JPH08120288A - 冷凍機用作動媒体及びそれを用いた冷凍装置 - Google Patents

冷凍機用作動媒体及びそれを用いた冷凍装置

Info

Publication number
JPH08120288A
JPH08120288A JP6263767A JP26376794A JPH08120288A JP H08120288 A JPH08120288 A JP H08120288A JP 6263767 A JP6263767 A JP 6263767A JP 26376794 A JP26376794 A JP 26376794A JP H08120288 A JPH08120288 A JP H08120288A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refrigerant
acid
oil
refrigerator
working medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6263767A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Kawashima
憲一 川島
Akira Ota
亮 太田
Yutaka Ito
伊藤  豊
Tadashi Iizuka
董 飯塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP6263767A priority Critical patent/JPH08120288A/ja
Publication of JPH08120288A publication Critical patent/JPH08120288A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】所定の非塩素系冷媒と潤滑油に、特定のカルボ
ジイミド化合物を添加し構成することにより、冷凍装置
に用いた場合に冷凍サイクルの腐食を回避する冷凍機用
作動媒体を提供する。 【構成】非塩素系冷媒と、潤滑油基油と、下記(1)式
で表されるカルボジイミド化合物とを含む冷凍機用作動
媒体。 (1) R1−N=C=N−R2 〔式中、R1、R2はアルキル基またはアルキル置換芳香
族基を表し、かつ分子中に−CH(CH32、または−
C(CH33を少なくとも2個有する。R1、R2は同じ
でも可とする。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍機用作動媒体およ
びそれを用いた冷凍装置に係り、冷媒と冷凍機用の潤滑
油と冷凍サイクル内の酸等を捕捉する添加剤とを含む冷
凍機用作動媒体および該作動媒体を用いた冷凍装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】オゾン層保護の観点から、ル−ムエアコ
ン、パッケ−ジエアコン、冷蔵庫、カ−エアコン、除湿
機、冷凍庫等に、冷媒として使用されてきたクロロフル
オロカ-ボン(以下、CFCsと略称する)及びハイドロク
ロロフルオロカ-ボン(以下、HCFCsと略称する)は、
その使用が規制されることになった。これらに替わり、
オゾン破壊係数が零であるハイドロフルオロカ-ボン(以
下、HFCsと略称する)等の非塩素系冷媒が使用される
ことになった。
【0003】しかし、これらの非塩素系冷媒には、冷凍
装置の信頼性の点で、次のような問題があった。その一
つは、非塩素系冷媒が、従来から潤滑油として用いられ
てきた鉱油やアルキルベンゼンに全く溶け合わず、
(「冷凍第60巻、816号(1985)」「ASHR
AE Guide and Data Book、307頁
(1969年)」)そのために、冷媒と共に圧縮機外に
流出した潤滑油が、熱交換器などのパイプの内壁面に付
着し圧縮機に戻らず、圧縮機の潤滑不良が発生すること
である。
【0004】もう一つは、冷媒から分解し生成された塩
素原子が、軸受などの摺動面の活性な金属と反応し不活
性膜を形成し、該摺動面の焼付きを生じ難くするといっ
た効果が従来の冷媒にはあった。これに対し、非塩素系
冷媒は塩素原子を含んでいないために、このような効果
が期待できず、従って焼付きが生じ易いことである。
【0005】これらの問題を解決する技術として、潤滑
油にエステル油を使用することが提案され、特開平4−
183788号、特開平4−183788号公報などに
開示される。即ち、潤滑油の分子中に酸素原子を含ませ
ることによって、HFCsとの溶解性を飛躍的に向上さ
せると共に、カルボニル基を付与することによって、金
属表面への吸着能力を高め、潤滑性を向上させるもので
ある。
【0006】ところが、エステル油は周知の通り、水と
共存すると加水分解してアルコ−ルと脂肪酸に分解す
る。この脂肪酸が、金属を腐食させ特に圧縮機摺動部等
の腐食摩耗を加速させ、あるいは金属石鹸を生成させ冷
凍サイクルの閉塞現象を起こし圧縮機や冷凍装置の信頼
性に支障を来すといった問題があることが判明した。
【0007】このため、上記脂肪酸を捕捉する酸捕捉剤
としてのカルボジイミド化合物を、予めエステル油に添
加することが提案された。(Stabaxol、「加水
分解防止剤」住友バイエルウレタン(株)、カタログN
o.S901−9303)この化合物は、水、アルコ−
ル、ジエステル、モノカルボン酸、アミン化合物シアノ
化合物、イソシアネ−ト化合物等と反応し他の化合物を
形成し、それらを捕捉するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、カルボジイミ
ド化合物は、その分子構造によっては、エステル油との
相溶性に差があり、冷凍サイクル中に持ち込まれた水と
同一当量のカルボジイミド化合物がエステル油に溶解さ
れない場合がある。その結果、酸捕捉剤としての機能が
十分発揮されず、圧縮機等の腐食が完全に防止されな
い、または金属石鹸による閉塞が抑止されないなどの欠
点がある。
【0009】一方、各種冷凍装置の冷凍サイクル内に
は、洗浄液や加工油等の工程副資材の残渣が混入する。
即ち、冷凍サイクルを構成する機器を製造する過程で、
例えば蒸発器の管に銅製の引き抜き管を使用すると、銅
管を製造する過程でマンドレルと管の摩擦係数を低減す
る目的で植物系の脂肪酸が使用される。また、蒸発器を
製造する過程で、冷媒管路の直管部とU字管を接続する
部分で、一般に直管部の両端を拡管してU字管をろう付
けする。この際、拡管工程でマンドレルと銅配管との離
形剤として高級脂肪酸エステル類が使用される。また、
蒸発器をろう付けした後、フラックスを除去するための
