JP3948103B2 - 織物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、染色した時に濃色のストライプ調を有する織物およびその製造方法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、経糸および緯糸の特殊な糸使いにて織られた織物からなり、その糸構造の特徴から濃色のストライプ効果と凹凸感手触りとスパンライクの風合い有し、婦人用やスポーツ用衣料として最適な織物およびその製造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、濃色のストライプ調織物の素材として、高伸度フィラメント糸を2対の延伸ローラ間に設けたホットピン上をステイックスリップさせながら走行させたシックアンドシンフィラメント糸あるいは該フィラメント糸を仮ヨリ加工したシックアンドシン仮ヨリ加工糸が実用に供せられていたが、かかるシックアンドシン仮ヨリ加工糸は、ストライプの長さや頻度を自由に設計できないことや、風合いにガサツキ感がある等の欠点があった。
【0004】
そこで、高品質な濃色のストライプ調織物の素材としてフィラメント糸加工技術の開発が行われてきているが、濃色のストライプ調パターンを自由に設計できないという問題があり、実用化されていない。
【0005】
例えば、特開昭61−186544号公報では可変速糸条供給方法が提案されているが、この方法は供給ローラを複数台同時に1台の大型モータが駆動し、走行速度つまりローラ回転数をインバータなどにより制御する可変速糸条供給方法であり、設定レベルの速度に到達するまでに数秒間の時間遅れ(立上がり、立ち下がり)を生じるので変速が極めて緩慢になり、速度レベルが高くなれば高くなるほどモータ等のイナーシャが増大するので制御は厳しくなる。そのため数cmの短い長さのシックアンドシン糸を高速度レベルで得ることはほとんど不可能である。
【0006】
また特開昭63−5485号公報においても、大型モータを用いて供給ローラの回転数をインバータで制御しながら変速する製糸方法が提案されているが、この方法も変速が極めて緩慢になるので、高速度レベルで短いピッチのシックアンドシン糸を得ることは不可能である。
【0007】
なお、低速レベルで制御弛緩することにより短いピッチのシックアンドシン糸を得ることは十分可能であるが、低速レベルでは製造コストアップになることは避けられず、制御緩速度が遅くなると弛緩速度も遅くなるので、弛緩速度が早い場合に比べて弛緩発熱が起こりにくくなったり、配向度の下がり方も遅くなるので、染色した場合の濃色化が進まなく一定延伸部の淡色部とのコントラストが鈍くなったり、糸の太細変化の差が小さくなる欠点があり解決されていない。
【0008】
しかし、市場の要求は、濃色のストライプ調の新規感覚織物の開発に対する期待が大きく、製造コストが合理化された方法でフィラメント糸に自然感のある太細さや濃淡差のパターンを自由自在に設計できる織物製造技術の開発が望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような点に鑑み、高速糸走行レベルにおいて高伸度フィラメント糸を超精密に制御弛緩し、所望のパターンを自由自在に設計したシックアンドシン仮ヨリ加工糸を少なくとも用いて濃色のストライプ調織物を構成し、婦人衣料やスポーツ用に視覚的および手触り感として最適な織物を提供すること、具体的には、そのような濃色のストライプ調織物と濃色のストライプ調織物の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成する本発明の織物およびその製造方法は以下の構成からなる。
【0011】
