JPH08119792A - 昇華法における結晶化速度の測定方法、結晶の精製方法及び単結晶の成長方法 - Google Patents
昇華法における結晶化速度の測定方法、結晶の精製方法及び単結晶の成長方法Info
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- JPH08119792A JPH08119792A JP25682894A JP25682894A JPH08119792A JP H08119792 A JPH08119792 A JP H08119792A JP 25682894 A JP25682894 A JP 25682894A JP 25682894 A JP25682894 A JP 25682894A JP H08119792 A JPH08119792 A JP H08119792A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 昇華法の実施中の結晶化速度を測定する方法
を提供し、かつその測定方法を利用して結晶の精製、単
結晶の成長を安定してかつ効率的に実施することができ
る結晶の精製方法及び単結晶の成長方法を提供しようと
するものである。 【構成】 封管の一端に結晶原料を真空封入し、昇華法
で結晶の精製を行うか、単結晶の成長を行う方法におい
て、封管の一方を延長して該延長部の端部を加熱炉の外
に残して該炉内に前記封管を配置し、炉内の第1の支点
と、炉外の第2の支点で封管を支持し、第2の支点にか
かる重量変化を測定して結晶化速度を測定する方法、前
記測定の結果に基づいて昇華温度及び/又は結晶化温度
を制御して結晶を精製するか、単結晶を成長する方法で
ある。
を提供し、かつその測定方法を利用して結晶の精製、単
結晶の成長を安定してかつ効率的に実施することができ
る結晶の精製方法及び単結晶の成長方法を提供しようと
するものである。 【構成】 封管の一端に結晶原料を真空封入し、昇華法
で結晶の精製を行うか、単結晶の成長を行う方法におい
て、封管の一方を延長して該延長部の端部を加熱炉の外
に残して該炉内に前記封管を配置し、炉内の第1の支点
と、炉外の第2の支点で封管を支持し、第2の支点にか
かる重量変化を測定して結晶化速度を測定する方法、前
記測定の結果に基づいて昇華温度及び/又は結晶化温度
を制御して結晶を精製するか、単結晶を成長する方法で
ある。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、昇華法における再結晶
化速度(生成結晶の重量増加速度)の測定方法、該測定
方法を用いた結晶の精製方法並びに単結晶の成長方法に
関し、特に、ZnSe、ZnS、CdTe、CdS等の
II-VI 族化合物半導体単結晶の成長に適した方法であ
る。
化速度(生成結晶の重量増加速度)の測定方法、該測定
方法を用いた結晶の精製方法並びに単結晶の成長方法に
関し、特に、ZnSe、ZnS、CdTe、CdS等の
II-VI 族化合物半導体単結晶の成長に適した方法であ
る。
【0002】
【従来の技術】封管を用いた気相法による結晶の精製や
単結晶の成長には、PVT(PhysicalVapour Transpor
t)法とCVT(Chemical Vapour Transport )法があ
り、近年、融液法での結晶成長が困難なZnSe等のII
-VI 族化合物半導体単結晶の成長に応用されている。
単結晶の成長には、PVT(PhysicalVapour Transpor
t)法とCVT(Chemical Vapour Transport )法があ
り、近年、融液法での結晶成長が困難なZnSe等のII
-VI 族化合物半導体単結晶の成長に応用されている。
【0003】PVT法によるZnSe単結晶の成長で
は、10mm角程度の大きな単結晶が得られている(JOUR
NAL OF CRYSTAL GROWTH 94 (1989) P1〜P5参照)。この
方法は、原料として5gのZnSe多結晶と、種結晶と
してZnSe単結晶を用い、直径20mm、長さ70mmの
石英封管の両端に配置して真空封入し、この石英封管を
電気炉にセットして多結晶原料を約1070℃に、種結
晶を約1060℃に加熱して種結晶上にZnSe単結晶
を成長させるものである。
は、10mm角程度の大きな単結晶が得られている(JOUR
NAL OF CRYSTAL GROWTH 94 (1989) P1〜P5参照)。この
方法は、原料として5gのZnSe多結晶と、種結晶と
してZnSe単結晶を用い、直径20mm、長さ70mmの
石英封管の両端に配置して真空封入し、この石英封管を
電気炉にセットして多結晶原料を約1070℃に、種結
晶を約1060℃に加熱して種結晶上にZnSe単結晶
を成長させるものである。
【0004】CVT法によるZnSe単結晶の成長で
は、14×14×20mmの大きさの単結晶が得られてい
る(JOURNAL OF CRYSTAL GROWTH 91 (1988) P639〜P646
参照)。この方法は、原料として10gのZnSe粉末
と、種結晶としてZnSe単結晶を用い、直径25mm、
長さ50mmの石英封管の両端に配置し、かつ、封管の内
容積1cm3 当たり5.4mgのヨウ素を真空封入し、この
石英封管を電気炉にセットして原料粉末を約850℃
に、種結晶を約840〜845℃に加熱して種結晶上に
ZnSe単結晶を成長させるものである。
は、14×14×20mmの大きさの単結晶が得られてい
る(JOURNAL OF CRYSTAL GROWTH 91 (1988) P639〜P646
参照)。この方法は、原料として10gのZnSe粉末
と、種結晶としてZnSe単結晶を用い、直径25mm、
長さ50mmの石英封管の両端に配置し、かつ、封管の内
容積1cm3 当たり5.4mgのヨウ素を真空封入し、この
石英封管を電気炉にセットして原料粉末を約850℃
に、種結晶を約840〜845℃に加熱して種結晶上に
ZnSe単結晶を成長させるものである。
【0005】PVT法とCVT法の違いは、PVT法で
は下記反応式(I)によって結晶成長が進むのに対し、
CVT法では石英封管中にヨウ素が存在するために、下
