
【0026】Niは酸露点腐食環境下で管まげ部や溶接
継手部などの応力集中部で発生する危険性のある応力腐
食割れに対して極めて有効な合金元素でもあり、Niを
25%以上含有する合金においては応力割れは実質上発
生しなくなる。このため、本発明鋼では管まげ部や溶接
継手部の応力除去焼鈍を実施する必要がなく、施工コス
トの低減が可能である。
【0027】Moは通常湿食環境でステンレス鋼の耐食
性を改善するために添加される元素であり、本発明の様
な石炭ガス化プラントにおいても酸露点腐食に対する抵
抗性をCrとNとともに高めるために添加する。その効
果は0.5%以上で顕著となり、3%を超える添加でそ
の効果が飽和するため上限を3%とした。
【0028】Nはオーステナイト組織の安定化に寄与す
るのみならず、高温強度を高める作用を有する。また、
酸露点腐食における耐食性を高める作用もある良好な合
金元素である。その作用は0.1%を超える含有量で顕
著となるので下限を0.1%とした。本発明の成分系で
は通常の溶製法では0.35%を超える含有量とするこ
とが困難であることから、上限を0.35%とした。
【0029】Y、Ce、La等の希土類元素は鋼中の微
量Sを固定してCr23等の保護被膜の密着性を改善
し、高温硫化腐食などに対する保護性Cr23 スケー
ルの安定性を改善させ、耐食性を向上させることから添
加する。この効果は0.02%以上で発揮されるが、0.
1%を超える添加で脆い金属間化合物が析出するため、
その上限を0.1%とした。ミッシュメタルとして相当
量を添加してもよい。
【0030】Nb、TiおよびZrはいずれも炭化物を
形成しやすいので、炭化物析出による合金の高温強度を
さらに向上させるとともに、鋼中のCを固定して、Cr
炭化物の析出を抑制し、酸露点腐食に対する抵抗性の劣
化を防止する作用を有する。これらの元素の含有量が1
種または2種以上の合計で0.1%未満の場合は添加の
高価が得られず、1%を超えて添加させると効果が飽和
するため上限を1%とした。
【0031】Mg、Ca、Alは活性元素で、熱間加工
性を悪化させる主要因である合金中のSやOを固定する
作用を有するため、熱間加工性の向上を目的として添加
する。Mg、Caについては合計で0.001%以上の
添加が有効であるが、0.01%を超える添加で低融点
のMg−Ni、Ca−Ni化合物を形成し、逆に熱間加
工性を悪化させるため上限を0.01%とした。また、
Alについては、0.02%以上の添加が熱間加工性の
向上のために有効であるが、0.1%を超えるとクリー
プ延性が低下するので、その上限値を0.1%とする。
【0032】Bは結晶粒界を強化する作用を有するの
で、合金の高温強度を高める目的で添加する。その効果
は0.001%以上で顕著となるが、0.01%と超える
と溶接高温割れ感受性が高まるため、上限を0.01%
とした。
【0033】上述のように、酸露点腐食に対する抵抗性
は、CrとMoとNの複合添加により、確保するもので
あるが、この詳細な酸露点腐食防止のメカニズムは未だ
完全には明らかになっていない。しかし、この抵抗性は
複合添加されたCrとMoとNの相乗作用によって発揮
されるもので、下記の式を満足する場合に顕著となるこ
とが実験的に確認されている。
【0034】
【数1】Cr+3Mo+10N≧30
【0035】
【実施例】表1に化学成分を示す41種の合金1〜41
(合金1〜36は本発明合金、比1〜5は比較合金)を
真空溶解炉で500kgづつ溶製し、得られた外径18
5mmの丸インゴットをそのまま外径180mm、内径40
mmの中空ビレットに切削加工し、この中空ビレットを1
250℃の温度で加熱しユジーンセジュルネ方式の熱間
押出機で外径61.5mm、肉厚5.75mmの押出素管を製
造した。素管は冷間抽伸後成品熱処理を1150℃でそ
れぞれ行い、外径50.8mm、肉厚8mmの伝熱管を製造
した。
【0036】
【表1】
【0037】従来石炭ガス化プラントの加熱器の伝熱管
に用いられたNCF800合金を既1、Alloy 28合金を既2と
して示す。既1の合金は本発明合金とSi、Mn、C
r、Mo、N、RE、Alの成分範囲が異なる。また既
2の合金はSi、Mn、Mo、RE、N、Cuの成分範
囲が異なる。
【0038】表2に高温硫化および酸露点腐食に対する
抵抗性を、また時効後靱性を示す。各特性の評価法とし
てそれぞれ次の方法を用いた。
【0039】耐高温硫化腐食性は管肉厚中央部から採取
した長さ25mm、幅15mm、厚3mmの腐食試験片をガス
化炉の合成ガスを模擬した30%H2−15%H2O−4
0%CO−10%CO2−1%H2S−0.1%Cl−b
al.N2混合ガス気流中 650℃で100時間加熱
し、脱スケールによる腐食減量を測定した。
【0040】
【表2】
【0041】耐酸露点腐食性は、石炭ガス化実炉の蒸発
管付着灰を試験片に塗布後、水蒸気を飽和させた恒温槽
中に90℃で100時間加熱保持して、試験後縦断面の
最大孔食深さを光学顕微鏡で観察することによって評価
した。
【0042】時効後靱性は、700℃で5192時間の
時効処理後、JIS4号試験片を用いたハーフシャルピ
ー試験により0℃シャルピー衝撃値を測定して評価し
た。上記の時効処理の温度と時間は、下記の式で表され
るラーソン−ミラー(Larson−Miller)パ ラメーター
では650℃で105hに相当するものである。
【0043】
【数2】ラーソン−ミラーパ ラメーター=(T+27
3)×(20+logt) Tは温度(℃)、tは時間(h)
【0044】表2によると、本発明合金1〜36は、い
ずれも高温硫化腐食による腐食減量は1mg/cm2以下で
既存合金(既1、既2)がそれぞれ53.9mg/cm2、2
