JPH08124507A - 試料台およびこれを用いた装置 - Google Patents

試料台およびこれを用いた装置

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JPH08124507A
JPH08124507A JP6260010A JP26001094A JPH08124507A JP H08124507 A JPH08124507 A JP H08124507A JP 6260010 A JP6260010 A JP 6260010A JP 26001094 A JP26001094 A JP 26001094A JP H08124507 A JPH08124507 A JP H08124507A
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JP6260010A
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Hiroshi Suzuki
鈴木  寛
Yusuke Yajima
裕介 矢島
Yoshio Takahashi
由夫 高橋
Katsuhiro Kuroda
勝広 黒田
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】光線や荷電粒子線の試料への照射角度を正確に
求めることができる試料台およびそれを用いた装置を提
供する。 【構成】試料台12に例えば三次元的に配置したピン1
4,15,16とこれを固定する板17からなる角度検
出の治具を装着し、治具の影や治具の像の映った二次元
の投影像を画像処理し、像に映った治具間の距離、ある
いは治具の大きさ、あるいは治具の形状を求め、試料1
8の傾斜角度や回転角度を求める。 【効果】光線や荷電粒子線の進行方向を基準にした高精
度な試料台の角度測定ができ、高精度な試料台の位置制
御および姿勢制御が可能になり、試料の測定精度や加工
精度が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は顕微鏡や加工装置など、
光線や荷電粒子線を用いた装置に用いられる、試料を保
持し、試料の傾斜あるいは回転を行う試料台に関する。
【0002】
【従来の技術】電子顕微鏡などの装置において、荷電粒
子線を試料に斜入射し、試料の観察や評価を行う技術が
重要になってきている。例えば、ジャパニーズ ジャー
ナルオブ アプライド フィジックス,32巻,7号,
1993年,3308〜3311頁に報告されているもので
は、走査型ローレンツ電子顕微鏡を用いて、記録された
磁気記録媒体の磁化コントラストを観察する手法が述べ
られている。ここでは、記録媒体試料の面内で、観察し
たい磁化方向に垂直な方向に軸を仮定する。この軸を試
料傾斜の軸として、試料に電子線を垂直入射する状態か
ら60度だけ、試料を傾斜させて電子線を入射し、得ら
れる偏向量から磁化状態の観察を行っている。電子線を
斜入射することにより、空間の漏洩磁界と記録媒体面内
の磁化が互いに打消し合うことを防ぎ、磁化のコントラ
スト像を得ている。
【0003】また、アイ イー イー イー トランザ
クションズ オン マグネティクス,28巻,2号,1
992年,1017〜1023頁に報告されているもの
では、試料の回転が行われている。ここでは、漏洩磁界
の存在する磁気記録ヘッド表面の空間に、細く絞った電
子線を通し、磁界によるローレンツ力で電子線を偏向さ
せ、この偏向量を測定して磁界の情報としている。得ら
れる磁界の情報は、電子線の経路における磁界の線積分
値である。空間の磁界分布を求めるために、この偏向量
の測定を磁気ヘッドを数度ずつ回転させながら繰返し行
い、コンピュータ断層映像手法を用いて空間の磁界分布
を再構成した。
【0004】上記の観察や測定において、試料の傾斜角
度を正確に求めることは重要である。前者の場合では、
磁気記録媒体の傾斜角度が像の磁化コントラストに影響
を与える。これまで、傾斜角度の測定は、例えばサイド
エントリー式の試料台に付属している目盛で行われてい
た。
【0005】後者の場合は、磁気ヘッドの入射電子線と
のなす角度の精度が、コンピュータ断層映像手法で求め
る磁界分布の再構成精度に影響を与える。このため、角
度は、磁気ヘッドの数度刻みの回転毎に精度良く測定さ
れる必要があった。磁気ヘッドは、回転が可能な試料台
に装着されており、磁気ヘッドの回転角度検出は、一般
