JPH08116213A - 発振器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、発振周波数を高くすることによ
り、位相雑音容量値がトランジスタの内部コンデンサの
容量値よりも小さくなっても、位相雑音を最低減にする
ことが可能な発振器を提供するものである。 【構成】 トランジスタ１ａを有したベース接地型発振
回路１と、インダクタンス体２ａとコンデンサ２ｂを直
列接続した誘導性回路２とを備え、前記誘導性回路２の
一端を前記トランジスタ１ａのエミッタに接続し、前記
誘導性回路２の他端をグランドに接続するとともに、前
記トランジスタ１ａのエミッタとグランド間に外部コン
デンサ１ｄを設けた構成としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は携帯電話等に用いられる
発振器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】以下、従来の発振器について説明する。

【０００３】従来の発振器は、トランジスタと、このト
ランジスタのエミッタとグランド間に設けた外部コンデ
ンサとを備えたベース接地型発振回路からなる。

【０００４】能動素子にトランジスタを用いて、このト
ランジスタのベースを高周波的に接地させるとともに、
トランジスタのベースとエミッタ間で形成される内部コ
ンデンサの容量値に対応させて外部コンデンサの容量値
を設定することにより、位相雑音を低減していた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】一般に、トランジスタ
のベースとエミッタ間にはエミッタ電流によって変化す
る内部コンデンサが存在することにより、トランジスタ
のエミッタとグランド間に外部コンデンサを設けると、
トランジスタのエミッタとグランド間の容量値はトラン
ジスタの内部コンデンサと外部コンデンサの容量値の和
となる。

【０００６】また、トランジスタのエミッタとグランド
間の容量値によって、位相雑音の低減度合いが決まると
ともに、発振する周波数の高低によって、位相雑音を最
も低減するトランジスタのエミッタとグランド間の位相
雑音容量値が決まる。このとき、発振する周波数が高け
れば、位相雑音容量値は小さくなり、発振する周波数が
低くなれば、位相雑音容量値は大きくなる。

【０００７】上記構成では、発振する周波数を高くする
場合、トランジスタのベースを高周波的に接地するが、
このとき、位相雑音容量値がトランジスタの内部コンデ
ンサの容量値より小さくなる場合は、位相雑音を最低減
にすることができないという問題点を有していた。

【０００８】本発明は上記問題点を解決するもので、発
振周波数を高くすることにより、位相雑音容量値がトラ
ンジスタの内部コンデンサの容量値よりも小さくなって
も、位相雑音を最低減にすることが可能な発振器を提供
するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、トランジスタを有したベース接地型発振回路と、イ
ンダクタンス体とコンデンサを直列接続した誘導性回路
とを備え、前記誘導性回路の一端を前記トランジスタの
エミッタに接続し、前記誘導性回路の他端をグランドに
接続するとともに、前記トランジスタのエミッタとグラ
ンド間に外部コンデンサを設けた構成としたものであ
る。

【００１０】

【作用】上記構成により、トランジスタのエミッタとグ
ランド間に接続した誘導性回路と内部コンデンサとが並
列共振するので、誘導性回路の容量により内部コンデン
サの容量を相殺することができる。この結果、トランジ
スタのエミッタとグランド間の容量値はトランジスタの
外部コンデンサの容量値と等しくなり、いかなる容量値
も取ることができる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。

