JPH06255633A - 電磁波照射器具の庫内にて用いる包装袋及びこれを用いて行なう電磁波処理法 - Google Patents

電磁波照射器具の庫内にて用いる包装袋及びこれを用いて行なう電磁波処理法

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JPH06255633A
JPH06255633A JP5040024A JP4002493A JPH06255633A JP H06255633 A JPH06255633 A JP H06255633A JP 5040024 A JP5040024 A JP 5040024A JP 4002493 A JP4002493 A JP 4002493A JP H06255633 A JPH06255633 A JP H06255633A
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JP
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water
packaging bag
sheet
bag
opening
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Toshiyuki Tejima
俊之 手島
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 非透湿性シートからなる袋本体(12)と、前
記袋本体(12)の内部に配された吸水性シート(14)
と、開口部(20)を密封可能となすジッパー(16)を有
してなる電子レンジの庫内にて用いる包装袋(10)。 【効果】 上記包装袋(10)の使用により、被処理物が
ゴム製、金属製など、どのようなものであっても、電子
レンジにて簡便に、かつ安全に、しかも確実にその滅
菌、消毒が可能となる。さらには、おにぎり、肉まん、
てんぷら、各種冷凍製品などの食品の加熱、再加熱、解
凍、下拵えを行なう際において、過乾燥をひきおこさ
ず、これら食品に対して均一な処理を施すことができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子レンジ等の電磁波
照射器具(以下、「電子レンジ」という)における庫内
にて使用される包装袋および前記包装袋を用いて行なう
電磁波処理法に関する。
【0002】なお、ここでいう「電磁波処理」とは、前
記器具から照射される電磁波を利用して行なう、例えば
ピンセット、ハサミ、哺乳ビンの乳首などの器具の殺
菌、消毒、又は、おにぎり、肉まん、てんぷら、各種冷
凍製品などの食品の加熱、再加熱、解凍、下拵え、を意
味する。
【0003】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来よ
り、病院、診療所等の医療機関において行なわれている
滅菌、消毒は、高圧蒸気滅菌法によるのが主流である。
高圧下における水の沸点上昇を利用したものであるが、
これに用いる装置、すなわち高圧蒸気滅菌装置の操作
は、一般的に言って面倒な場合が多く、しかも危険が伴
った。
【0004】ところで、最近、院内感染の問題が深刻化
している。なかでも、MRSA(メチシリン耐性ブドウ
球菌)、CMV(サイトメガロウイルス)などを起因菌
とする感染は、それら起因菌が皮膚常在菌であること、
また空気中の塵埃に付着して浮遊する性質があることか
ら、ハサミ、ピンセット、聴診器、医療衣類等の医療器
具を媒体として次第に拡大傾向にある。
【0005】院内感染の対策としては、治療面だけでは
不十分であり、医療器具(診察器具、治療器具、検査器
具など)の徹底した殺菌、消毒が必要となる。
【0006】しかしながら、現在医療機関にて採用され
ている高圧蒸気滅菌装置は、前述したようにその操作が
面倒で、また危険も伴うため、徹底した殺菌、消毒に対
応し切れず、簡単に、手軽に、かつ安全に滅菌、消毒を
行なえる方法の開発が待たれていた。
【0007】そこで本発明者は、電子レンジを用いた滅
菌、消毒方法(特公昭60−58669号、特公昭56
−54676号公報参照)に着目した。
【0008】電子レンジといえば、今では家庭にも多く
普及し、簡単に、手軽に、かつ安全に操作できるもので
はあるが、被処理物の素材の如何によっては大きな問題
があった。
【0009】すなわち、被処理物が金属製品である場
合、直接電磁波を当てればスパークが発生し、該製品が
破損するおそれがあった。これは、ハサミ、ピンセッ
ト、メス、口腔ヘラなど金属製品を多く使用する医療機
関において、避けることのできない大きな問題である。
【0010】また、一部あるいは全体がゴムからなる被
処理物においても、直接的な電磁波の照射により、添加
物の溶出や、柔軟性の劣化などがみられ、手術用ゴム手
袋、聴診器、哺乳ビンの乳首などを処理しようとする場
合に問題であった。
【0011】本発明の目的の1つは、被処理物がゴム
製、金属製など、どのようなものであっても、電子レン
ジにて簡便に、かつ安全に、しかも確実にその滅菌、消
毒を可能とする物品および該物品を用いて行なう簡便性
に優れた電磁波処理法を提供するところにある。
【0012】ところで、そもそも電子レンジは、冷凍ピ
ザ、肉まんなどの食品の加熱、解凍等の処理を目的とす
るものである。例えば、食品を塩化ビニリデン系ポリマ
ー等の合成樹脂からなるラップフィルムで包み、のち電
子レンジの庫内に入れて電磁波を照射して、該食品の加
熱、解凍を行なっている。
【0013】食品を前記ラップフィルムで包めば、食品
の飛散、水分の逃げによる過乾燥を防ぐことができるも
のの、食品から出た水分の一部がラップフィルムの内側
に付着し、付着した水が下方に移行して食品の下部近傍
に溜まってしまう。食品の下部に水が溜まれば、該食品