記反応式(II)によって結晶成長が進む。 ZnSe(s)→(←)Zn(g)+Se2 (g) (I) ZnSe(s)→(←)ZnI2 (g)+Se2 (g) (II)
は下記反応式(I)によって結晶成長が進むのに対し、
CVT法では石英封管中にヨウ素が存在するために、下
記反応式(II)によって結晶成長が進む。 ZnSe(s)→(←)Zn(g)+Se2 (g) (I) ZnSe(s)→(←)ZnI2 (g)+Se2 (g) (II)
【0006】PVT法やCVT法で単結晶を成長すると
きに、生産性を考慮すると成長速度をできるだけ速くす
る必要があるが、成長速度がある値を越えると多結晶化
する(上記文献参照)。そこで、多結晶化を回避しなが
ら高い成長速度を維持するためには、成長速度の測定を
欠かすことができない。しかし、PVT法やCVT法の
ように封管中で結晶を成長する方法においては、成長過
程において成長速度を測定することは従来できなかっ
た。そのため、成長終了後に封管を取り出すまで単結晶
が成長しているか、多結晶化しているか分からなかっ
た。また、結晶原料を精製する場合においても、精製終
了時を見積もることができないので、必要以上に長い時
間精製を続けざるを得ず、生産性が著しく損なわれてい
た。
きに、生産性を考慮すると成長速度をできるだけ速くす
る必要があるが、成長速度がある値を越えると多結晶化
する(上記文献参照)。そこで、多結晶化を回避しなが
ら高い成長速度を維持するためには、成長速度の測定を
欠かすことができない。しかし、PVT法やCVT法の
ように封管中で結晶を成長する方法においては、成長過
程において成長速度を測定することは従来できなかっ
た。そのため、成長終了後に封管を取り出すまで単結晶
が成長しているか、多結晶化しているか分からなかっ
た。また、結晶原料を精製する場合においても、精製終
了時を見積もることができないので、必要以上に長い時
間精製を続けざるを得ず、生産性が著しく損なわれてい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、昇
華法の実施中の結晶化速度を測定する方法を提供し、か
つ、その測定方法を利用して結晶の精製、並びに、単結
晶の成長を安定にかつ効率的に実施することができる結
晶の精製方法、並びに、単結晶の成長方法を提供しよう
とするものである。
華法の実施中の結晶化速度を測定する方法を提供し、か
つ、その測定方法を利用して結晶の精製、並びに、単結
晶の成長を安定にかつ効率的に実施することができる結
晶の精製方法、並びに、単結晶の成長方法を提供しよう
とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の構成を
採用することにより、上記の発明の課題の解決に成功し
たものである。 (1) 封管の一端に結晶原料を真空封入し、前記一端を結
晶原料の昇華温度に加熱し、他端を結晶化温度に保持す
る昇華法における結晶化速度の測定方法において、封管
の少なくとも一方を延長して前記延長部の端部を加熱炉
の外に残して該炉内に前記封管を配置し、前記炉内の第
1の支点と、前記炉外の第2の支点で前記封管を支持
し、第2の支点にかかる重量変化を測定することを特徴
とする結晶化速度の測定方法。
採用することにより、上記の発明の課題の解決に成功し
たものである。 (1) 封管の一端に結晶原料を真空封入し、前記一端を結
晶原料の昇華温度に加熱し、他端を結晶化温度に保持す
る昇華法における結晶化速度の測定方法において、封管
の少なくとも一方を延長して前記延長部の端部を加熱炉
の外に残して該炉内に前記封管を配置し、前記炉内の第
1の支点と、前記炉外の第2の支点で前記封管を支持
し、第2の支点にかかる重量変化を測定することを特徴
とする結晶化速度の測定方法。
【0009】(2) 封管の一端に結晶原料を真空封入し、
前記一端を結晶原料の昇華温度に加熱し、他端を結晶化
温度に保持する昇華法により結晶を精製する方法におい
て、封管の少なくとも一方を延長して前記延長部の端部
を加熱炉の外に残して該炉内に前記封管を配置し、前記
炉内の第1の支点と、前記炉外の第2の支点で前記封管
を支持し、第2の支点にかかる重量変化を測定し、その
測定結果に基づいて前記昇華温度及び/又は結晶化温度
を制御することを特徴とする結晶の精製方法。
前記一端を結晶原料の昇華温度に加熱し、他端を結晶化
温度に保持する昇華法により結晶を精製する方法におい
て、封管の少なくとも一方を延長して前記延長部の端部
を加熱炉の外に残して該炉内に前記封管を配置し、前記
炉内の第1の支点と、前記炉外の第2の支点で前記封管
を支持し、第2の支点にかかる重量変化を測定し、その
測定結果に基づいて前記昇華温度及び/又は結晶化温度
を制御することを特徴とする結晶の精製方法。
【0010】(3) 上記(2) 記載の結晶の精製方法におい
て、結晶原料を配置する封管の端部に細管を接続し、該
細管の端部に前記結晶の構成元素を封入し、該元素の加
熱温度を調節して結晶化速度を制御することを特徴とす
る結晶の精製方法。
て、結晶原料を配置する封管の端部に細管を接続し、該
細管の端部に前記結晶の構成元素を封入し、該元素の加
熱温度を調節して結晶化速度を制御することを特徴とす
る結晶の精製方法。
【0011】(4) 封管の一端に結晶原料を真空封入し、
前記一端を結晶原料の昇華温度に加熱し、他端を結晶化
温度に保持する昇華法により単結晶を成長する方法にお
いて、封管の少なくとも一方を延長して前記延長部の端
部を加熱炉の外に残して該炉内に前記封管を配置し、前
記炉内の第1の支点と、前記炉外の第2の支点で前記封
管を支持し、第2の支点にかかる重量変化を測定し、そ
の測定結果に基づいて前記昇華温度及び/又は結晶化温
度を制御することを特徴とする単結晶の成長方法。
前記一端を結晶原料の昇華温度に加熱し、他端を結晶化
温度に保持する昇華法により単結晶を成長する方法にお
いて、封管の少なくとも一方を延長して前記延長部の端
部を加熱炉の外に残して該炉内に前記封管を配置し、前
記炉内の第1の支点と、前記炉外の第2の支点で前記封
管を支持し、第2の支点にかかる重量変化を測定し、そ
の測定結果に基づいて前記昇華温度及び/又は結晶化温
度を制御することを特徴とする単結晶の成長方法。
【0012】(5) 封管の一端に結晶原料を真空封入し、