8.4mg/cm2であることを勘案すると、高温硫化腐食に
対する抵抗性は本発明合金では既存合金の10倍以上で
あることが確認された。また酸露点に対する抵抗性も本
発明合金は最大孔食深さがいずれも5μm以下で問題が
ないことがわかる。また時効後靱性は105h使用を想定
した加熱条件で本発明合金はいずれも68J/cm2以上の
値を示し、本発明合金1〜36は耐高温硫化腐食性、耐
酸露点腐食性、時効後靱性に優れたオーステナイト合金
である。
【0045】また本発明合金はクリープ破断強度も良好
であり、例えば符号1の合金でラーソン−ミラーパラメ
ーター法による650℃クリープ破断強度の105h外挿
値は90MPaであり、SUS 347 Hの650℃クリープ
破断強度の105h外挿値の77MPaよりやや高い値を
有している。
【0046】これに対し既存合金(既1、既2)では耐
高温硫化腐食性、耐酸露点腐食性、時効後靱性のいずれ
かで問題点を有している。
【0047】表1に比較合金(比1〜5)を掲げた。こ
れらの合金から本発明と同じ工程で伝熱管を製造をした
ものである。比1、比2の合金はCr、Mo、Nを所定
量含むため酸露点腐食に対する抵抗性は優れるものの、
Mnが0.51%、1.49%と高いため、耐高温硫化腐
食性および時効後靱性に問題がある。比3の合金は希土
類元素の添加がないため、耐酸露点腐食性、時効後靱性
は優れるものの、保護性酸化スケールの安定性が劣るた
め、耐高温硫化性が悪い。比4、比5の合金もSi量が
不十分なため、酸露点、時効後靱性については問題がな
いものの耐高温硫化腐食性は芳しくなく、既存合金より
は耐食性は良好なものの本発明合金よりは顕著に劣る。
【0048】本発明合金、比較合金および既存合金につ
いて、Mn量と耐高温硫化腐食性の関係をプロットする
と図1のようになる。図1から、Mn含有量を低減させ
ると合金表面に生成するCr23/SiO2二層被膜の
保護性が飛躍的に改善され、耐高温硫化腐食性が向上
し、Mn量が0.2%以下で優れた耐食性が得られるこ
とがわかる。
【0049】次に本発明合金および比較合金についてM
n量と時効後靱性の関係をプロットし、図2に示した。
Mn量を減少させるに従い、脆いシグマ相の析出が抑え
られ、時効後靱性が向上するため、Si含有合金でも優
れた組織安定性が得られるようになる。この図2から、
650℃で105h時効に相当する加熱条件(700℃で
5192h)では、Mn含有量が0.2%以下で68J/c
m2以上のシャルピー衝撃値が得られ、過熱器等の伝熱管
材料として十分使用に耐えることがわかる。
【0050】
【発明の効果】以上に述べたように本発明合金は、石炭
ガス化プラントの過熱器等の伝熱管の腐食環境でメタル
温度が650℃までの温度範囲で優れた耐食性を有する
とともに優れたクリープ破断強度、組織安定性を有す
る。本発明合金の600〜650℃のクリ−プ破断強度
はSUS 347 Hと同等以上であり、溶接施工性(耐溶接高
温割れ性)、管のまげ加工性もSUS 347 H並である。本
発明合金を過熱器等の伝熱管に施工するに際しても、施
工条件は従来鋼であるSUS 347 Hと同じでよく、既存の
設備で充分施工が可能である。本発明合金は応力腐食割
れに対する抵抗性を飛躍的に高める合金元素のNiを2
5%以上含むため、過熱器等の伝熱管パネルに管を施工
する際必要な溶接継手部や冷間曲げ部の応力除去焼鈍が
不要となり、施工コスト上も有利である。このように本
発明合金を用いることで品質上、経済上はもとより施工
面でもきわめて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の合金のMn含有量と高温の硫化環境に
おける腐食減量との関係を示すグラフである。
【図2】本発明の合金のMn含有量と長時間時効後のシ
ャルピ−衝撃値との関係を示すグラフである。
【図3】Cr23/SiO2二層被膜の構造を示す概念
図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.01〜0.10%、Si:1.5
    〜3.5%、Mn:0.20%以下、Cr:26〜32
    %、Ni:25〜35%、Mo:0.5〜3%、N:0.
    1〜0.35%、希土類元素を0.02〜0.10%、残
    部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
    る石炭ガス化プラント伝熱器用耐食合金。
  2. 【請求項2】 さらにNb、Ti、Zrのうちから選ば
    れた1種または2種以上を合計で0.1〜1%含有する
    ことを特徴とする請求項1記載の石炭ガス化プラント伝
    熱管用耐食合金。
  3. 【請求項3】 さらにMg:0.001〜0.01%、C
    a:0.001〜0.01%およびAl:0.02〜0.1
    %のうちの1種以上を含有することを特徴とする請求項
    1または2記載の石炭ガス化プラント伝熱管用耐食合
    金。
  4. 【請求項4】 さらにBを0.001〜0.01%を含有
    することを特徴とする請求項1、2または3記載の石炭
    ガス化プラント伝熱管用耐食合金。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100486378B1 (ko) * 2002-09-24 2005-04-29 서정식 코크스 제조용 오븐 도어의 연와 고정용 리테이너 합금강
CN105509539A (zh) * 2015-12-21 2016-04-20 江苏格林威尔金属材料科技有限公司 一种新型钛合金散热器

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