洗浄に弱酸性の無機酸が使用される。さらに、圧縮機の
機構部品を加工した後、これらの部品の洗浄にも有機酸
或いは無機酸が使用される。
【0010】上記したような酸を含む化合物であった
り、脂肪酸を基油とするものである工程副資材は、洗浄
しても100%除去することができず、冷凍サイクル内
に僅かではあるが、工程副資材の残渣として留まる。そ
してこの工程副資材の残渣が熱分解や加水分解によって
分解し、酸が生成されて潤滑油の酸価を直接的に上昇さ
せる。さらにその酸が、触媒となってエステル油の加水
分解を促進し間接的にも上昇させるので、冷凍サイクル
内の腐食が促進されるといった問題がある。
【0011】従って、本発明の第1の目的は、冷凍サイ
クル内に混入した工程副資材の弊害即ち、潤滑油の酸価
上昇を抑制し、冷凍サイクル内の腐食促進を回避する冷
凍機用作動媒体を提供することにある。
【0012】第2の目的は、エステル油との相溶性に優
れ酸捕捉剤としての働きを十分に発揮するカルボジイミ
ド化合物が添加された構成であって、冷凍サイクル内の
腐食を防止する冷凍機用作動媒体を提供する。
【0013】そして、第3の目的は、上記冷凍機用作動
媒体を用いることによって、冷凍サイクル内の酸などを
有効に捕捉し、圧縮機摺動部等の腐食摩耗が少なく信頼
性の高い冷凍装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の目的を達
成する冷凍機用作動媒体は、非塩素系冷媒と、潤滑油基
油と、下記一般式で表されるカルボジイミド化合物とを
含むものである。 一般式 R1−N=C=N−R 式中、R、R2はアルキル基またはアルキル置換芳香
族基を表す。R1、R2は同じでも可とする。また、アル
キル基またはアルキル置換芳香族基の分子中に、−CH
(CH32、または−C(CH33を少なくとも2個有
するものであってもよい。
【0015】第2の目的を達成する冷凍機用作動媒体
は、非塩素系冷媒と、ポリオ−ルエステル系潤滑油基油
と、下記一般式で表されるカルボジイミド化合物とを含
むものである。
【0016】一般式 R1−N=C=N−R2 式中、R1、R2はアルキル基またはアルキル置換芳香族
基を表し、かつ分子中に−CH(CH32、または−C
(CH33を少なくとも2個有する。R1、R2は同じで
も可とする。
【0017】そして、第3の目的を達成する冷凍装置
は、冷凍サイクルに上記冷凍機用作動媒体を用いるもの
である。
【0018】
【作用】このような非塩素系冷媒と潤滑油基油にカルボ
ジイミド化合物の酸捕捉剤を添加した構成の冷凍機用作
動媒体であれば、冷凍サイクル中に混入した工程副資材
の熱分解または加水分解によって生成された酸が、該酸
捕捉剤によって捕捉されるので、潤滑油の酸価上昇が抑
止される。従って、上記作動媒体を用いた冷凍装置にお
いて冷凍サイクル内の腐食促進は回避される。
【0019】また、アルキル基またはアルキル置換芳香
族基の分子中に -CH(CH32、または -C(C
33が付与されたカルボジイミド化合物の酸捕捉剤で
あれば、該酸捕捉剤がポリオ−ルエステル系潤滑油基油
に良く相溶するので、酸捕捉機能が十分に発揮される。
従って、上記酸捕捉剤の添加された冷凍機用作動媒体を
用いれば、冷凍装置の腐食は防止される。
【0020】
【実施例】以下、本発明を図を参照し説明する。まず、
冷凍サイクルについて説明する。図1は、冷凍装置の冷
凍サイクルを説明する図である。本発明の対象となるル
ームエアコン、パッケージエアコン、カーエアコン、冷
蔵庫、冷凍庫、除湿機、冷蔵自動販売機等の冷凍サイク
ルの一例である。冷暖房兼用のルームエアコンやパッケ
ージエアコン等のヒートポンプ冷凍サイクル構成図であ
る。
【0021】室内を冷房する場合、圧縮機1で断熱的に
圧縮された高温高圧の冷媒ガスは四方弁2を通って室外
熱交換器3で冷却され低温高圧の液冷媒となる。この冷
媒は膨張手段4(例えば、キャピラリーチューブ、温度
式膨張弁など)で断熱的に膨張され、僅かにガスを含む
低温低圧液となって室内熱交換器5に至り、室内の空気
から熱を得て低温ガスの状態で再び四方弁2を通って圧
縮機1に至る。室内を暖房する場合は、四方弁2によっ
て冷媒の流れは逆方向に変えられ、逆作用となる。
【0022】次に、圧縮機の代表的なものには、ロータ
リ型、スクロール型、レシプロ型、スクリュ型がある。
このうち、冷凍能力に比べて圧縮機の寸法的な制約が大
きいものは家庭用のルームエアコンや冷蔵庫に用いられ
るロータリ型圧縮機である。そのため、必然的に圧縮機
の摺動条件が厳しくなる。そこで、ここではロータリ型
について説明する。
【0023】図2は、ロータリ型圧縮機を説明する断面
図である。図に示すように、圧縮機はモータ6のシャフ
ト7に直結されたクランク8の外周にローラ9が組み込
まれており、該ローラの一部が接触するようにシリンダ
ブロック10が設置されている。従って、シャフト7の
回転によってローラ9はクランク8と相対的に滑り運動
すると同時に、ローラ9とシリンダブロック10の内周
面とは接触点を変えながらシリンダ内で揺動回転運動す
る。
【0024】また、シリンダブロック10のベーン溝内
にはベーン11が設けてある。該ベーンの背面に設置さ
れたばね12と吐出圧力下にある油導入路13とによ
り、高圧ガスの圧力を該ベーンの背面に作用させ、ベー
ンが常にローラに押しつけられるように構成されてい
る。本圧縮機では冷媒ガスの圧縮反力、各部の摩擦力、
ベーンからの押しつけ力など、シャフトに作用するラジ
アル力はシリンダブロック10の両端面を覆うように設
置されたサイドプレート14、15によって支えられ
る。これらの機構部品は、全てチャンバ16内に収納さ
れており、冷媒は吸入パイプ17から直接シリンダ内に
吸い込まれる。 一方、圧縮されたガスは一度チャンバ
16内に吐き出され、流速の変化及びチャンバとの衝突
によって油を分離し、該ガスは吐出パイプ18より熱交
換器へ流出される。
【0025】本圧縮機の潤滑系について説明する。前述
のようにして高圧ガスから分離された油は前記油導入路
13から、ベーン11の背面部に至り、一部の油はベー
ン溝とベーン間を潤滑する。他の油は給油パイプ19を
経てシャフト6の略中心部に設けられた油穴20へ至
り、更に該油穴からシャフト外周に向けて設けられた小
孔を経て、両サイドプレート14、15に構成された滑
り軸受部を潤滑する。
【0026】ここで、潤滑条件が最も厳しいのはローラ
とベーンとの接触部であり、冷凍サイクルの運転条件に
よっては、潤滑油の酸価が低くても、例えば、0.05
mgKOH/g以下であっても、ローラ或いはベーン、
