JP2004314341A - 版離れ装置およびスクリーン印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的簡単な構造で、現行の印刷機にも導入が可能で、印刷むらや線切れなどの印刷不良を防止して解像度が高く精度のよい印刷を実現することができるスクリーン印刷用版離れ装置の実現を課題とする。
【解決手段】スキージ1による摺動直後にスクリーン4の両端を垂直方向に順次所定の高さ押し上げてスクリーン4を被印圧物6から分離するガイドピン8、押上げブロック9、チェーン10などからなる押上げ機構を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は版離れ装置およびスクリーン印刷装置に関し、特に印刷精度、解像度を向上する版離れ装置およびスクリーン印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4に従来のスクリーン印刷装置の概略側面図を、図5に従来のスクリーン印刷装置の概略正面図を示す。
従来のスクリーン印刷装置は、矩形状のスクリーン枠5に強く張設されたスクリーン4の上に印刷インク12を置き、スクリーン4にスキージ1で印圧を掛けながらスキージ1を移動させ、印刷テーブル7上に設置した被印刷物6の上にスクリーン4に形成されている画像を通してインクを押し出すことにより、印刷を行なうようになっている。
【0003】
ところで、このようなスクリーン印刷においては、スキージ1の摺動時以外にスクリーン4と被印刷物6とが接触することによりスクリーン4に供給されたインク12が被印刷物6に付着する等の印刷不良を防止するためから、通常、被印刷物6とスクリーン4の間には2mm〜6mm程度の隙間(クリアランス)が設けられており、スキージ1がスクリーン4上を摺動するときのみ、スクリーン4の摺動面とこの摺動面に対応する被印刷物6の印刷面とを接触させてインク12を転移させると共に、接触がおわった後はスクリーン4の張力によってスキージ1の通過したあとにスクリーン4が被印刷物6の印刷面から分離するよう構成されていた。
しかし、このような従来のスクリーン印刷においては、スクリーン4と被印刷物6との接触は、スキージ1がスクリーン4上を摺動し、スクリーンを伸ばすことで行っているため、スクリーン4の劣化が早く、耐久性を高めることが難しかった。
【0004】
また、スキージ1にてスクリーン4を被印刷物6に接触させた後、スクリーン4の摺動面が被印刷物6の印刷面から分離する程度の張力を、スクリーン4の被印刷物の印刷面全体となる開孔全体に保持させるには、スクリーン枠5にはられたスクリーン4の面積を印刷面積の2倍程度大きくする必要があり、コストの面でも問題があった。
【0005】
さらに、スクリーン4を伸ばして印刷を行うため、スクリーン4上に形成された開孔の形状に対応して被印刷物6に正確にインク12を転移させることが難しく、印刷精度を高めるには限界があった。
【0006】
印刷精度を上げるために、スクリーン4と被印刷物6の隙間をできるだけ狭くとり、スクリーン4を伸ばさず被印刷物6へインク12を転移することが考えられる。
【0007】
しかし、この隙間を狭くすると、前述したように、スキージ12の通過時以外にスクリーン4と被印刷物6とが接触して印刷不良が生じてしまうおそれがあり、特に外周であるスクリーン枠5の周辺に比較して撓みやすいスクリーン枠5の中央部ではこの接触の可能性が高くなる。
【0008】
また、このようにスクリーンを伸ばさずに印刷すると、スクリーン4の有する張力でスクリーン4と被印刷物6とを分離させることが困難となり、スクリーン4と被印刷物6の隙間が狭いことと相俟って、スクリーン4と被印刷物6とがインク12を介して接着されたような状態となってしまい、これらを分離することが困難となるだけでなく、この分離を印刷後に手作業等によって行う場合には、分離の際にスクリーン4が傾斜すること等により被印刷物6へのインク12の付着にむらが生じたり、細い線に線切れが発生する等の印刷不良が生じるおそれがある。
【0009】
このような問題を避けるために、従来から印刷後にスクリーンと被印刷物とをスクリーンの張力だけによらないで分離する方法が多数報告されている。例えば、印刷台を一旦上げてから下ろしてスクリーンと被印刷物とを分離する(例えば特許文献1参照。)、スクリーンを下支えるしながら印刷台を下ろしてスクリーンと被印刷物とを分離する(例えば特許文献2参照。)、印刷台をスクリーンの一部分から下降させてスクリーンと被印刷物とを分離する(例えば特許文献3参照。)、被印刷物でスクリーンを押し上げるようにして印刷を行なう(例えば特許文献4参照。)など印刷台を移動させる装置を設けて分離するなどの方法が報告されている。しかしこれらの方法は、印刷装置が大掛かりになり、また、印刷精度を上げるためには、印刷台を移動させるための細かい制御が必要であり、どうしても高価なものになるという問題がある。
