JPH08127971A - 繊維用経糸糊剤 - Google Patents

繊維用経糸糊剤

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JPH08127971A
JPH08127971A JP6287480A JP28748094A JPH08127971A JP H08127971 A JPH08127971 A JP H08127971A JP 6287480 A JP6287480 A JP 6287480A JP 28748094 A JP28748094 A JP 28748094A JP H08127971 A JPH08127971 A JP H08127971A
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JP
Japan
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sizing agent
modified pva
sizing
acid
warp sizing
Prior art date
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Pending
Application number
JP6287480A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Yukanami
浩 床並
Takuya Honda
卓也 本田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
Application filed by Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd filed Critical Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP6287480A priority Critical patent/JPH08127971A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抱合力、落糊性、粘着性、毛羽立ち防止性、
耐摩擦性、製織効率等に優れた繊維用経糸糊剤を提供す
ること。 【構成】 特定のN,N−ジ分岐アルキルアクリルアミ
ドを0.1〜20モル%、エチレン性不飽和カルボン酸
もしくはその塩の少なくとも1種を含む単位を0.1〜
20モル%を共重合成分として含有する共重合体よりな
る新規なポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリビニルアルコール
(以下、PVAと略記する)を用いた繊維用経糸糊剤に
関し、更に詳しくは、新規なPVA系樹脂を用いた抱合
力、落糊性、耐摩擦性、毛羽だち防止性、接着性、製織
効率等に優れた繊維用経糸糊剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、繊維物の製造に際して使用さ
れる経糸糊剤としては、PVA又は変性PVAを主体と
し、これに適宜油剤や助剤を配合したり、アクリル系共
重合体や澱粉などを配合した水溶液が広く実用に供され
ている。しかしながら、かかる従来の繊維糊剤にあって
は接着性が不足したり、落糊や毛羽発生を完全には防止
しえなかったり、抱合力が低かったり、又製織性が悪か
ったりすることが多かった。かかる欠点を解決すべく、
本出願人はPVAに糖類を配合する方法(特開昭52−
81191号公報)、低ケン化PVAにアニオン系界面
活性剤を配合する方法(特開昭53−86890号公
報)、曇点が発現しないPVAを併用する方法(特開昭
54−160882号公報)及びスルホン酸変性PVA
と有機酸アルカリ金属塩を用いる方法(特開昭54−1
60883号公報)を出願した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近の
織機の性能向上に伴い、市場での要求も一段と厳しくな
り、フィラメント糸においては、抱合力、落糊性、粘着
性、製織効率の向上が、スパン糸においては毛羽立ち防
止、耐摩擦性、平滑性、製織効率の向上がそれぞれ望ま
れているのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる欠点を解決すべく
鋭意検討した結果、本発明者らは、変性成分として下記
の化1で示されるN,N−ジ分岐アルキルアクリルアミ
ド(A)を0.1〜20モル%、エチレン性不飽和カル
