JPH08112891A - 印刷装置及び該印刷装置を用いた印刷方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 印刷マスクの長寿命化を図るとともに、ペー
ストからなる図形の印刷位置ずれや形状精度の劣化が発
生することを防止できる印刷装置及び印刷方法を提供す
る。 【構成】 本発明に係る印刷装置を用いた印刷方法は、
外周面２ａ上に被印刷物Ｓを吸着した印刷台２を上昇さ
せることによってシート状被印刷物Ｓの表面を印刷マス
ク４の裏面に対して接触させる工程と、スキージ６を移
動させることによってペーストＰを押圧して印刷開口３
内に充填すると同時に、印刷マスク４と被印刷物Ｓとの
接線位置Ｏがスキージ６の先端位置と略一致する同期状
態で印刷台２をスキージ６の移動方向と同じ向きの水平
方向に沿って移動させながら回転させる工程と、印刷台
２を下降させることによって印刷マスク４の裏面から被
印刷物Ｓの表面を離脱させる工程とを含むことを特徴と
している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被印刷物の表面上にペ
ーストを塗布する際などに必要とされる印刷装置及び該
印刷装置を用いた印刷方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、積層型電子部品や配線基板の
内部電極を形成する際などには、スクリーン印刷といわ
れる印刷方法を採用したうえで被印刷物、例えば、セラ
ミックグリーンシートの表面上に、導電性ペーストを塗
布することが行われている。そして、この印刷方法にお
いては、図５で示すような構成とされたペースト印刷機
２１を用いるのが一般的となっている。すなわち、この
ペースト印刷機２１は、形成すべき内部電極などの形状
に対応した図形と合致する印刷開口２２が形成された印
刷マスク２３と、印刷マスク２３の周縁部を固定保持す
る版枠２５とからなり、印刷マスク２３上に載置された
ペーストＰを押圧しながら移動するスキージ２６を具備
して構成されたものである。

【０００３】次に、このペースト印刷機２１を用いた際
の印刷手順を、オフコンタクト方式の場合を示す図６及
びコンタクト方式の場合を示す図７に基づいて説明す
る。すなわち、まず、印刷作業の開始にあたっては、所
要広さの平坦な表面を有し、かつ、水平方向に沿って固
定支持された印刷台２７を用意したうえ、この印刷台２
７の表面上にシート状の被印刷物Ｓを拡げた状態で載置
する。さらに、図６で示すように、この被印刷物Ｓの表
面との間にわずかな隙間を空けた位置状態で、あるいは
また、図７で示すように、被印刷物Ｓの表面上に密着さ
せた位置状態でペースト印刷機２１の印刷マスク２３を
保持した後、スキージ２６を水平方向の一方向き（図
中、矢印Ａで示す）で移動させることによって印刷マス
ク２３上のペーストＰを押圧しながら印刷開口２２内に
充填する。すると、充填されたペーストＰは印刷開口２
２を通過したうえで被印刷物Ｓに対して転写されること
になり、この被印刷物Ｓの表面上には印刷開口２２の形
状と合致した図形のペーストＰが塗布されたことにな
る。

【０００４】なお、この際、図６で示したオフコンタク
ト方式においては、ペースト印刷機２１を構成する印刷
マスク２３がスキージ２６によって押圧されることにな
り、ペーストＰが被印刷物Ｓに転写された後の印刷マス
ク２３は弾性力によって当初の位置状態、すなわち、被
印刷物Ｓの表面との間にわずかな隙間が空いた位置状態
にまで復帰することになる。また、図７で示したコンタ
クト方式においては、印刷台２７を機械的に離脱させる
ことにより、印刷マスク２３の裏面から印刷済みとなっ
た被印刷物Ｓを引きはがして分離することが行われる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来構
成とされたペースト印刷機２１を用いてのオフコンタク
ト方式による印刷方法においては、版枠２５に固定保持
された印刷マスク２３をスキージ２６で押圧することが
行われるため、印刷マスク２３は、隙間を空けて配置さ
れた被印刷物Ｓに向かう下側へと引き伸ばされ、また、
同時に、スキージ２６の移動方向に沿っても引き伸ばさ
れることになる。その結果、被印刷物Ｓの表面上に塗布
されたペーストＰの印刷位置がずれたり、形状精度が劣
化したりすることが生じてしまう。