又はその両方が著しく摩耗することがある。このような
摺動条件では、摩耗量は潤滑油の酸価に対して極めて敏
感となり、潤滑油の酸価の上昇によって、加速度的に摩
耗量が増大する。これについては後述する。
【0027】従って、給油量を増加させ潤滑油の酸価上
昇を抑制するために、ベーン11のベーン溝との当接面
に浅い切欠きを設け、ベーン11の溝内での往復運動中
の所定のタイミングで、ベーン背面からローラ外周面へ
給油するような給油手段を設けたものがある。
【0028】次に、前述の冷凍サイクルに用いられる本
発明による冷凍機用作動媒体について説明する。
【0029】図1に示した冷凍サイクルに使用される非
塩素系冷媒としては、フッ化炭化水素系の冷媒であれ
ば、例えば、HFC23、HFC32、HFC125、
HFC134a、HFC143a等がある。フッ化炭素
系では、C216(ヘキサフルオロシクロプロパン)、
C318(オクタフルオロシクロブタン)等がある。炭
化水素系には、プロパン、ブタン、シクロペンタン等が
ある。そして、これらを混合したものもある。
【0030】本発明の実施例では、HFC32とHFC
125とHFC134aとの混合冷媒であるフッ化炭化
水素系冷媒を使用した。
【0031】また、非塩素系冷媒と一緒に使われる潤滑
油基油としては、一般的に該冷媒とある程度溶け合うも
の(所定の溶解度を有するもの)が選ばれ使用される。
尚、圧縮機から吐き出された潤滑油が略100%回収で
きる油分離機を設置すれば、冷媒との相溶性がほとんど
ない潤滑油基油、例えば、鉱油あるいはアルキルベンゼ
ンなども使用可能となるが、実用的でない。そこで、非
塩素系冷媒との相溶性に優れた潤滑油基油として、エス
テル油が一般的に使用される。特に、ポリオールエステ
ルとしてのネオペンチル型ポリオールエステル系潤滑油
が選ばれる。
【0032】ところで、潤滑油はアルコールと脂肪酸と
から構成される。そして、ネオペンチル型ポリオールエ
ステル系潤滑油のアルコールとしては、ネオペンチルグ
リコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリト
ール、ジペンタエリスリトールなどが使用される。
【0033】直鎖形の脂肪酸としては、プロピオン酸、
酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、
ベラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチン酸、
パルチミン酸、ステアリン酸などが使用され、分岐鎖形
としては、イソブタン酸、2−メチル酪酸、イソバレリ
ン酸、2−メチル吉草酸、2−エチルペンタン酸、2−
メチルヘキサン酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサ
ン酸、3,5−ジメチルヘキサン酸、2,2,4−トリ
メチルペンタン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメ
チルヘキサン酸、2−ヘキシルデカン酸などが使用され
る。
【0034】さらに、圧縮機の潤滑を考慮して、所望の
粘度及び冷媒との適切な溶解度を得るために、上記2種
以上のアルコールおよび2種以上の脂肪酸が使用され、
エステル油が合成される場合もある。
【0035】本発明の実施例では、後述するような、ア
ルコールと脂肪酸から合成したネオペンチル型ポリオー
ルエステル系潤滑油を使用した。
【0036】尚、上記ネオペンチル型ポリオールエステ
ル以外のエステル油として、例えば、一価アルコールと
多価アルコールと一価脂肪酸と二価脂肪酸から合成され
たコンプレックスエステル、あるいは別型のポリエステ
ルが使用される。一方、一価アルコールと一価脂肪酸か
ら合成されたモノエステルも使用される。
【0037】また、二価以上のアルコールと一価脂肪
酸、あるいは一価アルコールと二価以上の脂肪酸から合
成されるジエステルあるいはトリエステル等は、上記の
別型のポリエステルの範疇とする。これらのうち、上記
のモノエステルとジエステルは、ネオペンチル型ポリオ
ールエステルの油性向上剤として使用されることがあ
る。
【0038】さらに、コンプレックスエステルは、摺動
条件がそれ程厳しくないような圧縮機(例えば、雄ロー
タと雌ロータが直接接触しないような型式のスクリュ圧
縮機)に使用されることがある。しかし、ネオペンチル
型ポリオールエステルに比べて化学的な安定性に劣るの
で、ロータリ型やスクロール型のように摺動条件が厳し
い圧縮機には、最近では余り用いられていない。
【0039】次に、本実施例では、酸捕捉剤としてのカ
ルボジイミド化合物として、イソシアネート化合物の脱
炭酸反応によって生成した、次の一般式で示される化合
物を使用した。
【0040】 R1-N=C=N-R2 一般式(1) ここに、R1、R2は直鎖又は分岐鎖のアルキル基、ある
いはアルキル置換芳香族基で、R1、R2は同じでも、異
なっていても可である。
【0041】本実施例において、代表的なカルボジイミ
ド化合物として使用した試料を、次表の試料 No.1
A〜No.12A に示す。
【0042】表1は、本実施例で使用したカルボジイミ
ド化合物の構造式を示すものである。 この表には、溶
解パラメータ計算式から求めた溶解パラメータ値(以
下、SP値と呼称する)が併記してある。 SP値の単
位は、(cal/cm30.5である。以下、単位の記載
は省略する。
【0043】
【表1】
【0044】尚、溶解パラメータ計算式の出典は、
『R.F.Fedors:A Method of E
stimating both the Solubi
lityParameters and Molar
Volumes of Liquid;Polymer
Eng. and Science 14巻 147
(1947)』である。
【0045】表1より、先ず、R1、R2がアルキル基で
ある、試料No.10A、11A、12Aについて見ると、分
子中の -CH3の数が多くなるほどSP値が小さくなる
ことが判る。
【0046】そして、R1、R2がアルキル置換芳香族基
の場合(1)試料No.1A、2Aから、置換されたア
ルキル基の数が多いほど、および、(2)試料No.2
A、5A、8A及び試料No.4A、7A、9Aから、
前記アルキル基の主鎖の炭素数が多いほど、および、
(3)試料No.3A、4A、5A及び試料No.6
A、7A、8Aから、前記主鎖の炭素数が同一の場合、
末端から2番目の炭素に結合している -CH3の数が多
いほど、SP値が小さくなることが判る。
【0047】次に、本実施例で使用したエステル油につ