は下の部分が過度に蒸されてふやけた状態となり、また
これに反して上の部分が少し乾燥気味で硬くなり、この
アンバランスが食感を著しく低下させる原因になってい
た。
【0014】なお、食品の上の部分の乾燥を防ぐ目的
で、少量の水を予め前記ラップフィルムに馴染ませたの
ち、電磁波を照射する方法も考えられる。しかしこの場
合、食品の上の部分の乾燥こそ防げるが、より一層下の
部分をふやけさせ、食品によっては著しく食感を低下さ
せる原因になった。
【0015】また、ご飯や豆類の様なこまごまとした食
品をラップフィルムに包み込む際、あるいは処理済み後
ラップフィルムから取り出す際、該食品がラップフィル
ム上で散らばって収集がつかなくなってしまうことも多
々あった。
【0016】さらに、加熱後における前記ラップフィル
ムはやや粘着性があり、これにより、該ラップフィルム
同士あるいはラップフィルムと食品との離れが悪くな
り、また該フィルムの端部(開け口)が分からなくなっ
て食品の取り出しに大変苦労することもあった。
【0017】本発明の目的は、前述した滅菌、消毒に関
わる物品、方法を提供するのみならず、上述したよう
な、食品の処理を行なう際の不都合を解消し得る物品、
方法を提供するところにある。
【0018】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の包装袋
は、電子レンジにおける庫内にて用いる包装袋であっ
て、非透湿性シートからなる袋本体と、前記袋本体の内
部に配された吸水性シートと、開口部を密封可能となす
密封手段か、あるいは前記袋本体の内外を流通可能とな
す隙間を存した状態で開口部を閉塞し得る閉合手段を備
えてなり、前記密封手段を有する場合にあっては、さら
に、前記袋本体の内部に発生する水蒸気を徐々に外部に
逃がすための蒸気排出手段を備えてなるものである(請
求項1)。
【0019】また、本発明の電磁波処理法は、上記した
包装袋における吸水性シートに水を含ませるとともに、
被処理物を前記包装袋の内部に収納し、のち電磁波を照
射することを特徴とする方法である(請求項2)。
【0020】なお、周知のとおり、電子レンジにはマイ
クロウェーブという電磁波が使われており、電磁波を吸
収した物質が誘電的に自己発熱するものであり、オーブ
ンのように発熱体からの熱線により物質が熱せられると
いうものではない。したがって、電子レンジにおいて
は、「加熱」という言葉は全くふさわしくなく、本来な
ら他の適切な言葉を用いるべきではあるが、ここでは便
宜上、「加熱」という言葉を使って説明することにす
る。
【0021】本発明で使用し得る非透湿性シートとして
は、湿気(蒸気)を全く通過させないかあるいは通して
もごくわずかであるシートであれば使用し得、主とし
て、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等か
らなる合成樹脂シートを好適に使用することができる。
また、上記した2種以上の合成樹脂シートを積層してな
る複合合成樹脂シートを使用することもできる。さらに
は、市販されているラップフィルム、例えばクレラップ
(商品名、呉羽化学工業(株))、サランラップ(商品
名、旭化成(株)製)等を用いても構わない。
【0022】なお、ポリエチレンシートのように、用い
る非透湿性シートが熱に弱く、電子レンジでの加熱中に
溶融するおそれがある場合、該非透湿性シートの外側に
耐熱性保護シートをさらに積層しておくことが好適であ
る。これにより、袋本体が溶融して庫内を汚してしまう
おそれはなくなる。
【0023】耐熱性保護シートとしては、綿編織物、綿
不織布、パルプ類、レーヨンシート等が挙げられるが、
これによって限定されるものではない。
【0024】ここでの耐熱性保護シートにおける「耐熱
性」とは、少なくとも電子レンジにて晒されるような温
度に対しては、抵抗力を示し安定であるという性質を意
味する。もちろん、電子レンジにおいて充分な耐熱性を
示すような素材からなる非透湿性シートを用いれば、こ
のような耐熱性保護シートは必要ではない。
【0025】本発明の包装袋における袋本体は、上記し
た非透湿性シートよりなるものである。非透湿性シート
を袋状に形成する方法としては、特に限定はなくどのよ
うな方法を用いても構わない。具体的には、1枚の非透
湿性シートを2つ折りにしたのち、折り目を挟む左右の
両側部における裏表両片を接合する方法、互いに略同形
状の非透湿性シートを2枚、あるいはそれ以上の枚数重
ね、結果的に開口部が形成するように、所定の箇所を接
合する方法などがある。接合の方法としては、熱溶着
法、熱圧着法、接着剤による方法、縫合法、かしめ法な
ど公知の方法が挙げられる。
【0026】このようにして得られた袋本体の形状とし
ては、四角形、三角形、円形、半円形、楕円形など様々
な形状が挙げられ、特に限定されるものではない。ま
た、マチ無し扁平状であってもよいし、嵩だかのものを
収納することを考慮して、マチ付き立体状としてもよ
い。
【0027】本発明で使用し得る吸水性シートとして
は、従来公知のものを使用することができる。その具体
例としては、クレープティシュー紙や和紙などのパルプ
類、綿不織布、綿編織物、レーヨン不織布、レーヨン編
織物、綿あるいはレーヨンとパルプとの混合物からなる
シートなどが挙げられる。また、吸水性能に支障をきた
さない程度に、ポリエステルやポリプロピレンなどの合
成樹脂が混入されていても構わない。さらには、ウレタ
ンスポンジシート等の合成樹脂発泡シートも使用可能で
ある。
【0028】その他、ポリビニルアルコール系、セルロ
ース系、アクリル酸系等の高吸水性ポリマーを、綿やパ
ルプ等からなる複数のシート状物の間に挟み込んだ多層
構造の吸水性シートであっても構わない。この場合、樹