【０００６】一方、コンタクト方式を採用した場合に
は、下側へと引き伸ばされない分だけ印刷マスク２３の
伸びが低減することになるが、スキージ２６の移動方向
に沿って印刷マスク２３が引き伸ばされることは避けら
れず、また、印刷マスク２３と印刷台２７とが全面的に
密着していることから、やはりペーストＰの印刷位置が
ずれたり、形状精度が劣化したりすることが起こる。さ
らに、印刷マスク２３の裏面から印刷済みとなった被印
刷物Ｓを分離するための手間及び時間が必要になるとい
う不都合が生じることになっていた。さらにまた、繰り
返して引き伸ばされる印刷マスク２３には金属疲労が生
じることになり、その寿命が短縮化されることになるた
め、短期間のうちに印刷マスク２３の付け替えを行う必
要が生じるという不都合もあった。

【０００７】本発明は、これらの不都合に鑑みて創案さ
れたものであって、印刷マスクの長寿命化を図るととも
に、塗布されたペーストの印刷位置ずれや形状精度の劣
化が発生することを防止できる印刷装置及び印刷方法の
提供を目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係る印刷装置
は、印刷開口が形成された印刷マスクと、この印刷マス
クの周縁部を固定保持する版枠と、前記印刷マスク上に
載置されたペーストを押圧しながら移動するスキージと
からなり、水平方向に沿って支持されるペースト印刷機
を具備しているとともに、断面円弧状の外周面を有し、
かつ、この外周面上に吸着した被印刷物の表面を前記印
刷マスクの裏面に接触させながら前記スキージの移動方
向と同じ向きの水平方向に沿って移動しつつ回転する印
刷台を備えていることを特徴とするものである。

【０００９】また、本発明に係る印刷方法は、断面円弧
状の外周面上に被印刷物を吸着した印刷台を上昇させる
ことによって前記被印刷物の表面を印刷マスクの裏面に
対して接触させる工程と、スキージを移動させることに
よってペーストを押圧して印刷開口内に充填すると同時
に、前記印刷マスクと被印刷物との接線位置が前記スキ
ージの先端位置と略一致する同期状態で前記印刷台を前
記スキージの移動方向と同じ向きの水平方向に沿って移
動させながら回転させる工程と、前記印刷台を下降させ
ることによって前記印刷マスクの裏面から前記被印刷物
の表面を離脱させる工程とを含むことを特徴としてい
る。

【００１０】

【作用】本発明に係る印刷装置及び該印刷装置を用いた
印刷方法によれば、被印刷物と接した印刷マスクをスキ
ージで押圧することによってペーストの塗布を行うので
あるから、この印刷マスクが伸びることは生じず、その
長寿命化が図れる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１２】図１は本実施例に係る印刷装置の概略構成
を示す一部破断斜視図、図２は印刷台の駆動装置を簡略
化して示す説明図、図３は印刷装置の変形構成を示す説
明図であり、図４は本実施例に係る印刷方法を手順に従
って示す説明図である。

【００１３】本実施例に係る印刷装置は、図１で簡略化
して示すように、水平支持されるペースト印刷機１と、
このペースト印刷機１の下側に配置される印刷台２とを
備えている。そして、ここでのペースト印刷機１は、セ
ラミックグリーンシートなどのような被印刷物Ｓ上に導
電性ペーストなどのペーストＰを用いて形成すべき図形
と合致する印刷開口３が形成された印刷マスク４と、こ
の印刷マスク４の周縁部を直接的に固定保持する版枠５
とからなっており、印刷マスク４上に載置されたペース
トＰを押圧しながら移動するスキージ６を具備してい
る。なお、図１では省略しているが、このペースト印刷
機１はスキージ６と対になった周知のインク（ペース
ト）返し具７をも具備している。

