JPH09302373A - 冷凍機油組成物 - Google Patents

冷凍機油組成物

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JPH09302373A
JPH09302373A JP14514796A JP14514796A JPH09302373A JP H09302373 A JPH09302373 A JP H09302373A JP 14514796 A JP14514796 A JP 14514796A JP 14514796 A JP14514796 A JP 14514796A JP H09302373 A JPH09302373 A JP H09302373A
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acid
oil
ester
refrigerant
mass
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JP14514796A
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Masayoshi Muraki
正芳 村木
Kazuo Tagawa
一生 田川
Oaki To
大明 董
Yasuyuki Akahori
康之 赤堀
Minoru Ishii
稔 石井
Noboru Masuda
昇 増田
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Mitsubishi Electric Corp
Eneos Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Mitsubishi Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ハイドロフルオロカーボンを冷媒とする圧縮機
用の冷凍機油組成物であり、各種の圧縮機の中でも最も
過酷な潤滑条件下で使用されるロータリ圧縮機にも対応
できる潤滑油を提供する。 【解決手段】ポリオールエステルを基油とし、これにリ
ン酸エステルを5.0質量%以上15.0質量%未満、
アルキルホスフォロチオネート及び/又はアリールホス
フォロチオネートを0.1〜3.0質量%、エポキシ化
合物を0.05〜1.5質量%配合してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイドロフルオロ
カーボン(HFC)を冷媒とする圧縮機に使用する冷凍
機油組成物に関する。更に詳しくは、圧縮機の中でも最
も過酷な潤滑条件下で使用されるロータリ圧縮機にも対
応できる冷凍機油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
1.冷凍機油の一般要求性能 冷凍機用圧縮機の主なタイプとしては、レシプロ型、ス
クロール型、ロータリ型がある。この中でも、ロータリ
圧縮機が最も過酷な潤滑条件下で使用されている。
【0003】圧縮機のタイプを問わず、冷凍機油に要求
される一般性能として重要なものは、耐摩耗性、熱及び
化学的安定性、低温流動性、使用冷媒との相溶性であ
る。冷凍機油には、圧縮機摺動部の摩耗防止や冷却、冷
媒ガス圧縮工程における高圧・低圧部のシール、摩耗粉
や異物の除去などの役割がある。このため、冷凍機油の
性能としては、優れた耐摩耗性、耐荷重能などの潤滑性
とともに、使用冷媒や電気絶縁材、金属などの機材との
共存下において、熱・化学的安定性が高く、機材への影
響のないものが求められる。また、冷凍機油の一部は、
圧縮された冷媒ガスに混入し、冷媒と共に冷凍機の系内
を循環して、毛細管あるいは膨張弁を経て蒸発器に流入
する。ここで、蒸発器から圧縮機への油戻りを良くする
ために、更には、低温再起動時の圧縮機摺動部への給油
などのために、低温流動性と、使用冷媒との高い相溶性
が冷凍機油に求められる。
【0004】2.使用冷媒と冷凍機油の関係 冷凍機の圧縮機に使用される冷媒としては、従来、クロ
ロフルオロカーボン(CFC)系冷媒とハイドロクロロ