に試料台の回転軸に取付けたロータリエンコーダで行わ
れていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、角度
測定の絶対的な基準は、試料台自体が固定されている鏡
体にあったり、試料台に付けられたロータリエンコーダ
が固定されている鏡体にあった。しかし、高精度な角度
測定において、必要な測定の基準は、試料の観察や分析
や測定、あるいは加工に用いる光線や荷電粒子線の進行
方向である。このため、これを測定の基準にして、試料
台および試料の高精度な角度測定をする必要があった。
【0007】本発明が解決する課題は、進行する光線や
荷電粒子線を基準にした、試料台および試料の傾斜角度
検出や回転角度検出を行うことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、試料を保持して移動させる試料台に、角度検出のた
めの治具を装着する。以下に述べるこの治具を用い、試
料の観察や分析,測定あるいは加工を行うための光線あ
るいは荷電粒子線を角度検出の基準にして、試料台の傾
斜角度測定あるいは回転角度測定を行う。
【0009】治具は、複数の部材を三次元的に配置した
構成のものか、あるいは治具自身が三次元的な形状をし
ている単体の部材、あるいは、光線や荷電粒子線が通過
できる孔を開けておく構成とする。複数の部材の三次元
的な配置は、光線あるいは荷電粒子線の進行方向に垂直
である複数の面に分かれて存在するような位置に配置す
る。この治具を、試料台の光線あるいは荷電粒子線が照
射できる位置に配置して、固定する。治具に照射する光
線あるいは荷電粒子線は、試料に照射する光線あるいは
荷電粒子線と同じ光線あるいは荷電粒子線である。この
光線あるいは荷電粒子線によって得られる二次元の像
に、治具の位置あるいは向きに関する情報を含ませる。
【0010】換言すれば、本発明では、試料台の傾斜角
度を測定する治具が、光線や荷電粒子線の経路途中に設
けられる。治具の像や影が二次元に投影され、映し出さ
れた治具の形状や間隔または観察される輝点の位置の情
報が、試料台の位置あるいは向きに関する情報となる。
像に含まれるこれらの情報は、計算機処理で抽出され
る。
【0011】計算機処理は、治具が三次元形状物である
場合には、エッジ検出を用いて、治具形状の抽出を行
う。ここから治具の向きを求め、試料台の角度を求め
る。治具が三次元的に配置された複数の部材からなる場
合は、得られた像に含まれる複数の治具部材間の距離、
あるいは治具部材の大きさを求める処理で治具の向きを
求める。ここから、試料台の角度を求める。治具が、輝
点を形成するものであるときは、形成された輝点の位置
から、光線や荷電粒子線が通過した孔を見極め、この孔
から試料台の角度を求める。
【0012】また、本方式は、空間に存在する電磁界に
荷電粒子線を通し、得られる位相変化量あるいは偏向量
を検出して電磁界を観察や測定,評価する荷電粒子線装
置の場合も試料台に治具を装着し、用いることができ
る。
【0013】
【作用】本発明では、試料台に角度検出のための治具を
取付ける。試料台は、傾斜や回転が可能である。試料台
が傾斜や回転をすると、治具も同様に傾斜や回転をす
る。治具は、複数の部材からなり、これらが空間に三次
元的に配置されるように試料台に装着される。
【0014】治具は例えば三次元的に配置された複数の
ピンであったり、または、治具自身が三次元形状を有す
る部材であったり、治具内に光線や荷電粒子線が通過で
きる孔が開けられた部材である。
【0015】三次元的に配置された治具部材は、光源あ
るいは荷電粒子源の方向から二次元面に投影される。こ
こで、治具の像あるいは治具の影が得られる。部材が三
次元空間に配置される位置と、これを二次元面に投影す
る光線や荷電粒子線の角度によって、投影された治具の
形状や位置関係が変化する。
【0016】三次元に配置されたピンを二次元に投影し
た場合、奥行き方向に異なる位置に配置されているピン
は、試料台の回転によって二次元に投影されているピン
の影の間隔を変化させる。どの角度から二次元に投影し
ても形状の変化しない球などの大きさを基準にすれば、
それと比較を行うことにより相対的な間隔のずれの値が
求められ、ここから角度を正確に求めることができる。
【0017】三次元形状を有する部材の場合、試料台の
回転によって二次元に投影した像あるいは影が変化す
る。この形状の変化が、角度の値を求めるための情報と
