JPH0812317A - シリカ球状粒子からなる三次元網状構造体 - Google Patents

シリカ球状粒子からなる三次元網状構造体

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JPH0812317A
JPH0812317A JP6168711A JP16871194A JPH0812317A JP H0812317 A JPH0812317 A JP H0812317A JP 6168711 A JP6168711 A JP 6168711A JP 16871194 A JP16871194 A JP 16871194A JP H0812317 A JPH0812317 A JP H0812317A
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裕子 田中
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宗明 山口
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弘正 小川
Katsutoshi Tanaka
勝敏 田中
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】シリカ含有量が高いにも拘わらず、ガラス転移
点以上の温度においても剛性が急激に低下せず、且つ高
温での安定性に優れた新規なシリカ系構造体を提供す
る。 【構成】1.下記の構造的特性と力学的特性とを備えた
ことを特徴とするシリカ球状粒子からなる三次元網状構
造体: (1)三次元的に相互に結合した直径6〜30μmシリ
カ球状粒子からなっている; (2)シリカ球状粒子は表面に半径5〜10nmの細孔
を有し、その比表面積は300〜400m2/gであ
る; (3)シリカ粒子相互間の結合部はくびれており、結合
部の断面積は粒子の最大断面積の1/2〜1/4の範囲
にある; (4)シリカ粒子表面のほとんどの部分が水溶性高分子
により覆われている; (5)網状構造体の内部には連通する空孔部が形成され
ており、網状構造体における空孔率は40〜60%の範
囲にある; (6)シリカ含有率が60〜80重量%の範囲にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な構造のシリカ−
高分子複合体に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】一般に、シリカ粒子は、給油
量が大きく高充填し難いので、シリカ充填量の高いシリ
カ−高分子複合材料の製造は、困難であり、仮に製造で
きたとしても、物性の点で、実用性に欠けている。例え
ば、石英ガラス粉或いはフレークを用いてランダム最密
充填した複合体の最大充填量は、77重量%となる。ゾ
ル・ゲル法を利用した相溶性高分子ブレンド系から相分
離システムにより合成された三次元構造体のシリカ高充
填複合体のシリカ含有量は、最大80重量%である。し
かしながら、一般に、ガラス或いはシリカなどの無機充
填物複合材料は、無機物の充填率が増大するとともに、
剛性(弾性率)は増加するが、衝撃強さなどは低下し、
硬くてもろい材料となる。例えば、シリカ、ガラスなど
の無機物を充填したエポキシ樹脂系複合材料は、樹脂の
ガラス転移点を上回る温度においては、剛性を急激に失
ってしまい、高温での安定性にも欠けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、シ
リカ含有量が高いにも拘わらず、ガラス転移点以上の温
度においても剛性が急激に低下せず、且つ高温での安定
性に優れた新規なシリカ系構造体を提供することを主な
目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な技術の現状に鑑みてさらに研究を重ねた結果、アルコ
キシシランの低重合体と水溶性高分子とを含む水とアル
コールとの混合溶媒中で、酸触媒の存在下にアルコキシ
シランの低重合体の加水分解反応と重合反応とを行わせ
る場合には、新規な構造および特異な物性を有するシリ
カ粒子からなる三次元網目構造体が得られることを見出
した。
【0005】すなわち、本発明は、下記のシリカ球状粒
子からなる三次元網状構造体およびその製造方法を提供
するものである: 1.下記の構造的特性と力学的特性とを備えたことを特
徴とするシリカ球状粒子からなる三次元網状構造体: (1)三次元的に相互に結合した直径6〜30μmシリ
カ球状粒子からなっている; (2)シリカ球状粒子は表面に半径5〜10nmの細孔
を有し、その比表面積は300〜400m2/gであ
る; (3)シリカ粒子相互間の結合部はくびれており、結合
