JPH08119723A - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JPH08119723A
JPH08119723A JP6284531A JP28453194A JPH08119723A JP H08119723 A JPH08119723 A JP H08119723A JP 6284531 A JP6284531 A JP 6284531A JP 28453194 A JP28453194 A JP 28453194A JP H08119723 A JPH08119723 A JP H08119723A
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oxide
sliding
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wear
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JP6284531A
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English (en)
Inventor
Yasuaki Unno
泰明 海野
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Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、低摩擦係数を有し且つ低摩耗量の
複合セラミックスから構成した摺動部材を提供すること
である。 【構成】 この摺動部材は、α−Al2 3 、Fe3
4 及びAlとFeを含む複合酸化物のうち少なくとも2
種以上が主成分であり、更に、Ti,Si,Laのうち
少なくとも1種以上の元素が存在する複合セラミックス
から構成されている。この摺動部材を構成する複合セラ
ミックスは、その気孔径が5μm以下の気孔が体積比に
して5%以下存在しており、Alの含有量がAl2 3
に換算して40〜80wt%、Feの含有量がFe3
4 に換算して10〜50wt%、及びTi,Si,La
の元素がTiO2 ,SiO2 又はLa2 3 に換算して
1〜10wt%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、低摩擦で且つ低摩耗
の複合セラミックスから構成されている摺動部材に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジン部品のうち、シリンダラ
イナ、ピストンリング等の摺動部材としては、鉄系材料
から構成されているものが使用されている。また、摺動
部材では、耐摩耗性が必要とされる部分にはAl
2 3 、Si3 4 等のセラミックスが使用されてい
る。また、セラミックスとして、焼結助剤のFe3 4
等のFeの酸化物を添加したSi3 4 は知られている
が、焼結助剤としてのFe3 4等の金属酸化物を添加
した摺動部材では、Fe3 4 の添加量が0.01〜1
0wt%程度と少なく、低摩擦の特性を期待することは
できない。
【0003】また、エンジン部品のうち、ロッカアーム
式動弁機構に使用されているロッカアーム、ロッカアー
ムシート、タペット、カム、プッシュロッドカム等の耐
摩耗性部品として、金属に比較して耐摩耗性に優れた材
料として、部分安定化ジルコニア、Al2 3 、Y2
3 等の金属酸化物を焼結助剤として添加したSi3 4
等のセラミックス材料を使用することが開発されてい
る。
【0004】また、特開平2−302360号公報に
は、青緑色系アルミナ質焼結体が開示されている。該青
緑色系アルミナ質焼結体は、ZrO2 を2〜30wt
%、Fe,Ni,Coの酸化物のうち少なくとも1種を
0.01〜10wt%、及び残部がAl2 3 から成
り、同原料組成の被焼結体が酸素分圧0.01g/cm
2 〜400kg/cm2 の不活性若しくは酸化性雰囲気
中で高温加圧焼成されて得られたものである。
【0005】また、特開平6−234564号公報に
は、低摩擦セラミックスから成る摺動部品が開示されて
いる。該摺動部品は、Si3 4 又はSiCのSiを主
成分とする母相中にFeO,Fe2 3 ,Fe3 4
のFeの酸化物を分散させ、大気中において表面からや
や内部にかけて酸化させ、化合物として存在していたF
e−Si系の化合物をオイルとの吸着性に優れたFe−
O系の酸化物に変化させることによって低摩擦化に構成
したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鉄系材
料から摺動部材を構成した場合には、高温雰囲気等の厳
しい摺動条件の下で摺動部材を摺動させた時に、摺動部
材が凝着・移着の現象を起こし、摺動部材の摩耗が進行
するという問題が発生する。また、Al2 3 等のセラ
ミックスから摺動部材を構成した場合には、摺動部材自
体は耐摩耗性材料として使用されるものであり、低摩擦
係数を期待することはできない。また、鉄系金属材料
は、セラミックスに比較して摩耗が多く耐久性の面で劣
るものである。また、摺動部品として、高温且つ潤滑油
粘度が低い潤滑状況下において、金属材料では凝着、焼
付き等の現象が起きている。そこで、摺動部品を作製す
るにあたって、金属材料に換えてAl2 3 ,Si3
4 等のセラミックスを使用することが試みられている
が、該セラミックスは耐摩耗性に優れているが、より低
摩擦を有する材料が望まれている。例えば、Si3 4
中に、炭化ケイ素、窒化ホウ素或いは酸化物の粒子を分
散させた場合には、結合界面での反応性に乏しく、材料
自体の強度が低下し、窒化ホウ素を複合した材料では高
温中その部分が酸化され結晶構造が変化し、摩擦係数が
上昇することがある。
【0007】また、Si3 4 と鉄Feの酸化物との複
合では、焼成時に還元反応が起こり、FeO,Fe2
3 ,Fe3 4 の形で混合段階で添加しても、焼成後に
は、Fe−Si系の化合物に変化する。このような化合
物も潤滑油との吸着性に優れるが、更に一層吸着性を高
め、低摩擦化するためには、酸化物の状態で残すことが
望ましいものである。
【0008】また、ZrO2 で耐摩耗部品を作製した場
合に、該耐摩耗部品自体の摩耗量は少なくなるが、該耐
摩耗部品と組み合わせた相手側の金属材料で作製した部
品の摩耗が大きくなるという現象が発生する。また、A
2 3 、Y2 3 等の金属酸化物を焼結助剤として添
加したSi3 4 等のセラミックス材料で作製した耐摩
耗部品を、高温域で使用した場合に、該耐摩耗部品の摩
擦係数と摩耗量とが大きくなり、耐摩耗部品としての特
性が著しく低下する。
【0009】前掲特開平2−302360号公報に開示
された青緑色系アルミナ質焼結体は、ZrO2 が含まれ
ているものであり、また、Fe3 4 は色調を変化させ
るための添加物であり、Fe3 4 の含有量が0.01
〜10wt%程度と少なく、低摩擦の特性を期待するこ
とができない。
【0010】この発明の目的は、上記の課題を解決する
ことであり、主成分がAlの酸化物、Feの酸化物及び
AlとFeを含む複合酸化物のうち少なくとも2種以上
を含み、その他に焼結助剤成分、固体潤滑剤を添加した
複合セラミックスから構成され、Feの酸化物を低摩擦
特性を向上させるため添加し、特に、オイルとの吸着性
に優れたFe3 4 に変化させることによって低摩擦化
し、しかも低摩耗性を向上させた摺動部材を提供するこ
とである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するため、次のように構成されている。即ち、こ
の発明は、Alの酸化物、Feの酸化物及びAlとFe
を含む複合酸化物のうち少なくとも2種以上が主成分で
ある複合セラミックスから構成されていることを特徴と
する摺動部材に関する。
【0012】この摺動部材において、Ti,Si,La
のうち少なくとも1種以上の元素が存在する複合セラミ
ックスから構成されている。或いは、マイカが存在する
複合セラミックスから構成されている。
【0013】また、この摺動部材において、気孔径5μ
m以下の気孔が体積比にして5%以下存在している。
【0014】また、この摺動部材において、前記Alの
酸化物がα−Al2 3 であり、前記Feの酸化物がF
3 4 である。また、Alの含有量がAl2 3 に換
算して40〜80wt%であり、Feの含有量がFe3
4 に換算して10〜50wt%である。また、前記マ
イカが1〜10wt%である。更に、前記Ti,Si,
Laのうち少なくとも1種以上の元素がTiO2 ,Si
2 ,La2 3 に換算して1〜10wt%である。
【0015】
【作用】この発明による摺動部材は、上記のように構成
されており、次のように作用する。即ち、この摺動部材
は、Alの酸化物、Feの酸化物及びAlとFeを含む
複合酸化物のうち少なくとも2種以上が主成分とする複
合セラミックスから構成されているので、潤滑油吸着性
に優れているFe3 4 を含んでおり、潤滑油皮膜を形
成し易くなり、オイルとの吸着性にすぐれ、複合セラミ
