JPH08127196A - 熱変色性透視筆記シートセット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 下絵や輪郭像をトレースして、これらの熱変
色像を形成でき、常温下でこれらの像を記憶保持させ、
必要に応じて消去でき、更には多色像を視覚させること
も可能な熱変色性透視筆記シートセット。 【構成】 熱変色性色彩記憶性透明プラスチックシート
２と、前記シート２に筆記して着色像２４を現出させる
と共に、前記着色像２４を無色に変色させる冷熱変色具
３及び熱変色具４を備えてなる熱変色性透視筆記シート
セット１。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は熱変色性透視筆記シート
セットに関する。更に詳細には、熱変色性色彩記憶性透
明プラスチックシートと、該シート表面に着色像を無色
に変化させる、冷熱及び熱変色具からなる熱変色性透視
筆記シートセットに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、熱変色性被筆記体として、幾つか
の提案が開示されている（実開平５−８５６９１号公報
等）。この種の被筆記体は、不透明支持体或いは不透明
着色層上に熱変色層を形成した不透視性の被筆記体であ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱変色性色
彩記憶性透明プラスチックシートを構成し、下絵や輪郭
像を設けたシート等に載置して、冷熱及び熱変色具によ
りこれらの像の熱変色像を前記透明プラスチックシート
表面に形成させたり、更には前記透明プラスチックシー
トの相異なる発色を呈する複数枚を用意し、各シートに
よる発色像に重ねることにより、これらの混色した様相
の色を視覚させたり、任意の像の形成による多色像を視
覚させるのに便宜な、前記従来の被筆記体では奏しえな
い新規な熱変色性透視筆記シートセットを提供しようと
するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明を図面について説
明する。本発明は、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒ
ステリシス特性を示して有色状態と無色状態の両状態を
常温域で互変的に記憶保持させる熱変色性色彩記憶性透
明プラスチックシート２と、前記シート２に筆記して着
色像２４を現出させる冷熱変色具３と、前記着色像２４
を無色に変色させる熱変色具４を備えてなる熱変色性透
視筆記シートセット１を要件とする。更には、前記熱変
色性色彩記憶性透明プラスチックシート２は、着色時の
色調が相異なる複数枚が備えられており、位置決め手段
８１を介して支持体８に着脱自在に取りつけられてなる
こと、前記熱変色性色彩記憶性透明プラスチックシート
２の下側には、下絵シート６及び／又は弾性シート７を
介在させてなること、熱変色性色彩記憶性透明プラスチ
ックシート２は、透明プラスチックシート２１と、該シ
ート２１表面に形成した、（イ）電子供与性呈色性有機
化合物、（ロ）フェノール性水酸基を有する化合物、
（ハ）アルコール類、エステル類、ケトン類、又はカル
ボン酸類のいずれかより選んだ化合物を含む均質相溶体
を粒子径０．１〜２．０μｍの範囲の大きさで、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合樹脂母体中に分散状態となした
色彩記憶性熱変色材料による塗布層により構成されてな
ること、透明プラスチックシート２１は、ポリエステル
樹脂シートであり、該シート表面に透明樹脂によるアン
ダーコート層２２を介して熱変色性色彩記憶性材料によ
る塗布層が形成されていること、透明プラスチックシー
ト２１は、２０μｍ〜２ｍｍの厚みのシートから選ばれ
ることを要件とするものである。

【０００５】前記において、熱変色性色彩記憶性透明プ
ラスチックシート２の厚みが２０μｍ未満の系では、繰
り返し使用による持久性を満足させない。一方、２ｍｍ
を越える厚みの系では、複数枚の重ねによる透視効果の
面で好ましくない。通常、５０μｍ乃至３００μｍの厚
みのポリエステル、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ア
クリル、ポリカーボネート樹脂等が持久性、透視性の面
で効果的であり、適用される。

