JPH08112096A - IgGFc部結合タンパク質をコードする遺伝子 - Google Patents

IgGFc部結合タンパク質をコードする遺伝子

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JPH08112096A
JPH08112096A JP7109927A JP10992795A JPH08112096A JP H08112096 A JPH08112096 A JP H08112096A JP 7109927 A JP7109927 A JP 7109927A JP 10992795 A JP10992795 A JP 10992795A JP H08112096 A JPH08112096 A JP H08112096A
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    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/70503Immunoglobulin superfamily
    • C07K14/70535Fc-receptors, e.g. CD16, CD32, CD64 (CD2314/705F)

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 免疫グロブリンG(IgG)のFc部分と特
異的に結合するタンパク質を遺伝子工学的手法によって
生産し、その医薬用途への適用を図る。 【構成】 IgGFc部結合タンパク質(FCγBP)
をコードする遺伝子、該遺伝子を含有する組換えベクタ
ー、該組換えベクターにより形質転換された宿主細胞、
該宿主細胞を培養して得られる組換えタンパク質の製造
方法、ならびに上記方法で得られる組換えIgGFc部
結合活性を示すタンパク質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は免疫グロブリンG(Ig
G)のFc部分と特異的に結合するタンパク質であるI
gGFc部結合タンパク質(FcγBP:Fcγ Bi
ndingProteinおよびIgGFcBPと記載
することもある)をコードする遺伝子、該遺伝子を含有
する組換えベクター、該組換えベクターにより形質転換
された宿主細胞、該宿主細胞を培養して得られる組換え
タンパク質の製造方法、ならびに上記方法で得られる組
換えIgGFc部結合活性を示すタンパク質に関する。
【0002】
【従来の技術】マクロファージは免疫担当細胞の1つと
して、生体外から侵入してきた異物やそのイムノグロブ
リンG(IgG)複合体を貧食作用(phagocyt
osis)により細胞内に取り込み、消化し、またリン
パ球による抗体産生を誘起させるために、抗原提示作用
を示す能力も有する。このような貧食機構の主たる入口
がマクロファージの細胞表面上に存在するIgGのFc
レセプター(Fcγレセプター:FcγR)である。F
cγレセプターはIgGのFc部を結合するレセプター
であるが、その本来の機能は、IgGによっておおわれ
た(オプソニン化)病原体あるいは抗原−IgG免疫複
合体を除去することにある。
【0003】従来Fcγレセプターには大別して3種類
の存在が知られており、これらはRI、RII RII
Iと名付けられている(J.V.Ravetch an
dJ.−P.Kinet,Annu.Rev.Immu
nol.(1991),9:457−492)。これら
のレセプターはいずれもすでにそのcDNAがクローニ
ングされている。さらに、1990年〜1991年には
いくつかのグループによって、これらFcγレセプター
に会合しており、Fcγレセプターがその結合物を内部
に取り込むために必要な動きを始めるためのタンパク質
が見いだされ、スイッチ機構の糸口が明らかにされた
(L.L.Lanier,G.Yu and J.H.
Phillips,Nature(1989),34
2:803−805;T.Kurosaki and
J.V.Ravetch,Nature(1989),
342:805−807;D.G.Orioff,C.
Ra,S.J.Frank,R.D.Klausner
and J.−P.Kinet,Nature(19
89),347:189−191;P.Anderso
n,M.Caligiuri,C.O’Brien,
T.Manley,J.Ritz and S.F.S
chlossman,Proc.Natl.Acad.
Sci USA(1990),87:2274−227
8;T.Kurosaki,I.Gander and
J.V.Ravetch,Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA(1991),88:3837−
3841;L.Azzoni,M.Kamoun,T.
W.Salcedo,P.Kanakaraj and
B.Perussia,J.Exp.Med.(19
92),176:1745−1750;A.T.Tin
g,L.M.Karnitz,R.A.Schoon,
R.T.Abraham and P.J.Leibs
on,J.Exp.Med.(1992),176:1
751−11755)。
【0004】一方、小林らはヒト小腸および大腸上皮細
胞、特にゴブレット細胞にIgGのFc部と特異的に結
合でき、かつ従来のFcγレセプターとは異なるタンパ
ク質FcγBPの存在を報告した。このタンパク質のI
gGFc部との特異的結合はホースラディッシュペルオ
キシダーゼ(HRP)標識物を用いて確認されている。
すなわち、FcγBPはIgGのFc部とのみ結合し、
IgGFab、IgA、IgMとは結合しない。またF
cγBPはFcγレセプターI、II、III抗体と交
差反応しない(K.Kobayashi,M.J.Bl
aser and W.R.Brown,J.Immu
nol.(1989),143:2567−257
4)。
【0005】さらに、彼らはFcγBPをヒト大腸上皮
細胞から部分精製し、これを抗原としてマウスモノクロ
ーナル抗体を作製した。これらの抗体とFcγBPが結
合するだけでなく、マウスIgGとも結合することが確
認された(K.Kobayashi,Y.Hamad
a,M.J.Blaser and W.R.Brow
n,J.Immunol.(1991),146:68
−74)。
【0006】また、部分精製FcγBPをドデシル硫酸
ナトリウム(SDS)電気泳動した後、モノクローナル
抗体を用いたウエスタンブロット解析に付したところ、
FcγBPは分子量78kDaのタンパク質を含む20
0kDa以上の会合体を形成していることが明らかとな
った(K.Kobayashi,Y.Hamada,
M.J.Blaser and W.R.Brown,
J.Immunol.(1991),146:68−7
4)。
【0007】
【発明が解決すべき課題】上記FcγBPはIgGのF
c部と結合できるという点においてはFcγレセプター
と同様の性質を示す。しかしながら、FcγBPのタン
パク質としての定性、構造およびその生体内の役割につ
いては何ら明らかではなかった。したがって、FcγB
Pを解析し、その構造と機能を明らかにすることは極め
て興味深い。
【0008】さらに後述するように、FcγBPは粘液
とともに粘膜上に分泌され、IgG抗体とともに、体内
に侵入しようとする病原菌やウイルスなどを粘液中にト
ラップし、体外に排泄し易くすることで、感染防御の一
端をになっていると推定される。また、炎症の起こった
粘膜で過剰に産生された自己抗体は、補体系を活性化し
たり、マクロファージなどによる細胞障害を起こさせた
りして、炎症の悪化につながるが、FcγBPはこのよ
うな自己抗体のFc部をブロックして炎症の進展を防ぐ
と推定される。このようなFcγBPの機能から感染防
御剤、および潰瘍性大腸炎やクローン病などの自己免疫
疾患に対する抗(消)炎症剤や診断薬などの医薬用途に
利用できる可能性を有している。
【0009】そこでFcγBPをこのような医薬用途に
用いるにはこれを大量にかつ均一に得る必要があった。
しかしながら、FcγBPを動物組織自体、またはその
産生細胞の培養上清から単離する方法では大量に均一な
FcγBPを得ることは困難であった。したがって、遺
伝子組換え技術を用いてFcγBPを大量に製造するこ
とが望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、FcγB
Pに対するモノクローナル抗体を用いてFcγBPのc
DNAのクローニングを行って、FcγBPをコードす
る遺伝子の塩基配列を明らかにすることに成功した。
【0011】また、このcDNAを適当なベクターに挿
入して得られる発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、
得られる形質転換体を培養し、次いで産生された目的タ
ンパク質を分離、精製したところ、産生タンパク質はヒ
トIgGと特異的に結合する性質を有していた。これに
よりFcγBPを大量かつ均一に製造することができる
ことも明らかにした。
【0012】したがって、本発明はFcγBPをコード
する遺伝子を提供する。
【0013】本発明はまた、FcγBPをコードする遺
伝子を含む組換えベクターを提供する。
【0014】本発明はさらに、FcγBPをコードする
遺伝子を含む組換えベクターによって形質転換された原
核もしくは真核宿主細胞を提供する。
【0015】本発明はさらに、FcγBPをコードする
遺伝子を含む組換えベクターによって形質転換して得ら
れた形質転換体を培養し、産生された目的タンパク質を
分離、精製することを特徴とする、FcγBPの製造方
法を提供する。
【0016】本発明はさらに、上記製造方法で製造され
たIgGFc部結合活性を示すタンパク質を提供する。
【0017】本発明はさらに、FcγBPをコードする
遺伝子またはその一部を、FcγBPmRNAの合成組
織を同定するためのノーザンブロット解析法またはイン
サイチュハイブリダイゼーション法のプローブとして使
用する方法を提供する。
【0018】
【具体的な説明】FcγBPをコードするcDNAは、
例えばFcγBPを産生する細胞などからmRNAを調
製した後、既知の方法により二本鎖cDNAに変換する
ことにより得られる。mRNAの供給源としては、本発
明ではヒト大腸粘膜上皮細胞を用いたが、これに限ら
ず、ヒト小腸、十二指腸、胃、顎下腺、舌下腺、総胆
管、気管支などのFcγBPが分布している組織のホモ
ジェネートなどを用いてもよい。また、ヒト大腸癌細胞
由来HT29−18−N2株およびその亜種はFcγB
Pを産生していることが知られているので、これらの株
化細胞をmRNAの供給源として用いてもよい。
【0019】mRNAを調製するには、例えば本発明で
用いたように、AGPC法(P.Chomczynsk
i et al.Analytical Bioche
m.162:156−159,1987)の改変法の
他、Chirgwinら(Biochemistry1
8:5294−5299,1979)の方法にしたがっ
て、全RNAを調製できる。また、他の生理活性タンパ
ク質の遺伝子をクローン化するときに用いられた方法、
例えばバナジウム複合体などのリボヌクレアーゼインヒ
ビター存在下に界面活性剤処理、フェノール処理を行う
ことによっても実施することができるこうして得られた
mRNAから二本鎖cDNAを得るには、例えばmRN
Aを鋳型にして、3’末端にあるポリA−鎖に相補的な
オリゴ(dT)またはランダムプライマー、あるいはF
cγBPのアミノ酸配列の一部に相応する合成オリゴヌ
クレオチドをプライマーとして逆転写反応を行い、mR
NAに相補的なDNA(cDNA)を合成する。
【0020】本発明では、Gubler & Hoff
manの改良法を用いて、Amersham社製または
InVitrogen社製のcDNA合成キットとラン
ダムプライマーを用いて、ポリアデニル化RNAから逆
転写反応によりcDNAを作製した。
【0021】このcDNAにアダプターを連結させた
後、λgt11ベクターのEcoRI部位に挿入した。
このようにして作製したcDNAライブラリーを、St
ratagene社のファージin vitroパッケ
ージングキットGigapackIIGoldを用い
て、λファージにパッケージングした後大腸菌に発現さ
せた。発現したcDNAのタンパク質をモノクローナル
抗体をプローブとしてスクリーニングを行った。
【0022】上記クローニングに用いる抗体は、IgG
FcとFcγBPとの間の結合を阻害する3種類のモノ
クローナル抗体(K9、K10、K17)(Kobay
ashi et al J.Immunology 1
46:68−74,1991;Kobahashi e
t al.J.Immunology 143:256
7−2574,1989)の中から、ウエスタンブロッ
ト解析においてFcγBPを検出できる抗体を選択し
た。すなわち、非還元条件下ではK9抗体で分子量約2
00kDaより大きいバンドが、還元条件下ではK17
抗体で70−80kDaと130−140kDaにバン
ドがそれぞれ認められた。以上の結果より、クローニン
グにはこの2種の異なるエピトープを認識するモノクロ
ーナル抗体を用いた。
【0023】このスクリーニングの結果、K9抗体で
は、約100万個のクローンより1個のクローン(プロ
ーブQと命名:600bp)を、またK17抗体では、
約60万個のクローンより7個のクローン(そのうちの
700bpのDNA断片をプローブAと命名;600b
pのDNA断片をプローブBと命名)を得た。
【0024】プロープQを用いて既知タンパク質のmR
NAと比較することによって、FcγBP mRNAの
サイズを推定した。その結果、FcγBP mRNAの
分子サイズは約17kbpであると推定された(図
1)。
【0025】次いでプローブQ、AおよびBを用いてλ
gt10にパッケージングした第2cDNAライブラリ
ーのスクリーニングを行った。まずプローブA、Bまた
はQのいずれかとハイブリダイズするcDNAクローン
を分離した。これらのうちから、Aとのみハイブリダイ
ズするクローンを得て、Aとは反対側の末端部をプロー
ブXとして、プローブX(約700bp)とハイブリダ
イズするcDNAクローンを分離した。得られたクロー
ンはXを中心部にし、一端にA−B領域をもっており、
これをX1と命名した。続いて、クローンX1のA−B
領域とは反対側の部分約800bpをプローブYとし
て、再びcDNAライブラリーをスクリーニングし、プ
ローブYとハイブリダイズするcDNAクローンを得
た。このクローンをY1と命名した。クローンY1は一
端にX領域の一部を有し、中心部にY領域を有する。こ
のクローンY1のX領域とは反対側の端にある約150
bpをプローブY150とした。再びcDNAライブラ
リーをプローブY150を用いてスクリーニングした。
この中からY150領域と反対側に最も長く伸びたクロ
ーンを選び、クローンC72とした。次に、クローンC
72がもつY150領域とは反対側の端近くにある約4
50bpをプローブZとし、プローブZとハイブリダイ
ズするcDNAクローンを分離した。これらの中からク
ローンC72と重複しない部分ができるだけ長いものを
分離し、クローンNZ4とした。
【0026】一方、A、BおよびQのいずれともハイブ
リダイズするcDNAクローンの中から、A−B領域の
塩基配列がクローンX1のA−B領域の塩基配列と同一
のものを選び出し、これをクローンV11とした。
【0027】以上の5個のクローン、X1、Y1、C7
2、NZ4およびV11の塩基配列を決定し、タンパク
質のアミノ酸配列を確認したところ、ATGを開始コド
ンとする1本のオープンリーディングフレームを見いだ
した(図2参照)。
【0028】さらに、これらのクローンからFcγBP
をコードする部分cDNA(約7.8kbp)を得て、
その塩基配列を決定した(配列番号6に塩基配列および