すなわち、染色した時に濃染になる残留伸度が30〜70%である非ケン縮のフィラメント部分と、染色した時に淡染になる残留伸度が10〜30%未満である仮ヨリケン縮が付与されたフィラメント部分とが、糸長さ方向に交互に繰り返して、規則的あるいは不規則的に制御されたシックアンドシン仮ヨリ加工糸を含む経糸と、経糸と同等もしくは経糸以外のフィラメント糸が用いられてなる緯糸から構成されているとともに、前記シックアンドシン仮ヨリ加工糸が、糸長さ方向において、残留伸度が30〜70%である各フィラメント部の長さの合計長が、残留伸度が10〜30%未満である各フィラメント部の長さの合計長より短いものであることを特徴とする織物である。
【0012】
また、高伸度ポリエステルフィラメント糸をあらかじめプログラミングしたコンピュータ信号に従って、染色した時に濃染になる残留伸度が30〜70%である非ケン縮のフィラメント部分と、染色した時に淡染になる残留伸度が10〜30%未満である仮ヨリケン縮が付与されたフィラメント部分とが、規則的あるいは不規則的に糸長さ方向に交互に繰り返すように制御弛緩したのち、空気処理を施し、さらに加ネン−熱固定−解ネンの延伸仮ヨリ加工を施した、糸長さ方向において、残留伸度が30〜70%である各フィラメント部の長さの合計長が、残留伸度が10〜30%未満である各フィラメント部の長さの合計長より短いシックアンドシン仮ヨリ加工糸を経糸に用いて製織することを特徴とする織物の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、さらに詳しく本発明について説明をする。
【0014】
図1に本発明の濃色のストライプ調織物に用いられる経糸あるいは緯糸のシックアンドシン仮ヨリ加工糸形態の一例を示した。イ、ハ、ホは残留伸度が10%〜30%未満であるフィラメント部であって仮ヨリケン縮が付与されており、イ、ハ、ホの各々の長さは異なっている。またロ、ニ、ヘは残留伸度が30%〜70%であるフィラメント部であって非仮ヨリケン縮が付与されており、ロ、ニ、ヘの各々の長さはも異なっている。そして該仮ヨリ加工糸全体は強い残留トルクとシルキーな生糸様の外観を有している。
【0015】
図2の発明は上記の様な糸形態を有した糸構造から構成されている濃色のストライプ調織物表面の繊維の形状の一例を示す外観写真を示した。
【0016】
本発明の織物に用いられるシックアンドシン仮ヨリ加工糸は、残留伸度が30〜70%であるフィラメント部は非ケン縮のトルクが付与され、10〜30%未満であるフィラメント部に仮ヨリケン縮が付与されている。
【0017】
残留伸度が30〜70%であるフィラメント部は、制御弛緩率が高くなるよう設計された部分であって、残留伸度が10〜30%未満であるフィラメント部より繊度は太く濃染化する。
【0018】
また、残留伸度が30〜70%であるフィラメント部の繊度は、残留伸度が10〜30%未満である部分の繊度に比べて10〜50%程度太くなる。
【0019】
この仮ヨリ加工糸を用いた濃色のストライプ調織物において、残留伸度が30〜70%であるフィラメント部は太い部分であり外観はほとんど生糸に近く嵩高性がないが残留伸度が10〜30%であるフィラメント部の細い部分は嵩高性があるので、スケ感や目ずれは特に問題とはならず、視覚的に太細の度合いや長さのバランスが良い濃色のストライプ調織物となる。
【0020】
一方、残留伸度が10〜30%未満であるフィラメント部は一定延伸となるよう設計され部分であって繊度は細く淡染化する。この部分の繊度は一定倍率で延伸されているので、元糸の高伸度フィラメント糸の繊度より細くなる。
【0021】
そしてこの部分の延伸条件を大きく設計すると淡色度合いがより一層強調できるので、本発明の濃色のストライプ調織物の視覚的効果である濃淡のコントラストおよび織物の手触り凹凸感を強く表現できるので好ましい。
【0022】