【0010】
また、空気圧によってスクリーンと被印刷物とを分離する(例えば特許文献5参照。)、スクリーンの一部または全部に磁性材料を用い、磁力でスクリーンと被印刷物とを分離する(例えば特許文献6参照。)、吸引力や磁力など適当な外力を与えることでスクリーンと被印刷物とを分離する(例えば特許文献7参照。)などの方法が報告されているが、これらも特別な装置や特殊なスクリーンを用いる必要があって、どうしても装置が高価なものになる。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−214836号公報(第3−7頁、第2A図)
【特許文献2】
特開平11−20126号公報(第3−4頁、第1図)
【特許文献3】
特開2000−211104号公報(第3−4頁、第1図)
【特許文献4】
特開平10−109398号公報(第2−3頁、第2図)
【特許文献5】
特開2003−89190号公報(第3−9頁、第1図)
【特許文献6】
特開2001−277470号公報(第3−5頁、第1図)
【特許文献7】
特開平8−34110号公報(第3−9頁、第1図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
スクリーンと被印刷物の隙間をできるだけ狭くとり、スクリーンを伸ばさず被印刷物へ精度よく印刷を行なうために、スクリーンを印刷台上の被印刷物から分離する手段が必要になる。しかしながら、従来、この目的で提案されている技術によると、上述のように、どうしても特別な装置が必要になって装置が大掛かりで高価なものになってしまったり、特別なスクリーン版を作らねばならないという問題があった。
本発明は、この問題を解決して、比較的簡単な構造で、現行の印刷機にも導入が可能で、印刷むらや線切れなどの印刷不良を防止して解像度が高く精度のよい印刷を実現することができるスクリーン印刷用版離れ装置と、そのような版離れ装置付きのスクリーン印刷装置の実現を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため本発明は、スクリーン枠に保持されたスクリーンに供給されたインクの上をスキージで摺動して前記スクリーンに設けられた印刷画像に対応した開口から前記インクを被印刷物上に押し出して印刷を行なうスクリーン印刷装置に用いられ、印刷後の前記スクリーンと前記被印刷物とを分離させるスクリーン印刷用版離れ装置において、前記スキージによる摺動直後に前記スクリーンの両端を垂直方向に順次所定の高さ押し上げて前記スクリーンを前記被印圧物から分離することを特徴とする。
これにより、スクリーンに負担をかけることなく、また、スクリーンに伸びやたわみをもたらすことなく、スキージの摺動に同期してスクリーンを被印圧物から分離することが可能な版離れ装置が得られる。これを用いることによって、印刷結果に線切れや印刷むらなどのミスを発生することなく、解像度が高く精度のよいスクリーン印刷が可能になる。
【0014】
ここで、前記版離れ装置は前記スクリーン枠内の前記スクリーンの両端の下方に前記スキージの摺動方向に沿って前記被印刷物を挟んでそれぞれ一列に並んだ複数のガイドピンと、このガイドピンを前記スキージの摺動に同期して順次押し上げる複数の押上げブロックとを有することを特徴とする。
これにより、ガイドピンによってスキージの摺動に同期してスクリーンを所定の高さに滑らかに押し上げてスクリーンを被印刷物から分離することができる。この装置は比較的簡単な構成なので、現行のスクリーン印刷機に後から装着することも可能な版離れ装置が得られる。
【0015】
また、前記押上げブロックは閉じた帯状のベルトまたはチェーン上に設けられ、この帯状のベルトまたはチェーンの前記スキージの摺動と同期した周回によって順次前記ガイドピンの下方にもぐりこんで前記ガイドピンを押し上げることを特徴とする。
これにより、比較的簡単な構成で、スクリーンを円滑に押し上げることができ、スキージとの同期設定も容易な版離れ装置が得られる。
【0016】
スクリーン枠に保持されたスクリーンに供給されたインクの上をスキージで摺動して前記スクリーンに設けられた印刷画像に対応した開口から前記インクを被印刷物上に押し出して印刷を行なうスクリーン印刷装置において、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の版離れ装置を具備することを特徴とする。
これにより、スクリーンと被印刷物との隙間を小さくして、スクリーンに負担をかけることなく、スクリーンに伸びやたわみを発生することなく印刷ができ、線切れや印刷むらなどの印刷ミスがなく解像度が高く精度のよい印刷が可能なスクリーン印刷装置を実現することができる。
