JPH08113623A - ウレタンエマルジョンの製造方法 - Google Patents

ウレタンエマルジョンの製造方法

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JPH08113623A
JPH08113623A JP6252000A JP25200094A JPH08113623A JP H08113623 A JPH08113623 A JP H08113623A JP 6252000 A JP6252000 A JP 6252000A JP 25200094 A JP25200094 A JP 25200094A JP H08113623 A JPH08113623 A JP H08113623A
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JP
Japan
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urethane
water
group
ionic
urethane prepolymer
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JP6252000A
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English (en)
Inventor
Kozo Makino
耕三 牧野
Tomomoto Toda
智基 戸田
Yoshiyuki Oguchi
善之 大口
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固形分濃度が高いが粘度は低く、且つ貯蔵安
定性に優れ、得られる皮膜の耐水性の良好なウレタンエ
マルジョンの製造方法を提供するにある。 【構成】 分子内にイオン性もしくは非イオン性の親水
性基又は潜在的イオン性の官能基及びイソシアネート基
と反応可能な活性水素を含む官能基を2個以上有する化
合物と有機ポリイソシアネート化合物を反応させて得ら
れる1個以上の残存イソシアネート基を有する分子量4
00〜1500の自己分散性を有するウレタンプレポリ
マー(A)及び分子内にイオン性もしくは潜在的イオン
性の官能基を持たず、イソシアネート基と反応可能な活
性水素を含む官能基を2個以上有する化合物と有機ポリ
イソシアネート化合物を反応させて得られる1個以上の
残存イソシアネート基を有する自己分散性を有しないウ
レタンプレポリマー(B)を水に分散し、鎖延長剤によ
り高分子化することを特徴とするウレタンエマルジョン
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はウレタンエマルジョンの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機溶剤による環境の汚染、作業環境の
悪化、火災の危険性等から、近年ウレタンポリマー等の
高分子系水エマルジョンは現在、接着剤、塗料等の分野
で用いられている。
【0003】しかし、これらの高分子系水エマルジョン
は、一般に乳化剤を用いて水に分散していたが、このよ
うな高分子系水エマルジョンから形成された接着剤や塗
料の乾燥皮膜には、乳化剤が残留し、吸水によって該皮
膜の凝集力が低下し、耐水性が極めて悪いものであっ
た。
【0004】上記の問題を解決するために、分子内にイ
オン性もしくは潜在的イオン性の官能基や非イオン性の
親水性基を有する自己分散性ウレタンポリマーを、乳化
剤を用いることなく水に分散させた自己分散性水系ウレ
タン分散液が提案されている。特開平3−21626号
公報には、上記目的のために、ポリウレタン鎖中にカル
ボキシル基を導入している。又、特開平1−69682
号公報には、自己乳化性のウレタン系水性接着剤にケト
ン樹脂の水分散体を配合したウレタン系水性接着剤組成
物が示されている。
【0005】しかし、上記のいずれの方法によるポリウ
レタンの水エマルジョンも、塗膜の乾燥を早めるため、
固形分濃度を高めると粘度が著しく上昇し、塗工作業性
が極めて悪くなるという問題点を有するものであった。
【0006】特開平5−306317公報には、ポリウ
レタンを得るための反応工程においてリン酸塩を添加
し、安定にかつ微細に分散した高固形分濃度のポリウレ
タンの水エマルジョンを製造し得ると記載している。
【0007】しかし、上記方法では、リン酸塩という電
離性の大きな化合物を添加しているため、前記する如く
このようなエマルジョンから形成された乾燥皮膜は、吸
水によって該皮膜の凝集力が低下し、耐水性が極めて悪
いものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、叙上の事実
に鑑みなされたものであって、その目的とするところ
は、固形分濃度が高いが粘度は低く、且つ貯蔵安定性に
優れ、得られる皮膜の耐水性の良好なウレタンエマルジ
ョンの製造方法を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、分子内にイオ
ン性もしくは非イオン性の親水性基又は潜在的イオン性
の官能基及びイソシアネート基と反応可能な活性水素を
含む官能基を2個以上有する化合物と有機ポリイソシア