いて説明する。図3、図4は、本実施例で使用したネオ
ペンチル型ポリオールエステル系潤滑油のアルコールお
よび脂肪酸の種類と、合成の組合せを示す図である。
【0048】さらに、図3、図4に、各エステル油のS
P値と、室温、大気中における各エステル油に対する、
表1のカルボジイミド化合物の溶解度が併記されてい
る。
【0049】ここで、エステル油に対するカルボジイミ
ド化合物の配合量、即ち適正な添加量について記述す
る。
【0050】冷凍サイクル中の水は、エステル油の加水
分解を引き起こし、腐食摩耗の原因となり、また、金属
石鹸を生成し冷凍サイクルの閉塞現象を招来することは
先に述べた。この他に、水は冷媒の電気絶縁性を低下さ
せ、モータ電源端子間の短絡現象を生じさせる原因とも
なる。
【0051】まず、冷媒の電気絶縁性、即ち体積抵抗率
について述べる。HFC系冷媒の体積抵抗率は 約8×
108Ω・cmであり、CFC系あるいはHCFC系冷媒
の体積抵抗率 約8×109〜5.5×1012Ω・cmに
比べて小さい。また、冷媒には吸湿性があり、冷媒中の
水分量が増加すると、体積抵抗率は更に低下する。そし
て、冷媒の分子構造によって飽和水分量は異なるが、代
替冷媒の主成分の一つであるHFC32の飽和水分量は
HCFC22の約2倍である。従って、代替冷媒の場
合、体積抵抗率が低くかつ吸湿量も多いので、冷媒中の
水分が増加すると、電源端子間の短絡現象が発生する懸
念がある。これを回避するには、冷媒中の水分を少なく
すれば良く、乾燥剤を設置する等の対策が講じられる。
【0052】このため、乾燥剤の量を適切に選定し、冷
媒中の水分量を電気絶縁性に支障のない値まで低減する
ことができる。しかし、乾燥剤は乾燥剤自身、冷媒及び
潤滑油中の水分が平衡状態を保つように、潤滑油及び冷
媒中の水を吸着する。このように、乾燥剤の水分吸着量
はあくまでも雰囲気との平衡状態で決まるため、油中あ
るいは冷媒中の水がエステル油の加水分解によって消耗
された場合は、一度乾燥剤に吸着された水が、再び潤滑
油あるいは冷媒中に離脱してエステル油の加水分解に補
給される。
【0053】これを繰り返すと、極めて長い時間の後に
は、冷凍装置の製作時に冷凍サイクル中に混入した水の
ほとんどがエステル油の加水分解で消耗されることにな
り、これによる脂肪酸の生成量は極めて多くなる。
【0054】従って、酸捕捉剤は冷凍サイクル中に持ち
込まれる水と同一当量添加しなければ、その効果は十分
とは云えない。しかし、添加剤は潤滑油に予め配合され
ているのが一般的であり、酸捕捉剤も同様である。従っ
て、冷凍サイクル内に持ち込まれる水の量を算定し、こ
れと同一当量の酸捕捉剤の適正な添加量を決める必要が
ある。
【0055】一方、この適正な添加剤が室温、大気中で
潤滑油に完全に溶解することも必要である。万一、添加
剤が潤滑油に完全に溶解しなければ、冷凍サイクル内で
添加剤が析出し、前述の膨張手段であるキャピラリチュ
ーブなどを閉塞し、冷凍サイクルに致命的な支障を及ぼ
すからである。
【0056】次に、冷凍サイクル中に持ち込まれる水分
量について述べる。一般家庭を対象にしているルームエ
アコンは、所定の配管長の場合が多く、予め室外ユニッ
トに封入された一定量の冷媒及び潤滑油で運転される。
この場合、個々のサイクルの冷媒と潤滑油の封入量に大
きな差はない。しかし、所定の配管長を越える場合もあ
り、この場合は、単位長さあたり一定量の冷媒のみが追
加封入されるので、個々のサイクルによって冷媒の封入
量に差が生ずる。
【0057】一方、パッケージエアコンの場合、室外ユ
ニット1台に対し室内ユニットも1台の所謂シングル機
では、冷媒及び潤滑油は予め室外ユニットに封入されて
いるので、ルームエアコンと同様、個々のサイクルの冷
媒と潤滑油の封入量に大きな差はない。しかし、室外ユ
ニット1台に対し室内ユニットが複数台の所謂マルチ機
では、潤滑油は予め室外ユニットに封入してあるが、冷
媒は現地での配管作業終了後サイクルに封入するため、
配管の長さあるいは室内ユニットの台数によって冷媒の
封入量が異なる。極端な場合には、同一機種であっても
冷媒封入量に2〜3倍の差が生ずる。以上述べたよう
に、ルームエアコン及びパッケージエアコンでは、潤滑
油は一定量であるのに対し、封入される冷媒量は大きく
異なる場合がある。
【0058】ところで、エステル油は、その構造上、鉱
油などに比べて吸湿能力が大きく、その含有水分量を零
にすることはできないが、前述のように、機種による潤
滑油の封入量に差がないため、潤滑油によって冷凍サイ
クルへ持込まれる水分量は、ほぼ一定値であると言え
る。
【0059】一方、冷媒の含有水分量は日本工業規格に
よって一定の目安が定められ、冷媒メーカはこの目安以
内となるよう水分管理しているが、これも水分量を零に
することはできない。従って、冷媒によって冷凍サイク
ルへ持込まれる水分量は、同一機種であっても封入され
る冷媒量が異なる場合があるので、個々のサイクルによ
って差があると言える。
【0060】さらに、冷媒配管の作業は、湿度が低い季
節に限って行われるものではないため、作業に伴ってサ
イクル内に持ち込まれる水分量は、季節的要因あるいは
配管作業終了後の真空引き作業の方法などによって大き
な差を生ずる。また、冷凍サイクル構成部品と共にサイ
クル内に持ち込まれる水分量も考えられる。
【0061】ここで、パッケージエアコンにおいて、従
来の作業方法で冷凍サイクルを組んだ場合のサイクル内
への持込み水分量が比較的多い場合の一例について述べ
る。初期含有水分量15ppmの冷媒を30kgと、初
期含有水分量80ppmの実施例No.11の潤滑油を
3kgとで冷凍サイクルを組み、約1時間後に冷媒及び
潤滑油の含有水分量を測定したところ、それぞれ169
ppm及び305ppmであった。これより、冷媒及び
潤滑油以外のサイクル構成機器及び配管作業などによっ
て、サイクル内に持ち込まれた水分量は、5.30gと
算出される。また、サイクル内の全水分量は、5.99
g、即ち 0.33モルである。
【0062】上記の水分量を100%捕捉するに必要な
カルボジイミド化合物の添加量は、その分子量によって
異なるが、最も分子量の小さい試料No.12Aの場合で
は、32.59gと計算され、即ち潤滑油に対して
1.07wt%である。これに対し、最も分子量の大き
い試料No.9Aでは、添加量は157.6g、潤滑油
に対して 4.99wt%となる。
【0063】そして、実施例No.11の潤滑油に対す
るカルボジイミド化合物 No.9A 及び No.12A
の溶解度を、図3から調べて見る。これより、No.12
Aの溶解度は1.0〜5.0wt%の間であり、No.
