JPH07289266A - ヒトFas抗原バリアント及びそれをコードする新規DNA - Google Patents

ヒトFas抗原バリアント及びそれをコードする新規DNA

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JPH07289266A
JPH07289266A JP6105916A JP10591694A JPH07289266A JP H07289266 A JPH07289266 A JP H07289266A JP 6105916 A JP6105916 A JP 6105916A JP 10591694 A JP10591694 A JP 10591694A JP H07289266 A JPH07289266 A JP H07289266A
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leu
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thr
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JP6105916A
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Mikio Yamamoto
本 三毅夫 山
Kotohiko Kimura
村 言 彦 木
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Mochida Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ヒトFas抗原バリアントおよびそれをコード
するDNA、組換えDNA分子及び形質転換体を提供す
ることを目的とする。 【構成】ヒトFas抗原バリアント、またはそれと実質
的に同一の機能を有する新規ペプチドおよびそれをコー
ドする新規DNA。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然に存在するヒトF
as抗原の変異体であるヒトFas抗原バリアント及び
それをコードする新規DNAに関する。
【0002】
【従来の技術】ヒトFas抗原は、様々な細胞の表面に
存在するポリペプチドであって、アポトーシスと呼ばれ
る細胞の死と関連していると考えられている。生体の恒
常性は細胞の増殖と分化およびその死によって巧妙に制
御されているが、アポトーシスは、死につつある細胞の
形態からネクローシス(壊死)と区別される細胞の死の
1形態である。生体の恒常性を維持するための細胞の
死、すなわち、生体にとって不必要な細胞を除去した
り、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞が細胞障害性T細胞
(CTL )やナチュラルキラー(NK)細胞によって攻撃さ
れ、除去される場合の細胞の死は、主としてアポトーシ
スによることがわかっている。ヨネハラ S.(Yoneha
ra S. )等が見出したFas抗体(J. Exp. Med. 169
巻、1747-1756 頁、1989年)によって認識され、アポト
ーシスのシグナルを細胞に伝達する細胞表面抗原(Fas
抗原)がいかなるものであるかは長年不明であったが、
最近、イトウ N.(Itoh N. )等によって、Fas抗
原遺伝子がクローニングされ以下のことが明らかにされ
た。Fas抗原は、分子量約45kDの細胞膜上の糖蛋
白質であり、そのアミノ酸配列から生理学的に重要な細
胞表面膜タンパク群を構成するNGFR(神経成長因子
レセプター)/TNFR(TNFレセプター)ファミリ
ーに属することが判明した(Cell、66巻、233-243 頁、
1991年)。また、マウスFas抗原遺伝子もクローニン
グされ(ワタナベ−フクナガ R.(Watanabe-Fukunaga
R.)等、J. Immunol., 148巻、1274-1279 頁、1992
年)、マウスFas抗原のmRNAが、マウスの胸腺、
肝、肺、心臓、卵巣で発現していることが確認された。
さらに、最近キムラ K.(Kimura K.) 等は、ラットF
as抗原遺伝子をクローニングするとともに、ラット肝
mRNA中にアルタネイティブスプライシングの相違に