ネート化合物を反応させて得られる1個以上の残存イソ
シアネート基を有する分子量400〜1500の自己分
散性を有するウレタンプレポリマー(A)及び分子内に
イオン性もしくは潜在的イオン性の官能基を持たず、イ
ソシアネート基と反応可能な活性水素を含む官能基を2
個以上有する化合物と有機ポリイソシアネート化合物を
反応させて得られる1個以上の残存イソシアネート基を
有する自己分散性を有しないウレタンプレポリマー
(B)を水に分散し、鎖延長剤により高分子化すること
を特徴とするウレタンエマルジョンの製造方法をその要
旨とするものである。
【0010】本発明において、イオン性の親水性基とし
ては、スルホネート基、カルボキシレート基、アンモニ
ウム基が挙げられる。又、非イオン性の親水性基として
は、ポリオキシエチレン、水酸基等が挙げられる。又、
潜在的イオン性の官能基とは、エマルジョンの製造工程
中において、適当な化合物の添加により、完全にもしく
は一部イオン性の官能基に変換し得る官能基を意味し、
例えば、スルホン酸基やカルボキシル基等が挙げられ、
中和剤の添加によってアニオン性基に変換し得るものが
好ましい。
【0011】本発明において、自己分散性を有するウレ
タンプレポリマー(A)に親水性を付与する分子内にイ
オン性もしくは非イオン性の親水性基又は潜在的イオン
性の官能基及びイソシアネート基と反応可能な活性水素
を含む官能基を2個以上有する化合物は、上記の如きイ
オン性もしくは非イオン性の親水性基又は潜在的イオン
性の官能基を有する、例えば、ポリヒドロキシル化合物
が好適に用いられる。
【0012】上記ポリヒドロキシル化合物としては、例
えば、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロー
ルプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−
ジメチロール吉草酸、3,4−ジアミノブタンスルホン
酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸等が挙
げられる。
【0013】本発明において、自己分散性を有しないウ
レタンプレポリマー(B)に疎水性を付与する分子内に
イオン性もしくは潜在的イオン性の官能基を持たず、イ
ソシアネート基と反応可能な活性水素を含む官能基を2
個以上有する化合物は、ポリオール類、ポリアミン類等
である。ウレタンプレポリマーの合成反応の制御が易し
いという点からポリオール類が好適に使用される。
【0014】上記ポリオール類としては、例えば、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロー
ルプロパン、グリセリン等の多価アルコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエ
ーテルポリオール類、アジピン酸、セバシン酸、イタコ
ン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等
のジカルボン酸類とエチレングリコール、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオ
ール等のジオール類とから得られるポリエステルジオー
ル類、ポリカプロラクトンジオール、ポリテトラメチレ
ンエーテルジオール、ポリブタジエンジオール、水添化
ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートジオー
ル、ポリチオエーテルジオール等が挙げられる。
【0015】上記ポリオールは、単1種で用いられても
よく、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を使
用する場合、同族系の化合物同士であってもよく、又、
異種の系の化合物であってもよい。
【0016】本発明において使用される有機ポリイソシ
アネート化合物は、通常のウレタン樹脂の製造に用いら
れる有機ポリイソシアネート化合物が使用でき、この化
合物は、脂肪族系、脂環族系、芳香族系のいずれの化合
物であってもよい。
【0017】上記有機ポリイソシアネート化合物として
は、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネー
ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,
2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、
3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシ
クロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン
−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシル
−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシル−
2,6−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、1,3−ビス(イソシアネート)メチルシクロヘキ