部の断面積は粒子の最大断面積の1/2〜1/4の範囲
にある; (4)シリカ粒子表面のほとんどの部分が水溶性高分子
により覆われている; (5)網状構造体の内部には連通する空孔部が形成され
ており、網状構造体における空孔率は40〜60%の範
囲にある; (6)シリカ含有率が60〜80%の範囲にある; (7)空気中600℃で5時間或いは800℃で3時間
保持しても、網目構造自体は変化しない; (8)構造体は機械的加工が可能であり、ガラス転移点
以下の温度では1.5〜2.0GPaの弾性率を有し、
ガラス転移点と300℃との間の温度では0.18〜
0.25GPaの弾性率を有する。
【0006】2.アルコキシシランの低重合体と水溶性
高分子とを含む水とアルコールとの混合溶媒中で、酸触
媒の存在下にアルコキシシランの低重合体の加水分解反
応と重合反応とを行わせることを特徴とする上記項1に
記載のシリカ球状粒子からなる三次元網状構造体の製造
方法。
【0007】3.下記の構造的特性と力学的特性とを備
えたことを特徴とするシリカ球状粒子からなる三次元網
状構造体: (1)三次元的に相互に結合した直径6〜30μmシリ
カ球状粒子からなっている; (2)シリカ球状粒子は表面に半径5〜10nmの細孔
を有し、その比表面積は300〜400m2/gであ
る; (3)シリカ粒子相互間の結合部はくびれており、結合
部の断面積は粒子の最大断面積の1/2〜1/4の範囲
にある; (4)網状構造体の内部には連通する空孔部が形成され
ており、網状構造体における空孔率は40〜60%の範
囲にある; (5)シリカ含有率は60〜80重量%の範囲にある; (6)空気中600℃で5時間或いは800℃で3時間
保持しても、網目構造自体は変化しない; (7)構造体は機械的加工が可能であり、ガラス転移点
以下の温度では1.5〜2.0GPaの弾性率を有し、
ガラス転移点と300℃との間の温度では0.18〜
0.25GPaの弾性率を有する。
【0008】4.アルコキシシランの低重合体と水溶性
高分子とを含む水とアルコールとの混合溶媒中で、酸触
媒の存在下にアルコキシシランの低重合体の加水分解反
応と重合反応とを行わせた後、水溶性高分子の分解温度
以上の温度で加熱処理することを特徴とする上記項3に
記載のシリカ球状粒子からなる三次元網状構造体の製造
方法。
【0009】本発明による特異な骨格を有する三次元網
目構造体は、以下のような方法により、製造できる。
【0010】則ち、アルコキシシランの低重合体と水溶
性高分子とを含む水とアルコールとの混合溶媒中で、酸
触媒の存在下にアルコキシシランの低重合体の加水分解
反応と重合反応とを行わせる。重合反応の進行ととも
に、まず準安定領域で相分離が起こって、シリカ粒子の
核生成が始まり、その成長過程で不安定領域(スピノー
ダル分解域)へ移行し、シリカ粒子の成長とともに粒子
間の結合が行われて、最終的にシリカ球状粒子からなる
三次元網目構造体が形成される。
【0011】ところで、中西和樹ら{Jounal of Non-Cr
ystaline Solids 139(1992)pp1-13}において、テト
ラエトキシシランモノマーまたはテトラメトキシシラン
モノマー、ポリアクリル酸、水、メタノールまたはエタ
ノール、硝酸からなる均一混合溶液を60℃でゲル化さ
せ、シリカ相とポリマー相との相分離をスピノーダル線
に囲まれた不安定領域で行わせた後、ポリマー相を洗い
出して、シリカの絡合構造体を得たことを報告してい
る。しかしながら、本発明におけるシリカ粒子は、アル
コキシシランモノマーを出発原料とする上記文献記載の
方法とは異なり、核生成と成長が起こる準安定領域でシ
リカ球状粒子がある程度成長したところで不安定領域へ
移行する様に、溶媒の濃度の変化を制御することにより
行われるものであり、シリカ球状粒子が三次元的に連結
した構造を示す。
【0012】上記の反応においては、一定量の水溶性高
分子の存在が必須である。則ち、相溶性のある高分子の
ブレンド系または高分子とモノマーとのブレンド系の中
で、臨界相溶温度曲線を境に1相に相溶している相と2
相に相溶している相とを持つ系において、ある組成で相
溶しているブレンド物に温度の急変化を与えた後、等温
処理すると、それぞれ同じ高分子(成分)が集合し始
め、相分離が始まるが、その過程で絡み合い構造(三次
元相互貫入型構造)を形成する。この段階で重合反応、
ゲル化などにより系を固定することにより、三次元網目
構造を得る。本発明方法においては、水溶性高分子は、
反応系組成の必須の成分であり、その粘度乃至分子量お
よび配合量は、生成する三次元構造体の性質に影響す
る。
【0013】反応系に水溶性高分子が存在しないか或い
はその存在量が少なすぎる場合には、シリカの破砕片が
