JPH0811814B2 - 熱交換器フィン用アルミニウム合金圧延板およびその製造方法 - Google Patents

熱交換器フィン用アルミニウム合金圧延板およびその製造方法

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JPH0811814B2
JPH0811814B2 JP4302895A JP30289592A JPH0811814B2 JP H0811814 B2 JPH0811814 B2 JP H0811814B2 JP 4302895 A JP4302895 A JP 4302895A JP 30289592 A JP30289592 A JP 30289592A JP H0811814 B2 JPH0811814 B2 JP H0811814B2
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岩 朱
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、熱交換器のフィン材
として使用されるアルミニウム合金圧延板に関するもの
であり、特に高強度と高延性および良好な熱伝導性を兼
ね備えた熱交換器用アルミニウム合金圧延板およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に広く使用されている熱交換器の構
造としてはプレートフィンタイプのものと、コルゲート
フィンタイプのものとがある。前者のプレートフィンタ
イプの熱交換器のフィン材は、熱交換媒体が流通する管
(媒体流通管)を挿通させるための孔を形成し、かつそ
の孔の内周縁部分を立上がらせて、媒体流通管の外壁と
密着させるためのカラーを形成しておく必要がある。こ
のようなプレートフィンタイプの熱交換器におけるフ
ン材の成形方法としては、従来は一般に絞り成形(ドロ
ー加工)を行なった後、孔打抜加工、孔拡げ加工等を行
なう、所謂ドロー方式が一般的であったが、最近では張
り出し成形としごき成形とを組合せたドローレス方式も
適用されるようになっている。
【0003】ところでアルミニウム合金製熱交換器フィ
ン材としては、純アルミニウム系の1100合金のO材
やH22材、あるいは1050合金のO材やH22材、
さらにはAl−0.2〜0.6%Mn合金のH22材や
H26材が広く用いられている。そのうちドロー方式の
成形を適用する場合は、フィン材として、延性重視の観
点から、より成形性が良好な1100合金や1050合
金のO材あるいはH22材が用いられ、一方ドローレス
方式の成形を適用する場合は、強度重視の観点からAl
−0.2〜0.5%Mn合金のH22材もしくはH26
材を用いるのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】最近では、熱交換器の
軽量化とコスト低減を目的として、フィン材の薄肉化が
求められるようになっている。しかしながら薄肉化を進
めた場合、従来のフィン材では特に強度と延性の点で不
足する問題が発生する。また特に薄肉化を考慮しない場
合でも、フィン材についてはより一層の高強度化と延性
の増大が望まれている。すなわち、熱交換器における媒
体流通管とフィン材との熱伝達を高めて熱交換効率を上
げるためには、熱媒体流通管とフィンとの密着性を高め
ることが必要であり、そのためにはフィン材の高強度化
が必要である。またフィンの成形時の成形不良を少なく
して歩留を向上させるためには、従来よりも一層の高延
性化が望まれる。さらに、ドロー方式の成形とドローレ
ス方式の成形とのいずれも適用可能となるように、高強
度と高延性を兼ね備えたフィン材の開発が望まれてい
る。
【0005】具体的には、圧延方向(L方向)、圧延方
向に対し直角な方向(C方向)の引張り強さがいずれも
120N/mm2 以上の高強度を示し、しかもL方向、C
方向のいずれの方向の伸びも10%を越えるようなアル
ミニウム合金フィン材を開発することが急務とされてい
る。そのほか、熱交換器フィン材には、熱交換効率を高
めるため、従来よりも一層熱伝導性が良好であることが
望まれる。
【0006】 この発明は以上のような事情を背景とし
てなされたもので、ドロー方式やドローレス方式によっ
て成形されるプレートフィンタイプの熱交換器用のフィ
ン材として、高強度と高延性を兼ね備え、かつ熱伝導性
も良好なフィン用アルミニウム圧延板を提供することを
目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するため、本発明者等が鋭意実験・検討を重ねた結果、