サン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トラ
ンスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、リジ
ンジイソシアネート等の脂肪族系、脂環族系ジイソシア
ネート類、2,4−トルイレンジイソシアネート、2,
6−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−
4,4’−ジイソシアネート、1,5’−ナフテンジイ
ソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジフェニル
メチルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェ
ニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジ
イソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート
等の芳香族系ジイソシアネート類、リジンエステルトリ
イソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネー
ト、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、
1,8−ジイソシアネート−4,4−イソシアネートメ
チルオクタン、1,3,6─ヘキサメチレントリイソシ
アネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のト
リイソシアネート類等が挙げられる。
【0018】上記有機ポリイソシアネート化合物は、単
1種で用いられてもよく、2種以上を混合して用いても
よい。2種以上を使用する場合、同族系の化合物同士で
あってもよく、又、異種の系の化合物であってもよい。
又、ジイソシアネート類とトリイソシアネート類が混合
して用いてもよいのは勿論である。
【0019】上記ウレタンプレポリマー(A)及び
(B)からウレタンエマルジョンを得る場合、所謂中和
剤を用いて、上記ウレタンプレポリマー中に存在する前
記潜在的イオン性の官能基、例えば、カルボキシル基を
完全もしくは部分的にカルボキシレート基に変換し、イ
オン性(アニオン)基とすることができる。
【0020】上記中和剤としては、アンモニア又はトリ
メチルアミン、トリエチルアミンの如き揮発性の第三級
アミンが好適に用いられる。アルカリ金属塩や不揮発性
のアミンも上記中和剤としての作用を有するが、これら
の物質は、ウレタンエマルジョンから形成される皮膜の
乾燥時に系外に飛散させて除去することができず、該乾
燥皮膜の耐水性を低下する場合があるので、使用に際し
留意する必要がある。
【0021】上記中和剤を用いて、上記ウレタンプレポ
リマー(A)及び(B)の水への分散前もしくは分散中
或いはウレタンポリマーが完全に生成された後に、これ
らのウレタンプレポリマーないしウレタンポリマー中に
存在する前記イオン性基及び潜在的イオン性の官能基を
中和する。上記の中和はウレタンプレポリマーないしウ
レタンポリマー中に存在する前記イオン性基及び潜在的
イオン性の官能基の総てについて行われてもよいが、一
部のみについて行われてもよい。
【0022】上記中和の度合いは、ウレタンプレポリマ
ー(A)及び(B)100g当たり10ミリ当量以上で
あることが好ましい。上記中和が10ミリ当量未満の場
合、ウレタンプレポリマーないしウレタンポリマーの親
水性のが弱く、水分散体の安定性が十分に得られない。
【0023】上記自己分散性を有するウレタンプレポリ
マー(A)は、分子量が小さいもの程、水への分散が容
易であり、移動性が大きいので、分散体粒子の表面に分
布することになる。即ち、自己分散性を有しないウレタ
ンプレポリマー(B)粒子と共存するとき、その表面に
付着しこれを覆うように分散体粒子を形成するのであ
る。
【0024】叙上の如く、共存する上記ウレタンプレポ
リマー(A)及び(B)が2層の分散体粒子を形成し、
表層を形成する自己分散性を有するウレタンプレポリマ
ー(A)によって、水に安定して分散し、且つ、内層を
形成する自己分散性を有しないウレタンプレポリマー
(B)が水によって殆ど膨潤することがないので、分散
体粒子全体としては水による膨潤の度合いが小さく、こ
れら両ウレタンプレポリマー(A)及び(B)を高濃度
に含有していても水エマルジョンの粘度を低く維持する
ことができるのである。
【0025】上記自己分散性を有するウレタンプレポリ
マー(A)の分子量は、400未満であると得られるウ
レタンポリマーの乾燥皮膜の柔軟性が小さくなり、1,
500を超えると得られるウレタンポリマーの粘度が高
くなり過ぎ、水分散時の分散操作が難しくなり、得られ
るエマルジョンの安定性も低下する。
【0026】上記ウレタンプレポリマー(A)及び
(B)の合成における活性水素を有する官能基に対する
イソシアネート基の比率は、イソシアネート基過剰の条
件、即ち、1.1〜2.0の範囲にあることが好まし
い。
【0027】上記ウレタンプレポリマー(A)及び
(B)の合成は、バルク重合、溶液重合のいずれの重合