前記一端を結晶原料の昇華温度に加熱し、他端を結晶化
温度に保持する昇華法により単結晶を成長する方法にお
いて、封管の他端の形状を円錐形となし、封管の少なく
とも一方を延長して前記延長部の端部を加熱炉の外に残
して該炉内に前記封管を配置し、前記炉内の第1の支点
と、前記炉外の第2の支点で前記封管を支持し、第2の
支点にかかる重量変化を測定し、その測定結果に基づい
て封管全体の温度分布を保持したまま全体の温度を上下
に制御するか、前記昇華温度及び/又は結晶化温度を制
御して結晶を成長させることを特徴とする単結晶の成長
方法。
前記一端を結晶原料の昇華温度に加熱し、他端を結晶化
温度に保持する昇華法により単結晶を成長する方法にお
いて、封管の他端の形状を円錐形となし、封管の少なく
とも一方を延長して前記延長部の端部を加熱炉の外に残
して該炉内に前記封管を配置し、前記炉内の第1の支点
と、前記炉外の第2の支点で前記封管を支持し、第2の
支点にかかる重量変化を測定し、その測定結果に基づい
て封管全体の温度分布を保持したまま全体の温度を上下
に制御するか、前記昇華温度及び/又は結晶化温度を制
御して結晶を成長させることを特徴とする単結晶の成長
方法。
【0013】(6) 上記(5) 記載の単結晶の成長方法にお
いて、封管の円錐形端部の先端に種結晶を配置すること
を特徴とする単結晶の成長方法。
いて、封管の円錐形端部の先端に種結晶を配置すること
を特徴とする単結晶の成長方法。
【0014】(7) 上記(4) 〜(6) のいずれか1つ記載の
単結晶の成長方法において、結晶原料を配置する封管の
端部に細管を接続し、該細管の端部に前記結晶の構成元
素を封入し、該元素の加熱温度を調節して結晶化速度を
制御することを特徴とする単結晶の成長方法。
単結晶の成長方法において、結晶原料を配置する封管の
端部に細管を接続し、該細管の端部に前記結晶の構成元
素を封入し、該元素の加熱温度を調節して結晶化速度を
制御することを特徴とする単結晶の成長方法。
【0015】(8) 上記(4) 〜(7) のいずれか1つに記載
の単結晶の成長方法において、単位時間に成長表面が移
動する量を一定にするように、前記結晶化速度を制御す
ることを特徴とする単結晶の成長方法。
の単結晶の成長方法において、単位時間に成長表面が移
動する量を一定にするように、前記結晶化速度を制御す
ることを特徴とする単結晶の成長方法。
【0016】(9) 上記(4) 〜(8) のいずれか1つに記載
の単結晶の成長方法において、単結晶の成長開始前に、
種結晶側の温度を結晶原料側の温度より高くして種結晶
を所定量だけ昇華した後、種結晶側の温度を結晶原料側
の温度より低くして結晶成長を開始することを特徴とす
る単結晶の成長方法。
の単結晶の成長方法において、単結晶の成長開始前に、
種結晶側の温度を結晶原料側の温度より高くして種結晶
を所定量だけ昇華した後、種結晶側の温度を結晶原料側
の温度より低くして結晶成長を開始することを特徴とす
る単結晶の成長方法。
【0017】(10)上記(4) 〜(9) のいずれか1つに記載
の単結晶の成長方法において、上記(2) 記載の結晶の精
製方法で精製された結晶を原料にして結晶成長を行うこ
とを特徴とする単結晶の成長方法。
の単結晶の成長方法において、上記(2) 記載の結晶の精
製方法で精製された結晶を原料にして結晶成長を行うこ
とを特徴とする単結晶の成長方法。
【0018】(11)上記(4) 〜(10)のいずれか1つに記載
の単結晶の成長方法において、結晶原料としてZnSe
多結晶を用いてZnSe単結晶を成長する方法。
の単結晶の成長方法において、結晶原料としてZnSe
多結晶を用いてZnSe単結晶を成長する方法。
【0019】(12)上記(11)記載の単結晶の成長方法にお
いて、粉末状のZnSe多結晶を真空中で500℃以上
の温度で1時間以上加熱した結晶原料を用いることを特
徴とする単結晶の成長方法。
いて、粉末状のZnSe多結晶を真空中で500℃以上
の温度で1時間以上加熱した結晶原料を用いることを特
徴とする単結晶の成長方法。
【0020】(13)上記(11)記載の単結晶の成長方法にお
いて、セレン化水素と亜鉛蒸気を500℃以上の温度で
反応させたZnSe多結晶を結晶原料を用いることを特
徴とする単結晶の成長方法。
いて、セレン化水素と亜鉛蒸気を500℃以上の温度で
反応させたZnSe多結晶を結晶原料を用いることを特
徴とする単結晶の成長方法。
【0021】
【作用】本発明の結晶化速度の測定方法は、図1に示す
ように、一端を閉じた管の端部に原料を配置し、封入蓋
で封管を形成した後、図2のように、加熱炉に挿入して
管の中間部を支点1で回転可能に支持し、炉外に延びた
管の端部を支点2とし、重量測定手段で支持し、原料を
加熱昇華し、封入蓋側の低温部分に結晶を析出させる。
その際に、原料の昇華に伴う減量と、結晶析出に伴う増
量により支点2に加わる重量が変化するので、重心位置
の変化を測定し、この変化により結晶化速度を算出する
ものである。
ように、一端を閉じた管の端部に原料を配置し、封入蓋
で封管を形成した後、図2のように、加熱炉に挿入して
管の中間部を支点1で回転可能に支持し、炉外に延びた
管の端部を支点2とし、重量測定手段で支持し、原料を
加熱昇華し、封入蓋側の低温部分に結晶を析出させる。
その際に、原料の昇華に伴う減量と、結晶析出に伴う増
量により支点2に加わる重量が変化するので、重心位置
の変化を測定し、この変化により結晶化速度を算出する
ものである。
【0022】ここで、2つの支点間の距離をL1 、原料
と結晶の析出位置の間の距離をL2とし、原料がW(g)
だけ昇華して高温側から低温側に移行して析出したとす
ると、支点2にかかる重量の変化はW×L2 /L1 (g)
となる。したがって、結晶化速度の測定感度を向上させ
るためには、L1 /L2 の値を小さくすればよく、少な
くともL1 /L2 を1以下にすることが望ましい。な
お、L1 /L2 =1とは、重量変化が析出結晶の重量に
等しくなるときである。
と結晶の析出位置の間の距離をL2とし、原料がW(g)
だけ昇華して高温側から低温側に移行して析出したとす
ると、支点2にかかる重量の変化はW×L2 /L1 (g)
となる。したがって、結晶化速度の測定感度を向上させ
るためには、L1 /L2 の値を小さくすればよく、少な