フルオロカーボン(HCFC)系冷媒が単独又は混合し
て用いられている。これらの冷媒は、いずれも極性が低
いため、無極性である炭化水素系油(鉱油、アルキルベ
ンゼン、ポリーαーオレフィン等)との相溶性が良い。
また、これらの冷媒は、分子中に塩素原子を持つ含塩素
系冷媒である。この塩素原子が圧縮機の摺動面上で摺動
材と反応して、潤滑剤となる塩化物が生成する。このた
め、クロロフルオロカーボン(CFC)系冷媒やハイド
ロクロロフルオロカーボン(HCFC)系冷媒を使用す
る冷凍機には、適度に精製したナフテン系鉱油、パラフ
ィン系鉱油、アルキルベンゼン、ポリーαーオレフィン
などの炭化水素系油を単独又は混合した基油に、酸化防
止剤、摩耗防止剤、腐食防止剤などを微量添加した冷凍
機油が一般に使用されている。
【0005】エステル系合成油を用いた冷凍機油として
は、例えば、特開昭56−133241号、特開昭59
−164393号などが開示されている。また、エステ
ル系合成油にリン酸エステル又は亜リン酸エステルを加
えた冷凍機油としては、特開昭55−92799号、特
開昭56−36570号、特開昭56−125494
号、特開昭62−156198号、ヒートポンプ用油と
して特公昭57−43593号などが開示されている。
また、エステル系合成油にチオホスファイトを加えた冷
凍機油として特開昭56−36569号、エステル系合
成油にメタンスルホン酸エステルを加えた冷凍機油とし
て特開昭58−15592号、エステル系合成油にグリ
シジルエステルを加えた冷凍機油として特開昭62−2
92895号などが開示されている。上記の先行技術
は、いずれもCFC系冷媒又はHCFC系冷媒を使用す
る冷凍機に対応するものであり、HFC系冷媒を使用す
る冷凍機に対応するものではない。因みに、リン酸エス
テルは、炭化水素系油では溶解度が低く、低濃度で摩耗
防止効果を示すため、通常、炭化水素系油の基油に対し
て1質量%以下の添加量で使用されている。
【0006】ところで、含塩素系冷媒によって成層圏の
オゾン層が破壊されるとの学説が発表されて以来、地球
環境の保護のために、国際的にCFC系冷媒とHCFC
系冷媒の生産規制が計画され、分子内に塩素原子を持た
ない代替品の検討が進められている。例えば、HCFC
−22(R−22)の代替品としては、HFC−134
a、HFC−143a、HFC−125、HFC−32
などのハイドロフルオロカーボン(HFC)系冷媒を混
合したHFC系冷媒、例えばR407C、R410Aそ
の他の採用が見込まれている。しかし、HFC系冷媒
は、いずれもCFC系冷媒やHCFC系冷媒より極性が
高いため、炭化水素系油との相溶性が悪い。また、HF
C系冷媒は、分子中に塩素原子を持たないため、摩耗防
止性が低い。従って、従来のCFC系冷媒又はHCFC
系冷媒を使用する冷凍機に対する潤滑油技術では、新冷
媒であるHFC系冷媒を使用する冷凍機への対応が困難
である。このため、HFC系冷媒に適した冷凍機油の開
発が強く要請されている。
【0007】3.HFC系冷媒対応冷凍機油の従来技術 HFC系冷媒を使用する冷凍機の潤滑油としては、これ
まで、エステル系合成油、ポリエーテル系合成油などの
HFC系冷媒と相溶性のある含酸素炭化水素系合成油が
検討されている。中でも、エステル系合成油は、ポリエ
ーテル系合成油に比べて、電気絶縁性、熱・化学的安定
性、高温域での冷媒との相溶性が優れ、吸湿性が低いな
どの特長がある。このため、HFC系冷媒を使用する冷
凍機にはエステル系合成油が好ましい。エステル系合成
油を用いる冷凍機油としては、例えば、特開平3−24
197号、特開平3−88892号、特開平3−128
991号、特開平3−128992号、特開平5−59
388号が開示されている。上記の中、特開平5−59
388号は、二塩基酸ジエステル又は多価アルコールの
カルボン酸エステルを基油として、これにリン酸エステ
ル又は亜リン酸エステルを5.0〜90.0質量%配合
するところに特徴がある。また、特開平5−17792
号には、エステル油、アルキルベンゼン又は鉱油を基油
として、これにアルキレングリコールジグリシジルエー
テル又は特定構造の脂肪族環状エポキシ化合物を含有さ