より2種類のmRNAが検出されること、及び膜結合型
Fas抗原のmRNA以外に分子量の小さなペプチドを
コードするmRNAがあることを報告した(Biochemica
l and Biophysical Research Communications, 198巻
(2), 666-674頁、1994年)。
【0003】このような状況の中で、Fas抗原遺伝子
のクローニングが進み、Fas抗原を介したアポトーシ
スと疾患との関係も明らかになりつつある。ワタナベ−
フクナガ R.等は、自己免疫疾患によく似た症状を示
すlprマウスでは、Fas抗原遺伝子に異常があるた
めアポトーシスが起きないことを証明した。そして、あ
る種の自己免疫疾患においては、Fas抗原の異常、も
しくはFas抗原を介してアポトーシスを起こさせるよ
うな物質(Fas リガンド)の異常により、本来除去され
るべき自己反応性のT細胞が残存し、自己免疫疾患が生
じるのであろうと予想している(Nature, 356 巻、314-
417 頁、1993年)。また、コバヤシ N.(Kobayashai
N. )等は、エイズウイルス感染によりFas抗原の発
現が誘導されることを報告し、エイズで見られるT細胞
のアポトーシスがFas抗原を介した現象である可能性
を示唆している(日経サイエンス,6巻, 34-41頁, 1993
年)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、Fas
抗原が単離され、生体内でFas抗原が発現しアポトー
シスが惹起されることが確認され、疾患との関係も明ら
かにされつつあることから、Fas抗原を医療分野等で
用いることが望まれている。一般的に、ポリペプチドは
活性部位の構造が保存されていれば活性を有しているこ
とが知られており、分子量の小さいものは精製等が容易
で、取り扱い易い。また、可溶型のポリペプチドであれ
ば、さらに取扱が容易である。上述したようにラットF
as抗原については、膜結合型をコードするmRNA以
外に分子量の小さいペプチドをコードするmRNAが検
出されたとの報告があるが、その機能は未だ明らかにさ
れておらず、ヒトのFas抗原においてこのようなmR
NAから生成されるFas抗原の変異体(Fas抗原バ
リアント)が存在するのかどうかについては明らかにさ
れていない。
【0005】Fas抗原バリアントは、Fasリガンド
を介するアポトーシスを制御していると考えられるた
め、それを使用して、人為的に生体内で生じるアポトー
シスを調節し、疾患の治療や、診断に使用することがさ
らに容易になる。たとえば、ある種の自己免疫疾患にお
いては、人為的にFas抗原バリアントを用いてアポト
ーシスを抑制することにより、自己抗原反応性のT細胞
攻撃による急激な細胞死を抑制し、臓器の破壊を防ぐこ
とが可能になるであろう。ウイルス感染時には免疫反応
により細胞が除去されるが、この際には感染細胞ばかり
でなく非感染細胞も同時に除去されてしまうことが知ら
れている。Fas抗原バリアントを使用すれば非感染正
常細胞の死を抑制することができるため、ウイルス感染
による合併症の治療に使用することができる。
【0006】一方、Fas抗原バリアントをコードする
塩基配列は、Fas抗原よりも短いため、クローニング
・増幅ともに容易であり、また、分子量が小さいため分
泌発現が容易であることから、高純度のFas抗原バリ
アントを工業的に大量生産することが可能になる。これ
によって、Fas抗原バリアントを治療薬の主成分とし
て医薬の分野に提供したり、診断薬として使用するため
の抗体の作製に利用することが可能になる。また、Fa
s抗原バリアントをコードする塩基配列を遺伝子治療に
使用したり、トランスジェニックマウスあるいはノック
アウトマウスを作製し、アポトーシスが関与する疾患の
新たな動物モデルを作製することもできる。さらに、F
as抗原バリアントをコードする塩基配列を利用してア
ンチセンス医薬品を製造することができる。
【0007】ヒトFas抗原バリアントはヒトFas抗
原の機能あるいは生理学的な意義の解明においても有用
であると考えられる。そして、Fas抗原バリアントの
生成機構を解明することによってFas抗原の発現と様
々な疾患との関係をより明らかにすることができ、医療
をはじめ、多くの分野において有効に応用できるように
