JPH0812815B2 - 希土類磁石の製造方法 - Google Patents

希土類磁石の製造方法

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JPH0812815B2 JP62154492A JP15449287A JPH0812815B2 JP H0812815 B2 JPH0812815 B2 JP H0812815B2 JP 62154492 A JP62154492 A JP 62154492A JP 15449287 A JP15449287 A JP 15449287A JP H0812815 B2 JPH0812815 B2 JP H0812815B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,Nd・Fe・B系永久磁石を代表とする希土類
金属(R)と遷移金属(T)とホウ素(B)とを主成分
として形成されるR2T14B系金属間化合物磁石に関し,特
に極めて高い磁石特性である(BH)max50M・G・Oe以上
を有する高性能磁石の製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
R・Fe・B系磁石の製造方法については,二つの方法
に大別される。ひとつは,溶解している合金を超急冷し
た後,粉砕した磁石粉末を成形して製造される液体急冷
型磁石である。一方は,溶解して得られた磁石合金のイ
ンゴットを微粉砕し,磁場中で成形した後,焼結して製
造される焼結型磁石である。本発明は,焼結型磁石に関
係している。
一般に,本系磁石の粉末冶金法による製造工程は原料
合金の溶解,粉砕,磁場中配向,圧縮成形,焼結,時効
の順に進められる。溶解はアーク,高周波等の真空また
は不活性雰囲気中で通常行なわれ,水冷銅鋳型等に鋳込
み,原料インゴットを得ている。粉砕は,粗粉砕と微粉
砕にわけられ,粗粉砕はジョークラッシャー,鉄乳鉢,
ディスクミルやロールミル等で行なわれる。微粉砕は,
ボールミル,振動ミル,ジェットミル等で行われる。磁
場中配向及び圧縮成形は金型を用いて同時に行なわれる
のが通例であり,ここで大きな磁気異方性を示す結晶の
C軸方向が揃えられる。すなわち,結晶のC面をより高
度に配向することにより高性能な異方性焼結磁石が実現
できる。焼結は,通常1000℃〜1150℃の範囲で,不活性
雰囲気中で行なわれる。時効はIHcの向上に寄与し,必
要によって施され,通常600℃近傍の温度で行なわれて
いる。
本系磁石を高性能化するには,Brを増加させることが
必須の条件となる。Brは主にR値を減少させることと,
結晶粒のC面配向度を向上させることにより達成され
る。
これまで使用されている原料インゴットは,通常10mm
以上の厚さで鋳込まれていた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところが,上述の製法では,インゴットの組成中Rが
約35wt%以下になるとR2Fe14B相(主相)中にFe相が析
出するようになりRの減少とともにその増加が顕著とな
る傾向を示している。このFe相の析出は,焼結体の結晶
配向度を低下させる要因となり,析出量の増加とともに
異方性が低下する傾向となり,Brの向上は潜在的な4πI
Sの増加に比べ極めて小さくなっていた。
また,原料中のR値が減少すると,成形体の焼結性が
低下し,所要の焼結密度(d)を得るには焼結温度を上
昇させる必要が生じてくる。
しかしながら,焼結温度の上昇により,焼結体の結晶
粒は成長するので,IcHの低下が少ない範囲に限定する
必要が生ずる。つまり,R値を低下することにより,好適
な焼結範囲はしだいに狭くなり,工業的には不利益な方
向に進行していくという欠点がある。
そこで,本発明の技術的課題は,上記欠点に鑑み,焼
結体の結晶配向度を低下させる要因となるR2T14B相中へ
のFe相の析出を防止すると共に,焼結体の結晶粒の成長
を抑止すべく焼結性を向上させた希土類磁石の製造方法
を提供することである。
〔問題点を解決するための手段〕 本発明によれば,Nd,Fe,Bを主成分として含有するR2T
14B系磁石(ここで,Rはイットリウム及び希土類元素,T
は遷移金属を表す)を粉末冶金法によって製造する方法
において,Rが28.5〜33.5wt%,Bが0.85〜1.35wt%,残部
Tなる結晶化した液体急冷合金を出発原料として使用
し,これを粉砕,磁場中成形,1015〜1095℃の範囲内の
温度で焼結することにより,Brが少なくとも14.15kGで
(BH)max50M・G・Oe以上の磁石特性を得ることを特徴
とする希土類磁石の製造方法が得られる。
即ち,本発明者は,種々実験を重ねた結果,これらの