ボン酸もしくはその塩の少なくとも1種(B)を0.1
〜20モル%共重合体成分とする新規なPVA系樹脂
が、繊維用経糸糊剤として用いたとき、上記の如きフィ
ラメント糸やスパン糸における繊維用経糸糊剤に要求さ
れる諸性能を満たすことを見いだし本発明に至った。
【0005】
【化1】 ここでR0は化2で示される。
【化2】 (但し、nは1〜3、R1 は水素又はメチル基、R2
4は水素又はアルキル基又はアリール(aryl)基を
それぞれ示し同時に2個以上は水素でなく、R2〜R4
の炭素数の合計が4以上である。)
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
変性PVA(以下、単に変性PVAと称することがあ
る)系樹脂は、上記の如く(A)〜(B)単位を必須成
分としており、(A)単位は上記化1で示される如き
N,N−ジ分岐アルキルアクリルアミド成分でR1〜R4
の上記官能基を有するものでR2〜R4の官能基の炭素数
が、4未満ではケン化時の変性基の安定性、水溶液の保
存安定性が悪く、該炭素数は好ましくは4〜16であ
る。該(A)単位を含有する共重合可能な単量体として
は、N,N−ジイソブチルアクリルアミド、N,N−ジ
(2−エチルヘキシル)アクリルアミド、N,N−ジイ
ソアミルアクリルアミド、N,N−ジイソブチルメタア
クリルアミド、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)メタ
アクリルアミド、N,N−ジイソアミルメタアクリルア
ミドなどが挙げられ、好ましくはジイソブチルアクリル
アミドが好適に使用される。
【0007】又(B)単位を含有する共重合可能な単量
体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット
酸、フマル酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸モ
ノエステル、シトラコン酸モノエステル、フマル酸モノ
エステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シト
ラコン酸及びそれらの塩等が挙げられる。
【0008】通常本発明のPVAを製造するには
(A)、(B)とビニルエステル(C)を共重合して得
られるビニルエステル系共重合体をケン化するが、
(C)としてはギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、酪酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて酢
酸ビニルが好ましい。
【0009】上記変性PVAの各単位の割合は、水溶
性、造膜性という点から上記化1で示されるN,N−ジ
分岐アルキルアクリルアミド単位(A)を0.1〜20
モル%、経済性という点より好ましくは0.1〜10モ
ル%、エチレン性不飽和カルボン酸もしくはその塩の少
なくとも1種(B)を0.1〜20モル%、好ましくは
0.1〜10モル%、ビニルエステル単位(C)及びビ
ニルアルコール単位(D)が、合計で60〜99.8モ
ル%の範囲が適当である。又、ケン化度(ビニルエステ
ル単位(C)とビニルアルコール単位(D)との合計量
に対するビニルアルコール単位(D)の割合)は、変性
PVA系樹脂の生産性等の点より50モル%以上である
ことが好ましく、特に好ましい範囲は70モル%以上で
ある。
【0010】本発明に用いられる変性PVA系樹脂の重
合度は、200〜3000が好ましく、重合度が200
未満では糊付け後の皮膜強度が弱くなり、逆に3000
を越えると粘度が高くなり作業性が低下する傾向にあ
る。又、フィラメント糸の糊付け用には200〜100
0、更に好ましくは500〜1000が用いられ、スパ
ン糸の糊付け用には500〜3000、更に好ましくは
1000〜2000が用いられる。
【0011】次に本発明の変性PVA系樹脂の製造方法
について説明する。本発明の変性PVA系樹脂は、上記
の化1で示される特定の構造単位を有するN,N−ジ分
岐アルキルアクリルアミド単量体とエチレン性不飽和カ
ルボン酸もしくはその塩の少なくとも1種及びビニルエ
ステルの共重合体をケン化することによって得られる。
該共重合反応は、ラジカル重合における公知の重合方
法、例えば塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合な
どのうち任意に選択出来るが、工業的に見て、溶液重合
が好ましい。またバッチ重合、連続重合等のいずれの方
法も選択することができる。重合時の単量体の仕込み方