なると考えられる。
【0008】
【問題を解決するための手段】本発明の目的は、ヒトF
as抗原バリアントおよびFas抗原バリアントをコー
ドする塩基配列を単離し、提供することにある。また、
本発明は、Fas抗原バリアントをコードする塩基配列
を組込んだDNA分子によって形質転換された形質転換
体を作製し、ヒトFas抗原バリアントを製造する方法
を提供することをも目的とする。
【0009】本発明者らは、Fas抗原バリアントを単
離すべく、鋭意研究を重ね、正常ヒト肝の全mRNAよ
りFas抗原バリアントをコードするcDNAを単離
し、その生成機構を解明し、本発明を完成したものであ
る。
【0010】すなわち、本発明の第1の態様は、ヒトF
as抗原バリアントまたはそれと実質的に同一の機能を
有するポリペプチドをコードする下記式2(配列表の配
列番号2)の配列を含む新規DNAである。 式2 AGATTATCGT CCAAAAGTGT TAATGCCCAA GTGACTGACA TCAACTCCAA GGGATTGGAA 60 TTGAGGAAGA CTGTTACTAC AGTTGAGACT CAGAACTTGG AAGGCCTGCA TCATGATGGC 120 CAATTCTGCC ATAAGCCCTG TCCTCCAGGC AGG 153
【0011】本発明の第2の態様は、下記式1(配列表
の配列番号1)のヒトFas抗原バリアントまたはそれ
と実質的に同一の機能を有する新規ポリペプチドであ
る。 式1 Arg Leu Ser Ser Lys Ser Val Asn Ala Gln Val Thr Asp Ile Asn 5 10 15 Ser Lys Gly Leu Glu Leu Arg Lys Thr Val Thr Thr Val Glu Thr 20 25 30 Gln Asn Leu Glu Gly Leu His His Asp Gly Gln Phe Cys His Lys 35 40 45 Pro Cys Pro Pro Gly Arg 50 51
【0012】本発明の第3の態様は、本発明第1の態様
のDNAを含む組換えDNA分子である。
【0013】本発明の第4の態様は、本発明の第3の態
様の組換えDNA分子で形質転換された形質転換体であ
る。
【0014】本発明の第5の態様は、本発明の第4の態
様の形質転換体を用いる本発明の第1の態様のDNAで
コードされる新規ポリペプチドの製造方法である。
【0015】本発明の第6の態様は、本発明の第2の態
様のポリペプチドを認識する新規抗体である。
【0016】以下に詳細に本発明を説明する。ヒトFa
s抗原バリアントは、ヒトFas抗原と染色体遺伝子を
共有し、アルタネイティブスプライシングにより異なっ
たメカニズムによって生産される天然に存在する既知の
膜結合型Fas抗原とは異なるポリペプチドである。本
発明第1の態様の新規DNAは、Fas抗原バリアント
またはそれと実質的に同一の機能を有するポリペプチド
をコードする塩基配列を有することを特徴とする。本明
細書のDNA及び組換えDNA分子の説明において「塩
基配列を有するDNA」とは、あるDNAがその塩基配
列からなるDNAであってもよく、また、その塩基配列
の5’末端あるいは3’末端のいずれか一方、もしくは
その両方に1つ以上の任意の塩基が付加された配列から
なるものであってもよいことを意味する。
【0017】本発明の新規DNAは、好ましくは、式1
(配列表の配列番号1)または式3(配列表の配列番号
3)のアミノ酸配列をコードする塩基配列の少なくとも
一部を有するものである。一般に、アミノ酸をコードす
るDNAのトリプレット(コドン)は、アミノ酸の種類
によって1種類から6種類まで存在することが知られて
いるので、式1または式3に記載のアミノ酸配列をコー
ドするDNAの塩基配列は1種類には限定されない。従
って、式1(配列表の配列番号1)または式3(配列表
の配列番号3)のアミノ酸配列の少なくとも一部をコー
ドする塩基配列を有するDNAである限り、いかなる塩
基配列からなるものであっても、本発明の範囲内に含ま
れる。本発明の新規DNAは、より好ましくは、式1に
記載のアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列(配