工程中で,原料合金の冷却速度を向上させた,ある組成
範囲のR・T・B系合金を使用することにより,Fe相が
析出しないために高配向の焼結体が得られ,しかも,焼
結性が向上するので,広い焼結温度範囲で(BH)max50M
・G・Oe以上の達成されることを発見した。すなわち,
原料合金の作製方法とは,液体急冷法により適度に結晶
化した急冷合金を得るものである。この場合の金属組織
は,柱状に成長した微細な主相粒子をNdrich相が分散し
ている状態となっており,Fe相の析出は認められない。
この場合,主相結晶の短軸方向は約3〜10μmが,焼結
性と焼結体の配向度を考慮した場合,好適な領域とな
る。これを片ロール法にて液体急冷合金を作製する場
合,厚さが約1mm〜3mmの薄帯(薄片,薄板)となり,両
ロール法にて作製する場合は約5mm程度の厚さまでは同
等の効果が示される。
また,合金の組成は4πISに関係しているので,高磁
石特性を得る場合には限定される必要があり,IHcとの
関係を含めて,(BH)max50M・G・Oe以上の得られる組
成領域は,Rが28.5〜33.5wt%,Bが0.85〜1.35wt%,残部
Tの範囲に制限される必要がある。
本発明は,簡便にして,従来容易に得られなかった
(BH)max50M・G・Oe以上の極めて高い磁石特性が達成
できるものであり工業上非常に有益である。
〔実施例〕
本発明の実施例について説明する。
実施例1 純度97wt%のNd(残部はCe,Prを主体とする希土類元
素),フェロボロン(B純分約20wt%)及び電解鉄を使
用し,希土類元素(R)が30.0wt%,Bが1.0wt%,残部F
eとなるように,アルゴン雰囲気中で,高周波加熱によ
り溶解し,Cu製両面水冷鋳型を使用し,厚さ約10mmの合
金インゴットを得た。
次に,このインゴットを使用して,Ar雰囲気中で高周
波加熱により再溶解した後,周速度が約2m/secのCu製ロ
ールに噴射し,片ロール法により,幅約10mm,厚さ約1mm
の液体急冷合金薄帯を得た。
これらインゴットと液体急冷合金薄帯内部の冷却面に
平行な面の金属組織を写真に示す。インゴットは粗大化
した主相結晶とその中に析出したFe相粒子及び主相粒子
間に偏在するNdrich相結晶粒からなっている。液体急冷
合金は,柱状に成長した微細な主相結晶と,それを取り
囲んでいるNdrich粒界相からなっており,低融点のNdri
ch相の分散性が良く,結晶配向を低下させる要因となる
Fe相の析出も見られない。
次に,これらインゴットと液体急冷合金を原料として
焼結磁石を作製した。それぞれ原料合金を粗粉砕した
後,ボールミルを用いて,平均粒径約2.5μmに微粉砕
した。次に,この粉末を約25kOeの磁界中,2ton/cm2の圧
力で成形した。この成形体を,1000℃,1020℃,1040℃,10
60℃,1080℃,1100℃の各温度でそれぞれ真空中1時間保
持した後,Ar中1時間保持し,急冷した。これら焼結体
を660℃で3時間時効した。
この焼結体に,約30kOeの磁界を印加して,磁石特性
を測定した。その結果を第1図に示す。
液体急冷原料を使用した方が,焼結性が向上し,焼結
密度(d)に関して,焼結温度は約50℃低下している。
また,Brは著しく高い値を示し,IHcも高い傾向となる
ため,(BH)maxは顕著に向上している。
X線回折により,焼結体の結晶配向度を測定した結
果,液体急冷原料を使用した方が,Nd2Fe14B結晶のC面
が明らかに高度に配向していた。
実施例2 実施例1と同様にして,Rを28.0,29.0,30.0,31.0,32.
0,33.0,34.0wt%に変化し,Bが1.0wt%,残部Feのインゴ
ットを得た後,Cu製ロールを使用して厚さ約1mmの液体急
冷合金薄帯を得た。これらインゴットと液体急冷合金を
原料として使用し,焼結磁石を作製した。ただし,焼結
体の時効は550℃〜700℃の間で25℃ずつそれぞれ変化
し,3時間保持している。
以上の中で,各組成の試料について最も高い磁石特性
((BH)max)を示した値を第2図に示す。(BH)max50
M・G・Oe以上の値は,Rが28.5〜33.5wt%の範囲で得ら
れている。
実施例3 実施例2と同様にして,Rが30.0wt%,Bを0.8,0.9,1.0,
1.1,1.2,1.3,1.4wt%変化し,残部がFeなる組成を有す
る焼結磁石特性を,インゴットと液体急冷合金を原料と
して使用した場合について,比較した。
その結果を第3図に示す。(BH)max50M・G・Oe以上
の値は,Bが0.85〜1.35wt%の範囲で得られている。
実施例4 純度99%以上のPr及びNdとフェロボロン,電解鉄を使
用して,(Nd0.8・Pr0.2)としてのRが31.0wt%,Bが1.
