JPH08130925A - 育苗用播種設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 精度よく所望パターンでの播種を行うことの
できる育苗用播種設備を提供する。 【構成】 コンベア２で搬送される育苗箱１の床土面上
に、播種装置５の種籾繰出部１６から種籾を繰り出して
落下供給する育苗用播種設備であって、育苗箱１の床土
面と播種装置５の種籾繰出部１６との上下間隔を狭くす
るように、種籾繰出部１６の下方を育苗箱１が通過する
ことに連動して、育苗箱１を上昇させる上昇移動手段２
６を設けてある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンベアで搬送される
育苗箱の床土面上に、播種装置の種籾繰出部から種籾を
繰り出して落下供給する育苗用播種設備に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の育苗用播種設備として
は、例えば特開平２‐２６５４０１号公報に開示されて
いるように、育苗箱がコンベアで一定の水平姿勢を保っ
た状態で搬送されながら、その育苗箱内に充填された床
土面上に播種装置の種籾繰出部から繰り出された種籾を
落下供給する構造にしており、床土面上において種籾を
育苗箱の搬送方向（通常育苗箱の長手方向）に沿って条
播するように一粒ずつ繰り出されるように構成してあっ
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来構造のものでは、育苗箱の上端縁が種籾繰出部に接触
しないだけの余裕のある状態で、育苗箱は播種装置の種
籾繰出部と常時一定の上下位置関係に維持されながら搬
送されるものであり、従って、育苗箱に対する種籾繰出
部の高さは比較的高いものとなって、種籾の種籾繰出部
からの落下距離が比較的長いものとなっており、このた
め、床土面上に落下した衝撃で種籾が移動し易くなっ
て、条播精度が低下することがあった。そこで、育苗箱
と播種装置の種籾繰出部との上下間隔を小さくするため
に、播種装置の種籾繰出部を上下位置変更可能に構成し
て、育苗箱に播種する際には通常の位置より下降させる
ように構成することが考えられるが、比較的大型の構造
を成す種籾繰出部を上下位置変更するための装置は大掛
かりなものとなりコスト高を招くとともにその構成とし
ての実現性が低いものである。本発明は、上記実情に鑑
みてなされたものであって、精度の高い播種を行うこと
のできる育苗用播種設備の提供を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる育苗用播
種設備は、上記目的を達成するために、コンベアで搬送
される育苗箱の床土面上に、播種装置の種籾繰出部から
種籾を繰り出して落下供給する育苗用播種設備におい
て、前記育苗箱の床土面と前記播種装置の種籾繰出部と
の上下間隔を狭くするように、前記種籾繰出部の下方を
前記育苗箱が通過することに連動して、前記育苗箱を上
昇させる上昇移動手段を設けてあることを特徴構成とす
る。かかる特徴構成による作用・効果は次の通りであ
る。

【０００５】

【作用】即ち、コンベアで搬送される育苗箱の床土面上
に、育苗箱の床土面と播種装置の種籾繰出部との上下間
隔を狭くするように、種籾繰出部の下方を前記育苗箱が
通過することに連動して、前記育苗箱を上昇させる上昇
移動手段を設けてあるから、育苗箱は種籾繰出部の下方
を通過していく際に上昇移動手段によって通常搬送され
るときよりも上昇させられることになって、種籾繰出部
と育苗箱の床土面との間隔を狭くするので、種籾繰出部
から落下距離をかなり短いものにできる。