ックスが低摩擦化となり、また、Al2 3 を含んでい
るため、高度及びヤング率が高くなり、従って摺動面の
接触面積が小さくなり、しかも粒成長が抑制される結
果、気孔径5μm以下の気孔が体積比にして5%以下分
散して存在しているので、該気孔がオイル溜めとして機
能すると共に、高い強度を有するようになる。
【0016】また、この摺動部材は、Fe3 4 の酸化
物を添加原料としてセラミックスの母相中に10wt%
〜50wt%分散させることによって、オイルとの吸着
性を良好にして低い摩擦係数で且つ高い強度を維持した
セラミックスと鉄の化合物との複合セラミックスを得る
ことができる。
【0017】
【実施例】以下、この発明による摺動部材の実施例を説
明する。この摺動部材は、Alの酸化物、Feの酸化物
及びAlとFeを含む複合酸化物のうち少なくとも2種
以上が主成分である複合セラミックスから構成されてい
る。更に、この摺動部材は、Alの酸化物、Feの酸化
物及びAlとFeを含む複合酸化物の他に、Ti,S
i,Laのうち少なくとも1種以上の元素が存在する複
合セラミックスから構成されている。Alの酸化物は、
結晶相としてコランダムのα−Al2 3 である。ま
た、Feの酸化物は、潤滑油の吸着性に優れているFe
3 4 である。或いは、この摺動部材は、固体潤滑剤と
して機能するマイカを配合しても摩擦係数を低下させる
ことができる。
【0018】この摺動部材を構成する複合セラミックス
は、気孔径5μm以下の気孔が体積比にして5%以下存
在しているものであり、これらの気孔が潤滑油溜まりを
構成し、摩擦係数を低減させることができる。この複合
セラミックスは、Alの含有量がAl2 3 に換算して
40〜80wt%であり、Feの含有量がFe3 4
換算して10〜50wt%であり、更に、Ti,Si,
Laのうち少なくとも1種以上の元素がTiO2 ,Si
2 ,La2 3 に換算して1〜10wt%である。ま
た、この複合セラミックスにマイカを加える場合には、
マイカの配合量は1〜10wt%である。
【0019】まず、この発明による摺動部材の一実施例
を実施例1として説明する。 〔実施例1〕この発明による摺動部材を作製するため、
まず、原料粉末を作製するために、Al2 3 ,Fe3
4 及びTiO2 粉末を次の比率で配合する。Al2
3 :Fe3 4 :TiO2 =50:45:5の重量比率
で混合して原料粉末を作る。この原料粉末をボールミル
にて約24時間粉砕混合して混合粉末を作った後、この
混合粉末を加圧成形して成形体を作製した後、この成形
体を大気中で1400℃で3時間焼成して焼結体を得
た。ここで、この焼結体を本発明品という。本発明品の
焼結体の組織は、粒径3μm以下のAl2 3 粒子及び
Fe3 4 粒子が均一に分散しており、また、焼結体に
は気孔径5μm以下の気孔が均一に分散していた。ま
た、本発明品の焼結体をX線回折により、焼結体の組成
を調べた結果、Al2 3 ,Fe3 4 及びTiO2
他に、AlFeO3 等の複合酸化物が存在していること
が分かった。
【0020】次に、上記の工程を経て作製した本発明品
の焼結体について、摺動試験を行なうため、焼結体の摺
動面を研削し、研磨して65×15×10mmのサイズ
で、摺動面の表面粗さRz0.4μm以下に加工し、こ
れを摺動試験用テストピースとした。また、比較材とし
て、片状黒鉛鋳鉄とAl2 3 を選び、これらを同様に
加工し、片状黒鉛鋳鉄の摺動試験用テストピースとAl
2 3 の摺動試験用テストピースを作製した。これらの
摺動試験用テストピースを摺動試験をするための相手側
の部材即ち相手材として、球状黒鉛鋳鉄を選び、これを
φ8×23mm(端面SR18加工)に加工し、摺動試
験用ピンを作製した。
【0021】そこで、上記各摺動試験用テストピースと
摺動試験用ピンを用いて、往復動型摺動試験機によって
各摺動試験用テストピースの面に、相手側摺動試験用ピ
ンをほぼ垂直となるようにセットして摩擦係数及び比摩
耗量を測定した。この時の摺動条件は、荷重1kgf、
温度150℃、摺動速度0.2m/sの摺動試験条件
で、それらの摩擦係数及び比摩耗量を測定した。この摺
動試験では、潤滑油として、鉱油系潤滑油を使用した。
上記の摺動試験の結果を表1に示す。
【表1】
【0022】表1から分かるように、本発明品は、比較
材と比較して、摩擦係数及び比摩耗量は大幅に低下して
いることが分かる。即ち、本発明品の摩擦係数が0.0
18であるのに対し、片状黒鉛鋳鉄の比較材の摩擦係数
が0.107であり、Al23 の比較材の摩擦係数が
0.094であった。また、本発明品の比摩耗量が0.