方法が採られてもよいが、その反応温度は50〜150
℃の範囲で行われる。反応が溶液重合で行われる場合、
使用される有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチ
ルエチルケトン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル等の
イソシアネート基に対して不活性で、水との親和性が高
く、且つ、沸点が100℃以下の有機溶剤が好ましい。
上記沸点が100℃以上の有機溶剤を用いた場合、得ら
れるエマルジョンから有機溶剤のみを系外に除去する工
程が難しくなる。又、上記自己分散性を有するウレタン
プレポリマー(A)と自己分散性を有しないウレタンプ
レポリマー(B)とは別々の工程で合成されてもよい
が、同時に合成されてもよい。
【0028】上記の如くして合成されたウレタンプレポ
リマー(A)及び(B)を含む上記有機溶剤溶液は、高
速分散機によって機械的な剪断力を与えながら、該ウレ
タンプレポリマーを含む上記有機溶剤相に水を添加しな
がら分散させる方法或いは水相に該ウレタンプレポリマ
ーを含む上記有機溶剤溶液を添加する方法によって、水
に分散され、水エマルジョンに変換させる。
【0029】上記分散機及び分散操作は、ディスク・キ
ャビテーション式攪拌、ロータ歯式攪拌、ステータ歯式
攪拌等による回分操作法で行われてもよいし、ロータ歯
式攪拌、ステータ歯式攪拌、ラインミル式攪拌、スタテ
ックミキサー式攪拌等による連続操作法で行われてもよ
い。
【0030】上記自己分散性を有するウレタンプレポリ
マー(A)と自己分散性を有しないウレタンプレポリマ
ー(B)とは別々の工程で合成されたものである場合、
各々、所定量を秤量し、予め混合し或いは混合せず同時
に水に投入し、分散操作を行ってもよいし、別々に水に
投入し、分散操作を行ってもよいが、自己分散性を有し
ないウレタンプレポリマー(B)を先に投入して、水に
均一に分散させることは不可能であるので、該ウレタン
プレポリマー(B)は、自己分散性を有するウレタンプ
レポリマー(A)の後か或いは同時にに水に投入し、分
散操作を行うことになる。
【0031】上記分散工程において、ウレタンプレポリ
マー(A)及び(B)を含む有機溶剤相の粘度を調節す
る目的で、該有機溶剤相に有機溶剤を添加することがで
きる。上記有機溶剤としては、前記ウレタンプレポリマ
ー(A)及び(B)の合成時において、有機溶剤を選定
したと同様の理由により、アセトン、メチルエチルケト
ン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル等が好適に使用さ
れる。
【0032】上記の如くして分散された末端にイソシア
ネート基を有するウレタンプレポリマー(A)及び
(B)は、この分散工程と同時に、又は、この分散工程
に引き続いて、鎖延長剤を用いて鎖延長し、ウレタンポ
リマーを形成する。
【0033】上記鎖延長剤としては、例えば、エチレン
ジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,4−テトラ
メチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、
1,4−シクロヘキサンジアミン、3−アミノメチル−
3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、ピペラ
ジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミ
ン、4,4’−シクロヘキシルメタンジアミン、ヒドラ
ジン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミ
ン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キ
シリレンジアミン等のアミン類、エチレングリコール、
プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール等のア
ルキレングリコール類、水等が挙げられる。
【0034】猶、上記ウレタンプレポリマーは、水によ
っても鎖延長される。この場合、水は上記分散工程中に
存在する分散媒としての水が鎖延長剤を兼ねることにな
る。この反応は上記ウレタンプレポリマー中のイソシア
ネート基と水とが反応し、生成するアミンは常に新たな
イソシアネート基と反応するので、水過剰にも拘わらず
反応にあずかる水はイソシアネート基の当量を超えるこ
とはない。
【0035】上記鎖延長剤の添加は、上記ウレタンプレ
ポリマーの水分散前、水分散と同時、水分散後のいずれ
の段階でおこなわれてもよい。
【0036】以上の如くしてウレタンポリマーを含む水
分散体が生成されるが、末端にイソシアネート基を有す
るウレタンプレポリマー(A)及び(B)の合成時、粘
着付与樹脂等の混合時或いは上記混合物を水に分散する
際に必要に応じ添加された前記親水性の有機溶剤は、水
に分散された後、加熱、減圧ないしは減圧加熱等の手段
を用いて水分散体系外に除去することができる。これら
の親水性の有機溶剤が上記水分散体中に多量に残存して
いると、ウレタンポリマーの乾燥皮膜の耐溶剤性や耐熱
性を低下させたり、該水分散体の使用に際して、作業環