法としては特に制限はなく、一括仕込み、分割仕込み、
連続仕込み等任意の方法が採用されるが、分岐アルキル
アクリルアミド及びエチレン性不飽和カルボン酸若しく
はその塩をPVA分子中に均一に導入出来る点で分割仕
込み或いは連続仕込み方法が有利である。
【0012】共重合に当たって触媒としてはアゾイソブ
チルニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過
酸化ラウリル等の公知のラジカル重合触媒及びアゾビス
ジメチルバレロニトリル、アゾビスメトキシジメチルバ
レロニトリル等の低温活性ラジカル触媒等が用いられ
る。又、反応温度は特に限定されず、当業者周知の範囲
より好適に選択される。
【0013】かかる重合に当たっては、本発明の趣旨を
損なわない限り上記3成分以外にかかる単量体と共重合
可能な他の不飽和単量体、例えばアルキルビニルエーテ
ル、メタアクリルアミド、エチレン、プロピレン、α−
ヘキセン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタド
デセン等のオレフィン、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等のニトリル類、アクリル酸アルキルエステ
ル、メタクリル酸アルキルエステル、クロトン酸アルキ
ルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、イタコン
酸ジアルキルエステル、シトラコン酸ジアルキルエステ
ル、フマル酸ジアルキルエステル等を少量共重合させて
もよい。
【0014】かかる方法により得られた共重合体は、次
にケン化される。ケン化方法としては、ニーダーケン
化、連続ケン化、パールケン化等のいずれの方法も採用
することができ、該ケン化工程においては、必要に応じ
て残存モノマーを追い出してから、常法に従ってケン化
される。即ち、ケン化に当たっては該共重合体をアルコ
ール又は含水アルコールに溶解し、アルカリで中和後酸
触媒又はアルカリ触媒でケン化が行われる。アルコール
としては、メタノール、エタノール、プロパノール、t
−ブタノール等が挙げられるがメタノールが特に好適に
使用される。アルコール中の共重合体の濃度は系内の粘
度により適宜選択され、通常は10〜60重量%の範囲
から選ばれる。ケン化に使用される触媒としては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラー
ト、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のア
ルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触
媒、或いは硫酸、塩酸等の酸触媒が用いられる。
【0015】又、ケン化反応温度は特に制限はなく、通
常10〜60℃、好ましくは20〜50℃の範囲から選
ばれる。ケン化反応終了後、中和して必要に応じてアル
コール等で洗浄し乾燥することにより目的とする変性P
VA系樹脂が得られる。
【0016】次に得られた変性PVA系樹脂を用いた繊
維用経糸糊剤の調製について説明する。該糊剤の調製に
あたっては上記変性PVA系樹脂にさらに他の糊剤、例
えばアクリル系糊剤、澱粉、化工澱粉、カルボキシメチ
ルセルロース等の高分子を併用しても、上記効果には変
わりなく、また場合によっては一段と効果が大きくなる
こともある。
【0017】特にアクリル系糊剤との併用は重要であ
り、この併用により極めて優秀な繊維用経糸糊剤が得ら
れる。該アクリル系糊剤とはアクリル酸エステル、メタ
クリル酸エステルを主体とした疎水性モノマーとアクリ
ル酸、メタクリル酸をはじめとするエチレン性不飽和カ
ルボン酸やスルホン酸との共重合体をアルカリ性物質で
中和して水溶性又は水分散性にしたものを言う。該アク
リル系糊剤を併用するときの配合割合は前記PVA系樹
脂100重量部に対して0〜200重量部の範囲に入る
ように選択するのが好ましく、最適には、20〜100
重量部の範囲であり、該アクリル系糊剤の配合割合が余
りに少ないときは併用による相乗効果を期待しがたく、
逆に配合割合が余りに多いときは糊付糸の粘着性が高く
なり、織機上で落糊がガムアップし、さらにワープビー
ムで経糸が膠着し、開口状態が悪くなる上、コスト的に
も不利となり好ましくない。
【0018】また、他の糊剤と同様、油剤の併用も極め
て有用であり、該油剤としては、天然ワックス(鯨ろう
等の動物系ワックス、木ろう等の植物系ワックス、石油
系パラフィン等)や合成ワックス(パラフィン誘導体、