くともL1 /L2 を1以下にすることが望ましい。な
お、L1 /L2 =1とは、重量変化が析出結晶の重量に
等しくなるときである。
【0023】PVT法やPCT法により結晶を精製した
り、単結晶を成長させる速度は、封管全体の温度と、結
晶原料側と析出結晶側(封管中の最低温度部)の温度差
(以下、ΔTという)により変化する。そこで、本発明
の結晶の精製方法又は単結晶の成長方法では、前記の結
晶化速度の測定値により、封管全体の温度を上下させた
り、ΔTを調整することにより、結晶化速度の最適化制
御を行う。
り、単結晶を成長させる速度は、封管全体の温度と、結
晶原料側と析出結晶側(封管中の最低温度部)の温度差
(以下、ΔTという)により変化する。そこで、本発明
の結晶の精製方法又は単結晶の成長方法では、前記の結
晶化速度の測定値により、封管全体の温度を上下させた
り、ΔTを調整することにより、結晶化速度の最適化制
御を行う。
【0024】また、図3のように、結晶原料を配置する
封管の端部に細管を接続し、該細管の端部に前記結晶の
構成元素を封入し、該元素の加熱温度を調節して封管内
の該元素の蒸気圧を制御することにより、結晶化速度を
調節することができる。したがって、この方法は、前記
の結晶化速度の最適化制御法に組み合わせて使用するこ
とができる。このような結晶化速度の最適化制御法を、
PVT法やCVT法での結晶成長法に利用すれば、単結
晶の成長がより確実に効率的に行うことができる。
封管の端部に細管を接続し、該細管の端部に前記結晶の
構成元素を封入し、該元素の加熱温度を調節して封管内
の該元素の蒸気圧を制御することにより、結晶化速度を
調節することができる。したがって、この方法は、前記
の結晶化速度の最適化制御法に組み合わせて使用するこ
とができる。このような結晶化速度の最適化制御法を、
PVT法やCVT法での結晶成長法に利用すれば、単結
晶の成長がより確実に効率的に行うことができる。
【0025】一方、単結晶の成長において、封管の端部
に結晶が析出するときに、核発生の個数を極力少なくす
ることが大切である。(核発生個数が1であることが理
想である。)図4では、封管を形成するための封入蓋を
円錐形にすることにより、多数の核発生を抑制しようと
するものである。また、図5では、図4の円錐形の先端
部に種結晶を配置して単結晶の成長を容易にしようとす
るものである。
に結晶が析出するときに、核発生の個数を極力少なくす
ることが大切である。(核発生個数が1であることが理
想である。)図4では、封管を形成するための封入蓋を
円錐形にすることにより、多数の核発生を抑制しようと
するものである。また、図5では、図4の円錐形の先端
部に種結晶を配置して単結晶の成長を容易にしようとす
るものである。
【0026】なお、前記の円錐形の封入蓋を用い、結晶
化速度(生成結晶の重量増加速度)を一定にして結晶成
長を行うと、成長初期において成長結晶表面の移動速度
が速くなりすぎて多結晶が発生し易くなる。そこで、成
長結晶表面の移動速度を一定になるように円錐形の形状
に合わせて結晶化速度を制御することが大切である。
化速度(生成結晶の重量増加速度)を一定にして結晶成
長を行うと、成長初期において成長結晶表面の移動速度
が速くなりすぎて多結晶が発生し易くなる。そこで、成
長結晶表面の移動速度を一定になるように円錐形の形状
に合わせて結晶化速度を制御することが大切である。
【0027】種結晶を使用するときには、成長開始前に
種結晶の温度を結晶原料側より高温にして種結晶の表面
層を昇華させて除去することが、多結晶化を防止する上
で重要である。従来は、表面層の除去量を測定すること
ができなかったので、表面層の除去及び単結晶化の再現
性が乏しかったが、本発明の結晶化速度の測定方法を利
用することにより、表面層の除去量を容易にかつ正確に
測定することができるので、所定量だけ種結晶の表面を
除去した後、温度条件を変更して結晶成長を開始するこ
とも容易になり、単結晶成長の再現性が向上した。
種結晶の温度を結晶原料側より高温にして種結晶の表面
層を昇華させて除去することが、多結晶化を防止する上
で重要である。従来は、表面層の除去量を測定すること
ができなかったので、表面層の除去及び単結晶化の再現
性が乏しかったが、本発明の結晶化速度の測定方法を利
用することにより、表面層の除去量を容易にかつ正確に
測定することができるので、所定量だけ種結晶の表面を
除去した後、温度条件を変更して結晶成長を開始するこ
とも容易になり、単結晶成長の再現性が向上した。
【0028】また、PVT法やCVT法で単結晶等を成
長するときに、成長速度が大きくばらつく原因の1つと
して、原料の多結晶組成(ZnSe多結晶におけるZn
とSeの比)のばらつきにあると考えられている。原料
組成のばらつきが大きすぎると、温度条件を制御するだ
けでは成長速度を所定の速さに制御することができな
い。
長するときに、成長速度が大きくばらつく原因の1つと
して、原料の多結晶組成(ZnSe多結晶におけるZn
とSeの比)のばらつきにあると考えられている。原料
組成のばらつきが大きすぎると、温度条件を制御するだ
けでは成長速度を所定の速さに制御することができな
い。
【0029】そこで、本発明では、多結晶原料を予め
高温に加熱して昇華させ、再結晶化させた多結晶原料を
使用するか、多結晶を予め粉末に粉砕した後、この粉
末を真空中で、ZnSe結晶においては500℃以上、
1時間以上加熱し、原料として使用するか、ZnSe
結晶においてはセレン化水素と亜鉛蒸気を500℃以上
の温度で反応させて合成したZnSe多結晶を原料とし
て使用することにより、組成ばらつきの少ない原料から
の結晶成長を可能にし、成長速度の制御をより正確に行
うことができる。前記の方法は、ZnSe結晶の精製や
単結晶の成長に限らず、ZnS、CdTe、CdS等の
II-VI 族化合物半導体の成長に対しても有効に適用する
ことができる。
高温に加熱して昇華させ、再結晶化させた多結晶原料を
使用するか、多結晶を予め粉末に粉砕した後、この粉
末を真空中で、ZnSe結晶においては500℃以上、
1時間以上加熱し、原料として使用するか、ZnSe
結晶においてはセレン化水素と亜鉛蒸気を500℃以上
の温度で反応させて合成したZnSe多結晶を原料とし
