JP2606327B2 - 耐摩耗性のすぐれた高強度高靭性Cu基焼結合金 - Google Patents

耐摩耗性のすぐれた高強度高靭性Cu基焼結合金

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JP2606327B2 JP63270109A JP27010988A JP2606327B2 JP 2606327 B2 JP2606327 B2 JP 2606327B2 JP 63270109 A JP63270109 A JP 63270109A JP 27010988 A JP27010988 A JP 27010988A JP 2606327 B2 JP2606327 B2 JP 2606327B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、耐摩耗性にすぐれ、かつ高強度および高
靭性を有し、さらに摩擦係数で評価される相手部材に対
する同期特性にもすぐれ、したがってこれらの特性が要
求される変速機のシンクロナイザリンやエンジンのバル
ブガイド、さらにターボチャージャの軸受などとして用
いるのに適したCu基焼結合金に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、上記の各種部材の製造に、重量%で(以下%は
重量%を示す)、Cu−28%Zn−6%Alの代表組成を有す
るCu基焼結合金を用いることが提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記従来Cu基焼結合金は、焼結体であるため
に、相手部材に対する同期特性にはすぐれているもの
の、十分な耐摩耗性、強度、および靭性を具備するもの
ではなく、したがって近年の各種機器の小型化および軽
量化、並びに高出力化に対応することができず、より一
段とすぐれた耐摩耗性、高強度および高靭性を具備する
Cu基焼結合金の開発が強く望まれている。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、特に
上記の従来Cu基焼結合金に着目し、一段とすぐれた耐摩
耗性、強度、および靭性を有するCu基焼結合金を開発す
べく研究を行なった結果、 Zn:10〜40%、Al:0.3〜6%、 Fe,Ni、およびCoのうちの1種または2種以上:0.1〜5
%、 酸素:0.03〜1%、 W,Mo、およびCrのうちの1種または2種以上:0.1〜5
%、 を含有し、さらに必要に応じて、 Mn:0.1〜5%、および/またはSn:0.1〜4%、 を含有し、残りがCuと不可避不純物からなる組成、並び
に素地中に酸化アルミニウム(Al2O3)を主体とした微
細な酸化物および金属間化合物が均一に分散した組織を
有するCu基焼結合金は、すぐれた耐摩耗性を有すると共
に、高強度および高靭性を有することから、各種機器の
小型化および軽量化、並びに高出力化に十分対応するこ
とができる構造部材の製造に適用することができるとい
う知見を得たのである。
この発明は、上記知見にもとづいてなされたものであ
って、この発明のCu基焼結合金は、上記組成によって、
素地中に、1〜40μmの粒度範囲内に分布したAl2O3
主体とした酸化物が0.5〜15%の面積率で均一分散し、
かつ同じく1〜25μmの粒度範囲内に分散した金属間化
合物が1〜10%の面積率で均一分散した組織をもつよう
になり、これら酸化物と金属間化合物によって耐摩耗性
が著しく向上するようになり、特に酸化物の均一分散に
よって耐焼き付性が向上するようになるほか、摩擦面の
耐熱性が向上することと合まって高負荷条件下でもすぐ
れた耐摩耗性を示すようになる。
つぎに、この発明のCu基焼結合金において、成分組成
を上記の通り限定した理由を説明する。
(a) Zn Zn成分には、CuおよびAlと共に素地を形成し、合金の
強度および靭性を向上させる作用があるが、その含有量
が10%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方
その含有量が40%を越えると、前記作用に劣化現象が現
われるようになることから、その含有量を10〜40%と定
めた。
(b) Al Al成分には、上記の通りCuおよびZnと高強度および高