アミノ酸配列を示す)。
【0029】さらに、上記プローブA、BまたはQを用
いたハイブリダイゼーションによるスクリーニングで得
られた複数のcDNAクローンをそれぞれ大腸菌内で増
幅した後、プローブA、B、Qを用いてマッピングを行
った。その結果、FcγBPのcDNAは全長16.4
kbpの中に3.5kbpをユニットとする単位(プロ
ーブA、B、Qのそれぞれと相同な配列がA→B→Qの
順に連なった単位)がタンデムに複数回繰り返した構造
を有することが推定された。
【0030】そこでプローブBとハイブリダイズするc
DNAクローンについて、プローブの塩基配列の一部を
PCRにより増幅させ、得られたフラグメントの塩基配
列を解析することにより、FcγBPの全長cDNAは
図8に示す構造を有し、配列表の配列番号7に示す塩基
配列とアミノ酸配列を有することが明らかとなった。
【0031】このようにして得られたクローン化された
FcγBPをコードする遺伝子は適当なベクターに組み
込むことにより、原核細胞または真核細胞の宿主細胞を
形質転換することができる。
【0032】さらに、これらのベクターに適当なプロモ
ーターや形質発現にかかわる配列を導入することによ
り、それぞれの宿主細胞において遺伝子を発現すること
が可能である。また、目的とする遺伝子に他のポリペプ
チドをコードする遺伝子を連結して、融合タンパク質と
して発現させ、精製を容易にしたり、発現量を上げた
り、また精製工程において適当な処理を施すことによ
り、目的タンパク質を切り出すことも可能である。
【0033】一般に、真核生物の遺伝子はヒトインター
フェロン遺伝子で知られているように、多形現象を示す
と考えられ、この多形現象によって1個またはそれ以上
のアミノ酸が置換される場合もあれば、塩基配列の変化
はあってもアミノ酸は全く変わらない場合もある。
【0034】また、配列表の配列番号6または7あるい
はその一部に示すアミノ酸配列中の1個またはそれ以上
のアミノ酸を欠くかまたは付加したポリペプチド、ある
いはアミノ酸が1個またはそれ以上のアミノ酸で置換さ
れたポリペプチドでもIgGFcへの結合性を有するこ
とがある。例えば、ヒトインターロイキン2(IL−
2)遺伝子のシステインに相当する塩基配列をセリンに
相当する塩基配列に変換して得られたポリペプチドがI
L−2活性を保持することも既に公知になっている(W
ang et al.,Science 224:14
31,1984)。
【0035】また、真核細胞で発現させた場合、その多
くは糖鎖が付加されるが、アミノ酸を1個ないしそれ以
上変換することにより糖鎖付加を調節することができる
が、この場合でもIgGFc部結合活性を有することが
ある。それゆえ、本発明におけるFcγBPの遺伝子を
人工的に改変したものを用いて、得られたポリペプチド
がIgGFc部結合活性を有する限り、それらのポリペ
プチドをコードする遺伝子はすべて本発明に含まれる。
【0036】さらに、得られたポリペプチドがIgGF
c部結合活性を有し、配列番号6または7あるいはその
一部に示す遺伝子とハイブリダイズする遺伝子も本発明
に含まれる。なお、ハイブリダイゼーション条件は、通
常行われているプローブハイブリダイゼーションの条件
を適用することができる(例えば、Molecular
Cloning:A Laboratory Man
nual,Sambrook et al.,Cold
Spring Harbor Laboratory
Press,1989)
【0037】以上のように、免疫グロブリンG(Ig
G)のFc部分と特異的に結合するタンパク質を発現で
きるDNAであれば、配列表の配列番号6または7に示
すアミノ酸をコードする塩基配列に限らず、種々の修飾
体のDNAが本発明に含まれるし、またその機能を有す
るDNA断片も本発明の遺伝子の一部であることは明白
である。
【0038】本発明の発現ベクターは、複製起源、選択
マーカー、プロモーター、RNAスプライス部位、ポリ
アデニル化シグナルなどを含む。
【0039】本発明の発現系に用いる宿主のうち原核生
物宿主細胞としては、例えば、大腸菌、枯草菌などが挙
げられる。また、真核生物のうち、真核微生物の宿主細
胞としては、例えばイースト、粘菌が挙げられる。ある
いは、Sf9などの昆虫細胞を宿主細胞として使用して
もよい。さらに、動物細胞由来の宿主細胞としては、例
えば、COS細胞、CHO細胞、C127細胞および3
T3細胞などが挙げられる。
【0040】以上のようにして目的とするFcγBPを
コードする遺伝子で形質転換した形質転換体を培養し、
産生されたIgGFc部結合活性を有するタンパク質は
細胞内または細胞外から分離し、精製することができ
る。
【0041】なお、本発明の目的タンパク質であるIg
GFc部結合活性を有するタンパク質の分離、精製には
実施例に記載する方法に限定されることなく、通常のタ
ンパク質で用いられる分離、精製方法を使用することが
できる。例えば、各種クロマトグラフィー、限外濾過、
塩析、透析などを適宜選択、組み合わせて使用すること
ができる。
【0042】かくして得られた組換えタンパク質が天然
型FcγBPと同様のヒトIgGとの結合活性を有する
かを検討したところ、ヒトIgGFcと特異的に結合す
ることが明らかとなった。
【0043】上記したように、本発明のFcγBPの全
長cDNAは図8に示す構造を有し、配列表の配列番号
7に示す塩基配列とアミノ酸配列を有するものである
が、さらに本発明で用いた一連のcDNAが単一のmR
NAに由来するものであることを以下のようにして再確
認した。すなわち、発現に用いた5’末端cDNAを含
むpNV11SRとは別のリピート構造内のcDNA断
片をタンパク質発現させ、FcγBPを認識するモノク
ローナル抗体であるK9およびK17と反応させたとこ
ろ、これらのcDNA産物がK9とK17のいずれかま
たは両方により認識されることを確認した。
【0044】さらに、FcγBPのmRNAの発現の組
織特異性を試験したところ、ヒト胎盤における発現が確
認された。したがって、本発明のFcγBPをコードす
る遺伝子またはその一部をプローブとして用いて、ノー
ザンブロット解析またはインサイチュハイブリダイゼー
ションによってFcγBP mRNAの合成組織を同定
することができる。さらに、FcγBPの染色体遺伝子
上の多型性の存在を制限酵素の利用により示し得た。
【0045】本発明のFcγBPをコードする遺伝子を
得る方法、該遺伝子を有する組換えベクターおよびこれ
を含有する形質転換体ならびに該形質転換体を培養して
得られる目的タンパク質、ならびにそれぞれの製造方法
について、以下の実施例で詳細に説明するが、この実施
例によって本発明が限定されるものではない。
【0046】
【実施例】
実施例1:モノクローナル抗体を用いたFcγBPをコ
ードする部分cDNAのクローニング(A:cDNAラ
イブラリーの作製) (1)ヒト大腸粘膜上皮細胞の調製 ヒト大腸組織片を10%FBSを含むRPMI培地でよ
く洗浄した後、粘膜筋板の部位から機械的に剥離させ、
上皮細胞と粘膜固有層を分離した。これを中心棒に固定
するようにして、10%FBS/5mM EDTA/P
BS(−)中で氷冷しながら90分間スターラーで激し
く撹拌し、上皮細胞を分離した。上皮細胞を含む溶液を
1500rpmで10分間遠心し、細胞の沈殿を得た。
【0047】(2)mRNAの精製 粘膜上皮細胞からの全RNAの抽出はAGPC法(P.
Chomczynski et al.,Analyt
ical Biochem.,(1987)162:1
56−159)を改変して行った。すなわち、細胞ペレ
ット1mlに対し、9mlの変性溶液(4Mチオシアン
酸グアニジン、25mMクエン酸ナトリウム(pH
7)、0.5%サルコシル、0.1M 2−メルカプト
エタノール)を加え、細胞を溶解した後、1mlの2M
酢酸ナトリウム(pH4)、10mlの水飽和フェノー
ル溶液、2mlのクロロホルム/イソアミルアルコール
(49:1)を順次加えた。10秒間撹拌し、15分間
氷冷した後、10,000×gで15分間遠心し、上清
を回収した。上清8mlに対し、同様に0.8mlの酢
酸ナトリウム、8mlの水飽和フェノール、1.6ml
のクロロホルム/イソアミルアルコールを加え、10秒
撹拌、15分氷冷、10,000×gで15分間遠心
し、上清を回収した。上清7mlに対し、等量のクロロ
ホルム/イソアミルアルコールを加え撹拌後、遠心分離
により上清を得た。上清に対し、等量のイソプロパノー
ルを加え、−20℃で30分間冷却後、10,000×
gで15分間遠心し、全RNAの沈殿を回収した。
【0048】全RNA1mgの溶液に溶出バッファー
(10mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM
EDTA、0.1% SDS)を加え、全量で1ml
とした後、OligoTex−dT30<Super>
(宝酒造社製)1mlを加え、65℃で5分間加熱し、
氷上で3分間急冷した。5M NaCl 0.2mlを
加え、37℃で10分間保温した後、15,000rp
mで3分間遠心分離し、上清を注意深く除去した。ペレ
ットを洗浄バッファー(10mM Tris−HCl
(pH7.5)、1mM EDTA、0.5M NaC
l、0.1% SDS)2.5mlに懸濁した後、1
5,000rpmで3分間遠心分離し、上清を注意深く
除去した。ペレットを滅菌水1mlに懸濁し、65℃で
5分間加熱し、氷上で3分間急冷した。15,000r
pmで3分間遠心分離した後、上清を回収した。50μ
lの5M NaClと2.5mlのエタノールを加えた
後、−20℃で30分冷却し、遠心(3,000rp
m、4℃)して、ポリアデニル化RNAの沈殿を回収し
た。
【0049】(3)cDNAの合成 mRNAからのcDNAの合成は、Gublerおよび
Hoffman(U.Gubler and B.J.
Hoffman(1983)Gene 25:263)
の改良法により、Amersham社製またはInVi
trogen社製のcDNA合成キットを用いて行っ
た。すなわち、大腸粘膜上皮細胞より調製したポリアデ
ニル化RNA5μgを42℃にて90分間、50ユニッ
トのヒト胎盤リボヌクレアーゼインヒビター、1mM
dATP、1mM dGTP、1mM dCTP、0.
5mM dTTP、100ユニットのAMV逆転写酵
素、ピロリン酸ナトリウムを含む緩衝液(Amersh
am社製)50μl中で、750ngのランダムベキサ
ヌクレオチドまたは4μgのオリゴ(dT)プライマー
と共にインキュベートした。この反応液50μlを4.
0ユニットの大腸菌リボヌクレアーゼH、115ユニッ
トの大腸菌DNAポリメラーゼIを含む緩衝液(Ame
rsham社製)中で、12℃で60分間、次いで22
℃で60分間反応させた後、70℃で10分間インキュ
ベートした。氷中に戻し、10ユニットのT4 DNA
ポリメラーゼを加え、37℃で10分間反応させた後、
10μlの0.25M EDTA(pH8)を加えて反
応を停止させた。反応液250μlに対し、等量の7.
5M酢酸アンモニウムと、4倍量のエタノールを加え、
撹拌後、−21℃にて30分間冷却し、遠心分離により
cDNAを回収した。cDNAを10μlの滅菌水に溶
かし、1μlを用いて0.8%アガロースゲル電気泳動
を行い、合成の確認と濃度の定量を行った。
【0050】(4)アダプターの連結 上記(3)で得た合成cDNAに対して10倍量のモル
比となるようにアダプター(EcoRI−NotI−B
amHIアダプター、宝酒造社製)を加え、全体量の8
倍量のライゲーション溶液A(ライゲーションキット、
宝酒造社製)と1倍量のライゲーション溶液B(ライゲ
ーションキット、宝酒造社製)を加えた。十分撹拌した
後、16℃で30分間インキュベートし、アダプターを
cDNAへ連結させた。
【0051】この反応液をTAE緩衝液系で1%の低融
点アガロースゲル(Sea Plaqueアガロース、
宝酒造社製)で電気泳動を行い、0.5kbp以上のc
DNA画分を含むゲルを回収した。この操作により、c
DNAに結合しなかったアダプターも同時に除いた。回
収したゲルの湿重量に対し、2倍量のTE緩衝液を加
え、65℃で10分間保温し、アガロースゲルを溶解し
た後、全体量に対し等量のトリス飽和フェノールを加
え、十分に撹拌後、氷冷した。遠心分離により水相を回
収し、等量のトリス飽和フェノール処理を再び行った。
遠心分離により水相を回収し、最後に等量のクロロホル
ムを加え、十分撹拌後遠心分離した。その後、水相を回
収し、1/10量の3M酢酸ナトリウム、20μgのグ
リコーゲン(ベーリンガーマンハイム社製)、2.5倍
量のエタノールを加え、−20℃で30分間冷却した
後、15,000rpmで10分間4℃で遠心し、cD
NAの沈殿を得た。
【0052】(5)λgt11ライブラリーの作製 上記(4)で得たアダプターを連結したcDNAを96
μlの500mM Tris−HCl(pH7.5)、
100mM MgCl、10mM DTT、10mM
ATPからなる溶液に溶解し、40ユニットのポリヌ
クレオチドキナーゼを加え、37℃で60分間インキュ
ベーションし、アダプターの5’末端をリン酸化した。
反応終了後、200μlのTE緩衝液を加え、300μ
lのトリス飽和フェノールを加え、撹拌後、遠心分離
(15,000rpm、室温、2分間)により上清を回
収した。同様の遠心分離処理をトリス飽和フェノール・
クロロホルム(1:1)溶液、続いて2%イソアミルア
ルコールを含むクロロホルム溶液によって行い、最終的
に250μlの上清を得た。この上清に250μlの4
M酢酸アンモニウム溶液、1250μlのエタノールを
加え、−20℃、30分間冷却後、遠心分離(15,0
00rpm、4℃、10分間)により沈殿を回収した。
cDNAの沈殿に1μgのEcoRI消化脱リン酸λg
t11アーム(#234211、Stratagene
社製)を加え、終濃度100mM Tris−HCl
(pH7.6)、5mM MgCl、300mM N
aClの溶液5μlに溶解した。ライゲーション溶液B
(DNAライゲーションキット、宝酒造社製)を5μl
加え、十分撹拌した後、26℃で10分間反応させた。
cDNAをλファージにパッケージするために、cDN
Aを含むライゲーション反応液4μlを、10μlのF
reeze/Thaw抽出液(GigapackIIg
old、Stratagene社製)に加え、直ちにS
onic抽出液(GigapackII gold)を
加え、ゆっくり撹拌した。22℃にて2時間インキュベ
ーションした後、500μlのファージ希釈用溶液(5
g NaCl、2g MgSO・7HO、50ml
1M Tris−HCl(pH7.5)、5ml 2
%ゼラチン/リットル)と、10μlのクロロホルムを
加え、インビトロパッケージング反応を終了した。この
ファージ溶液は4℃に保存し、スクリーニングに用い
た。
【0053】実施例2:モノクローナル抗体を用いたF
cγBPをコードする部分cDNAのクローニング
(B:抗体を用いたcDNAライブラリーのスクリーニ
ング) (1)スクリーニング 実施例1で作製した、λファージにパッケージングをし
た大腸粘膜上皮細胞のcDNAライブラリーの1×10
pfu、200μlを、一晩培養した大腸菌株Y10
90γ 200μlと混ぜ合わせ、37℃で15分間
インキュベーションした。LB培地を混合した0.8%
トップアガロースを溶解した後、55℃に保温したもの
5mlをファージと大腸菌のプレインキュベーション液
に加えて混ぜ合わせ、1.5% LBアガロースプレー
ト(10×14cm)上に均一に広げた。42℃のイン
キュベーター中にて3.5時間保温し、小さなプラーク
が確認された後、あらかじめ10mM IPTGをしみ
こませた後風乾させておいたナイロン強化ニトロセルロ
ースフィルター(#BA−S85、Schleiche
r & Schnell社製)を重ね、37℃にて3.