このストライプ調織物に用いられるシックアンドシン仮ヨリ加工糸の糸長さ方向において、残留伸度が30〜70%であるフィラメント部の長さと、残留伸度が10〜30%未満であるフィラメント部の長さは、それぞれ規則的あるいは不規則的に糸長さ方向に制御され、それぞれの部分が繰り返されたシックアンドシン仮ヨリ加工糸であって、制御弛緩されたフィラメント部の各糸長さのパターンは自由自在に設計することができるので、織物において幾何学的な人工的表面効果から自然感のある視覚的に快適な表面効果まであらゆる濃色が目立つパターンを表現することができる。
【0023】
本発明のストライプ調織物に用いられるシックアンドシン仮ヨリ加工糸の太細繊度差の大きさは糸ムラU%についていえば、3〜10%の範囲にある。糸ムラU%の大きさとして3%以下では太細繊度差が小さくなり過ぎ、シックアンドシン効果は弱く、10%以上では逆に太細繊度差が大きくなり過ぎて製織工程通過性の低下や製品の品位を低下させるなど極端な範囲では好ましくない。
【0024】
次に、織物に用いるシックアンドシン仮ヨリ加工糸のさらに好ましい糸構成において述べるならば、糸長さ方向において、残留伸度が30〜70%であるフィラメント部の合計長さと残留伸度が10〜30%未満であるフィラメント部の合計長さの好ましい比率は、織物を染色した後における濃淡長さのパターンや色彩あるいは、織物表面の凹凸の手触り感を左右するが、全体の糸長さに対し残留伸度が30〜70%であるフィラメント部の合計長さの比率が30%未満が視覚的に好ましく、さらに20%以下になると濃色のストライプパターンがさらに強調されやすくなるのでより好ましい方向である。
【0025】
合計長さとは該加工糸の10m内に存在する、残留伸度が30〜70%の部分と残留伸度が10〜30%未満の部分のそれぞれの長さを合計した長さである。なお通常、常套手段で実施されているシックアンドシン仮ヨリ加工糸は、UYやPOYと呼ばれる2500〜3500m/minで紡糸された不完全延伸糸を、自由延伸倍率以下の倍率例えば1.1〜2.5倍を基本一定倍率に設定し、熱ピン上をステックスリップさせながら一旦延伸し、ついで仮ヨリ加工しする方法であるが、この技術ではパターン設計が自由にできないので、得られる織物は画一的パターンしか得られない欠陥を有している。
【0026】
これに対し、本発明では織物の濃色のパターン設計を自由自在にできることから、今まで得られなかった極めて新規な表面感あるいは凹凸手触り感を有する濃色のストライプ調織物を設計できる。
【0027】
特に、織物の経糸に用いた場合、タテ流れの濃色ストライプ調の表面効果が視覚的に良好な織物となり、また経糸と緯糸に用いると格子模様の柄を有する織物を設計することができる。
【0028】
次に、上述した濃色のストライプ調織物に用いるシックアンドシン仮ヨリ加工糸を得るための好ましい製造方法について説明する。図3にその製造工程の一例を示した。
【0029】
高伸度フィラメント糸1を解舒し制御弛緩ローラ2とフィードローラ3の間で制御弛緩を施し、フィードローラ5とフィードローラ3との間でいったん空気交絡処理する。空気交絡処理したシックアンドシンフィラメント糸を通常の延伸仮ヨリ加工工程にて、仮ヨリツイスタ7により加ネンを施し熱板6で熱固定し解ネンしながらデリベリローラ8から引き出し、巻取ローラ11によりチーズに巻き上げる方法である。
【0030】
図1におけるイ、ハ、ホの部分は一定延伸されている部分であるため、加ネン張力は高く、そのため仮ヨリがかかりやすくケン縮が付与されるが、ロ、ニ、ヘの部分はほとんど延伸されていない部分であるため、加ネン張力は極めて低く、仮ヨリがかからないのでケン縮は付与されない。
【0031】
本発明における高伸度フィラメント糸1とは、50%〜250%程度の切断伸度を有する熱可塑性合成繊維のフィラメント糸をいうが、UYと呼ばれる1000m/min〜2000m/minで紡糸された未延伸糸、POYとよばれる2500m/min〜3500m/minで紡糸された不完全延伸糸、SSYあるいはOSPと呼ばれる5000m/min以上で紡糸された高速紡糸などによって得られるフィラメント糸を用いることができる。
【0032】
