JPH08128647A - 高周波加熱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 結露した水滴が食品の上に滴下して食品をべ
とべとにする事を防止した蒸気発生装置を備えた高周波
加熱装置を提供する。 【構成】 加熱室２１内に電波を照射するマグネトロン
２３と、加熱室２１内にはマグネトロン２３と食品２８
との間に、蓋３２付きの蒸気容器３０を設け、電波加熱
により発生した蒸気を蒸気容器３０と蓋３２との間の小
隙間３６から加熱室２１内に放出し、食品を蒸気と電波
で加熱する。 【効果】 蒸気を放出する小隙間の幅を水滴よりも小さ
くする事によって、蓋の内側面で結露した水滴を加熱室
内の食品の上に落とすことなく、蒸気容器内へ戻す事が
できる為、食品をべとつかせず、おいしく加熱する事が
できると同時に、水滴を蒸気に再利用できる為、蒸気の
発生効率を高める事ができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電波で被加熱物を加熱す
る高周波加熱装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】以下図３、図４、図５と共に従来例につ
いて説明する。

【０００３】図３は従来の高周波加熱装置の断面図であ
る。加熱室１には上面に高周波発生手段であるマグネト
ロン２を設けている。加熱室１内の食品３はマグネトロ
ン２からの電波によって高周波加熱される。

【０００４】図４は従来の他の高周波加熱装置の断面図
である。加熱室４にはマグネトロン５を設けている。加
熱室４内には低誘電率材料で構成した容器６を設け、底
部に水７を入れている。容器６の上には金属製の容器８
を設ける。容器８の底面には小穴９を設けている。容器
８には食品１０を載置する。容器８の上面は金属製の蓋
１１でカバーする。マグネトロン５からの電波は容器６
内の水７を高周波加熱し、蒸気を発生する。この蒸気は
小穴９から容器８内に入り、食品１０をスチーム加熱す
る。

【０００５】図５は従来の他の高周波加熱装置の断面図
である。加熱室１２にはマグネトロン１３を設けてい
る。加熱室１２内には被加熱物である食品１４を設けて
いる。加熱室１２の外にはタンク１５を設け、内部に水
１６を入れる。タンク１５の底部にはヒータ１７を設
け、水１６を加熱し蒸気を発生する。発生した蒸気はパ
イプ１８を通って加熱室１２内に入る。食品１４はマグ
ネトロン１３からの電波で高周波加熱される。また食品
１４はタンク１５からの電波によってもスチーム加熱さ
れる。

【０００６】図６はもう一つの従来例を示す。加熱室上
部に設けたマグネトロン２３からの電波は、加熱室２１
内に照射される。加熱室の上部には低誘電率材料によっ
て形成した蒸気容器３０を設ける。蒸気容器３０の上面
は低誘電率材料によって構成した蓋３２を設け、蒸気容
器３０を密閉している。蒸気容器３０の中央部と蓋３２
との間には隙間部３１が設けられている。蒸気容器３０
の内部には、吸水体３３を介在させて水を存在させる。

【０００７】この構成により、加熱室内に照射された電
波はまず蒸気容器内の水を加熱する。これにより発生し
た蒸気は隙間部３１を通って加熱室２１内に放出される
為、食品はこの蒸気と電波の両方によって加熱される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成において、まず図３に示す従来例では、食品が
電波によって高周波加熱されるときに食品から水分が蒸
発する。これにより食品の水分が抜けて乾燥ぎみになる
ので、硬くなったり、パサパサになってしまって、おい
しくしっとりとした仕上がり状態が得られなかった。こ
の欠点を少しでも改善するために食品をラップでくるん
で加熱する方法も実施されているが、ラップに水分がつ
く分は食品の水分が蒸発していることであり、水分の蒸
発を防ぐことは十分でなかった。また食品をいちいちラ
ップでくるむことは、面倒でもあるし省資源の面でも好
ましくなかった。

【０００９】また図４に示す従来例では、食品はスチー
ムによって加熱されるので食品の水分が蒸発することは
防げたが、電波でいったん水を加熱しそれによって発生
するスチームによって加熱するので、効率が悪くなり加
熱時間がかかり、電波加熱のスピード性という特長が発
揮できなくなる。調理の出来映えとしても食品に蒸気に
よる水分が加わりすぎて、べとべとになり好ましくなか
った。

【００１０】また食品の加熱室への出し入れも容器６、
容器８、蓋、水と一緒に行うことになり、重く扱いにく
いものであった。

【００１１】また図５に示す従来例では、タンクやヒー
タなどの蒸気を発生する装置がいる分だけ加熱装置が大
型になる。タンク内の水の入れ替えや、タンク内の汚れ
の手入れなど日常の取り扱いが面倒である。そして別に
ヒータを使用する分、構造も複雑になり、余分な電力を
必要とするので不経済である。