64×10- 7 mm3 /N・mであるのに対し、片状黒
鉛鋳鉄の比較材の比摩耗量が3.41×10- 7 mm3
/N・mであり、Al2 3 の比較材の比摩耗量が1.
05×10- 7 mm3 /N・mであった。本発明品が摩
擦特性及び摩耗特性に優れている要因としては、潤滑油
吸着性に優れているFe3 4 を含んでいるため、摺動
面に潤滑油皮膜を形成し易いという現象があるためと考
えられる。また、本発明品は、Al2 3 が均一に分散
して含んでいるため、硬度及びヤング率が高く、従って
実質的に接触面積が小さくなり、また、Al2 3 とF
3 4 から成る組織中に5μm以下の気孔が分散して
いるため、これがオイル溜めとして働いて、摩擦特性及
び摩耗特性が向上していると考えられる。
【0023】次に、この発明による摺動部材の別の実施
例を実施例2として説明する。 〔実施例2〕この実施例は、上記実施例1と同様に、原
料粉末を作製するため、Al2 3,Fe3 4 及びT
iO2 粉末を所定の比率で配合し、それらを混合して種
々の原料粉末を作る。この場合、Al2 3 ,Fe3
4 及びTiO2 粉末の各粉末の配合量については、Al
2 3 が30〜90wt%、Fe3 4 が0〜60wt
%、TiO2 が0〜15wt%の原料粉末を作製した。
これらの原料粉末を上記実施例1と同様にボールミルに
て約24時間粉砕混合して混合粉末を作った後、これら
の混合粉末を加圧成形して成形体を作製した後、これら
の成形体を大気中で1400℃で3時間焼成して焼結体
即ち複合セラミックスを得た。これらの複合セラミック
スについて、上記実施例1と同様に、摩擦係数及び比摩
耗量を測定し、それらの結果を表2に示す。
【表2】
【0024】表2から分かるように、試料番号2,3,
4,5,6及び9に示す配合比で作製した原料粉末から
作製した複合セラミックスは、摩擦係数が低下し、摩耗
量が小さいことが分かる。即ち、本発明品となる摺動部
材について、Al2 3 ,Fe3 4 及びTiO2 粉末
の各粉末の配合量は、Al2 3 が40〜80wt%、
Fe3 4 が10〜50wt%、TiO2 が1〜10w
t%の範囲の配合量の時に、低摩擦係数で低摩耗量とな
る特性を確保できる。これらの範囲の配合量で作製した
焼結体は、これらの組織は、上記実施例1と同様に、粒
径3μm以下のAl2 3 粒子及びFe3 4 粒子が均
一に分散しており、また、焼結体には気孔径5μm以下
の気孔が均一に分散しており、X線回折によって各焼結
体の組成を調べた結果、Al2 3 ,Fe3 4 及びT
iO2 の他に、AlFeO3 等の複合酸化物が存在して
いることが分かった。
【0025】試料番号1,7,8及び10に示す上記範
囲外の配合比で作製した焼結体について、摩擦摩耗特性
の向上が期待できないことが分かった。これらの焼成体
の摩擦摩耗特性が向上しない理由として次のことが推察
できる。Al2 3 が40wt%以下又は80wt%以
上の配合量の場合、Fe3 4 が50wt%以上又は1
0wt%以下の配合量の場合及びTiO2 が1wt%以
下又は10wt%以上の配合量の場合には、組織中の気
孔が10μm以上になっていることが確認された。従っ
て、これらの気孔が摺動面での凹凸面を形成し、摩擦係
数が高くなると推察できる。また、Fe3 4 が10w
t%以下では、従来のセラミックスと同様に、摺動面に
良好な潤滑油皮膜が形成されないため、摩擦係数が高く
なると考えられる。
【0026】次に、この発明による摺動部材の更に別の
実施例を実施例3として説明する。 〔実施例3〕この実施例は、上記実施例1と同様に、原
料粉末を作製するため、TiO2 の代わりにSiO2
はLa2 3 を使用してAl2 3 及びFe3 4 粉末
を所定の比率で配合し、それらを混合して種々の原料粉
末を作る。この場合、Al23 ,Fe3 4 ,SiO
2 ,La2 3 粉末の各粉末の配合量については、Al
2 3 が60wt%、Fe3 4 が25〜39wt%、
SiO2 が0〜15wt%、La2 3 が0〜15wt
