JPH08119164A - 履帯用パッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 履板に簡単に取付けられ、かつ走行中脱落す
る心配の少ない履帯用パッドを提供する。 【構成】 履帯を構成する履板１の踏面１ａに、履帯用
パッド本体２を着脱自在に取付けた装軌式車両におい
て、上記履帯用パッド本体２を構成する金属板２ａの一
端側に、弾性体２ｂ内に頭部４ａを埋設して固定ボルト
４を設け、また金属板２ａの他端側にはボルト孔２ｅを
穿設して、このボルト孔２ｅに取付けボルト３を上記弾
性体２ｂ側より挿入すると共に、上記取付けボルト３を
履板１の端部より取付けボルト３までの距離Ｌ₁ よりや
や遠い位置となるよう履板１に穿設した取付け孔１ｃに
挿入してナット３ｂで締付けることにより、履板１に対
して履帯用パッド本体２を取付けるようにしたもので、
ナット３ｂを締付けると取付けボルト３が直立して金属
板２ａを固定ボルト４と反対の方向へけん引するため、
金属板２ａに引張力が発生して、振動などによりナット
３ｂ，４ｂが緩むことがないため、走行中履帯用パッド
本体２が脱落する心配が少ない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は無限軌道を備えた装軌
式車両の履帯に取付けて路面を保護する履帯用パッドに
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来ブルドーザやパワショベルのような
無限軌道を備えた装軌式車両においては、ピンにより無
端状に接続された多数のリンクと、これらリンクに取付
けられた履板より構成された履帯を有しており、この履
帯をスプロケットにより回転駆動することにより走行す
るようになっている。また上記履帯を構成する履板は、
乾地などを走行する場合、板体の接地面（踏面）に突条
（グローサ）を突設した鉄製のものが使用されている。
このため舗装道路などを走行すると履板により舗装面が
損傷されるため、従来では履板に硬質ゴムなどよりなる
履帯用パッドを取付けて、舗装面が損傷されるのを防止
している。

【０００３】また上記履帯用パッドとして従来から種々
の構造のものが提案されている。例えば実開平３−２４
４８５号公報では図１に示すように、硬質ゴム素材で作
られた略四角柱状のパッド本体ａと、これの長手方向両
端部にボルトｂにて着脱可能に固着され、かつ履板の端
部に係合するための鉤部材ｃ，ｃとからなっており、ま
た上記パッド本体ａの底面には履板の突条（グローサ）
に嵌合する溝ｄが設けてあり、この溝ｄを履板の突条に
係合することにより、上記両鉤部材ｃ，ｃで履板に取付
けられたパッドが履板とこれの走行方向に係合するよう
にしたものが提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし上記従来のもの
にあっては、左右両側の鉤部材ｃ，ｃを介して履板に取
付けているため、その取付けて作業を左右のそれぞれの
履帯の両側で行なわなければならず、作業性が悪く、ま
たその取付け用ボルトが履帯用パッドの両側に突出する
ので、走行時にこれが他のものに接触してこの突出部
（ボルトや鉤部材）が破損脱落する虞れがあるなどの不
具合があった。この発明はかかる不具合を改善するため
になされたもので、作業現場で履板に容易かつ確実に取
付けられるようにした履板用パッドを提供することを目
的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達
成するために、履帯を構成する履板の踏面に、履帯用パ
ッド本体を着脱自在に取付けた装軌式車両において、上
記履帯用パッド本体を構成する金属板の一端側に、上記
弾性体内に頭部を埋設して固定ボルトを設け、また金属
板の他端側にはボルト孔を穿設して、このボルト孔に取
付けたボルトを上記弾性体側より挿入して設けると共
に、上記取付けボルトを履板の端部より取付けボルトま
での距離よりやや遠い位置となるよう履板に穿設した取
付け孔に挿入してナットで締付けることにより、履板に
対して履帯用パッド本体を取付けるようにしたものであ
る。

【０００６】

【作 用】上記構成により、取付けボルトに螺合した
ナットを締付けると、いままで斜めの状態にあった取付
けボルトが取付け孔の端部を支点として立ち上り、この
ときテコの原理で金属板を固定ボルトと反対の方向へけ
ん引するため、固定ボルトとの間で引張力が発生して走
行中ナットが緩むことがないため、履帯用パッド本体が
脱落するのを防止することができる。

【０００７】

【実 施 例】この発明の一実施例を図２以下に示す図
面を参照して詳述する。これら図において１は鉄製の履
板で、長方形状の板材より形成されており、踏面１ａ側
に、両側縁と中央部に長手方向に沿って突条１ｂが突設
されている。そしてこの履板１の踏面１ａに履帯用パッ
ド本体２が着脱自在に取付けられるようになっている。
上記履帯用パッド本体２は上記履板１の踏面１ａに密着
するよう折曲げ形成された金属板２ａと、この金属板２
ａの踏面側に接着などの手段で固着された硬質ゴムより
なる弾性体２ｂよりなる。上記弾性体２ｂは踏面２ｃが
平坦に形成されたほぼ台形となっていて、底面は金属板
２ａとほぼ同一形状に形成されており、金属板２ａに密
着するように接着されていると共に、金属板２ａの踏面
１ａと密着する面には、履板１をリンクに固着するリン
クボルト（図示せず）が嵌合する複数の逃げ孔２ｆが穿
設されている。これら逃げ孔２ｆは、リンクボルトの位
置が履帯によって異なることから、これらに対応できる
よう例えば長手方向に細長い長孔より形成されており、
これら逃げ孔２ｆに合せて弾性体２ｂの一部も切除され
て凹部２ｇが形成されている。