形成されるのみで、球状シリカ粒子が相互に連結した三
次元網目構造体は形成されないに対し、水溶性高分子の
存在量が多すぎる場合には、水溶性高分子の膨潤体中に
シリカ微粒子が分散した塊状物が形成される。
【0014】アルコキシシランの低重合体の原料となる
モノマーとしては、テトラメトキシシラン、テトラエト
キシシランなどのアルコキシ基の炭素数1〜4個のもの
が例示される。低重合体としては、この様なモノマーが
4〜10個程度つながったものが好ましい。この様な低
重合体は、公知であり、一部市販されている。
【0015】水溶性高分子としては、水溶性で且つアル
コールとの相溶性を有するものであれば、特に限定され
ず、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリビ
ニルアルコールなどが例示される。水溶性高分子は、予
め水溶液とした形態で使用しても良い。
【0016】混合溶媒において使用されるアルコールと
しては、メチルアルコール、エチルアルコールなどの炭
素数1〜4の低級アルコールが挙げられる。混合溶媒中
での水とアルコールとの混合割合は、通常水40〜60
%とアルコール60〜40%程度であり、より好ましく
は水53〜57%とアルコール47〜43%程度であ
る。なお、水溶性高分子を水溶液の形態で使用する場合
には、溶媒としての水も、混合溶媒中の水含有量に含め
る。
【0017】低重合体と水溶性高分子との配合割合は、
前者100重量部に対し、通常後者10〜40重量部程
度、より好ましくは25〜35重量部程度である。水溶
性高分子の配合量が少なすぎる場合には、球状のシリカ
粒子が相互に連結した三次元網目構造体は形成されず、
シリカガラス中に球状の水溶性高分子が分散した状態に
あり、乾燥とともにガラスが小片に分かれて割れ、1〜
2mm程度の粒状物となる。水溶性高分子が過剰となる
場合には、水溶性高分子中にシリカ粒子が分散した本発
明とは全く異なる構造体が形成される。
【0018】混合溶媒中でのアルコキシシラン低重合体
と水溶性高分子とからなる固形分濃度は、通常40〜6
0重量%程度であり、より好ましくは42〜46重量%
程度である。
【0019】触媒として使用する酸としては、塩酸、硝
酸、酢酸などが例示される。酸触媒の使用量は、通常反
応系全成分の0.5〜2重量%程度であり、より好まし
くは1〜1.2重量%程度である。
【0020】本発明方法は、アルコキシシラン低重合体
と水溶性高分子とを均一に溶解した混合溶媒に酸触媒を
添加し、撹拌した後、10〜35日間程度静置熟成する
ことにより、実施される。
【0021】上記の方法で得られた構造体内に存在する
球状シリカ粒子表面のほとんどの部分(通常90%以
上)は、水溶性高分子により覆われている。この水溶性
高分子は、必要ならば、水洗により、その一部を除去す
ることができる。
【0022】また、構造体内に存在する球状シリカ粒子
表面を覆う水溶性高分子は、構造体が固定安定化した
後、水洗した後或いは水洗することなく、水溶性高分子
の分解温度以上の温度(好ましくは、500℃以上)で
加熱することにより、完全に除去することができる。こ
の加熱処理により、シリカ球状粒子のガラス化が進行し
て、高密度で且つ高強度の構造体が得られる。
【0023】本発明により得られる連結したシリカ球状
粒子からなる三次元網目構造体は、請求項1の(1)〜
(8)或いは請求項3の(1)〜(7)に示した様な物
性を備えている。特に、本発明による三次元網目構造体
の一例とエポキシ樹脂硬化体の一例(ビスフェノールF
型エポキシ樹脂を無水ハイミック酸で硬化したもの)の
常温および高温における弾性率と高温における安定性を
対比すると、以下の通りである。
【0024】 本 発 明 品 エポキシ樹脂品 常 温 弾 性 率 1.5 GPa 3.0 GPa 高 温 弾 性 率 0.18GPa 0.019GPa (ガラス転移点以上) 高 温 安 定 性 300℃で安定 250℃で破壊
【0025】
【発明の効果】本発明による新規なシリカ粒子構造体
は、三次元網目状構造を有しているので、シリカ含量が
非常に高いにも拘わらず、ガラス転移点よりも低い温度
域では、その剛性(弾性率)は、無機物粒子を充填しな
いエポキシ樹脂よりも小さく、しかも可撓性があるの
で、曲げたり、切削加工、切り出し加工などの機械的加
工に供することも可能である。
【0026】また、本発明によるシリカ系三次元網目状
構造体は、高温域においても、その剛性の低下が小さ
く、有機物が溶融乃至分解する温度においても、その剛
性を維持するという特異な性質を備えている。
【0027】用途的には、請求項1発明による三次元網
目構造体は、シリカ粒子表面の細孔および水溶性高分子
に由来する官能基(カルボン酸基、水酸基など)を利用