せた冷凍機油組成物が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ポリオールエステル
(エステル系合成油)は、電気絶縁性、高温域における
HFC系冷媒との相溶性、低吸湿性に優れている。しか
し、ポリオールエステルは、炭化水素系油に比べて化学
的に活性なため、高温となる圧縮機内で特有のスラッジ
を生成し易い。また、HFC系冷媒は、分子中に塩素原
子を持たないため、使用条件の厳しい圧縮機の場合には
潤滑性不足となる場合がある。特に、ロータリ圧縮機
は、レシプロ圧縮機やスクロール圧縮機よりも過酷な潤
滑条件下で使用されるために、より高い耐摩耗性及び熱
・化学的安定性が要求されている。
【0009】本発明者らは、前記の特開平5−5938
8号で、二塩基酸ジエステル又は多価アルコールのカル
ボン酸エステルを基油として、これにリン酸エステル又
は亜リン酸エステルを5.0〜90.0質量%配合する
冷凍機油を提案した。この特開平5−59388号によ
る冷凍機油は、HFC系冷媒との相溶性が良好であり、
耐摩耗性、耐荷重能、水酸化鉄を含むスラッジの生成抑
制に極めて高い効果がある。しかし、その後の実機によ
る加速耐久試験の結果、ロータリ圧縮機にも対応するた
めには更に耐摩耗性及び熱・化学的安定性を向上させる
必要性があることが判明した。
【0010】本発明の目的は、HFC系冷媒を使用する
圧縮機専用の潤滑油として、耐摩耗性、熱・化学的安定
性、HFC系冷媒との相溶性に優れた性能を有すると共
に、ポリオールエステルに特有のスラッジの生成を抑制
し、長期間にわたって使用可能であり、しかもロータリ
圧縮機にも十分対応できる冷凍機油を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリオー
ルエステルとリン酸エステルの組み合わせをベースとし
て、耐摩耗性と熱・化学的安定性を更に向上させるため
に、この基本組成に適合する添加剤を多種類の添加剤の
中から探索した。そして、実験と検討を重ねた結果、ポ
リオールエステルの使用が困難とされていたロータリ圧
縮機についても使用可能な本発明を完成することができ
た。
【0012】本発明は、ハイドロフルオロカーボンを冷
媒とする圧縮機用の冷凍機油組成物である。ハイドロフ
ルオロカーボンには様々な種類があるが、本発明におい
ては、これらを単独又は混合したものをいう。本発明の
構成は、ポリオールエステルを基油とし、基油に対し
て、 a.リン酸エステルを5.0質量%以上15.0質量%
未満、 b.アルキルホスフォロチオネート及び/又はアリール
ホスフォロチオネートを0.1〜3.0質量%、及び c.エポキシ化合物を0.05〜1.5質量%配合して
なる。
【0013】
【発明の実施の形態】
1.基油 本発明は、基油として、ポリオールエステルを使用す
る。ポリオールエステルとしては、多価アルコールの1
種類以上とカルボン酸(直鎖飽和脂肪酸、モノアルキル
分岐脂肪酸、ポリアルキル分岐脂肪酸)との反応により
得られたエステル、またはこれらのエステルの混合物、
あるいは多価アルコールとカルボン酸の1種類以上とを
混合して反応させたものが挙げられる。
【0014】多価アルコールとしては、例えば、ネオペ
ンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエ
リスリトール、ジペンタエリスリトールが挙げられる。
【0015】直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、酢酸、
プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプ
タン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン
酸、ドデカン酸が挙げられる。
【0016】モノアルキル分岐脂肪酸としては、例え
ば、2−メチルブタン酸、3−メチルブタン酸、2−メ
チルペンタン酸、3−メチルペンタン酸、4−メチルペ
ンタン酸、2−エチルヘキサン酸、4−プロピルペンタ