なる。
【0018】治具がその中に光線や荷電粒子線が通過で
きる孔が開けられた場合、通過した光線や荷電粒子線を
観察するため、上記と同様に治具の影を観察する。複数
の孔が様々な方向から開けられていれば、照射角度によ
って観察される輝点は位置や形状が異なる。これは、治
具の向きによって光線や荷電粒子線の通過する孔が異な
るためである。すなわち、輝点の位置や形状の情報か
ら、治具の向きを決め、ここから角度を求める。
【0019】治具の形状や位置関係は、計算機処理され
る。ここから、その光線あるいは荷電粒子線が治具に投
影された方向が求められる。三次元空間に配置された治
具部材と、試料との位置関係は取付けた状態から既知で
ある。したがって、治具に投影された光線や荷電粒子線
の照射角が、求められると、ここから試料への照射角が
わかる。すなわち、光線や荷電粒子線を基準にすると、
試料台の傾斜あるいは回転角が求められる。
【0020】本手法で得た試料台の回転角度は、観察や
分析,測定や加工に用いる光線や荷電粒子線を用いてい
るため、これを基準にした実際の照射角を求めることが
できる。
【0021】
【実施例】
(実施例1)試料台で試料を保持して、台をアクチュエ
ータの付いた移動機構に取付け、これにより試料を傾斜
させて観察を行うことのできる電子顕微鏡の試料台に、
角度検出の治具を設けた。電子線をこの治具に照射して
像を得て、この得られた像から、試料台の角度、すなわ
ち、試料への電子線の照射角度を測定した。ここでは、
透過型電子顕微鏡を使った場合で説明するが、他の荷電
粒子線装置や光学装置でも同様に実施できた。
【0022】本発明の試料台と治具の例を図1に示し
た。試料の保持には、電子顕微鏡のサイドエントリー式
の試料台12を用いた。図示していないが、試料台12
は、その先端と根元を移動機構に支持,固定されてい
る。説明のため、試料台12の配置される空間に、図1
の左上に示す方向軸を定義する。すなわち、電子線11
の進行方向をZ軸方向、それに垂直なサイドエントリー
式の試料台12の挿入方向で、試料台12の回転軸19
方向をX軸方向,両軸に垂直な方向をY軸方向とする。
試料台の移動機構を使って試料台12全体を動かすこと
により、本実施例の試料18の移動は、X−Y面内移動
と回転軸19回りの回転が可能であった。
【0023】試料台12に、角度測定のための治具を装
着した。以下に治具を説明する。治具は、ピン14,1
5,16と、これが取付けられた板17で構成した。板
17に固定したピンの位置関係を図2に示した。ピン1
4と15の間の距離は2dで、試料18の面に平行な位
置に配置され、ピン16は、ピン14とピン15の中点
から垂直に距離dだけ離れた位置に配置された。この治
具を図1に示したように、試料台12に精度良く固定し
た。この時、板17が試料18面に対し垂直になるよう
に、かつ、傾斜の回転軸19とも垂直になるようにし
た。
【0024】次に、治具の付いた試料台12を使って、
像に治具の影が含まれるように試料18を通った透過電
子の明視野像を観察した。試料台の向きと観察された投
影像の関係を、(a)傾斜なし,(b)傾斜ありの場合
について模式的に図3に示した。投影像で影となって観
察された部分は、斜線で示されている。試料に対して垂
直に電子線11が入射している(a)傾斜なしの場合
は、左下に示したように、ピンの影が等間隔に3本並ん
で観察された。すなわち、S1=S2である。これに対
し、傾いた試料18に電子線11が入射している(b)
傾斜ありの場合では、右下のようにピンの影の間隔が異
なって(S1≠S2)観察された。
【0025】傾斜角度θは、観察された像から次のよう
に求めた。まず、十分に収差を取り除いて得た像におい
て、3本のピンの間隔のS1およびS2を求めた。S1
およびS2は、写真から直接計測によって求めても良
く、また、エッジ検出等の画像処理を用いても求められ
る。S1およびS2が求められると、試料台の電子線と
のなす角度θは、−45°<θ°<45°の時、数1で
与えられる。
【0026】
【数1】 θ=arctan{(S1−S2)/(S1+S2)} (数1) したがって、画像と、数1の計算で傾斜角度が求められ
た。数1は、間隔S1およびS2の和および差をとり、
これらの比から角度θが求められる事を示している。こ
のため、S1,S2が求められれば、像倍率には依存せ
ずに角度θが求められる。例えば、倍率200倍の像で