合成脂肪族アルコールと酸、合成脂肪酸エステル等)と
界面活性剤(アニオン系、ノニオン系等)等の混合物か
らなるもので、具体的にはフィラメント糸用としては、
「サイテックスT−190」(互応化学工業(株)製、
有効成分35重量%)、「サイテックスT−290」
(互応化学工業(株)製、有効成分35重量%)等、ス
パン糸用としては、「マーコノールTS253」(松本
油脂製薬(株)製、有効成分100%)、「マーコノー
ルTS222」(松本油脂製薬(株)製、有効成分10
0%)、「ソルビルワックス135」(ユシロ化学工業
(株)製、有効成分100%)等の商品が好適に使用さ
れる。
【0019】該油剤の配合割合は、前記PVA系樹脂1
00重量部に対して1〜40重量部の範囲に入るように
選択するのが好ましく、最適には、5〜10重量部の範
囲であり、該油剤の配合割合が余りに少ないときは平滑
性が低下し、逆に配合割合が余りに多いときは皮膜の粘
着性が大きくなったり、落糊が多くなったりして好まし
くない。更に、本発明では、本発明の効果を阻害しない
範囲において、公知の経糸糊付け用の平滑剤、柔軟剤、
浸透剤、静電防止剤、消泡剤などを適量添加しても何等
差し支えない。また、糊液中の樹脂分濃度は、2〜13
重量%程度のコントロールするのが通常である。
【0020】かくして調製された本発明の繊維用経糸糊
剤は、フィラメント糸、スパン糸(紡績糸)、ウーリー
加工糸等の糊付けに供されるが、経糸糊剤としてのみで
なく、繊維製品の仕上げ剤としての使用も可能である。
【0021】
【作用】本発明の繊維用経糸糊剤は、特定の変性PVA
系樹脂を主成分としているため、繊維用経糸糊剤として
の有用性が高く、特にフィラメント糸においては、抱合
力、落糊性、粘着性、製織効率の向上が、又スパン糸に
おいては毛羽立ち防止、耐摩擦性、平滑性、製織効率の
向上がそれぞれ可能である。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお,実施例中「%」、「部」とあるのは、断り
のない限り重量基準を意味する。 (変性PVA系樹脂の製造)還流冷却器、滴下漏斗、攪
拌機を備えた重合缶に酢酸ビニル1000部、メタノー
ル450部を仕込み攪拌しながら窒素気流下で温度を上
昇させ62℃においてアゾイソブチロニトリル0.4部
をメタノール19.6部に溶解した溶液を投入し重合を
開始した。重合開始点よりマレイン酸モノメチル8.0
部とN,N−ジイソブチルアクリルアミド22.6部を
溶解したメタノール溶液61.2部を5時間にわたって
連続的に滴下しながら重合を行い、酢酸ビニルエステル
の重合率が50%になった時点で重合を終了した。続い
てメタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビ
ニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液
を得た。次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度を
30%に調製してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃
に保ちながら水酸化ナトリウムを加えて中和した。
【0023】これに更に水酸化ナトリウムをポリマー中
の酢酸ビニル単位に対して30ミリモル加えて混練りし
た。ケン化反応進行と共にケン化物が析出し、遂には粒
子状となった。生成した変性PVA系樹脂を濾過し、メ
タノールでよく洗浄して熱風乾燥器中で乾燥し、目的物
を得た。得られた変成PVAをソックスレー抽出器を用
いてメタノールで抽出洗浄し、N,N−ジイソブチルア
クリルアミドによる変成度を1H−NMRで分析した結
果、変性度は2.0モル%であった。又、マレイン酸モ
ノメチルの変性度はケン化前の共重合体の滴定による酸
分定量で分析を行ったところ、変性度は1.0モル%で
あり、変性PVA系樹脂のケン化度は、残存酢酸ビニル
単位の加水分解に要するアルカリ消費量の定量で分析を
行ったところ98モル%であった。尚、この変性PVA
系樹脂のB型粘度計による4%水溶液の粘度は、6cp
s/20℃であった。
【0024】更に、得られた変性PVA系樹脂のIRス
ペクトル及び1H−NMR(D2O)スペクトルの帰属を
以下に示す。 IR : 3350cm-1、1100cm-1 −OH 2950cm-1、1420cm-1 −CH 1650cm-1 −C=O 1585cm-1 −COONa1 H−NMR: 1.0ppm −CH(CH33のメチルプロトン 1.6ppm −CH2CH−のメチレンプロトン │ 2.1ppm −O−CO−CH3のメチルプロトン 4.0ppm −CH2−CH−のメチンプロトン │