【０００６】

【発明の効果】従って、比較的軽量の育苗箱の方を上下
位置変更するので、上昇移動手段の構成も簡易なものに
できるとともに、落下距離が短いので種籾が床土面上に
落ちたときの衝撃による移動もほとんど無いようにでき
て、床土面上において種籾が所定のパターンで播種され
ることになる。これにより、機械による移植に適した列
状に配列される良好な苗を得ることができるよう育苗さ
れることになり、移植不良等を発生しにくい良好な苗を
得ることができるに至った。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図３に、稲の種籾を育苗箱１に播種するための育
苗設備の概略を示している。すなわち、この育苗設備
は、複数段に積み重ね状態で供給される育苗箱１を１個
づつ自動的にコンベア２に供給する育苗箱供給機構３、
コンベア２で搬送される育苗箱１に対して順次自動で床
土を供給する床土供給装置４、床土上に種籾を播いてい
く播種装置５、播種された種籾を薄く覆うための土を供
給する覆土供給装置６等をその順序で直列配置させて構
成している。

【０００８】以下、播種装置５について説明する。図１
及び図２に示すように、支持フレーム８を介してコンベ
ア２に種籾タンク７を取り付けている。そして、支持フ
レーム８の種籾タンク７の下方箇所に種籾を繰り出すた
めに回転駆動（図１において右回りに回転）される播種
ロール９、摺り切り用ブラシ１０を回転自在に設けてい
る。種籾タンク７からの種籾を播種ロール９に供給する
種籾溜まり１１を種籾タンク７の下方で播種ロール９と
の間に形成し、種籾溜まり１１に配置した繰出しブラシ
１２及び攪拌具１３を回転駆動可能に支持フレーム８に
取り付けている。播種ロール９の外周面には、種籾を一
粒のみ入り込ますことのできる凹部１４を、周方向に一
定間隔おきにかつ播種ロール９の軸心方向に複数列（具
体的には例えば１６列）を成すように配列されて設けて
いる。そして、図示しない電動モータで回転駆動される
前記摺り切り用ブラシ１０によって播種ロール９の上端
通過時においては各凹部１４に一粒づつ種籾が入り込ん
だ状態に摺り切りがなされ、その播種ロール９の上端通
過位置より下方へ回り込む箇所に配設された種籾保持ガ
イド１５で凹部１４内に種籾を保持するようにしてい
る。種籾保持ガイド１５は播種ロール９の下端位置に至
るまで種籾を凹部１４内に保持するようにしており、播
種ロール９の回転に伴いその播種ロール９の下端位置に
至った凹部１４から種籾が自然落下する。ここで、種籾
保持ガイド１５の下端部及び播種ロール９の下端部の種
籾が播種ロール９の凹部１４から自然落下する箇所は種
籾繰出部１６を構成している。

【０００９】育苗箱１はほぼ連続的にコンベア２で搬送
されるものである。コンベア２は、搬送用ローラＲが搬
送経路に沿って左右一対のフレーム１７，１７に複数個
並設され、チェーン伝動により各搬送用ローラＲが回転
駆動されるように構成している。そして、種籾繰出部１
６の直下方の搬送用ローラ１８の支軸１９がフレーム１
７，１７に形成した縦長の長孔２０，２０に上下位置変
更可能に挿通させてあり、その支軸１９の両端部をそれ
ぞれ上下位置変更自在にコイルスプリング２１，２１で
弾性的に上方に付勢される状態で支持している。すなわ
ち、図２に示すように、支軸１９の両端部をそれぞれボ
ス２２，２２で回転自在に支持し、各ボス２２，２２に
は棒体２３，２３が上方に延出された状態で連設され、
各フレーム１７，１７の上面部を挿通した棒体２３，２
３の鍔体２４，２４とフレーム１７，１７との間に棒体
２３，２３に外囲する状態で圧縮バネからなるコイルス
プリング２１，２１を装着している。図中、２５は、搬
送用ローラ１８を回転駆動するためのチェーン伝動機構
を構成するスプロケットである。この構成により、搬送
用ローラ１８は、コイルスプリング２１，２１による上
方への弾性的な付勢によって、他の搬送用ローラＲより
も１５ミリメートル程度上方に位置するものとなってい
る。そして、図１に示すように、コンベア２を搬送され
てきた育苗箱１は、搬送用ローラ１８に乗り上げること
になって、その乗り上げた箇所において上方に持ち上げ
られることになる。その持ち上げによって、先ず育苗箱
１の前端の上縁部は種籾保持ガイド１５の外周下部に接
当し、さらに育苗箱１が前進すると、種籾保持ガイド１
５と育苗箱１の前端の上縁部との接当が解除され、育苗
箱１の左右の縦壁１ａ，１ａの上端縁に播種ロール９の
左右側端部の下端が接当することになる。そのため、種
籾繰出部１６の位置においては、育苗箱１は通常の搬送
位置よりも高く位置することになって、育苗箱１内に充
填された床土上面と種籾繰出部１６との上下間隔が狭い
ものとなって、種籾繰出部１６から繰り出された種籾の
落下距離が短くなるから、床土上に落ちた種籾は散乱す
ることなく、複数列の条を良好に形成成する状態で床土
上に供給されることになる。ここで、コイルスプリング
２１、搬送用ローラ１８、支軸１９等は育苗箱１を種籾
繰出部１６へ近接させるように育苗箱１を上昇させる上
昇移動手段２６を構成している。