【０００６】前記シート２は、下絵等に重ねたり、複数
枚の重ね状態での適用の際の位置ずれを防止するため、
適宜の位置決め手段８１、例えば、支持体８の端部に形
成した突出片と、これに係合する孔をシートに配設した
組み合わせや、シートの一端辺を支持体に固定した開閉
式、シートの端辺をレール間に挟持したスライド式、ボ
タンによる係合、磁着、粘着或いは挟着等の手段を適用
できる。

【０００７】前記において、色彩記憶性熱変色性材料
は、大きなヒステリシス幅を示して変色するタイプの熱
変色性材料（即ち、温度変化による着色温度の変化をプ
ロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側
から温度を上昇させていく場合と逆に変色温度域より高
温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿
って変色するタイプ：低温側変色点と高温側変色点との
間の常温域において、前記低温側変色点以下又は高温側
変色点以上の温度で変化させた様相を記憶保持できる）
であり、例えば、本出願人が先に提案した、特公平４−
１７１５４号公報、特開平６−１３５１４４号公報等に
記載の熱変色材料が有効であり、中でも後者は、非カプ
セル顔料系であり生産性を満たすことに加えて、着色時
及び消色時の透明性が顕著に優れており、下層に配置の
下絵等を透視し易い上、各シートの発色像が互いに重ね
状態にあって混色或いは多色像を視覚させる。前記にお
ける色彩記憶性熱変色性材料は、透明性の樹脂に一体的
にブレンドしてシート状となすことができるが、透明プ
ラスチックシート表面に塗布液の形態となして塗布する
ことによって熱変色性色彩記憶性透明プラスチックシー
ト２を構成できる。前記した非カプセル顔料系における
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂母体による塗布層を
ポリエステル樹脂シートに形成する系にあっては、アン
ダーコート層２２を介在させて密着性を向上させること
ができる。

【０００８】トップコート層２５は、変色具による筆記
の際の持久性を保持させるためのものであり、更には該
層２５に紫外線吸収剤などの光安定剤を配合して、熱変
色層２３の耐光性を補強できる。

【０００９】冷熱変色具３又は熱変色具４は、本出願人
が既に提案している、例えば、ペルチェ素子を利用した
変色具（特開平６−７５４９号公報等）、冷水、氷片等
の冷媒を充填した冷却ペン、抵抗発熱体を装備した通電
加熱変色具（実開平４−５０１００号公報等）や、温水
等を充填した熱ペン（実開平２−１０６２９９号公報
等）を適用できる。前記冷熱変色具及び熱変色具の冷熱
先端３２及び熱先端４２は、伝熱効果の面で金属材によ
り構成されており、それ自体、弾力性がなく、筆記面と
の適正な馴染み感がない。これを解消するため、熱変色
性色彩記憶性透明プラスチックシート２の下側に弾性シ
ート７を介在させ、弾性感のある筆記感と筆記箇所に筆
記圧に相応する弾性的な凹みを形成し、筆記先端との密
接性を高め、伝熱機能を有効に発現させ、目的の筆跡幅
の変色像を形成させる。

【００１０】前記弾性シート材７としては、Ｃ形硬さ試
験機（ゴム硬度計）による測定値が１０〜９０の硬さ
（ＪＩＳ Ｋ６３０１によるもの）の、厚み０．５ｍｍ
〜５ｍｍの部材が実用性を満たし、ポリウレタン、ポリ
エチレン等のプラスチック多孔体、ウレタンゴム、スチ
レンブタジエン系ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等
のゴム類、不織布等を挙げることができる。前記弾性シ
ート材７のうち、独立孔タイプノプラスチック多孔体が
弾力性と復元性を適正に兼備しており好適である。