この高伸度フィラメント糸としては、繊度、本数、デニールミックス、ポリマー添加剤、重合度合差、断面形状、光沢、収縮差、などを変更したマルチフィラメント糸であってもよい。
【0033】
制御弛緩ローラ2はコンピュータ12によりあらかじめプログラミングされたパターンの信号を利用することができるので、人工的に設計したパターンから自然界の音、光、風あるいは音楽などを取り込んだ信号、また最近注目を集めている「ゆらぎ」など人間に与える快適感を電気信号に変換したパターンを入力し、制御弛緩することが可能である。
【0034】
図4は絹紡糸の太さムラを電気信号に変更してプログラミングされたパターン例を示した。制御弛緩率は高伸度フィラメント糸の自由延伸倍率領域内で行うのが好ましく、例えば紡速が2750m/ninのポリエステルフィラメント糸の場合では、制御弛緩率は1.1〜0.8倍、一定延伸倍率は1.3〜1.6倍の範囲が好ましく、糸加工性が低下しなければ弛緩率は0.8倍以上弛緩しても構わない。
【0035】
ホットピン13は制御弛緩性を補助するものであり、弛緩加工性、シックアンドシンのシャープさ、染色による濃淡差のコントラスト付与などに効果的である。ホットピンに代わりショートヒータや鞍型熱板であってもよい。
【0036】
制御弛緩したシックアンドシンのフィラメント糸をフィードローラ3とフィードローラ4の間でいったん弛緩し空気処理させるが、これは直接仮ヨリ加工の加ネン域に供給すると加ネン張力が大きく変動して糸切れやヨリ挿入変動を起こし糸加工性の低下につながるので、いったん糸長さを予め調整した後仮ヨリ加ネン域に供給することが好ましい。そのため延伸により糸長さが実質長くなった部分を例えば空気処理ノズル4によって糸長さを見掛け上吸収し調整するものである。
【0037】
制御弛緩した部分のフィラメント糸の実質長さと延伸されない部分のフィラメント糸の実質長さの間に生じる実質糸長差が大きい場合では、空気交絡処理の圧力を高め目に設定し、実質糸長差が小さい場合は圧力を低目に設定するなどの調整を行なってもよい。具体的な例として空気交絡処理のリラックス率は+2〜+10%で圧力1〜7Kg/cm2 の範囲である。
【0038】
また、空気交絡処理の方法は通常のインターレースノズル、流体乱流処理の“タスラン”ノズル、流体旋回ノズルなどであってもよい。
【0039】
仮ヨリ加ネンを施したシックアンドシンフィラメント糸を熱板6によりセットするが、温度は通常仮ヨリ加工が実施される範囲であって、ポリエステルフィラメント糸であれば180〜235℃の範囲が適している。またデリベリローラ8とフィードローラ5の仮ヨリ加工の延伸倍率を高く設定するとシックアンドシンの太細差が小さくなるので好ましくなく、0.8〜1.5倍のできる限り低い設定が好ましい。なお加ネンヨリ挿入方法は通常のスピンドル式、フルクション式、ベルトニップ式のいずれであっても良いが加工性や経済性からベルトニップ式が好ましい。
【0040】
デリベリローラ8から引き出したシックアンドシン仮ヨリ加工糸は強いトルクを有しており、再熱セットにより残留トルクやケン縮形態を調整することができる。これはリラックスローラ10とデリベリローラ8の間の熱板9により実施することができる。
【0041】
シックアンドシン仮ヨリ加工糸は巻取ローラ11によりチーズに巻き取ることができるが、再熱セット工程を外しデリベリローラ8から直接巻取ローラ11によりチーズに巻き取ることもできる。
【0042】
このようにして製造したシックアンドシン仮ヨリ加工糸を通常の織物製造工程によって濃色のストライプ調織物に製造するのである。特に、経糸に用いるとタテ流れの視覚的に快適感や自然感を与える織物を設計することができる。緯糸は該シックアンドシン仮ヨリ加工糸であってもよいが、通常のフィラメント糸あるいは仮ヨリ加工糸であってもよい。該シックアンドシン仮ヨリ加工糸のネン糸数はデニールにより異なるが甘ヨリの300t/mから強ネンと呼ばれる3500t/mまでの範囲が可能であり、織物の組織においても特に制約はなくいかなる組織であってもよいが、なるべく経糸の特徴が表現できる単純な平組織などが好ましい。