【００１４】一方、この印刷装置を構成する印刷台２は
断面円弧状の外周面２ａを有する所定厚みの構造物とし
て構成されたものであり、この印刷台２の外周面２ａに
沿っては真空吸着装置に接続された吸着孔（いずれも図
示していない）が形成されている。また、この印刷台２
は、図２で示すような構成とされた駆動装置８上に載置
されることにより、垂直方向に沿った昇降動作及びペー
スト印刷機１を構成するスキージ６の移動方向と同じ向
きの水平方向に沿った移動動作とともに、所定の角度範
囲内にわたる回転動作をも行い得るものとなっている。
すなわち、この際における駆動装置８は、例えば、印刷
台２の下側に連結されたうえで垂直方向に沿って設けら
れた所定長さの回転レバー９と、回転中心となる下端部
が軸受１０によって支持された回転レバー９の中途部に
連結された回転動シリンダ１１と、回転レバー９及び回
転動シリンダ１１が取り付けられた上側支持台１２をス
キージ６と同じ向きの水平方向に沿う所定の長さ範囲内
にわたって移動動作させる水平動シリンダ１３と、上側
支持台１２及び水平動シリンダ１３が載置された下側支
持台１４を昇降動作させる昇降動シリンダ１５とから構
成されている。なお、図示していないが、ラック・ピニ
オン機構やモータなどを用いて駆動装置８を構成しても
よいことは勿論である。

【００１５】さらにまた、印刷台２が断面円弧状の外周
面２ａを有している限りは、図３の変形例で示すような
構成とされた印刷装置を採用することも可能である。す
なわち、この印刷装置は直径の小さな断面視円形状とな
った印刷台２を備えて構成されたものであり、印刷台２
はその軸心を中心としたうえでの回転動作を行うととも
に、軸心が垂直方向に沿って昇降動作及び水平方向に沿
って移動動作するものとなっている。なお、ペースト印
刷機１そのものの構成は図１の場合と同じであるから、
ここでの説明は省略する。

【００１６】次に、本実施例に係る印刷装置を用いたう
えでの印刷手順を、図４に基づいて説明する。

【００１７】まず、図４（ａ）で示すように、水平支持
されたペースト印刷機１から離間した下方位置に配置さ
れた印刷台２の断面円弧状となった外周面２ａ上にセラ
ミックグリーンシートなどの被印刷物Ｓを供給し、この
外周面２ａ上に拡がった状態で被印刷物Ｓを吸着する。
なお、この際における被印刷物Ｓは、連続した形状を有
するものであっても、あるいはまた、予め所定長さごと
に切断された形状を有するものであってもよい。そし
て、図４（ｂ）で示すように、ペースト印刷機１を構成
する印刷マスク４上にペーストＰを供給したうえ、イン
ク返し具７を用いることによってペーストＰを印刷マス
ク４上に拡げる。その後、印刷台２を上昇させることに
より、その外周面２ａ上に吸着された被印刷物Ｓの表面
を印刷マスク４の裏面に滑りなく線接触させる。

【００１８】引き続き、図４（ｃ）で示すように、スキ
ージ６を水平方向に沿った一方向き（図中、矢印Ａで示
す）で移動させることによって印刷マスク４上のペース
トＰを押圧しながら印刷開口３内に充填する。そして、
同時に、印刷マスク４と被印刷物Ｓとの接線位置Ｏが、
移動しているスキージ６の先端位置と一致する、もしく
は、少なくとも近傍位置にあって略一致する同期状態と
なるように印刷台２をスキージ６の移動方向と同じ向き
の水平方向に沿って移動させながら所定の角度範囲内に
わたって回転させることが行われる。なお、この際にお
ける接線位置Ｏ及びスキージ６の先端位置が略一致した
同期状態を実現するためには、スキージ６の移動を検出
しながらマイクロ・コンピュータ（図示していない）に
よって印刷台２の駆動装置８を制御することになる。す
なわち、この際における印刷台２は、印刷マスク４の裏
面上を転がるような動作を行うことになる。その結果、
印刷マスク４の印刷開口３内に充填されたペーストＰは
これらの印刷開口３を通過したうえで被印刷物Ｓに対し
て転写されることになり、この被印刷物Ｓの表面上には
印刷開口３の形状と合致した図形のペーストＰが塗布さ
れることになる。