S1=16mm,S2=13mmであった時、傾斜角度θ
は、θ≒5.9° であった。倍率400倍の時には、S
1=32mm,S2=26mmであったが、傾斜角度は同じ
であり、像倍率に依存しなかった。
【0027】本手法の治具で、磁気記録媒体の磁化コン
トラストを観察した結果、再現性の良い媒体試料の角度
調整ができた。このため、常に同じ条件で、複数の磁気
記録媒体の磁化の観察が行えた。
【0028】また、本実施例では、試料観察に透過電子
を用いたため、治具の影を利用して角度の測定を行った
が、本発明の手法は、細く絞った荷電粒子を走査して試
料の像を得る走査型電子顕微鏡にも用いることができ
た。この場合は、治具の影ではなく、治具自体の像を使
って角度を測定した。また、光学顕微鏡の試料台にも、
本治具を設置して、同様な方法で傾斜角度を測定するこ
とができた。
【0029】(実施例2)角度検出の治具をピン1本と
円柱で構成し、この治具を試料台に固定して傾斜角度を
測定した。以下に治具の構成と、角度測定の方法を説明
する。実施例2の試料台と治具の構成を図4に示した。
図示していないが、試料台43は、移動機構に取付けて
あり、回転軸44回りの回転が可能である。角度検出の
治具は、円柱41とピン42一つで構成され、ピン42
は直径Dの円柱41の中心からPだけ離れた位置に設置
した。治具は、円柱41の中心軸が回転軸44と一致し
て、かつ、円柱41の中心とピン42を通る直線が試料
面46に対して垂直になるように、試料台43に固定さ
れた。
【0030】試料台43が傾斜すると、円柱41は回転
軸44を中心に回転する。平行光線45を通して、二次
元の面に投影して得た像の例を図5に示した。破線で囲
まれた円内が試料の観察領域である。円柱の影51とピ
ンの影52を斜線で示した。図5の円柱の影51は、回
転対称体のため、どの傾斜角度でも同じ影で観察され
た。しかし、ピンの影52は円柱の影51の中心軸から
ずれているため、二次元に投影すると、その位置が変化
して観察された。観察されたピンの影52が、観察され
る円柱の影51の直径の中心に観察されれば、光線44
は試料面46に対して垂直に照射されていることにな
る。
【0031】傾斜角度は以下のように求めた。例えば、
図5のように、二次元に投影した像のピンの影52の位
置が円柱の影の中心からPsずれていると、円柱の直径
がDsで観察されたとき、傾斜角度θは、数2で与えら
れる。
【0032】
【数2】 θ=arcsin{(Ps/Ds)(D/P)} (数2) (−90°<θ<90°) ピンの設置位置Pが、円柱の直径Dに対して、P=D/
4である場合は、数3となり、簡単な計算で試料の傾斜
角度が求められた。
【0033】
【数3】 θ=arcsin(4Ps/Ds) (数3) また、治具が図6に示すように円柱の部分が試料よりも
大きい場合でも、同様の測定が可能であった。
【0034】(実施例3)実施例1や実施例2では、検
出できる角度に限られた範囲があった。本実施例では、
1回転分の全ての角度を検出するための治具を試料台に
取付けて角度の検出を行った。以下に、治具と角度測定
方法を説明する。
【0035】本発明の治具を用いた角度検出の原理を図
7に示した。基本構成は実施例1に似ているが、ピン7
1が板72の円周に等間隔で付けてある。
【0036】本実施例で使用したピンは、個々に異なる
切欠きが付けてあるものを用いた。切欠きは、ピンを個
々に区別するためのものである。図8で切欠きについて
説明する。切欠きは、ピンの根元から順にE,D,C,
B,Aとする。それぞれの位置に切欠きがあれば、位置
に応じて20,21,22,23,24 の値を加算し、合計
値をピン番号とする。図8に示すピンでは、加算の合
計、すなわち、ピン番号を0から31まで示せる。すな
わち、32本のピンの区別が可能である。本実施例で
は、ピンが円周方向に1周並んでいるが、切欠きを用い
ることにより、どの方向にあるピンかを二次元のピンの
像から区別できる。
【0037】切欠きの目的は、上述のように二次元に投
影した像から、ピンの区別を行うことである。したがっ
て、像からピンの区別ができれば、切欠き以外の工夫で
も良い。
【0038】試料台の回転角度の検出は、以下のように
行った。例えば、走査型電子顕微鏡で観察されたピンの
像が、図7(a)の下に示すように、中心の治具に重な
りが生じていたとする。これをわずかに回転させて、図
7(b)になったとする。円周方向に並べたピンのう