脂製のバインダーを用いて、高吸水性ポリマーが両側の
シート状物の間で容易に移動しないように(ばらつかな
いように)してもよいし、また予めポリエチレンの粉体
を高吸水性ポリマーと混ぜておき、前記シートで挟み込
んだのちヒートシールして一体化しても構わない。吸水
性シートにおいて高吸水性ポリマーが分布する範囲は、
該高吸水性ポリマーが縁部より零れ落ちるというおそれ
があるという理由で縁部を除いた範囲が妥当であるが、
高吸水性ポリマーの脱落の心配が無い場合には、該高吸
水性ポリマーが吸水性シートの全面に存在していても構
わない。
【0029】上記のように、高吸水性ポリマーを用いた
場合、吸水層における保水量が高くなり、つまり多量の
水を含ませることができるので、処理時間を長くする必
要がある場合に充分対応し得る。
【0030】上記吸水性シートは、非透湿性シートから
なる袋本体の内部に配されるものであるが、吸水性シー
トの配し方としては、特に限定されるものではなく、袋
本体と同形状のものを開口部から差し入れて袋本体の内
部に配する方法、袋本体を形成する際、吸水性シートを
非透湿性シート間に介在させておき、該非透湿性シート
と吸水性シートとを一緒に接合する方法等が挙げられ
る。
【0031】吸水性シートは、袋本体の内部において、
1枚配されていてもよいし、2枚配されていてもよい
し、それ以上の枚数配されていてもよい。また、吸水性
シートが袋本体の内部において袋状をなしていてもよ
い。前記吸水性シートは、袋本体の内面に接着されてい
てもよいし、されていなくてもよい。接着される場合に
あっては、それは点接着でもよいし、線接着でもよい
し、全面接着でもよい。
【0032】本発明で使用し得る密封手段としては、前
記袋本体の開口部を密封可能となすものであればどのよ
うなものであってもよい。具体的には、ジッパー(一方
側の内面に設けた溝状凹部と、該溝状凹部に嵌め込むよ
うに他方側に設けた凸条体からなるもの)、非透湿性シ
ートの一端より延設されたあるいは非透湿性シートとは
別個の、片面に粘着剤を付与した開口部被覆片、氷枕の
開口部を塞ぐ際に使用するような、開口部付近を外側か
ら機械的に挟み込むための挟込み部材、針金や紐などの
細条体、などが挙げられる。
【0033】上記密封手段を有する包装袋にあっては、
該包装袋の破裂を防止するために、必ず蒸気排出手段が
具備されていなければならない。前記蒸気排出手段とし
ては、袋本体の内部に発生する蒸気を徐々に外部に逃が
し得るものであればどのようなものでもよい。具体的に
は、袋本体に設けられた多数のピンホールまたは切り込
み、1個あるいは2〜3個の小孔(前記ピンホールより
は大きい孔)、袋本体に孔を設け、該孔に被覆された不
織布や編織物あるいは切れ目が入ったゴム片、内部から
の押圧(蒸気圧)により開く通気弁、などが挙げられ
る。
【0034】本発明で使用し得る閉合手段としては、袋
本体の開口部を、該袋本体の内外を流通可能となす隙間
を存した状態で閉塞し得るものであれば、どのようなも
のであってもよい。具体的には、非透湿性シートの一端
より延設されたあるいは非透湿性シートとは別個の、片
面に粘着剤を部分的に付与した開口部被覆片、部分的に
開口部を閉じることのできる挟込み部材、針金や紐など
の細条体などが挙げられる。
【0035】なお、上記閉合手段を有する包装袋にあっ
ては、前記密封手段を有する包装袋と異なり、前記した
ような蒸気排出手段を設けなくても、内部に発生する蒸
気は開口部における隙間から抜けていくので破裂を防止
できる。しかし、それほど内圧を高くする必要がない場
合には、上記閉合手段を有する包装袋にも前記した蒸気
排出手段を設けてもよい。
【0036】本発明の包装袋の使用方法および使用状態
について、以下簡単に説明する。まず、包装袋の内部に
水を入れ、しばらくしたのち排水する。これにより、吸
水性シートに水が保持され保水層となる。この時、含水
量を調節する目的で軽く搾ってもよいし、搾らなくても
よい。
【0037】このような保水状態にある包装袋の内部に
被処理物を収納し、包装袋の開口部を密封手段によりあ
るいは閉合手段により閉じ、包装袋ごと電子レンジの庫
内に入れ、スイッチをONにする。
【0038】電磁波照射中において、発せられた電磁波
は非透湿性シートを通過し、吸水性シートにおける水の
分子に当たる。これにより吸水性シートに保持されてい
る水分が少しずつ水蒸気に変わっていく。包装袋におけ
る袋本体は非透湿性シートからなるため、次第に内部に
水蒸気が充満するとともに、包装袋の内圧が上昇する。
被処理物は前記保水層に覆われているため、該保水層か
ら発せられる蒸気に晒され、周囲から均一に蒸されて加
熱される。前述したように、包装袋の内圧が上昇してい
るため、加熱効果が向上する。このときの温度は、およ
そ100〜120℃ほどにまで達する。これにより、被
処理物に付着しているウイルスはもちろん、細菌をも死
滅させることができる。
【0039】吸水性シートを通過する電磁波もあり、こ
の電磁波による被処理物の滅菌、消毒の効果も期待され
る。しかるに、被処理物に対して行なわれる高圧下での
蒸しの作用と、電磁波により直接行なわれる加熱作用と
の両方の作用があいまって、被処理物の滅菌、消毒が確
実に行なわれることになる。前述したように、吸水性シ
ートをさらに通過する電磁波もあるが、もはやその量は
少なくなっており、例えば哺乳ビンの乳首のようなゴム
製のものであっても、添加物を溶出させることなく、あ
るいは溶出させても極めて微小な量となる。また、例え
ばハサミやピンセットのような金属製のものであって
も、電子レンジの故障となるようなスパーク(火花)を
発生させることなく、あるいは発生させることがあって
も極めて微小な量となる。
【0040】本発明の包装袋を用いて行なう滅菌、消
毒、食品加工などの電磁波処理の対象となり得るものと