て使用することにより、組成ばらつきの少ない原料から
の結晶成長を可能にし、成長速度の制御をより正確に行
うことができる。前記の方法は、ZnSe結晶の精製や
単結晶の成長に限らず、ZnS、CdTe、CdS等の
II-VI 族化合物半導体の成長に対しても有効に適用する
ことができる。
【0030】
〔実施例1〕図1に示すように、内径14mm、全長30
cmの石英管の端部に約5gのZnSe多結晶原料を充填
し、10-6Torrまで排気した後封入蓋を挿入し、原料と
封入蓋の間隔を10cmになるように真空封入をした。Z
nSe多結晶原料は、内面をカーボンコーティングした
石英封管中でZnとSeを加熱反応させて合成し、適当
の大きさにスライスした後、沸騰NaOH溶液で10分
間エッチングしたものを使用した。前記封管を、図2に
示すように、水平管状電気炉内に挿入し、該電気炉のア
ルミナ製炉芯管(内径30mm)内部に配置した支点1
と、電気炉外の支点2で支持した。支点1は、図6に示
すように内側を鋭角に加工したアルミナ製リングを使用
した。支点2には、重量変化を1mmgの測定精度で測定
可能な電子天秤を付設した。
cmの石英管の端部に約5gのZnSe多結晶原料を充填
し、10-6Torrまで排気した後封入蓋を挿入し、原料と
封入蓋の間隔を10cmになるように真空封入をした。Z
nSe多結晶原料は、内面をカーボンコーティングした
石英封管中でZnとSeを加熱反応させて合成し、適当
の大きさにスライスした後、沸騰NaOH溶液で10分
間エッチングしたものを使用した。前記封管を、図2に
示すように、水平管状電気炉内に挿入し、該電気炉のア
ルミナ製炉芯管(内径30mm)内部に配置した支点1
と、電気炉外の支点2で支持した。支点1は、図6に示
すように内側を鋭角に加工したアルミナ製リングを使用
した。支点2には、重量変化を1mmgの測定精度で測定
可能な電子天秤を付設した。
【0031】電気炉の温度を上げて原料を約1020℃
に加熱して昇華させ、封入蓋の表面の温度(封管中の最
低温度部)を約1000℃に設定してZnSe結晶を析
出する精製実験を3回行い、その結果を図7に示した。
なお、前記の温度測定には、封管に触れないように炉芯
管内部を這わせた熱電対を使用した。精製物の重量は支
点2の重量を2倍(L1 /L2 =2をかける)したもの
である。図7より、各実験毎に精製物の重量が精製時間
に比例して増加している様子が分かる。最終的に封管か
ら取り出した精製ZnSeの重量を測定して生成途中の
測定値と比較すると、測定誤差が10%以下に抑えるら
れていた。
に加熱して昇華させ、封入蓋の表面の温度(封管中の最
低温度部)を約1000℃に設定してZnSe結晶を析
出する精製実験を3回行い、その結果を図7に示した。
なお、前記の温度測定には、封管に触れないように炉芯
管内部を這わせた熱電対を使用した。精製物の重量は支
点2の重量を2倍(L1 /L2 =2をかける)したもの
である。図7より、各実験毎に精製物の重量が精製時間
に比例して増加している様子が分かる。最終的に封管か
ら取り出した精製ZnSeの重量を測定して生成途中の
測定値と比較すると、測定誤差が10%以下に抑えるら
れていた。
【0032】〔実施例2〕実施例1で準備したものと同
様に原料を充填した封管を、図8のように炉の中に配置
した。支点1と支点2の間隔L1 を5cmに近づけた。こ
の場合、封管の重量の釣り合いから支点2が浮き上がる
のを防止するために、支点2に適当な重量の重りを取り
付けた。実施例1と同様に昇温して5日間精製を行っ
た。5日後に封管から取り出した精製ZnSeの量は
2.20gであった。一方、精製中に測定した重量に
0.5(L1 /L2 =0.5)を掛けて算出した精製物
の重量は2.39gであり、実施例1と同じように10
%以内の誤差であった。なお、実施例1では実際に精製
されたZnSe重量の1/2の重量が支点2で測定され
たのに対し、実施例2では2倍の重量が測定されてお
り、感度が4倍に向上した。
様に原料を充填した封管を、図8のように炉の中に配置
した。支点1と支点2の間隔L1 を5cmに近づけた。こ
の場合、封管の重量の釣り合いから支点2が浮き上がる
のを防止するために、支点2に適当な重量の重りを取り
付けた。実施例1と同様に昇温して5日間精製を行っ
た。5日後に封管から取り出した精製ZnSeの量は
2.20gであった。一方、精製中に測定した重量に
0.5(L1 /L2 =0.5)を掛けて算出した精製物
の重量は2.39gであり、実施例1と同じように10
%以内の誤差であった。なお、実施例1では実際に精製
されたZnSe重量の1/2の重量が支点2で測定され
たのに対し、実施例2では2倍の重量が測定されてお
り、感度が4倍に向上した。
【0033】〔実施例3〕実施例2の方法で原料を精製
する際に、1日毎に精製速度を測定・算出し、現実の精
製速度を0.5g/日に保持するように、ΔTを一定に
保持しながら、封管全体の温度を上下して制御すること
を試みた。図9には、封管蓋側の温度を表示してある
が、ΔTを一定にするため、原料側の温度も封管蓋側の
温度も同じだけ温度を上下させた。その結果を図9に示
したように、精製速度をほぼ0.5g/日に保持するこ
とに成功した。なお、成長炉の温度を変化させると、封
管が伸縮するために、支点2で測定する重量が変化する
ので、成長炉の温度を変化させたときには、温度が安定
した後(30分間後)の重量を基準にして重量の変化を
算出した。したがって、温度を変化させた後の30分間
の重量変化は測定することができないが、成長速度の測
定間隔が1日であるところから問題にならなかった。
する際に、1日毎に精製速度を測定・算出し、現実の精
製速度を0.5g/日に保持するように、ΔTを一定に
保持しながら、封管全体の温度を上下して制御すること
を試みた。図9には、封管蓋側の温度を表示してある
が、ΔTを一定にするため、原料側の温度も封管蓋側の
温度も同じだけ温度を上下させた。その結果を図9に示
したように、精製速度をほぼ0.5g/日に保持するこ
とに成功した。なお、成長炉の温度を変化させると、封
管が伸縮するために、支点2で測定する重量が変化する
ので、成長炉の温度を変化させたときには、温度が安定
した後(30分間後)の重量を基準にして重量の変化を