5時間保温した。フィルターをプレートからはがし、洗
浄液(0.05% TWeen−20、25mM Tr
is−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、
3mM KCl)中、室温で30分間振とうした。次
に、5%スキムミルクを含むPBS(−)中、室温で3
0分間振とうし、ブロッキング処理を行った後、洗浄液
にて20分間、2回洗浄した。次いで、大腸粘膜上皮細
胞中のFcγBPに対して作製されたマウスモノクロー
ナル抗体(Kobayashi et al.,J.I
mmunology(1991)146:68−74;
Kobayashi etal.,J.Immunol
ogy(1989)143:2567−2574)であ
るK9またはK17を含むハイブリドーマ培養上清を、
ニトロセルロース膜1枚に対し5mlに浸し、室温で2
時間振とうした後、洗浄液で20分間、2回洗浄した。
洗浄液にて1/1000倍に希釈したホースラディッシ
ュペルオキシダーゼ(HRP)結合抗マウスIgG(H
+L)ヤギ抗血清(ザイメット社製)中、室温で1時間
振とうした後、洗浄液で20分間、2回洗浄した。TW
een−20を含まないTBS溶液で10分間洗浄した
後、50mlのジアミノベンチジン溶液(1mg/ml
0.1M Tris−HCl(pH7.2))と、5
0mlの0.02% H溶液と50μlの8%
NiCl溶液の混合液に浸し、陽性プラークの検出を
行った。
【0054】(2)λDNAの抽出 K9モノクローナル抗体を用いたスクリーニングによ
り、約100万個のプラーク中から1個の約600塩基
対の挿入cDNAを含むクローンを得た。このプラーク
をつまようじでピックアップして、200μlの培地
(20mM MgSO、0.2%マルトース、5μl
のY1090γ大腸菌株の一晩培養懸濁液を含むLB
培地)で、λファージを37℃、4時間培養した。この
ファージを含む培養液2μl(1×10pfu/μ
l)を、10ml LB培地(20mMMgSO
0.25mlのY1090γ大腸菌株の一晩培養懸濁
液を含む)に添加、感染させ、37℃、5時間振とう培
養し、λファージを増殖させた。
【0055】5〜6時間培養後、溶菌を確認してから、
50μlのクロロホルム、2mlの5M NaClを加
え、37℃、10分間振とうした。3,500rpm、
15分間遠心した上清に対して10%となるようポリエ
チレングリコール6000を加え、氷上で30〜60分
置いた後、4℃、4,000rpmで15分間遠心分離
し、ファージを沈殿させた。沈殿を1mlのA緩衝液
(0.5% NP−40、30mM Tris−HCl
(pH7.5)、5mM MgCl、125mM K
Cl、3.6mM CaCl、0.5mM EDT
A、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、60mM
2−メルカプトエタノール)に懸濁し、100μg/
ml RNaseA、20μg/ml DNaseIと
共に37℃、30分間インキュベートした。A緩衝液と
等量のクロロホルムを加え、撹拌後、15,000rp
m、2分間、室温で遠心分離し、上清を回収した。再び
同量のクロロホルムを加えて同様に遠心分離して上清を
回収した。その後、上清液に50mM Tris−HC
l(pH8)、20mM EDTA、0.5% SD
S、100μg/mlプロテアーゼKとなるようにそれ
ぞれ添加し、55℃、60分間インキュベートした。λ
DNAを精製するため、定法通り順次フェノール処理、
フェノール/クロロホルム処理、クロロホルム処理を行
い、DNAase、プロテアーゼなどを失活させた後、
1/20量の5M NaClと1倍量のイソプロパノー
ルを加え、cDNAフラグメントが挿入されたλDNA
の沈殿を得た。
【0056】(3)プローブDNAの作製 上記(2)で精製したcDNAフラグメントを含むλD
NAからBamHI制限酵素部位を用いて挿入DNAを
切り出し、第2cDNAライブラリーのスクリーニング
のためのプローブ(これをプローブQと命名した)とし
た。
【0057】同様の方法で、K17モノクローナル抗体
を用いて得られた7個のλクローンのうち最長の挿入部
(約1300塩基)をもつクローンよりBamHIによ
って切り出される700塩基と600塩基のDNAプロ
ーブを得た。このうちK17抗体のエピトープをコード
するcDNAを含むと推定される700塩基のDNA断
片をプローブA、600塩基の断片をプローブBとし、
第2cDNAライブラリーのスクリーニングに用いた。
【0058】(4)ノーザンブロッティング 抗体によるスクリーニングによって得られたA、Qの各
プローブが同一のmRNAとハイブリダイズすることを
ノーザンブロットにより確認した。
【0059】大腸粘膜上皮細胞よりAGPC法により抽
出した全RNA15μgを4.5μlの滅菌水に溶かし
た後、2μlの5×MOPS緩衝液、3.5μlのホル
ムアルデヒド、10μlのホルムアミドと混合し、60
℃、15分間熱変性した後、ホルムアルデヒド存在下で
1%アガロースゲル上で電気泳動した。電気泳動終了
後、RNAをナイロン膜(バイオダインA、ポール社
製)へキャピラリー法にて一晩トランスファーを行っ
た。UV架橋によりRNAをナイロン膜に固定した後、
10mlのハイブリダイゼーション溶液(5×SSP
E、5×Denhardt’s溶液、50%ホルムアミ
ド、0.5% SDS、100μg/ml熱変性サケ精
子DNA)中にて42℃、8時間、プレハイブリダイゼ
ーションを行った。
【0060】次に抗体スクリーニングにより得られたプ
ローブAおよびQを各々、α[32P]dCTPを用
い、メガプライムラベリングキット(Amersham
社製)によって放射性標識した。各プローブ1×10
dpmを各々、5mlのハイブリダイゼーション溶液と
共にプレハイブリダイゼーション処理したナイロン膜に
加え、密封した後、42℃、一晩ハイブリダイゼーショ
ンを行った。ナイロン膜の洗浄は0.2×SSC、0.
2% SDSを含む溶液中で、65℃、40分間の洗浄
操作を3回繰り返し行った。ナイロン膜を乾燥後、X線
フィルムに一晩露光した。
【0061】以上の方法より、プローブAおよびQを用
いて推定約17kbpのバンドが一本それぞれ検出さ
れ、2種類のプローブが分子量的に同一のmRNAとハ
イブリダイズすることを確認した。
【0062】実施例3:FcγBPをコードするcDN
Aの第2のクローニング(A:cDNAライブラリーの
作製) (1)ヒト大腸粘膜上皮細胞の調製 ヒト大腸組織片を10%FBSを含むRPMI培地でよ
く洗浄した後、粘膜筋板の部位から機械的に剥離させ、
上皮細胞と粘膜固有層を分離した。これを中心棒に固定
するようにして、10%FBS/5mM EDTA/P
BS(−)中で氷冷しながら90分間スターラーで激し
く撹拌し、上皮細胞を分離した。上皮細胞を含む溶液を
1500rpmで10分間遠心し、細胞の沈殿を得た。
【0063】(2)mRNAの精製 粘膜上皮細胞からの全RNAの抽出はAGPC法(P.
Chomczynski et al.,Analyt
ical Biochem.,(1987)162:1
56−159)を改変して行った。すなわち、細胞ペレ
ット1mlに対し、9mlの変性溶液(4Mチオシアン
酸グアニジン、25mMクエン酸ナトリウム(pH
7)、0.5%サルコシル、0.1M 2−メルカプト
エタノール)を加え、細胞を溶解した後、1mlの2M
酢酸ナトリウム(pH4)、10mlの水飽和フェノー
ル溶液、2mlのクロロホルム/イソアミルアルコール
(49:1)を順次加えた。10秒間撹拌し、15分間
氷冷した後、10,000×gで15分間遠心し、上清
を回収した。上清8mlに対し、同様に0.8mlの酢
酸ナトリウム、8mlの水飽和フェノール、1.6ml
のクロロホルム/イソアミルアルコールを加え、10秒
撹拌、15分氷冷、10,000×gで15分間遠心
し、上清を回収した。上清7mlに対し、等量のクロロ
ホルム/イソアミルアルコールを加え撹拌後、遠心分離
により上清を得た。上清に対し、等量のイソプロパノー
ルを加え、−20℃で30分間冷却後、10,000×
gで15分間遠心し、全RNAの沈殿を回収した。
【0064】全RNA1mgの溶液に溶出バッファー
(10mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM
EDTA、0.1% SDS)を加え、全量で1ml
とした後、OligoTex−dT30<Super>
(宝酒造社製)1mlを加え、65℃で5分間加熱し、
氷上で3分間急冷した。5M NaCl 0.2mlを
加え、37℃で10分間保温した後、15,000rp
mで3分間遠心分離し、上清を注意深く除去した。ペレ
ットを洗浄バッファー(10mM Tris−HCl
(pH7.5)、1mM EDTA、0.5M NaC
l、0.1% SDS)2.5mlに懸濁した後、1
5,000rpmで3分間遠心分離し、上清を注意深く
除去した。ペレットを滅菌水1mlに懸濁し、65℃で
5分間加熱し、氷上で3分間急冷した。15,000r
pmで3分間遠心分離した後、上清を回収した。50μ
lの5M NaClと2.5mlのエタノールを加えた
後、−20℃で30分冷却し、遠心(3,000rp
m、4℃)して、ポリアデニル化RNAの沈殿を回収し
た。
【0065】(3)cDNAの合成 mRNAからのcDNAの合成は、Gublerおよび
Hoffmanの改良法により、Amersham社製
またはInVitrogen社製のcDNA合成キット
を用いて行った。すなわち、大腸粘膜上皮細胞より調製
したポリアデニル化RNA5μgを42℃にて90分
間、50ユニットのヒト胎盤リボヌクレアーゼインヒビ
ター、1mM dATP、1mM dGTP、1mM
dCTP、0.5mM dTTP、100ユニットのA
MV逆転写酵素、ピロリン酸ナトリウムを含む緩衝液
(Amersham社製)50μl中で、750ngの
ランダムヘキサヌクレオチドまたは4μgのオリゴ(d
T)プライマーと共にインキュベートした。この反応液
50μlを4.0ユニットの大腸菌リボヌクレアーゼ
H、115ユニットの大腸菌DNAポリメラーゼIを含
む緩衝液(Amersham社製)中で、12℃で60
分間、次いで22℃で60分間反応させた後、70℃で
10分間インキュベートした。氷中に戻し、10ユニッ
トのT4 DNAポリメラーゼを加え、37℃で10分
間反応させた後、10μlの0.25M EDTA(p
H8)を加えて反応を停止させた。反応液250μlに
対し、等量の7.5M酢酸アンモニウムと、4倍量のエ
タノールを加え、撹拌後、−20℃にて30分間冷却
し、遠心分離によりcDNAを回収した。cDNAを1
0μlの滅菌水に溶かし、1μlを用いて0.8%アガ
ロースゲル電気泳動を行い、合成の確認と濃度の定量を
行った。
【0066】(4)アダプターの連結 上記(3)で得た合成cDNAに対して10倍量のモル
比となるようにアダプター(EcoRI−NotI−B
amHIアダプター、宝酒造社製)を加え、全体量の8
倍量のライゲーション溶液A(ライゲーションキット、
宝酒造社製)と1倍量のライゲーション溶液B(ライゲ
ーションキット、宝酒造社製)を加えた。十分撹拌した
後、16℃で30分間インキュベートし、アダプターを
cDNAへ連結させた。
【0067】この反応液をTAE緩衝液系で0.8%の
低融点アガロースゲル(Sea Plaqueアガロー
ス、宝酒造社製)で電気泳動を行い、約4kbp以上の
cDNA画分を含むゲルを回収した。この操作により、
cDNAに結合しなかったアダプターも同時に除いた。
回収したゲルの湿重量に対し、2倍量のTE緩衝液を加
え、65℃で10分間保温し、アガロースゲルを溶解し
た後、全体量に対し等量のトリス飽和フェノールを加
え、十分に撹拌後、氷冷した。遠心分離により水相を回
収し、等量のトリス飽和処理を再び行った。遠心分離に
より水相を回収し、最後に等量のクロロホルムを加え、
十分撹拌後遠心分離した。その後、水相を回収し、1/
10量の3M酢酸ナトリウム、20μgのグリコーゲン
(ベーリンガーマンハイム社製)、2.5倍量のエタノ
ールを加え、−20℃で30分間冷却した後、15,0
00rpmで10分間4℃で遠心し、cDNAの沈殿を
得た。
【0068】(5)λgt10ライブラリーの作製 上記(4)で得たアダプターを連結したcDNAを96
μlの500mM Tris−HCl(pH7.5)、
100mM MgCl、10mM DTT、10mM
ATPからなる溶液に溶解し、40ユニットのポリヌ
クレオチドキナーゼを加え、37℃で60分間インキュ
ベーションし、アダプターの5’末端をリン酸化した。
反応終了後、200μlのTE緩衝液を加え、300μ
lのトリス飽和フェノールを加え、撹拌後、遠心分離
(15,000rpm、室温、2分間)により上清を回
収した。同様の遠心分離処理をトリス飽和フェノール・
クロロホルム(1:1)溶液、続いて2%イソアミルア
ルコールを含むクロロホルム溶液によって行い、最終的
に250μlの上清を得た。この上清に250μlの4
M酢酸アンモニウム溶液、1250μlのエタノールを
加え、−20℃、30分間冷却後、遠心分離(15,0
00rpm、4℃、10分間)により沈殿を回収した。
cDNAの沈殿に1μgのEcoRI消化脱リン酸λg
t10アーム(#233211、Stratagene
社製)を加え、終濃度100mM Tris−HCl
(pH7.6)、5mM MgCl、300mM N
aClの溶液5μlに溶解した。ライゲーション溶液B
(DNAライゲーションキット、宝酒造社製)を5μl
加え、十分撹拌した後、26℃で10分間反応させた。
cDNAをλファージにパッケージするために、cDN
Aを含むライゲーション反応液4μlを、10μlのF
reeze/Thaw抽出液(GigapackIIg
old、STRATAGENE社製)に加え、直ちにS
onic抽出液(GigapackII gold)を
加え、ゆっくり撹拌した。22℃にて2時間インキュベ
ーションした後、500μlのファージ希釈用溶液(5
g NaCl、2g MgSO・7HO、50ml
1M Tris−HCl(pH7.5)、5ml 2
%ゼラチン/リットル)と、10μlのクロロホルムを
加え、インビトロパッケージング反応を終了した。この
ファージ溶液は4℃に保存し、スクリーニングに用い
た。
【0069】実施例4:FcγBPをコードする全長c
DNAのクローニング(B:DNAプローブを用いたc
DNAライブラリーのスクリーニング) (1)ブロッティング λファージにパッケージングを行った大腸粘膜上皮細胞
のcDNA(2×10pfu)を、一晩培養した大腸
菌株C600hfl 200μlに感染させた後、37
℃で15分間保温した。55℃に保温した0.8%トッ
プアガロース/LB培地を加えた後直ちにLBプレート
(10×14cm)上に広げた後、37℃にて12時間
インキュベートした。プラークの直径が1mm程度にな
ったところで、ナイロン膜(BiodyneA、孔径
0.2μm,ポール社製)を重ね、4℃、10分間冷却
した。ナイロン膜をプレートよりはがし、ブロッティン
グ溶液I(0.5M NaOH,1.5M NaC
l)、ブロッティング溶液II(1M Tris−HC
l(pH7.4))、ブロッティング溶液III(0.
5MTris−HCl(DH7.4)、1.5M Na
Cl)で各々5分間処理した後、UVクロスリンク装置
(UV Stratalinker2400,STRA
TAGENE社製)を用いて1200μジュールにてD
NAをナイロン膜に固定した。
【0070】(2)ハイブリダイゼーション λDNAを固定したナイロン膜1枚当り、10mlのハ
イブリダイゼーション溶液(5×SSPE,5×Den
hardt’s溶液、50%ホルムアミド、0.5%S
DS、100μg/ml熱変性サケ精子DNA)を加
え、ハイブリダイゼーションバッグに密封した後、42
℃で8時間プレハイブリダイゼーションを行った。次
に、抗体スクリーニングにより得られたプローブQ,
A,Bを各々α[32P]dCTPを用いてランダムプ
ライミング法により放射性標識した。プローブQ,A,
Bの各1×10dpmを5mlのハイブリダイゼーシ
ョン溶液と共にプレハイブリダイゼーションの終了した
ナイロン膜に加え、密封後、42℃で一晩ハイブリダイ
ゼーションを行った。インキュベーションの終了後、ナ
イロン膜を0.2×SSC、0.2%SDSの溶液で6
5℃40分間洗浄する操作を3回くり返した後、X線フ
ィルムに一晩露光した。
【0071】以上のスクリーニングにより、プローブ
A,B,Qの1種または、複数とハイブリダイズする6
9個のラムダクローンを得た。それぞれから、前述の通
りの方法でλDNAを調製し、制限酵素EcoRIで処
理した後、電気泳動し、挿入DNAのサイズの確認を行
った。
【0072】実施例5:FcγBPmRNAのサイズ推
定 実施例2で得たプローブQを用いてFcγBPmRNA
のサイズを推定した。比較のための既知タンパク質のm
RNAとして、14.0kbpのDystrophin
mRNA(M.Koenig et al.(198
8)Cell53:219−228)と、15.2kb
pのRyanodine Receptor mRNA
(F.Zarzato et al.(1990)J.