%の原料粉末を作製した。これらの原料粉末を上記実施
例1と同様にボールミルにて約24時間粉砕混合して混
合粉末を作った後、これらの混合粉末を加圧成形して成
形体を作製した後、これらの成形体を焼成して焼結体即
ち複合セラミックスを得た。これらの複合セラミックス
について、上記実施例1と同様に、摩擦係数及び比摩耗
量を測定し、それらの結果を表3に示す。
【表3】
【0027】表3から分かるように、試料番号1,2,
4及び5に示す配合比で作製した原料粉末から作製した
複合セラミックスは、摩擦係数が低下し、摩耗量が小さ
いことが分かる。即ち、本発明品となる摺動部材につい
て、Al2 3 とFe3 4とは上記各実施例と同様で
あり、SiO2 又はLa2 3 の各粉末の配合量につい
ては、上記実施例1のTiO2 と同様に、1〜10wt
%の場合が気孔が10μm以下になって摩擦摩耗特性を
向上させることが分かった。また、試料番号3及び6の
ように、SiO2 又はLa2 3 の各粉末の配合量が1
5wt%の場合には気孔が10μm以上になって摩擦摩
耗特性の向上が期待できないことが分かった。
【0028】次に、この発明による摺動部材の他の実施
例を実施例4として説明する。 〔実施例4〕この実施例は、上記実施例1と同様に、原
料粉末を作製するため、Al2 3,Fe3 4 及びT
iO2 粉末を次の比率で配合する。Al2 3 :Fe3
4:TiO2 =45:45:5の重量比率で混合し、
更にマイカ〔例えば、KAl3 Si3 1 0 (O
H)2 〕を5wt%混合して原料粉末を作った。この原
料粉末を上記実施例1と同様にボールミルにて約24時
間粉砕混合して混合粉末を作った後、この混合粉末を加
圧成形して成形体を作製した後、この成形体を焼成して
焼結体即ち複合セラミックス即ち本発明品を得た。本発
明品の複合セラミックスについて、上記実施例1と同様
に、摩擦係数及び比摩耗量を測定した。また、比較材と
して、上記実施例1と同様のものを作製した。この時の
摺動条件は、荷重30kgf、温度150℃、摺動速度
0.2m/sの摺動試験条件で、それらの摩擦係数及び
比摩耗量を測定した。この摺動試験では、潤滑油とし
て、鉱油系潤滑油を使用した。上記の摺動試験の結果を
表4に示す。
【表4】
【0029】表4から分かるように、本発明品の複合セ
ラミックスは、比較材に比較して、摩擦摩耗特性が向上
していることが分かる。本発明品は、摺動条件が厳しい
境界潤滑領域での摩擦係数が低く、摩耗量も低くなって
おり、マイカが固体潤滑剤として機能している結果であ
ると考えられる。
【0030】次に、この発明による摺動部材の更に他の
実施例を実施例5として説明する。 〔実施例5〕この実施例は、上記実施例4と同様に、マ
イカを加えた原料粉末を用いたものであり、マイカの配
合量を種々に変えて原料粉末を作製し、複合セラミック
スでのマイカが与える摩擦摩耗特性への影響を調査し
た。この場合、Al2 3 ,Fe3 4 ,TiO2 ,マ
イカの各粉末の配合量については、Al2 3 が50w
t%、Fe3 4 が30〜44.5wt%、TiO2
5wt%、マイカが0.5〜15wt%の原料粉末を作
製した。これらの原料粉末を上記実施例4と同様にボー
ルミルにて約24時間粉砕混合して混合粉末を作った
後、これらの混合粉末を加圧成形して成形体を作製した
後、これらの成形体を焼成して焼結体即ち複合セラミッ
クスを得た。これらの複合セラミックスについて、上記
実施例4と同様に、摩擦係数及び比摩耗量を測定し、そ
れらの結果を表5に示す。
【表5】
【0031】表5から分かるように、試料番号2及び3
に示す配合比で作製した原料粉末から作製した複合セラ
ミックスは、摩擦係数が低下し、摩耗量が小さいことが
分かる。また、試料番号1及び4に示す配合比で作製し
た原料粉末から作製した複合セラミックスについては、
複合セラミックスへ含まれているマイカの配合量が1w
t%以下では摩擦係数の低減効果を得ることはできず、
マイカの配合量が10wt%以上では気孔が多くなり、