ン酸、4−エチルペンタン酸、2−メチルデカン酸、3
−メチルデカン酸、4−メチルデカン酸、5−メチルデ
カン酸、6−メチルデカン酸、6−エチルノナン酸、5
−プロピルオクタン酸、3−メチルウンデカン酸、6−
プロピルノナン酸が挙げられる。
【0017】ポリアルキル分岐脂肪酸としては、例え
ば、2,2−ジメチルブタン酸、2,2−ジメチルペン
タン酸、2,2,3−トリメチルブタン酸、2,2−ジ
メチルヘキサン酸、2−メチルー3−エチルペンタン
酸、2,2,3−トリメチルペンタン酸、2,2−ジメ
チルヘプタン酸、2−メチルー3−エチルヘキサン酸、
2,2,4−トリメチルヘキサン酸、3,5,5−トリ
メチルヘキサン酸、2,2−ジメチルー3−エチルペン
タン酸、2,2,3トリメチルペンタン酸、2,2−ジ
メチルオクタン酸、2−ブチルー5−メチルペンタン
酸、2−イソブチルー5−メチルペンタン酸、2,3−
ジメチルノナン酸、4,8−ジメチルノナン酸、2−ブ
チルー5−メチルヘキサン酸が挙げられる。
【0018】ポリオールエステルは、通常、粘度5〜1
50mm/s(40℃)の範囲で、酸価1mgKOH/
g 、水分500ppmまでのものが使用できる。熱安定
性に影響する不純物、混入物、水分を除くため、蒸留、
濾過し、吸着剤、脱水剤で処理した酸価0.01mgKO
H/g 以下、水分100ppm以下のものが好ましい。
【0019】なお、含塩素系冷媒(CFC系冷媒、HC
FC系冷媒)に使用されているナフテン系鉱油、パラフ
ィン系鉱油、アルキルベンゼン、ポリーαーオレフィン
などは、HFC系冷媒との相溶性が悪いため、本発明の
冷凍機油組成物の基油には使用できない。
【0020】2.添加剤 (1)リン酸エステル リン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェ
ート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホ
スフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジル
ジフェニルホスフェート、ジフェニルオルソキセニルホ
スフェート、オクチルジフェニルホスフェート、フェニ
ルイソプロピルフェニルホスフェート、ジフェニルイソ
プロピルフェニルホスフェート、トリス(イソプロピル
フェニル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホス
フェート、トリスジクロロプロピルホスフェートが使用
できる。
【0021】中でも、トリクレジルホスフェート、フェ
ニルイソプロピルフェニルホスフェート、ジフェニルイ
ソプロピルフェニルホスフェート、トリス(イソプロピ
ルフェニル)ホスフェートが好ましい。
【0022】本発明の目的を達成するためには、リン酸
エステルの配合割合は、ポリオールエステル基油に対し
て、5.0質量%以上、15.0質量%未満である。配
合割合が5.0質量%未満では、アルキルホスフォロチ
オネート又はアリールホスフォロチオネート及びエポキ
シ化合物と併用しても圧縮機のタイプによっては耐摩耗
性が向上しない場合がある。配合割合が15.0質量%
以上では、耐摩耗性が低下し、スラッジが生成する場合
がある。
【0023】(2)アルキルホスフォロチオネート、ア
リールホスフォロチオネート アルキルホスフォロチオネートとしては、例えば、トリ
メチルホスフォロチオネート、トリエチルホスフォロチ
オネート、トリブチルホスフォロチオネート、トリオク
チルホスフォロチオネート、トリデシルホスフォロチオ
ネート、トリラウリルホスフォロチオネートが挙げられ
る。
【0024】アリールホスフォロチオネートとしては、
例えば、トリフェニルホスフォロチオネート挙げられ
る。
【0025】アルキルホスフォロチオネート、アリール
ホスフォロチオネートは、単独でも、混合使用しても差
し支えない。
【0026】リン酸エステルにアルキルホスフォロチオ
ネート及び/又はアリールホスフォロチオネートを併用
すると、相乗効果により、圧縮機の摺動面上でリン酸鉄
と硫化鉄が生成して、高潤滑性で高耐久性の被膜が得ら