【００１９】このような手順に従ってのペーストＰの塗
布が終了した後、図４（ｄ）で示すように、ペーストＰ
が塗布された被印刷物Ｓを吸着している印刷台２は下降
させられ、印刷済みとなった被印刷物Ｓの表面は印刷マ
スク４の裏面から機械的に離脱させられる。その後、図
４（ｅ）で示すように、印刷台２による吸着を解除する
ことにより、所定図形のペーストＰが塗布された被印刷
物Ｓは次工程へと送り出されていくことになる。なお、
本実施例においては、被印刷物Ｓがセラミックグリーン
シートなどであり、ペーストＰが導電性ペーストなどで
あるとしているが、これらに限定される必然性はなく、
紙やプラスチック製のフィルムまたは断面円弧状の物体
などのような被印刷物Ｓに対してペーストＰやインクに
よる印刷を行うための印刷装置及び印刷方法にも適用可
能であることは勿論である。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る印刷
装置及び該印刷装置を用いた印刷方法においては、被印
刷物と接した印刷マスクをスキージで押圧することによ
ってペーストの塗布を行うのであるから、この印刷マス
クが下側に伸びることは生じ得ず、その長寿命化を図る
ことができる。そして、この際、印刷台は断面円弧状の
外周面を有し、かつ、スキージと同期しながら同じ向き
に水平移動しつつ回転するものであるから、この印刷台
に対してはスキージの移動に伴って変化する印刷開口内
におけるペーストの充填位置のみが接することになり、
印刷マスクと印刷台との全面的な密着に伴うペーストの
印刷ずれや形状精度の劣化が生じることは起こり得な
い。また、スキージの押圧時圧力を低減することも可能
となり、スキージの移動方向への伸びを抑制することが
できる。その結果、本発明によれば、塗布されたペース
トの印刷位置ずれや形状精度の劣化が発生することを有
効に防止できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例に係る印刷装置の概略構成を示す一部
破断斜視図である。

【図２】印刷台の駆動装置を簡略化して示す説明図であ
る。

【図３】印刷装置の変形構成を示す説明図である。

【図４】本実施例に係る印刷方法を手順に従って説明図
である。

【図５】従来例に係る印刷機の概略構成を示す一部破断
斜視図である。

【図６】従来例に係るオフコンタクト方式の印刷手順を
示す説明図である。

【図７】従来例に係るコンタクト方式の印刷手順を示す
説明図である。

【符号の説明】

１ ペースト印刷機 ２ 印刷台 ２ａ 外周面 ３ 印刷開口 ４ 印刷マスク ５ 版枠 ６ スキージ Ｏ 接線位置 Ｐ ペースト Ｓ 被印刷物

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 印刷開口（３）が形成された印刷マスク
   （４）と、この印刷マスク（４）の周縁部を固定保持す
   る版枠（５）と、前記印刷マスク（４）上に載置された
   ペースト（Ｐ）を押圧しながら移動するスキージ（６）
   とからなり、水平方向に沿って支持されるペースト印刷
   機（１）を具備しているとともに、 断面円弧状の外周面（２ａ）を有し、かつ、この外周面
   （２ａ）上に吸着した被印刷物（Ｓ）の表面を前記印刷
   マスク（４）の裏面に接触させながら前記スキージ
   （６）の移動方向と同じ向きの水平方向に沿って移動し
   つつ回転する印刷台（２）を備えていることを特徴とす
   る印刷装置。
2. 【請求項２】 断面円弧状の外周面（２ａ）上に被印刷
   物（Ｓ）を吸着した印刷台（２）を上昇させることによ
   って前記被印刷物（Ｓ）の表面を印刷マスク（４）の裏
   面に接触させる工程と、 スキージ（６）を移動させることによってペースト
   （Ｐ）を押圧して印刷開口（３）内に充填すると同時
   に、前記印刷マスク（４）と被印刷物（Ｓ）との接線位
   置（Ｏ）が前記スキージ（６）の先端位置と略一致する
   同期状態で前記印刷台（２）を前記スキージ（６）の移
   動方向と同じ向きの水平方向に沿って移動させながら回
   転させる工程と、 前記印刷台（２）を下降させることによって前記印刷マ
   スク（４）の裏面から前記被印刷物（Ｓ）の表面を離脱
   させる工程とを含むことを特徴とする請求項１記載の印
   刷装置を用いた印刷方法。