【０００８】一方上記金属板２ａの一端側には、頭部４
ａが弾性体２ｂ側で金属板２ａに溶着された固定ボルト
４が設けられていると共に、他端側には履帯用パッド本
体２を履板１へ取付ける際金属板２ａに引張力を発生す
る取付けボルト３を挿通するためのボルト孔２ｅが穿設
されている。上記ボルト孔２ｅは取付けボルト３の頭部
３ａが抜け出ない大きさの円孔より形成されていて、弾
性体２ｂ側より取付けボルト３が斜めに挿通されてお
り、取付けボルト３の頭部３ａの頂部は弾性体２ｂ内で
水平となるように、図５に示す斜線部分が斜めに切除さ
れている。

【０００９】また上記取付けボルト３が挿入される履板
１側の取付け孔１ｃは、図５に示すように固定ボルト４
側の端部より上記ボルト孔２ｅまでの距離Ｌ₁ よりやや
遠い距離Ｌ₂ の位置に穿設された長孔よりなり、取付け
ボルト３に螺合したナット３ｂを締付けることにより、
次のように履帯用パッド本体２が履板１へ取付けられる
ようになっている。

【００１０】次に上記構成された履帯用パッド本体２を
履板１へ取付ける作用を説明すると、予め工場などで製
作された履帯用パッド本体２を装軌式車両が稼働してい
る作業現場へ持ち込んで、装軌式車両が舗装道路などを
走行する際などに履板１の踏面１ａ側に取付けるもの
で、取付けに当っては、まず履帯用パッド本体２の金属
板２ａの一端に設けられた固定ボルト４を履板１の一端
側に穿設された取付け孔１ｄに挿入してナット４ｂを螺
装し、この状態で履帯用パッド本体２に予め斜めに取付
けられた取付けボルト３を履板１の他端側に設けられた
取付け孔１ｃへ図５に示すように挿入する。そして履板
１の裏側から取付けボルト３に螺合したナット３ｂを締
め付けると、取付けボルト３の首部が当接する取付け孔
１ｃの端部を支点Ａとして取付けボルト３が立ち上り、
このときテコの原理で履帯用パッド本体２の金属板２ａ
を固定ボルト４の反対方向へ強くけん引する。これによ
って金属板２ａと履板１を固定する固定ボルト４と取付
けボルト３間に強い引張力が発生するため、走行中の振
動に対してナット３ｂが緩むことがなくなり、履帯用パ
ッド本体２の脱落を防止することができるようになる。
以下上記操作を繰返して全ての履板１の踏面１ａに履帯
用パッド本体２を取付けるもので、簡単な操作で履帯用
パッド本体２が取付けられるようになる。

【００１１】

【発明の効果】この発明は以上詳述したように、履帯用
パッド本体の金属板の一端に固定ボルトをそして他端側
に取付けボルトを設けて、この取付けボルトを、上記履
板の端部から取付けボルトまでの距離よりやや遠い位置
となるよう履板に形成した取付け孔に挿入してナットで
締付けるようにしたことから、ナットの締付けに伴い、
いままで斜めの状態にあった取付けボルトが取付け孔の
端部を支点に立ち上り、このとき金属板を固定ボルトと
反対の方向へけん引するため、金属板を緊張させた状態
で履板に履帯用パッドを取付けることができる。これに
よって走行中振動力によりナットが緩んで履帯用パッド
が履板より脱落することがないため、舗装道路などの路
面を履板により損傷することがないと共に、金属板の固
定ボルト及び取付けボルトを履板の取付け孔に挿入後取
付けボルトに螺合したナットを締付けるだけで履帯用パ
ッドを取付けることができるため、作業現場でも短時間
で能率よく履帯用パッドの脱着が行えるようになる。ま
た履板をリンクへ固着しているリンクボルトと合致する
位置の金属板に、長手方向に細長い異径状の逃げ孔を設
けたことから、履帯によってリンクボルトの位置が異な
っても、取付けが可能であるなど汎用性も高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の履帯用パッド本体を示す分解斜視図であ
る。

【図２】この発明の一実施例になる履帯用パッドの一部
切欠側面図である。

【図３】この発明の一実施例になる履帯用パッド本体の
取付けボルト側の分解斜視図である。

【図４】図２のＸ−Ｘ線に沿う断面図である。

【図５】この発明の一実施例になる履帯用パッド本体を
履板へ取付ける際の作用説明図である。

【符号の説明】

１…履帯、１ｃ…取付け孔、２…履帯用パッド本体、２
ａ…金属板、２ｂ…弾性体、２ｅ…ボルト孔、２ｆ…逃
げ孔、３…取付けボルト、３ｂ…ナット、４…固定ボル
ト、Ｌ₁ …履板端部から取付けボルトまでの距離。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 履帯を構成する履板１の踏面１ａに、履
   帯用パッド本体２を着脱自在に取付けた装軌式車両にお
   いて、上記履帯用パッド本体２を構成する金属板２ａの
   一端側に、弾性体２ｂ内に頭部４ａを埋設して固定ボル
   ト４を設け、また金属板２ａの他端側にはボルト孔２ｅ
   を穿設して、このボルト孔２ｅに取付けたボルト３を上
   記弾性体２ｂ側より挿入すると共に、上記取付けボルト
   ３を履板１の端部より取付けボルト３までの距離Ｌ₁ よ
   りやや遠い位置となるよう履板１に穿設した取付け孔１
   ｃに挿入してナット３ｂで締付けることにより、履板１
   に対して履帯用パッド本体２を取付けることを特徴とす
   る履帯パッド。
2. 【請求項２】 履板１をリンクへ固定するリングボルト
   ６と合致する位置の金属板２ａに、長手方向に細長い異
   径状の逃げ孔２ｆを形成してなる請求項１記載の履帯用
   パッド。