JPH0811947A - 食品包装体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 袋のシール部４の少なくとも一か所にシール
幅を局所的に狭くする非シール部５または切り欠き部を
袋の縁側から設けた水蒸気非透過性かつ易開封性の耐熱
性袋２に、少なくとも一部が透水性シート９からなる小
袋８に充填された高倍率吸水状態の高吸水性樹脂７を、
食品１と共に封入した。 【効果】 袋に穴を開けることなくそのまま電子レンジ
で加熱処理することができる。また、電子レンジ処理し
たとき高吸水性樹脂からも水蒸気が発生し、該水蒸気は
透水性部分を透過して小袋の外に出て包装体内を満たす
ので、食品は蒸し器を用いた場合と同様においしく蒸し
上がる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、食べるときに十分な水
蒸気の存在下で加熱することが必要な（あるいは望まし
い）食品を包装状態のまま電子レンジで加熱できるよう
にした密封包装体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】肉まん、あんまん、シューマイ、焼きギ
ョウザ等の調理済み食品は、密封包装しても時間が経つ
につれて食味が変化し、水分蒸発によって固くなったり
もする。そのような性状変化は、常温で保存されたもの
に特に顕著である。そのため、食べるときは直前に十分
な水蒸気の存在下で加熱すること（以下、この処理を蒸
熱という）が必要になる。

【０００３】密封包装食品を蒸熱処理する方法で最も基
本的なものは、袋から取り出した食品を蒸し器で蒸す方
法である。しかしながら、この方法はきわめて煩雑で時
間もかかるため、近年は電子レンジを利用する方法が普
及しつつある。

【０００４】電子レンジによる方法の第一は、その食品
を袋から取り出し、適当な容器に入れるかラップフィル
ムで包んで電子レンジにかける方法である。この方法
は、食品の水分蒸発が激しいから、水分補給のため、電
子レンジに入れる直前に水を付着させるなどの配慮が必
要であり、手間がかかるだけでなく、細心の注意を払っ
てもおいしく食べることは難しい。

【０００５】最も簡単な加熱・調理器具である電子レン
ジの特長を生かす方法は、保存と流通のための包装体の
まま電子レンジによる蒸熱処理を行う方法である。しか
しながら、この方法を実施するためには、電子レンジ加
熱により発生する水蒸気や袋内空気の熱膨張によって上
昇する内圧に対する配慮が必要であって、普通の密封包
装体をそのまま電子レンジで加熱したのでは袋が破裂し
てしまう。

【０００６】したがって、従来、食品包装体を電子レン
ジにかける場合は、針等で袋に穴を開けておくことによ
り、内圧上昇による袋の破裂を防ぐのが普通であった。
しかしながら、この方法は加熱開始後発生した水蒸気が
逐次袋外に逃げ出すので、袋内の食品は加熱はされても
乾いてしまい、蒸し器による蒸熱を行なった場合と比べ
ると著しく食味の劣るものとなる。

【０００７】電子レンジにより加熱されたときの内圧上
昇が一定の水準になったとき袋のシール部がはがれ始
め、それにともない袋の一部に穴が開いて過剰の水蒸気
が放出されるように工夫された食品包装体（実開昭６２
−１０５１６６号公報，特開昭６２−２３５０８０号公
報等）は、電子レンジにかけるとき一々穴を開ける煩わ
しさがなく、食品の乾燥も少ない。しかしながら、この
種の包装体の場合も、電子レンジ処理中にかなりの量の
水分が食品から失われるから、食品が乾いた感じのもの
になるのは避けられない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、保存
・流通のための密封包装体のまま電子レンジで処理して
も内圧上昇による袋破裂のおそれがなく、しかも袋内の
食品が乾燥せず、蒸し器による蒸熱処理を行なった場合
と同様に良好な食味に仕上がることが保証された食品包
装体を提供することを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成した本発
明は、袋のシール部の少なくとも一か所にシール幅を局
所的に狭くする非シール部または切り欠き部を袋の縁側
から設けた水蒸気非透過性かつ易開封性の耐熱性プラス
チック製袋に、少なくとも一部が透水性シートからなる
小袋に充填された高倍率吸水状態の高吸水性樹脂を食品
と共に封入したことを特徴とする。

【００１０】ここで用いる高吸水性樹脂は、自重の数十
倍ないし数百倍の重量の水を吸収する能力を有し、且つ
限界まで吸水させても体積が増大するだけで吸水前の独
立粒子状を維持し、決して溶液状態やゲル状集合体には
ならない周知の特殊合成樹脂である。デンプン・アクリ
ル酸塩グラフト共重合体架橋物からなるものと架橋ポリ
アクリル酸塩からなるものとが市販されており、いずれ
も本発明のために使用することができる。