しては、ゴム手袋、チューブ等のゴム製品のほか、注射
器、試験管などのガラス製品、ピンセット、ハサミ、メ
ス、その他、歯科領域におけるミラー、ドリル、グライ
ンダ、口腔ヘラ等の金属製品等が挙げられる。なお、本
発明の包装袋を用いて滅菌を行なう際の所要時間は、被
処理物の大きさや材質によって異なるので一概には言え
ないが2〜8分程度である。
【0041】本発明の包装袋を用いて、例えばご飯、天
麩羅、コロッケ等の食品を加熱処理する場合や冷凍食品
を解凍処理する場合、特に使用方法が変わるということ
もなく、上述した使用方法で行なえる。すなわち、包装
袋における吸水性シートに水を保持させたのち、前記食
品を内部に収納し、電子レンジの中に入れる。
【0042】加熱中においては、発せられた電磁波は吸
水性シートを加熱し、これにより該吸水性シートに保持
されている水分が少しずつ水蒸気に変わっていく。包装
袋における袋本体が非透湿性シートからなることから、
15〜30秒もすれば包装袋の内部は水蒸気で充満し、
前記包装袋の内圧が高くなる。これにより、被処理物は
均一に蒸されることになる。これとともに、包装体を通
過して被処理物に達した電磁波により被処理物は直接加
熱される。このような被処理物に対して均一に行なわれ
る高圧下での蒸しの作用と、電磁波により直接行なわれ
る加熱作用との両方の作用があいまって、例えばご飯な
ら、炊きたてのようにふっくらと仕上がり、天麩羅やコ
ロッケなら、揚げたてのような仕上がりとなる。
【0043】また、加熱中に被処理物から水分が放出さ
れても、この水分は包装袋における吸水性シートに速や
かに吸収されるので、被処理物の下部に水が溜まるよう
な心配はなく、下部が過度に蒸されてふやけてしまうと
いう問題も起こり得ない。
【0044】本発明の包装袋は袋状をなしているので、
被処理物の収納、取り出しが容易であり、ご飯や豆等の
様なこまごまとした食品を取り扱う場合でも、該食品が
散らばって収集がつかなくなってしまうといった心配は
ない。
【0045】さらに、加熱処理後にあっては、合成樹脂
製のラップフィルムを用いた場合に起こる粘着性の増大
はみられず、またラップフィルムを用いた場合と比べて
取出し口(開け口)も比較的容易にさがせ、食品の取り
出しに苦労するようなこともなくなる。
【0046】なお、上記包装袋への包み込みは、電子レ
ンジでの処理直前に行なってもよいが、被処理物を冷凍
庫に入れて保存する前に該被処理物を包装袋に包んでお
いても構わない。すなわち、包装袋の吸水性シートに水
を含ませておき、シューマイや豚まん等の冷凍食品をこ
の保水状態にある包装袋で包んだのち、冷凍庫に入れて
保存する。このようにすれば、被処理物を食べる前に水
を含ませたり、包み込んだりする手間が省け、冷凍庫か
ら取り出すとすぐに電子レンジで処理することができる
ので好適である。
【0047】なお、本発明の包装袋は、密封手段を備え
る場合にあっては上記排出手段を有し、閉合手段を備え
る場合にあっては内外を流通可能にする隙間を有してい
ることから、包装袋が、増大する内圧に耐えきれなくな
って破裂してしまうというおそれはなくなる。
【0048】なお、包装袋における吸水性シートに前も
って水を含ませる代わりに、水を入れた容器を、該容器
の開口部を閉蓋せずに収納しても構わない(請求項
3)。
【0049】電磁波照射中にあっては、容器自身の加熱
に伴って、あるいは容器内の水が直接電磁波により加熱
されることにより、前記容器の開口部から水、水蒸気が
吐出し、結果的に包装袋の内部に水蒸気が充満してい
く。
【0050】このように、水を入れた容器を使用するこ
とにより、包装袋の内部に水を入れて吸水性シートに水
を含ませるといった作業を省略することができる。すな
わち、予め水を入れた容器を閉蓋した状態で多数用意し
ておき、処理するごとに容器の蓋をあけて被処理物と一
緒に本発明の包装袋の内部に収納すればよく、特に、病
院、診療所などの医療機関において好適となる。
【0051】水を入れた容器を包装袋の内部に収納した
際、一気に容器内の水が該容器の開口部から流れ出て
も、包装袋の内部には吸水性シートが配されており、流
れ出た水はこれに吸収されるので問題はない。しかし、
均一な蒸し作用を期待するという意味で、どちらかとい
えば、前記容器を包装袋の内部に収納した際、容器内の
水が該容器の開口部から流れ出ないように、あるいは流
れ出ても少量であるように、前記開口部の大きさを小さ
くしておく方が好ましい。具体的には、直径1〜8mm
程度であることが好ましい。また、前記容器にメス(目
盛)を設けておけば、さらに好ましい。
【0052】上述したように、本発明の包装袋を使用す
れば、直接被処理物に照射される電磁波は少なくなるの
で、該被処理物がハサミ、ピンセット等の金属製器具で
あっても電子レンジで滅菌することができる。しかし、
直接照射される電磁波は皆無ではないため、上記金属製
器具によってスパークが発生する可能性もまた無いでは
ない。そして、それがハサミやメス等の刃物器具である
場合、刃部が損傷する可能性もある。
【0053】上記問題に鑑み、次の方法により滅菌を行
なうことが好適である。すなわち、厚み方向に貫通する
小孔を多数有する金属シートの一方側に吸水性シートが
積層されてなる複合シートに、被処理物を、前記吸水性
シートに水を含ませたのち該吸水性シートが内側となる
ように包み込み、のち本発明の包装袋の内部に収納して
電磁波を照射する(請求項4)。
【0054】電子レンジより照射され、吸水性シートを
通過した電磁波は、前記金属シートにまで達する。そし
て、金属シートにまで達した電磁波は、そのほとんどが
これによってさらなる進行は遮られるものの、一部は小
孔を通ることにより金属シートを通過し得、金属シート
の内側に配された吸水性シートにおける水を加熱せしめ
