JP5925022B2 - 熱交換器用アルミニウム合金フィン材、その製造方法及び熱交換器の製造方法 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金フィン材、その製造方法及び熱交換器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、自動車用コンデンサ、エバポレーター、ラジエーター、ヒータ、インタークーラー、オイルクーラー等のように、作動流体通路構成部材(チューブ材)とベアフィン材とが、ろう付けにより接合される熱交換器に用いられているアルミニウム合金フィン材であり、ろう付け後の熱伝導度と強度が高い熱交換器用のアルミニウム合金フィン材に関する。
自動車のラジエータ、エアコン、インタークーラ、オイルクーラーなどの熱交換器は、Al−Mn系合金、Al−Mn−Cu系合金などからなる作動流体通路構成材料(冷媒通路構成材料)と、Al−Mn系合金フィン材とを、ろう付けすることにより製造されている。フィン材には、作動流体通路構成材料を防食するために、犠牲陽極効果が要求されるとともに、ろう付け時の高温加熱により変形したり、ろうが浸透したりしないような優れた耐高温座屈性が要求される。
フィン材として、Al−Mn系合金が使用されるのは、Mnがろう付け時の変形やろうの浸食を防ぐのに有効に作用するためである。そして、犠牲陽極効果を付与するために、この合金に、Zn、Sn、Inなどを添加して、電気化学的に卑にする方法(特開昭62−120455号公報:特許文献1)があり、耐高温座屈性をさらに向上させるためには、Al−Mn系合金にCr、Ti、Zrなどを添加する方法(特開昭50−118919号公報:特許文献2)がある。
最近では、熱交換器の小型化の要求が益々強くなっているため、フィンの熱交換性能の向上が必要となっている。また、更なる軽量化及びコスト低減のためは、薄肉化が必要となるが、そのためには、高強度の材料が必要である。これらの課題を併せて解決するために、高い熱伝導度と強度を兼ね備えたフィン材の開発が望まれている。
例えば、特開昭63−232260号公報(特許文献3)には、従来のAl−Mn系合金では、ろう付け時の加熱によりMnが固溶するために、熱伝導度が低下するという問題を解決するために、Mn含有量を0.8質量%以下に制限し、Zrを0.02〜0.2%、Siを0.1〜0.8%含有したアルミニウム合金が開示されている。
また、特開平11−269589号公報(特許文献4)には、Mn及びSiを含有するフィン材のMn/Si比を規定することにより、ろう付け後の熱伝導度と強度が高く、犠牲陽極効果に優れたフィン材を提供することが開示されている。
また、特開2000−119783号公報(特許文献5)には、Mn、Si及びZnを含み、均質化処理を行わずに中間焼鈍条件及び最終冷間圧延条件を適切にして、0.3μm以下の金属間化合物を多くし、3μm以上の金属間化合物を少なくすることにより、元板強度と高温耐座屈性を改善したフィン材が開示されている。
特開昭62−120455号公報(特許請求の範囲) 特開昭50−118919号公報(特許請求の範囲) 特開昭63−232260号公報(特許請求の範囲) 特開平11−269589号公報(特許請求の範囲) 特開2000−119783号公報(特許請求の範囲)
しかし、特許文献3のアルミニウム合金では、高い熱伝導度を示すが、Mnが少ないために、ろう付け後の強度が不十分であり、また、電位が十分に卑でないために、犠牲陽極効果が小さかった。
また、熱伝導度が高い純アルミニウムに、Zn、Sn、Inを含有させて、犠牲陽極効果を付与したり、Cr、Ti、Zrなどを添加して、耐高温座屈性を改善する試みも行われているが、これらの合金は、熱伝導性に優れているものの、ろう付け後の強度が十分ではない。
また、特許文献4のフィン材では、フィン材の薄肉化を達成するためには、熱伝導性が不十分なため、より一層の熱伝導性の向上が必要である。
また、特許文献5のフィン材は、均質化処理が行われていないため、熱伝導性が劣っている
従って、本発明の目的は、熱交換器のアルミニウム合金フィンの薄肉化の要求を満足させるために、ろう付け後において高い強度と高い熱伝導度を有する熱交換器用アルミニウム合金フィン材を提供することにある。
本発明者らは、強度特性、伝熱性能、犠牲陽極効果及びろう付け性に対する合金成分の影響、合金成分の組み合わせ効果、製造工程について、鋭意検討した結果、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、0.8〜1.6質量%のMn、0.6〜1.4質量%のSi及び0.5〜4.0質量%のZnを含有し、Feの含有量が0.1質量%以下に制限され、Mgの含有量が0.02質量%以下に制限されており、残部Al及び不可避的不純物からなり、マトリックス内における円相当径0.025〜0.4μmの金属間化合物の数密度が2.5個/μm以上であり、マトリックス内における円相当径0.4μmを超える金属間化合物の数密度が10000個/mm以下であり、導電率が55.0%IACS以上であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金フィン材を提供するものである。