9Aの溶解度は5.0wt%以上であることが判る。
【0064】従って、No.12Aの場合、1.07wt
%に対し1.0〜5.0wt%の溶解度、No.9Aの
場合、4.99wt%に対し5.0wt%以上の溶解度
となり、カルボジイミド化合物が潤滑油に溶解するに必
要な溶解度をほぼ満足している。従って、水分量を10
0%捕捉するし、エステル油からカルボジイミド化合物
が析出することがないと言える。
【0065】しかしながら、最大の5.0wt%以上の
溶解度を有するカルボジイミド化合物であれば、確実に
水分量を100%捕捉するはずであるという観点から、
図3を用いて選択すると、実施例No.11の場合に対
しては、カルボジイミド化合物は、A群としての試料N
o.4A、7A、9A、11A、3A、6A、10Aが好適
であり、B群としての試料No.8A、12A、5A、2
A、1Aは使用しない方が賢明であることが判る。
【0066】また、図3、図4より、エステル油のSP
値について調べて見ると、SP値は実施例No.13と
No.23を比較すれば判るように、骨格を決定するア
ルコールの -OH数には余り影響されない。また、同一
のアルコールで比較すると、実施例No.16、17で
は動粘度が略同じとなるように脂肪酸の種類を変えた
が、SP値には大差ない。しかし、実施例No.18、
19では動粘度が等しいにもかかわらず、No.18に
比べて No.19のSP値が小さい。これは、カルボ
ジイミド化合物のSP値のところでも述べたように、N
o.18では直鎖形の脂肪酸を使用しているのに対し
て、No.19では分岐鎖形の脂肪酸を使用しているた
め、分子中の -CH3の数が多いことによると言える。
実施例No.20とNo.21についても同様の説明が
できる。
【0067】さらに、図3、図4から、エステル油に対
して5.0wt%以上の溶解度を有するカルボジイミド
化合物は、分子中に -CH(CH32、または -C(C
33を2個以上有していること、あるいは、SP値が
9.18から 「エステル油のSP値+1.15」の範
囲内にあることが判る。
【0068】他の表現をすれば、分子中に -CH(CH
32、または -C(CH33を2個以上有する、あるい
は、SP値が9.18から 「ポリオールエステルのS
P値+1.15」の範囲内にあるカルボジイミド化合物
を使用すれば、SP値が8.95から10.16までの
範囲のポリオールエステル系潤滑油基油に対して、5w
t%以上の溶解度を有するカルボジイミド化合物を選択
することができることが判る。
【0069】以上は、冷凍サイクルへの持込み水分量が
極めて多い場合であるが、前述のように、配管作業の方
法によっては該持込み水分量が極めて少ない機種もあ
る。
【0070】例えば、ルームエアコンではエステル油に
対する溶解度がNo.12Aのカルドジイミド化合物では
0.17wt%、No.9Aでは0.84wt%で良い
場合がある。このような場合は、エステル油に対する溶
解度が1.0wt%以上であれば良く、図3の実施例N
o.11の場合について、カルボジイミド化合物を選定
すると、前記A群のものに加えて、No.8A及びN
o.12Aが使用できることになる。
【0071】本発明によれば、ネオペンチルグリコール
系エステル油では、SP値が8.95から9.80、ト
リメチロールプロパン系エステルでは、SP値が9.0
4から9.38、ペンタエリスリトール系エステルで
は、SP値が9.10から10.16、ジペンタエリス
リトール系エステルでは、SP値が9.78から10.