【0043】
次に、染色仕上げ加工であるが、シックアンドシンの糸構造を有しているので、同一染料の同浴染色に対してシック部は濃色にシン部は淡色に染まり、別浴染色では色違いを付けることも可能である。また染色加工においてアルカリ減量処理を行うことも可能であり、風合いの調整ができる。
【0044】
さらに、濃色のストライプ調織物に用いるシックアンドシン仮ヨリ加工糸を得るためのさらに好ましい製造方法について、制御弛緩速度は10ms当たり150m/min以上の速度で制御することである。これは、例えば300m/minの糸走行速度において制御弛緩する際、コンピュータからの入力信号地点に対する実質応答するまでの時間において、10ms当たり450m/minまで増速し制御弛緩を行うと、弛緩率が1.5倍に弛緩されたフィラメント糸が、長さ100cmの太部を有する弛緩糸を得ることができるのである。
【0045】
コンピュータからの入力信号地点に対する実質応答するまでの時間は、図7において、Pがコンピュータの入力パターン(P1→P2→P3)、Sが実質応答速度パターン(S1→S2→S3)、Vが速度レベルとすると、Pの速度パターン時間はt1→t2→t4で、Sの速度パターン時間はt1→t3→t5である。つまりSの時間は遅れるのである。モータの応答速度が高いと、時間の遅れ(t2〜t3、t4〜t5)は短い。ここで、t1〜t2を10msとすれば、増速レベルVは450m/minということである。定速レベル300m/minに対して10ms後に450m/minに増速したわけである。つまり弛緩率(300/450)1.5倍に弛緩されたことになる。
【0046】
この構成要件は高速走行する糸条を数10msの単位で速度を制御するための条件であり具体的には、通常の延伸装置に用いられるエプロン・ローラ、ニップ・ローラ、トップ・ローラ、金属ドローローラ、ホットローラなどは一切使用せず、フィラメント糸条を超軽量合金ローラに直接巻き付け走行させかつ単錘駆動により延伸制御する方法を採用し、モータのイナーシャを極めて小さく押さえた特殊なフィード装置を用いることによって達成できる技術である。
【0047】
なお、このフィード装置に使用するモータのイナーシャを小さくするには、モータの出力(ワット数)をなるべく小さくすることであるが、逆にモータの駆動出力も低くなるので両者の効率が生かせるモータを選定することである。例えば、電源では交流式より直流式が、制御方法はデジタル式よりアナログ式の方が、出力は80〜800WのAC型のサーボモータが適している。
【0048】
制御延伸する速度は所定の設定信号に達するまでの時間遅れが短いほど高速走行時において精密制御が可能になり誤差も少なく押さえられるので、コンピュータからの信号指令に対し10ms当たり糸速度に換算し少なくとも150m/min以上の速度変化を必要とし、150m/min以下では高速走行時で精密制御が次第に困難になり、かつ誤差も多くなるので好ましくない。具体的には、例えば300m/minで一定走行中、10msの瞬時に450m/min増速し、次の10msの瞬時に300m/minのレベルに減速制御できることを意味するのである。
【0049】
このように、超精密に制御弛緩することができるので、シックアンドシン仮ヨリ加工糸を高速走行状態で、ストライプ調のパターンを高精度で設計することができる。
【0050】
次に、濃色のストライプ調織物に用いるシックアンドシン仮ヨリ加工糸を得るためのさらに好ましい製造方法について、制御弛緩した後、空気処理を施すのであるが、これは一定延伸により生じた実質糸長さの長い分をいったん調整するために空気処理を施すのであるが、糸長さを調整することが目的であるため、空気処理として交絡処理や乱流処理あるいは空気旋回処理、熱処理などを行っても構わない。
【0051】
なお、糸品質の均一性や糸加工コストあるいは糸加工性から交絡処理が好ましいのである。