また、本発明(2)は、更に、0.30質量%以下のCu、0.40質量%以下のCr、0.25質量%以下のZr、0.10質量%以下のV、0.10質量%以下のIn及び0.10質量%以下のSnのうちのいずれか1種又は2種以上を含有することを特徴とする本発明(1)の熱交換器用アルミニウム合金フィン材を提供するものである。
また、本発明(3)は、半連続鋳造により、0.8〜1.6質量%のMn、0.6〜1.4質量%のSi及び0.5〜4.0質量%のZnを含有し、Feの含有量が0.1質量%以下に制限され、Mgの含有量が0.02質量%以下に制限されており、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金鋳塊を得、次いで、400〜480℃で4〜24時間、該アルミニウム合金鋳塊の均質化処理を行い、次いで、圧延終了温度が400〜480℃となるように、均質化処理材を熱間粗圧延し、次いで、熱間粗圧延材を熱間仕上げ圧延し、次いで、熱間仕上げ圧延材を冷間圧延するか、又は熱間仕上げ圧延材を冷間圧延し、中間焼鈍を行った後、冷間仕上げ圧延して、マトリックス内における円相当径0.025〜0.4μmの金属間化合物の数密度が2.5個/μm 以上であり、マトリックス内における円相当径0.4μmを超える金属間化合物の数密度が10000個/mm 以下であり、導電率が55.0%IACS以上であるアルミニウム合金フィン材を得るアルミニウム合金フィン材作製工程を有することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法を提供するものである。
また、本発明(4)は、半連続鋳造により、0.8〜1.6質量%のMn、0.6〜1.4質量%のSi及び0.5〜4.0質量%のZnを含有し、Feの含有量が0.1質量%以下に制限され、Mgの含有量が0.02質量%以下に制限されており、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金鋳塊を得、次いで、400〜480℃で4〜24時間、該アルミニウム合金鋳塊の均質化処理を行い、次いで、圧延終了温度が400〜480℃となるように、均質化処理材を熱間粗圧延し、次いで、熱間粗圧延材を熱間仕上げ圧延し、次いで、熱間仕上げ圧延材を冷間圧延するか、又は熱間仕上げ圧延材を冷間圧延し、中間焼鈍を行った後、冷間仕上げ圧延して、マトリックス内における円相当径0.025〜0.4μmの金属間化合物の数密度が2.5個/μm 以上であり、マトリックス内における円相当径0.4μmを超える金属間化合物の数密度が10000個/mm 以下であり、導電率が55.0%IACS以上であるアルミニウム合金フィン材を得るアルミニウム合金フィン材作製工程と、
該アルミニウム合金フィン材、冷媒流路管、ヘッダ材及びタンク材の一体物を組み立てた後、590〜620℃で1〜10分間加熱して、該一体物をろう付けするろう付け加熱工程と、
を有すること特徴とする熱交換器の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、熱交換器の製造に用いられるアルミニウム合金フィン材であって、ろう付け後において高い強度と高い熱伝導度を有する熱交換器用アルミニウム合金フィン材を提供することができる。そのため、本発明によれば、熱交換器のフィンの板厚を薄くすることができる。
本発明のアルミニウム合金フィンは、0.8〜1.6質量%のMn、0.6〜1.4質量%のSi及び0.5〜4.0質量%のZnを含有し、Feの含有量が0.1質量%以下に制限され、Mgの含有量が0.02質量%以下に制限されており、残部Al及び不可避的不純物からなり、マトリックス内における円相当径0.025〜0.4μmの金属間化合物の数密度が2.5個/μm以上であり、マトリックス内における円相当径0.4μmを超える金属間化合物の数密度が10000個/mm以下であり、導電率が55.0%IACS以上であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金フィン材である。
本発明のアルミニウム合金フィン材は、アルミニウム合金からなるフィン材、つまり、アルミニウム合金製のフィン材である。
本発明のアルミニウム合金フィン材に係るアルミニウム合金のMn含有量は、0.8〜1.6質量%、好ましくは1.0〜1.3質量%である。Mnは、SiとともにAl−Mn−Si系の化合物を生成し、ろう付け前及びろう付け後の強度を高くし、耐高温座屈性を高くする。そのため、アルミニウム合金のMn含有量が、上記範囲にあることにより、ろう付け前及びろう付け後の強度及び耐高温座屈性が高くなる。一方、アルミニウム合金のMn含有量が、上記範囲未満だと、上記効果が不十分となり、また、上記範囲を超えると、鋳造時に粗大な晶出物が生成して、板厚が薄いフィン材の強度が低くなるほか、Mnの固溶量が多くなるために、熱伝導度が低くなる。
アルミニウム合金のSiの含有量は、0.6〜1.4質量%、好ましくは1.0〜1.3質量%である。Siは、MnとともにAl−Mn−Si系の化合物を生成し、強度を高くするとともに、Mnの固溶量を減少させて熱伝導度を高くする。そのため、アルミニウム合金のSi含有量が、上記範囲にあることにより、強度及び熱伝導度が高くなる。一方、アルミニウム合金のSi含有量が、上記範囲未満だと、上記効果が不十分となり、また、上記範囲を超えると、Siの固溶量が多くなり過ぎるために、熱伝導度が低くなる。