ち、対向する位置にあるピンの間の距離をDp,像倍率
をMとし、図7(a)から図7(b)に移動したとき
の、ピンのずれをGpとすると、図7(a)と図7
(b)の角度の差dθは、数4となる。
【0039】
【数4】 dθ=arcsin{(1/M)(Gp/Dp)} (数4) 例えば、対向するピンの距離Dpが1mmとする。また、
図7(a)で重なっていたピンが、図7(b)でずれ、
Gp=1mmであったとする。投影像の倍率Mが一万倍の
時、傾斜角度の差dθは式(4)から、0.1mradianに
なる。さらに、治具の試料台への固定したときの角度を
用いて、試料と電子線のなす角が求められた。
【0040】また、像でピンの区別を行うことにより、
試料台の1回転分の回転角度測定が可能になった。
【0041】本治具を用いた試料台の角度測定を、試料
を回転させてデータを取得する電子線トモグラフィ装置
に用いた。この結果、従来のエンコーダを用いる測定方
式より角度の測定精度が約30%向上し、正確な試料台
角度で投影データの取得ができた。この結果、コンピュ
ータ・トモグラフィの再構成精度の向上を図ることがで
きた。
【0042】(実施例4)実施例1,実施例2および実
施例3では、ピンを空間に配置して、そのピンの像や影
で試料台の傾斜角度や回転角度を判断した。本実施例で
は、様々な方向からビームの経路のための孔が確保され
る治具を用いた。
【0043】図9に本実施例の治具を示した。治具91
には管状の孔92が設けられている。管状の孔92は様
々な方向から直線状に開けられているが、全て一つの回
転軸93を通っている。角度は、孔に荷電粒子線94が
通るかどうかをモニタして調べる。例えば、荷電粒子線
の進行方向から見た治具が図9の下に示すものであった
とする。この時、治具の断面と、荷電粒子線の進行方向
の関係を図9の上側に示したようであれば、図からわか
るように、荷電粒子線の進行方向に平行な孔のみ、荷電
粒子線が通れる。このため、投影像では治具の中央部に
輝点が観察される。
【0044】この治具で角度測定の分解能を向上させる
ため、図9の治具を複数枚重ねて、図10上段に示す構
成とした。図9に示した1枚の治具では測定することの
できなかった孔と孔のあいだの中間の角度が、図10の
構成の治具で測定することができた。図10下段に治具
の投影像を観察した例を示した。この輝点の観察される
位置により、治具の角度を求めることができた。したが
って、本治具の取付けられた試料台の角度すなわち、試
料の角度を高分解能で求めることができた。
【0045】本実施例の治具は、複数の孔の大きさを変
化させ、治具の1回転分の輝点を区別することもでき
る。また、隣接する孔を通過する電子線の輝点との明る
さの比率を相互判断することにより、角度の中間値を測
定することができる。このため、孔のピッチを狭めた
り、画像の解像度,分解能を向上させて、角度検出の分
解能をさらに高めることができる。
【0046】本治具の応用として、孔ではなく、絞りの
孔を、円周方向に並べたものでも同様の測定ができた。
治具の概略を図11に示した。多孔板111を支持台1
13上に、回転軸114周り一周分固定した。112が
孔または溝,115が荷電粒子線である。
【0047】本実施例の角度測定の手法は、透過型電子
顕微鏡などの、一般に対物レンズの焦点距離の短いイン
レンズ型の試料台にも適応ができる。実施例1や実施例
2,実施例3では、短焦点のレンズで試料を観察する
と、ピンの像がぼけて、ピン間隔の評価がしづらくな
り、角度や傾斜の検出ができなくなった。本手法は、孔
や絞りを用いているため、これをレンズの焦点距離に対
して適当な位置に配置させれば、輝点をぼけさせること
なく観察することができ、角度検出が可能である。
【0048】(実施例5)三次元の形状を有する一つの
部材を角度検出の治具として、試料台の角度測定を行っ
た。本実施例の装置のブロック図を図12に示した。
【0049】図12に示した構成は、電子線を用いた場
合のものである。電子銃121から発生した電子線12
2は、収束レンズ123,走査コイル124を通り、さ
らに対物レンズ125で細く絞られて、試料台126上
の試料127に照射され、試料127面上で走査され
る。試料127からは二次電子128が発生する。二次
電子128は検出器129で検出され、その情報が走査
信号発生器130からの走査信号と同期して、モニタ1
31に映し出される。すなわち、二次元の画像として表
示される。さらに画像は、メモリ132に蓄えられる。