列表の配列番号2)または式3に記載のアミノ酸配列を
コードするDNAの塩基配列(配列表の配列番号4)の
少なくとも一部を有するDNAであることが好ましい。
【0018】本発明のDNAは、特に好ましくは、式2
(配列表の配列番号2)または式4(配列表の配列番号
4)の塩基配列の全体を有するものである。式2(配列
表の配列番号2)の塩基配列の全体を有するDNAを適
当なシグナル配列の下流に接続した組換えDNA分子を
作製し、これを用いて宿主を形質転換させると、ここで
得られた形質転換体の培養時にはその培養上清中に式1
に記載のアミノ酸配列を有するタンパクを分泌させるこ
とができる。式4(配列表の配列番号4)の塩基配列は
式2の塩基配列の5’末端にシグナル配列が接続した配
列である。また、配列表の配列番号3には、配列番号4
の塩基配列に対応するFasバリアントのアミノ酸配列
を示す。 式3 Met Leu Gly Ile Trp Thr Leu Leu Pro Leu Val Leu Thr Ser Val -15 -10 -5 Ala Arg Leu Ser Ser Lys Ser Val Asn Ala Gln Val Thr Asp Ile -1 1 5 10 Asn Ser Lys Gly Leu Glu Leu Arg Lys Thr Val Thr Thr Val Glu 15 20 25 Thr Gln Asn Leu Glu Gly Leu His His Asp Gly Gln Phe Cys His 30 35 40 Lys Pro Cys Pro Pro Gly Arg 45 50 51
【0019】 式4 ATGCTGGGCA TCTGGACCCT CCTACCTCTG GTTCTTACGT CTGTTGCTAG ATTATCGTCC 60 AAAAGTGTTA ATGCCCAAGT GACTGACATC AACTCCAAGG GATTGGAATT GAGGAAGACT 120 GTTACTACAG TTGAGACTCA GAACTTGGAA GGCCTGCATC ATGATGGCCA ATTCTGCCAT 180 AAGCCCTGTC CTCCAGGCAG G 201 本発明のDNAはcDNAであっても染色体DNAであ
ってもよい。しかし、遺伝子工学的な取扱の容易さか
ら、本発明のDNAはcDNAであることが好ましい。
Fas抗原等の細胞表面タンパクは、これらを発現して
いる細胞あるいは組織よりライセートを調製し精製する
ことが多いが、タンパクの精製効率は、夾雑タンパクの
量に左右されるために、上述のような細胞や組織のライ
セートから精製する場合と、培養上清から精製する場合
とを比較すると、後者の方が効率的である。従って、本
発明第1の態様の新規DNAを使用すれば、Fasバリ
アント蛋白質を分泌発現することが可能となり、Fas
抗原バリアントを安価で大量に生産し、かつ高純度のも
のを得ることが可能となり、本発明の第2の態様の新規
ポリペプチドを生産する点に於いて非常に有用である。
【0020】本発明の第1の態様のDNAは、いかなる
方法で得られた物であってもよい。すなわち、式1を参
考にして化学合成されたものであってもよく、適当なD
NAライブラリーからクローニングされたものであって
もよい。本発明のDNAは、以下のようにして化学合成
をすることができる。具体的には、本発明のDNAを約
20塩基からなる断片に分けて、DNA化学合成機(例
えば、394型、アプライドバイオシステムズ社製)を
用いて、複数の断片として合成し、その後、必要に応じ
て各断片の5’末端をリン酸化して各断片をアニーリン
グし、ライゲーションして目的のDNAを得る。また、
本発明のDNAを適当なDNAライブラリーから得る場
合には、以下のように行う。適当なゲノムDNAやcD
NAライブラリーを、ハイブリダイゼーションによるス
クリーニングや抗体を用いたイムノスクリーニングによ
ってスクリーニングし、目的のDNAを有するクローン
を増殖させて、ここから制限酵素等を用いて切り出せば
よい。
【0021】ハイブリダイゼーションによるスクリーニ
ングは、式2または式4の塩基配列またはその一部を有
するDNAを[32P]等の放射性同位元素を用いてラベ
ルしてプローブとし、任意のcDNAライブラリーに対
して公知の方法(例えば、マニアティス T.(Maniati