アルミニウム合金のZnの含有量は、0.5〜4.0質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%である。アルミニウム合金のZn含有量が、上記範囲にあることにより、犠牲陽極効果が高くなる。一方、アルミニウム合金のZn含有量が、上記範囲未満だと、上記効果が不十分となり、また、上記範囲を超えると、材料の自己腐食性が劣化してしまう。
アルミニウム合金にFeが固溶すると熱伝導度が低くなるため、Feの含有量は少ないほうが好ましい。また、Feの含有量が多いと、鋳造時に粗大な晶出物が生成して、板厚が薄いフィン材の強度が低くなる。そのため、本発明では、アルミニウム合金のFeの含有量は、0.1質量%以下に制限される。Feの含有量は、0.07質量%以下に制限されることがより好ましい。
アルミニウム合金のMgの含有量が、0.02質量%を超えると、ろう付け性が著しく低くなる。そのため、本発明では、アルミニウム合金のMgの含有量は、0.02質量%以下に制限される。
本発明のアルミニウム合金フィンに係るアルミニウム合金は、更に、0.30質量%以下のCu、0.40質量%以下のCr、0.25質量%以下のZr、0.10質量%以下のV、0.10質量%以下のIn及び0.10質量%以下のSnのうちのいずれか1種又は2種以上を含有することができる。
Cuは、フィンの強度の向上に寄与するが、アルミニウム合金のCuの含有量が0.30質量%を超えると、フィンの電位を貴とし、犠牲陽極効果を損ねるおそれがある。そのため、アルミニウム合金のCuの含有量は、0.30質量%以下が好ましい。
Crは、フィンの強度を向上させ、耐高温座屈性を高くするが、アルミニウム合金のCrの含有量が0.40質量%を超えると、ろう付け後のフィンの熱伝導度が低くなる。そのため、アルミニウム合金のCrの含有量は、0.40質量%以下が好ましい。
Zrは、フィンの強度を向上させ、耐高温座屈性を高くするが、アルミニウム合金のCrの含有量が0.25質量%を超えると、ろう付け後のフィン材の熱伝導度が低くなる。そのため、アルミニウム合金のZrの含有量は、0.25質量%以下が好ましい。
Vは、フィンの強度を向上させ、耐高温座屈性を高くするが、アルミニウム合金のVの含有量が0.10質量%を超えると、ろう付け後のフィン材の熱伝導度が低くなる。そのため、アルミニウム合金のVの含有量は、0.10質量%以下が好ましい。
Inは、フィンの電位を卑にし、微量に添加することで犠牲陽極効果の向上に寄与するが、アルミニウム合金のInの含有量が0.10質量%を超えると、材料の自己腐食性が劣化する。そのため、アルミニウム合金のInの含有量は、0.10質量%以下が好ましい。
Snは、フィンの電位を卑にし、微量に添加することで犠牲陽極効果の向上に寄与するが、アルミニウム合金のSnの含有量が0.10質量%を超えると、材料の自己腐食性が劣化する。そのため、アルミニウム合金のSnの含有量は、0.10質量%以下が好ましい。
ろう付け加熱後のフィンを構成するアルミニウム合金のマトリックス内に存在する円相当径0.025〜0.4μmの微細なAl−Mn−Si系金属間化合物は、フィンの強度を高くする。そして、円相当径0.025〜0.4μmの微細なAl−Mn−Si系金属間化合物は、ろう付け加熱の際に再固溶して減少するので、ろう付け加熱前のアルミニウム合金のマトリックス内に存在する円相当径が0.025〜0.4μmのAl−Mn−Si系金属間化合物の数密度が、2.5個/μm未満だと、フィンの強度を高くする効果が少なくなることに加え、Mnの固溶量が増加して、熱伝導度が低くなる。また、アルミニウム合金のマトリックス内に、円相当径が0.4μmを超える粗大なAl−Mn−Si系金属間化合物が存在し、その数密度が多過ぎると、粗大な金属間化合物が起点となる破断が起こり、ろう付け後の引張強さが低くなってしまう。特に、板厚が薄いフィン材の場合に、顕著である。また、アルミニウム合金のマトリックス内に存在する円相当径が0.4μmを超えるAl−Mn−Si系金属間化合物は、ろう付け加熱時の再結晶を促進させる。そして、ろう付け加熱前のアルミニウム合金のマトリックス内に存在する円相当径が0.4μmを超えるAl−Mn−Si系金属間化合物の数密度が、10000個/mmを超えると、粗大な金属間化合物が起点となる破断が起こり易くなるため、ろう付け後の引張強さが低くなる。
これらのことから、本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材に係るアルミニウム合金のマトリックス内に存在する円相当径0.025〜0.4μmの微細なAl−Mn−Si系金属間化合物の数密度は、2.5個/μm以上であり、且つ、アルミニウム合金のマトリックス内に存在する円相当径0.4μmを超えるAl−Mn−Si系金属間化合物の数密度は、10000個/mm以下である。そして、アルミニウム合金のマトリックス内に存在する円相当径0.025〜0.4μmの金属間化合物の数密度は、好ましくは2.7個/μm以上であり、特に好ましくは3.0〜5.0個/μmである。また、アルミニウム合金のマトリックス内に存在する円相当径0.4μmを超える金属間化合物の密度は、好ましくは8500個/mm以下である。なお、本発明において、金属間化合物の数密度は、10視野以上の走査型電子顕微鏡写真を用いた画像解析により、総面積が0.5mm以上で測定される平均密度である。
