JPH08120546A - スパン糸調の表面効果を有する編物 - Google Patents

スパン糸調の表面効果を有する編物

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JPH08120546A
JPH08120546A JP25671194A JP25671194A JPH08120546A JP H08120546 A JPH08120546 A JP H08120546A JP 25671194 A JP25671194 A JP 25671194A JP 25671194 A JP25671194 A JP 25671194A JP H08120546 A JPH08120546 A JP H08120546A
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JP
Japan
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yarn
knitted fabric
diameter portion
thick
thin
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Pending
Application number
JP25671194A
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English (en)
Inventor
Toshihiko Kimura
俊彦 木村
Hisao Inuyama
久夫 犬山
Ujiteru Niwa
氏輝 丹羽
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自然感覚に富んだスパン糸調の表面効果とス
パンライクな風合いとを有する編物の提供。 【構成】 複数の単糸フィラメントが交絡した嵩高性の
大きな太径部と小さな細径部とが糸長手方向にランダム
に変化して混在する太・細マルチフィラメント糸条から
編成された編物であり、その太・細マルチフィラメント
糸条の編成方向のゆらぎ係数nが0.7〜1.5である
スパン糸調の表面効果を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、太・細マルチフィラメ
ント糸条から構成されたスパン糸調の表面効果を有する
編物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スパン糸調の表面効果を有する編
物として、スラブ調、シックアンドシン調、融着交互ヨ
リ調などの太・細マルチフィラメント糸条から構成され
た多数種類の編物が開発されてきた。しかし、これらの
編物の表面効果はいずれもパターンが画一的であった
り、人工的であったりするため、近年の自然感覚ブーム
に乗って求められるようになった市場ニーズには対応で
きなくなっている。
【0003】すなわち、この市場ニーズとは、綿糸など
の自然感溢れる太・細変化により視覚的に「見栄えがよ
い」と感ずる表面効果や手触り風合いであり、上述のよ
うに表面効果が画一的であったり、人工的であったりす
る従来のスパン糸調の編物では、このようなニーズには
対応できなくなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、自然
感覚に富んだスパン糸調の表面効果とスパンライクな風
合いとを有する編物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明によるスパン糸調の表面効果を有する編物は、複数の
単糸フィラメントが交絡したループやたるみからなる嵩
高部を形成すると共に、その嵩高性の大きな太径部と小
さな細径部とがそれぞれの太さと長さとを糸長手方向に
ランダムに変化させて混在する太・細マルチフィラメン
ト糸条から編成された編物であって、該編物の前記太・
細マルチフィラメント糸条の編成方向のゆらぎ係数nが
0.7〜1.5であることを特徴とするものである。
【0006】この編物を構成する太・細マルチフィラメ
ント糸条は、太径部は多数のループやたるみを有し、嵩
高性の大きな紡錘型を有しているので、凹凸感のある
「ふくらみ」感を与えることができる。また、編物の表