る。このときの温度は、前述したように包装袋の内圧が
高くなっていることから、120℃前後であり、前記被
処理物は、このような高熱にさらされることにより、滅
菌、消毒されることになる。しかも、金属シートをも通
過した電磁波は、前記金属シートの内側の吸水性シート
によりさらなる進行が遮られ、結果的に、被処理物に直
接照射される電磁波は皆無となる。これにより、被処理
物が金属製器具であっても、該被処理物が原因となるス
パーク発生の可能性は完全に無くなり、前記被処理物
が、ハサミやメス等の刃物器具であっても、刃部が損傷
するようなおそれはない。当然のことながら、前記複合
シートにおける金属シートが原因となってスパークが発
生る可能性はあるが、単に前記金属シートが損傷するだ
けであり、特に問題にはならない。
【0055】上記複合シートを使用すれば、前述したよ
うに、被処理物に直接照射される電磁波は皆無となり、
しかも被処理物を加熱することができる。この原理を利
用して、ゆでたまごを電子レンジで作ることが可能とな
る。
【0056】周知のとおり、たまごを殻のまま電子レン
ジで調理すると、たまごの殻が破裂してしまう。これ
は、たまごの殻に直接電磁波が照射されることが原因で
あるが、電磁波を遮蔽し得る前記複合シートを使用すれ
ば、破裂の危険はなくなり、しかも吸水性シートからの
加熱により、ほどよくゆであがる。
【0057】
【実施例】以下、本発明を、実施例を挙げて説明する
が、本発明は、これによって限定されるものではない。
【0058】請求項1および請求項2に相当する実施例 (密封手段と蒸気排出手段を備えた包装袋の実施例)図
1に示す本発明の包装袋(10)は、その中央縦断面図で
ある図2に明瞭に示されているように、袋本体(12)の
内部に1枚の吸水性シート(14)が配されたものであ
る。
【0059】袋本体(12)は、ポリエチレン層−ポリプ
ロピレン層の2層構造をなす非透湿性シートからなって
いる。縦長の長方形状の前記非透湿性シートを、ポリエ
チレン層が内側となるように中央部にて2つ折にし、幅
方向の左右両側部において、裏表両片を熱溶着してい
る。
【0060】吸水性シート(14)は、袋本体(12)と同
幅であり、素材は綿(100%)である。吸水性シート
(14)は、袋本体(12)の片側内面に点接合されてい
る。
【0061】袋本体(12)の上部には、ジッパー(16)
が設けられている。ジッパー(16)は、袋本体(12)の
片方の内面側に設けた溝状凹部(16a)と、溝状凹部
(16a)に嵌め込むように他方に設けた凸条体(16b)
からなっている。ジッパー(16)によって、袋本体(1
2)の開口部(20)を密封することができる。
【0062】符号(18)は、袋本体(12)に設けられた
直径2mm程度の小孔である。小孔(18)は、袋本体
(12)の上部中央に1つ、下部左右両側に1つずつの計
3個設けられている。
【0063】上記構成の包装袋(10)の内部に、被処理
物であるハサミ、ピンセット、聴診器などの医療器具ま
たは冷凍ピザ、天麩羅などの食品を収納したのち、電子
レンジにて滅菌、消毒処理または解凍、再加熱処理を行
なうが、この点については後で説明する。
【0064】なお、図3に示すように、袋本体(12)の
内部に配する吸水性シート(14)の長さを小さくするこ
ともできる。
【0065】また、図4に示すように、吸水性シート
(14)を袋本体(12)の内面に接合せず、左右両側のみ
で接合することもできる。これにより、包装袋(10)の
内部に複数の収納室が形成し、異なる被処理物を別々に
入れることができる。
【0066】図5に示すように、袋状をなす吸水性シー
ト(14)を配しても構わない。これは、図6に示すよう
に、2つ折りにした吸水性シート(14)の外側を、同じ
く2つ折りにした非透湿性シートで被覆し、幅方向にお
ける左右両側にて表裏4片を溶着、接着などの方法によ
り接合することにより製造することができる。
【0067】図7および図8に示すように、ジッパー
(16)に代えて、挟込み部材(24)を用いても構わな
い。この挟込み部材(24)は、2本の棒状体を一端側に
て連結してなる本体(24a)と、他端側に嵌め込むため
のリング(24b)からなっている。
【0068】図9および図10に示すように、上記ジッ
パー(16)の代わりに、開口部被覆片(26)を設けても
構わない。開口部被覆片(26)は、袋本体(12)から延
設されているとともに、その内方面における左端部から
右端部までの間に粘着剤(27)が付与されている。
【0069】袋本体(12)に設けた小孔(18)は、包装
用袋(10)の破裂を防止するものであるが、この小孔
(18)の代わりに、多数のピンホール(小孔よりはるか
に小さい孔)を設けても構わない。
【0070】また、図11に示すように、袋本体(12)
に切込み(28)を設けることもできる。図では、L字状
の切込み(28)を示したが、この他に、I字状、U字
状、V字状、X字状、Y字状のものであっても構わな
い。
【0071】図12に示すように、袋本体(12)に穴
(30)を開け、それを覆うようにして空隙率の低い(密
な)不織布(32)を、内側からあるいは外側から貼り合
わせても構わない。
【0072】あるいは、図13に示すように、中央部分
に+字状の切込み(34)を設けたゴム製シート(36)を
前記穴(30)に貼り合わせることもできる。
【0073】図14に示すように、袋本体(12)に開け
た穴(30)に、金属製などのボール(38)を用いた開閉
弁(40)を使用することもできる。この開閉弁(40)
は、中央部分に流通穴(42、ボール(38)の直径より小
径)を有する支持板(44)の外側にU字状のストッパー
(46)を2個設けることにより、前記ボール(38)を収
納する空間が形成されたものである。
【0074】上記構成の開閉弁(40)を、2個のU字状