【0025】実施例1 上記の変性PVA系樹脂を主成分とした下記糊液を用い
て、ポリエステルフィラメント糸に糊付けを行い、得ら
れた糸で製織を以下の如く行った。 (糊液組成) ・上記の変性PVA系樹脂 100部 ・アクリル系糊剤 100部 (プラスサイズ780,互応化学工業社製, アクリル酸エステル共重合体ナトリウム塩,25%溶液) ・油剤 5部 (サイテックスT−190,互応化学工業社製, ワックス及び非イオン活性剤含有,35%溶液) ・水 2000部
【0026】 (糊付条件) 対象糸 ポリエステルフィラメント糸 (75デニール/36フィラメント、無撚) 糊付機 津田駒社製KS−J型ワーピングスラッシャー 糊付条件 絞り全荷重 180〜260kg 糊液温度 50℃ 乾燥温度 チャンバー 120℃×2 シリンダー 100℃×2 巻取速度 95m/min 着量 12.1%
【0027】次に上記の(変性PVA系樹脂の製造)に
おいてメタノールの仕込み量を250部とした以外は同
様に行い、B型粘度計による4%水溶液の粘度が、30
cps/20℃で、重合度が1500の変性PVA系樹
脂を得て、該樹脂を主成分とした下記糊液を用いて、ポ
リエステルスパン糸に糊付けを行い、得られた糸で製織
を以下の如く行った。 (糊液組成) ・上記の変性PVA系樹脂 100部 ・アクリル系糊剤 2部 (マーポゾールTS−189,松本油脂製薬(株)製, アクリル酸エステル共重合体ナトリウム塩,25%溶液) ・油剤 8部 (マコノールTS−797,松本油脂製薬(株)製, ワックス及び非イオン活性剤含有99%塩) ・トウモロコシ澱粉 10部 ・水 1000部
【0028】 (糊付条件) 対象糸 ポリエステルスパン糸(40番手) 糊付機 馬場産業(株)製、2B0X12C 糊付条件 絞り全荷重 500〜800kg 糊液温度 85℃ 乾燥温度 シリンダー(1〜6) 120℃ シリンダー(7〜12)110℃ 巻取速度 60m/min 着量 13%
【0029】(製織条件)上記の糊付条件で得られた糊
付けポリエステルフィラメント糸或いは糊付けポリエス
テルスパン糸を用いて製織を以下の条件で行った。糊付
けポリエステルフィラメント糸の場合は、織物はタフタ
で、総経糸本数4600本、織上巾38インチ、経糸密
度118本/インチ、緯糸密度90本/インチ、織機は
自動織機160rpmで、50mを1疋として各10疋
を製織した。又糊付けポリエステルスパン糸の場合は、
織物は、総経糸本数4100本、織上巾39インチ、経
糸密度104本/インチ、緯糸密度92本/インチ、織
機はエアジェットルーム(AJL)600rpmで、1
00mを1疋として各10疋を製織した。上記の糊付け
時及び製織時において、フィラメント糸については抱合
力、落糊性、粘着性、開口状態、製織効率を、スパン糸
については毛羽立ち性、耐摩擦性、落糊性、経糸停台
性、製織効率をそれぞれ以下の方法により調べた。
【0030】・抱合力 糊付け後の糊付け糸をTM式抱合度試験機(松井精機
製)を用いて荷重100g/10本,角度145度で摩
擦した時のフィラメントが集束を失うまでの平均摩擦回
数を測定した。 ・落糊性 糊付け後の糊付糸を金属針(直径1mm)に絡ませて1
20度の角度になるよう該針の側面で糊付糸を摩擦させ
てこのとき落ちる糊の量を5段階(1級(少ない)〜5
級(多い))に分けて相対的に評価した。尚、摩擦時の
引張速度は10cm/minで糊付糸を10m摩擦させ
た。 ・粘着性 糊付け後の糊付糸をボビンに巻とり、35℃,80%R
Hで1週間放置した後、糸を引き出す時の抵抗を調べ
た。評価基準は以下の通り。 ◎ −−− 全く抵抗がない ○ −−− 少し抵抗がある × −−− 抵抗が大きく、引き出しに困難を要する
【0031】・開口状態 織機上の間丁ロール〜綜絖間における糸の開き程度を5
段階(1級(開きが大きい)〜5級(ほとんど開きがな
い))に分けて相対的に評価した。 ・製織効率 製織時の織機の回転数と緯糸打込密度による目的織上げ
時間と、実際の織上げ時間との比を%で表した。 ・毛羽立ち性 糊付け後の糊付糸の毛羽数(長さ3mm以上)(本/
m)を毛羽計数器(東レ(株)製)を用いて測定した。 ・耐摩擦性 糊付け後の糊付糸をTM式抱合度試験機(松井精機
(株)製)を用いて荷重400g/10本にて1000
回摩擦した後の糸の毛羽立ち状態を8段階(1級(毛羽
立ち無し)〜8級(毛羽立ちが激しく、製織不可))に
分けて相対的に評価した。 ・経糸停台性 製織時に経糸の毛羽,毛羽絡み及び糸切れ等による織機