【００１１】下絵シート６は、非熱変色性インキによる
絵柄、輪郭像に限らず、熱変色性インキにより形成され
た像であってもよい。

【００１２】

【作用】下絵や輪郭像を設けたシート上に、熱変色性色
彩記憶性透明プラスチックシートを重ねて、前記の透視
像を冷熱変色具を用いて、ぬり絵的に着色させ、任意の
着色像を形成させる。又、前記シート上に着色時の色調
が異なる別のシートを、位置決め手段を介してセットす
ることにより第１のシートと異なる色調の着色像を形成
でき、前記着色像同士が重なった部分では、両者の色調
の混色状態の色調を視覚させる。前記同様、第２、第３
のシートを重ねることにより更に多色像を形成でき、視
覚させる。前記着色像は常温域て記憶保持させることが
できる一方、熱変色具により無色に変色させ不可視状態
となすことができる。前記熱変色性色彩記憶性透明プラ
スチックシートは、位置決め手段を介して着脱自在であ
り、多様な着色像の形成による視覚を可能となす。

【００１３】

【実施例】厚み１００μｍのポリエチレンテレフタレー
トフイルム２１の表面に、透明樹脂によるアンダーコー
ト層２２を形成した後、１３℃以下で青色、３４℃以上
では無色に変色し、１５℃乃至３０℃の温度域で前記青
色状態と無色状態を互変的に記憶保持可能な色彩記憶性
熱変色性材料の３０重量部が塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体７０重量部に分散状態に固着された塗布層からな
る熱変色層２３を形成し、更に該層上にトップコート層
２５を積層させて、第１の色彩記憶性熱変色性透明プラ
スチックシート２を得た。前記シートの一側の両端に、
支持体８の突出片と係合する孔を設け、位置決め手段８
１を構成する。熱変色性材料として、１３℃以下で赤
色、黄色、黒色をそれぞれ呈し、３４℃以上でそれぞれ
無色に変色する色彩記憶性熱変色性材料を用いる以外
は、前記同様にして第２、第３、第４の熱変色性色彩記
憶性透明プラスチックシート２を得た。

【００１４】冷熱及び熱変色機能を備えた両頭型変色具
を公知の手段、詳細には、冷熱手段はペルチェ素子３１
を、加熱手段は抵抗発熱体４１をそれぞれ配し、先端に
金属材からなる冷熱先端３２、熱先端４２をそれぞれ接
続させて構成し、別に用意した支持体８に装着した電源
電池５（１．５Ｖ乾電池×２個）とリード線を介して通
電可能にセットした（ー４℃の冷熱先端温度及び５５℃
の熱先端温度を示した）。

【００１５】前記熱変色性色彩記憶性透明プラスチック
シート２の下側に花柄模様を描いた下絵シート６と、前
記下絵シート６の下側に厚み２ｍｍ弾性シート７（独立
気孔のポリオレフィン系樹脂多孔体）を配して実用に供
した。冷熱先端３２を前記第１のシートに当接させ、下
絵の葉の箇所に相当する部分を塗り潰したところ、青色
像を視覚させ、第２のシートを重ね、下絵の花の箇所に
相当する部分を前記同様に処理したところ、赤色像を視
覚させ、第３のシートでは、葉及び花の部分を同様に処
理したところ、黄色像を視覚させ、第４のシートで、下
絵の輪郭像に相当する箇所をなぞり、黒色の輪郭像を形
成した。前記像の形成は、前記各シート２同士を非重ね
状態で形成できるし、それらを重ね状態で形成できる。
前記着色像２４が重なった部分では、緑色の葉、橙色の
花を視覚させた。前記着色像２４は、２５℃の室温下で
それぞれ記憶保持された。一方、前記着色像２４に熱先
端４を当接させて筆記したところ、無色に変化させ、不
可視状態となすことができた。前記下絵シート６を適用
せず、任意の多様な着色像を形成できることは勿論であ
り、前記熱変色性色彩記憶性透明プラスチックシート２
の適宜箇所を冷熱変色具３により筆記することにより、
適宜の着色像を形成でき、この際、異なる発色のシート
を組合わせ、これらを積層させることにより発色像の重
なった部分では、混色像を、非重なり部分では、それぞ
れの着色像を現出させ、熱変色具３の適用によりこれら
の着色像を適宜、消去でき、前記様相変化は繰り返し再
現される。