靭性を有する素地を形成するほか、酸素と結合して酸化
物を形成し、もって常温は勿論のこと、高温条件下での
耐摩耗性を向上させる作用があるが、その含有量が0.3
%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その
含有量が6%を越えると、素地の靭性が低下するように
なることから、その含有量を0.3〜6%と定めた。
(c) Fe,Ni、およびCo これらの成分には、素地中に分散して合金の強度およ
び靭性を向上させると共に、CuおよびAlと結合して、素
地中に分散する微細な金属間化合物を形成して耐摩耗性
を向上させる作用があるが、その含有量が0.1%未満で
は前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が
5%を越えると靭性が低下するようになることから、そ
の含有量を0.1〜5%と定めた。
(d) 酸素 酸素には、上記の通りAlや、W,Mo、およびCr、さらに
必要に応じて含有されるSiと結合して、素地中に微細均
一に分散する酸化物を形成し、もって耐摩耗性を向上さ
せ、特に、耐焼き付性および耐熱性の改善によって高負
荷条件下での耐摩耗性を向上させる作用があるが、その
含有量が0.03%未満では酸化物の形成が少なすぎて所望
の耐摩耗性を確保することができず、一方その含有量が
1%を越えると酸化物の粒径が40μmを越えて粗大化す
るばかりでなく、面積率で15%を越えて多くなりすぎ、
合金の強度および靭性が低下するようになるほか、相手
攻撃性も増すようになることから、その含有量を0.03〜
1%と定めた。
(e) W,Mo、およびCr これらの成分には、Fe,NiおよびCoと結合して微細な
金属間化合物を形成し、また酸素と結合して微細な酸化
物を形成し、もって耐摩耗性を向上させる作用がある
が、その含有量が0.1%未満では所望の耐摩耗性向上効
果が得られず、一方その含有量が5%を越えると靭性が
低下するようになることから、その含有量を0.1〜5%
と定めた。
(f) Mn Mn成分には、素地に固溶して強度を向上させる作用が
あるので、必要に応じて含有されるが、その含有量が0.
1%未満では、所望の強度向上効果が得られず、一方そ
の含有量が5%を越えると、靭性が低下し、かつ摩擦面
の耐熱性も低下するようになって所望の耐摩耗性を確保
することができなくなることから、その含有量を0.1〜
5%と定めた。
(g) Sn Sn成分には、素地に固溶して、これを強化するほか、
高負荷条件下での耐焼き付性を改善し、もって耐摩耗性
の向上に寄与する作用があるので、必要に応じて含有さ
れるが、その含有量が0.1%未満では前記作用に所望の
向上効果が得られず、一方その含有量が4%を越える
と、靭性が低下するようになるほか、特に摩擦面の耐熱
性が低下するようになり、耐摩耗性が損なわれることか
ら、その含有量を0.1〜4%と定めた。
〔実施例〕
つぎに、この発明のCu基焼結合金を実施例により具体
的に説明する。
原料粉末として、いずれも200mesh以下の粒度を有
し、表面酸化層の層厚を調整することによりO2含有量を
それぞれ4%および1%とした2種のCu−Al合金(Al:5
0%含有)粉末、Cu粉末、Zn粉末、Al粉末、Fe粉末、Ni
粉末、Co粉末、Mn粉末、W粉末、Mo粉末、Cr粉末、およ
びSn粉末を用意し、こ原料粉末をそれぞれ第1表に示さ
れる配合組成に配合し、ボールミルで72時間湿式粉砕混
合し、乾燥した後、4〜6ton/cm2の範囲内の所定圧力で
圧粉体にプレス成形し、ついで、露点:0℃〜−30℃のH2
ガス雰囲気中、800〜900℃の範囲内の所定温度に1.5時
間保持の条件で焼結することにより、圧壊荷重測定用と
して外径:75mm×内径:65mm×厚さ:8.5mmの寸法をもち、
また摩耗試験用として幅:10mm×厚さ:10mm×長さ:40mm
の寸法をもち、さらに摩擦係 数測定用として外径:10mm×高さ:20mmの寸法をそれぞれ
有し、かついずれも配合組成と実質的に同一の成分組成
をもった本発明Cu基焼結合金1〜18および従来Cu基焼結
合金をそれぞれ製造した。
なお、本発明Cu基焼結合金1〜18は、いずれも微細な
酸化物および金属間化合物が素地中に均一に分散する組
織をもつものであった。
つぎに、この結果得られた各種のCu基焼結合金につい