【００１２】図１において、１はトランジスタ１ａを用
いたベース接地型発振回路、２は誘導性回路、３は次段
との結合コンデンサ、４は発振出力端子、５は電源端子
である。トランジスタ１ａのベースはコンデンサ１ｂに
よって高周波的に接地されているため、トランジスタ１
ａのベースとエミッタ間に存在する内部コンデンサ１ｃ
は、等価的に外部コンデンサ１ｄと並列接続されること
になる。誘導性回路２は、インダクタンス体２ａとコン
デンサ２ｂの直列接続回路であり、トランジスタ１ａの
エミッタとグランド間に接続されている。誘導性回路２
の等価インダクタンス値が発振周波数近傍にて内部コン
デンサ１ｃの容量値とで並列共振するように、インダク
タンス体２ａとコンデンサ２ｂの値が設定されている。
インダクタンス体２ａは図２に示すように、多層基板の
内層に設けた導体パターン２Ａにより実現している。図
２の多層基板は４つの層からなり、第１層６には図１に
示す各部品が実装されており、第３層８には前記導体パ
ターン２Ａが形成されており、第２層７、第４層９には
それぞれグランドパターン７ａ，９ａが設けられてい
る。また、第２層７のグランドパターン７ａには矩形状
の開口７ｂが形成されており、導体パターン２Ａを開口
７ｂ内のスルーホール７ｃを介してトランジスタ１ａの
エミッタに、他方のスルーホール７ｄを介してコンデン
サ２ｂに接続することよって、トランジスタ１ａのエミ
ッタとグランド間に誘導性回路２を形成している。上記
構成において、以下その動作を説明する。導体パターン
２Ａを第３層８に、グランドパターン７ａ，９ａを第２
層７、第４層９に形成することで、第１層６を部品実装
に対して有効に使い、かつ、導体パターン２Ａがアンテ
ナ化して不要な外来電波を受信することを防いでいる。

【００１３】また、コンデンサ２ｂはトランジスタ１ａ
のエミッタがグランドと直流的に短絡することを防ぐと
同時に、内部コンデンサ１ｃとの並列共振を容易に得る
ことに寄与している。即ち、コンデンサ２ｂの容量値に
よって、導体パターン２Ａのインダクタンスを変えるこ
となく、誘導性回路２の等価インダクタンス値を変える
ことができるため、内部コンデンサ１ｃの容量値を正確
に求めなくても、コンデンサ２ｂの容量値を調整するこ
とで内部コンデンサ１ｃとで確実に並列共振を得ること
ができる。

【００１４】さらに、誘導性回路２と内部コンデンサ１
ｃとで並列共振をさせることによって、トランジスタ１
ａのエミッタとグランド間には等価的に外部コンデンサ
１ｄのみが存在することになり、いかなる容量値も外部
コンデンサ１ｄは取ることが可能なので、高い発振周波
数でも位相雑音を最低減にすることが可能な発振器を実
現することができる。

【００１５】なお、外部コンデンサ１ｄはトランジスタ
１ａのエミッタとグランド間に設けていれば、ベース接
地型発振回路１の内部または外部のどちらに設けてもよ
い。

【００１６】

【発明の効果】以上のように本発明は、トランジスタの
エミッタとグランド間に接続した誘導性回路と内部コン
デンサとが並列共振するので、誘導性回路の容量により
内部コンデンサの容量を相殺することができる。これに
より、トランジスタのエミッタとグランド間の容量値は
トランジスタの外部コンデンサの容量値と等しくなり、
いかなる容量値も取ることができる。この結果、発振周
波数を高くすることにより、位相雑音容量値がトランジ
スタの内部コンデンサの容量値よりも小さくなっても、
位相雑音を最低減にすることが可能な発振器を提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の発振器を示す回路図

【図２】同発振器の分解斜視図

【符号の説明】

１ ベース接地型発振回路 １ａ トランジスタ １ｂ コンデンサ １ｃ 内部コンデンサ １ｄ 外部コンデンサ ２ 誘導性回路 ２ａ インダクタンス体 ２ｂ コンデンサ ３ 結合コンデンサ ４ 発振出力端子 ５ 電源端子

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トランジスタを有したベース接地型発振
   回路と、インダクタンス体とコンデンサを直列接続した
   誘導性回路とを備え、前記誘導性回路の一端を前記トラ
   ンジスタのエミッタに接続し、前記誘導性回路の他端を
   グランドに接続するとともに、前記トランジスタのエミ
   ッタとグランド間に外部コンデンサを設けた発振器。
2. 【請求項２】 誘導性回路の容量値を、トランジスタの
   ベースとエミッタ間で形成される前記トランジスタの内
   部コンデンサの容量値により並列共振を生じる値とした
   請求項１記載の発振器。
3. 【請求項３】 複数の基板を積層した多層基板を備え、
   誘導性回路のインダクタンス体を、前記多層基板内の基
   板上に積層してなる導体パターンとした発振器。