面変化は、この編物を構成する糸条の太径部と細径部と
の立体構造により凹凸感が決まるものであるが、細径部
から太径部にかけてのナチュラルな太さ変化によって自
然感やムラ感の表面効果を与えることができる。
【0007】また、編物は上記太径部と細径部との立体
構造をもった太・細マルチフィラメント糸条から編成方
向のゆらぎ係数nが0.7〜1.5となるように編成さ
れているので、この編物は、染色しても従来のシックア
ンドシンヤーンのような濃淡差を生ずることはなく、無
地染めにおいて自然感やムラ感の立体感を有する高感覚
・高質感を呈することができる。
【0008】上記太・細マルチフィラメント糸条に弾性
糸を添え糸として交編した2ウェイ編物の場合は、伸縮
伸長率が大きく伸縮回復率が90%以上になり、繰り返
し伸縮させても伸縮堅牢性の低下がほとんどないように
することができ、特に回復パワーに優れたものにするこ
とができる。上記構成からなる編物の用途としては、水
着やレオタード或いはインナーに最適である。
【0009】本発明において、編物の「ゆらぎ係数n」
とは、編物の外観を視覚で把えたとき、編物を編成する
糸条の編成方向の太・細パターンを「ゆらぎ」理論にも
とずき解析し、快適感覚の良さとして数値化したもので
ある。一般の「ゆらぎ」理論では、音、絵画、風などに
ついては、ゆらぎ係数が1になる場合が最も快適感覚で
あると解説されている(「ゆらぎの世界」、武者利光
著、株式会社講談社発行、昭和55年10月20日出
版)。
【0010】本発明で規定される編物の ゆらぎ係数n
は、0.7〜1.5の範囲にしてある。15人の訓練さ
れた官能試験官により、ゆらぎ係数nが0〜3に分布し
た多数のサンプルを試作して官能検査した結果によれ
ば、このゆらぎ係数nが0.7〜1.5の範囲におい
て、最も自然感のあるスパン糸調の表面効果を奏するも
のになると評価された。本発明において、さらに好まし
くは、ゆらぎ係数nを0.75〜1.25の範囲にする
ことである。
【0011】編物のゆらぎ係数nについては、このゆら
ぎ係数nが1よりも小さくなると、大柄な凹凸表面変化
になる。また、編物のゆらぎ係数nが1より大きくなる
と、小柄で人工的な傾向になる。ゆらぎ係数nが0であ
ると全面が白または黒になり、表面変化は全く無くな
る。本発明において、編物のゆらぎ係数nは、次のよう
に定義されるものをいう。
【0012】すなわち、一辺を10cmの正方形に裁断し
た試料をフジックス社製3CCDカメラ(90万画素)
を用いて、その輝度値をタテまたはヨコ方向にスキャニ
ングする。このスキャニングは、タテ・ヨコ1190ピ
クセルにおける0〜255段階(0は黒〜255は白)
に等分した階調度として測定し、それぞれの値を輝度値
として扱う。
【0013】次いで、マッキントッシュ社製IIFX型画
像解析装置を用いて、上記測定により得た1190ピク
セルにおける階調度をF・F・T変換(高速フーリエ変
換)し、各周波数成分における強さを求め、全体の強さ
を100%としたとき各周波数(f)におけるパワーの
割合(s)を算出する。各周波数成分を log(f) で表
したときのパワースペクトルを log(s) で表したとき log(s) =−nlog(f) の関係式で得られるnの値を、ゆらぎ係数とするもので
ある。
【0014】ゆらぎ係数nの求め方は、編物に応じた空
間周波数の範囲を設定し、その空間周波数の範囲におい
て、横軸の空間周波数と、縦軸のパワーとの間で一次回
帰式を算出し、その勾配をゆらぎ係数nとする。その一
次回帰式の相関係数が0.3以上の精度があることが好
ましい。回帰式の算出には、具体的には、株式会社野村
総合研究所製「デザイン評価システムDES250」
(1992) を用いて行うことができる。
【0015】ゆらぎ係数nを求めるために、勾配を一次
回帰式で算出するに際し、編物組織、目付、ループサイ
ズなどの影響を受けるので、空調周波数の範囲をあらか
じめ設定する必要がある。この空間周波数の範囲によっ
て一次回帰式の勾配が変わることがあるからである。大
きい組織では空間周波数帯域を低く、細かい組織では空
間周波数帯域を高く設定することが好ましい。具体的に
は空間周波数の範囲は1m当たり102 〜105 の領域
においてゆらぎ係数nを求めればよい。
【0016】ゆらぎ係数nが0.7〜1.5の編物は、
図1に示すように、太径部イと細径部ロが糸長手方向に