して、酵素の固定化担体として有用である。
【0028】また、物質の選択的分離機能を有する機能
性高分子を固定することにより、高性能分離機能を備え
た耐熱性高強度分離膜として、化学工業、医療福祉など
の分野での利用が期待される。さらに、インテリジェン
トポリマーとの複合化によるインテリジェント材料用基
材としても、有用である。
【0029】また、空孔部に樹脂を充填することによ
り、無機−有機相互貫入型複合体を合成することがで
き、樹脂としてイミド樹脂、エポキシ樹脂などを使用す
る場合には、高耐熱性複合体が製造できる。
【0030】
【実施例】以下に比較例および実施例を示し、本発明の
特徴とするところをより一層明確にする。
【0031】比較例1 テトラメトキシシランの低重合体(三菱化成(株)製、
商標“MS51”、重合度n=4)29部に25℃で特
級エチルアルコール15部と蒸留水6部を混合した後、
36%塩酸1部を加えて10分間撹拌し、25℃で静置
して加水分解および重合させた。反応混合物は、約5時
間の放置後に硬化し、破砕して、透明なシリカの小砕片
(大きさ1〜2mm程度)となった。
【0032】比較例2 テトラメトキシシランの低重合体(三菱化成(株)製、
商標“MS56”、重合度n=8)を使用する以外は比
較例1と同様にして操作したところ、やはり透明なシリ
カの小砕片が形成された。
【0033】比較例3 テトラメトキシシランの低重合体(三菱化成(株)製、
商標“MS51”)29部に25℃で特級エチルアルコ
ール15部、25%ポリアクリル酸水溶液(30℃で8
000〜12000cps)4部および水6部を混合し
た後、36%塩酸1部を加えて10分間撹拌し、25℃
で静置して、加水分解および重合させた。反応混合物
は、約3時間の放置後に硬化し、破砕して淡黄色に着色
した不透明なシリカの小砕片となった。
【0034】実施例1 テトラメトキシシランの低重合体(三菱化成(株)製、
商標“MS51”)14部に25℃で特級エチルアルコ
ール10部および25%ポリアクリル酸水溶液(30℃
で8000〜12000cps)16部を混合した後、
36%塩酸0.5部を加えて10分間撹拌し、25℃で
静置して加水分解および重合させた。反応混合物は、約
2週間の放置後にブロック状に固化した。
【0035】得られた三次元網目状構造体の物性は、以
下のとおりである。
【0036】(1)三次元的に相互に結合した直径6〜
8μmシリカ球状粒子からなっている; (2)シリカ球状粒子は表面に半径5〜7nmの細孔を
有し、その比表面積は320〜350m2/gである; (3)シリカ粒子相互間の結合部の断面積は粒子の最大
断面積の1/3〜1/4の範囲にある; (4)シリカ粒子表面のほとんどの部分(約98%)
は、ポリアクリル酸により覆われている; (5)網状構造体における空孔率は約44%である; (6)シリカ含有率が65重量%である; (7)空気中600℃で5時間或いは800℃で3時間
保持しても、網目構造自体は変化しない。
【0037】(8)切削加工、切り出し加工などの機械
加工が可能であり、常温(25℃)における弾性率は
1.5〜2.0GPaであり、250〜300℃におけ
る弾性率は0.18〜0.25GPaである。
【0038】なお、上記で得られた三次元網目状構造体
の粒子構造のSEM写真を図1に示す。
【0039】実施例2 テトラメトキシシランの低重合体(三菱化成(株)製、
商標“MS51”)18部に18℃で特級エチルアルコ
ール10部および25%ポリアクリル酸水溶液(30℃
で8000〜12000cps)16部を混合した後、
36%塩酸0.5部を加えて10分間撹拌し、18℃で
静置して加水分解および重合させた。反応混合物は、3
週間の放置後にブロック状に固化した。
【0040】生成物は、粒径約10μmに揃ったシリカ
球状粒子からなる三次元網目構造体であり、空気中60
0℃で5時間或いは800℃で3時間保持しても、網目
構造自体は変化しなかった。
【0041】実施例3 テトラメトキシシランの低重合体(三菱化成(株)製、
商標“MS51”)19部に18℃で特級エチルアルコ
ール10部および25%ポリアクリル酸水溶液(30℃
で8000〜12000cps)16部を混合した後、
36%塩酸0.5部を加えて10分間撹拌し、18℃で
静置して加水分解および重合させた。反応混合物は、3
週間の放置後にブロック状に固化した。
【0042】生成物は、粒径約10〜30μmのシリカ
球状粒子からなる三次元網目構造体であった。
【0043】実施例4 テトラメトキシシランの低重合体(三菱化成(株)製、
商標“MS56”)35部に25℃で特級メチルアルコ
ール25部および重合度400のポリエチレングリコー
ル20部および蒸留水30部を混合した後、36%塩酸
1部を加えて10分間撹拌し、25℃で静置して加水分