本発明のアルミニウム合金フィン材の導電率は、55.0%IACS以上、好ましくは56.0〜61.0%IACSである。アルミニウム合金フィン材の導電率が上記範囲にあることにより、ろう付け加熱後のフィンの熱伝導性が高くなる。
本発明のアルミニウム合金フィン材を600℃で3分間の加熱試験を行った後の導電率は、47.0%IACS以上、好ましくは47.5〜53.0%IACSである。そのため、本発明のアルミニウム合金フィン材は、通常のろう付け加熱条件である590〜620℃で1〜10分間の加熱条件でろう付け加熱された後の熱伝導性が高い。なお、熱伝導度は、導電率との間に、相関関係があるので、導電率を測定することにより、熱伝導度を把握することができる。
本発明のアルミニウム合金フィン材を600℃で3分間の加熱試験を行った後の引張強さは、好ましくは120MPa以上、特に好ましくは125MPa以上、より好ましくは130〜150MPaである。そのため、本発明のアルミニウム合金フィン材は、通常のろう付け加熱条件である590〜620℃で1〜10分間の加熱条件でろう付け加熱された後の強度が高い。
本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材では、化学組成、アルミニウム合金フィン材のマトリックス内の円相当径0.025〜0.4μmの金属間化合物の数密度、円相当径0.4μmを超える金属間化合物の数密度、及び導電率が、上記範囲にあるので、通常のろう付け加熱条件である590〜620℃で1〜10分間のろう付け加熱条件でろう付け加熱された後のフィンの熱伝導度が高く且つ強度が高くなり、犠牲陽極効果及びろう付け性も優れたものとなる。そのため、本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材を用いることにより、熱交換器のフィンの薄肉化が可能となる。
本発明のアルミニウム合金フィン材は、板厚が0.12mm以下、好ましくは0.03〜0.12mmの板厚が薄いフィンの場合に、高い強度と高い熱伝導度を有し、犠牲陽極効果に優れるという本発明の効果が顕著に現れる。
また、加工に供されるアルミニウム合金フィン材、特に、コルゲート加工に供されるアルミニウム合金フィン材のアルミニウム合金のマトリックス内に、円相当径0.4μmを超える粗大なAl−Mn−Si系金属間化合物が多く存在すると、フィン材の板厚が薄い場合に、粗大な金属化合物が起点となる破断が起こり易くなるため、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなる。そのため、本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材は、コルゲート加工され且つマトリックス内における円相当径0.4μmを超えるAl−Mn−Si系金属間化合物の数密度が、10000個/mm以下、好ましくは8500個/mm以下であることにより、ろう付け加熱された後の引張強さが高くなる。
なお、本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材を、プレートフィンとして用いることもできる。
本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材は、以下に示す本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法により、好適に製造される。なお、本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材は、製造方法によって限定されるものではない。
本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法は、半連続鋳造により、Mn含有量が0.8〜1.6質量%、Si含有量が0.6〜1.4質量%、Zn含有量が0.5〜4.0質量%、Feの含有量が0.1質量%以下、Mgの含有量が0.02質量%以下であるアルミニウム合金鋳塊を得、次いで、400〜480℃で4〜24時間、該アルミニウム合金鋳塊の均質化処理を行い、次いで、圧延終了温度が400〜480℃となるように、均質化処理材を熱間粗圧延し、次いで、熱間粗圧延材を熱間仕上げ圧延し、次いで、熱間仕上げ圧延材を冷間圧延するか、又は熱間仕上げ圧延材を冷間圧延し、中間焼鈍を行った後、冷間仕上げ圧延して、アルミニウム合金フィン材を得るアルミニウム合金フィン材作製工程を有することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法である。