Al−Mn系のアルミニウム合金について、その合金成
分、不純物成分の含有量を適切に調整して、Mn系析出
物の析出状態を適切に制御し、これによって均一かつ微
細なサブグレイン組織もしくは微細再結晶粒組織を得る
ことによって、強度と延性のバランスが優れかつ熱伝導
性も良好な圧延板が得られることを見出し、この発明を
なすに至ったのである。
【0008】 具体的には、請求項1の発明の熱交換器
フィン用アルミニウム合金圧延板は、ドロー方式もしく
はドローレス方式によってフィン材にカラー付きの孔を
形成しておき、そのカラー付きの孔に媒体流通管を挿通
させて、媒体流通管の外壁をカラーの内面に密着させる
形式の熱交換器に用いられるフィン用アルミニウム合金
圧延板において、Mn0.6wt%を越え2.5wt%
以下を含有し、不純物としてのFeが0.6wt%未
満、Siが0.5wt%未満にそれぞれ規制され、かつ
Mn含有量[Mn(wt%)]とFe含有量[Fe(w
t%)]との積[Mn(wt%)]×[Fe(wt
%)]の値が0.5未満に規制され、残部がAlおよび
不可避的不純物よりなり、しかもMn系金属間化合物析
出物が0.01〜3μmのサイズで5×10個/mm
以上の密度で分布し、さらにマトリックスの断面の8
5%以上の面積が0.5〜15μmの範囲内の径のサブ
グレイン組織もしくは微細再結晶粒組織によって占めら
れており、さらに導電率が45%IACS以上であり、
圧延方向の引張り強さと圧延方向に対し直角な方向の引
張り強さがいずれも120N/mm以上でかつ圧延方
向の伸びと圧延方向に対し直角な方向の伸びがいずれも
10%を越えることを特徴とするものである。
【0009】また請求項2の発明の熱交換器フィン用ア
ルミニウム合金圧延板は、請求項1で規定する元素のほ
か、さらにMg0.05〜0.3wt%、Cu0.05〜
0.3wt%、Zn0.05〜1.5wt%のうちの1種ま
たは2種以上を含有する合金からなるものである。
【0010】 一方請求項3の発明の熱交換器フィン用
アルミニウム合金圧延板の製造方法は、ドロー方式もし
くはドローレス方式によってフィン材にカラー付きの孔
を形成しておき、そのカラー付きの孔に媒体流通管を挿
通させて、媒体流通管の外壁をカラーの内面に密着させ
る形式の熱交換器に用いられるフィン用アルミニウム合
金圧延板の製造方法において、鋳造法としてDC鋳造法
(半連続鋳造法)を適用した場合の製造方法について規
定したものであって、Mn0.6wt%を越え2.5w
t%以下を含有し、さらに必要に応じてMg0.05〜
0.3wt%、Cu0.05〜0.3wt%、Zn0.
05〜1.5wt%のうちの1種または2種以上を含有
し、また不純物としてのFeが0.6wt%未満、Si
が0.5wt%未満にそれぞれ規制され、かつMn含有
量[Mn(wt%)]とFe含有量[Fe(wt%)]
との積[Mn(wt%)]×[Fe(wt%)]の値が
0.5未満に規制され、残部がAlおよび不可避的不純
物よりなるアルミニウム合金をDC鋳造法によって鋳造
した後、得られた鋳塊を350〜550℃の範囲内の温
度で0.5〜20時間加熱し、350〜550℃の温度
で熱間圧延を開始して熱延板とし、さらに最終冷間圧延
率が60%以上となるように冷間圧延を行なってから、
200〜500℃の範囲内の温度で0.5〜20時間の
最終焼鈍を施すことによって、Mn系金属間化合物析出
物が0.01〜3μmのサイズで5×10個/mm
以上の密度で分布し、さらにマトリックスの断面の85
%以上の面積が0.5〜15μmの範囲内の径のサブグ
レイン組織もしくは微細再結晶粒組織によって占められ
ており、かつ導電率が45%IACS以上である圧延板
を得ることを特徴とするものである。
【0011】 また請求項4の発明の熱交換器フィン用
アルミニウム合金圧延板の製造方法は、ドロー方式もし
くはドローレス方式によってフィン材にカラー付きの孔
を形成しておき、そのカラー付きの孔に媒体流通管を挿
通させて、媒体流通管の外壁をカラーの内面に密着させ
る形式の熱交換器に用いられるフィン用アルミニウム合
金圧延板の製造方法において、鋳造法として連続鋳造圧
延法(薄板連続鋳造法)を適用した場合の製造方法につ
いて規定したものであって、請求項3で規定したと同様
な成分組成のアルミニウム合金を連続鋳造圧延法によっ
て鋳造した後、得られた鋳造板に冷間圧延を施すにあた
り、冷間圧延前もしくは冷間圧延中途において350〜
610℃の範囲内の温度で0.5〜20時間の熱処理を
施し、最終冷間圧延率が60%以上となるように冷間圧
延を施した後、200〜500℃の範囲内の温度で0.