【００１１】上記本発明の食品包装体において、次のも
のは本発明の目的との関係で特に好ましい。 袋のシール部の剥離強度が約１５０〜１２００g/15
mm、中でも約５００〜８００g/15mm であるもの（但
し、剥離強度は食品衛生法に基づく密封包装袋の試験方
法・Ｚ０２３８に従い引張り速度３００mm/minで測定さ
れる値である。)。

【００１２】 高吸水性樹脂充填用小袋として、プラ
スチックフィルムと不織布をヒートシールしてなるもの
を用いたもの。 高吸水性樹脂として、５０倍吸水状態において０.
７mm以上の粒径を有する粗粒状のものを用いたもの。

【００１３】

【作用】高吸水性樹脂に吸収されて食品包装体に収容さ
れた水は、高吸水性樹脂が包装体内で圧迫されても滲み
出して食品を濡らしたりせず、あたかも密封容器に入れ
て収容されたかのように安定な状態に保たれる。

【００１４】この食品包装体の中身を食べようとすると
きは、包装体の袋に穴を開けることなくそのまま電子レ
ンジで処理する。処理により、食品が発熱すると同時に
吸水状態の高吸水性樹脂も発熱し、食品と高吸水性樹脂
の両方から水蒸気が発生する。高吸水性樹脂から発生し
た水蒸気は小袋の透水性部分を透過して小袋の外に出
る。高度吸水状態の高吸水性樹脂は重量比で約５０倍以
上の吸水状態にあり、通常の食品よりも圧倒的に含水率
が高く且つ水蒸気を放出し易いから、包装体内の空間は
高吸水性樹脂から放出された水蒸気で速やかに満たさ
れ、食品の水分の蒸発は抑制される。その結果、袋内の
食品は蒸し器で蒸熱されたときと同様に十分な水蒸気の
存在下に加熱され、乾いた感じのないすぐれた食味のも
のに蒸し上がる。

【００１５】その間、発生した水蒸気と温度上昇により
袋内の気圧が上昇すると、袋を構成するフィルムに作用
する張力が増大する。この張力は、袋の縁のシール部に
おいてはヒートシールされたフィルムを剥がすように作
用するので、その値が一定の水準を超えると、シール部
は内側から剥がれ始める。剥離が、袋のシール部に縁側
から設けられた非シール部または切り欠き部に達する
と、袋に穴が開いた状態になり、そこから袋内の水蒸気
が吹き出す。その結果、以後の内圧上昇は無くなり、袋
が破裂するおそれもなくなる。また、上昇した内圧に応
じて穴が開くため、水蒸気の放出は最小限度に抑えられ
る。

【００１６】

【実施例】以下、典型的な本発明実施例を示す図１を参
照しながら本発明を説明する。図１において、食品１を
収容した袋２は、電子レンジ加熱に耐える耐熱性を有す
ると共に易開封性の袋を与えるヒートシール性プラスチ
ックフィルム、たとえば、ポリプロピレン、ポリアミ
ド、ポリエステル、エチレン−ビニルアルコール共重合
体等からなる２軸延伸フィルム、塩化ビニリデン−アク
リル酸エステル系共重合体フィルム、酸化アルミ蒸着２
軸延伸ポリエステルフィルム、ポリメタキシリレンアジ
パミド系ポリアミド延伸フィルム（６−ナイロンとの共
押出し積層フィルムを含む）等の基材フィルムにシーラ
ント層として適当なポリオレフィン系樹脂等を複合した
ものからなり、長方形のフィルム３a,３bが周辺部でヒ
ートシールされてなるものである。なお、袋２の胴部シ
ール部４には、縁側から内側に向かって形成された半円
形非シール部５が２カ所にあって、その部分だけシール
幅が狭くなっている。

【００１７】シール部４の剥離強度は、約１５０〜１２
００g/15mm、好ましくは約５００〜８００g/15mm であ
る。剥離強度がこの程度のものであることは、袋２の一
角に設けられた非シール部分６のフィルムをつかんでフ
ィルム３a,３bを引きはがす方法により食品１を取り出
すことを可能にするだけでなく、内圧の上昇に応じて非
シール部５に後記水蒸気吹出し口を自動的に形成させる
ために必要である。

【００１８】袋２には、食品１のほかに、吸水した粒状
の高吸水性樹脂７が小袋８に充填されて収容されてい
る。高吸水性樹脂７として使用可能な市販品の例は、Ｐ
Ｑポリマー（大阪有機化学工業株式会社製品）、サンフ
レッシュ（三洋化成工業株式会社製品）等である。市販
されている高吸水性樹脂には種々の粒径のものがある
が、ここで用いる高吸水性樹脂としては比較的粒径の大
きいもの、具体的には５０倍に吸水した状態での粒径が
約０.７mm以上のものが好ましい。あまり微細なもの
は、吸水させた状態で本発明の包装体に収容したとき小
袋８の外に水の滲み出しを起こし、食品１を濡らして品
質劣化を招くことがある。同様の理由で、高吸水性樹脂
７には吸水能力の限界まで吸水させずに約８０％飽和量
の水を吸水させておくことが望ましい。