s T.) 等:Molecular Cloning; a Laboratory Manual,
Cold Spring Harbor Laboratory, ニューヨーク(New
York), 1982年, 参照)によって行うことができる。イ
ムノスクリーニングに用いる抗体は、後述する本発明第
6の態様の新規抗体を使用することができる。本発明の
DNAはまた、ゲノムライブラリーもしくはcDNAラ
イブラリーを鋳型とするPCR(Polymerase Chain Reac
tion) 法によっても得ることができる。PCR法を用い
る場合、式2(配列表の配列番号2)の塩基配列をもと
に、センスプライマー及びアンチセンスプライマーを作
製し、任意のDNAライブラリーに対して公知の方法
(ミカエル A.I(Michael A.I.)等編、Polymerase Cha
inReaction, PCR Protocols, a guide to methods and
applications(1990年) 、アカデミック出版(Academic
Press)、参照)を行うことによって得ることができ
る。
【0022】本発明によれば、本発明の新規DNAに対
応するRNA、あるいは本発明の新規DNAと相補的な
配列を有するDNA及びRNAも提供される。本発明の
新規DNAとそれに相補的なDNA、及びRNAとは、
互いに相補的に結合して2本鎖、あるいは3本鎖を形成
していても良い。本発明の新規DNAはまた、[32P]
等の放射性同位体、ホースラディッシュペルオキシダー
ゼ(HRPO)等の酵素、化学発光物質あるいは蛍光物
質等で標識されていてもよい。
【0023】本発明の新規DNAは、本発明の第2の態
様の新規ポリペプチドを大量に生産するために使用する
ことができる。本発明の新規DNAを用いて本発明の第
2の態様の新規ポリペプチドを産生する方法は、本発明
第5の態様で説明する。本発明の新規DNAを上述のよ
うに標識して、組織における本発明の第2の態様の新規
ポリペプチドの発現状況を検査するために使用すること
ができる。本発明の新規DNAを使用して細胞における
本発明の新規ポリペプチドの発現量を確認することによ
り、本発明のポリペプチドの製造に適した細胞や細胞の
培養条件を決定することができる。さらに、本発明の新
規DNAをベクターに連結し生体細胞に直接導入して、
自己免疫疾患、肝炎、腎炎等の患者の治療を行うことも
できる。また、本発明の新規DNAの有する塩基配列を
もとにアンチセンス医薬品を開発することもできる。
【0024】次に、本発明の第2の態様の新規ポリペプ
チドについて説明する。本発明の新規ポリペプチドの説
明において、「アミノ酸配列を有する新規ポリペプチ
ド」とは、以下のことを意味する;第1は、その新規ポ
リペプチドがそのアミノ酸配列で規定されるものであっ
てもよいという意味であり、第2は、そのアミノ酸配列
に加えてそのアミノ酸配列のN末端あるいはC末端のい
ずれか一方、もしくは両方に任意の1つ以上のアミノ酸
が付加してなるものであってもよいという意味である。
また「アミノ酸配列の少なくとも一部を有する新規ポリ
ペプチド」とは、そのアミノ酸全体を有する新規ポリペ
プチド、およびそのアミノ酸配列に含まれる任意の長さ
からなる任意の一部分の配列を有する新規ポリペプチド
を意味する。
【0025】本発明の第2の態様の新規ポリペプチド
は、ヒトFas抗原バリアントまたはそれと実質的に同
一の機能を有することを特徴とし、この特徴を有するも
のである限り、そのアミノ酸配列は特に限定されない。
しかしながら、本発明の新規ポリペプチドは、式1のア
ミノ酸配列の少なくとも一部を有することが好ましい。
より好ましくは、式1のアミノ酸配列全体を有するもの
である。上述したように、Fas抗原等の細胞表面タン
パクの精製効率は、夾雑タンパクの量に左右されるため
に、細胞や組織のライセートから精製する場合と、培養
上清から精製する場合とを比較すると、後者の方が効率
的である。本発明第2の態様の新規ポリペプチドは、当
該ポリペプチドを生産する細胞の培養上清から回収する
ことができ、生産上の有用性が高い。
【0026】一般に、ポリペプチドは、種の相違あるい
は個体の相違によって、そのポリペプチドが本来有する
機能を基本的に有したまま、進化の過程において生じた