Biol.chem.,265:2244−2256)
を用いた。これらの対照mRNAに対するcDNAプロ
ーブは、いずれも文献から得られる塩基配列をもつ合成
プローブを調製し、これらを用いてポリメラーゼチェイ
ンリアクション(PCR)法により作製し、それぞれプ
ローブDYSおよびプローブRDRとした。
【0073】Dystrophin mRNAとRya
nodine ReceptormRNAの供給源はヒ
ト骨格筋ポリアデニル化RNA(Clontech社
製)である。
【0074】大腸粘膜上皮細胞より得られたポリアデニ
ル化RNA2μgまたはヒト骨格筋ポリアデニル化RN
A1μg、あるいは両者の混合物を実施例2の(4)と
同様の方法で電気泳動を行い、ナイロン膜上にトランス
ファーした。このナイロン膜をプローブQを用いてハイ
ブリダイゼーションを行い、オートラジオグラフィーに
より検出した。
【0075】次いで同じ膜で対照mRNAのハイブリダ
イゼーションを行うため、このナイロン膜を50mM
Tris−HClバッファー(DH7.5)、1.25
mMEDTA、3xSSC、1XDenhard’s溶
液、1%SDS、50%ホルムアミドを含む溶液20m
lとともに、70℃、1時間インキュベーションした。
次いで、0.2xSSC、0.1%SDSを含む洗浄液
で室温、10分間振とうし洗浄する操作を2回行った。
その後、ナイロン膜でオートラジオグラフィーを行い、
バンドの消失されたこと(デハイブリダイゼーション)
を確認した。
【0076】次に、上記と同様の方法にて、プローブD
YSによるハイブリダイゼーションを行い、オートラジ
オグラフィーにより検出した。このナイロン膜を上記と
同様の方法でデハイブリダイゼーションを行った後、オ
ートラジオグラフィーでバンドの消失されたことを確認
した。最後にプローブRDRによるハイブリダイゼーシ
ョンを同様に行い、オートラジオグラフィーによるバン
ドの検出を行った。
【0077】以上の結果より得られたDystroph
in mRNA、Ryanodine Recepto
r mRNAの各バンドの移動度を分子サイズに対して
プロットを行い、標準曲線を得て、FcγBPmRNA
の移動度よりその分子サイズを約17kbpと推定した
(図1)。
【0078】実施例6:FcγBPをコードするcDN
Aの塩基配列の決定(1) IgGFc部結合能をもつタンパク質のアミノ酸配列を
コードする領域の塩基配列を決定するために、上記実施
例4で得られた69個のλクローンの中から、必要な5
個のクローンを以下の方法で選択し、DNAシーケンサ
ー(モデル373A、Applied Biosyst
ems社製)で塩基配列を決定した。
【0079】(1)クローンX1 プローブA、BおよびQとのハイブリダイゼーションに
よるスクリーニングにより得られたcDNAクローンの
中で、プローブQおよびBとはハイブリダイズせず、プ
ローブAとのみハイブリダイズするクローンを得た。こ
のクローンの挿入cDNAの中でプローブAとは反対側
の末端でEcoRIとSmaIによって切り出される約
700bpのフラグメントを回収し、これをプローブX
とした。次に、プローブXを用いて実施例3と同様の方
法でcDNAライブラリーのスクリーニングを行い、プ
ローブXおよびプローブA、Bとハイブリダイズするク
ローンX1を得た。そして、クローンX1の挿入部cD
NAをEcoRIで切断し、アガロースゲル電気泳動に
より約3300bpのDNAを分離した後回収し、プラ
スミドベクターpBluescript SK(+)の
EcoRI部位に挿入した。この後、制限酵素地図の作
製および塩基配列の決定を行った。
【0080】(2)クローンY1 クローンX1のcDNAの中で、プローブBを含む部分
とは反対側でEcoRIとSacIによって切り出され
る約800bpのフラグメントを回収し、これをプロー
ブYとした。プローブYを用いて実施例3と同様の方法
でcDNAライブラリーのスクリーニングを行い、得ら
れたクローンのうち、最長のcDNAをもつクローンで
あるクローンY1を得た。そして、クローンY1の挿入
部cDNAをEcoRIで切断し、アガロースゲル電気
泳動により約1900bpのDNAを分離した後回収
し、プラスミドベクターpBluescript SK
(+)のEcoRI部位に挿入した。この後、制限酵素
地図の作製および塩基配列の決定を行った。
【0081】(3)クローンC72 クローンY1のcDNAの中で、プローブXを含む部分
とは反対側でSacIとSphIによって切り出される
約150bpのフラグメントを回収し、これをプローブ
Y150とした。プローブY150を用いて実施例3と
同様の方法でcDNAライブラリー(cDNAサイズが
2から4kbpのもの)のスクリーニングを行い、9個
のクローンを得た。得られたクローンの挿入cDNA部
分の中で、Y150を境としてY領域とは反対側に最も
長く伸び、かつY150を含むcDNAを得て、これを
クローンC72とした。そして、クローンC72の挿入
部cDNAをEcoRIで切断し、アガロースゲル電気
泳動により約1200bpのDNAを分離した後回収
し、プラスミドベクターpBluescript SK
(+)のEcoRI部位に挿入した。この後、制限酵素
地図の作製および塩基配列の決定を行った。
【0082】(4)クローンNZ4 クローンC72の挿入部cDNAの中で、プローブY1
50を含む部分とは反対側でEcoRIとSacIによ
って切り出される約450bpのフラグメントを回収
し、これをプローブZとした。ヒト大腸癌由来培養細胞
HT29−18−N2株を用いて、実施例3(2)−
(5)と同様の方法でλgt10 cDNAライブラリ
ーを作製し、プローブZを用いて実施例3と同様にスク
リーニングを行い、4個のクローンを得た。得られたク
ローンのうち、C72と重複しない部分を最も長く含む
クローンNZ4を得た。そして、クローンNZ4の挿入
部cDNAをNotIで切断し、アガロースゲル電気泳
動により約900bpのDNAを分離した後回収し、プ
ラスミドベクターpBluescript SK(+)
のEcoRI部位に挿入した。この後、制限酵素地図の
作製および塩基配列の決定を行った。
【0083】(5)クローンV11 プローブA、BおよびQによるスクリーニングでいずれ
ともハイブリダイズするcDNAクローンのプローブ
A、Bとハイブリダイズする部分の塩基配列を解析し、
先に塩基配列を決定したクローンX1の末端側にあるA
−B領域と同一の塩基配列をもつクローンを得て、クロ
ーンV11とした。クローンV11の挿入部cDNAを
EcoRIで切断し、アガロースゲル電気泳動により約
3700bpのDNAを分離した後回収し、プラスミド
ベクターpBluescriptSK(+)のEcoR
I部位に挿入した。この後、制限酵素地図の作製および
塩基配列の決定を行った。
【0084】実施例7:クローンNZ4がFcγBP
mRNAの5’末端近傍であることの推定 実施例6で得られた5種のクローンがNZ4−C72−
Y1−X1−V11の順に5’末端方向または3’末端
方向に向かって伸展しているが、それらの塩基配列をア
ミノ酸に翻訳したところ、5’末端方向へ伸びているこ
とが推定された。そこで、現在最上流に位置するクロー
ンNZ4DNAをプローブとしてランダムプライミング
で作製したライブラリーをスクリーニングしたところ、
13種の独立したクローンが得られたが、NZ4よりも
5’側に伸長したクローンは得られなかった。また、N
Z4の塩基配列をアミノ酸へ翻訳したところ、オープン
リーディングフレーム上、予想される最も5’上流に位
置するメチオニンに対するATGコドン近傍はKoza
k則に類似していたため、このATGが開始メチオニン
である可能性が示唆された。しかし、このATGコドン
の最初のAは、クローンNZ4では僅か9番目に位置
し、その9塩基内にはin frameにストップコド
ンは存在しないことから転写産物のみならず翻訳レベル
でも5’(N末端)方向へcDNAの配列が伸長してい
る可能性を否定できない。したがって、プライマーエク
ステンション法により転写開始部位の検証ならびに翻訳
開始部位を推定する目的で以下の実験を行った。
【0085】(1)全RNAとポリアデニル化RNAの
調製 ヒト大腸粘膜上皮細胞およびHT29−18−N2細胞
から、実施例1の(2)または実施例3の(2)と同様
に全RNAとポリアデニル化RNAを調製した。
【0086】(2)エクステンションプライマーの合成 2種のプライマー、プライマー1:GCTGATAGT
TCTGCAGGAAGGCTGTGAGGAATTC
CTCTCTGCCAGTGTT−50mer、プライ
マー2:GCTCCAGCCCAGAGTATCCAC
CAGCTCCATAGG−33merは、DNA合成
機(Model 394、Applied Biosy
stems社製)にて合成し、OPCカラム(Appl
iedBiosystems社製)にて精製した。各プ
ライマー100pmolをγ[32P]ATPにてT4
ポリヌクレオチドキナーゼにより末端ラベルし、Mic
rospinTMS−200HRカラム(Pharma
cia社製)により精製し、各0.5pmolを各反応
に用いた。
【0087】(3)プライマーアニーリングとエクステ
ンション反応 ヒト大腸粘膜上皮細胞およびHT29−18−N2由来
の全RNA(20μg)とポリアデニル化RNA(2.
5μg)をそれぞれプライマーとアニーリングバッファ
ー(10mM Tris−HCl pH7.5、1mM
EDTA、250mM KCl)中で混合し、95
℃、5分間加熱変性し、58℃、1時間、さらに室温ま
たは37℃で1.5時間インキュベートすることにより
ハイブリダイゼーションを行った。続いて、エクステン
ション反応を行うため、アニーリングサンプルをエタノ
ール沈殿し、この沈殿をRTaseバッファー(33m
MTris−HCl pH8.3、20mM KCl、
13.3mM MgCl、13.3mM DTT、
0.33mM dNTPs、50μg/mlアクチノマ
イシンD)に溶解後、20unitの逆転写酵素(RN
aseH−freeMMLV RTase、TOYOB
O社製)を加え、42℃、1時間インキュベートした。
反応後、95℃で3分処理しRTaseを失活させた
後、10μg/mlとなるようにRNaseAを加え、
37℃、30分間インキュベートしてテンプレートRN
Aを分解した。その後フェノール/クロロホルム、クロ
ロホルム抽出、エタノール沈殿を順次行った後、5%の
シークエンスゲルにて泳動し、泳動後ゲルは固定液(1
0%酢酸、15%メタノール)で処理し、乾燥後オート
ラジオグラフィーを行った。なお、マーカーとしてM1
3mp18をシークエナーゼver2.0 DNAシー
クエンシングキット(TOYOBO社製)で反応させた
ものを用いた。
【0088】以上の方法により次に述べる結果が得られ
た。いずれの全RNA標品をテンプレートとして用いて
も、プライマー1でのエクステンションの結果、プライ
マーより118塩基付近の位置に強いバンドが見られ、
またいずれのポリアデニル化RNA標品をテンプレート
に用いたものでも118塩基付近だけでなく、157塩
基付近の位置に弱いエクステンションバンドが見られ
た。現在最も5’側のクローンと考えられるNZ4の
5’末端を便宜上+1とすると、これらはそれぞれ+2
7、−13に相当した。この+27でエクステンション
反応が止まった理由として、NZ4の5’末端近傍の2
次構造の形成を予測させるパリンドロミックな構造が存
在することが挙げられる。事実できるだけそうした2次
構造を抑える目的で合成したより5’側にあるプライマ
ー2での結果では−10から−16付近にかけて強いブ
ロードなバンドが、さらに−23に相当する位置に弱い
シングルバンドが検出された。そして、−23より高分
子領域にはバンドは検出されなかった。
【0089】以上の結果から、NZ4の5’末端より1
0から20塩基上流付近に転写開始部位の存在が示唆さ
れ、この範囲にin frameでのATGコドンが存
在しない場合には現在ORF上最も5’端にあるATG
が翻訳開始部位である可能性が強く推定された。これら
の事実はクローンNZ4がNZ4−C72−Y1−X1
−V11の順で極めてN末端に近いことを示している。
【0090】実施例8:発現cDNA/ベクター系の構
築(A:発現に用いた部分cDNAの調製) タンパク質発現のために、FcγBPの部分cDNAの
挿入されたλDNAクローン(#NZ4、#C72、#
Y1、#X1、#V11)を、EcoRIまたはNot
Iにて切断した後、挿入部のcDNAを還状プラスミド
pBluescript SK(+)へサブクローニン
グし、それぞれpNZ4、pC72、pY1、pX1、
pV11と命名した。
【0091】(1)pNZ4:λクローン(#NZ4)
をNotIで完全消化した後、アガロースゲル電気泳動
にて約900bpの挿入部を分離・精製し、pBlue
script SK(+)のNotI部位に結合させ
た。cDNAのタンパク質コードストランドの5’→
3’方向がプラスミド中のLacZ遺伝子の方向と逆向
きに挿入されたクローンを選択した。挿入部の全塩基配
列を配列番号1に示す。
【0092】なお、本発明の塩基配列表においては、c
DNA由来の塩基配列を大文字で、pBluescri
pt SK(+)由来の塩基配列を小文字で、また合成
アダプターおよび合成オリゴヌクレオチド由来の塩基配
列を小文字のアンダーラインでそれぞれ示した。
【0093】また、アミノ酸配列は、Kozak配列と
一致するATGを開始コドンとし、塩基配列よりユニバ
ーサルコドンにより推定した配列を示した。
【0094】(2)pC72:λクローン(#C72)
をEcoRIで完全消化した後、アガロースゲル電気泳
動にて約1300bpの挿入部を分離・精製し、pBl
uescript SK(+)のEcoRI部位に結合
させた。cDNAの5’→3’方向がプラスミド中のL
acZ遺伝子の方向と逆向きに挿入されたクローンを選
択した。挿入部の全塩基配列を配列番号2に示す。
【0095】(3)pY1:λクローン(#Y1)をE
coRIで完全消化した後、アガロースゲル電気泳動に
て約1900bpの挿入部を分離精製し、pBlues
cript SK(+)のEcoRI部位に結合させ
た。同じサイズのDNA挿入部をもつクローンを選択し
た。挿入部の全塩基配列を配列番号3に示す。
【0096】(4)pX1:λクローン(#X1)をE
coRIで完全消化した後、アガロースゲル電気泳動に
て約3300bpの挿入部を分離・精製し、pBlue
script SK(+)のEcoRI部位に結合させ
た。同じサイズのDNA挿入部をもつクローンを選択し
た。挿入部の全塩基配列を配列番号4に示す。
【0097】(5)pV11:λクローン(#V11)
をEcoRIで完全消化した後、アガロースゲル電気泳
動にて約3700bpの挿入部を分離・精製し、pBl
uescript SK(+)のEcoRI部位に結合
させた。同じサイズのDNA挿入部をもつクローンを選
択した。挿入部の全塩基配列を配列番号5に示す。
【0098】実施例9:発現cDNA/ベクター系の構
築(B:タンパク質発現のための部分cDNAの連結) (1)pNZC7の調製 cDNAクローンを挿入したプラスミドpNZ4(5μ
g)を制限酵素XhoI及びBglII(各々50ユニ
ット)で完全消化した後、低融点アガロースゲル電気泳
動する。FcγBPのcDNAの5’末端を含む約40
0bpのフラグメントを分離し、フェノール抽出した
後、エタノール沈殿により回収した(フラグメント
1)。次に第2番目のプラスミドpC72(5μg)を
XhoIとBglIIで完全消化し、ベクター部分を含
む約4.2kbpのフラグメントを同様の方法で電気泳
動により単離した(フラグメント2)。フラグメント1
とフラグメント2を各々10μlのTE緩衝液に溶解
し、各2μlを16μlのA溶液(DNAライゲーショ
ンキット、宝酒造社製)、4μlのB溶液と混合し、1
6℃にて30分間インキュベートし連結させた。この混
合液5μlを100μlのコンピテントE.coli
(XL1−Blue)を形質転換し、アンピシリン(1
00μg/ml)を含むLBプレート上で37℃1晩培
養した。生成したコロニーよりプラスミドDNAを精製
し、フラグメント1とフラグメント2の連結したプラス
ミドpNZC7を得た。
【0099】(2)フラグメント5の調製 pNZC7(5μg)を各々50ユニットのXhoIと
BstXIで完全消化した後、電気泳動により約130
0bpのフラグメントを回収した(フラグメント3)。
第3番目のプラスミドpY1(5μg)を各50ユニッ
トのBstXIとHincIIで完全消化した後、電気
泳動により約420bpのフラグメントを回収した(フ