【0050】次に、試料127を走査する電子線122
と同じ電子線122で治具134の像を映し出し、メモ
リ132に蓄える。映し出された治具の例を図13に示
した。治具134は、本実施例では立方体で示した。立
方体の面に電子線が入射する角度によって像に映し出さ
れた面の明るさが異なっている。治具134の形状は、
球以外であれば、他の形状でも可能である。球では、二
次元に投影する角度の変化によって像の変化が生じな
い。したがって、球はその形状からだけでは、角度の情
報が得られず、治具としては不適当である。
【0051】得られた治具の画像(図13)に、計算機
132で次に示す処理を施した。まず、コントラストの
異なる面を抽出し、コントラストの境界を直線で近似し
た。これが、各面のエッジを示している。図13に示し
た画像にエッジ検出処理を施した結果を図14に示し
た。
【0052】図14に示したように、エッジの交点の距
離をSa,Sbとする。また、回転の方向をそれぞれ図
に示すθ方向の回転,φ方向の回転とする。Sa=0の
ときの回転角度θ0 を0°とすると、そこからの回転角
度θは、傾斜φが微小であれば、数5で表わすことがで
きる。
【0053】
【数5】 θ=arctan(Sa/Sb) (数5) さらに、微小な試料の傾斜φは、数6または数7または
数8で表わせる。
【0054】
【数6】 φ=arcsin{(Ta+Tb)/(Sa+Sb)} (数6)
【0055】
【数7】 φ=arcsin(Tb/Sa) (数7)
【0056】
【数8】 φ=arcsin(Ta/Sb) (数8) 本実施例で述べた手法は、三次元形状をした部材の像か
ら角度の検出が可能である。そこで、電子線トモグラフ
ィの磁界計測に用いるステージの角度検出に本方法を適
応した。三次元形状の部材は、磁界を発生させる磁気ヘ
ッドとし、この像から試料の回転角度を測定した。本手
法を用いた結果、試料の角度検出が精度良くできた。さ
らに、磁界の空間に測定断面を精度良く定義でき、磁界
測定の空間分解能も向上させることができた。
【0057】また、イオンビーム加工装置の試料の角度
測定に本手法を用いた。加工に用いるイオンビームの進
行方向を基準に角度測定ができたことから、加工の精度
を向上させることができた。
【0058】
【発明の効果】簡単な治具を試料台に付加することによ
り、光線や荷電粒子線の進行方向を基準にした試料の高
精度な角度検出ができ、観察における試料台の制御も高
精度に行える。また、試料を傾斜させて測定する磁性膜
の計測や回転させて測定するコンピュータ断層映像手法
の精度が上がり、計測性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を示す説明図。
【図2】実施例1の治具の説明図。
【図3】試料台の向きと投影像の説明図。
【図4】本発明の実施例2を示す説明図。
【図5】実施例2で観察された治具の投影像の説明図。
【図6】本発明の実施例2の説明図。
【図7】本発明の実施例3を示す説明図。
【図8】実施例3のピンの区別法の説明図。
【図9】本発明の実施例4の角度検出の治具の説明図。
【図10】実施例4の治具の構成と角度検出の投影像の
説明図。
【図11】本発明の実施例4の治具を示す説明図。
【図12】本発明の実施例5の装置のブロック図。
【図13】実施例5で得られた治具の像の説明図。
【図14】実施例5で得られた像のエッジ検出を行った
結果の説明図。
【符号の説明】
11…電子線、12…試料台、14,15,16…ピ
ン、17…板、18…試料、19…回転軸。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 勝広 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源あるいは荷電粒子源から放射された光
    線あるいは荷電粒子線を試料に照射し、前記試料を透過
    した光線あるいは前記荷電粒子線、あるいは前記試料か
    ら励起されて発生する粒子線、あるいは前記試料からの
    反射光あるいは反射荷電粒子を用いて、前記試料に関す
    る情報を得て、前記試料を観察あるいは分析あるいは測
    定を行う装置、または、前記光線あるいは前記荷電粒子
    線を前記試料に照射して前記試料に加工を施す装置の、
    前記試料を保持して移動させる機能を有する試料台が、
    前記試料への前記光線あるいは前記荷電粒子線の照射角