0wt%,残部Feとなるように,実施例1と同様にして,
インゴットを得た。
次に実施例1と同様にして,周速度が約1m/secのCu製
ロールを使用して,厚みが約2mmの液体急冷合金薄帯を
得た。これら,インゴットと急冷合金薄帯を原料として
使用し,実施例2と同様にして,粗粉砕,微粉砕,磁場
中成形,焼結,時効した後,磁石特性を測定した。各原
料における試料の中で,最も高い(BH)maxを示した値
を第1表に示す。
液体急冷合金を原料として使用した焼結磁石の方が著
しく高い磁石特性を示し(BH)max50M・G・Oeを大幅に
越えた値となっている。
実施例5 純度97wt%以上のNd及びDyとフェロボロン,電解鉄及
び電解コバルトを使用して,(Nd0.97・Dy0.03)として
のRが31.0wt%,Bが1.0wt%,(Fe0.90・Co0.10)が残
部となるように,実施例1と同様にして,インゴットを
得た。
次に実施例4と同様にして,液体急冷合金薄帯を得
た。これら,インゴットと急冷合金薄帯を原料として使
用し,実施例2と同様にして,粗粉砕,微粉砕,磁場中
成形,焼結,時効した後,磁石特性を測定した。各原料
における試料の中で,最も高い(BH)maxを示した値を
第2表に示す。
液体急冷合金を原料として使用した焼結磁石の方が著し
く高い磁石特性を示し,(BH)max50M・G・Oeを大幅に
越えた値となっている。
〔発明の効果〕
以上の実施例で示されたように,Rが28.5〜33.5wt%,B
が0.85〜1.35wt%,残部Tなる結晶化した液体急冷合金
を原料として使用し,これを粉砕,磁場中成形,焼結,
時効することにより,(BH)max50M・G・Oe以上の磁石
特性が得られている。
以上の実施例では片ロール法による液体急冷合金の製
造についてのみ述べたが双ロール法によっても同様の効
果が得られるものである。
また,Nd・Fe・B系,Nd・Pr・Fe・B系,Nd・Dy・Fe・C
o・B系についてのみ述べたが,4πIS(Br)の減少が顕
著でない程度に他の元素で置換しても(BH)max50M・G
・Oe以上の磁石特性が得られることは容易に推察でき
る。(理論的にはBrが14.15kG以上あればよい。)
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1における焼結温度と焼結体の密度
(d)と磁石特性(Br,IHc,(BH)max)の関係を示し
たものであり,図中○印(実線)は液体急冷合金を原料
として使用した試料,△印(破線)はインゴットを原料
として使用試料について示している。 第2図は,実施例2における希土類元素組成値(R)と
磁石特性(Br,IHc,(BH)max)の関係を示したもので
ある。 第3図は,実施例3におけるB組成値と磁石特性(Br,I
Hc,(BH)max)の関係を示したものである。 第4図(a),(b)は実施例1において使用した焼結
磁石用原料合金内部(冷却面に対し平行な面)の金属組
織であり, (a)は,インゴットで灰色結晶は主相(Nd2Fe14B
相),灰色結晶中の樹枝状結晶はFe相,黒色結晶はNdri
ch相であり, (b)は,液体急冷合金で灰色結晶は主相(Nd2Fe14B
相),黒色結晶はNdrich相である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Nd,Fe,Bを主成分として含有するR2T14B系
    磁石(ここで,Rはイットリウムを包含する希土類元素の
    内の少なくとも一種,Tは遷移金属を表す)を粉末冶金方
    によって製造する方法において, 少なくとも一つのロールを用いて作製した,Rが28.5〜3
    3.5wt%,Bが0.85〜1.35wt%,残部がTなる結晶化した
    短軸方向の長さが3〜10μmの範囲内にあるNd2Fe14B相
    にNdリッチ相が微細に分散している液体急冷合金を出発
    原料として使用し,これを粉砕,磁場中成形,1015〜109
    5℃の範囲内の温度で焼結することにより,Brが少なくと
    も14.15kGで(BH)maxが50MGOe以上の磁石特性を得るこ
    とを特徴する希土類磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載の希土類磁石の
    製造方法において,前記液体急冷合金は片ロール法によ
    って,厚さ1〜3mmの範囲内に形成されたものであるこ
    とを特徴とする希土類磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項記載の希土類磁石の
    製造方法において,前記液体急冷合金は両ロール法によ
    って,厚さ1〜5mmの範囲内に形成されたものであるこ
    とを特徴とする希土類磁石の製造方法。
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