5〜20時間加熱する最終焼鈍を施すことによって、M
n系金属間化合物析出物が0.01〜3μmのサイズで
5×10個/mm以上の密度で分布し、さらにマト
リックスの断面の85%以上の面積が0.5〜15μm
の範囲内の径のサブグレイン組織もしくは微細再結晶粒
組織によって占められており、かつ導電率が45%IA
CS以上である圧延板を得ることを特徴とするものであ
る。
【0012】さらに請求項5の発明の熱交換器フィン用
アルミニウム合金圧延板の製造方法は、請求項3もしく
は請求項4の方法において、最終冷間圧延率を90%以
上としたものである。
【0013】
【作用】先ずこの発明におけるアルミニウム合金の成分
組成の限定理由について説明する。
【0014】Mn:Mnはこの発明のフィン用アルミニ
ウム合金圧延板において基本となる重要元素であり、M
nを含有させておくことによって、鋳造時に固溶された
Mnが熱処理によって微細なMn系析出物として析出
し、その微細なMn系析出物が多量かつ高密度に析出す
ることによって圧延組織を安定化し、再結晶を遅らせて
最終焼鈍時に均一かつ微細なサブグレイ組織もしくは微
細再結晶粒組織を得るに寄与する。そしてこのような微
細なサブグレイン組織もしくは微細再結晶粒組織は、強
度と延性のバランスに最も優れている。したがってMn
は最終的に高強度と高延性とを兼ね備えた圧延板を得る
に大きく寄与する。またMnが析出することによって導
電率も高くなり、熱伝導性が良好となる。Mn量が0.
6wt%以下では上述のような効果を充分に得ることがで
きず、一方2.5wt%を越えれば粗大なMn化合物が生
成されて、成形性を阻害する。したがってMn含有量は
0.6wt%を越え2.5wt%以下の範囲に限定した。な
お鋳造法としてDC鋳造法を適用する場合は、Mn量は
2.3wt%以下とすることが好ましい。
【0015】[Mn(wt%)]×[Fe(wt%)]:こ
の発明では前述のように固溶Mnを熱処理によって微細
なMn系金属間化合物析出物として析出させることが重
要であるが、Mnの固溶度はFe量に関係し、Fe量の
増加に伴なってMnの固溶度が急激に低下する。Mnの
固溶度が下がれば、鋳造時の固溶Mn量が少なくなって
Mn系析出物の析出量が少なり、その結果最終焼鈍時に
微細なサブグレイン組織もしくは微細再結晶粒組織が得
られなくなり、強度、延性のバランスの良い圧延板が得
られなくなるばかりでなく、鋳造時に固溶されなかった
Mnが粗大なAl6 Mn、Al6 (MnFe)の晶出物
として多量に晶出し、成形性を悪化させてしまう。Fe
含有量が多くてMnの固溶度が低い場合に多量のMnが
添加されれば、上述のような粗大晶出物が生成される傾
向が強くなり、一方Fe含有量が少なくてMnの固溶度
が大きい場合には、比較的多量のMnが添加されても粗
大晶出物が生じるおそれは少ない。したがってFe量と
Mn量との積の値でその上限を規定する必要がある。具
体的には、[Mn(wt%)]×[Fe(wt%)]の値が
0.5以上となれば、粗大晶出物による成形性低下のお
それが強くなる。[Mn(wt%)]×[Fe(wt%)]
の値が0.5未満であれば、粗大な晶出物が少なくなっ
て、成形性を損なうおそれが少なくなり、しかも微細な
Mn系析出物が高密度で分布して微細なサブグレイン組
織もしくは微細再結晶粒組織を得て、強度と延性のバラ
ンスの良い圧延板を得ることが可能となる。したがって
この発明ではMn含有量とFe含有量のみならず、Mn
量とFe量との積の値を規制している。
【0016】Fe:Feは通常のアルミニウム合金にお
いて不可避的に含有される不純物元素であり、この発明
においては、Mn量との関係で前述のように規制してい
るが、Fe量の絶対量も規制する必要がある。Fe量が
0.6wt%以上となれば、粗大なAl6 (MnFe)の
晶出物が生成され、成形性を害するから、Feの絶対量
を0.6wt%未満に規制することとした。
【0017】Si:Siも通常のアルミニウム合金で不
可避的に含有される不純物元素であるが、この発明にお
いては、Si含有量が少ないほどサブグレイン組織もし
くは微細再結晶粒組織が安定化し、強度と延性のバラン
スの良い圧延板を得るに好適となる。Si量が0.5wt
%以上となればサブグレイン組織もしくは微細再結晶粒
組織を安定して得難くなり、粗大な再結晶粒が生成され
やすくなって、強度と延性のバランスが悪くなる。した
がってSi量は0.5wt%以下に規制することとした。
【0018】以上の各元素のほかは、基本的にはAlお
よびFe,Si以外の不可避的不純物とすれば良いが、
強度のより一層の向上のために、必要に応じてMg,C
u,Znのうちの1種または2種以上を添加しても良
い。これらの添加理由は次の通りである。
【0019】Mg:Mgは強度向上に寄与する元素であ
るが、0.05wt%未満ではその効果が得られず、一方
0.3wt%を越えればマトリックスのサブグレイン組織
もしくは微細再結晶粒組織が不安定となり、粗大な再結
晶粒が生成されやすくなって、強度と延性のバランスを
損なうおそれがある。したがってMgを添加する場合
は、0.05〜0.3wt%の範囲内とする。
【0020】Cu:Cuも強度向上に寄与する元素であ
るが、0.05wt%未満ではその効果が得られず、一方
0.3wt%を越えれば延性と耐食性が低下する。したが
ってCuを添加する場合のCu量は0.05〜0.3wt
%の範囲内とした。
【0021】Zn:Znも強度向上に寄与する元素であ
るが、0.05wt%未満ではその効果が得られず、一方
1.5wt%を越えれば強度と延性のバランスをとりにく
くなる。
【0022】なおMg,Cu,Znは通常のアルミニウ
ム合金でも不可避的に含有されることが多い元素であ
り、この発明の場合も、0.05wt%未満のMg、0.