04までの範囲であれば、表1に示したカルボジイミド
化合物の中から、これらのエステル油に対して所定の溶
解度を有するものを選択することができる。
【0072】また、表1にて、一般式(1)のうちR1
とR2が等しいものについて述べたが、表1に示すR1
2であれば、両者が異なっていてもSP値が表1の範
囲に入ることは言うまでもない。従って、本発明ではR
1とR2は等しくても、異なっていてもこれを制限しな
い。
【0073】一方、エステル油とカルボジイミド化合物
との溶解度は温度によって異なる。エアコンでは冷凍サ
イクル内の温度は約−10〜110℃、冷凍機では約−
40〜120℃の温度変化がある。従って、仮りに冷凍
サイクルへの持込み水分量が少ない場合であっても、エ
ステル油からのカルボジイミド化合物の析出を回避する
には、エステル油に対しての溶解度に余裕のあるカルボ
ジイミド化合物を選択するのが望ましい。
【0074】なお、本実施例では、潤滑油基油としてネ
オペンチル型ポリオールエステルについてのみ説明した
が、SP値が少なくとも上記範囲、すなわち、8.95
〜10.16までの範囲にあれば、その他のポリオー
ルエステル(例えば、コンプレックスエステルなど)、
あるいはモノエステルにも本発明は適用できることは言
うまでもない。
【0075】また、SP値が上記範囲内にあるエステル
以外の潤滑油基油(例えば、鉱油、アルキルベンゼン、
オレフィン、炭酸エステル、エーテルなど)に対して
も、本発明は適用できる。例えば、冷媒と油を分離する
機能に優れた油分離器を備えた冷凍サイクルでは、HF
C系冷媒/鉱油系あるいはHFC系冷媒/アルキルベン
ゼン系にもカルボジイミド化合物を使用できる。
【0076】以上のように、エステルをはじめとする各
種の潤滑油基油に対して、 5.0wt%以上の溶解度
を有するカルボジイミド化合物を選定することができる
ことによる、効果の一例について次に述べる。
【0077】ここで、冷凍サイクル内の潤滑油の全酸価
について説明する。
【0078】図5は、冷凍サイクルの運転時間と潤滑油
の全酸価の関係を示す図である。図中の全酸価曲線(太
線)に示すように潤滑油の全酸価は運転時間に伴って急
上昇する。これは、前述したようなエステル油の加水分
解や工程副資材の残渣の弊害があるからである。
【0079】すなわち、運転時間t時間後の全酸価は、
エステル油の加水分解などがなければ、図中のD点のレ
ベル程度である。しかし、エステル油の加水分解によ
り、運転時間t時間後の全酸価は、D→C点にまで上昇
する。また、工程副資材単独並びに工程副資材の分解な
どにより、C→B点にまで上昇する。さらに、工程副資
材の触媒作用によってエステル油の加水分解が促進さ
れ、B→A点にまで上昇する。
【0080】図6は、潤滑油の全酸価と摩耗量の関係の
一例を示す図である。図5に示したように全酸価がD→
C→B→A点と上昇するにつれ、たとえば、H→G→F
→E点のように全酸価が増えると、圧縮機のロ−ラの摩
耗量は加速度的に増加する。これに対し酸捕捉剤として
カルボジイミド化合物を添加することによって、下記3
段階で酸価上昇を回避し、摩耗量の増加を抑止すること
ができる。
【0081】第1段として、工程副資材の触媒作用を回
避する。即ち、工程副資材の熱分解や加水分解によって
生成された酸が触媒となってエステル油の加水分解を促
進し潤滑油の酸価を上昇させることが、酸捕捉剤として
カルボジイミド化合物で前記生成された酸を捕捉するの
で、回避される。従って、摩耗量は増加しない。
【0082】具体的に運転時間t時間後の時点で説明す
れば、潤滑油の酸価は図5においてA→B点に抑えら
れ、摩耗量は図6においてE→F点まで減少する。
【0083】第2段として、工程副資材そのものを捕捉
する。即ち、工程副資材に含まれた単独の酸、並びに、
工程副資材の分解によって生成された酸による潤滑油の
酸価上昇を回避し、摩耗量を低減する。同じく運転時間
t時間後の時点で説明すれば、潤滑油の酸価はB→C点
に抑えられ、摩耗量はF→G点まで減少する。
【0084】尚、工程副資材に含まれた単独の酸、並び
に、工程副資材の熱分解や加水分解によって生成された
酸は、潤滑油の種類には無関係である。従って、潤滑油
の種類によらず、酸捕捉剤としてカルボジイミド化合物
を添加することによって、工程副資材の残渣の弊害であ
る、酸価上昇と摩耗量の増加を防止することができる効
果がある。
【0085】そして、第3段として、脂肪酸を捕捉す
る。即ち、潤滑油にエステル油を使用した場合、エステ
ル油が水と反応し加水分解し生成された脂肪酸による潤
滑油の酸価上昇を回避し、摩耗量を低減する。同じく運
転時間t時間後の時点で、潤滑油の酸価はC→D点に抑
えられ、摩耗量はG→H点まで減少する。
【0086】このように本発明のカルボジイミド化合物
を添加することによって、酸を捕捉し、摩耗量の低減を
図ることができる効果がある。
【0087】また、その他の効果として、潤滑油封入直
後及び運転中にエステル油からカルボジイミド化合物が
析出されないので、また、潤滑油中の脂肪酸と金属イオ
ンの結合から金属石鹸が生成されないので、キャピラリ
−チュ−ブなどの閉塞現象が解消されると言った効果が
ある。
【0088】さらに、冷凍サイクルの構成部品に銅を使
用している場合、脂肪酸が銅を溶解し鉄系の部材に銅め
っき現象を生じさせ、これが原因で摺動部の焼付きを引
き起こすと言った問題があるが、カルボジイミド化合物
を添加することによって、銅めっき現象を回避できると
言った効果もある。
【0089】一方、カルボジイミド化合物には、次の反
応式で表されるような、水と直接反応し冷凍サイクル内
の水分量を低減する作用もある。
【0090】反応式(1) 尚、カルボジイミド化合物と脂肪酸との反応式は、次の
通りである。
【0091】反応式(2) 反応式(3) 式中、Rは、アルキル基、R1、R2は、分子中に −C
H(CH32、または−C(CH33を1個以上有する
アルキル基、あるいは、−CH(CH32、または −
C(CH33を1個以上有するアルキル置換芳香族基を
表し、R1、R2は同じでも異なっていても良い。
【0092】また、R1、R2がアルキル基の場合、アル
キル置換芳香族基に比べて、一般にR1、R2部分の化学
的安定性が劣るほか、−N=C=N−の活性度、すなわ
ち、水或いは酸との反応性に欠けると言った欠点があ
る。従って、R1、R2はアルキル置換芳香族基の方が好
適である。
【0093】本発明についてロ−タリ型圧縮機の実施例
で説明したが、本発明は、スクロ−ル型、レシプロ型、
スクリュ−型圧縮機等に適用できることは言うまでもな
い。これらの圧縮機では、滑り軸受または転り軸受部分
の腐食摩耗や腐食疲労が回避される。特に、スクロ−ル
型圧縮機では、摺動条件が厳しい自転防止機構部、すな
わち、オルダムリング機構部の腐食摩耗の低減に、また
往復動型圧縮機では、回転運動をピストンの往復運動に
変換するクランク機構部及び冷媒ガスを圧縮する際にピ
ストンに生ずる偏荷重を受けるピストンとシリンダとの
摺動部の腐食摩耗の低減に、さらにスクリュ−型圧縮機
では、雄ロ−タと雌ロ−タ間の摺動或いはたたきが発生
する部分の腐食摩耗の低減に効果がある。
【0094】また、本実施例では、冷媒としてフッ化炭
化水素系冷媒についてのみ説明したが、その他の非塩素
系冷媒を使用した場合の効果について説明する。冷媒と
して炭化水素を使用する場合は、この冷媒に溶解する潤
滑油として鉱油あるいはアルキルベンゼンが使用され
る。従って、このような冷凍サイクルにはカルボジイミ
ド化合物を添加することによって、前述の第2段の効果
が得られる。
【0095】さらに、冷媒として、フッ化炭素使用する
場合は、これに良く溶解してかつ、工業的に(価格の面
で)採算がとれる潤滑油がない。この点を度外視する
と、フッ素油が良く溶解する。この潤滑油は加水分解す