【0052】
本発明は、とくに、一定の延伸倍率で延伸中に瞬時弛緩制御を行い、その後、仮ヨリ加工する点に特徴を有するものである。
【0053】
【実施例】
実施例
(1)紡速3000m/minで紡糸したポリエチレンテレフタレートの225デニール48フィラメント、切断伸度125%のブライト糸を用いて図3の工程に従い図4に示すコンピュータ信号の制御弛緩を行い下記条件でシックアンドシン仮ヨリ加工糸を製造した。
【0054】
制御弛緩速度 184〜313m/min
制御弛緩時間 5〜100ms
一定延伸速度 184m/min
一定延伸時間 50〜1000ms
フィードローラ3速度 306m/min
フィードローラ5速度 292m/min
交絡ノズル圧力 5.0Kg/cm2
仮ヨリ加工フィード率 −2.7%
熱板温度 225℃
引取り速度 300m/min
フリクションデスク回転数 4000rpm
D/Y比 2.09
その結果次の特性を有するスパンライクな外観を有するシックアンドシン糸を得た。
【0055】
平均繊度 154デニール
平均沸騰水中収縮率 7.6%
平均伸度 35.1%
伸縮復元率 20.1
糸ムラ(計測器工業株式会社KET−80B) U% 4.5%
(図5参照、各P点が弛緩部に相当する)
スペクトログラムおよびチャートのピーク値20cmの分布
(図6参照)
仮ヨリケン縮が付与されたフィラメント部分残留伸度 21.3%
非ケン縮のフィラメント部分残留伸度 56.1%
仮ヨリケン縮が付与されたフィラメント部分の伸縮復元率 26.1%
非ケン縮のフィラメント部分の伸縮復元率 2.5%
このシックアンドシン仮ヨリ加工糸を下記条件にて経糸に使用し織物を製造した。
【0056】
経糸 シックアンドシン仮ヨリ加工糸 S1100t/m
緯糸 ポリエステル75デニール−36フィラメント仮ヨリ加工糸S300t/m
経糸密度 60本/インチ
緯糸密度 85本/インチ
組織 平
この織物を分散染料にて高温染色(133℃)加工し、N処理により15%減量加工を行なったところ、濃色のタテ流れを有する濃色のストライプ調織物と凹凸の手触り感やスパンライク感に優れた織物であった
【0059】
較例
(1)実施例1と同様の高伸度フィラメント糸を用いて、図3の工程に従い図3に示すコンピュータ信号の制御延伸を行い下記条件でシックアンドシン仮ヨリ加工糸を製造した。
【0060】
制御弛緩速度 184〜313m/min
制御弛緩時間 5〜100ms
一定延伸速度 184m/min
一定延伸時間 50〜1000ms
仮ヨリ加工フィード率 −2.7%
熱板温度 225℃
引取り速度 300m/min
フリクションデスク回転数 3300rpm
D/Y比 1.72
ここで、交絡処理ノズル4およびフィードローラ3、5を外し、制御弛緩ローラ2から直接延伸仮ヨリ加ネン域へ供給したところ、延伸された部分の糸長さが実質的に長くなり、仮ヨリ張力を低下させたり糸切れなどが生じて糸加工性が大きく低下した。
【0061】
【発明の効果】
以上述べた通りの本発明によれば、実施例1から、グランド部が淡色に、ストライプ部が濃色に目立つ濃色のストライプ調織物が得られた。また、濃淡色のコントラストは、高速糸走行中に高速度で制御弛緩するため、瞬時の弛緩と一定延伸の繰り返しによる発熱、配向のや遅れなどが生じ一定延伸部分はより淡色に染まりやすくなり、その結果グランド部とのコントラストが大きくなるので本発明のストライプ効果がより促進されるのである。
【0062】
シックアンドシン仮ヨリ加工速度は300〜600m/minの速度で生産することができので、通常の仮ヨリ加工糸の製造コストに並に実施することができることから、大幅なコストアップにつながることはない。
【0063】
パターン設計の具体例において、グランド部とストライプ部の長さの比率が固定されることなく自由自在に設計できるので、特に残留伸度が30〜70%のフィラメント部の全長さを残留伸度が10〜30%であるフィラメント部の全長さの比率より約30%以下に設定することにより、濃色部分のパターンが視覚的に目立つようになる。これは、従来技術では得ることができなかった新規感覚のパターンを設計することができるのである。