解および重合させた。反応混合物は、約2週間の放置後
にブロック状に固化した。
【0044】生成物は、粒径約10〜20μmのシリカ
球状粒子からなる三次元網目構造体であった。
【0045】実施例5 テトラエトキシシランの低重合体(重合度n=5)15
部に25℃で特級メチルアルコール25部および25%
ポリアクリル酸水溶液16部を混合した後、硝酸0.5
部を加えて10分間撹拌し、23℃で静置熟成させた反
応混合物は、約15日後にブロック状に固化した。
【0046】生成物は、粒径約15〜25μmのシリカ
球状粒子からなる三次元網目構造体であった。
【0047】実施例6 テトラエトキシシランの低重合体(重合度n=7)15
部に18℃で特級エチルアルコール10部ポリエチレン
グリコール(重合度n=200)18部および蒸留水1
5部を混合した後、酢酸2部を加えて15分間撹拌し、
18℃で静置して加水分解および重合反応を行わせた。
反応混合物は、約30日後にブロック状に固化し、シリ
カ球状粒子からなる三次元網目構造体であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた三次元網目状構造体の粒子
構造を示すSEM写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 勝敏 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の構造的特性と力学的特性とを備えた
    ことを特徴とするシリカ球状粒子からなる三次元網状構
    造体: (1)三次元的に相互に結合した直径6〜30μmシリ
    カ球状粒子からなっている; (2)シリカ球状粒子は表面に半径5〜10nmの細孔
    を有し、その比表面積は300〜400m2/gであ
    る; (3)シリカ粒子相互間の結合部はくびれており、結合
    部の断面積は粒子の最大断面積の1/2〜1/4の範囲
    にある; (4)シリカ粒子表面のほとんどの部分が水溶性高分子
    により覆われている; (5)網状構造体の内部には連通する空孔部が形成され
    ており、網状構造体における空孔率は40〜60%の範
    囲にある; (6)シリカ含有率は60〜80重量%の範囲にある; (7)空気中600℃で5時間或いは800℃で3時間
    保持しても、網目構造自体は変化しない; (8)構造体は機械的加工が可能であり、ガラス転移点
    以下の温度では1.5〜2.0GPaの弾性率を有し、
    ガラス転移点と300℃との間の温度では0.18〜
    0.25GPaの弾性率を有する。
  2. 【請求項2】アルコキシシランの低重合体と水溶性高分
    子とを含む水とアルコールとの混合溶媒中で、酸触媒の
    存在下にアルコキシシランの低重合体の加水分解反応と
    重合反応とを行わせることを特徴とする請求項1に記載
    のシリカ球状粒子からなる三次元網状構造体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】下記の構造的特性と力学的特性とを備えた
    ことを特徴とするシリカ球状粒子からなる三次元網状構
    造体: (1)三次元的に相互に結合した直径6〜30μmシリ
    カ球状粒子からなっている; (2)シリカ球状粒子は表面に半径5〜10nmの細孔
    を有し、その比表面積は300〜400m2/gであ
    る; (3)シリカ粒子相互間の結合部はくびれており、結合
    部の断面積は粒子の最大断面積の1/2〜1/4の範囲
    にある; (4)網状構造体の内部には連通する空孔部が形成され
    ており、網状構造体における空孔率は40〜60%の範
    囲にある; (5)シリカ含有率は60〜80重量%の範囲にある; (6)空気中600℃で5時間或いは800℃で3時間
    保持しても、網目構造自体は変化しない; (7)構造体は機械的加工が可能であり、ガラス転移点
    以下の温度では1.5〜2.0GPaの弾性率を有し、
    ガラス転移点と300℃との間の温度では0.18〜
    0.25GPaの弾性率を有する。
  4. 【請求項4】アルコキシシランの低重合体と水溶性高分
    子とを含む水とアルコールとの混合溶媒中で、酸触媒の
    存在下にアルコキシシランの低重合体の加水分解反応と
    重合反応とを行わせた後、水溶性高分子の分解温度以上
    の温度で加熱処理することを特徴とする請求項3に記載
    のシリカ球状粒子からなる三次元網状構造体の製造方
    法。
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