ラグメント4)。フラグメント3とフラグメント4を同
様の方法でDNAリガーゼにより連結し、電気泳動を行
い両者が1分子ずつBstXI部位で連結した約175
0bpのフラグメントを回収した(フラグメント5)。
【0100】(3)pXV2の調製 第4番目のプラスミドpX1(5μg)をHincII
及びBamHI(各50ユニット)で完全消化し電気泳
動により、約2780bpのフラグメントを回収した
(フラグメント6)。第5番目プラスミドpV11をB
amHI(50ユニット)で完全消化し電気泳動により
約3350bpのフラグメントを回収した(フラグメン
ト7)。フラグメント6とフラグメント7をDNAリガ
ーゼを用いて連結させ、両者が1分子ずつ連結された約
6100bpのフラグメントを電気泳動により回収した
(フラグメント8)。このフラグメント8をHincI
IとBamHIで消化したpBluescript S
K(+)にDNAリガーゼで連結した後コンピテント
E.coliを形質転換した。複数の形質転換体よりプ
ラスミドを回収した後、各々の塩基配列を決定し、フラ
グメント6とフラグメント7の方向性が正しく連結され
たフラグメント8を含むプラスミドクローンを得て、フ
ラグメント8の5’→3’方向がプラスミド中のLac
Z遺伝子の方向と逆向きに挿入されたものをpXV2と
した。
【0101】(4)pNV11の調製 pXV2をXhoIとHincIIで完全消化後、電気
泳動的に約9.1kbpのベクター部分を含むフラグメ
ントを回収した(フラグメント9)。フラグメント9と
前記フラグメント5をDNAリガーゼを用いて連結した
後、コンピテントE.coli(XL1−Blue)を
形質転換した。形質転換体より、約7.8kbpのcD
NA(フラグメント10)を含む約10.8kbpのプ
ラスミドpNV11を得た。
【0102】(5)ストップコドン(UAGに対応する
もの)を含むオリゴヌクレオチドアダプターの合成 DNA合成機(model394、Applied B
iosystems社製)を用いてフレームを異にする
3個のTAGを含み、両端にNotI部位とSpeI部
位をそれぞれもつ次のオリゴオキシヌクレオチド、
(1)5’−CTAGTT AGT TAG TTA
GGG TAC CGC−3’,(2)5’−GGC
CGC GGT ACC CTA ACT AAC T
AA−3’を合成した。オリゴヌクレオチド1及び2各
10nmolを混合し(合計146μl)た後、95
℃、1分間、次いで85℃、10分間、次いで0.33
℃/分の速さで40℃まで徐々に冷却を行い、停止コド
ンを含むアダプターを作製した(TA−IIIアダプタ
ー)。このアダプター(2.1nmol)の5’末端を
ATPとポリヌクレオチドキナーゼを用いて標準方法に
てリン酸化した。
【0103】pB1uescript SK(+)ベク
ター0.83pmolをNotIとSpeIにて完全消
化した後リン酸化したTA−IIIアダプター250p
molと混合し、DNAライゲーションキットを用いて
16℃30分間インキュベートし連結させた後、エタノ
ール沈殿した。この沈殿を50μl中にてNotIで完
全消化し、アダプターシークエンス1回だけ持たせるよ
うにした後、低融点アガロースゲル電気泳動を行い約3
kbpのバンドを回収し、フェノール抽出した後、エタ
ノール沈殿を行った。得られた沈殿を、DNAライゲー
ションキットを用いて自己連結させた後、コンピテント
E.coli(XL1−Blue)を形質転換した。ア
ンピシリンを含むLBプレート上で一晩培養し生じたコ
ロニーより得られたプラスミドのうち、TA−IIIア
ダプターが挿入されたプラスミドを選択した(pBLS
/TAIII)。
【0104】(6)pNV11−STの調製 5μgのプラスミド(pNV11)をSpeIで完全消
化した後、電気泳動的に約7.8kbpのフラグメント
を回収し、10μlのTE緩衝液に溶解した(フラグメ
ント11)。2μgのプラスミド(pBLS/TAII
I)をSpeIで完全消化し、バクテリアアルカリホス
ファターゼ(2ユニット)を用いて末端を脱リン酸化し
た後、フェノール/クロロホルム処理を2回行い、エタ
ノール沈殿した。沈殿を10μlのTE緩衝液に溶解し
た(フラグメント12)。各2μlのフラグメント10
とフラグメント11を混合し、DNAライゲーションキ
ット(宝酒造社製)を用いて連結させた後、コンピテン
トE.coli(XL1−B1ue)を形質転換し、ア
ンピシリンを含むLBプレート上で一晩培養した。生じ
たコロニーのうち、挿入したcDNAの3’末端側にT
A−IIIアダプターが連結されているプラスミドを制
限酵素地図及び塩基配列を調べる事により選択した。得
られたクローンがpNV11−STである。
【0105】前記プラスミドpNV11−STを含有す
る大腸菌はEscherichiacoli XL1−
B1ue[pNV11−ST]として工業技術院生命工
学技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に平
成6年4月1日に生命研条寄第4625号(FERM
BP−4625)としてブタペスト条約に基づき国際寄
託された。
【0106】なお、FcγBPの発現に用いた部分cD
NA(クローンpNV11−ST)(約7.8kb
p)、ならびにその構築に用いた実施例6に記載のクロ
ーンNZ4、C72、Y1、X1およびV11の相互の
関係を図2に示す。
【0107】実施例10:発現cDNA/ベクター系の
構築(C:タンパク質発現ベクターへの組込み) (1)pcDL−SRα/NOTベクターの作製 cDNAの組込みを行えるよう次の様にpcDL−SR
α296ベクター(国立予防衛生研究所、武部豊博士よ
り恵与された:以下SRαと記載することもある)の制
限酵素部位を改変した。まず、2μgのSRαをEco
RIで完全消化した後、エタノールで沈殿した。沈殿を
Klenow緩衝液(70mM Tris・HCl(p
H7.5)、1mM EDTA、200mM NaC
l、70mM MgCl、各1mM dATP、dC
TP、dGTP、dTTP)に溶解し、0.4ユニット
のKlenowフラグメントと共に37℃15分間イン
キュベートし、プラスミドの末端を平滑化した。エタノ
ール沈殿の後、TE緩衝液に溶解し、5’末端がリン酸
化されたNotIリンカーをDNAライゲーションキッ
トを用いて連結した。エタノール沈殿を行った後、No
tIで完全消化し、アガロースゲル電気泳動を行い約
3.7kbpのDNAを切出し、フェノール抽出にてD
NAを回収した。回収したDNAをライゲーションキッ
トにて自己連結した後、コンピテントE.coli(X
L1−Blue)を形質転換した。EcoRIで消化さ
れず、NotIで消化されるような目的のプラスミド
(pcDL−SRα/NOT)を選択した。
【0108】(2)発現cDNAの挿入 蛋白発現ベクター(pcDL−SRα/NOT)をNo
tIとKpnIで完全消化し、電気泳動により約3.7
kbpのフラグメントを回収した(フラグメントA)。
【0109】cDNA挿入ベクター(pNV11−S
T)をNotIとKpnIで完全消化し、電気泳動によ
り約7.8kbpのフラグメントを回収した(フラグメ
ント13)。フラグメント13の全塩基配列を配列番号
6に示す。
【0110】この塩基配列およびそこから演繹されるア
ミノ酸配列をGenBank Re1.80により検索
したところ、塩基配列およびアミノ酸配列とも新規であ
ることが確認された。
【0111】フラグメントAとフラグメント13をDN
Aライゲーションキットを用いて連結した後、コンピテ
ントE.coli(XL1−Blue)を形質転換し
た。アンピシリン(100μg/ml)を含むLBプレ
ート上で培養し生じたコロニーのうち、フラグメント1
3が挿入されたプラスミドを制限酵素切断により選択し
た。得られたクローンがpNV11−SRである。
【0112】実施例11:COS7細胞でのFcγBP
部分cDNAの発現 (1)発現cDNA/ベクターの大腸菌からの回収 実施例10で得られたFcγBP cDNA発現プラス
ミド(pNV11−SR)にて形質転換した大腸菌を1
0mlのLB培地で一晩37℃で振とう培養した。これ
を500mlのLB培地に加え、OD600が0.8に
なるまで振とうを続けた。OD600が0.8に達した
ら2.5mlのクロラムフェニコール溶液(34mg/
ml)を加え、一晩培養した。菌を遠心分離した後、常
法通りアルカリ法にてプラスミドDNAを調製した。塩
化セシウムの密度勾配による超遠心分離(90,000
rpm、3時間)を2回行ったのち、TE緩衝液で透析
しプラスミドを精製し蛋白発現に用いた。
【0113】(2)COS7細胞へのトランスフェクシ
ョン FcγBPの約7.8kbpの部分cDNAを組み込ん
だプラスミドベクター(pNV11−SR)をCOS7
細胞へ一過性に発現させて、タンパク質の性質を調べる
ために次の様にトランスフェクションを行った。COS
7細胞2×10個を35mmディッシュに加え、10
%FBSを含むRPMI1640培地(0.2%炭酸水
素ナトリウム、10ユニット/mlペニシリン、0.0
1%ストレプトマイシンを含む)で一晩培養した。40
−60%コンフルエントになったところで、血清を含ま
ないRPMI1640培地で細胞を2回洗浄した。
【0114】10μgのpNV11−SRプラスミドを
250μ1のRPMI1640培地に溶解したものと、
10μlのリポフェクション試薬(Transfect
am、Sepracor社製)を250μlのRPMI
1640培地に溶解したものを混合し、直ちにCOS7
細胞上に加える。37℃で6時間培養後、培地を除き、
10%血清を含むRPMI1640培地を2ml加え、
37℃、5%COで2日間培養した。
【0115】(3)発現タンパク質の確認 pNV11−SRをトランスフェクションしたCOS7
細胞を培養したディッシュ(φ35mm)を2mlのP
BS(−)で2回洗浄した。99.5%エタノールを2
ml加え、室温で5分間固定した。2mlのPBS
(−)で2回洗浄した。ラムダファージのスクリーニン
グに用いたFcγBPに対するモノクローナル抗体産生
ハイブリドーマ(K9及びK17)の培養上清1mlを
それぞれ加え、室温で1時間インキュベートした。PB
S(−)にて3回洗浄した後、ホースラディッシュペル
オキシダーゼ(HRP)を結合したヤギ抗マウスIgG
(H+L)F(ab’)フラグメント(Zymed社
製)を加え室温で30分間インキュベートした。2ml
のPBS(−)で3回洗浄した後、0.036%過酸化
水素水溶液と0.1%ジアミノベンチジン/0.1M
Tris HCl(pH7.2)溶液の1:1を加え、
室温にて10分間発色させ、タンパク質の発現する細胞
を確認した。一次抗体を加えずに、二次抗体としてHR
P結合ヤギ抗マウスIgG(H+L)F(ab’)
ラグメントのみを加えたものを対照として用いた。
【0116】結果を図3に示す。K9モノクローナル抗
体産生ハイブリドーマ(図3、A)およびK17モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマ(図3、B)培養上清
を加えたものでは、いずれもこれらと特異的に反応する
細胞が観察されたが、対照(図3、C)では観察されな
かった。
【0117】実施例12:組換えタンパク質のヒトIg
G結合能の検出と性状 (1)ヒトIgGの結合の確認 FcγBPの部分cDNAを組み込んだプラスミドpN
V11−SRをトランスフェクトしたCOS7細胞(φ
35mm dish)をPBS(−)で2回洗浄した。
99.5%エタノールを2ml加え室温で5分間固定し
た。2mlのPBS(−)で2回洗浄した。次に、アフ
ィニティークロマトで精製したヒトIgG画分(Cap
pel社製)を、10%FBSを含むRPMI1640
培地にて10μg/mlの濃度に調製し、その1mlを
ディッシュに加え室温で1時間インキュベートした。2
mlのPBS(−)で3回洗浄した後、HRPを結合さ
せたヤギ抗ヒトIgG F(ab’)画分(#109
−D36−088、コスモバイオ社製)にて室温で30
分間インキュベートした。2mlのPBS(−)で3回
洗浄した後、0.036%過酸化水素水溶液と、0.1
%ジアミノベンチジン/1.0M Tris HCl
(pH7.2)溶液の1:1混液を加え室温にて10分
間発色させ、発現タンパク質へのIgGの結合を確認し
た。
【0118】(2)IgGの特異的結合 pNV11−SRをトランスフェクトしたCOS7細胞
(φ35mmディッシュ)を2mlのPBS(−)にて
2回洗浄した。99.5%エタノールを2ml加え室温
で5分間固定する。2mlのPBS(−)で2回洗浄し
た。
【0119】次に、HRPを結合したアフィニティー精
製ヒトIgG画分(#55902、Cappel社製)
を10%FBSを含むRPMI1640培地にて10μ
g/mlの濃度に調製した(溶液1)。溶液1に対し、
次のイムノグロブリン(500μg/ml)を拮抗阻害
物質として加えた: クロマトグラフィー精製ヒトIgG画分(#5590
8、Cappel社製) クロマトグラフィー精製ヒトIgG Fc画分(#5
5911,Cappel社製), クロマトグラフィー精製ヒトIgG F(ab’)
画分(#55910,Cappel社製)、 クロマトグラフィー精製ヒトIgM画分(#5591
6,Cappel社製) クロマトグラフィー精製ヒト血清IgA(#5590
6,Cappel社製) クロマトグラフィー精製ヒト分泌型IgA(#559
05,Cappel社製)。
【0120】溶液1に上記からの各拮抗阻害物質を
各々別々に加えた溶液1mlを、細胞を固定したディッ
シュに加え、室温で1時間インキュベートした。2ml
のPBS(−)で3回洗浄した後、0.036%過酸化
水素水溶液と、0.1%ジアミノベンチジン/0.1%
Tris HCl(pH7.2)溶液の1:1の混液
を加え、室温にて10分間発色させ、発現タンパク質へ
のIgGの結合を検討した。溶液1のみで拮抗阻害物質
を何も加えなかったものを対照として用いた。
【0121】結果を図4および図5に示す。対照実験で
ある無添加条件では細胞が染色される(図4、A)が、
精製ヒトIgG画分(図4、B)と精製ヒトIgG F
c画分(図4、C)を添加すると細胞は染色されなかっ
た。一方、他の添加物IgGF(ab’)画分(図
5、D)やヒトIgM画分(図5、E)、ヒト血清Ig
A(図5、F)、ヒト分泌型IgA(図5、G)ではH
RP結合ヒトIgGの結合を阻害できなかった。このこ
とはヒト抗体の場合IgGFc部にFcγBPが特異的
に結合することを示している。
【0122】実施例13:FcγBP mRNA発現の
組織特異性 FcγBPのヒト組織での発現の特異性を調べるため
に、ノーザンブロッティング解析によりmRNAの発現
を調べた。ヒト心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎
臓、膵臓の各組織から精製したポリアデニル化RNA2
μgをブロッティングしたナイロン膜(Human M
ultiple Northern Blots、#7
760−1、Clontech社製)を、実施例2の
(4)と同様の条件でプレハイブリダイゼーションを行
った後、[32P]でラベルしたプローブYを用いてハ
イブリダイゼーションを行った。洗浄の後、オートラジ
オグラフィーにてバンドの検出を行った。−80℃で2
日間オートラジオグラムを行った結果、胎盤において約
17kbp付近にバンドを検出できた(図6)が、その
他の組織においては陰性であった。したがって、胎盤に
おいてFcγBPのタンパク発現が推定された。
【0123】実施例14:3種の異なるプローブによる
ノーザンブロット解析 実施例2の(3)で得たプローブQとA、および実施例
6の(2)で得たプローブYがいずれも同一のmRNA
とハイブリダイゼーションすることを確認するために、
大腸粘膜上皮細胞から抽出したmRNAのノーザンブロ
ット解析を上記3種のプローブQ、A、Yを用いて行っ
た。
【0124】大腸粘膜上皮細胞よりAGPC法により抽
出した全RNA15μgを4.5μlの滅菌水に溶かし
た後、2μlの5×MOPS緩衝液、3.5μlのホル
ムアルデヒド、10μlのホルムアミドと混合し、60
℃、15分間熱変性した後、ホルムアルデヒド存在下で
1%アガロースゲル上で電気泳動した。電気泳動終了
後、RNAをナイロン膜(バイオダインA、ポール社
製)へキャピラリー法にて一晩トランスファーを行っ
た。UV架橋によりRNAをナイロン膜に固定した後、
10mlのハイブリダイゼーション溶液(5×SSP
E、5×Denhardt’s溶液、50%ホルムアミ
ド、0.5% SDS、100μg/ml熱変性サケ精
子DNA)中にて42℃、8時間プレハイブリダイゼー