【0017】
前記スキージの両端の外側にローラ治具または滑り治具を設け、この治具の下端と前記スキージの下端とが一致するようにしたことを特徴とする。
これにより、スクリーンを着実に抑えてスクリーンと被印刷物との隙間を小さくし、スキージの摺動も円滑にして解像度が高く精度のよい印刷が可能なスクリーン印刷装置を実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる版離れ装置とスクリーン印刷装置を、添付図面を参照にして詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態によるスクリーン印刷装置の概略側面図であり、図2は、本発明によるスクリーン印刷装置の概略正面図である。また、図3に本発明の版離れ装置の構成図を示した。
図1、図2および図3において、符号1はスキージ、符号2はスキージホルダ、符号3はローラ、符号4はスクリーン、符号5はスクリーン枠、符号6は被印刷物、符号7は印刷テーブル、符号8はガイドピン、符号9は押上げブロック、符号10はチェーンまたはベルト、符号11はギヤまたは回転子、符号12はインク、符号13はローラ支持部である。便利のために、図4および図5と同一の機能を持つ部分には同一の符号をつけて示してある。
【0020】
本実施の形態の、ガイドピン8、押上げブロック9、チェーンまたはベルト10、ギヤまたは回転子11、ローラ支持部13で本発明の版離れ装置を構成している。また、スキージ1はスキージホルダ2に支持されていて、その両側にはローラ3が一体に設けられている。スキージ1の下端とローラ3の下端とは同一平面上に位置するような高さになっている。ガイドピン8は被印刷物6の両側に印刷方向に1列に配置され、所定の範囲内で上下移動が可能なようになっている。ガイドピン8の上部の表面位置はチェーン10が沈んだ状態で被印刷物の面位置と同じ高さにある。
【0021】
本発明のスクリーン印刷装置の動作をこの実施の形態に付いて説明する。この実施の形態では、スクリーン4と被印刷物6との間の隙間をほとんど0にした状態で印刷が行なわれる。
まず、スクリーン枠5に貼られたスクリーン4の上に印刷インク12を塗付する。スキージ1とローラ3とはスクリーン4を押圧しながら印刷方向に移動する。このとき、スキージ4はインク12の上から摺動することで、スクリーン4に形成されている画像にインク12を通して、テーブル7上に載置された被印刷物6の上に印刷する。
印刷のために、スキージ1とローラ3とがスクリーン4を押圧しながら印刷方向に移動すると、これに同期してギヤ11が回転を始め、チェーン10は回転方向に移動し、チェーン10の約半周の上に設けられている押上げブロック9が順次ガイドピン8の下方に潜り込んで、ガイドピン8を所定の高さまで押し上げる。なお、押上げブロック9は最初のいくつかに傾斜をつけることでガイドピン8の下方に潜り込みやすくしてもよい。
【0022】
これによって、印刷が行なわれた直後のスクリーン4の部分がガイドピン8によって所定の高さまで押し上げられ、インク12の粘性によって張り付いているスクリーン4を被印刷物6から順次剥がして行き、全面の印刷が終了するまでスクリーン4が被印刷物6に再び触れることがない。この押上げの方向は垂直方向であるので、スクリーン4や印刷されたインク12に横方向に力が加わることがほとんどなく、スクリーン4が伸びることもない。したがって、印刷されたインクの厚みは一定になり、線切れや印刷むらなどのない精度の高い印刷を実現することができる。
【0023】
また、スクリーン4をスキージ1とローラ3によって抑えていて、スクリーン4と被印刷物6表面との間に隙間がないため、スクリーン4に負担をかけることがなく、スクリーン4に伸びやたわみを発生することなく印刷ができ、これによっても精度の高い印刷が保障される。さらに、スキージ1の両端に力が加わってこの部分がたわむことがないので、スクリーン4とスキージ1との当接角度がスクリーン4の中央部分と端部とで変ることがなく、スクリーン4を通過するインク12の通過量が一様になるので均一な印刷が可能になる。
【0024】
以上、本発明を一実施の形態に沿って説明したが、本発明はこの実施の形態に限られるものではなく、種々の対応が考えられる。以上の説明では、スキージ1の両側にローラ3を設けてスクリーン4を押し付けるように説明したが、ローラに代わって滑り治具を用いてもよい。さらに、スクリーン4が被印刷物6の表面に隙間なく張られて印刷が行なわれるため、必ずしもローラ3や滑り治具は必要ではなく、これらのない構成も考えられる。
また、以上の説明では押上げブロック9がチェーン10の上に設けられているように説明したが、これはベルトであっても差し支えなく、ベルトの場合はギヤ11に変わって、回転子、回転ローラが用いられる。