のストッパー(46)における交差部分が上となるように
袋本体(12)を電子レンジの庫内に入れて処理すれば、
袋本体(12)の内圧の上昇とボール(38)の自重のバラ
ンスにより、ボール(38)が上下し、流通穴(42)を介
する水蒸気の排出を効果的に行なえる。
【0075】図15(a)および図15(b)に示すよ
うに、中央に蒸気流通穴(48)を有する皿状の本体(4
9)に、円形の蓋体(50)を袋本体(12)の外側から捩
じ込み、この蓋体(50)の緩解により、内部に発生した
蒸気を逃がすように構成することもできる。この場合、
蓋体(50)をどの程度緩解するかで、水蒸気の排出量を
変える(調節する)ことができる。
【0076】図16に示すように、袋本体(12)に開け
た穴(30)に、ゴム製で円筒状をなす凸体(76)を差込
んでも構わない。この凸体(76)は、軸方向外側に向け
て膨出しているとともに、先端が径方向外側に向かって
突出しており、中央には袋本体(12)の内外を流通可能
にするスリット(78)が設けられたものである。この場
合、前記穴(30)から凸体(76)が脱落するのを防ぐ目
的で、硬質のリング(80)を圧入しておくことが好適で
ある(図参照)。
【0077】上述した実施例は、すべて、袋本体(12)
の開口部(20)を密封し、蒸気排出用手段を備えた包装
袋(10)の実施例であるが、前記開口部(20)を密封す
る手段と蒸気排出手段の代わりに、袋本体(12)の内外
を流通可能となす隙間を存した状態で開口部(20)を閉
塞し得る閉合手段を設けることもできる。以下、その点
を図面に基づいて説明する。なお、前記閉合手段以外は
同じなので、説明は省略する。
【0078】(閉合手段を備えた包装袋の実施例)図1
7に示すように、開口部被覆片(52)が袋本体(12)か
ら延設されている。開口部被覆片(52)は、その内側面
において左端部から右端部まで不連続に、粘着剤(28)
が付与されている。このような開口部被覆片(52)によ
り袋本体(12)の開口部(20)を覆っても、完全に開口
部(20)を密封することはできず、袋本体(12)の内外
を流通可能となす隙間を存した状態で開口部(20)が閉
塞されるにとどまる。この隙間が、密封手段を設けた場
合の蒸気排出手段と同じ作用を示す。すなわち、包装袋
(10)の破裂を防止する。
【0079】図18に示すように、前図にて示した開口
部被覆片(52)を外側に折り返すとともに、幅方向の左
右両側にて袋本体(12)と溶着したものであっても構わ
ない。この場合、粘着剤(27)は付与されていても良
く、されていなくても良い。いずれにしろ、図における
矢印および二点鎖線で示したように、開口部被覆片(5
2)を起こして開口部(20)に被せればよい。これによ
り、袋本体(12)の内外を流通可能となす隙間を存した
状態で開口部(20)を閉塞することができる。
【0080】図19に示すように、袋本体(12)に幅方
向に延びる切込み(56)を設けるとともに、袋本体(1
2)から差込み片(54)を延設し、前記した切込み(5
6)に、差込み片(54)を差込んで開口部(20)を閉塞
してもよい。
【0081】また、図20および図21に示すように、
図7で示した挟込み部材(24)における本体(24a)
に、袋本体(20)を挟み込まない湾曲部(24c)を設け
た挟込み部材(24´)を用いても構わない。
【0082】図22に示すように、袋本体(12)より延
設された断面V字状の被覆片(58)と、この上に被せ
る、同じく袋本体(12)より延設された折返し片(60)
とにより閉合手段を構成しても構わない。
【0083】図23(a)に示すように、中央部を除く
左右両側部に、図1で示したようなジッパー(62)(6
2)を設けることもできる。前記したジッパー(62)(6
2)の下方において、図23(b)および図23(c)
に示すように、さらにもう一つのジッパー(64)を併設
してもよい。
【0084】図24(a)(b)および図25(a)
(b)に示すように、袋本体(12)から延設した開口部
被覆片(82)により袋本体(12)の開口部(20)を覆っ
たのち、開口部被覆片(82)における幅方向左右両側を
袋本体(12)と溶着したものであっても構わない。この
場合、開口部被覆片(82)の下端と袋本体(12)の上端
とを手で摘んで、矢印で示すように互いに相反する方向
に引っ張れば、袋本体(12)の開口部(20)が開き、こ
れにより、被処理物を包装袋(10)の内部に収納するこ
とができる。
【0085】上記したの包装袋(10)の使用方法及び使
用状態について、以下に説明する。まず、包装袋(10)
の内部に、適当量の水を入れる。包装袋(10)の内部に
は、吸水性シート(14)が配されており、前記した水
は、直ちにこの吸水性シート(14)に吸収される。の
ち、軽く搾って余分な水を排出させる。なお、この搾る
工程は必ずしも必要ではなく、ある程度の量の水が、包
装用袋(10)の底部に溜っていても構わない。
【0086】次いで、滅菌、消毒処理の対象物である、
例えば、ハサミ、ピンセットを包装袋(10)の中に入
れ、例えばジッパー(16)により開口部(20)を密封し
て、電子レンジ(図示せず)の庫内におけるテーブルの
上に載せる。この時、袋本体(12)の内部に1枚の吸水
性シート(14)が配された包装袋(10)にあっては、該
吸水性シート(12)が被処理物より上になるように包装
用袋(10)をテーブルの上にのせるか、あるいは、包装
用(10)を2つ折りにしておくことが好ましい。そし
て、電子レンジのスイッチをONにすれば、電磁波が包
装袋(10)に照射される。電磁波照射中において、発せ
られた電磁波は袋本体(12)を通過し、吸水性シート
(14)における水の分子に当たる。これにより吸水性シ
ート(14)に保持されている水分が少しずつ水蒸気に変