の停止回数を測定した。
【0032】実施例2〜7、比較例1〜6 表1に示した成分及び仕込み量で上記の(変性PVA系
樹脂の製造)と同様の手順により酢酸ビニルとの共重合
及びケン化を行い表2に示す種々の変性PVA系樹脂
(フィラメント糸用及びスパン糸用)を製造し、該PV
A系樹脂を用いて実施例1と同様に糊剤を調製し、実施
例1と同様の評価を行った。実施例及び比較例の評価結
果を表3(フィラメント糸の評価)及び表4(スパン糸
の評価)に示す。
【0033】
【表1】 酢酸ヒ゛ニル との重合時の変性種及び重合率 (A)単量体 (B)単量体 重合率 仕込み量(モル%) 仕込み量(モル%) (%) 実施例1 D-i-BAAm(2.0) 3M(1.0) 50 実施例2 D-i-BAAm(2.0) 3M(1.0) 50 実施例3 D-i-BAAm(8.0) 3M(4.0) 46 実施例4 D-i-BAAm(0.5) 3M(0.5) 54 実施例5 D-i-BAAm(2.0) イタコン酸(1.0) 52 実施例6 D-i-AAAm(2.0) 3M(1.0) 54実施例7 D-EHAAm (2.0) 3M(1.0) 46 比較例1 D-i-BAAm(2.0) − 50 比較例2 N-n-OAAm(2.5) 3M(1.0) 47 比較例3 VeoVa-10(3.0) イタコン酸(1.0) 50 比較例4 − MRM (3.0) 55 比較例5 AMPS (2.0) − 55比較例6 − 3M(1.0) 60
【0034】注) ( )内の数値はモノマーの総仕込み
量に対する各単量体の仕込みモル分率を表す。 略語は
以下の通り。D−i−BAAmは、N,N−ジイソブチ
ルアクリルアミド。D−i−AAAmは、N,N−ジイ
ソペンチルアクリルアミド。D−EHAAmは、N,N
−ジ(2エチルヘキシル)アクリルアミド。N−n−O
AAmは、N−n−オクチルアクリルアミド。3Mは、
マレイン酸モノメチル。MRMは、モノ(ジイソプロピ
ルメチル)マレート。VeoVa−10は、下記化3で
示される単量体。
【化3】 1,R2,R3は水素又はアルキル基で、R1,R2,R3
の炭素数の合計は平均で10。AMPSは、N−スルホ
イソブチレンアクリルアミドナトリウム。
【0035】
【表2】 変 性 P V A ケン化度 (A)単量体 (B)単量体 4%粘度 重合度 含有量 含有量 (cps) (mol%) (mol%) (mol%) a b a b 実施例1 98 2.0 1.0 6 30 500 1700 実施例2 80 2.0 1.0 5 25 500 1500 実施例3 98 7.7 4.0 4 20 400 1400 実施例4 98 0.5 0.5 6 30 500 1700 実施例5 98 2.0 1.0 6 30 500 1500 実施例6 98 2.0 1.0 6 30 500 1700 実施例7 98 2.0 1.0 8 35 700 2000 比較例1 98 2.0 − 6 30 500 1700 比較例2 98 2.0 1.0 6 40 500 2300 比較例3 98 2.0 1.0 6 30 500 1700 比較例4 98 − 2.0 6 30 500 1500 比較例5 98 2.0 − 6 30 500 1500比較例6 98 − 1.0 6 30 500 1700 a:フィラメント糸用 b:スパン糸用
【0036】尚、上記実施例2〜7で得られた変性PV
AのIRスペクトル及び1H−NMR(D2O)スペクト
ルの帰属を以下に示す。 (実施例2の変性PVA) IR : 3350cm-1、1100cm-1 −OH 2950cm-1、1420cm-1 −CH 1650cm-1 −C=O 1585cm-1 −COONa1 H−NMR: 1.0ppm −CH(CH33のメチルプロトン 1.6ppm −CH2CH−のメチレンプロトン │ 2.1ppm −O−CO−CH3のメチルプロトン 4.0ppm −CH2−CH−のメチンプロトン │
【0037】 (実施例3の変性PVA) IR : 3350cm-1、1100cm-1 −OH 2950cm-1、1420cm-1 −CH 1650cm-1 −C=O 1585cm-1 −COONa1 H−NMR: 1.0ppm −CH(CH33のメチルプロトン 1.6ppm −CH2CH−のメチレンプロトン │ 2.1ppm −O−CO−CH3のメチルプロトン 4.0ppm −CH2−CH−のメチンプロトン │