    を変化させることのできる傾斜機能あるいは回転機能を
    有し、かつ前記試料の前記荷電粒子線に対する傾斜角度
    あるいは回転角度を求めるための治具を具備しているこ
    とを特徴とする試料台。
  2. 【請求項2】空間に存在する電磁界に荷電粒子線を通
    し、得られる位相変化量あるいは偏向量を検出して前記
    電磁界を観察,測定,評価する荷電粒子線装置におけ
    る、前記電磁界を形成する試料を保持する試料台が、前
    記電磁界への前記荷電粒子線の照射角を変化させること
    のできる傾斜機能あるいは回転機能を有し、かつ前記電
    磁界の前記荷電粒子線に対する傾斜角度あるいは回転角
    度を求めるための治具を具備していることを特徴とする
    試料台。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2において、試料台
    が具備している治具に、試料や電磁界に照射する光線あ
    るいは荷電粒子線と同じ光線あるいは荷電粒子線を照射
    することが可能であり、かつ、前記光線あるいは前記荷
    電粒子線を用いて取得した像に、観察された治具の方向
    あるいは治具の位置関係に関する情報を含ませることが
    可能である試料台。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記治具の方向あるい
    は位置関係に関する情報は、取得した像に含まれる治具
    の像、あるいは治具の影、あるいは治具の間を通過した
    光線あるいは荷電粒子線が形成する輝点である試料台。
  5. 【請求項5】請求項1または請求項2において、試料台
    が具備している治具は、三次元の形状をした部材であ
    り、二次元に投影した前記治具の像あるいは影を得たと
    きに投影方向の変化によって、前記治具の像あるいは影
    が変化する試料台。
  6. 【請求項6】請求項1または請求項2において、試料台
    が具備している治具は、複数の部材で構成され、前記複
    数の部材の空間内における配置が、前記光線あるいは荷
    電粒子線の進行方向に垂直である二つ以上の面内に存在
    する試料台。
  7. 【請求項7】請求項6において、前記複数の部材は、二
    次元に投影した像あるいは影から、部材の区別が可能で
    ある試料台。
  8. 【請求項8】請求項1または請求項2において、試料台
    が具備している治具は、光線あるいは荷電粒子線が通過
    することのできる孔あるいは管を有している試料台。
  9. 【請求項9】請求項1または請求項2において、光線あ
    るいは荷電粒子線を発生する発生手段と、前記光線ある
    いは前記荷電粒子線を使って試料あるいは電磁界に照射
    する照射手段と、照射された光線あるいは荷電粒子線か
    らの情報を使って像を得る像取得手段と、得られた像を
    保存する保存手段と、得られた像を処理する処理手段
    と、試料台を備えた装置。
  10. 【請求項10】請求項9において、試料台の傾斜角度の
    検出あるいは回転角度の検出が、前記試料や前記電磁界
    に照射して観察あるいは分析あるいは測定あるいは加工
    を行うための前記光線あるいは荷電粒子線を用いて治具
    の像を得て、得られた像を前記処理手段で画像処理して
    行われる装置。
  11. 【請求項11】請求項10において、画像処理は、像に
    含まれる複数の治具部材間の距離、あるいは治具部材の
    形状、あるいは治具の向きを求める処理である装置。
  12. 【請求項12】請求項10において、画像処理は、像に
    含まれる輝点の位置を求める処理である装置。
  13. 【請求項13】請求項10において、画像処理は、治具
    の像のエッジ検出処理である装置。
  14. 【請求項14】請求項9において、処理手段で行われる
    処理は、画像処理で治具の角度を求め、得られた治具の
    角度から試料の傾斜角度あるいは回転角度を検出する処
    理である装置。
  15. 【請求項15】請求項2において、前記治具は、空間に
    存在する電磁界を発生する三次元の構造物自身である装
    置。
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