【００１２】また図６に示す従来例では、発生した蒸気
が蓋３２の内側面で結露し、結露した水滴が隙間部３１
から食品の上に滴下し、食品がべとべとになってしまう
という問題があった。

【００１３】いずれの従来例においても、調理の出来映
え、加熱効率、取り扱いにくさなどの欠点があり好まし
くなかった。

【００１４】そこで、本発明は図６の構成において、結
露した水滴が食品の上に滴下して食品をべとべとにして
しまう事を防止することにより、調理の出来映えの良い
蒸気発生装置を備えた高周波加熱装置を提供することを
目的としている。

【００１５】

【課題を解決するための手段】すなわち加熱室と、前記
加熱室へ電波を照射するように結合された高周波発生手
段を備え、前記加熱室内には、前記高周波発生手段と被
加熱物との間に低誘電率材料によって形成した蓋付きの
蒸気容器を着脱自在に収納し、前記蒸気容器内には水を
吸収する吸水体を設け、前記吸水体には蒸気を発生する
ための水を吸収させて設け、前記蒸気容器と前記蓋との
間に設けた隙間から蒸気を庫内に放出する構成にし、前
記隙間は前記蒸気容器叉は蓋のどちらかに設けた複数の
リブによって形成した構成とし、高周波及び蒸気によっ
て加熱調理を行う構成とした。

【００１６】また矩形のリブとリブの間の隙間の巾寸法
を約７ｍｍ以下にした構成とした。

【００１７】

【作用】本発明の高周波加熱装置は、高周波発生手段と
食品の間に設けた蒸気容器内の水を、電波が加熱し蒸気
を発生させる。蒸気容器を通過した電波と、発生した蒸
気が食品に照射され、食品を高周波加熱及びスチーム加
熱する。蒸気が食品の水分の蒸発を防止しながら、電波
とスチームの両方で加熱するので、食品の乾燥もなく、
しっとりとおいしく加熱調理できる。

【００１８】電波は蒸気容器内の水に一部吸収され、減
衰した状態で照射されるので、食品は急激な温度上昇を
抑えながら加熱され、しかも蒸気により食品を包むよう
に加熱されるので、むらのない均一な加熱を行う作用を
する。

【００１９】また蒸気容器内に水を吸収する吸水体を設
け、この吸水体の水を電波加熱することにより、蒸気容
器内で湯が突沸したり、水滴が容器外へ飛び出したりす
ることが防止でき、均一な蒸気を食品に照射する作用を
する。水は吸水体に吸収されているので、水を満たした
状態で蒸気容器を持ち運びしても、水は外にはこぼれに
くく、特に温度の高い湯の状態でも取り扱いが安全であ
る。

【００２０】また蒸気容器と蓋との隙間で形成される蒸
気の排出用の隙間部を複数のリブで形成している為、蓋
の内側で結露した水滴がこのリブとリブの間の小隙間で
ブロックされて蒸気容器内へ戻ってしまい、食品の上に
滴下することがなくなり、食品の表面がべとつかず、ま
た乾燥もせず、しっとりとおいしく加熱することができ
る。

【００２１】

【実施例】以下本発明の一実施例における高周波加熱装
置について図面とともに説明する。

【００２２】（実施例１）図１は本発明の一実施例によ
る高周波加熱装置の断面図である。図１に示すように、
加熱室２１の上部には導波管２２を連結して設ける。導
波管２２には電波発振管であるマグネトロン２３を設け
る。マグネトロン２３からの電波は、導波管２２を介し
て開口２４から加熱室２１内に照射される。電波撹拌羽
根２５はモータ２６により回転駆動し、加熱室内の電波
を均一に撹拌する。

【００２３】加熱室２１の上部には電波透過性の材料で
構成した仕切板２７を設ける。加熱室２１の底部には被
加熱物である食品２８を載置する。

【００２４】電波照射部と食品２８の間にあたる場所、
すなはち本実施例では、加熱室の上部で仕切板２７の下
部にレール２９に載置する構成で低誘電率材料によって
形成した蒸気容器３０を着脱自在に設ける。蒸気容器３
０の上面は低誘電率材料によって構成した蓋３２を設
け、蒸気容器３０を密閉している。蒸気容器３０の中央
部には蒸気容器３０の縦壁３７と蓋３２とによって形成
した隙間部３１を設ける。蒸気容器３０の内部には繊維
質材料あるいはスポンジ状の材料等のように水を吸水す
る材料によって構成した吸水体３３を介在させて水を存
在させる。

【００２５】図２は蒸気容器３０と蓋３２との間の隙間
部３１近傍の拡大断面図である。蒸気容器３０の縦壁３
７の先端には複数の矩形のリブ３５を設けており、この
リブとリブの間に巾が約７ｍｍ程度以下の小隙間３６が
略等間隔に並んでいる形になっている。