【００１６】

【発明の効果】本発明熱変色性透視筆記シートは、従来
の不透視性の熱変色性筆記シートの系に比べ、下絵や輪
郭像を設けたシートを下側に配置することにより、ぬり
絵感覚で発色像を形成して楽しむことができる。この
際、相異なる発色を呈する複数枚のシートを順次、重ね
る系では、それぞれのシートの発色像による視覚効果が
更に付加され、発色像の重なり部分では、混色状態、非
重なり部分では、別の発色像を視覚させ、多彩な発色像
を視覚させる。更には、前記発色像は常温域で記憶保持
できる一方、適宜に熱変色具により無色に不可視状態に
変化させることができ、繰り返しの実用性と相まって、
玩具、教習分野において好適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明熱変色性透視筆記シートの縦断説明図で
ある。

【図２】本発明熱変色性色彩記憶性プラスチックシート
の一実施例の部分拡大断面図である。

【図３】本発明熱変色性透視筆記シートセットの一実施
例の要部外観図である。

【図４】本発明熱変色性透視筆記シートを順次、下絵に
重ねて熱変色像を形成させる状況の説明図である。

【符号の説明】

１ 本発明熱変色性透視筆記シートセット ２ 熱変色性色彩記憶性透明プラスチックシート ２１ 透明プラスチックシート ２２ アンダーコート層 ２３ 熱変色層 ２４ 着色像 ２５ トップコート層 ３ 冷熱変色具 ３１ ペルチェ素子 ３２ 冷熱先端 ４ 熱変色具 ４１ 抵抗発熱体 ４２ 加熱先端 ５ 電源電池 ６ 下絵シート ７ 弾性シート ８ 支持体 ８１ 位置決め手段

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステ
   リシス特性を示して有色状態と無色状態の両状態を常温
   域で互変的に記憶保持させる熱変色性色彩記憶性透明プ
   ラスチックシートと、前記シートに筆記して着色像を現
   出させると共に前記着色像を無色に変色させる冷熱及び
   熱変色具を備えてなる熱変色性透視筆記シートセット。
2. 【請求項２】 前記熱変色性色彩記憶性透明プラスチッ
   クシートは、着色時の色調が相異なる複数枚が備えられ
   ており、位置決め手段を介して支持体に着脱自在に取り
   つけられるよう構成した請求項１記載の熱変色性透視筆
   記シートセット。
3. 【請求項３】 前記熱変色性色彩記憶性透明プラスチッ
   クシートの下側には、下絵シート及び／又は弾性シート
   を介在させてなる請求項１記載の熱変色性透視筆記シー
   トセット。
4. 【請求項４】 熱変色性色彩記憶性透明プラスチックシ
   ートは、透明プラスチックシートと、該シート表面に形
   成した、（イ）電子供与性呈色性有機化合物、（ロ）フ
   ェノール性水酸基を有する化合物、（ハ）アルコール
   類、エステル類、ケトン類、又はカルボン酸類のいずれ
   かより選んだ化合物を含む均質相溶体を粒子径０．１〜
   ２．０μｍの範囲の大きさで、塩化ビニル−酢酸ビニル
   共重合樹脂母体中に分散状態となした色彩記憶性熱変色
   材料による塗布層により構成されてなる請求項１記載の
   熱変色性透視筆記シートセット。
5. 【請求項５】 透明プラスチックシートは、ポリエステ
   ル樹脂シートであり、該シート表面に透明樹脂によるア
   ンダーコート層を介して熱変色性色彩記憶性材料による
   塗布層が形成されていると共に前記塗布層の上層には透
   明樹脂によるトップコート層が形成されてなる請求項４
   記載の熱変色性透視筆記シートセット。
6. 【請求項６】 透明プラスチックシートは、２０μｍ〜
   ２ｍｍの厚みのシートから選ばれる請求項４又は５記載
   の熱変色性透視筆記シート。