れるため、耐摩耗性及び耐荷重能が長時間持続する。
【0027】アルキルホスフォロチオネート及び/又は
アリールホスフォロチオネートの配合割合は、ポリオー
ルエステル基油に対して、0.1〜3.0質量%であ
る。配合割合が0.1質量%未満では耐摩耗性が向上せ
ず、3.0質量%超では添加量増大に見合う効果がな
い。
【0028】(3)エポキシ化合物 エポキシ化合物としては、例えば、フェニルグリシジル
エーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、1,
2−エポキシアルカン、ビニールシクロヘキセンジオキ
シドが使用できる。これらは単独でも、混合使用しても
差し支えない。中でも、1,2−エポキシアルカン、ビ
ニールシクロヘキセンジオキシドが好ましい。
【0029】アルキルフェニルグリシジルエーテルとし
ては、例えば、ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペ
ンチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキシルフェニル
グリシジルエーテル、ヘプチルフェニルグリシジルエー
テル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフ
ェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジル
エーテルが挙げられる。
【0030】1,2−エポキシアルカンとしては、例え
ば、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプ
タン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデ
カン、1,2−エポキシヘンデカン、1,2−エポキシ
ドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポ
キシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、
1,2−エポキシヘプタデカン、1,2−エポキシオク
タデカンが挙げられる。
【0031】エポキシ化合物は、ポリオールエステルの
劣化によるスラッジ生成を抑制する効果がある。
【0032】エポキシ化合物の配合割合は、ポリオール
エステル基油に対して、0.05〜1.5質量%であ
る。配合割合が0.05質量%未満では、ポリオールエ
ステルの劣化抑制効果が認められない。配合割合が1.
5質量%超では、HFC系冷媒やポリオールエステルへ
の溶解性が悪くなるのに加えて、添加量増大に起因する
スラッジの発生に影響を及ぼす。
【0033】(4)その他の配合可能な添加剤 本発明の冷凍機油組成物には、本発明の目的とする冷凍
機油の性能を満たす範囲内において、冷凍機油の添加剤
として通常使用される酸化防止剤、金属不活性化剤、消
泡剤その他を併用できる。
【0034】酸化防止剤としては、ヒンダードフェノー
ル系、アミン系、硫黄系などのもの、例えば、2,6−
ジーt−ブチル−4−メチルフェノール、4,4´−メ
チレンビス(2,6−ジーt−ブチルフェノール)、
2,2´−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、トリメチルジハイドロキノン、p,p´−ジ
オクチルジフェニルアミン、3,7−ジオクチルフェノ
チアジン、アルキルフェノチアジン−1−カルボキシレ
ート、フェニル−2−ナフチルアミン、2,6−ジーt
−ブチルー2−ジメチル−p−クレゾール、5−エチル
ー10,10´ジフェニルフェナザリン、アルキルジサ
ルファイドを使用できる。
【0035】金属不活性化剤としては、例えば、アリザ
ニン、キリザニン、ベンゾトリアゾール、油溶性ベンゾ
トリアゾール、メルカプトベンゾトリアゾールを使用で
きる。
【0036】消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシ
ロキサン、カルボン酸金属塩を使用できる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例について説