ションを行った。
【0125】次いで3種のプローブA、Q、Yを各々、
α[32P]dCTPを用い、メガプライムラベリング
キット(Amersham社製)によって放射性標識し
た。各プローブ1×10dpmを各々、5mlのハイ
ブリダイゼーション溶液と共にプレハイブリダイゼーシ
ョン処理したナイロン膜に加え、密封した後、42℃で
一晩ハイブリダイゼーションを行った。ナイロン膜の洗
浄は0.2×SSC、0.2% SDSを含む溶液中
で、65℃、40分間の洗浄操作を3回繰り返し行っ
た。ナイロン膜を乾燥後、X線フィルムに一晩露光し
た。
【0126】以上の結果、プローブA、Q、Yを用いて
推定約17kbpのバンドが1本それぞれ検出され、3
種類のプローブが分子量的に同一のmRNAとハイブリ
ダイズすることを確認した(図7)。
【0127】実施例15:FcγBPをコードするcD
NAの塩基配列の決定(2) IgGFc部結合能をもつタンパク質のアミノ酸配列を
コードするcDNAのうち、5’末端から約7.8kb
p(7826塩基)までの塩基配列の決定については実
施例4および6に記載した。残された塩基配列約8.6
kbpの塩基配列決定法を以下に記載する。
【0128】(1)cDNAの構造と分類 上記実施例4において、プローブA、BまたはQを用い
たハイブリダイゼーションによるスクリーニングで得ら
れた複数のcDNAクローンを、それぞれ大腸菌内で増
幅した後、プローブA、B、Qを用いてマッピングを行
った。その結果、各クローンは3種のプローブの1つま
たは複数とハイブリダイズし、cDNA上にA→Bまた
はB→QまたはQ→Aの順にプローブ相同部位が位置す
るものであった。
【0129】これらの結果から、FcγBPの遺伝子に
は、プローブA、B、Qのそれぞれと相同な配列がA→
B→Qの順に連なった単位がタンデムに複数回繰り返し
た構造を有することが推定された。そこで、プローブB
とハイブリダイズするcDNAクローンについて、プロ
ーブBの塩基配列の一部(約280塩基対)を次のプラ
イマーを用いてPCRにより増幅させた。 プライマー(P−1): 5’−GCC TGC GTG CCC ATC CA
G−3’ プライマー(P−2): 5’−CTC ATA GTT GGG CAG GC
AC−3’ PCRにより増幅したフラグメントをアガロースゲル電
気泳動にて分離後ゲルから回収し、塩基配列を解析し
た。この塩基配列の違いから、プローブBとハイブリダ
イズするcDNAクローンを次の3群に分類し、プロー
ブBとハイブリダイズしないcDNAクローンを第4群
とした。 第1群:クローンV11の増幅フラグメントと同一の配
列をもつ群。 第2群:第1群の配列と比較して5塩基の置換があり、
フラグメント中にHincII部位を含まない群。 第3群:第1群の配列と比較して7塩基の置換があり、
フラグメント中にHincII部位を含む群。 第4群:プローブBとハイブリダイズしない群。
【0130】(2)クローンT5 3’末端側のポリA部分をもつcDNAを分離するため
に、実施例3においてオリゴdTプライマーを用いて作
製したcDNAライブラリーを、プローブA、Bまたは
Qを用いて実施例4と同様の方法でスクリーニングを行
ったところ、プローブQのみとハイブリダイズした。得
られたcDNAクローンのうち最長のcDNA挿入部を
もつものをクローンT5とした。
【0131】クローンT5の挿入cDNAをEcoRI
で切断し、アガロースゲル電気泳動により分離、精製
し、プラスミドベクターpBluescript SK
(+)のEcoRI部位に挿入した。この後、T5の制
限酵素地図の作製および全塩基配列の決定を行った。
【0132】また、クローンT5挿入部のcDNAのう
ちで、ポリ(A)から約1キロ塩基対5’側のBam
HI部位と、同じくポリ(A)から約1.6キロ塩基
対5’側のPstI部位に挟まれた約550塩基対をプ
ローブVとした。プローブVはクローンNZ4、C7
2、Y1、X1、V11、A53、A40およびA31
とはハイブリダイズせず、T5に特異的な配列であっ
た。
【0133】(3)クローンA43 プローブA、BまたはQとハイブリダイズするcDNA
クローンをプローブVを用いて実施例4の(2)と同様
の方法でハイブリダイゼーションを行い、プローブAお
よびBとはハイブリダイズせず、プローブVおよびQと
のみハイブリダイズするクローンを得た。このクローン
の挿入cDNAをEcoRIで切断し、アガロースゲル
電気泳動により分離、精製し、プラスミドベクターpB
luescript SK(+)のEcoRI部位に挿
入した。この後、制限酵素地図の作製および全塩基配列
の解析を行った。
【0134】塩基配列解析の結果、プローブQとハイブ
リダイズする部分を含む約2キロ塩基対の部分がT5と
重複する部分の配列と一致することを確認した。
【0135】(4)クローンA8 クローンA43より5’方向に伸長したcDNAを得る
ため、クローンA43の5’付近の塩基配列(約240
塩基対)を増幅可能な次のプライマーを合成した。 プライマー(P−3): 5’−TGT TGG GAC GAA TGT CG
G−3’ プライマー(P−4): 5’−TCA CAG CCA ACC TGT GC
C−3’ 実施例15の(1)において分類した第1群、第2群、
第3群のcDNAクローンを上記プライマー(P−3)
および(P−4)を用いてPCRを行った。PCRによ
り増幅したフラグメントをアガロースゲル電気泳動にて
分離後回収し、塩基配列を解析した。これにより、実施
例15の(1)において分類した第3群のcDNAクロ
ーンの中で、PCRフラグメントの配列がA43と同一
の塩基配列をもつものを選択し、クローンA8とした。
クローンA8の全塩基配列を解析し、3’側の塩基配列
がA43の5’側の重複する配列と完全に一致すること
を確認した。
【0136】(5)クローンA53およびクローンA4
0 第2群に属するcDNAクローンのうち、プローブQお
よびAとハイブリダイズする部分を5’側にもつ2つの
異なるクローンを制限酵素地図より選択した。このう
ち、クローンV11の3’側と重複する部分のより長い
方をクローンA53、より短い方をクローンA40とし
た。
【0137】クローンA53およびクローンA40の全
塩基配列を解析し、クローンA53の3’側とクローン
A40の5’側の重複する部分(約2.4キロ塩基対)
の塩基配列が同一であることを確認した。また、V11
の3’側とA53の5’側の重複する約1.8キロ塩基
対を比較したところ、1塩基(第6273塩基;V11
ではAであり、A53ではG)を除いてこれらの塩基配
列が完全に一致することを確認した。
【0138】(6)クローンA31 クローンA40より3’方向に伸長したcDNAをスク
リーニングするために次の操作を行った。クローンA5
3およびクローンA40において、プライマー(P−
3)およびプライマー(P−4)によって増幅されるフ
ラグメントの塩基配列が第1群のV11の配列と異な
り、また第3群のA8の配列とも異なっていたため、こ
の部分の配列を指標に次のスクリーニングを行った。す
なわち、全クローン69個のうち第1群と第3群を除く
cDNAクローンについてプローブA、BまたはQとハ
イブリダイズするcDNAクローンを、プライマー(P
−3)およびプライマー(P−4)を用いてPCRを行
い、増幅したフラグメントの塩基配列を決定した。この
塩基配列がクローンA53およびA40と同一であるc
DNAクローンを選択した。この中から、PCRの増幅
配列を5’側の端にもち、3’側に伸長するクローンを
選択し、これをクローンA31とした。
【0139】クローンA31の全塩基配列を解析した結
果、A31の5’側の配列がクローンA40の3’側の
重複する部分と、またA31の3’側の配列がクローン
A8の5’側の重複する部分の配列と同一であることを
確認した。
【0140】実施例16:FcγBPをコードするcD
NAの塩基配列の決定(3) FcγBPのcDNAは全長16.4キロ塩基対の中
に、3.5キロ塩基対をユニットとする配列(プローブ
A、B、Qと相同部分を含む)の3回のタンデムリピー
トが存在し、それぞれの繰り返し配列が互いに95%以
上の相同性を有する構造をしていた(図8)。
【0141】このリピート構造内の塩基配列の決定に用
いたcDNAは、前述の通り、A、BまたはQの各プロ
ーブと強い反応性を有することでクローニングされてき
た。そして各々の塩基配列を比較することにより重複す
る部分の塩基配列が同一であることを確認して、cDN
A同士の連なりを明らかにし、これにより一連のcDN
A断片が単一のmRNA(遺伝子)に由来するものであ
ることを明らかにしてきた。この事実を再確認するため
に、既に発現に用いた5’末端cDNAを含むpNV1
1SRとは別のリピート構造内のcDNA断片をタンパ
ク質発現させ、FcγBPを認識するモノクローナル抗
体であるK9およびK17によりこの発現タンパク質断
片が認識されるかどうかの検定を行った。
【0142】(1)開始コドンを含むアダプターの合成 ベクターに組み込む各cDNA断片を、その5’部分か
ら全長を発現させるには、cDNAの5’部分に翻訳開
始コドン(ATG)を連結させなくてはならない。ま
た、翻訳するタンパク質がFcγBPと同一のフレーム
で翻訳されるために、開始コドン(ATG)とcDNA
の5’端の間でフレームを調節する必要がある。そこ
で、以下の2つの条件を満足するアダプター用オリゴヌ
クレオチドを合成した。
【0143】合成オリゴヌクレオチドは、FcγBPの
本来の開始コドン(ATG)を含むpNV11SRの開
始領域と同じ7塩基配列(GCCATGG)を含み、K
ozak則に合致するものとする。
【0144】また、このオリゴヌクレオチドには、ベク
ターへの挿入が容易となるように、5’端側にHind
III部位を、3’端側にEcoRI部位を付加する。
フレームを調節するために、次の3つのオリゴヌクレオ
チド(FR−1S、FR−2S、FR−3S)を作製し
た。そして、それぞれのオリゴヌクレオチドと相補的な
FR−1A、FR−2A、FR−3Aをも併せて合成し
た。アダプター用合成オリゴヌクレオチド FR−1S: 5’−A GCT TCT GCA G
CC ATG GG−3’ FR−1A: 3’−AGA CGT CGG
TAC CCT TAA−5’ FR−2S: 5’−A GCT TCT GCA G
CC ATGGGG−3’ FR−2A: 3’−AGA CGT CGG
TAC CCC−5’ FR−3S: 5’−A GCT TCT GCA G
CC ATG GGAG−3’ FR−3A: 3’−AGA CGT CGG
TAC CCT CTT AA−5’ 各オリゴヌクレオチドは、DNA合成機(model
1394、ABI社製)を用いて合成した後、精製を行
った。
【0145】次に、実施例9−(5)と同様の方法に
て、FR−1SとFR−1A、FR−2SとFR−2
A、FR−3SとFR−3Aを各々アニーリングした
後、5’末端のヌクレオチドをリン酸化した。作製した
各アダプターをアダプターFR−1、アダプターFR−
2、アダプターFR−3とする。
【0146】(2) TAIII/SKベクターの改変 実施例9−(5)により作製したストップコドンを含む
ベクターpBLS/TIIIにXbaI部位を付加する
ために以下の操作を行った。
【0147】すなわち、実施例10−(1)と同様の方
法で、pBLS/TAIIIを制限酵素XhoIで完全
消化後、末端を平滑化した。末端をリン酸化したXba
Iリンカーを連結後、XbaIで再消化し、自己連結し
た後、コンピテントE.coliを形質転換する操作に
より、pBLS/TAIIIのXhoI部位にXbaI
部位が挿入されたベクターpBLS/TAIII2を得
た。
【0148】(3)開始コドンを含むオリゴヌクレオチ
ドの挿入 pBLS/TAIII2をEcoRIとHindIII
で完全消化後、アガロースゲル電気泳動にて約3キロ塩
基対のベクター部分を回収した。実施例9−(5)と同
様の方法で、アダプターFR−1、FR−2、FR−3
を各々、上記pBLS/TAIII2に挿入した。塩基
配列を解析し、FR−1、FR−2、FR−3の各アダ
プターが1つずつ正しく挿入されたプラスミドを得て、
各々をFr1−SK2、Fr2−SK2、Fr3−SK
2とした。
【0149】(4)FcγBP cDNA断片の挿入 cDNAクローンA53をFcγBPと同じフレームで
発現させるために、A53のcDNA部分をEcoRI
で切り出した後、Fr3−SK2のEcoRI部位に挿
入した。cDNAの5’末端がFr3−SK2の開始コ
ドン側にある方向のプラスミドを選択し、これをpiF
−A53とする。
【0150】同様にクローンA8の挿入cDNAをFr
2−SK2に挿入してpiF−A8を得た。
【0151】piF−A53とpiF−A8は実施例1
1−(1)と同様にして精製後、タンパク発現の実験に
用いた。
【0152】(5)piF−A53およびpiF−A8
の発現 実施例11−(2)と同様の方法にて、piF−A53
およびpiF−A8をCOS7細胞にトランスフェクシ
ョンした。2日間培養後、実施例11−(3)と同様の
方法でモノクローナル抗体(K9/K17混液)を用い
て細胞染色を行い、一過性に発現したタンパク質を検出
した。その結果、piF−A53およびpiF−A8の
いずれをトランスフェクトした細胞もモノクローナル抗
体による染色が認められ、両cDNAがK9とK17の
いずれかまたは両方により認識されるタンパク質の一部
をコードすることが示された(図9のA、B参照)。こ
れより、A53およびA8がFcγBPの全cDNAの
中の反復配列の一部であることが確定された。
【0153】実施例17:クローンNZ4がFcγBP
mRNAの5’末端近傍であることの推定2 実施例7でのプライマーエクステンションの結果より、
現在最も5’側に存在するクローンNZ4の上流およそ
20塩基内に転写開始部位が存在し、NZ4内に存在す
る9番目のATGが翻訳開始部位である可能性が推定さ
れた。そこで、NZ4の上流にin frameのAT
Gあるいはストップコドンが存在するかどうかを確認す
る目的で、ゲノムDNAライブラリーよりFcγBP遺
伝子を単離し、部分塩基配列を決定した。
【0154】(1)ゲノムDNAライブラリー ライブラリーは市販のヒト白血球由来(ベクター、EM
BL3 SP6/T7:CLONTECH社製)のもの
を用いた。
【0155】(2)プローブ スクリーニングに用いるプローブとして、cDNAクロ
ーンNZ4をBamHIでベクターより切り出したも
の、および実施例7で用いた合成オリゴヌクレオチド
(プライマー2:GCTCCAGCCCAGAGTAT
CCACCAGCTCCATAGG、33mer)をそ
れぞれα[32P]dCTP、γ[32P]ATPでラ
ンダムプライミングによる標識(NZ4)、あるいは末
端標識(プライマー2)したものを用いた。
【0156】(3)スクリーニング プローブNZ4によるスクリーニングは実施例3で述べ
たcDNAライブラリーのスクリーニングの方法に準じ
て行った。合成オリゴヌクレオチドプローブを用いたス
クリーニングでは、ハイブリダイゼーション溶液のホル
ムアミド濃度を20%とし、また洗浄は0.3×SSC
/0.1% SDSを含む溶液中で45℃、30分間の
洗浄操作を5回繰り返して行った。
【0157】各プローブに対し、およそ100万のライ
ブラリーについてスクリーニングを行い、その結果NZ
4プローブについて2つの、また合成オリゴヌクレオチ
ドプローブについて1つの陽性プラークが得られ、それ
ぞれすべてのプラークが陽性となるまで繰り返してスク
リーニングを行った。
【0158】(4)λDNAの抽出 各陽性クローンは、宿主大腸菌LE392を用い、実施
例2で述べた方法に準じて増殖させ、DNAを抽出し
た。
【0159】(5)部分マッピングとシークエンス (4)で得た各々のλDNA(GHFc−1,2,3)
を制限酵素(ApaI、BamHI、EcoRI、Hi
ndIII、KpnI、NcoI、PstI、Sac
I、ScaI、SmaI、SpeI、SphI、Stu
I、XbaI、XhoI)で完全消化し、1%アガロー
スゲル電気泳動後、サザンブロッティングを行った。ナ
イロンメンブレンへのトランスファーはゲルを0.25
N HClに30分間浸し、続いて変性緩衝液(0.4
N NaOH/1.5M NaCl)中で15分間×2
回室温にて振とう放置し、さらに中和緩衝液(1M N
OAc/0.02N NaOH)中で15分間×2
回室温にて振とう放置した。その後、ゲル1枚につきメ
ンブレン2枚へ同時にトランスファー(bidirec
tional transfer)した。2枚のメンブ
レンは各々NZ4プローブおよび合成オリゴヌクレオチ