05wt%未満のCu、0.05wt%未満のZnはいずれ
も不純物として不可避的に含有されていても構わない。
【0023】そのほか不可避的不純物としてCr,V,
Zrが含有されることがあるが、いずれも0.3wt%ま
では許容される。それぞれ0.3wt%を越えれば粗大な
金属間化合物が生成されて、成形性を阻害するおそれが
ある。
【0024】さらに一般のアルミニウム合金において
は、鋳塊結晶粒微細化のために少量のTiを単独で、ま
た少量のTiを微量のBと組合せて添加することがある
が、この発明の場合においても鋳造時に組織の安定化の
ためにTi、もしくはTiおよびBを添加しても良い。
この場合Tiが0.01wt%未満ではTi添加の効果が
なく、Tiが0.3wt%を越えればTiAl3 の粗大化
合物が生成され、またBが0.0001wt%未満ではB
添加の効果がなく、Bが0.1wt%を越えれば粗大Ti
2 粒子が生成されて成形性を阻害する。したがってT
iは0.01〜0.3wt%、Bは0.0001〜0.1
wt%の範囲内とすることが好ましい。
【0025】この発明の熱交換器フィン用アルミニウム
合金圧延板においては、合金の成分元素のみならず、析
出物の状態、組織、導電率、引張り強さおよび伸びを規
定している。これらの限定理由については、部分的には
既に合金成分に関して述べたところであるが、次に改め
て説明する。
【0026】析出物の状態:0.01〜3μmのサイズ
の微細なMn系金属間化合物析出物を、5×104個/m
m2 以上の高密度で分散させておくことによって、冷間
圧延時に導入される歪が均一化され、冷延組織が均一か
つ安定となり、そのため最終冷延後の最終焼鈍時に均一
かつ微細なサブグレイン組織もしくは微細再結晶粒組織
を容易かつ安定に得ることが可能となる。その結果、後
に改めて説明するように、高強度と高延性を兼ね備えた
圧延板、すなわち強度と伸びのバランスの優れた圧延板
を得ることが可能となる。Mn系析出物のサイズが0.
01μm未満では、冷延組織を安定化させて微細なサブ
グレイン組織もしくは微細再結晶組織を安定して得るこ
とができず、また3μmを越える場合も、冷延組織を安
定化させて微細なサブグレイン組織もしくは微細再結晶
組織を安定して得ることができない。さらに0.01〜
3μmのサイズのMn系析出物の密度が5×104 個/
mm2 未満の場合も同様である。
【0027】組織状態:この発明の圧延板では、最終焼
鈍後の製品板の状態で、マトリックスがそのほぼ全面に
わたって微細なサブグレイン組織もしくは微細再結晶組
織で占められている必要がある。すなわち、一般に冷間
加工後の熱処理時においては、連続再結晶タイプの焼鈍
軟化の過程でサブグレイン(亜結晶粒)組織と称される
微細な組織が生じ、その後サブグレインが成長して微細
な再結晶粒となり、さらに再結晶粒の成長、粗大化が生
じることが知られているが、この発明の場合、冷間圧延
後の最終焼鈍時において、微細なサブグレイン組織の状
態、もしくは粗大な再結晶粒が生じない程度の微細な再
結晶組織の状態で安定化させておくことによって、強度
と延性のバランスの優れた圧延板とすることができる。
ここで、サブグレイン組織における亜結晶粒径もしくは
微細再結晶組織における再結晶粒径が0.5μm未満で
は、高強度は得られるが延性不足となり、一方15μm
を越えれば、延性は高くなるが強度不足となり、いずれ
の場合も強度と延性のバランスを良好に保つことが困難
となる。なお15μmを大幅に越えた粗大再結晶粒が生
じれば、強度、延性ともに低下する。また0.5〜15
μmの粒径のサブグレイン組織もしくは微細再結晶組織
は、マトリックスの全面を占めていることが望まれる
が、断面の面積率にして85%以上であれば実質的に良
好な程度の強度と延性のバランスを得ることができ、8
5%未満では強度、延性の良好なバランスを得ることが
困難となる。したがって最終板の状態で、0.5〜15
μmのサイズ(亜結晶粒径もしくは再結晶粒径)のサブ
グレイン組織もしくは微細再結晶組織が面積率で85%
以上占めていることを必須とした。
【0028】導電率:アルミニウム合金における導電率
は、実質的に熱伝導性の指標となるが、導電率が45%
IACS未満では熱交換器フィン材として熱伝導性が劣り、
良好な熱交換特性が得られなくなる。したがって導電率
は45%IACS以上と規定した。
【0029】引張り強さ:熱交換器用フィン材としての
成形に耐え、しかもフィンのカラー部分が媒体流通管と
確実かつ安定して密着するためには、引張り強さがL方
向、C方向のいずれの方向でも120N/mm2 以上であ