境を悪化させる。
【0037】本発明において、上記ウレタンプレポリマ
ー(A)及び(B)には、中和剤、鎖延長剤の他、架橋
剤が添加されてもよい。上記架橋剤としては、例えば、
アジリジン系、イソシアネート系、エポキシ系、オキサ
ゾリン系、カルボジイミド系、メラミン系、各種の金属
キレート型架橋剤が使用できる。特に、アジリジン系、
イソシアネート系、エポキシ系、オキサゾリン系、カル
ボジイミド系、更に好ましくは、アジリジン系、エポキ
シ系、カルボジイミド系の内、水に溶解又は水分散せし
めたものである。
【0038】上記アジリジン系架橋剤としては、例え
ば、トリメチロールプロパン−トリ3−〔(1−アジリ
ジニル)プロピオネート〕、ジフェニルメタン−ビス−
4,4’−N,N’−ジエチレンウレア、テトラメチロ
ールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、
N,N’−トルエン−2,4−ビス−(1−アジリジン
カルボキシアミド)、N,N’−ヘキサメチレン−1,
6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げ
られる。
【0039】上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロー
ルポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポ
リグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテ
ル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタン
ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシ
ジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエ
ーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテ
ル等が挙げられる。
【0040】上記カルボジイミド系架橋剤としては、一
般式、R1 −N=C=N−R2 において、R1 及びR2
が、水素、プロピル基、シクロヘキシル基、p−トルオ
イル基である化合物等が挙げられる。
【0041】本発明におけるウレタンエマルジョンに
は、上記の他、必要に応じて、可塑剤、充填剤、増粘
剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等が添加されてもよい。
【0042】
【作用】本発明のウレタンエマルジョンの製造方法は、
親水性が高く、且つ、分子量が400〜1500と小さ
い自己分散性を有するウレタンプレポリマー(A)と疎
水性の高い自己分散性を有しないウレタンプレポリマー
(B)が2層の分散体粒子を形成し、表層を形成する自
己分散性を有するウレタンプレポリマー(A)と内層を
形成する自己分散性を有しないウレタンプレポリマー
(B)となる如く水に分散し、鎖延長剤により高分子化
しているので、表層の自己分散性を有するウレタンプレ
ポリマー(A)が均一に且つ強固に自己分散性を有しな
いウレタンプレポリマー(B)表面を覆って、安定して
水に分散し、且つ、内層を形成する自己分散性を有しな
いウレタンプレポリマー(B)は殆ど水によって膨潤せ
ず、分散体粒子全体としては水による膨潤の度合いが小
さいので、これら両ウレタンプレポリマー(A)及び
(B)から形成されたウレタンポリマーを高濃度に含有
していても水エマルジョンの粘度を低く維持することが
できるのである。
【0043】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 〔ウレタンプレポリマー(A)−1〜6、(B)−1〜
6、7及び8の合成〕表1〔(A)−1〜6、7及び
8〕及び表2〔(B)−1〜6〕に示した配合組成に従
い、以下の操作手順で残存イソシアネート基を有するウ
レタンプレポリマーを合成した。先ず、還流冷却器を備
えた反応器に、ポリカプロラクトンポリオール(ダイセ
ル化学工業社製、商品名:PLACCEL L212A
L)及び/又は、ジメチロールプロピオン酸(トリメッ
トテクニカルプロダクツ社製)及びアセトンを入れて、
80℃で均一になるまで攪拌した。有機溶剤アセトンの
還流を確認した後、3−イソシアネートメチル−3,
5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(ヒ
ュルス社製、商品名:VESTANT IPDI)又
は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポ
リウレタン工業社製、商品名:HDI)を添加して、そ
の後、トリエチルアミン(三菱瓦斯化学社製)を添加し
て反応させウレタンプレポリマー(A)−1〜6、
(B)−1〜6、7及び8を各々合成した。
【0044】猶、ウレタンプレポリマー(A)−1〜
6、(B)−1〜6は各々個別に合成したものであり、
ウレタンプレポリマー7及び8は前記プレポリマー
(A)及び(B)を同時に合成したものであり、(A)
−5及び−6は本発明において使用される分子内にイオ