【0064】
パターン設計の応用例として1/fゆらぎのパターンあるいは自然界の音、光、風、色、香りなどの変化を電気信号に変換したデータを入力信号として制御弛緩に付与し、ムラパターンをストライプ織物にシュミレーションすることができる。
【0065】
糸長さ方向に視覚的な表面変化だけでなく、該シックアンドシン仮ヨリ加工糸のベース風合いは、太細変化を有するので、手触りは凹凸感によるドライなタッチおよびスパンライク感を有するストライプ調織物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の濃色のストライプ調織物を構成するシックアンドシン仮ヨリ加工糸の形態の一例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る濃色のストライプ調織物表面の繊維の形状の一例を示す外観写真である。
【図3】本発明の濃色のストライプ調織物を構成するシックアンドシン仮ヨリ加工糸の製造工程の一例を示す工程図である。
【図4】本発明に係る制御弛緩のプログラミングされたパターンの一例を示す入力信号パターン図である。
【図5】実施例1で得られた糸の糸ムラチャート図である。
【図6】実施例1で得られた糸のスペクトログラムである。
【図7】コンピュータからの入力信号地点に対する実質応答するまでの時間を説明するパターン図である。
【符号の説明】
イ:10〜30%未満伸度のフィラメント部分
ロ:30〜70%伸度のフィラメント部分
ハ:10〜30%未満伸度のフィラメント部分
ニ:30〜70%伸度のフィラメント部分
ホ:10〜30%未満伸度のフィラメント部分
ヘ:30〜70%伸度のフィラメント部分
1:高伸度フィラメント糸
2:制御弛緩ローラ
3:フィードローラ
4:交絡ノズル
5:フィードローラ
6:熱板
7:ヨリ掛け具
8:デリベリローラ
9:熱板
10:弛緩ローラ
11:巻取ローラ
12:コンピュータ
13:ホットピン

Claims (3)

  1. 染色した時に濃染になる残留伸度が30〜70%である非ケン縮のフィラメント部分と、染色した時に淡染になる残留伸度が10〜30%未満である仮ヨリケン縮が付与されたフィラメント部分とが、糸長さ方向に交互に繰り返して、規則的あるいは不規則的に制御されたシックアンドシン仮ヨリ加工糸を含む経糸と、経糸と同等もしくは経糸以外のフィラメント糸が用いられてなる緯糸から構成されているとともに、前記シックアンドシン仮ヨリ加工糸が、糸長さ方向において、残留伸度が30〜70%である各フィラメント部の長さの合計長が、残留伸度が10〜30%未満である各フィラメント部の長さの合計長より短いものであることを特徴とする織物。
  2. 高伸度ポリエステルフィラメント糸をあらかじめプログラミングしたコンピュータ信号に従って、染色した時に濃染になる残留伸度が30〜70%である非ケン縮のフィラメント部分と、染色した時に淡染になる残留伸度が10〜30%未満である仮ヨリケン縮が付与されたフィラメント部分とが、規則的あるいは不規則的に糸長さ方向に交互に繰り返すように制御弛緩したのち、空気処理を施し、さらに加ネン−熱固定−解ネンの延伸仮ヨリ加工を施した、糸長さ方向において、残留伸度が30〜70%である各フィラメント部の長さの合計長が、残留伸度が10〜30%未満である各フィラメント部の長さの合計長より短いシックアンドシン仮ヨリ加工糸を経糸に用いて製織することを特徴とする織物の製造方法。
  3. 制御弛緩速度を10ms当たり150m/min以上の増速と減速により制御弛緩したシックアンドシン仮ヨリ加工糸を用いることを特徴とする請求項2項記載の織物の製造方法。
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