ることが必要である。
【0030】伸び:材料の伸びは成形性の一つの指標で
あり、熱交換器フィン用圧延板においては、その伸びが
10%を越えることが優れた成形性を得るために必要で
ある。この場合、L方向、C方向のいずれかの伸びが1
0%以下でも成形性は悪くなる。したがってL方向、C
方向のいずれの伸びも10%を越えることが必要であ
る。
【0031】次にこの発明の熱交換器フィン用アルミニ
ウム合金圧延板の製造方法、すなわち請求項3〜請求項
5の発明について説明する。
【0032】先ず前述のような成分組成の合金を常法に
従って溶製し、DC鋳造法(半連続鋳造法)もしくは連
続鋳造圧延法(薄板連続鋳造法)によって鋳造する。鋳
造の後の工程については、以下ではDC鋳造材の場合と
連続鋳造圧延材の場合とに分けて説明する。
【0033】DC鋳造法により得られた鋳塊の場合に
は、必要に応じて均熱処理(均質化処理)を行なってか
ら、熱間圧延前の予備加熱を行なうか、または均熱処理
を兼ねて熱間圧延前予備加熱を行ない、熱間圧延を施
す。ここで、鋳塊段階での加熱は、単に鋳塊組織の均質
化の目的あるいは鋳塊の温度を熱間圧延に適した温度と
する目的だけではなく、鋳造時に固溶されたMnを微細
なMn系金属間化合物析出物として多量に析出させるた
めに重要な工程である。すなわちこの発明では既に述べ
たように微細なMn系金属間化合物を高密度で析出させ
ることが、最終焼鈍時に微細なサブグレイン組織もしく
は微細再結晶粒組織を得て強度と延性のバランスの優れ
た圧延板を得るために必須であり、また高導電率を得る
ためにも必要である。そしてこのように微細なMn系金
属間化合物を高密度で析出させるために、熱間圧延前の
鋳塊加熱条件が重要であり、350〜550℃の範囲内
の温度に0.5〜20時間加熱する必要がある。加熱温
度が350℃未満では、Mn系析出物の析出量が少な
く、前述の効果が得られない。一方550℃を越えれば
析出物が粗大となり、サブグレイン組織もしくは微細再
結晶粒組織の安定化に有効でなくなる。また加熱時間が
0.5時間未満でもMn系析出物を充分に析出させるこ
とができず、一方20時間を越えてもMn系析出物の析
出量は飽和し、経済性を損なうだけである。なおこのよ
うなMn系析出物の析出のための350〜550℃×
0.5〜20時間の条件の鋳塊加熱は、前述のように均
熱処理もしくは熱間圧延前予備加熱と兼ねて行なえば良
いが、均熱処理と熱間圧延前予備加熱とを別の加熱工程
として行なう場合には、いずれか一方で前述のMn系析
出物析出のための条件範囲内とし、他方を同じ条件もし
くはそれ以下の加熱条件(より低温もしくはより短時
間)とすれば良い。また熱間圧延は、熱間圧延前予備加
熱に引続いて350〜550℃の温度で開始して、常法
に従って行なえば良い。
【0034】熱間圧延後には冷間圧延を行なって所望の
製品板厚(フィン材厚み)とすれば良いが、熱間圧延と
冷間圧延との間、あるいは冷間圧延の中途においては、
冷間圧延性の向上と導電率の向上の観点から、必要に応
じて中間焼鈍を行なっても良い。中間焼鈍はバッチ炉を
用いたバッチ方式、あるいは連続焼鈍炉を用いた連続方
式(CAL方式)のいずれでも良いが、バッチ方式の場
合は300〜550℃において0.5〜20時間保持、
連続方式の場合は400〜600℃において保持なしも
しくは10秒以下の保持とするのが通常である。中間焼
鈍温度がバッチ方式で300℃未満では、また連続方式
で400℃未満では、いずれも再結晶が充分に生じない
ため冷間圧延性の改善が不充分となる。また同じく中間
焼鈍温度がバッチ方式で550℃超、連続方式で600
℃超では、析出物や再結晶粒が粗大となり、最終焼鈍に
よるサブグレイン組織もしくは微細再結晶粒組織の安定
化に不利となる。
【0035】さらに冷間圧延は、最終の冷間圧延率すな
わち最終焼鈍前(中間焼鈍後)の冷間圧延率を60%以
上とする必要がある。すなわち、最終焼鈍前の冷間圧延
率が高くなるほど転位下部組織が発達し、最終焼鈍時の
サブグレイン組織もしくは微細再結晶粒組織が安定とな
る。最終冷間圧延率が60%未満では、場所によって転
位密度の差が明確に生じてしまい、そのため再結晶粒の
粗大化が生じて強度と延性が低下してしまう。なお、よ
り確実かつ安定してサブグレイン組織もしくは微細再結
晶粒組織を得るためには、最終冷間圧延率を90%以上
とすることが好ましい。
【0036】最終冷間圧延後には、強度および延性のバ
ランスを最終的に調整するとともに導電率を向上させる
ために、最終焼鈍を施す。既に述べたようにこの最終焼