て、強度および靭性を評価する目的で圧壊荷重を測定
し、さらに耐摩耗性を評価する目的で、 試片形状:8mm×8mm×30mm、 相手材:材質がSCr420にして、寸法が直径:30mm×幅:5m
mの焼入れリング、 オイル:65Wのギヤーオイル、 油温:50℃、 摩擦速度:2m/sec.、 最終荷重:3kg、 滑り距離:1.5km、 の条件でブロックオンリング摩耗試験を行ない、比摩耗
量を測定し、さらに相手部材に対する同期特性を評価す
る目的で、 試片形状:2mmの直径を有するピン、 相手材:Scr420の焼入れディスク、 オイル:65Wギヤーオイル、 油温:50℃、 摩擦速度:4m/sec.、 圧力:1.5kg、 滑り距離:1.5km、 の条件でピン摩耗試験を行ない、トルクメーターから摩
擦係数を算出した。これらの結果を第1,2表に示した。
〔発明の効果〕
第1,2表に示される結果から、本発明Cu基焼結合金1
〜36は、いずれも従来Cu基焼結合金と同等の摩擦係数を
有し、これは相手部材に対する同期特性にすぐれている
ことを示し、また従来Cu基焼結合金に比して一段とすぐ
れた耐摩耗性、強度、および靭性をもつことが明らかで
ある。
上述のように、この発明のCu基焼結合金は、すぐれた
耐摩耗性を有し、かつ高強度おび高靭性を有し、さらに
相手部材に対する同期特性にもすぐれているので、小型
化および軽量化、並びに高出力化が要求される各種機器
の構造部材としての適用に十分に対応することができる
ものであり、しかも実用に際してはすぐれた性能を長期
に亘って発揮するようになるなど工業上有用な特性を有
するのである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Zn:10〜40%、Al:0.3〜6%、 Fe,Ni、およびCoのうちの1種または2種以上:0.1〜5
    %、 酸素:0.03〜1%、 W,Mo、およびCrのうちの1種または2種以上:0.1〜5
    %、 を含有し、残りがCuと不可避不純物からなる組成(以上
    重量%)、並びに素地中に酸化アルミニウムを主体とし
    た微細な酸化物および金属間化合物が均一に分散した組
    織を有することを特徴とする耐摩耗性のすぐれた高強度
    高靭性Cu基焼結合金。
  2. 【請求項2】Zn:10〜40%、Al:0.3〜6%、 Fe,Ni、およびCoのうちの1種または2種以上:0.1〜5
    %、 酸素:0.03〜1%、 W,Mo、およびCrのうちの1種または2種以上:0.1〜5
    %、 を含有し、さらに、 Mn:0.1〜5%、 を含有し、残りがCuと不可避不純物からなる組成(以上
    重量%)、並びに素地中に酸化アルミニウムを主体とし
    た微細な酸化物および金属間化合物が均一に分散した組
    織を有することを特徴とする耐摩耗性のすぐれた高強度
    高靭性Cu基焼結合金。
  3. 【請求項3】Zn:10〜40%、Al:0.3〜6%、 Fe,Ni、およびCoのうちの1種または2種以上:0.1〜5
    %、 酸素:0.03〜1%、 W,Mo、およびCrのうちの1種または2種以上:0.1〜5
    %、 を含有し、さらに、 Sn:0.1〜4%、 を含有し、残りがCuと不可避不純物からなる組成(以上
    重量%)、並びに素地中に酸化アルミニウムを主体とし
    た微細な酸化物および金属間化合物が均一に分散した組
    織を有することを特徴とする耐摩耗性のすぐれた高強度
    高靭性Cu基焼結合金。
  4. 【請求項4】Zn:10〜40%、Al:0.3〜6%、 Fe,Ni、およびCoのうちの1種または2種以上:0.1〜5
    %、 酸素:0.03〜1%、 W,Mo、およびCrのうちの1種または2種以上:0.1〜5
    %、 を含有し、さらに、 Mn:0.1〜5%、Sn:0.1〜4%、 を含有し、残りがCuと不可避不純物からなる組成(以上
    重量%)、並びに素地中に酸化アルミニウムを主体とし
    た微細な酸化物および金属間化合物が均一に分散した組
    織を有することを特徴とする耐摩耗性のすぐた高強度高
    靭性Cu基焼結合金。
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