ドプローブにてハイブリダイゼーションを行った。
【0160】GHFc−1,2(ApaI、EcoR
I、SacI、XhoI)およびGHFc−3(Bam
HI、EcoRI、XbaI)の各陽性フラグメントを
pBluescriptベクター(TOYOBO社製)
にサブクローニングし、一部シークエンス反応を行っ
た。シークエンス反応は実施例6の方法に準じて行っ
た。
【0161】(6)結果 クローンGHFc−1,2,3とも部分的なマッピング
とシークエンシングの結果、インサートサイズがおよそ
15kb(GHFc−1,2)、13kb(GHFc−
3)のそれぞれ独立したクローンであり、GHFc−1
と2は一部重複していた。また、FcγBP cDNA
の63、64番目に相当する塩基間および1311、1
312番目に相当する塩基間にGT/AG則に一致した
イントロン(図10参照)が存在しており、また131
1番目までのエキソン部分の塩基配列はcDNAのもの
と完全に一致していた(図11参照)。さらに、cDN
AクローンNZ4の5’上流はGHFc−3に含まれて
いたが、実施例7において記載した推定上の翻訳開始A
TGより87塩基、すなわちNZ4(配列番号1)の
5’端より79塩基上流にin frameでのストッ
プコドン(TGA)が存在し、その間に他のin fr
ameでのATGは認められなかった。したがって、こ
れらの結果はクローンNZ4に存在する9塩基目からの
ATGがFcγBP遺伝子の翻訳開始ATGである可能
性を強く支持する。
【0162】実施例18:ヒトFcγBPの構造とIg
GFc結合活性機能との相関関係 これまでに得られたFcγBPのcDNAの全塩基配列
より推定されたアミノ酸配列をもつタンパク構造は、約
400アミノ酸残基より成るユニットのくり返しが合計
12回存在し(R1−R12部)、その前後に約450
アミノ酸(H部)と約200アミノ酸(T部)のユニー
クな配列を有するものであった。図12に示すように、
R部のくり返しユニットの内、R3,R6,R9は相互
に95%以上の相同性を有し、同様にR4,R7,R1
0の3者、R5,R8,R11の3者もまた95%以上
の相同性があった。一方、R1からR5の各ユニットは
相互に約40%程度の相同性があった。そこで、これら
の蛋白質ドメインの機能を検討するために、cDNA中
にいくつかの欠損部位を持たせた変異クローンを分離
し、それらをCOS細胞に発現させ、IgG結合活性な
どの機能を検討した。
【0163】Fc結合活性の測定のため、動物細胞に発
現させた部分cDNAプラスミドpNV11は図12に
示したように、H,R1,R2,R3,R4,R5及び
R6の一部の各ユニットで構成されるが、これらのうち
どこにFc結合活性が存在するのかを確かめるために、
以下の実験を行った。即ち、制限酵素による切断・再結
合または、連結するクローンの組合せによりNV11の
一部をアミノ酸に対するフレームが合う様に欠除したc
DNA断片を、発現ベクターSRαに挿入後、大腸菌X
L1−Bを形質転換した。表1に示したように、NV1
1より一部を削除した後の配列をDNAの塩基番号で示
した。尚、NV11のcDNA部分のうち、タンパク質
への翻訳の始まる最初の塩基を1番とし、最後の塩基を
7776番とする。
【0164】各cDNA断片を含む発現ベクターを大腸
菌より精製した後、実施例11と同様の方法で、COS
7細胞に一過性に発現させた後、ヒトIgG Fc部に
よる染色、及びFcγBP特異的モノクローナル抗体K
9,K17による染色を行った。
【0165】更に、IgG Fcの結合に対するモノク
ローナル抗体の阻害を調べるために、次の染色を行っ
た。cDNAを一過性に発現させたCOS7細胞をエタ
ノールで固定した。熱変性したヒトIgGを1μg/m
lとなるように、阻害抗体K9とK17の1つあるいは
両方、または抗FcγRIII(コントロール抗体)を
含むハイブリドーマ培養上清にてそれぞれ希釈し、固定
細胞とインキュベートした。室温で1時間放置後、PB
S(−)にて洗浄し、HRPを結合した抗ヒトIgG
(H+L)抗体F(ab’)フラグメントと同様にイ
ンキュベートし、変性ヒトIgGの結合を検出した。
【0166】以下に結果を示す。まず、遺伝子発現産物
がIgG Fc結合活性を有するかを検討するために、
ヒトIgGを一次抗体とし、二次抗体としてHRP標識
抗ヒトIgG抗体を用いた。IgGの結合活性を示すの
は、H部の全配列及び、それに加え、少なくとも1つ以
上のR部の全領域を含有するクローン(NV11,N
X,NZCY,△BssH,△Tth,△Sp1,△B
ssH/Tth,NX△BssH,NZCV11)であ
った。また、IgGの結合活性を示す染色性の強度は、
R部の含有数が増加するにつれて強度も増加する傾向に
あった。しかし、H部の全部または一部を削除したクロ
ーン(△Hinc,△Hinc/BssH,V11,X
1)及び、R部の一部しかもたないクローン(NZC)
ではIgGの結合活性は示さなかった。
【0167】一方、モノクローナル抗体での遺伝子産物
の染色性については、R5配列の全部又は一部をもつク
ローン(NV11,△Hinc,△BssH,△Tt
h,△Sp1,△BssH/Tth,△Hinc/Bs
sH,NZCV11,V11)ではモノクローナ ル抗
体K9の染色が認められ、また、R3またはR6の全部
または一部をもつクローン(NZCYとNZCを除く全
てのクローン)ではモノクローナル抗体K17の染色が
認められた。これらの結果により、H部を欠くクローン
(△Hinc/BssH,V11,X1)ではFcγB
P特異的抗体で反応する蛋白質が発現産生されているに
もかかわらず、IgG結合活性は得られず、H部はR部
産物にIgG活性を与えるに必須な機能を有しているこ
とが示唆された。また、クローンNZCがIgG活性お
よびK9/K17染色に対して陰性であることから、R
部(R1〜R5)はIgGの結合部位に対応することも
示唆された。
【0168】続いて、モノクローナル抗体K9,K17
によるIgG結合の阻害結果を示す。各クローンに対す
る阻害効果は表1にまとめて示したが、 R3とR5に加えて、他の1つ以上のR領域を含む
クローン(NV11,△Tth,NZCV11)では、
K9またはK17によりある程度のIgG結合の阻害が
認められ、両者を加えたときより強く阻害されたが、完
全には阻害されなかった。 R3に加えて他の1つ以上のR領域を含むクローン
(NX)では、K17によりある程度のIgG結合の阻
害が認められたが、完全には阻害されなかった。また、
K9によっては全く阻害されなかった。 R3領域のみを含むクローン(NX△BssH)で
は、K17により結合が完全に阻害されたが、K9は影
響しなかった。 R5領域のみを含むクローン(△BssH/Tt
h)ではK9により結合が完全に阻害されたがK17は
影響しなかった。 R3及びR5領域を両方とも含まないクローン(N
ZCY)では、K9,K17ともIgGの結合を全く阻
害しなかった。 全てのクローンにおいて、コントロール抗体の抗F
cγRIII抗体によるIgG結合の阻害はみられなか
った。
【0169】以上の事より、IgG Fcの結合部位
は、R3領域及びR5領域を含めてR1〜R5領域に存
在し、それぞれのR領域が独立でIgGを結合する事が
可能である事が推定された。また、NV11等R領域を
複数含むcDNAクローンでは複数のIgGを結合する
可能性をもつ事が示された。これらの事実は、アミノ酸
配列の相同性から、R1〜R12がいずれもIgG結合
部位を持ち得ることを推定させる。
【0170】
【表1】
【0171】実施例19:FcγBPゲノム遺伝子の部
分解析(転写開始部位の確定) 実施例7でのプライマーエクステンションの結果より、
現在最も5’側に存在するクローンNZ4の上流およそ
20塩基内に転写開始部位が存在し、NZ4内に存在す
る9番目のATGが翻訳開始部位である可能性が推定さ
れたが、そのNZ4の上流にin frameのATG
あるいはストップコドンが存在するかどうかを確認する
目的でゲノムDNAライブラリーよりFcγBP遺伝子
を単離し、部分塩基配列を決定した。
【0172】また、S1マッピングを行い、より正確な
転写開始部位の決定を行った。 (1)ゲノムDNAライブラリー ライブラリーは市販のヒト白血球由来(ベクター、EM
BL3 SP6/T7:CLONTECH社)のものを
用いた。 (2)プローブ スクリーニングに用いるプローブとしてcDNAクロー
ンNZ4をBamHIでベクターより切り出したもの、
および実施例7で用いた合成オリゴヌクレオチド(プラ
イマー2:GCTCCAGCCCAGAGTATCCA
CCAGCTCCATAGG,33mer)をそれぞれ
α[32P]dCTP、γ[32P]ATPでランダム
プライミングによる標識(NZ4)、あるいは末端標識
(オリゴヌクレオチド)したものを用いた。 (3)スクリーニング プローブNZ4によるスクリーニングは実施例4で述べ
たcDNAライブラリーのスクリーニングの方法に準じ
て行った。合成オリゴヌクレオチドプローブを用いたス
クリーニングでは、ハイブリダイゼイション溶液のホル
ムアミド濃度を20%とし、またWashingは0.
3xSSC/0.1%SDSを含む溶液中で45℃,3
0分間の洗浄操作を5回繰り返して行った。各プローブ
に対し、およそ100万のライブラリーについてスクリ
ーニングを行い、その結果NZ4プローブについて2つ
の、また合成オリゴヌクレオチドプローブについて1つ
の陽性プラークが得られ、それぞれすべてのプラークが
陽性となるまで繰り返しスクリーニングを行った。 (4)λDNAの抽出 各陽性クローンは、宿主大腸菌LE392を用い、実施
例2で述べた方法に準じて増殖させ、DNAを抽出し
た。 (5)部分マッピングとシークエンス 4で得た各々のλDNA(GHFc−1,2,3)を制
限酵素(ApaI,BamHI,EcoRI,Hind
III,KpnI,NcoI,PstI,SacI,S
caI,SmaI,SpeI,SphI,StuI,X
baI,XhoI)で完全消化し、1%アガロースゲル
電気泳動後、サザンブロッティングを行った。ナイロン
メンブレンへのトランスファーはゲルを0.25N H
Cl,0.4N NaOH/1.5M NaCl,1M
NHAc/0.02NNaOHでそれぞれ15分、
2回処理した後、ゲル1枚につきメンブレン2枚へ同時
にトランスファー(bidirectional tr
ansfer)した。2枚のメンブレンは各々NZ4プ
ローブおよび合成オリゴヌクレオチドプローブにてハイ
ブリダイゼーションを行った。GHFc−1,2(Ap
aI EcoRI,SacI,XhoI)およびGHF
c−3(BamHI,EcoRI,XhoI)の各陽性
フラグメントをpBluescriptベクター(TO
YOBO社)にサブクローニングし、一部シークエンス
反応を行った。シークエンス反応は実施例6での方法に
準じて行った。 (6)S1マッピング S1プローブ作製用テンペレートとして、クローンGH
Fc−3のEcoRI/SacI断片(cDNAクロー
ンNZ4の上流約2kbに相当)をpBluescri
ptSKにサブクローニングした後、ヘルパーファー
ジVCSM13により調製したssDNAを用いた。こ
のテンペレートにプライマーエクステンションで用いた
ラベルされたプライマー2をアニールし、BcaBES
Tポリメラーゼ(TAKARA)により65℃、10分
間合成を行った。これをBamHI消化し、熱変性後8
M尿素を含む7.5%ポリアクリルアミドゲルにて分離
し目的とするバンドを切り出した。切り出したゲルはG
緩衝液(1M NHOAc/20mM Mg(OA
c)/0.1M EDTA/0.2% SDS/10
ug/ml yeast tRNA)中、37℃で一晩
インキュベートしてプローブを溶出した。このS1プロ
ーブ(1x10cpm)をヒト大腸上皮由来全RNA
(40μg)とpolyARNA(1.5μg)を混
合し、エタノール沈澱後それぞれ20μlのS1ハイブ
リダイゼーション液(80%ホルムアミド/40mM
PIPES/400mM NaCl/1mM EDT
A)に溶解した。これを80℃で10分処理した後、4
2℃で一晩ハイブリダイゼーションを行った。これに2
00μlのS1溶液(30mM NaOAc(pH4.
6)/280mM NaCl/1mM ZnSO/1
mg/ml ssDNA/150unit S1ヌクレ
アーゼ)を加え37℃40分間消化した。これを6%の
シークエンスゲルにて泳動しゲルは固定、乾燥後、オー
トラジオグラフィーを行った。
【0173】結果と考察 クローンGHFc−1,2.3とも部分的なマッピング
とシークエンシングの結果、インサートサイズがおよそ
15kbp(GHFc1,2),13Kbp(GHFc
3)のそれぞれ独立したクローンでありGHFclと2
は一部overlapしていた。また、FcγBPcD
NAの63、64番目に相当する塩基間および131
1,1312番目に相当する塩基間にGT/AG則に一
致したイントロンが存在しており1311番目までのエ
キソン部分の塩基配列はcDNAのものと完全に一致し
ていた(図10,11参照)。さらに、cDNAクロー
ンNZ4の5’上流はGHFc3に含まれており、推定
上の翻訳開始ATGより87base,NZ4 の5’
端より79base上流にin frameでのストッ
プコドン(TGA)が存在し、その間に他のin fr
ameでのATGは認められなかった。従って、これら
の結果はクローンNZ4に存在する9番目のATGがF
cγBP遺伝子の翻訳開始ATGである可能性を強く支
持するものである。また、NZ4の5’上流およそ2k
bp内にTATA/CCAT等の典型的なプロモーター
モチーフは含まれていなかった。さらに、S1マッピン
グの結果から、このATGより8,9,10塩基上流に
相当する長さのバンドが見られ、その内−10のA残基
でもっともそのシグナルが強いことから、このA残基よ
り転写が開始するものと考えられた。
【0174】実施例20:FcγBP遺伝子多型の解析 FcγBP cDNAのシークエンスの結果、コーディ
ング領域内の特定部位に遺伝子多型の存在が示唆され
た。すなわちFcγBP cDNAの5120,872
3,12326番目に存在するSmaI部位についてク
ローンA52の同領域ではCCCGGGからCCTGG
Gへの塩基の置換が認められた。cDNAクローニング
に用いたライブラリーは単一個体由来ではなく数人の遺
伝子をその由来とするために、この塩基置換が個体間で
認められるものかあるいは同一個体において半数体ゲノ
ムあたり存在する主要な3回の繰り返し領域間に認めら
れるものかどうかを確認するために以下の実験を行っ
た。
【0175】Forward側プライマーとして BC1:ACCACTCCTTCGATGGCC, GS1:ACCTGTAACTATGTGCTGGC,
の2種、 Reverse側プライマーとして GS2:TGGTGGTGACGGTGAAGGG, GS3:ACAGCAGGGTTGCCCCGG, GS4:TGGTGCCGAGGGCAGCCACG, BC2:TGGGTCACTGAAATCCG,の4種
を合成した。 また6名の健常人白血球並びに4名の担癌患者大腸の正
常部位より上皮細胞を分離後、Nelson等の方法に
よりDNAを抽出した。各DNA20ngにプライマー
セットBC1/BC2,BC1/GS3,BC1/GS
4,GS1/GS3,GS1/GS4を終濃度20pm
oleで加え、PCR緩衝液(10mMTris HC
l pH8.3,50mM KCl,1.5mM Mg
Cl,200μM dNTPs,0.001% ge
latin,2.5unittaqポリメラーゼ)中、
(94℃ 1min−60℃ 1.5min−72℃
2.5min x 30サイクル)の条件でPCRを行
った。PCR産物はSmaI消化後2%アガロースゲル
にて泳動し、EtBrにて染色を行った。
【0176】以上の結果、各プライマーセットに対する
PCR産物をSmaI処理することによりプライマーB
C1/BC2を除いた各セットで遺伝子多型が存在する
ことが明かとなった。
【0177】すなわち、10種のDNA標品の内、1つ
はSmaIにて完全消化されることからこのサンプルは
少なくとも対立遺伝子を含めた6カ所の繰り返し部位す
べてにSmaI部位が存在し、他のサンプルではSma
Iでの消化、未消化産物の割合が各種の頻度で観察され
た。逆に、これら10サンプルの内SmaIサイトをも
全くもたないものは存在しなかった。また、HT−29
N2細胞において同じプライマーセットを用いてRT−
PCRした後、SmaIにて消化したところ、全てその
サイトを含んでいた。
【0178】また、プライマーBC1/BC2で多型が
認められなかった理由としてPCR産物の鎖長が約1.