明する。本発明は実施例に限定されるものではない。実
施例及び比較例に使用した基油、添加剤、試験法、試験
結果は次のとおりである。
【0038】1.基油 (1)実施例1〜9、比較例1〜12 ペンタエリスリトールと炭素数7、8及び9の分岐脂肪
酸混合物から合成した、酸価0.01mgKOH/g 以
下、水分100ppm以下のポリオールエステルを使用
した。 (2)比較例13 アルキルベンゼンは、ABA−H(三菱化学社製ハード
型アルキルベンゼン)を使用した。なお、アルキルベン
ゼンは、HCFC−22冷媒を使用する冷凍機の冷凍機
油の基油として通常使用されている。
【0039】2.添加剤 リン酸エステルは、トリクレジルホスフェートを使用し
た。アリールホスフォロチオネートは、トリフェニルホ
スフォロチオネートを使用した。アルキルホスフォロチ
オネートは、トリオクチルホスフォロチオネートを使用
した。エポキシ化合物は、ビニールシクロヘキセンジオ
キシドを使用した。
【0040】基油に占める添加剤の配合割合は、表1、
表2に示すとおりである。
【0041】3.試験法 (1)摩耗性試験(潤滑性試験) R407C冷媒(HFC系混合冷媒)雰囲気下で、ファ
レックス試験(ASTM D2714)により、鋼リン
グと鋼ブロック材を試験材とし、試験後の鋼ブロック表
面の摩耗量を測定した。試験条件は、試験温度100
℃、試験時間1時間、雰囲気ガス圧力600kPaであ
る。なお、試験結果は、比較例13(冷媒はHCFC−
22、基油はアルキルベンゼン)の摩耗量を基準とし、
これを1.0とした場合の相対値で示した。
【0042】(2)熱及び化学的安定性試験 R407C冷媒雰囲気下で、熱・化学的安定性試験をシ
ールドチューブ試験法により実施した。シールドチュー
ブ試験法は、ガラス容器に冷媒、試験油各約1cc及び
Fe、Cu、Al線を封入して加熱し、175℃×14
日間保持して、試験油の変色やスラッジ生成の有無を調
べる方法である。なお、比較例13は、HCFC−22
冷媒雰囲気下で行った。試験油の変色の評価方法は、試
験終了後の試験油の変色度合いを観察して、全く変色し
ない場合を○、少し変色した場合を△、かなり変色した
場合を×とした。
【0043】4.試験結果 試験結果を表1、表2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】(1)実施例1〜9 実施例は、いずれもHCFC−22冷媒を使用した比較
例13(従来技術の組成)よりも摩耗防止性が良好であ
る。また、熱・化学的安定性も良好であり、スラッジが
生成しない。なお、実施例2(アルキルホスフォロチオ
ネートを使用)は、実施例1(アリールホスフォロチオ
ネートを使用)と同等の試験結果を示した。
【0047】(2)比較例1〜4 比較例1はポリオールエステル基油のみで添加剤は無添
加、比較例2〜4はポリオールエステル基油に添加剤を
1種類だけ添加したものであるが、いずれも実施例1〜
9及び比較例13より摩耗防止性が劣る。
【0048】(3)比較例5〜7 比較例5(添加剤はアリールホスフォロチオネートとエ
ポキシ化合物の組み合わせ)、比較例6(添加剤はリン
酸エステルとエポキシ化合物の組み合わせ)は、いずれ
も実施例1〜9及び比較例13より摩耗防止性が劣
る。、比較例7(添加剤はリン酸エステルとアリールホ
スフォロチオネートの組み合わせ)は、スラッジが生成
する。
【0049】以上から、本発明の目的を達成するために
は、リン酸エステル、アリールホスフォロチオネート又
はアルキルホスフォロチオネート及びエポキシ化合物が
いずれも必須の構成要件であることが分る。
【0050】(4)比較例8 比較例8(リン酸エステルの配合割合は4.0質量%)
は、実施例1(リン酸エステルの配合割合は5.0質量
%)及び比較例13より摩耗防止性が劣る。このことか
ら、リン酸エステルの配合割合の下限値は、ポリオール
エステル基油に対して5.0質量%以上であることが分
る。
【0051】(5)比較例9 比較例9(リン酸エステルの配合割合は15.0質量
%)は、実施例3(リン酸エステルの配合割合は14.