【0038】 (実施例4の変性PVA) IR : 3350cm-1、1100cm-1 −OH 2950cm-1、1420cm-1 −CH 1650cm-1 −C=O 1585cm-1 −COONa1 H−NMR: 1.0ppm −CH(CH33のメチルプロトン 1.6ppm −CH2CH−のメチレンプロトン │ 2.1ppm −O−CO−CH3のメチルプロトン 4.0ppm −CH2−CH−のメチンプロトン │
【0039】 (実施例5の変性PVA) IR : 3350cm-1、1100cm-1 −OH 2950cm-1、1420cm-1 −CH 1650cm-1 −C=O 1585cm-1 −COONa1 H−NMR: 1.0ppm −CH(CH33のメチルプロトン 1.6ppm −CH2CH−のメチレンプロトン │ 2.1ppm −O−CO−CH3のメチルプロトン 4.0ppm −CH2−CH−のメチンプロトン │
【0040】 (実施例6の変性PVA) IR : 3350cm-1、1100cm-1 −OH 2950cm-1、1420cm-1 −CH 1650cm-1 −C=O 1585cm-1 −COONa1 H−NMR: 0.9ppm −CH2CH3のメチルプロトン 1.6ppm −CH2CH−のメチレンプロトン │ 2.1ppm −O−CO−CH3のメチルプロトン 4.0ppm −CH2−CH−のメチンプロトン │
【0041】 (実施例7の変性PVA) IR : 3350cm-1、1100cm-1 −OH 2950cm-1、1420cm-1 −CH 1650cm-1 −C=O 1585cm-1 −COONa1 H−NMR: 0.9ppm −CH2CH3のメチルプロトン 1.6ppm −CH2CH−のメチレンプロトン │ 2.1ppm −O−CO−CH3のメチルプロトン 4.0ppm −CH2−CH−のメチンプロトン │
【0042】
【表3】 フィラメント糸の評価結果 抱合力 落糊性 粘着性 開口状態 製織効率 (回) (級) (級) (%) 実施例1 35 1 ◎ 1〜2 92 〃 2 35 1 ○ 1〜2 91 〃 3 20 1 ○ 3 91 〃 4 50 2 ◎ 1〜2 94 〃 5 35 1 ◎ 1〜2 92 〃 6 30 1 ○ 1〜2 91 〃 7 35 1 ◎ 1〜2 92 比較例1 20 5 ◎ 1〜2 85 〃 2 35 1 × 4〜5 80 〃 3 40 1 × 4〜5 81 〃 4 25 3 ○ 1〜2 88 〃 5 25 3 ○ 1〜2 86 〃 6 20 4 ○ 1〜2 84
【0043】
【表4】 スパン糸の評価結果 毛羽立ち性 耐摩擦性 落糊性 経糸停台性 製織効率 (本/m) (級) (級) (回/日) (%) 実施例1 0.2 2 1 10 95 〃 2 0.2 2 1 10 95 〃 3 0.2 3 3 11 90 〃 4 0.3 3 2 11 90 〃 5 0.4 3 2 11 95 〃 6 0.3 2 1 10 90 〃 7 0.3 2 1 10 95 比較例1 1.2 3 4 20 85 〃 2 0.8 3 1 18 88 〃 3 0.8 3 1 15 87 〃 4 1.2 5 3 18 86 〃 5 1.2 5 4 19 85 〃 6 1.2 5 4 20 85
【0044】
【発明の効果】本発明の繊維用経糸糊剤は、特定の変性
PVA系樹脂を主成分としているため、繊維用経糸糊剤
としての有用性が高く、特にフィラメント糸において
は、抱合力、落糊性、粘着性、製織効率の向上が、又ス
パン糸においては毛羽立ち防止、耐摩擦性、平滑性、製
織効率の向上がそれぞれ可能である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の化1で示されるN,N−ジ分岐ア
    ルキルアクリルアミド(A)を0.1〜20モル%、エ
    チレン性不飽和カルボン酸もしくはその塩の少なくとも
    1種(B)を0.1〜20モル%を共重合成分として含
    有するポリビニルアルコール系樹脂を主成分とすること
    を特徴とする繊維用経糸糊剤。 【化1】 ここでR0は化2で示される。 【化2】 (但し、nは1〜3、R1は水素又はメチル基を示す。
    又、R2〜R4は水素又はアルキル基又はアリール(ar
    yl)基をそれぞれ示し、同時に2個以上は水素ではな
    く、R2〜R4の炭素数の合計が4以上である。)
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール系樹脂100重量
    部に対してアクリル系樹脂が0〜200重量部配合され
    たことを特徴とする請求項1記載の繊維用経糸糊剤。
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