交互に混在し、かつその太径部イと細径部ロとをそれぞ
れの長さおよび太さをランダムに変化させた太・細マル
チフィラメント糸条Yを使用することにより編成するこ
とができる。太・細マルチフィラメント糸条の太径部と
細径部とは複数の単糸フィラメントが相互に交絡し、ル
ープやたるみを有する嵩高部を形成するようにする。こ
れら太径部と細径部の長さおよび太さが「ゆらぎ」理論
に従ってランダムに分布した状態で編物に編成されるこ
とにより、スパン糸調の表面効果やスパン糸調の凹凸感
をもった手触り風合いを呈する。
【0017】編物にしたときの編成方向のゆらぎ係数n
が0.7〜1.5となるようにするには、嵩高性の大き
な太径部と嵩高性の小さな細径部とは両者の見掛け繊度
の比が1.1〜3.0倍の範囲でランダムに変化してい
ることが好ましい。見掛け繊度の比が3.0より大きく
なると、かえってスラブ部分が目立つようになり、スパ
ン糸調の自然感のある微妙な表面効果を得ることはでき
ない。逆に、1.1より小では嵩高性の太い部分が目立
たなくなるので、スパン糸調は得られない。
【0018】また、太径部の糸形状はほぼ紡錘形状を有
し、かつこの太径部と細径部の長さをいずれも5〜30
0cmの範囲に設計することが望ましい。なお、ここで嵩
高性の大きな太径部の見掛け繊度および嵩高性の小さな
細径部の見掛け繊度とは、後述する定義に基づいて定め
た嵩高性の大きな太径部と嵩高性の小さな細径部との境
界を切断して各部を取り出し、それぞれ各部の重量と長
さとを測定し、それらを9000m相当の長さの重量
(g)に換算して得られる値をもって定義されるものを
いう。
【0019】太径部と細径部の長さは、その太径部と細
径部との境界を、次のような測定法により特定し、その
特定された境界と境界との間の糸長手方向の長さとして
定義される。すなわち、 長さ1mのサンプル糸を採取し、これに0.1g/
dの荷重を掛けて吊り下げ、これをリーダープリンター
により10倍に拡大した写真にプリントし、このプリン
トを基に糸長手方向に0.5cm毎に糸径を測定し、そ
の糸径と糸長との関係を図6に示すようにプロットした
グラフにする。
【0020】 次いで、上記グラフにプロットされた
糸径のうち、細径部と太径部との境界域にプロットされ
たものについて、互いに隣接しあう二つのプロット間の
糸径増加率を計算し、その糸径増加率が太径部側に最初
に10%以上に変化した二つのプロット間において、そ
の細径部側のプロットに糸長手方向に平行な近似直線L
1 を引く。また、この二つのプロット間の太径部側のプ
ロットを含む太径部側全てのプロットを結ぶ凸状の近似
曲線L2 を引く。
【0021】 上記近似直線L1 と近似曲線L2 との
交点をもって、細径部と太径部との境界とする。 このようにして得られた境界から、太径部を挟んだ二つ
の境界間の長さは太径部の長さに相当し、また細径部を
挟んだ二つの境界間の長さは細径部の長さに相当する。
本発明において、この太径部の長さ及び細径部の長さ
は、少なくとも20本のサンプル糸を採取し、それぞれ
のサンプル糸から得られた最大値と最小値の平均値を使
用するものとする。
【0022】本発明のスパン糸調の表面効果を有する編
物に使用する太・細マルチフィラメント糸条は、好まし
くは図4に示すような工程によって製造するのがよい。
図4において、芯糸になるマルチフィラメント糸条1と
鞘糸になるマルチフィラメント糸条3とを、それぞれオ
ーバフィードしながら引き揃えて流体乱流処理ノズル6
に供給することにより流体乱流処理を施し、マルチフィ
ラメント糸条1の周りにマルチフィラメント糸条3が巻
き付くと共にループ、たるみ、絡まりなどから構成され
た太い嵩高部を形成し、その嵩高性の大きい太径部イと
小さい細径部ロとを糸長手方向にランダムに混在した図
1に示すような太・細の複合嵩高フィラメント糸Yを生
成する。
【0023】この流体乱流処理において、マルチフィラ
メント糸条1はフィードローラ2から一定量ずつを給糸
されるが、マルチフィラメント糸条3はフィードローラ
4からランダムに変動制御されながら給糸される。フィ
ードローラ4の給糸量は、コンピュータ装置9により制
御されており、その制御は、フィードローラ2と同一又
はそれより大きな給糸量で、かつその変動給糸によって
編成後の編物の編成方向のゆらぎ係数nが0.7〜1.