ることがないから、カルボジイミド化合物を添加するこ
とによって、同様に第2段の効果が得られる。
【0096】なお、本発明の目的を阻害しない範囲で、
下記の添加剤を配合しても良い。すなわち、潤滑性の改
善を目的として、燐系及び/又は硫黄系の極圧剤を配合
しても良い。例えば、燐系化合物としては、トリ(フェ
ニル)ホスファイト、トリ(p−クレジル)ホスファイ
ト等の第三級ホスファイト類、酸性燐酸エステルのアミ
ン塩、ジブチル・ブチルホスホネート等のホスホン酸エ
ステル類がある。また、硫黄系化合物としては、ジフェ
ニル・ジサルファイド、ジベンジル・ジサルファイド等
がある。さらに、燐−硫黄系化合物としては、トリラウ
リル・トリチオホスファイト等がある。
【0097】一方、金属表面の不活性化を目的として
ベンゾトリアゾールのような金属不活性剤を、潤滑油の
酸化劣化抑制を目的として 2,6−ジt−ブチルp−ク
レゾール等の酸化防止剤を、潤滑油の泡立ち防止を目的
として ジメチルシリコーン油等の消泡剤を、工程副資
材中の酸性洗浄剤である硫酸あるいは硝酸等の無機酸お
よび塩素系洗浄剤の熱分解により生成される塩酸の捕捉
を目的として フェニルグリシジルエーテルまたは(3,
4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート等のエ
ポキシ化合物を、配合しても良い。さらに、上記の添加
剤を、その目的に応じて1種あるいはそれ以上、混合配
合しても良い。
【0098】
【発明の効果】本発明によれば、潤滑油基油にカルボジ
イミド化合物を添加することにより、冷凍サイクル内に
混入した工程副資材の弊害即ち潤滑油の酸価上昇を抑制
し、冷凍サイクル内の腐食促進を回避する冷凍機用作動
媒体が得られる。
【0099】また、エステル油との相溶性に優れ酸捕捉
剤としての働きを十分に発揮するカルボジイミド化合物
が添加された、冷凍サイクル内の腐食を防止する冷凍機
用作動媒体が得られる。
【0100】そして、上記冷凍機用作動媒体を用いるこ
とによって、冷凍サイクル内の酸などを有効に捕捉し、
圧縮機摺動部等の腐食摩耗が少なく信頼性の高い冷凍装
置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷凍装置の冷凍サイクルを説明する図である。
【図2】ロータリ型圧縮機を説明する断面図である。
【図3】本実施例で使用したネオペンチル型ポリオール
エステル系潤滑油のアルコールおよび脂肪酸の種類と、
合成の組合せを示す図である。
【図4】本実施例で使用したネオペンチル型ポリオール
エステル系潤滑油のアルコールおよび脂肪酸の種類と、
合成の組合せを示す図(続き)である。
【図5】冷凍サイクルの運転時間と潤滑油の全酸価の関
係を示す図である。
【図6】潤滑油の全酸価と摩耗量の関係の一例を示す図
である。
【符号の説明】
1…圧縮機、2…四方弁、3…室外熱交換器、4…膨張
手段、5…室内熱交換器、6…モ−タ、7…シャフト、
8…クランク、9…ロ−ラ、10…シリンダブロック、
11…ベ−ン、12…ばね、13…油導入路、14,1
5…サイドプレ−ト、16…チャンバ、17…吸入パイ
プ、18…吐出パイプ、19…給油パイプ、20…油穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C10M 169/04 105:38 133:22) C10N 30:00 A 30:06 30:12 40:30 (72)発明者 飯塚 董 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非塩素系冷媒と、潤滑油基油と、下記一般
    式で表されるカルボジイミド化合物とを含む冷凍機用作
    動媒体。 一般式(1) R1−N=C=N−R2 〔式中、R1、R2はアルキル基またはアルキル置換芳香
    族基を表す。R1、R2は同じでも可とする。〕
  2. 【請求項2】非塩素系冷媒と、潤滑油基油と、下記一般
    式で表されるカルボジイミド化合物とを含む冷凍機用作
    動媒体。 一般式(1) R1−N=C=N−R2 〔式中、R1、R2はアルキル基またはアルキル置換芳香
    族基を表し、かつ分子中に−CH(CH32、または−
    C(CH33を少なくとも2個有する。R1、R2は同じ
    でも可とする。〕
  3. 【請求項3】非塩素系冷媒と、ポリオ−ルエステル系潤
    滑油基油と、下記一般式で表されるカルボジイミド化合
    物とを含む冷凍機用作動媒体。 一般式(1) R1−N=C=N−R2 〔式中、R1、R2はアルキル基またはアルキル置換芳香
    族基を表し、かつ分子中に−CH(CH32、または−
    C(CH33を少なくとも2個有する。R1、R2は同じ
    でも可とする。〕
  4. 【請求項4】非塩素系冷媒と、 溶解パラメ−タ値が、8.95 から10.16(ca
    l/cm30.5の範囲にあるポリオ−ルエステル系潤滑
    油基油と、 溶解パラメ−タ値が、9.18 から「前記ポリオ−ル
    エステル系潤滑油基油の溶解パラメ−タ値+1.15」
    (cal/cm30.5の範囲にあって、下記一般式で表
    されるカルボジイミド化合物とを含む冷凍機用作動媒
    体。 一般式(1) R1−N=C=N−R2 〔式中、R1、R2はアルキル基またはアルキル置換芳香
    族基を表す。R1、R2は同じでも可とする。〕
  5. 【請求項5】非塩素系冷媒と、ネオペンチル型ポリオ−
    ルエステル系潤滑油基油と、下記一般式で表されるカル
    ボジイミド化合物とを含む冷凍機用作動媒体。 一般式(1) R1−N=C=N−R2 〔式中、R1、R2はアルキル基またはアルキル置換芳香
    族基を表し、かつ分子中に−CH(CH32、または−
    C(CH33を少なくとも2個有する。R1、R2は同じ
    でも可とする。〕
  6. 【請求項6】フッ化炭化水素系冷媒と、ネオペンチル型
    ポリオ−ルエステル系潤滑油基油と、下記一般式で表さ
    れるカルボジイミド化合物とを含む冷凍機用作動媒体。 一般式(1) R1−N=C=N−R2 〔式中、R1、R2はアルキル基またはアルキル置換芳香
    族基を表し、かつ分子中に−CH(CH32、または−
    C(CH33を少なくとも2個有する。R1、R2は同じ
    でも可とする。〕
  7. 【請求項7】冷凍サイクルに請求項1または請求項2記
    載の冷凍機用作動媒体を用いたことを特徴とする冷凍装
    置。
  8. 【請求項8】冷凍サイクルに請求項3または請求項4ま
    たは請求項5記載の冷凍機用作動媒体を用いたことを特
    徴とする冷凍装置。
  9. 【請求項9】冷凍サイクルに請求項6記載の冷凍機用作
    動媒体を用いたことを特徴とする冷凍装置。
JP6263767A 1994-10-27 1994-10-27 冷凍機用作動媒体及びそれを用いた冷凍装置 Pending JPH08120288A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6263767A JPH08120288A (ja) 1994-10-27 1994-10-27 冷凍機用作動媒体及びそれを用いた冷凍装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6263767A JPH08120288A (ja) 1994-10-27 1994-10-27 冷凍機用作動媒体及びそれを用いた冷凍装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08120288A true JPH08120288A (ja) 1996-05-14