変異によりアミノ酸配列が異なっている。ここでいうア
ミノ酸配列の変異とは、1)ポリペプチド中のアミノ酸
配列中の1つ以上のアミノ酸残基の欠失、2)他のアミ
ノ酸残基への置換、3)上記のアミノ酸配列中の任意の
位置に1つ以上のアミノ酸の挿入あるいは付加をいう。
このような変異は、遺伝子工学的な技術を用いて人工的
に生じさせることも可能である。また、疎水性アミノ酸
残基を他の疎水性アミノ酸残基の置換すること、陽性電
荷を持つアミノ酸を他の陽性電荷を持つアミノ酸へ置換
すること、GluとAspあるいはLysとHisとA
rgとの間の相互置換、または、Ile、Val、Me
t、Leuからなる群間、Gly、Alaからなる群
間、Trp、Tyr、Pheからなる群間での置換は十
分推定できる。このため、上述のような変異の生じたア
ミノ酸配列を有するものであっても、ヒトFasバリア
ントと実質的に同一の機能を有する限り、本発明の新規
ポリペプチドに含まれる。
【0027】本発明第2の態様の新規ポリペプチドは、
糖鎖を有していても有していなくてもよく、また、いか
なる修飾を受けていてもよい。さらに、ポリペプチドの
精製過程において受ける変性等によりポリペプチドの分
子量が異なる場合もある。従って、本発明のポリペプチ
ドは、式1のアミノ酸配列を有する限り、その分子量は
特に限定されない。
【0028】本発明の新規ポリペプチドは、いかなる生
産方法によって生産されたものであってもよい。すなわ
ち、ペプチド合成機(例えば、ペプチドシンセサイザー
430型、アプライドバイオシステムズ社製)を用いて
化学合成して得たものであってもよく、また、ヒトの組
織、細胞あるいは体液から精製して得たものであっても
よい。ヒトの体液としては、血液や尿を挙げることがで
き;細胞としては、胸腺細胞、リンパ球系の細胞、脾、
肝、腎及びそれらの培養株化細胞等の本発明の新規ポリ
ペプチドを産生する細胞を適宜選択して使用すればよ
い。これらの細胞の使用に当たっては、ノーザンブロッ
トや逆転写PCR(combined reverse transcription-p
olymerase chain reaction)等を行って本発明の新規ポ
リペプチドをコードするmRNAの発現量の多いものを
選択して使用する。PMA(ホルボールミリステートア
セテート)、イオノマイシン、PHA(フィトヘムアグ
ルチニン)、ConA(コンカナバリンA)、IL−2
(インターロイキン−2)等の刺激剤を適宜使用してポ
リペプチドの発現誘導を行ってもよい。当該ポリペプチ
ドを含む培養上清や体液からの精製は、濃縮、各種のク
ロマトグラフィー、塩析等、一般的にポリペプチドの精
製に用いられている手法を適宜組み合わせて行う。精製
の際の指標には、分子量、抗体を用いたイムノアッセ
イ、セルソータ解析及びアポトーシスの阻害活性等を用
いる。
【0029】しかしながら、本発明の新規ポリペプチド
は、ヒト由来の他の夾雑タンパクを含まないこと、生産
量あるいは生産されたタンパクの均一性の面から遺伝子
工学的に生産されたものであることが好ましい。本発明
の新規ポリペプチドを遺伝子工学的に産生させる方法と
しては、上述した本発明の第1の態様の新規DNA、も
しくは第3の態様の組換えDNA分子を用いて適当な宿
主を形質転換し、得られた形質転換体を培養して培養混
合物を回収し、その後精製を行う。また、本発明の第1
の態様の新規DNAや組換えDNA分子を使用して、無
細胞系で合成する方法(サムブルック J.(Sambrook
J.) 等: Molecular Cloning 2nd ed.,Cold Spring Harb
or Laboratory, ニューヨーク(New York), 1989年,
参照)によって得てもよい。遺伝子工学的に本発明の新
規ポリペプチドを製造する好ましい方法は、後述する本
発明の第5の態様で説明する。
【0030】近年の技術開発により、ポリペプチドを様
々に修飾することが可能となった。例えば、ポリエチレ
ングリコール、スチレン−マレイン酸コポリマー、デキ
ストラン、ピランコポリマー、ポリリジン等の高分子、
多糖類やタンパクなどの天然高分子、ホルモン等の生理
活性分子、マグネタイト等の無機物質等に結合させるこ