わっていく。包装袋(10)における袋本体(12)は非透
湿性シートからなるため、内部に水蒸気が充満するに従
って包装袋(10)の内圧が上昇するものの、隙間や、小
孔(18)等の蒸気排出手段が設けられているため、包装
袋(10)が破裂するようなおそれはない。
【0087】被処理物は吸水性シート(14)から発せら
れる蒸気に晒され、周囲から均一に蒸されて加熱され
る。前述したように、包装袋(10)の内圧が上昇してい
るため、このときの温度は、およそ100〜120℃ほ
どにまで達する。これにより、被処理物に付着している
ウイルスはもちろん、MRSAをはじめとする細菌をも
死滅させることができる。
【0088】吸水性シート(14)を通過する電磁波もあ
り、この電磁波による被処理物の滅菌、消毒の効果も期
待される。しかるに、被処理物に対して行なわれる高圧
下での蒸しの作用と、電磁波により直接行なわれる加熱
作用との両方の作用があいまって、被処理物の滅菌、消
毒が確実に行なわれることになる。前述したように、吸
水性シート(14)をさらに通過する電磁波もあるが、も
はやその量は少なくなっており、例えば哺乳ビンの乳首
のようなゴム製のものであっても、添加物を溶出させる
ことなく、あるいは溶出させても極めて微小な量とな
り、簡便に、かつ安全に滅菌、消毒することができる。
また、例えばハサミやピンセットのような金属製のもの
であっても、電子レンジの故障となるようなスパーク
(火花)を発生させることなく、あるいは発生させるこ
とがあっても極めて微小な量となり、簡便に、かつ安全
に滅菌、消毒することができる。
【0089】請求項3に相当する実施例 なお、被処理物を包装袋(10)に入れる前に、予め吸水
性シート(14)に水を含ませたが、これに代えて、水を
入れた容器を閉蓋せずに、被処理物と一緒に入れても構
わない(図26参照)。
【0090】すなわち、水を入れたガラス製、合成樹脂
製などの容器(66)(開口部の直径は3mm程度)を多
数用意しておき、閉蓋した状態で置いておく。処理する
ときに、容器(66)を1つあるいは複数とり、蓋を外し
て被処理物と一緒に包装袋(10)の内部に入れ、のち、
電子レンジのテーブル(T)の上にのせる。
【0091】電磁波照射中にあっては、容器(66)自身
の加熱に伴って、あるいは容器(66)内の水が直接電磁
波により加熱されることにより、前記容器(66)の開口
部から水、水蒸気が吐出し、結果的に包装袋(10)の内
部に水蒸気が充満していく(図27参照)。
【0092】このように、水を入れた容器(66)を使用
することにより、包装袋(10)の内部に水を入れて吸水
性シート(14)に水を含ませる、といった作業を省略す
ることができ、特に、病院、診療所などの医療機関にお
いて好適となる。
【0093】請求項4に相当する実施例 上述したように、本発明の包装袋(10)を使用すれば、
直接被処理物に照射される電磁波は少なくなるので、該
被処理物がハサミ、ピンセット等の金属製器具であって
も電子レンジで滅菌することができる。しかし、直接照
射される電磁波が皆無となる分けではないので、スパー
クが発生する可能性も無いではない。そして、それがハ
サミやメス等の刃物器具である場合、刃部が損傷する可
能性もある。この問題に鑑み、次の方法により滅菌を行
なうこともできる。
【0094】すなわち、図28〜図29に示す複合シー
ト(68)により被処理物を包んだのち、上記構成の包装
袋(10)に入れて電磁波を照射することもできる(図3
0参照)。
【0095】前記複合シート(68)は、厚み方向に貫通
する小孔(70)を多数有するアルミニウム箔(72)の一
方側に、同形の吸水性シート(74)が積層されたもので
ある。複合シート(68)で、被処理物を包み込むとき、
吸水性シート(74)に水を含ませたのち該吸水性シート
(74)が内側となるようにする。
【0096】電子レンジより発せられ、吸水性シート
(74)を通過した電磁波は、前記アルミニウム箔(72)
にまで達する。そして、アルミニウム箔(72)にまで達
した電磁波は、そのほとんどがこれによってさらなる進
行は遮られるものの、一部は小孔(70)を通ることによ
りアルミニウム箔(72)を通過し得、アルミニウム箔
(72)の内側に配された吸水性シート(74)における水
を加熱せしめる。このときの複合シート(68)内の温度
は、前述したように包装袋(10)の内圧が高くなってい
ることから、120℃前後にまで上がり、前記被処理物
は、このような高熱にさらされることにより、滅菌、消
毒されることになる。
【0097】しかも、アルミニウム箔(72)をも通過し
た電磁波は、前記アルミニウム箔(72)の内側の吸水性
シート(74)によりさらなる進行が遮られ、結果的に、
被処理物に直接照射される電磁波は皆無となる。これに
より、被処理物が金属製器具であっても、該被処理物が
原因となるスパーク発生の可能性は完全に無くなり、前
記被処理物が、ハサミやメス等の刃物器具であっても、
刃部が損傷するようなおそれはない。当然のことなが
ら、前記複合シート(68)におけるアルミニウム箔(7
2)が原因となってスパークが発生する可能性はある
が、単に前記アルミニウム箔(72)が損傷するだけであ
り、特に問題にはならない。
【0098】なお、図面は省略するが、本発明の包装袋
(10)の内部における吸水性シート(14)の内側に、前
記したような多数の貫通孔(70)を有するアルミニウム
箔(72)等の金属箔を配し、さらに、前記金属箔の内側
に吸水性シートを配した袋体を用いても構わない。
【0099】
【発明の効果】本発明の包装袋により、被処理物がゴム
製、金属製など、どのようなものであっても、電子レン
ジにて簡便に、かつ安全に、しかも確実にその滅菌、消
毒が可能となる。
【0100】さらには、おにぎり、肉まん、てんぷら、