鈍によって0.5〜15μmの径(サブグレイン径もし
くは再結晶粒径)のサブグレイン組織もしくは微細再結
晶粒組織を得ることができる。この最終焼鈍は、200
〜500℃の範囲内の温度で0.5〜20時間の保持と
する。最終焼鈍の温度が200℃未満では、軟化が不充
分で、サブグレイン組織もしくは微細再結晶粒組織が得
られず、延性と導電率が低くなってしまう。一方500
℃を越えれば、粗大再結晶粒が生じて強度と延性を損な
ってしまう。また最終焼鈍時間が0.5時間未満でも充
分なサブグレイン組織もしくは微細再結晶粒組織が得ら
れず、一方20時間を越えても経済的に無駄となるだけ
であり、また高温側では再結晶粒の粗大化が生じるおそ
れがある。
【0037】一方、連続鋳造圧延法によって鋳造された
鋳造板の場合は、熱間圧延を行なうことなく、冷間圧延
を行なって所望の製品板厚とするのが通常であり、この
場合、微細なMn系析出物を高密度で析出させるための
析出処理を、冷間圧延前あるいは冷間圧延途中で行なう
必要がある。もちろんこの析出処理は、冷間圧延性向上
のための所謂中間焼鈍と兼ねて行なうことができ、また
この析出処理は、350〜610℃の範囲内の温度で
0.5〜20時間の加熱とする必要がある。温度が35
0℃未満、時間が0.5時間未満では、Mn系析出物を
充分に析出させることができず、そのため導電率が低く
なるとともに、最終焼鈍時にサブグレイン組織もしくは
微細再結晶粒組織を安定して得ることが困難となる。一
方温度が610℃を越えれば析出物が粗大化し、そのた
め最終焼鈍時におけるサブグレイン組織もしくは微細再
結晶粒組織の安定化が困難となる。さらに時間が20時
間を越えれば経済的に無駄となるだけである。
【0038】このようにして、冷間圧延前もしくは冷間
圧延中途において析出処理を行なう点以外の条件は、既
に述べたDC鋳造材の場合と同様である。すなわち最終
焼鈍前の冷間圧延率は60%以上、好ましくは90%以
上とし、最終焼鈍は200〜500℃の範囲内の温度で
0.5〜20時間の加熱とする。
【0039】以上のようにして、DC鋳造材、連続鋳造
圧延材のいずれの場合も、微細なMn系析出物の高密度
の析出のための適切な熱処理を行ない、かつ最終冷間圧
延率を高くし、しかも適切な条件での最終焼鈍を行なう
ことによって、0.5〜15μmの径のサブグレイン組
織もしくは微細再結晶粒組織がマトリックスの85%以
上を占め、導電率が45%以上でかつL方向、C方向の
伸びがいずれも10%を越える高延性を示し、しかもL
方向、C方向の引張り強さがいずれも120N/mm2
上の高強度を示す圧延板を得ることができる。
【0040】
【実施例】表1に示されるA1〜A10、B1〜B8の
符号の合金を、連続鋳造圧延法もしくはDC鋳造法によ
り鋳造し、各鋳塊もしくは鋳造板について、表2、表3
に示すような工程条件で圧延、熱処理を行なった。な
お、表1〜表3において「CC」は連続鋳造圧延を表わ
し、「DC」はDC鋳造法を表わす。また表2、表3に
おいて、括弧内の厚み表示(t)は、いずれも鋳造もし
くは圧延の上り板厚(mm)を示し、さらに最終冷間圧延
についての括弧内の%表示は、冷間圧延率を示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】ここで、合金符号A1〜A10は、いずれ
も成分組成がこの発明で規定する範囲内であって、しか
も製造プロセス条件も全てこの発明で規定する範囲内の
本発明材である。一方合金符号B1〜B8のうち、B1
は、合金成分組成と製造プロセス条件とがいずれもこの
発明の条件を満たしていない(特にMn量が外れる点、
および析出処理に相当する冷間圧延前もしくは冷間圧延
中途での熱処理がない点)比較材であり、またB2,B
5〜B8は、製造プロセス条件はこの発明で規定する範
囲内であるが、合金成分組成がこの発明で規定する範囲
を外れた比較材、さらにB3,B4は合金成分組成はこ
の発明で規定する範囲内であるが、製造プロセス条件、
特に最終冷間圧延率がこの発明の条件(60%以上)を
満たさなかった比較材である。なお、特にB7とB8の
比較材は、従来から熱交換器フィン材に使用されている
JIS規格の1050合金、1100合金に相当する。
【0045】以上のように表2、表3の条件に従って得
られた各圧延材について、L方向、C方向の引張り強さ
と伸びを調べるとともに導電率を調べたのでその結果を
表4、表5に示す。また各圧延材についてMn系析出物
のサイズと分布密度を調べるとともに、サブグレイン組
織もしくは再結晶組織の平均径(亜結晶粒径もしくは再