とができるようになった(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A, 84巻, 1487-1491頁(1981年); Biochemistry, 28
巻, 6619-6624 頁(1989年))。ポリペプチドにポリエ
チレングリコールを結合させる方法の一例を以下に簡単
に説明する。まず、ポリペプチドが失活しない範囲の塩
基性pHの緩衝液にポリペプチドを溶解する。この溶液
に、メトキシポリエチレングリコールスクシンイミジル
サクシネートのような活性化ポリエチレングリコールを
混合し、室温で一定時間反応させ、ポリペプチドにポリ
エチレングリコールを結合させる。その後、ゲル濾過等
によって活性を有する画分を分取する。本発明の新規ポ
リペプチドも上述のような公知の方法の組み合わせによ
って上述のような修飾が可能である。従って、本発明の
新規ポリペプチドには、本発明第2の態様のポリペプチ
ドの特徴を完全には失わない限り、このような修飾を受
けたものあるいは他のポリペプチドとの融合体等も含ま
れる。
【0031】本発明の新規ポリペプチドは、Fasバリ
アントを発現するように形質転換された組換え体の培養
上清やライセートから得られ、安定した生産量が期待で
きるため、医薬組成物の有効成分として特に有用と考え
られる。また、本発明の新規ポリペプチドは、配列番号
1のアミノ酸配列の一部を含むことを特徴とする。本発
明第2の態様のポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸
配列中の一部分であればよく、大きさも特に限定されな
い。前述のように、本発明の新規ポリペプチドは、アポ
トーシスの制御において重要な機能を果たしていると考
えられる。そして、一般的なポリペプチドの性質から見
て、本発明の新規ポリペプチドの一部であっても同一の
機能を保持する場合がある。従って、配列表の配列番号
1のアミノ酸配列の一部を含むポリペプチドは、それ自
体を医薬品の有効成分として使用することができる。
【0032】本発明の新規ポリペプチドは、Fas抗原
の細胞外領域と相同性を有しているためにFasリガン
ドとFas抗原との結合を拮抗的に阻害してアポトーシ
スの誘導を阻害し得る。従って、例えば、肝炎等の重篤
な感染症時の際に肝細胞のアポトーシスの誘導を妨げ、
主要臓器・組織における細胞の急激な減少を防ぐことに
よってこれらの組織・臓器の機能の低下を防止すること
ができる。加えて腎炎、多臓器不全、移植の際の臓器保
全にも有効である。また、本発明の新規ポリペプチド
は、本発明の新規ポリペプチドを認識する抗体を得るた
めの抗原として有用である。このような抗体は、本発明
の新規ポリペプチドを精製する際のアフィニティークロ
マトグラフィー用カラムの作製に使用することができ
る。
【0033】次に、本発明の第3の態様の組換えDNA
分子について説明する。本発明の第3の態様の組換えD
NA分子は、上述した本発明の第2の態様の新規DNA
を含むことを特徴とする。本発明の新規組換えDNA分
子は、環状、直鎖状等、いかなる形態のものであっても
よく、また、いかなる用途に使用されるものであっても
よい。例えば、本発明の第1の態様の新規ポリペプチド
を産生させる際に用いるものであってもよいし、本発明
第2の態様の新規DNAを増幅させ量産するために用い
るものであってもよい。本発明の新規DNA分子に含ま
れる本発明の新規DNAは、その塩基配列の5’末端、
あるいは3’末端のいずれか一方、もしくはその両方に
任意の1つ以上の塩基が付加されたものであってもよ
い。ここで付加される塩基は、本発明の新規DNAに、
コーディングフレームのずれを生じさせない限りいかな
るものであってもよく、例えば、リンカー配列、シグナ
ル配列をコードする塩基配列、β−ガラクトシダーゼ等
の他のポリペプチドをコードする塩基配列、もしくはD
NAプローブ等を作製する際にその検出感度の増加を目
的として付加される配列等を挙げることができる。
【0034】本発明の組換えDNA分子は、本発明の第
1の態様の新規DNAに加えて、必要により他の塩基配
列を有していてもよい。ここでいう「他の塩基配列」と
は、エンハンサーの配列、プロモーターの配列、リボゾ
ーム結合配列、DNAのコピー数の増幅を目的として使
用される塩基配列、シグナルペプチドをコードする塩基
配列、他のポリペプチドをコードする塩基配列、ポリA