算出した。したがって、温度を変化させた後の30分間
の重量変化は測定することができないが、成長速度の測
定間隔が1日であるところから問題にならなかった。
【0034】〔実施例4〕実施例2の方法で原料精製を
行うときに、1日毎に精製速度を算出し、現実の精製速
度を0.5g/日に保持するように、原料側の温度を一
定にし、封管蓋側の温度を上下に調節した。その結果を
図10に示した。同図から明らかなように、現実の精製
速度をほぼ0.5g/日に制御することに成功した。こ
のときも実施例3と同様に、温度を変化させた30分後
の重量を基準にして精製速度の算出を行った。
行うときに、1日毎に精製速度を算出し、現実の精製速
度を0.5g/日に保持するように、原料側の温度を一
定にし、封管蓋側の温度を上下に調節した。その結果を
図10に示した。同図から明らかなように、現実の精製
速度をほぼ0.5g/日に制御することに成功した。こ
のときも実施例3と同様に、温度を変化させた30分後
の重量を基準にして精製速度の算出を行った。
【0035】〔実施例5〕図3に示した内径14mmの封
管の原料側に、内径1.5mmの細管を50cm延長し、そ
の先端にZnを約1g充填し、その他の条件は実施例1
と同様にして用意した封管を、図11に示すように、支
点1と支点2の間を5cmになるように炉内に配置した。
炉の温度を上げて、原料の温度を1020℃に、封管蓋
の先端温度を1000℃に、細管先端のZnの温度を5
00℃に設定した。その後、図12に示すように、Zn
の温度を上下させることにより、精製速度を0.5g/
日に制御することに成功した。
管の原料側に、内径1.5mmの細管を50cm延長し、そ
の先端にZnを約1g充填し、その他の条件は実施例1
と同様にして用意した封管を、図11に示すように、支
点1と支点2の間を5cmになるように炉内に配置した。
炉の温度を上げて、原料の温度を1020℃に、封管蓋
の先端温度を1000℃に、細管先端のZnの温度を5
00℃に設定した。その後、図12に示すように、Zn
の温度を上下させることにより、精製速度を0.5g/
日に制御することに成功した。
【0036】〔実施例6〕実施例4で使用した封管の代
わりに、図4に示すように、封管蓋を円錐形にして単結
晶の成長を試みた。結晶成長中の成長速度を0.5g/
日になるように、実施例4と同様に6時間毎にΔTを制
御して2週間にわたって結晶成長を行ったところ、約7
gのZnSe結晶を得た。同様の結晶成長を10回行っ
た結果を表1に示した。10ラン中2ランでは、円錐形
先端では数グレインが存在していたが、そのうちの1グ
レインが大きく成長して単結晶が形成された。また、4
ランでは比較的大きなグレインが得られた。しかし、1
ランでは、ΔTを50℃まで高めても成長速度が0.5
g/日に達しなかった。
わりに、図4に示すように、封管蓋を円錐形にして単結
晶の成長を試みた。結晶成長中の成長速度を0.5g/
日になるように、実施例4と同様に6時間毎にΔTを制
御して2週間にわたって結晶成長を行ったところ、約7
gのZnSe結晶を得た。同様の結晶成長を10回行っ
た結果を表1に示した。10ラン中2ランでは、円錐形
先端では数グレインが存在していたが、そのうちの1グ
レインが大きく成長して単結晶が形成された。また、4
ランでは比較的大きなグレインが得られた。しかし、1
ランでは、ΔTを50℃まで高めても成長速度が0.5
g/日に達しなかった。
【0037】
【表1】
【0038】〔実施例7〕実施例6において、ΔTを制
御して成長速度を制御する代わりに、実施例5に示した
細管付き封管を使用し、実施例5と同様に細管先端にZ
nを1g充填し、結晶成長中にこのZnの温度を制御す
ることによって成長速度を0.5g/日に制御して、結
晶を10回成長させた。その結果、表2に示すように実
施例6とほぼ同じ結果を得ることができた。
御して成長速度を制御する代わりに、実施例5に示した
細管付き封管を使用し、実施例5と同様に細管先端にZ
nを1g充填し、結晶成長中にこのZnの温度を制御す
ることによって成長速度を0.5g/日に制御して、結
晶を10回成長させた。その結果、表2に示すように実
施例6とほぼ同じ結果を得ることができた。
【0039】
【表2】
【0040】〔実施例8〕実施例6の単結晶の成長にお
いて、図5に示すように、円錐形の封管蓋の先端にZn
Se種結晶を配置して単結晶の成長を行った。ZnSe
種結晶は、実施例6で得た単結晶ZnSeから厚さ1mm
で5mm角の(100)ウエハを切り出して粒径0.5μ
m のダイヤモンド・スラリーで表面を研磨した後、沸騰
NaOH溶液で5分間エッチングしたものを用いた。結
晶成長中の成長速度は0.5g/日になるように、実施
例6と同様に6時間毎にΔTを制御して2週間にわたっ
て結晶成長を行った。この結晶成長を10回行った結果
を表3に示した。10ラン中5ランで単結晶が成長した
が、実施例6と同様に成長速度が0.5g/日に達しな
い例が2ランあった。
いて、図5に示すように、円錐形の封管蓋の先端にZn
Se種結晶を配置して単結晶の成長を行った。ZnSe
種結晶は、実施例6で得た単結晶ZnSeから厚さ1mm
で5mm角の(100)ウエハを切り出して粒径0.5μ
m のダイヤモンド・スラリーで表面を研磨した後、沸騰
NaOH溶液で5分間エッチングしたものを用いた。結
晶成長中の成長速度は0.5g/日になるように、実施
例6と同様に6時間毎にΔTを制御して2週間にわたっ
て結晶成長を行った。この結晶成長を10回行った結果
を表3に示した。10ラン中5ランで単結晶が成長した
が、実施例6と同様に成長速度が0.5g/日に達しな
い例が2ランあった。
【0041】
【表3】
【0042】〔実施例9〕実施例6、8では、単位時間
に成長する結晶の重量(以下、重量成長速度という)を
一定になるように制御したので、種結晶近傍の封管蓋円
錐形部の断面積が小さい部分では、単位時間に成長表面
の移動量(以下、成長速度という)が大きくなる。そこ
で、実施例8で使用した封管を使用するが、成長速度が
1mm/日になるように重量成長速度を図13の実線に沿
うように制御しながら、2週間にわたって結晶成長を行
った。重量成長速度の制御はΔTを変化させることによ