摩擦係数が増大した。従って、この発明の摺動部材を構
成する複合セラミックスは、Al2 3 、Fe3 4
びTiO2 に加えてマイカの配合量が1〜10wt%の
範囲内であることが、焼結体即ち複合セラミックスの摩
擦摩耗特性を向上させることが確認できた。
【0032】
【発明の効果】この発明による摺動部材は、上記のよう
に構成されており、次のような効果を有する。即ち、こ
の摺動部材は、Alの酸化物、Feの酸化物及びAlと
Feを含む複合酸化物のうち少なくとも2種以上が主成
分である材料を焼成して作製されているので、摩擦係数
を低減でき、且つ摩耗量を低減できる。この複合セラミ
ックスでは、Alの酸化物としてはα−Al2 3 であ
り、Feの酸化物としてはFe3 4 である。従って、
この摺動部材は、潤滑油粘度が低い状態においても低摩
擦係数を示し、且つ耐摩耗性に優れているので、この摺
動部材によって、シリンダライナ、ピストンリング等の
エンジン部品を作製した場合に、エンジン性能を向上さ
せることができる。
【0033】また、この摺動部材を構成する複合セラミ
ックスは、Alの酸化物、Feの酸化物及びAlとFe
を含む複合酸化物のうち少なくとも2種以上の他に、T
i,Si,Laのうち少なくとも1種以上の元素が存在
する材料から構成されている。この摺動部材を構成する
複合セラミックスでは、Alの含有量がAl2 3 に換
算して40〜80wt%であり、Feの含有量がFe3
4 に換算して10〜50wt%であり、また、Ti,
Si,Laのうち少なくとも1種以上の元素がTi
2 ,SiO2 ,La2 3 に換算して1〜10wt%
であれば、気孔径が5μm以下になり、体積比にして5
%以下にすることができ、摩擦係数を低減できる。或い
は、この摺動部材を構成する複合セラミックスには、固
体潤滑剤のマイカを配合することができる。この時、マ
イカの配合量は、1〜10wt%である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alの酸化物、Feの酸化物及びAlと
    Feを含む複合酸化物のうち少なくとも2種以上が主成
    分である複合セラミックスから構成されていることを特
    徴とする摺動部材。
  2. 【請求項2】 Ti,Si,Laのうち少なくとも1種
    以上の元素が存在する複合セラミックスから構成されて
    いることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
  3. 【請求項3】 マイカが存在する複合セラミックスから
    構成されていることを特徴とする請求項1に記載の摺動
    部材。
  4. 【請求項4】 気孔径5μm以下の気孔が体積比にして
    5%以下存在していることを特徴とする請求項1に記載
    の摺動部材。
  5. 【請求項5】 前記Alの酸化物がα−Al2 3 であ
    り、前記Feの酸化物がFe3 4 であることを特徴と
    する請求項1に記載の摺動部材。
  6. 【請求項6】 Alの含有量がAl2 3 に換算して4
    0〜80wt%であり、Feの含有量がFe3 4 に換
    算して10〜50wt%であることを特徴とする請求項
    1に記載の摺動部材。
  7. 【請求項7】 前記Ti,Si,Laのうち少なくとも
    1種以上の元素がTiO2 ,SiO2 ,La2 3 に換
    算して1〜10wt%であることを特徴とする請求項1
    に記載の摺動部材。
  8. 【請求項8】 前記マイカが1〜10wt%であること
    を特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008249082A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Ebara Corp すべり軸受装置及び無注水型遠心式ポンプ

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