ン性もしくは非イオン性の親水性基又は潜在的イオン性
の官能基及びイソシアネート基と反応可能な活性水素を
含む官能基を2個以上有する化合物と有機ポリイソシア
ネート化合物を反応させて得られる1個以上の残存イソ
シアネート基を有する分子量400〜1500の自己分
散性を有するウレタンプレポリマー(A)ではない。表
中上記(A)−1〜6に加えて7及び8をウレタンプレ
ポリマー(A)他として併記した。又、表1及び表2中
に示したウレタンプレポリマーの分子量は、配合量等か
らの推定値である。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】(ポリウレタンエマルジョンの製造) (実施例1)表3に示した配合組成に従い、以下の操作
手順でウレタンエマルジョンを得た。先ず、高速分散機
を用いて、23℃のイオン交換水を攪拌し、これに上記
ウレタンプレポリマー(A)及び(B)を均一に混合し
たものを投入し分散した。その後、上記ウレタンプレポ
リマー(A)及び(B)中の残存イソシアネート基と等
モル分のエチレンジアミンを2倍に水で希釈した水溶液
を添加し、攪拌下に鎖延長反応を行った。次いで、減圧
条件下に攪拌しながら脱溶剤及び脱水を行い、固形分5
0重量%のウレタンエマルジョンを得た。
【0048】(実施例2〜4、比較例1及び2)表3に
示した配合組成に従い、実施例1と同様の操作手順で、
各々固形分50重量%のウレタンエマルジョンを得た。
【0049】(実施例5)表3に示した配合組成に従
い、以下の操作手順でウレタンエマルジョンを得た。先
ず、高速分散機を用いて、23℃のイオン交換水を攪拌
し、これに上記ウレタンプレポリマー(A)を投入し分
散した。次いでウレタンプレポリマー(B)を攪拌下に
投入し分散した。その後、実施例1と同様にして、固形
分50重量%のウレタンエマルジョンを得た。
【0050】(比較例3及び4)表3に示した配合組成
に従い、以下の操作手順でウレタンエマルジョンを得
た。先ず、高速分散機を用いて、23℃のイオン交換水
を攪拌し、これに上記ウレタンプレポリマーを投入し分
散した。その後、実施例1と同様にして、固形分50重
量%のウレタンエマルジョンを得た。
【0051】上記各実施例で得られたウレタンエマルジ
ョンについて、以下に示す粘度測定、沈降安定性試験及
び乾燥皮膜の耐水性試験を実施し、性能を評価した。評
価結果は表3に示した。
【0052】1.粘度測定:B型粘度計、BM(東京計
器社製)を用いて、23℃、60rpmにおける粘度を
測定した。
【0053】2.沈降安定性試験:上記各実施例で得ら
れたウレタンエマルジョンについて、1週間常温で静置
した後、100メッシュのステンレス製金網で濾過する
ことにより沈降物の有無を目視により確認した。
【0054】3.乾燥皮膜の耐水性試験:上記各実施例
で得られたウレタンエマルジョンを鋼板上に塗布した
後、十分に乾燥し、乾燥皮膜を得た。得られた各乾燥皮
膜を23℃の水中に6時間浸漬し、乾燥皮膜に白化その
他の異常の有無を目視にて観察した。
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】本発明のウレタンエマルジョンの製造方
法は、叙上の如く構成されているので、自己分散性を有
し、高い固形分濃度においても、エマルジョンの粘度は
低いレベルに維持でき、必要とあらば、適宜増粘剤を使
用し、塗布作業の最適粘度において塗工作業を実施で
き、且つ、凝集物ができに難い長期の貯蔵安定性を有す
る優れたウレタンエマルジョンを提供できるのである。
【0057】更に、本発明のウレタンエマルジョンの製
造方法は、上記の如く得られたウレタンエマルジョンを
接着剤や塗料として用いられたとき、これらの乾燥皮膜
が高い耐水性を示し、長期にわたって環境中の湿度によ
る劣化のない優れたウレタンエマルジョンを提供できる
のである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内にイオン性もしくは非イオン性の
    親水性基又は潜在的イオン性の官能基及びイソシアネー
    ト基と反応可能な活性水素を含む官能基を2個以上有す
    る化合物と有機ポリイソシアネート化合物を反応させて
    得られる1個以上の残存イソシアネート基を有する分子
    量400〜1500の自己分散性を有するウレタンプレ
    ポリマー(A)及び分子内にイオン性もしくは潜在的イ
    オン性の官能基を持たず、イソシアネート基と反応可能
    な活性水素を含む官能基を2個以上有する化合物と有機
    ポリイソシアネート化合物を反応させて得られる1個以
    上の残存イソシアネート基を有する自己分散性を有しな
    いウレタンプレポリマー(B)を水に分散し、鎖延長剤
    により高分子化することを特徴とするウレタンエマルジ
    ョンの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2010110076A1 (ja) * 2009-03-27 2012-09-27 三井化学株式会社 ポリウレタンディスパージョンおよびその製造方法

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