【００１９】小袋８は、ポリプロピレン／ポリエチレン
複合フィルムと薄い透水性の不織布９（ポリオレフィン
系繊維からなる）とをヒートシールして作られた、片面
透水性のものである。高吸水性樹脂７は、この透水性の
小袋８に乾燥状態で封入された後、小袋８ごと水に浸漬
することにより吸水状態にしたものであるが、あらかじ
め吸水状態にしたものを小袋８に充填しても差支えな
い。

【００２０】高吸水性樹脂７に吸収させて袋２内に食品
１と共存させる水の量は、電子レンジで包装体を十分な
時間処理する間、水蒸気の供給源となり得る量であるこ
とが望ましい。それは、袋２の容量および袋２内残存空
間の体積、包装される食品１の種類等によって大幅に異
なるので、実験的に確認することが必要である。

【００２１】この食品包装体を電子レンジで処理する
と、食品１が発熱すると共に吸水状態の高吸水性樹脂７
も発熱し、温度が１００℃に達すると、食品１よりも水
分が蒸発し易い高吸水性樹脂７から水蒸気が激しく発生
する。この水蒸気は透水性不織布９の部分を透過して小
袋８の外に出て、包装体内の空間を水蒸気で飽和した状
態に保つ。

【００２２】発生した水蒸気と温度上昇により袋２内の
気圧が上昇しそれが一定の水準を超えると、袋２を構成
するフィルム３に作用する張力によりシール部４の剥離
が内側から始まる（このシール部４の剥離が始まる前に
フィルム３が破断する破裂が生じないように、フィルム
３は十分強力なものでなければならない。）。袋２の一
角の非シール部分６からの手による開封が容易なよう剥
離強度を６００g/15mm程度に選んだ場合、内圧上昇にと
もなうシール部４の剥離は内圧が常圧プラス０.１５kgf
/cm²前後に達したとき始まる。

【００２３】剥離が非シール部５に達すると、袋２は非
シール部５において穴が開いた状態になり、そこから水
蒸気が吹き出す。噴出する水蒸気の量が新たに発生する
水蒸気の量とバランスするまでシール部４の剥離による
水蒸気吹出し口の形成が進むと、以後、内圧は上昇しな
くなり、シール部４の剥離も事実上停止する。以上によ
り食品１は最後まで十分な水蒸気の存在下に蒸熱され、
しかも自らの水分を失うことはほとんどない。

【００２４】

【発明の効果】上述のように、本発明の食品包装体は保
存・流通のための密封包装体のまま電子レンジ処理する
ことができ、蒸熱処理がきわめて簡単である。しかも、
電子レンジ処理したとき袋内の食品はほとんど乾燥せ
ず、蒸し器による蒸熱処理を行なった場合と同様に良好
な食味に仕上がる。

【００２５】食品包装体中に蒸熱用の水を同封する手段
はほかにも有り得るが、透水性袋に入れた吸水性樹脂を
利用する本発明によれば、実施が容易であり、衛生的で
電子レンジ処理前に食品に悪影響を与えるおそれがな
く、電子レンジ処理されたときの水蒸気放出が確実であ
り、嵩ばらないなど、多くの利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例を示す一部破断平面図であ
る。

【符号の説明】

１：食品 ２：袋 ３：フィルム ４：シール部 ５：非シール部 ７：高吸水性樹脂 ８：小袋 ９：透水性不織布

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 袋のシール部の少なくとも一か所にシー
   ル幅を局所的に狭くする非シール部または切り欠き部を
   袋の縁側から設けた水蒸気非透過性かつ易開封性の耐熱
   性袋に、少なくとも一部が透水性シートからなる小袋に
   充填された高倍率吸水状態の高吸水性樹脂を食品と共に
   封入したことを特徴とする電子レンジによる蒸熱処理が
   可能な食品包装体。
2. 【請求項２】 袋のシール部の剥離強度が１５０〜１２
   ００g/15mm である請求項１記載の食品包装体。
3. 【請求項３】 高吸水性樹脂が充填された小袋がプラス
   チックフィルムと不織布をヒートシールしてなるもので
   ある請求項１記載の食品包装体。
4. 【請求項４】 高吸水性樹脂が５０倍吸水状態において
   ０.７mm以上の粒径を有する粗粒状のものである請求項
   １記載の食品包装体。