【００２６】この構成により、マグネトロン２３からの
電波は加熱室内に照射されたとき、まず蒸気容器内３０
の水、あるいは吸水体３３に吸水された水を高周波加熱
する。これにより水が加熱され、蒸気となり蒸発し、容
器３０と蓋３２の間の小隙間３６から加熱室２１内に放
出される。これにより加熱室２１内は非常に湿度の高い
高湿度の状態になり、食品２８の回りを包むとともに、
一部に蒸気は食品２８をスチーム加熱する。マグネトロ
ン２３からの電波は、上記のように蒸気容器３０内の水
を加熱する一方、残った電波は水を通過し食品２８に照
射され、食品２８を高周波加熱する。このように、食品
２８は加熱室２１内の高湿度の環境で、電波加熱とスチ
ーム加熱が同時に行われる。

【００２７】また発生した蒸気の一部は蓋３２の内側面
で結露し水滴になるが、蒸気が排出される蓋３２と蒸気
容器３０との間の小隙間３６は水滴の大きさよりも小さ
な巾になっているため、小隙間３６近傍で成長した水滴
は小隙間３６を通過して加熱室２１の方に出ていく事が
出来ずに蒸気容器３０の縦壁３７にそって流れ、蒸気容
器内へ戻る。

【００２８】

【発明の効果】以上のように本発明の高周波加熱装置に
よれば、以下の効果が得られる。

【００２９】（１）蒸気容器内の水を電波加熱すること
によって、加熱室内に蒸気を発生するので、加熱室内が
非常に高湿度の雰囲気となる。この状態で食品を電波加
熱すると、食品から水分が蒸発しようとする分と、食品
の中に入り込もうとする蒸気がバランスが取れた状態と
なり、食品の内部の水分が移動をしなくなる。

【００３０】これにより食品を加熱しても食品の中の水
分が蒸発して減少することが防止でき、食品が乾燥状態
になったり、硬くなったり、パサパサになってしまうこ
ともなく、おいしく、しっとりとした仕上がり状態が得
られることになる。

【００３１】（２）電波は蒸気容器内の水に一部吸収さ
れるので、減衰した状態で照射されるので、食品の急激
な温度上昇を抑えながら加熱され、しかも蒸気により食
品を包むように加熱されるので、むらのない均一な加熱
を行うことができるようになるり、この面からも良い加
熱の出来映えとすることができる。

【００３２】（３）従来のように、食品の水分の蒸発を
少なくするために、食品をいちいちラップでくるむよう
なことも不要となり、加熱調理時に余分な手間が省け、
簡単に楽に調理することができる。またラップのような
消耗品を使う必要がないことは省資源の面からも好まし
い。

【００３３】（４）電波で水を加熱し、ほとんどのエネ
ルギーをスチームに変え、スチームによって食品を加熱
する従来の構成に比べると、本発明では電波加熱とスチ
ーム加熱の両方で加熱するので、電波加熱のスピード性
を損なうことなく、効率よく短時間で加熱調理すること
ができる。

【００３４】（５）蒸気容器と蓋との間に水滴よりも小
さな巾の小隙間を略等間隔に並べたことにより、蒸気が
結露することにより発生した水滴が食品の上に滴下せず
に再度蒸気容器内へ戻る為、食品がべとつくことのな
い、良い加熱の出来映えを得ることができると同時に、
蒸気容器内へ戻った水滴は再度電波によって加熱されて
蒸気となる為、それだけ１回の吸水で発生させることが
できる蒸気の量を増やす事ができ、蒸気発生効率を高め
ることができる。

【００３５】以上のように本発明によれば、簡単な構成
で極めて調理性能が良く、しかも経済的で、使いやすい
高周波加熱装置を提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における高周波加熱装置の断
面図

【図２】同高周波加熱装置の要部拡大断面図

【図３】従来の高周波加熱装置の断面図

【図４】従来の他の高周波加熱装置の断面図

【図５】従来の他の高周波加熱装置の断面図

【図６】従来の他の高周波加熱装置の断面図

【符号の説明】

２１ 加熱室 ２３ マグネトロン（高周波発生手段） ２８ 食品 ３０ 蒸気容器 ３１ 隙間部 ３２ 蓋 ３３ 吸水体 ３５ リブ ３６ 小隙間 ３７ 縦壁

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】加熱室と、前記加熱室へ電波を照射するよ
   うに結合された高周波発生手段を備え、前記加熱室内に
   は、前記高周波発生手段と被加熱物との間に低誘電率材
   料によって形成した蓋付きの蒸気容器を着脱自在に収納
   し、前記蒸気容器内には水を吸収する吸水体を設け、前
   記吸水体には蒸気を発生するための水を吸収させて設
   け、前記蒸気容器と前記蓋との間に設けた小隙間から蒸
   気を庫内に放出する構成にし、前記小隙間は前記蒸気容
   器叉は蓋のどちらかに設けた複数のリブによって形成し
   た構成の高周波加熱装置。
2. 【請求項２】リブとリブの間の小隙間の巾寸法を約７ｍ
   ｍ以下にした構成の請求項１記載の高周波加熱装置。