本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法は、半連続鋳造と、均質化処理と、熱間粗圧延と、熱間仕上げ圧延と、冷間圧延、あるいは、冷間圧延、中間焼鈍及び冷間仕上げ圧延と、を行い、アルミニウム合金フィン材を得るアルミニウム合金フィン材作製工程を有する。
アルミニウム合金フィン材作製工程では、先ず、半連続鋳造によりアルミニウム合金鋳塊を得る。半連続鋳造の方法は、特に制限されず、適宜、半連続鋳造を行うことができる。
半連続鋳造では、Mn含有量が0.8〜1.6質量%、好ましくは1.0〜1.3質量、Si含有量が0.6〜1.4質量%、好ましくは1.0〜1.3質量%、Zn含有量が0.5〜4.0質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%、Feの含有量が0.1質量%以下、Mgの含有量が0.02質量%以下となるアルミニウム合金鋳塊が得られるように、化学成分の添加量を調節する。
また、半連続鋳造では、アルミニウム合金鋳塊が、更に、0.30質量%以下のCu、0.40質量%以下のCr、0.25質量%以下のZr、0.10質量%以下のV、0.10質量%以下のIn及び0.10質量%以下のSnのうちのいずれか1種又は2種以上を含有するように、化学成分の添加量を調節することができる。
次いで、半連続鋳塊により得られたアルミニウム合金鋳塊を、400〜480℃で4〜24時間の条件で、均質化処理する。均質化処理では、鋳塊の溶質原子の成分偏析を取り除くと共に、ろう付け後の強度に寄与する微細なAl−Mn−Si系金属間化合物を析出させ、熱伝導性を低くする固溶Mnの固溶量を減少させる。均質化処理温度は、400〜480℃、好ましくは420〜470℃である。均質化処理温度が上記範囲にあることにより、均質化効果を得ると共に、微細なAl−Mn−Si系金属間化合物(円相当径が0.025〜0.4μmの金属間化合物)を析出させ、且つ、粗大なAl−Mn−Si系金属間化合物(円相当径が0.4μmを超える金属間化合物)を析出し難くすることができる。一方、均質化処理温度が、上記範囲未満だと、十分な均質化効果が得られないことに加え、Al−Mn−Si系金属間化合物が十分に析出しない。また、均質化処理温度が、上記範囲を超えると、Al−Mn−Si系金属間化合物が粗大化してしまい、強度を高くすることができない。均質化処理時間は、4〜24時間、好ましくは6〜24時間である。均質化処理時間が上記範囲にあることにより、均質化効果を得ると共に、微細なAl−Mn−Si系金属間化合物を析出させ、且つ、粗大なAl−Mn−Si系金属間化合物を析出し難くすることができる。均質化処理時間が、上記範囲未満だと、十分な均質化効果が得られないことに加え、Al−Mn−Si系金属間化合物が十分に析出しない。また、均質化時間が、上記範囲を超えると、Al−Mn−Si系金属間化合物が粗大化してしまい、強度を高くすることができない。なお、均質化処理では、均質化処理温度に応じて、微細なAl−Mn−Si系金属間化合物(円相当径が0.025〜0.4μmの金属間化合物)及び粗大なAl−Mn−Si系金属間化合物(円相当径が0.4μmを超える金属間化合物)の数密度が所定の範囲となるように、均質化処理時間を適宜選択することができる。
次いで、均質化処理を行い得られる均質化処理材を、圧延終了温度が400〜480℃となるように、好ましくは420〜470℃となるように、熱間粗圧延する。熱間粗圧延では、圧延終了温度が上記範囲となるように、温度制御をしながら、熱間粗圧延することにより、微細なAl−Mn−Si系金属間化合物を析出させ、且つ、粗大なAl−Mn−Si系金属間化合物を析出し難くすることができる。熱間粗圧延の圧延終了温度が、上記範囲未満だと、Al−Mn−Si系金属間化合物が十分に形成されない。また、熱間粗圧延の圧延終了温度が、上記範囲を超えると、Al−Mn−Si系金属間化合物が粗大化してしまい、強度を高くすることができず、また、板厚が薄いフィン材の場合、粗大な金属化合物が起点となる破断が起こり易くなるため、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなる。なお、熱間粗圧延とは、熱間において厚さ50mm以下まで圧延する工程を意味する。また、圧延終了温度とは、熱間粗圧延が完了し、続く熱間仕上げ圧延が開始される時の温度を指す。
次いで、熱間粗圧延を行い得られる熱間粗圧延材を、熱間仕上げ圧延する。熱間仕上げ圧延の終了温度は、適宜選択されるが、好ましくは300℃以下、特に好ましくは220〜280℃である。熱間仕上げ圧延の終了温度が、上記範囲を超えると、熱間仕上げ圧延後の冷却中に再結晶し易くなり、そのために、強度が低下し易くなる。なお、熱間仕上げ圧延とは、熱間粗圧延に続いて行われ、熱間で厚さ8mm以下まで圧延する工程である。また、熱間仕上げ圧延の終了温度とは、熱間仕上げ圧延が完了した時の温度を指す。