って行った。この結晶成長を10回行った結果を表4に
示した。10ラン中8ランで単結晶を成長させることが
でき、多結晶が生成したのは1回、成長しなかったのが
1回でけあった。
に成長する結晶の重量(以下、重量成長速度という)を
一定になるように制御したので、種結晶近傍の封管蓋円
錐形部の断面積が小さい部分では、単位時間に成長表面
の移動量(以下、成長速度という)が大きくなる。そこ
で、実施例8で使用した封管を使用するが、成長速度が
1mm/日になるように重量成長速度を図13の実線に沿
うように制御しながら、2週間にわたって結晶成長を行
った。重量成長速度の制御はΔTを変化させることによ
って行った。この結晶成長を10回行った結果を表4に
示した。10ラン中8ランで単結晶を成長させることが
でき、多結晶が生成したのは1回、成長しなかったのが
1回でけあった。
【0043】
【表4】
【0044】〔実施例10〕実施例9の結晶成長におい
て、結晶成長前に原料側の温度を1020℃に、種結晶
側の温度を1040℃に設定して種結晶を50mg(厚さ
約80μm に相当)だけ昇華させた後、種結晶側の温度
を1000℃に下げて結晶成長を開始し、その後は実施
例9と同様にして結晶成長を行った。この結晶成長を1
0回行った結果、表5に示すように、2回結晶が成長し
ない例があったが、残りの8回は全て単結晶を得ること
ができた。
て、結晶成長前に原料側の温度を1020℃に、種結晶
側の温度を1040℃に設定して種結晶を50mg(厚さ
約80μm に相当)だけ昇華させた後、種結晶側の温度
を1000℃に下げて結晶成長を開始し、その後は実施
例9と同様にして結晶成長を行った。この結晶成長を1
0回行った結果、表5に示すように、2回結晶が成長し
ない例があったが、残りの8回は全て単結晶を得ること
ができた。
【0045】
【表5】
【0046】〔実施例11〕実施例1〜10では原料Z
nSe多結晶としてZnとSeを加熱反応させて合成し
たものを使用したが、この実施例では、上記のZnSe
多結晶を実施例4の方法で昇華・再結晶化させたものを
原料として使用して実施例10と同様に結晶成長を10
回行った。その結果、結晶が成長しない例は1度もな
く、10回全てにおいて単結晶の成長に成功した。
nSe多結晶としてZnとSeを加熱反応させて合成し
たものを使用したが、この実施例では、上記のZnSe
多結晶を実施例4の方法で昇華・再結晶化させたものを
原料として使用して実施例10と同様に結晶成長を10
回行った。その結果、結晶が成長しない例は1度もな
く、10回全てにおいて単結晶の成長に成功した。
【0047】〔実施例12〕ZnとSeを加熱反応させ
て合成したZnSe多結晶を粉末状に粉砕し、この粉末
を真空中で500℃の温度で1時間加熱したものを使用
して実施例10と同様に結晶成長を10回行った。その
結果、結晶が成長しない例は1度もなく、10回全てに
おいて単結晶の成長に成功した。
て合成したZnSe多結晶を粉末状に粉砕し、この粉末
を真空中で500℃の温度で1時間加熱したものを使用
して実施例10と同様に結晶成長を10回行った。その
結果、結晶が成長しない例は1度もなく、10回全てに
おいて単結晶の成長に成功した。
【0048】〔実施例13〕セレン化水素と亜鉛蒸気を
500℃の温度で反応させ合成したZnSe多結晶を原
料として使用し、実施例10と同様に結晶成長を10回
行った。その結果、結晶が成長しない例は1度もなく、
10回全てにおいて単結晶の成長に成功した。
500℃の温度で反応させ合成したZnSe多結晶を原
料として使用し、実施例10と同様に結晶成長を10回
行った。その結果、結晶が成長しない例は1度もなく、
10回全てにおいて単結晶の成長に成功した。
【0049】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を採用することに
より、昇華法での結晶精製又は単結晶の成長の過程にお
いても、結晶化速度を測定することが可能となり、結晶
化速度の最適制御が容易になり、再現性良くZnSe単
結晶を成長させることができるようになった。
より、昇華法での結晶精製又は単結晶の成長の過程にお
いても、結晶化速度を測定することが可能となり、結晶
化速度の最適制御が容易になり、再現性良くZnSe単
結晶を成長させることができるようになった。
【図1】実施例1で使用した封管の断面図である。
【図2】図1の封管を水平管状電気炉のアルミナ製炉芯
管内に配置した図である。
管内に配置した図である。
【図3】実施例5で使用した封管の断面図である。
【図4】実施例6で使用した封管の断面図であり、封管
蓋を円錐形にしたものである。
蓋を円錐形にしたものである。
【図5】実施例8で使用した封管の断面図であり、図6
の封管の円錐形の封管蓋先端に種結晶を配置したもので
ある。
の封管の円錐形の封管蓋先端に種結晶を配置したもので
ある。
【図6】電気炉の炉芯管内の支点1に使用する、内側を
鋭角に加工したアルミナ製リングの正面図と側面図であ
る。
鋭角に加工したアルミナ製リングの正面図と側面図であ
る。
【図7】実施例1における精製時間と精製物重量の増加
の関係を示したグラフである。
の関係を示したグラフである。
【図8】実施例2において、封管を水平管状電気炉のア
ルミナ製炉芯管内に配置した図である。
ルミナ製炉芯管内に配置した図である。
【図9】実施例3における精製時間と精製物重量の増加
の関係を示したグラフである。
の関係を示したグラフである。
【図10】実施例4における精製時間と精製物重量の増
加の関係を示したグラフである。
加の関係を示したグラフである。
【図11】実施例5で使用した封管を水平管状電気炉の
アルミナ製炉芯管内に配置した図である。
アルミナ製炉芯管内に配置した図である。
【図12】実施例5における精製時間と、Znの温度並
びに精製速度の関係を示したグラフである。
びに精製速度の関係を示したグラフである。
【図13】実施例9において、精製時間と精製物重量及
び目標重量の関係を示したグラフである。
び目標重量の関係を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/363 9545−4M
Claims (13)
- 【請求項1】 封管の一端に結晶原料を真空封入し、前