【0025】
以上本発明を、スクリーン印刷装置で説明したが、このスクリーン印刷装置に用いられる版離れ装置も本発明の対象とするものである。本発明の版離れ装置は以上に述べたように比較的簡単で小型の構成で実現することができるので、現行のスクリーン印刷機に後から装着することも可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の版離れ装置は印刷が行なわれた直後のスクリーンの部分を所定の高さまで垂直に押し上げ、スクリーンを負担のかからないように被印刷物から剥がすので、線切れや印刷むらのない、印刷精度、印刷の解像度に優れた印刷を実現する働きを有し、かつ小型で比較的簡単な構成であるので、既設のスクリーン印刷機に後から装着することもできる。
また、この版離れ装置を設けた本発明のスクリーン印刷装置は、充分な印刷精度と解像力を維持しながら比較的小型で廉価に実現することができるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるスクリーン印刷装置の概略側面図。
【図2】本発明によるスクリーン印刷装置の概略正面図。
【図3】本発明の版離れ装置の構成図。
【図4】従来のスクリーン印刷装置の概略側面図。
【図5】従来のスクリーン印刷装置の概略正面図。
【符号の説明】
1 スキージ
2 スキージホルダ
3 ローラ
4 スクリーン
5 スクリーン枠
6 被印刷物
7 テーブル
8 ガイドピン
9 押上げブロック
10 チェーンまたはベルト
11 ギヤまたは回転子
12 インク
13 ローラ支持部

Claims (5)

  1. スクリーン枠に保持されたスクリーンに供給されたインクの上をスキージで摺動して前記スクリーンに設けられた印刷画像に対応した開口から前記インクを被印刷物上に押し出して印刷を行なうスクリーン印刷装置に用いられ、印刷後の前記スクリーンと前記被印刷物とを分離させるスクリーン印刷用版離れ装置において、
    前記スキージによる摺動直後に前記スクリーンの両端を垂直方向に順次所定の高さ押し上げて前記スクリーンを前記被印圧物から分離することを特徴とするスクリーン印刷用版離れ装置。
  2. 前記版離れ装置は前記スクリーン枠内の前記スクリーンの両端の下方に前記スキージの摺動方向に沿って前記被印刷物を挟んでそれぞれ一列に並んだ複数のガイドピンと、このガイドピンを前記スキージの摺動に同期して順次押し上げる複数の押上げブロックとを有することを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷用版離れ装置。
  3. 前記押上げブロックは閉じた帯状のベルトまたはチェーン上に設けられ、この帯状のベルトまたはチェーンの前記スキージの摺動と同期した周回によって順次前記ガイドピンの下方にもぐりこんで前記ガイドピンを押し上げることを特徴とする請求項2に記載のスクリーン印刷用版離れ装置。
  4. スクリーン枠に保持されたスクリーンに供給されたインクの上をスキージで摺動して前記スクリーンに設けられた印刷画像に対応した開口から前記インクを被印刷物上に押し出して印刷を行なうスクリーン印刷装置において、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の版離れ装置を具備することを特徴とするスクリーン印刷装置。
  5. 前記スキージの両端の外側にローラ治具または滑り治具を設け、この治具の下端と前記スキージの下端とが一致するようにしたことを特徴とする請求項4に記載のスクリーン印刷装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007010642A1 (ja) * 2005-07-20 2007-01-25 Hitachi Metals, Ltd. スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法
JP2008114373A (ja) * 2006-10-31 2008-05-22 Yoshino Kogyosho Co Ltd 外表面を加飾した合成樹脂成形品
GB2553396A (en) * 2016-07-18 2018-03-07 Asm Assembly Systems Singapore Pte Ltd Screen printing apparatus and method
CN108557379A (zh) * 2018-03-21 2018-09-21 贵州慧联科技有限公司 一种快递分拣系统用的分拣机构及分拣方法

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