次いで、熱間仕上げ圧延を行い得られる熱間仕上げ圧延材を、冷間圧延するか、あるいは、熱間仕上げ圧延材を冷間圧延し、中間焼鈍を行った後、冷間仕上げ圧延する。中間焼鈍は、板厚が薄いフィン材を得る場合に、冷間圧延の途中で、加工硬化により、加工し難くなったときに、加工し易くするために行われる。その場合の中間焼鈍温度は、好ましくは300〜470℃、特に好ましくは340〜420℃である。熱間仕上げ圧延材を、冷間圧延することにより、熱交換器用アルミニウム合金フィン材を得る場合、熱間仕上げ圧延材を、冷間で、所定の厚みとなるまで圧延し、熱交換器用アルミニウム合金フィン材を得る。また、熱間仕上げ圧延材を冷間圧延し、中間焼鈍を行った後、冷間仕上げ圧延する場合、先ず、熱間仕上げ圧延材を、ある程度の厚さまで冷間で圧延した後、中間焼鈍を行い、次いで、冷間で、所定の厚さとなるまで圧延し、アルミニウム合金フィン材を得る。
本発明の熱交換器の製造方法は、半連続鋳造により、Mn含有量が0.8〜1.6質量%、Si含有量が0.6〜1.4質量%、Zn含有量が0.5〜4.0質量%、Feの含有量が0.1質量%以下、Mgの含有量が0.02質量%以下であるアルミニウム合金鋳塊を得、次いで、400〜480℃で4〜24時間、該アルミニウム合金鋳塊の均質化処理を行い、次いで、圧延終了温度が400〜480℃となるように、均質化処理材を熱間粗圧延し、次いで、熱間粗圧延材を熱間仕上げ圧延し、次いで、熱間仕上げ圧延材を冷間圧延するか、又は熱間仕上げ圧延材を冷間圧延し、中間焼鈍を行った後、冷間仕上げ圧延して、アルミニウム合金フィン材を得るアルミニウム合金フィン材作製工程と、
該アルミニウム合金フィン材、冷媒通路管、ヘッダ材及びタンク材の一体物を組み立てた後、590〜620℃で1〜10分間加熱して、該一体物をろう付けするろう付け加熱工程と、
を有することを特徴とする熱交換器の製造方法である。
本発明の熱交換器の製造方法は、アルミニウム合金フィン材作製工程と、ろう付け加熱工程と、を有する。
本発明の熱交換器の製造方法に係るアルミニウム合金フィン材作製工程は、本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法に係るアルミニウム合金フィン材作製工程と同様である。
本発明の熱交換器の製造方法に係るろう付け加熱工程は、アルミニウム合金フィン材作製工程を行い得られるアルミニウム合金フィン材が、熱交換器のフィンの形状に成形されたフィン材と、冷媒流路管と、ヘッダ材と、タンク材と、その他必要に応じて組み付けられる必要部材と、が組み立てられた一体物を、ろう付け加熱する工程である。例えば、アルミニウム合金フィン材作製工程を行い得られるアルミニウム合金フィン材を、コルゲート成形し、次いで、コルゲート成形されたアルミニウム合金フィン材と扁平状に成形された冷媒通路管(チューブ材)とを交互に積層し、更に、冷媒通路管の端部をヘッダ材及びタンク材に接続し、必要に応じて、他の必要部材を組み付けること等により、アルミニウム合金フィン材、冷媒通路管、ヘッダ材及びタンク材の一体物を組み立てた後、一体物をろう付け加熱することにより、ろう付け加熱工程を行う。
ろう付け加熱工程において、ろう付け加熱前に、アルミニウム合金フィン材と共に組み付けられる冷媒通路管、ヘッダ材及びタンク材並びに必要に応じて組み付けられる他の必要部材は、通常、熱交換器用の冷媒通路管、ヘッダ材及びタンク材並びに他の必要部材として用いられるものであれば、特に制限されない。
ろう付け加熱工程では、少なくとも、アルミニウム合金フィン材、冷媒通路管、ヘッダ材及びタンク材が組み付けられている一体物を、窒素ガス等の不活性雰囲気中、590〜620℃で1〜10分間ろう付け加熱を行う。アルミニウム合金フィン材と冷媒通路管とを接合させるためのろう付けは、外面にろう材がクラッドされている冷媒通路管を用いることや、Si粉末又はAl−Si合金粉末を冷媒通路管の外側面に塗装し、ろう付け加熱することにより行われる。アルミニウム合金の表面は、緻密な酸化皮膜で覆われているため、この酸化皮膜を破壊して、ろう付け性を向上させるために、フッ化物系のフラックスが塗布されることが、一般的である。フラックスの塗布は、ろう付け加熱前に、組み立てた一体物に、粉末のフラックスをそのまま散布したり、あるいは、水に懸濁させたフラックスを散布したり、冷媒流路管に塗装することにより行われる。
そして、本発明の熱交換器の製造方法では、ろう付け加熱工程を行うことにより、熱交換器が得られる。
本発明の熱交換器の製造方法では、アルミニウム合金フィン材作製工程で、上述した特定の化学組成を有するアルミニウム合金鋳塊を原材料に用いて、上述した特定の条件で均質化処理及び熱間粗圧延を行うことにより、好ましくは、更に上述した特定の条件で熱間仕上げ圧延を行うことにより、上述したろう付け加熱条件でろう付け加熱した後の導電率が高く且つ強度が高いアルミニウム合金フィン材が得られるので、本発明の熱交換器の製造方法では、アルミニウム合金フィン材作製工程を行い得られるアルミニウム合金フィン材を、上述したろう付け加熱条件で加熱し、ろう付けすることにより、導電率が高く且つ強度が高いフィンを有する熱交換器が得られる。
以下に、本発明の実施例を示すが、これにより本発明が制限されるものではない。
(実施例)
表1に示す成分組成を有する各アルミニウム合金を常法により溶解し、半連続鋳造により造塊し、得られた各鋳塊を、均質化処理、熱間粗圧延、熱間仕上げ圧延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間仕上げ圧延を行い、板厚が0.07mmのフィン材(ろう付け加熱前)を得た。なお、均質化処理、熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延の条件は、表2に示す通りであり、また、中間焼鈍の処理温度は350℃であった。