Family

ID=17394005

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6263767A Pending JPH08120288A (ja) 1994-10-27 1994-10-27 冷凍機用作動媒体及びそれを用いた冷凍装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08120288A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1171591A (ja) * 1997-08-29 1999-03-16 Nippon Oil Co Ltd Hfc冷媒を用いた冷凍システム用配管加工用潤滑油
JP2000008071A (ja) * 1998-06-29 2000-01-11 Idemitsu Kosan Co Ltd 銅および銅合金用潤滑油組成物
JP2003073681A (ja) * 2001-09-03 2003-03-12 Hitachi Ltd 冷蔵庫用作動媒体組成物又は該組成物を用いた冷蔵庫
US6750182B1 (en) 1998-10-09 2004-06-15 Exxonmobil Research And Engineering Company Polar oil based industrial oils with enhanced sludge performance
JP2010139171A (ja) * 2008-12-12 2010-06-24 Hitachi Appliances Inc 冷媒圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP2011195630A (ja) * 2010-03-17 2011-10-06 Jx Nippon Oil & Energy Corp 冷凍機油および冷凍機用作動流体組成物
JP2015140391A (ja) * 2014-01-28 2015-08-03 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油
JP2015206059A (ja) * 2015-08-21 2015-11-19 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機油および冷凍機用作動流体組成物
WO2017199516A1 (ja) * 2016-05-17 2017-11-23 三菱電機株式会社 冷凍サイクル装置

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1171591A (ja) * 1997-08-29 1999-03-16 Nippon Oil Co Ltd Hfc冷媒を用いた冷凍システム用配管加工用潤滑油
JP2000008071A (ja) * 1998-06-29 2000-01-11 Idemitsu Kosan Co Ltd 銅および銅合金用潤滑油組成物
US6750182B1 (en) 1998-10-09 2004-06-15 Exxonmobil Research And Engineering Company Polar oil based industrial oils with enhanced sludge performance
JP2003073681A (ja) * 2001-09-03 2003-03-12 Hitachi Ltd 冷蔵庫用作動媒体組成物又は該組成物を用いた冷蔵庫
JP2010139171A (ja) * 2008-12-12 2010-06-24 Hitachi Appliances Inc 冷媒圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP2011195630A (ja) * 2010-03-17 2011-10-06 Jx Nippon Oil & Energy Corp 冷凍機油および冷凍機用作動流体組成物
JP2015140391A (ja) * 2014-01-28 2015-08-03 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油
WO2015115232A1 (ja) * 2014-01-28 2015-08-06 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油
US9587196B2 (en) 2014-01-28 2017-03-07 Jx Nippon Oil & Energy Corporation Working fluid composition for refrigerator and refrigeration oil
TWI638041B (zh) * 2014-01-28 2018-10-11 日商吉坤日礦日石能源股份有限公司 冷凍機用工作流體組合物及冷凍機油
JP2015206059A (ja) * 2015-08-21 2015-11-19 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機油および冷凍機用作動流体組成物
WO2017199516A1 (ja) * 2016-05-17 2017-11-23 三菱電機株式会社 冷凍サイクル装置
JP6271102B1 (ja) * 2016-05-17 2018-01-31 三菱電機株式会社 冷凍サイクル装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7029095B2 (ja) 冷凍装置
US5553465A (en) Refrigeration apparatus containing lubricant composition
KR950005695B1 (ko) 냉동장치 및 냉매 압축기
US6189322B1 (en) Refrigerant-circulating system, and refrigerant compressor and refrigeration cycle employing the refrigerant compressor
US8992793B2 (en) Refrigeration apparatus
JP2010031728A (ja) 冷媒圧縮機
JPH08120288A (ja) 冷凍機用作動媒体及びそれを用いた冷凍装置
KR19990029541A (ko) 냉동기유와 그것을 사용한 냉동장치 및 압축기
JP2002129179A (ja) 冷凍機
KR102103225B1 (ko) 냉동 장치
JPH11158478A (ja) 冷凍機油組成物及び該組成物を用いた冷凍装置
JP3437177B2 (ja) 冷蔵庫
JPH10195426A (ja) 冷凍装置用作動媒体及びこの媒体を用いた冷凍装置
JPH07305083A (ja) 潤滑油組成物及び該潤滑油組成物を含む作動媒体
JP2002194369A (ja) 空調用作動媒体組成物及び該組成物を用いた空調機
JP3410994B2 (ja) 冷凍装置
JPH11256177A (ja) 冷媒循環システム
JP2962677B2 (ja) 冷凍装置
CN102741626A (zh) 制冷装置
JPH08259975A (ja) 冷凍装置
JPH1129766A (ja) 冷凍装置及び冷媒圧縮機
JPH08240362A (ja) 冷凍装置
JPH09302373A (ja) 冷凍機油組成物
JP4209601B2 (ja) 冷凍装置
Sundaresan Evaluation of lubricants for R410A/R407C applications in scroll compressor