8kbpあることからプライマーGS4とプライマーB
C2の間におよそ1.6kbpのイントロンが存在し、
このイントロンの5’側にSmaI部位が存在すること
が示唆された。この部位と多型を示す目的のSmaI部
位間の長さが非常に短く、BC1/BC2での増幅産物
とそのSmaI消化産物との鎖長差が僅かであるために
多型が検出されなかったものと推定された。
【0179】実施例21:誘導型高発現CHO細胞株の
分離とFcγBPの検出 実施例11で示したFcγBPフラグメントを多量に、
安定して発現する細胞株を樹立する目的で、動物細胞用
発現ベクター、pMSXNDを用いてFcγBP部分c
DNA、NV11STを発現させた。pMSXNDベク
ターは蛋白発現の誘導がナトリウムブチレートなどによ
り可能なメタロチオネインプロモーターを発現プロモー
ターとして有し、染色体DNAに組み込まれた後に遺伝
子増幅を可能にするdhfr遺伝子をもつ様構築されて
いる。
【0180】(1) pMSXNDベクターの改変 まず、pMSXNDの cDNAクローニング部位であ
るXhoIにてプラスミドを完全消化した後、0.4単
位のKlenow Fragmentにて15分間処理
し、末端平滑化した。次に、NotIリンカー(5’−
pGCGGCCGC−3’)をベクターにライゲーショ
ンした後NotIで完全消化し、自己連結させてからコ
ンピテントE.Col XL1−Bを形質転換した。得
られたクローンを解析し、pMSXNDのXhoI部位
にNotIリンカーが挿入されたプラスミドpMSXN
D−NOTを得た。
【0181】(2) cDNAの挿入 pMSXND−NOTをNotIで完全消化した後、ア
ルカリフォスファターゼ処理により脱リン酸化を行っ
た。次に、実施例6−(6)で作製したFcγBPcD
NAを組み込んだプラスミドであるpNV11−STを
NotIで完全消化し、アガロースゲル電気泳動にて8
kbpのcDNA部分を分離、回収した。これらの発現
ベクターとcDNA挿入部分をライゲーションし、コン
ピテントE.col(XL1−B)を形質転換した。ア
ンピシリンを含むLBプレート上で培養し生じたコロニ
ーのうち、メタロチオネインプロモーターに対しセンス
の方向でcDNAが挿入されたプラスミドを選択し、p
NV11−MSXを得た。
【0182】(3) CHO細胞でのIgG FcBP
部分cDNAの発現 実施例11と同様の方法にてpNV11−MSXプラス
ミドを含む大腸菌を培養し、増幅したプラスミドを精製
した。このプラスミド10μgを250μlのF−12
培地(ヌクレオチド添加)に溶解したものと、10μl
のリポフェクション試薬(Transfectum,S
EPRACOR社)を250μlに溶解したものを混合
し、直ちにCHO細胞(dhfr欠損株)上に加えた。
37℃で6時間培養後、10%血清を含むF−12培地
で置換し3日間培養した。次に、培地を1mg/mlの
G418、10%牛胎児血清を含むα−MEM培地(ヌ
クレオチド不含、GIBCO社製)に置換し、3日毎に
培地交換しながら14日間培養し、プラスミドの挿入さ
れた細胞を選択した。このようにして数十個のコロニー
を形成したディッシュより、限界希釈法にて細胞をクロ
ーニングした。得られた細胞クローンのうちFc結合活
性の高い蛋白発現を示すものを選択し、より多くの発現
量を得るために次に遺伝子増幅を行った。
【0183】(4) 遺伝子増幅 pNV11−MSXがCHO細胞の染色体に組み込ま
れ、安定にFcγBPフラグメントを発現する細胞クロ
ーンの蛋白質産生量を増加させるために、メトトレキセ
ート処理によって組み込み遺伝子の増幅を行った。即
ち、前記の安定発現細胞クローンを、0.005μMの
メトトレキセート、500μg/mlのG418含むα
−MEM培地(ヌクレオチド不含)にて3−4週間培養
し、生育する細胞を選択した。次に、メトトレキセート
濃度を4倍(0.02μM)に増加し、同様の方法で3
−4週間培養した。メトトレキセート濃度を4倍に増加
させ培養する操作をくり返し、最終的に6.4μM〜2
5μMのメトトレキセート存在下で増殖する細胞を得
た。この細胞を限界希釈法にてクローニングを行い、F
cγBPフラグメントを高発現する細胞株を得た。発現
量の増加は、実施例11および12におけると同様に、
K9/K17モノクローナル抗体による組織化学的染色
またはIgG結合能の検出法による第一次的判定によっ
た。
【0184】(5) 細胞試料の作製 FcγBPフラグメントを安定的に高発現するCHO細
胞株5×10細胞をφ100mmディッシュに移し、
6.4μMメトトレキセート、1mg/mlG418を
加えたα−MEM培地にて培養した。必要に応じて終濃
度5mMとなるようナトリウムブチレートを添加し、蛋
白質の発現誘導を行った。3日後に、培養上清(SUP
1)を採取し、さらにSUP1から細胞片を除くため1
00,000xg,60分間遠心後、上清(SUP2)
を回収した。細胞は、500μlの細胞溶解緩衝液(5
0mM Tris−HCl(pH7.5),150mM
NaCl,1mM EDTA,1mM PMSF,10
mM monoiodo acetamide,10μ
g/ml approtinine,10μg/ml
leupeptin)に懸濁後、超音波処理(30秒×
3回)を行い、10,000xg,10分間4℃の遠心
を行った。遠心後の上清(LYS1)を除き、残渣に、
1%NP−40を含む細胞溶解緩衝液400μlを加
え、超音波処理後、遠心し上清を回収した(LYS
2)。更にこの残渣に1%NP−40,0.1%SD
S,0.5%デオキシコール酸ナトリウムを含む細胞溶
解緩衝液200μlに溶解後、遠心し上清を回収した
(LYS3)。残渣は100μlの細胞溶解緩衝液に懸
濁した(LYS4)。また、コントロールとして大腸上
皮細胞の溶解液(1/100〜1/3200希釈)を用
いた。
【0185】(6) サンドイッチELISA 産生されたFcγBPフラグメントを定量的に検出する
ために、FcγBPに対する特異的モノクローナル抗体
K9およびK17を用いたサンドイッチELISA系の
開発を行った。アフィニティー精製したK9抗体を5μ
g/mlとなるよう0.5M炭酸緩衝液(pH9.2)
にて調製し、50μl/ウェルでELISAプレート
(PRO−BIND,ファルコン社製)に加えた後、4
℃で一晩放置した。ウェルを洗浄溶液(0.05%Tw
een−20を含むPBS(−))で3回洗浄した後、
ブロッキング溶液(10%血清を含むRPMI1640
培地)を50μl/ウェル加え、温室で60分間放置し
た。
【0186】ブロッキング溶液を除き、(5)にて調製
した試料を各々50μl加え、室温2時間放置した。洗
浄溶液にて3回洗浄し、ブロッキング溶液にて4mg/
mlに希釈したHRP結合K17抗体を50μl加え、
室温1時間放置した。洗浄溶液にて3回洗浄後、50μ
lの発色液(20mg O−phenylenedia
mine,80μl H(30%)を50mlの
クエン酸緩衝液に溶解)を加え、室温で3分間発色させ
た。50μlの2.5M HSO溶液を加え反応を
停止してから492nmの吸光度を測定した。
【0187】〔結果〕 (i)得られた代表的なFcγBP発現CHO細胞株に
ついて メトトレキセート存在下で培養後、ナトリウムブチレー
ト処理後および未処理後3日目におけるFcγBPフラ
グメントの発現量をK9/K17モノフローナル抗体に
よる細胞染色法により検出した。図13に示すように、
高発現株が分離できた。 (ii)ELISAによるFcγBPフラグメントの定
量結果 FcγBPフラグメントの安定高発現株から調製された
各試料をサンドイッチELISA法にて測定した結果、
次の表2の吸光度が示す様に、FcγBPフラグメント
は細胞溶解液中(LYS1〜4)に比べて、培養上清中
(SUP1,2)により多く検出された。この事実は発
現させたFcγBPフラグメントは細胞内に蓄積するの
ではなく細胞外に分泌されることを示している。
【0188】
【表2】
【0189】
【発明の効果】本発明により、IgGFc部結合活性を
示すタンパク質を大量かつ均一に生産することが可能と
なった。したがって、本発明によって得られるIgGF
c部結合活性を示すタンパク質を、感染防御剤および潰
瘍性大腸炎やクローン病などの自己免疫疾患に対する抗
(消)炎症剤や診断薬などの医薬用途に利用する可能性
を有している。
【0190】
【配列表】
【0191】
【配列番号1】
【0192】
【配列番号2】
【0193】
【配列番号3】
【0194】
【配列番号4】
【0195】
【配列番号5】
【0196】
【配列番号6】
【0197】
【配列番号7】
【図面の簡単な説明】
【図1】プローブQを用いて行ったFcγBP mRN
Aのハイブリダイゼーションの結果を示す図(電気泳動
の写真)である。
【図2】FcγBPの発現に用いた部分cDNA(約
7.8kbp)、ならびにクローンNZ4、C72、Y
1、X1およびV11の相互の関係を示す。
【図3】ベクターpNV11−SRを用いて形質転換し
たCOS7細胞の発現するタンパク質を確認する図(生
物の形態を示す写真)である。一次抗体として、AはK
9モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ培養上清、B
はK17モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ培養上
清を用いた。Cは一次抗体を加えない対照。いずれのも
のにも二次抗体としてHRP結合ヤギ抗マウスIgG
(H+L)F(ab’)フラグメントを加えた。
【図4】ベクターpNV11−SRを用いて形質転換し
たCOS7細胞の発現するタンパク質のヒトIgG結合
能を示す図(生物の形態を示す写真)である。いずれの
ものにも一次抗体としてHRP結合ヒトIgGを用い
た。拮抗剤として用いた二次抗体は以下の通り;A:加
えず(対照)、B:クロマトグラフィー精製ヒトIgG
画分、C:クロマトグラフィー精製ヒトIgG Fc画
分。
【図5】ベクターpNV11−SRを用いて形質転換し
たCOS7細胞の発現するタンパク質のヒトIgG結合
能を示す図(生物の形態を示す写真)である。いずれの
ものにも一次抗体としてHRP結合ヒトIgGを用い
た。拮抗剤として用いた二次抗体は以下の通り;D:ク
ロマトグラフィー精製ヒトIgG F(ab’)
分、E:クロマトグラフィー精製ヒトIgM画分、F:
クロマトグラフィー精製ヒト血清IgA、G:クロマト
グラフィー精製ヒト分泌型IgA。
【図6】FcγBP mRNAのヒト組織での発現の特
異性を示すノーザンブロットの図(電気泳動の写真)で
ある。
【図7】プローブQ、AおよびYを用いて実施した大腸
粘膜上皮細胞中のFcγBPmRNAのノーザンブロッ
ト解析を示す図(電気泳動の写真)である。
【図8】FcγBPの全長cDNAの構造を示す図であ
る。
【図9】プラスミドpiF−A53およびpiF−A8
を用いて形質転換したCOS7細胞とモノクローナル抗
体K9/K17混液との結合能を示す図(生物の形態を
示す写真)である。A:piF−A53、B:piF−
A8。
【図10】FcγBPのエキソン/イントロン境界領域
の塩基配列の比較を示す図である。大文字(ボックス)
はエキソン、小文字はイントロンを示す。また下線部は
高度に保存された配列を示す。R:プリン、y:ピリミ
ジン。
【図11】FcγBPゲノムDNAの5’側翻訳開始部
位近傍の塩基配列を示す図である。大文字はエキソン、
小文字はイントロンを示す。下線で示した部分はcDN
Aと同一の部分を、またshadeされた太文字はin
frameでのTGAストップコドンおよび翻訳開始
部位と推定されるATGコドンを示す。なお、数字はc
DNAクローンNZ4の5’末端を+1とし、エキソン
の上にのみ番号を付けた。
【図12】ヒトFcγBPの構造と、本発明で用いた各
クローンの対応する位置を示す。
【図13】FcγBPフラグメントを発現するCHO細
胞を示す(生物の形態を示す写真)。(A)はメトトレ
キセート6.4μM、ナトリウムブチレート非処理;
(B)はメトトレキセート6.4μM、5mM ナトリ
ウムブチレート処理後を示す。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列表の配列番号6に示すアミノ酸配列
    をコードする塩基配列、またはこれを一部置換、欠失も
    しくは付加した塩基配列、あるいはこれらにハイブリダ
    イズする塩基配列を含むDNAおよびそのDNA断片。
  2. 【請求項2】 プラスミドpNV11−ST(生命研条
    寄第4625号:FERM BP−4625)中に挿入
    されている請求項1記載のDNAおよびそのDNA断
    片。
  3. 【請求項3】 配列表の配列番号7に示すアミノ酸配列
    をコードする塩基配列、またはこれを一部置換、欠失も
    しくは付加した塩基配列、あるいはこれらにハイブリダ
    イズする塩基配列を含むDNAおよびそのDNA断片。
  4. 【請求項4】 請求項1または3記載のDNAまたはそ
    のDNA断片を含有する組換えベクター。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の組換えベクターにより形
    質転換された原核または真核宿主細胞。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の宿主細胞を培養し、産生
    されたタンパク質を分離、精製することを特徴とする組
    換えタンパク質の製造方法。
  7. 【請求項7】 組換えタンパク質がIgGFc部結合活
    性を示す請求項6記載の組換えタンパク質の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の宿主細胞を培養して得ら
    れる培養物を細胞内または細胞外から分離、精製して得
    られる組換えIgGFc部結合活性を示すタンパク質。
  9. 【請求項9】 請求項1または3記載のDNAまたはそ
    のDNA断片をプローブとして用いて、ノーザンブロッ
    ト解析またはインサイチュハイブリダイゼーション法に
    よってIgGFc部結合タンパク質のmRNAの合成組
    織を同定する方法。
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