次いで、得られたフィン材(ろう付け加熱前)について、フッ化物系フラックスを塗布した後、ろう付け条件と同様に、窒素ガス雰囲気中、600℃で3分間のろう付け加熱試験を行い、ろう付け加熱試験後のフィン材を得た。得られたろう付け加熱試験後のフィン材について、各種機械的性質及び材料組織の評価を行った。その結果を表3に示す。
(強度)
ろう付け加熱試験後のフィン材を成形して、JIS5号の試験片を作成し、JIS Z2241に従って、引張強さを測定し、その引張強さを強度の判断基準とした。ろう付け加熱試験後のフィン材の引張強さが120MPa以上の場合を、良好とした。
(熱伝導度)
JIS H0505に従って、ろう付け加熱試験前のフィン材及びろう付け加熱試験後のフィン材の導電率を測定し、その導電率で熱伝導度を判断した。ろう付け加熱試験後のフィンの導電率が47.0%IACS以上の場合を、良好とした。
(材料組織の評価)
ろう付け加熱試験前のフィン材を、ペーパー研磨及びバフ研磨により鏡面仕上げした後、電界放電型電子銃を備えた走査型電子顕微鏡により、加速電圧10kVにて500倍もしくは5000倍で観察し、電子顕微鏡写真を得、得られた写真を画像解析して、金属間化合物の粒径及び数密度を測定した。なお、画像解析には、10視野以上の写真を用い、画像解析の総面積を0.5mm以上とした。
(比較例)
表4に示す成分組成を有する各アルミニウム合金を常法により溶解し、半連続鋳造により造塊し、得られた各鋳塊を、均質化処理、熱間粗圧延、熱間仕上げ圧延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間仕上げ圧延を行い、板厚が0.07mmのフィン材(ろう付け加熱前)を得た。なお、均質化処理、熱間粗圧延及び熱間仕上げ圧延の条件は、表5に示す通りであり、また、中間焼鈍の処理温度は350℃であった。
次いで、得られたフィン材(ろう付け加熱前)について、フッ化物系フラックスを塗布した後、ろう付け条件と同様に、窒素ガス雰囲気中、600℃で3分間の加熱を行い、ろう付け加熱試験後のフィン材を得た。得られたろう付け加熱試験後のフィン材について、各種機械的性質及び材料組織の評価を行った。その結果を表6に示す。
比較例1はMnの含有量が低いため、0.025〜0.4μmのAl−Mn−Si系金属間化合物粒子の数が少なり、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなった。
比較例2はMnの含有量が高いため、固溶Mn量が多くなり、導電率が低くなった。また、粗大な化合物粒子が多くなり、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなった。
比較例3はSiの含有量が低いため、0.025〜0.4μmのAl−Mn−Si系金属間化合物粒子の数が少なり、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなった。また、Siが少ないために固溶Mn量が多くなり、導電率が低くなった。
比較例4はSiの含有量が高いため、固溶Si量が多くなり、導電率が低くなった。また、粗大な化合物粒子が多くなり、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなった。
比較例5はFeの含有量が高いため、固溶Fe量が増えて導電率が低くなった。また、粗大な化合物粒子が多くなり、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなった。
比較例6はCuの含有量が高いため、固溶Cu量が多くなり、導電率が低くなった。
比較例7はCrの含有量が高いため、固溶Cr量が多くなり、導電率が低くなった。
比較例8はZrの含有量が高いため、固溶Zr量が多くなり、導電率が低くなった。
比較例9はVの含有量が高いため、固溶V量が多くなり、導電率が低くなった。
比較例10は均質化処理温度が低いため、0.025〜0.4μmのAl−Mn−Si系金属間化合物粒子の数が少なり、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなった。また、固溶Mn量が多くなり、導電率が低くなった。
比較例11は均質化処理温度が高いため、Al−Mn−Si系金属間化合物粒子が粗大化し、0.025〜0.4μmのAl−Mn−Si系金属間化合物粒子の数が少なくなり、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなった。
比較例12は均質化処理時間が短いため、0.025〜0.4μmのAl−Mn−Si系金属間化合物粒子の数が少なくなり、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなった。また、固溶Mn量が多くなり、導電率が低くなった。