9質量%)及び比較例13より摩耗防止性が劣る。 こ
のことから、リン酸エステルの配合割合の上限値は、ポ
リオールエステル基油に対して15.0質量%未満であ
ることが分る。
【0052】(6)比較例10 比較例10(アリールホスフォロチオネートの配合割合
は0.05質量%)は、実施例4(アリールホスフォロ
チオネートの配合割合は0.1質量%)及び比較例13
より摩耗防止性が劣る。このことから、アリールホスフ
ォロチオネート又はアルキルホスフォロチオネートの配
合割合の下限値は、ポリオールエステル基油に対して
0.1質量%以上であることが分る。
【0053】(7)比較例11 比較例11(アリールホスフォロチオネートの配合割合
は4.0質量%)は、実施例6(アリールホスフォロチ
オネートの配合割合は3.0質量%)に比べて添加量に
見合った摩耗防止性を示さないのに加えて、熱・化学的
安定性が劣る。このことから、アリールホスフォロチオ
ネート又はアルキルホスフォロチオネートの配合割合の
上限値は、ポリオールエステル基油に対して3.0質量
%以下であることが分る。
【0054】(8)比較例7 比較例7(エポキシ化合物無添加)は、実施例1〜9及
び比較例13より熱・化学的安定性が悪く、スラッジを
生成する。また、エポキシ化合物の配合割合が1.5質
量%を超えると、冷媒やポリオールエステル基油への溶
解性が悪くなる結果を得ている。このことから、エポキ
シ化合物の配合割合は、ポリオールエステル基油に対し
て0.05〜1.5質量%が最適であることが確認され
た。
【0055】なお、実施例1、3〜7のトリフェニルホ
スフォロチオネート(アリールホスフォロチオネート)
に代えて、トリフェニルホスフォロチオネートとトリオ
クチルホスフォロチオネート(アルキルホスフォロチオ
ネート)を1:1で混合したものを使用した他は実施例
1、3〜7と同一の組成で、上記の摩耗性試験及び熱・
化学的安定性試験をしたところ、実施例1、3〜7と同
等の効果が得られた。
【0056】5.実機試験及び試験結果 (1)スクロール圧縮機の加速耐久試験 前記の実施例1、比較例2(ポリオールエステル基油に
リン酸エステルを20質量%添加)及び比較例13(従
来技術の組成)について、スクロール圧縮機による加速
耐久試験を行った。実施例1及び比較例2はR407C
冷媒(HFC系混合冷媒)を使用し、比較例13はHC
FC−22冷媒を使用した。試験終了後、圧縮機を分解
して摺動部の摩耗状態を観察し、比較例13の摩耗量を
1.0として評価した。試験時間は2,000時間であ
る。
【0057】(2)ロータリ圧縮機の加速耐久試験 前記の実施例1、比較例2及び13について、ロータリ
圧縮機による加速耐久試験を行った。実施例1及び比較
例2はR407C冷媒を使用し、比較例13はHCFC
−22冷媒を使用した。試験終了後、圧縮機を分解して
摺動部の摩耗状態を観察し、比較例13の摩耗量(ベー
ンとローリングピストンにおける摩耗量の和)を1.0
として評価した。試験時間は2,000時間である。
【0058】(3)試験結果 試験結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】表3の実機試験結果から、本発明は、最も
過酷な潤滑条件下で使用されるロータリ圧縮機の場合に
も良好な性能を示すことが実証された。
【0061】
【発明の効果】本発明は、HCFC系冷媒の代替品とし
て、現在、世界的に開発が進められているHFC系冷媒
を使用する圧縮機用の冷凍機油組成物である。本発明
は、ポリオールエステル(エステル系合成油)の長所で
ある電気絶縁性、HFC系冷媒との相溶性、低吸湿性な
どの特長を生かしつつ、これにリン酸エステル、アルキ
ルホスフォロチオネート及び/又はアリールホスフォロ
チオネート、及びエポキシ化合物をそれぞれ最適割合で
配合することによって、ポリオールエステルの欠点であ
る摩耗防止性不足とスラッジの生成を解決した。本発明
は、優れた耐摩耗性、熱・化学的安定性を示すため、ポ
リオールエステルの適用が困難とされているロータリ圧
縮機にも使用できる。このことは、実機試験によって実
証された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 129:18) C10N 40:30 (72)発明者 董 大明 神奈川県川崎市中原区上小田中二丁目23番 22号B−201 (72)発明者 赤堀 康之 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 石井 稔 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 増田 昇 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオールエステルを基油とし、基油に対
    して、 a.リン酸エステルを5.0質量%以上15.0質量%
    未満、 b.アルキルホスフォロチオネート及び/又はアリール
    ホスフォロチオネートを0.1〜3.0質量%、及び c.エポキシ化合物を0.05〜1.5質量%配合して
    なる、ハイドロフルオロカーボンを冷媒とする圧縮機用
    の冷凍機油組成物。
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