5になるように、「ゆらぎ」理論等にもとずくプログラ
ムパターンによって瞬時制御する。
【0024】フィードローラ2から一定量給糸されたマ
ルチフィラメント糸条1は、水付与ローラ5によって水
を付与されたのち流体乱流処理ノズル6へマルチフィラ
メント糸条3と引き揃えられて供給される。流体乱流処
理を受けたマルチフィラメント糸条は太・細の嵩高複合
フィラメント糸になってデリベリローラ7に引き取ら
れ、巻取ローラ8によってチーズに巻き取られる。
【0025】フィードローラ4の給糸量はコンピュータ
装置9によってプログラミングしたパターン通り瞬時制
御され、それによって所望の太・細パターン通りに調
整、変更することができるようになっている。単位時間
当たりの給糸量を多くすると嵩高性を大きくし、糸供給
量を少なくすると嵩高性を小さくすることができ、また
給糸時間を長くすると所望の太径部や細径部の糸長を長
くし、給糸時間を短くすると糸長を短く設定することが
できる。
【0026】太・細の嵩高複合フィラメント糸を構成す
るマルチフィラメント糸条1、3としては、ポリアミ
ド、ポリエステル等の合成繊維やアセテート、レーヨン
等の半合成繊維を使用することができる。その中でも、
特にポリアミドやポリエステルのマルチフィラメント糸
条は、ループやたるみ、絡みの嵩高性を形成するのに適
している。
【0027】これらマルチフィラメント糸条1、3の構
成フィラメント数としては、例えば50デニールのマル
チフィラメント糸の場合は24〜200本が、また15
0デニールのマルチフィラメント糸の場合は30〜10
0本が好ましい。また、断面形状としては、円形よりも
Y形や三角形などの異形断面の方が嵩高性を形成しやす
い。さらに、異デニール糸、異収縮糸、異光沢糸などの
組み合わせをすることにより、一層質の高い製品を得る
ことができる。
【0028】流体処理するためのノズルとしては、流体
乱流型ノズルの代わりに交絡型ノズルを用いてもよい。
さらに、チーズに巻き上げる前にヒータ10で熱セット
したり、フィードローラ11で緊張処理することにより
太径部の糸形態をコンパクトに調整することもできる。
また、給糸量を調整する代わりに、糸引取り量、つまり
図4に示したデリベリローラ7の速度変更や、フィード
ローラ2との併用も可能である。
【0029】本発明によるゆらぎ係数n=0.7〜1.