各種冷凍製品などの食品の加熱、再加熱、解凍、下拵え
を行なう際において、過乾燥をひきおこさず、これら食
品に対して均一な処理を施すことができる。
【0101】また、前記包装袋を用いて簡便性に優れた
電磁波処理法を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す包装袋の斜視図であ
る。
【図2】前図におけるA−A線断面図である。
【図3】他の実施例を示す包装袋の中央縦断面図であ
る。
【図4】さらに他の実施例を示す包装袋の中央縦断面図
である。
【図5】さらに他の実施例を示す包装袋の中央縦断面図
である。
【図6】前図における包装袋の中央横断面図である。
【図7】他の密封手段を示す斜視図である。
【図8】前図における密封手段を用いて開口部を密封し
た状態を示す平面図である。
【図9】さらに他の実施例を示す包装袋の斜視図であ
る。
【図10】前図の中央縦断面図である。
【図11】袋本体に設けた切込みを示す部分拡大斜視図
である。
【図12】他の蒸気排出手段を示した部分拡大図であ
る。
【図13】他の蒸気排出手段を示した部分拡大図であっ
て、(a)は断面図、(b)は外面からみた図である。
【図14】他の蒸気排出手段を示した部分拡大斜視図で
ある。
【図15】他の蒸気排出手段を示した部分拡大断面図で
あって、(a)は閉じた状態を示し、(b)は開放した
状態を示す図である。
【図16】他の蒸気排出手段を示した部分拡大図であ
る。
【図17】閉合手段を備えた包装袋の斜視図である。
【図18】他の閉合手段を備えた包装袋の斜視図であ
る。
【図19】他の閉合手段を備えた包装袋の斜視図であ
る。
【図20】他の閉合手段を備えた包装袋の斜視図であ
る。
【図21】前図における閉合手段を用いて開口部を閉塞
した状態を示す平面図である。
【図22】他の閉合手段を備えた包装袋の縦断面図であ
る。
【図23】(a)、(b)はともに他の閉合手段を備え
た包装袋の斜視図であり、(c)は、(b)におけるC
−C線断面図である。
【図24】他の閉合手段を備えた包装袋の図であり、
(a)は斜視図、(b)は要部拡大断面図である。
【図25】他の閉合手段を備えた包装袋の図であり、
(a)は斜視図、(b)はD−D線断面図である。
【図26】本発明の包装袋を用いて行なう処理法の一例
を示す一部切欠平面図である。
【図27】前図の断面図である。
【図28】複合シートの斜視図である。
【図29】前図に示した複合シートの部分拡大断面図で
ある。
【図30】複合シートに包み込んだ被処理物を包装袋に
中に入れて処理している状態を示した縦断面図である。
【符号の説明】
10……包装袋 12……袋本体 14……吸水性シート 16……ジッパー 18……小孔 20……(包装袋の)開口部 24……挟込み部材 27……粘着剤 28……切込み 52……開口部被覆片

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子レンジ等の電磁波照射器具における庫
    内にて用いる包装袋であって、 非透湿性シートからなる袋本体と、 前記袋本体の内部に配された吸水性シートと、 開口部を密封可能となす密封手段か、あるいは袋本体の
    内外を流通可能となす隙間を存した状態で開口部を閉塞
    し得る閉合手段を有してなり、 前記密封手段を有する場合にあっては、さらに、前記袋
    本体の内部に発生する水蒸気を徐々に外部に逃がすため
    の蒸気排出手段を備えてなることを特徴とする包装袋。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の包装袋における吸水性シ
    ートに水を含ませるとともに、被処理物を前記包装袋の
    内部に収納し、のち電磁波を照射することを特徴とする
    電磁波処理法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の包装袋の内部に、水を入
    れた容器を、該容器の開口部を閉蓋せずに収納するとと
    もに被処理物を収納し、のち電磁波を照射することを特
    徴とする電磁波処理法。
  4. 【請求項4】厚み方向に貫通する小孔を多数有する金属
    シートの一方側に吸水性シートが積層されてなる複合シ
    ートに、被処理物を、前記吸水性シートに水を含ませた
    のち該吸水性シートが内側となるように包み込み、のち
    請求項1に記載の包装袋の内部に収納して電磁波を照射
    することを特徴とする電磁波処理法。
JP5040024A 1993-03-01 1993-03-01 電磁波照射器具の庫内にて用いる包装袋及びこれを用いて行なう電磁波処理法 Pending JPH06255633A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3038901U (ja) * 1996-12-20 1997-06-30 ジェクス株式会社 哺乳ビン消毒袋
KR100292240B1 (ko) * 1998-09-19 2001-06-01 김방현 음식물 요리용 합성수지재 용기구조
JP2007236402A (ja) * 2005-02-18 2007-09-20 Hirohisa Kida 簡易温度調節袋
JP2009095553A (ja) * 2007-10-18 2009-05-07 Jex Inc 消毒用バッグ
WO2011083589A1 (ja) * 2010-01-06 2011-07-14 石崎資材株式会社 湯たんぽ
JP2017024789A (ja) * 2015-07-28 2017-02-02 凸版印刷株式会社 包装袋

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