記一端を結晶原料の昇華温度に加熱し、他端を結晶化温
度に保持する昇華法における結晶化速度の測定方法にお
いて、封管の少なくとも一方を延長して前記延長部の端
部を加熱炉の外に残して該炉内に前記封管を配置し、前
記炉内の第1の支点と、前記炉外の第2の支点で前記封
管を支持し、第2の支点にかかる重量変化を測定するこ
とを特徴とする結晶化速度の測定方法。 - 【請求項2】 封管の一端に結晶原料を真空封入し、前
記一端を結晶原料の昇華温度に加熱し、他端を結晶化温
度に保持する昇華法により結晶を精製する方法におい
て、封管の少なくとも一方を延長して前記延長部の端部
を加熱炉の外に残して該炉内に前記封管を配置し、前記
炉内の第1の支点と、前記炉外の第2の支点で前記封管
を支持し、第2の支点にかかる重量変化を測定し、その
測定結果に基づいて前記昇華温度及び/又は結晶化温度
を制御することを特徴とする結晶の精製方法。 - 【請求項3】 請求項2記載の結晶の精製方法におい
て、結晶原料を配置する封管の端部に細管を接続し、該
細管の端部に前記結晶の構成元素を封入し、該元素の加
熱温度を調節して結晶化速度を制御することを特徴とす
る結晶の精製方法。 - 【請求項4】 封管の一端に結晶原料を真空封入し、前
記一端を結晶原料の昇華温度に加熱し、他端を結晶化温
度に保持する昇華法により単結晶を成長する方法におい
て、封管の少なくとも一方を延長して前記延長部の端部
を加熱炉の外に残して該炉内に前記封管を配置し、前記
炉内の第1の支点と、前記炉外の第2の支点で前記封管
を支持し、第2の支点にかかる重量変化を測定し、その
測定結果に基づいて前記昇華温度及び/又は結晶化温度
を制御することを特徴とする単結晶の成長方法。 - 【請求項5】 封管の一端に結晶原料を真空封入し、前
記一端を結晶原料の昇華温度に加熱し、他端を結晶化温
度に保持する昇華法により単結晶を成長する方法におい
て、封管の他端の形状を円錐形となし、封管の少なくと
も一方を延長して前記延長部の端部を加熱炉の外に残し
て該炉内に前記封管を配置し、前記炉内の第1の支点
と、前記炉外の第2の支点で前記封管を支持し、第2の
支点にかかる重量変化を測定し、その測定結果に基づい
て封管全体の温度分布を保持したまま全体の温度を上下
に制御するか、前記昇華温度及び/又は結晶化温度を制
御して結晶を成長させることを特徴とする単結晶の成長
方法。 - 【請求項6】 請求項5記載の単結晶の成長方法におい
て、封管の円錐形端部の先端に種結晶を配置することを
特徴とする単結晶の成長方法。 - 【請求項7】 請求項4〜6のいずれか1項記載の単結
晶の成長方法において、結晶原料を配置する封管の端部
に細管を接続し、該細管の端部に前記結晶の構成元素を
封入し、該元素の加熱温度を調節して結晶化速度を制御
することを特徴とする単結晶の成長方法。 - 【請求項8】 請求項4〜7のいずれか1項に記載の単
結晶の成長方法において、単位時間に成長表面が移動す
る量を一定にするように、前記結晶化速度を制御するこ
とを特徴とする単結晶の成長方法。 - 【請求項9】 請求項4〜8のいずれか1項記載の単結
晶の成長方法において、単結晶の成長開始前に、種結晶
側の温度を結晶原料側の温度より高くして種結晶を所定
量だけ昇華した後、種結晶側の温度を結晶原料側の温度
より低くして結晶成長を開始することを特徴とする単結
晶の成長方法。 - 【請求項10】 請求項4〜9のいずれか1項に記載の
単結晶の成長方法において、請求項2記載の結晶の精製
方法で精製された結晶を原料にして結晶成長を行うこと
を特徴とする単結晶の成長方法。 - 【請求項11】 請求項4〜10のいずれか1項に記載
の単結晶の成長方法において、結晶原料としてZnSe
多結晶を用いてZnSe単結晶を成長する方法。 - 【請求項12】 請求項11記載の単結晶の成長方法に
おいて、粉末状のZnSe多結晶を真空中で500℃以
上の温度で1時間以上加熱した結晶原料を用いることを
特徴とする単結晶の成長方法。 - 【請求項13】 請求項11記載の単結晶の成長方法に
おいて、セレン化水素と亜鉛蒸気を500℃以上の温度
で反応させたZnSe多結晶を結晶原料を用いることを
特徴とする単結晶の成長方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6256828A JP2709272B2 (ja) | 1994-10-21 | 1994-10-21 | 昇華法における結晶化速度の測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6256828A JP2709272B2 (ja) | 1994-10-21 | 1994-10-21 | 昇華法における結晶化速度の測定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08119792A true JPH08119792A (ja) | 1996-05-14 |
JP2709272B2 JP2709272B2 (ja) | 1998-02-04 |
Family
ID=17297998
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6256828A Expired - Fee Related JP2709272B2 (ja) | 1994-10-21 | 1994-10-21 | 昇華法における結晶化速度の測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2709272B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001013054A (ja) * | 1999-06-29 | 2001-01-19 | Amersham Pharmacia Biotech Kk | 水晶発振子を用いた液滴中の溶質濃度測定方法 |
KR100473154B1 (ko) * | 2002-12-03 | 2005-03-10 | (주)그라쎌 | 경사가열식 진공 승화 정제 장치 및 그 방법 |
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