結晶粒径)を調べ、さらにその径が0.5〜15μmの
範囲内のサブグレイン組織もしくは微細再結晶粒組織が
マトリックスの断面に占める割合を調べたので、それら
の結果を表4、表5に併せて示す。なおこれらの金属組
織は、板表面を光学顕微鏡および電子顕微鏡で撮影した
写真から判定した。
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】表4、表5に示されるように、この発明で
規定する成分組成範囲内の合金について、この発明で規
定するプロセス条件で製造した発明材A1〜A10は、
いずれもMn系析出物のサイズ、密度が適正で、かつマ
トリックスの組織状態も適正であり、特性として引張り
強さがL方向、C方向ともに120N/mm2 以上、伸び
もL方向、C方向ともに10%を越え、強度および延性
のバランスが優れており、しかも導電率も45%以上で
熱伝導性が優れていることが確認された。
【0049】これに対し比較材B1はMn含有量が過剰
であったため、粗大なMn系化合物が鋳造時に晶出する
とともに、析出のための冷間圧延前もしくは冷間圧延中
途での熱処理がないため、Mn系析出物の分布密度が少
なく、伸びがL方向、C方向とも小さいとともに、導電
率も低かった。また比較材B2,B5はいずれも[Mn
(wt%)]×[Fe(wt%)]の値が大きかったもので
あるが、この場合は再結晶粒が粗大化し、充分な高強度
が得られないとともに、C方向の伸びが劣っていた。さ
らに比較材B3,B4はいずれも最終焼鈍前の冷間圧延
率(最終冷間圧延率)が60%に満たなかったものであ
るが、この場合には再結晶粒が粗大化し、高強度が得ら
れず、またC方向の伸びも劣っていた。そしてまた比較
材B6は、Mn量が過少でかつFe量が過剰であっもの
であるが、この場合にはMn系析出物の密度が過少で、
C方向の伸びが小さかった。さらに比較材B7、B8は
従来から熱交換器フィン材として使用されている純アル
ミニウム系の1050合金、1100合金であり、これ
らはMnを積極的に添加していないものであるが、この
場合はMn系析出物の数が少なく、再結晶粒が粗大化し
て、充分な強度が得られなかった。
【0050】
【発明の効果】この発明の熱交換器フィン用アルミニウ
ム合金圧延板は、プレートフィンタイプの熱交換器用の
フィン材として、高強度と高延性とを兼ね備え、熱交換
器フィンの成形方法としてドロー方式、ドローレス方式
のいずれをも適用することができるとともに、フィンの
薄肉化を図っても充分に耐えることができ、しかも熱交
換器におけるフィンの高強度化によって媒体流通管との
密着性を高めることができ、さらには良好な熱伝導性を
有するところから、熱交換器の熱交換効率を高めること
ができる。またこの発明の製造方法によれば、上述のよ
うな優れた性能を有するフィン用アルミニウム合金圧延
板を、連続鋳造圧延法、DC鋳造法のいずれによっても
確実かつ安定して得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドロー方式もしくはドローレス方式によ
    ってフィン材にカラー付きの孔を形成しておき、そのカ
    ラー付きの孔に媒体流通管を挿通させて、媒体流通管の
    外壁をカラーの内面に密着させる形式の熱交換器に用い
    られるフィン用アルミニウム合金圧延板において、 Mn0.6wt%を越え2.5wt%以下を含有し、不
    純物としてのFeが0.6wt%未満、Siが0.5w
    t%未満にそれぞれ規制され、かつMn含有量[Mn
    (wt%)]とFe含有量[Fe(wt%)]との積
    [Mn(wt%)]×[Fe(wt%)]の値が0.5
    未満に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物より
    なり、しかもMn系金属間化合物析出物が0.01〜3
    μmのサイズで5×10個/mm以上の密度で分布
    し、さらにマトリックスの断面の85%以上の面積が
    0.5〜15μmの範囲内の径のサブグレイン組織もし
    くは微細再結晶粒組織によって占められており、さらに
    導電率が45%IACS以上であり、圧延方向の引張り
    強さと圧延方向に対し直角な方向の引張り強さがいずれ
    も120N/mm以上でかつ圧延方向の伸びと圧延方
    向に対し直角な方向の伸びがいずれも10%を越えるこ
    とを特徴とする、熱交換器フィン用アルミニウム合金圧
    延板。
  2. 【請求項2】 請求項1のアルミニウム合金圧延板にお