5の編物は、上述のようにして得た太・細マルチフィラ
メント糸条の太・細パターンを、予め「ゆらぎ」理論に
基づき編物のゆらぎ係数nが0.7〜1.5の範囲にな
るように実際の編物にて検証を繰り返し行ない完成させ
るようにする。編物のゆらぎ係数nを0.7〜1.5に
する太・細マルチフィラメント糸条のパターンの設計手
法の一例について説明すると、まずスパン糸のウースタ
ー斑チャートを、例えば図5のようにとり、太径部と細
径部の太さおよび長さを実測する。実測値のパターンを
流体嵩高加工の糸供給量に変換したプログラムを作成
し、流体嵩高糸加工に適用する。編物用に用いるため太
・細パターンの長さは、ループサイズを考慮した長さに
設計することが必要である。
【0030】次いで、図2および図3の説明図のような
関係式によってゆらぎ係数の設計を行う。図2は特定の
ゆらぎ係数を有する嵩高性の大きい部分(太径部)を設
計するための説明図である。また、図3は特定のゆらぎ
係数を有する嵩高性の小さい部分(細径部)を設計する
ための説明図である。
【0031】例えば、ゆらぎ係数n=1の場合、予め両
対数グラフに1/fn の関係式を想定して、直線の勾配
が−1となるように回帰直線を描き、X軸に嵩高性の大
きな部分の長さ、Y軸に個数をプロットし(図2)、も
う一方の両対数グラフに同じくX軸に嵩高性の小さい部
分の長さ、Y軸に個数をプロットする(図3)。嵩高性
の大きな部分と嵩高性の小さな部分のプログラムを交互
に配列させ、かつ長さをランダムに分散させてパターン
をプログラム化するのである。
【0032】図2においては、太径部が、長さ2cmのも
のが80個、長さ4cmのものが70個、長さ6cmのもの
が15個、長さ8cmのものが12個、長さ10cmのもの
が10個、長さ20cmのものが7個、長さ50cmのもの
が2個、というようにプロットされている。一方、細径
部は、図3において、長さ2cmのものが70個、長さ4
cmのものが20個……というようにプロットされてい
る。
【0033】このように長さと個数とを特定のゆらぎ係
数となるように設定し、この長さと個数となるように糸
長手方向の太径部と細径部とを交互にランダムに嵩高加
工して太・細マルチフィラメント糸条を形成する。上述
のように図2および図3にプロットされた各長さと各個
数の合計した数が1パターンに相当する。嵩高加工に
は、そのパターンの繰り返しにより、或いは、プロット
された各長さと各個数の合計が同じで太径部と細径部の
現れる順番を並べ変えた幾つかのパターンを繋ぎ合わせ
た制御パターンによって、例えば芯糸に対する鞘糸の供
給量を瞬時に制御しながら嵩高加工を行なえばよい。嵩
高性の大きい部分(太径部)と嵩高性の小さい部分(細
径部)を交互に配列させ、かつ長さと個数を上記合計の
中でランダムに混在させて制御パターンをプログラミン
グし、この制御パターンを用いて嵩高加工するのであ
る。
【0034】得られた太・細フィラメント糸条を、経編
あるいは緯編用の糸条として編成することにより、本発
明のスパン糸調の表面効果を有する編物を得ることがで
きる。得られた編物のゆらぎ係数nを測定し、数値をフ
ィードバックしながらパターンを微調整してnを確認す
ることにより、所望のゆらぎ係数nを有する製品を得る
ことができる。
【0035】スパン糸調の表面効果を有する編物の製造
方法としては、経編の編機は、20〜36ゲージのシン
グルトリコットでは、フロントに150〜30デニール
の太・細フィラメント糸条、バックに弾性糸を用いてハ
ーフ組織にて編成したり、12〜24ゲージのラッセル
では300〜150デニールの太・細フィラメント糸条
を用いてジャガード組織にて編成することができる。緯
編の丸編機は、14〜32ゲージのシングル丸編機で
は、500〜50デニールの太・細フィラメント糸条を
天竺や鹿の子の組織として編成したり、また16〜42
ゲージのダブル丸編機では、500〜50デニールの太
・細フィラメント糸条をインターロックや4口ポンチの
組織にて編成することができる。
【0036】本発明の編物としては、糸条を経編あるい
は緯編に用いたり、組織や柄には特に制限はないが、特
にインターロックやゴム編など編物表面が比較的プレー