【００１０】〔別実施例〕 上記実施例では、稲用の育苗用播種設備を示したが、
野菜類等の育苗用播種設備に利用しても良い。 上記実施例では、播種ロール９が育苗箱１の左右の縦
壁１ａ，１ａ間の幅内において同一径に形成したものを
示したが、図４に示すように、左右の縦壁１ａ，１ａ位
置に対応する部分は小径に形成しても良い。このよう
に、構成すると、その小径箇所と育苗箱１の左右の縦壁
１ａ，１ａの上縁部とが接当して育苗箱１の上昇側への
位置規制がより上方側で位置規制されることになるか
ら、種籾繰出部１６と育苗箱１の床土上面との間隔がよ
り一層小さいものにでき、播種された種籾の床土上面で
の並設姿勢にみだれが無い良好な播種を行うことができ
る。 図５に示すように、上昇移動手段を、２本又は３本の
搬送用ローラＲをリンク機構２７を利用して連動して昇
降自在に支持し、スプリングで上昇がわに弾性付勢され
るように構成しても良い。このように構成すると、育苗
箱１は種籾繰出部１６位置を通過する際に水平姿勢を保
ったまま種籾繰出部１６に近接するよう上昇させること
ができて、育苗箱１が傾いた姿勢で種籾の供給がなされ
ることがなく、育苗箱１の床土面上により一層良好な列
を描くように種籾供給がなされる。 種籾繰出部の直下方を育苗箱が通過しているか否かを
検出するセンサを設け、このセンサが種籾繰出部の直下
方を育苗箱が通過していることを検出しているときは、
その育苗箱が通過中の搬送用ローラをアクチュエータ
（油圧シリンダや電動モータ等）によって、上昇させる
ように構成しても良い。 播種パターンは条播・点播等を任意に設定できる。

【００１１】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】播種装置及び上昇移動手段を示す縦断側面図

【図２】播種装置及び上昇移動手段を示す縦断正面図

【図３】育苗箱に播種するための育苗設備を示す概略側
面図

【図４】別実施例の播種装置及び上昇移動手段を示す縦
断正面図

【図５】別実施例の播種装置及び上昇移動手段を示す縦
断側面図

【符号の説明】

１ 育苗箱 ２ コンベア ５ 播種装置 １６ 種籾繰出部 ２６ 上昇移動手段

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンベア（２）で搬送される育苗箱
   （１）の床土面上に、播種装置（５）の種籾繰出部（１
   ６）から種籾を繰り出して落下供給する育苗用播種設備
   であって、前記育苗箱（１）の床土面と前記播種装置
   （５）の種籾繰出部（１６）との上下間隔を狭くするよ
   うに、前記種籾繰出部（１６）の下方を前記育苗箱
   （１）が通過することに連動して、前記育苗箱（１）を
   上昇させる上昇移動手段（２６）を設けてある育苗用播
   種設備。