    いて、さらにMg0.05〜0.3wt%、Cu0.05
    〜0.3wt%、Zn0.05〜1.5wt%のうちの1種
    または2種以上を含有する、熱交換器フィン用アルミニ
    ウム合金圧延板。
  3. 【請求項3】 ドロー方式もしくはドローレス方式によ
    ってフィン材にカラー付きの孔を形成しておき、そのカ
    ラー付きの孔に媒体流通管を挿通させて、媒体流通管の
    外壁をカラーの内面に密着させる形式の熱交換器に用い
    られるフィン用アルミニウム合金圧延板の製造方法にお
    いて、 Mn0.6wt%を越え2.5wt%以下を含有し、さ
    らに必要に応じてMg0.05〜0.3wt%、Cu
    0.05〜0.3wt%、Zn0.05〜1.5wt%
    のうちの1種または2種以上を含有し、また不純物とし
    てのFeが0.6wt%未満、Siが0.5wt%未満
    にそれぞれ規制され、かつMn含有量[Mn(wt
    %)]とFe含有量[Fe(wt%)]との積[Mn
    (wt%)]×[Fe(wt%)]の値が0.5未満に
    規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるア
    ルミニウム合金をDC鋳造法によって鋳造した後、得ら
    れた鋳塊を350〜550℃の範囲内の温度で0.5〜
    20時間加熱し、350〜550℃の温度で熱間圧延を
    開始して熱延板とし、さらに最終冷間圧延率が60%以
    上となるように冷間圧延を行なってから、200〜50
    0℃の範囲内の温度で0.5〜20時間の最終焼鈍を施
    すことによって、Mn系金属間化合物析出物が0.01
    〜3μmのサイズで5×10個/mm以上の密度で
    分布し、さらにマトリックスの断面の85%以上の面積
    が0.5〜15μmの範囲内の径のサブグレイン組織も
    しくは微細再結晶粒組織によって占められており、かつ
    導電率が45%IACS以上である圧延板を得ることを
    特徴とする、熱交換器フィン用アルミニウム合金圧延板
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 ドロー方式もしくはドローレス方式によ
    ってフィン材にカラー付きの孔を形成しておき、そのカ
    ラー付きの孔に媒体流通管を挿通させて、媒体流通管の
    外壁をカラーの内面に密着させる形式の熱交換器に用い
    られるフィン用アルミニウム合金圧延板の製造方法にお
    いて、 Mn0.6wt%を越え2.5wt%以下を含有し、さ
    らに必要に応じてMg0.05〜0.3wt%、Cu
    0.05〜0.3wt%、Zn0.05〜1.5wt%
    のうちの1種または2種以上を含有し、また不純物とし
    てのFeが0.6wt%未満、Siが0.5wt%未満
    にそれぞれ規制され、かつMn含有量[Mn(wt
    %)]とFe含有量[Fe(wt%)]との積[Mn
    (wt%)]×[Fe(wt%)]の値が0.5未満に
    規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるア
    ルミニウム合金を連続鋳造圧延法によって鋳造し、得ら
    れた鋳造板に冷間圧延を施すにあたり、冷間圧延前もし
    くは冷間圧延中途において350〜610℃の範囲内の
    温度で0.5〜20時間の熱処理を施し、最終冷間圧延
    率が60%以上となるように冷間圧延を施した後、20
    0〜500℃の範囲内の温度で0.5〜20時間加熱す
    る最終焼鈍を施すことによって、Mn系金属間化合物析
    出物が0.01〜3μmのサイズで5×10個/mm
    以上の密度で分布し、さらにマトリックスの断面の8
    5%以上の面積が0.5〜15μmの範囲内の径のサブ
    グレイン組織もしくは微細再結晶粒組織によって占めら
    れており、かつ導電率が45%IACS以上である圧延
    板を得ることを特徴とする、熱交換器フィン用アルミニ
    ウム合金圧延板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3もしくは請求項4の方法におい
    て、最終冷間圧延率を90%以上とする、熱交換器フィ
    ン用アルミニウム合金圧延板の製造方法。
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