比較例13は均質化処理時間が長いため、Al−Mn−Si系金属間化合物粒子が粗大化し、0.025〜0.4μmのAl−Mn−Si系金属間化合物粒子の数が少なくなるとともに、4.0μmを超えるAl−Mn−Si系金属間化合物粒子の数が多くなり、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなった。
比較例14は熱間粗圧延の終了温度が低いため、0.025〜0.4μmのAl−Mn−Si系金属間化合物粒子の数が少なくなり、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなった。また、固溶Mn量が多くなり、導電率が低くなった。
比較例15は熱間粗圧延の終了温度が高いため、Al−Mn−Si系金属間化合物粒子が粗大化し、0.025〜0.4μmのAl−Mn−Si系金属間化合物粒子の数が少なくなるとともに、4.0μmを越えるAl−Mn−Si系金属間化合物粒子の数が多くなり、ろう付け加熱された後の引張強さが低くなった。
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Claims (6)

  1. 0.8〜1.6質量%のMn、0.6〜1.4質量%のSi及び0.5〜4.0質量%のZnを含有し、Feの含有量が0.1質量%以下に制限され、Mgの含有量が0.02質量%以下に制限されており、残部Al及び不可避的不純物からなり、マトリックス内における円相当径0.025〜0.4μmの金属間化合物の数密度が2.5個/μm以上であり、マトリックス内における円相当径0.4μmを超える金属間化合物の数密度が10000個/mm以下であり、導電率が55.0%IACS以上であることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金フィン材。
  2. 更に、0.30質量%以下のCu、0.40質量%以下のCr、0.25質量%以下のZr、0.10質量%以下のV、0.10質量%以下のIn及び0.10質量%以下のSnのうちのいずれか1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材。
  3. 600℃で3分間の加熱試験後の導電率が47.0%IACS以上であることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材。
  4. 600℃で3分間の加熱試験後の引張強さが120MPa以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材。
  5. 半連続鋳造により、0.8〜1.6質量%のMn、0.6〜1.4質量%のSi及び0.5〜4.0質量%のZnを含有し、Feの含有量が0.1質量%以下に制限され、Mgの含有量が0.02質量%以下に制限されており、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金鋳塊を得、次いで、400〜480℃で4〜24時間、該アルミニウム合金鋳塊の均質化処理を行い、次いで、圧延終了温度が400〜480℃となるように、均質化処理材を熱間粗圧延し、次いで、熱間粗圧延材を熱間仕上げ圧延し、次いで、熱間仕上げ圧延材を冷間圧延するか、又は熱間仕上げ圧延材を冷間圧延し、中間焼鈍を行った後、冷間仕上げ圧延して、マトリックス内における円相当径0.025〜0.4μmの金属間化合物の数密度が2.5個/μm 以上であり、マトリックス内における円相当径0.4μmを超える金属間化合物の数密度が10000個/mm 以下であり、導電率が55.0%IACS以上であるアルミニウム合金フィン材を得るアルミニウム合金フィン材作製工程を有することを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法。
  6. 半連続鋳造により、0.8〜1.6質量%のMn、0.6〜1.4質量%のSi及び0.5〜4.0質量%のZnを含有し、Feの含有量が0.1質量%以下に制限され、Mgの含有量が0.02質量%以下に制限されており、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金鋳塊を得、次いで、400〜480℃で4〜24時間、該アルミニウム合金鋳塊の均質化処理を行い、次いで、圧延終了温度が400〜480℃となるように、均質化処理材を熱間粗圧延し、次いで、熱間粗圧延材を熱間仕上げ圧延し、次いで、熱間仕上げ圧延材を冷間圧延するか、又は熱間仕上げ圧延材を冷間圧延し、中間焼鈍を行った後、冷間仕上げ圧延して、マトリックス内における円相当径0.025〜0.4μmの金属間化合物の数密度が2.5個/μm 以上であり、マトリックス内における円相当径0.4μmを超える金属間化合物の数密度が10000個/mm 以下であり、導電率が55.0%IACS以上であるアルミニウム合金フィン材を得るアルミニウム合金フィン材作製工程と、
    該アルミニウム合金フィン材、冷媒流路管、ヘッダ材及びタンク材の一体物を組み立てた後、590〜620℃で1〜10分間加熱して、該一体物をろう付けするろう付け加熱工程と、
    を有すること特徴とする熱交換器の製造方法。
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