ンなものや、組織的に伸縮性を持つものが適している。
2ウェイのストレッチ性能を有する編物は、上述した太
・細マルチフィラメント糸条に弾性糸を添え糸として交
編することにより得ることができる。弾性糸としてはポ
リウレタン系やポリエーテル系など、或いは天然ゴムや
合成ゴムなどであってもよい。
【0037】2ウェイの性能を付与する弾性糸の添え糸
としては、全コース、1コース毎、2コース毎などプレ
ーティング用に交編することができる。編成において
は、編成工程通過性や編物風合いを改善するために追ネ
ンを施したり、工程中の張力を調整したりすることがで
きるが、これらの施す追ネン数や工程中の張力は太・細
パターンを若干変化させる可能性があるので、パターン
のプログラム設計には考慮する必要がある。また、染色
加工については特に制限はなく、通常の染色仕上げ工程
を通過させることができる。
【0038】
【実施例】
実施例1 図4に示す加工工程によって下記の条件で糸加工を行な
った。 供給糸条 ポリエステルマルチフィラメント糸 芯糸 75デニール36フィラメント 鞘糸 75デニール72フィラメント 流体乱流処理ノズル圧力 5.0kg/cm2 糸加工速度 200m/min 芯糸供給量 202m/min 鞘糸供給量 太径部の長さと個数は、図5に示すスパン糸のムラパターン (ハ)により、また細径部の長さと個数は、プログラムパターン(ニ)により、 それぞれ供給量を瞬時可変制御した。
【0039】得られた太・細変化を有するフィラメント
糸条に弾性糸を添え糸として丸編機により次の条件によ
り編成した。 編機 シングル丸編機 ゲージ 28 編組織 天竺リバーシブル 目付 (g/m2 ) 218 弾性糸 ポリウレタン糸40デニール 編成した生機を染色仕上げ加工を行なったところ、自然
感に富んだスパン糸調の表面効果と凹凸感の手触りを有
する丸編地を得た。この編物のゆらぎ係数nは1.20
であった。
【0040】また、上記編地の2ウェイの特性は、 伸縮伸長率…タテ 90.1(%)、ヨコ 130.5
(%)、 伸縮回復率…タテ 92.5(%)、ヨコ 95.8
(%)であった。 実施例2 図4に示す加工工程によって下記の条件で糸加工を行な
った。
【0041】 供給糸条 ポリエステルマルチフィラメント糸 芯糸 75デニール36フィラメント 鞘糸 75デニール72フィラメント 流体乱流処理ノズル圧力 5.0kg/cm2 糸加工速度 200m/min 芯糸供給量 202m/min 鞘糸供給量 図2、3に示すゆらぎ係数n=1のパターンにより、太径部の 長さと個数、細径部の長さと個数を設定したプログラムパターンにより供給量を 瞬時可変制御した。
【0042】得られた太・細変化を有するフィラメント
糸条に弾性糸を添え糸として丸編機により次の条件によ
り編成した。 編機 ダブル丸編機 ゲージ 22 編組織 インターロック 目付 (g/m2 ) 230 弾性糸 ポリウレタン糸40デニール 編成した生機を染色仕上げ加工を行い、スパン糸調の表
面効果を有する編物を製造した。この編物のゆらぎ係数
nは0.85であり、また自然感のあるスパン糸調の凹
凸感の手触りをもつ表面効果を有していた。
【0043】また、この編物の2ウェイ特性は、 伸縮伸長率…タテ 80.4(%)、ヨコ110.0
(%)、 伸縮回復率…タテ 93.5(%)、ヨコ 96.4
(%)であった。 実施例3 図4に示す加工工程によって下記の条件で糸加工を行な
った。
【0044】 供給糸条 ポリエステルマルチフィラメント糸 芯糸 30デニール6フィラメント 鞘糸 30デニール24フィラメント 流体乱流処理ノズル圧力 4.0kg/cm2 糸加工速度 200m/min 芯糸供給量 202m/min 鞘糸供給量 図2、3に示すゆらぎ係数n=1のパターンにより、太径部の 長さと個数、細径部の長さと個数を設定したプログラムパターンにより供給量を 瞬時可変制御した。
【0045】得られた太・細変化を有するフィラメント
糸条に弾性糸を添え糸として丸編機により次の条件によ
り編成した。 編機 シングルトリコット機 ゲージ 28 編組織 ハーフ フロント:フィラメント糸条 バック :弾性糸 目付 (g/m2 ) 197 弾性糸 ポリウレタン糸40デニール 編成した生機を染色仕上げ加工し、自然感のあるスパン
糸調の表面効果を有する編物を製造した。編物のゆらぎ
係数nは0.8であり、また自然感のあるスパン糸調の
凹凸感の手触りをもつ表面効果を有していた。
【0046】この編物の2ウェイ特性は、 伸縮伸長率…タテ 80.4(%)、ヨコ 110.0
(%)、 伸縮回復率…タテ 93.5(%)、ヨコ 96.4
(%)であった。 比較例 図4に示す加工工程において、フィードローラ4の供給
量を一定にして下記の条件で糸加工を行なった。
【0047】 得られた嵩高フィラメント糸条を弾性糸に添え糸として
丸編機により次の条件により編成した。
【0048】 編機 ダブル丸編機 ゲージ 22 編組織 インターロック 目付 (g/m2 ) 216 弾性糸 ポリウレタン糸40デニール 編成した生機を染色仕上げ加工したが、スパン糸調の表
面効果と凹凸感の手触りを有する編物はえられなかっ
た。また、編物のゆらぎ係数nを測定した結果、0.1
5であった。
【0049】この編物の2ウェイ特性は、 伸縮伸長率…タテ 59.8(%)、ヨコ 70.0
(%)、 伸縮回復率…タテ 71.8(%)、ヨコ 69.5
(%)であった。
【0050】
【発明の効果】上述したように、本発明の編物は、複数
の単糸フィラメントが交絡した嵩高性の大きい太径部と
嵩高性の小さい細径部とが糸長手方向に太さと長さをラ
ンダムに変化した太・細マルチフィラメント糸条から編
成されていることにより、外観は自然感のあるスパン糸
調の自然なムラ感を呈し、また手触りは太・細の変化が
立体感のある高級感のある風合いを呈するものとなる。
【0051】また、表面効果の快適感覚度合いがゆらぎ
係数nとして0.7〜1.5であるので、人工的あるい
は画一的な表面効果は認められない。また、上記太・細
マルチフィラメント糸条に弾性糸を添え糸として交編し
た2ウェイ編物では、伸縮伸長率が大きく伸縮回復率を
90%以上にすることができ、繰り返し伸縮させても伸
縮堅牢性の低下はほとんどなく、特に回復パワーに優れ
たものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるスパン糸調の表面効果を有する編
物に使用される太・細フィラメント糸条の概観図であ
る。
【図2】特定のゆらぎ係数を有する嵩高性の大きい部分
(太径部)を設計するための説明図である。
【図3】特定のゆらぎ係数を有する嵩高性の小さい部分
(細径部)を設計するための説明図である。
【図4】本発明の編物に使用される太・細マルチフィラ
メント糸条の製造方法の工程図である。
【図5】スパン糸のムラパターンの一例を示すパターン
図である。
【図6】太・細マルチフィラメント糸の太径部と細径部
との境界を定めるのに使用するグラフの説明図である。
【符号の説明】
Y 太・細マルチフィラメント糸条 イ 太径部 ロ 細径部 1 マルチフィラメント糸(芯糸) 2 フィードローラ 3 マルチフィラメント糸(鞘糸) 4 フィードローラ 6 流体乱流ノズル 8 巻取ローラ 9 コンピュータ装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の単糸フィラメントが交絡したルー
    プやたるみからなる嵩高部を形成すると共に、その嵩高
    性の大きな太径部と小さな細径部とがそれぞれの太さと
    長さとを糸長手方向にランダムに変化させて混在する太
    ・細マルチフィラメント糸条から編成された編物であっ
    て、該編物の前記太・細マルチフィラメント糸条の編成
    方向のゆらぎ係数nが0.7〜1.5であるスパン糸調
    の表面効果を有する編物。
  2. 【請求項2】 前記太・細マルチフィラメント糸条に弾
    性糸を添え糸として交編した2ウェイ編物である請求項
    1に記載のスパン糸調の表面効果を有する編物。
JP25671194A 1994-10-21 1994-10-21 スパン糸調の表面効果を有する編物 Pending JPH08120546A (ja)

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