付加配列、複製開始点、選択マーカーとなる遺伝子等を
いう。どのような塩基配列が必要となるかは、作製する
組換えDNA分子の使用目的によって定まるが、少なく
とも、本発明の第1の態様の新規DNAに加えて複製開
始点と選択マーカーを有していることが好ましい。マー
カー遺伝子としては、アンピシリン耐性遺伝子、カナマ
イシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、チミジン
キナーゼ遺伝子等を挙げることができる。コピー数の増
幅を目的として使用される配列としては、デヒドロ葉酸
レダクターゼ遺伝子(以下、dhfrと表す)の配列等を使
用することができる。
【0035】本発明の組換えDNA分子の好ましい例
は、本発明の第2の態様の新規ポリペプチドを発現する
ように大腸菌を形質転換させ得るものである。従って、
本発明の組換えDNA分子は、少なくとも、大腸菌の複
製開始点、マーカー配列に加えて大腸菌内部で機能する
プロモーター配列を有していることが好ましく、さらに
シグナルペプチドをコードする配列を有していることが
好ましい。大腸菌で機能する好適なプロモーター配列と
しては、trpプロモーター、lacプロモーター等で
あり、大腸菌で機能するシグナルペプチドとしては、大
腸菌のアルカリフォスファターゼのシグナルペプチドが
好適である。
【0036】また、本発明の組換えDNA分子は、本発
明の第2の態様の新規ポリペプチドを発現するように動
物細胞あるいは酵母等の真核細胞を形質転換させるもの
であってもよい。この場合には、本発明の組換えDNA
分子は、少なくとも、マーカー遺伝子に加えてポリA付
加配列を有していることが好ましい。これらの配列に加
えて、さらに動物細胞で機能するSV40のプロモータ
ー、ヒト伸長因子(Elongation Factor 1α(EF 1
α))のプロモーター、SRαプロモーターを有するも
の、酵母で機能するアルコールオキシダーゼ1(AOX
1)のプロモーターを有するもの、SV40の複製開始
点及びプロモータを有するもの等も本発明の組換えDN
A分子の好適な例として挙げられる。
【0037】本発明の第3の態様の組換えDNA分子
は、本発明の第1の態様の新規DNAを任意の塩基配列
を有する他のDNA断片とライゲーションする方法、ま
たは任意のベクターに導入する方法(サムブルック
J.(Sambrook J. )等: Molecular Cloning, a Labor
atory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laborator
y,ニューヨーク(New York), 1989年, 参照)等で得るこ
とができる。宿主細胞が有する適当なプロモーターの下
流に、本発明の第1の態様のDNAが組み込まれれば、
宿主細胞は、本発明第2の態様の新規ポリペプチドを生
産するようになる。このような形質転換体は、本発明第
2の態様の新規ポリペプチドを生産するために使用する
ことができる。具体的には、DNAとベクターとをそれ
ぞれ適当な制限酵素で消化して、得られた各断片をDN
Aリガーゼを用いてライゲーションさせればよい。ベク
ターとしては、プラスミドベクター、ファージベクタ
ー、ウイルスベクター等いかなるものでもよく、市販品
を利用してもよい。ベクターの代表的なものとしては、
pUC118、pBR322、pSV2−dhfr、p
BluescriptII、PHIL−S1、λZap
II、λgt10、pAc700、YRP17、pEF
−BOS、pEFN−II等が挙げられる。
【0038】次に、本発明の第4の態様の形質転換体に
ついて説明する。本発明の形質転換体は、本発明の第3
の態様の組み換えDNA分子で形質転換されたことを特
徴とする。すなわち、本発明の形質転換体は、本発明の
第3の態様の組換えDNA分子を、宿主となる細胞や微
生物に導入する事によって得ることができる。宿主細胞
に組換えDNA分子を導入する方法としては、エレクト
ロポレーション法、プロトプラスト法、アルカリ金属
法、リン酸カルシウムゲル法、DEAEデキストラン
法、マイクロインジェクション法、ウイルス粒子を用い
てインフェクションさせる方法、その他の公知方法(実
験医学臨時増刊、遺伝子工学ハンドブック1991年3 月20
日発行、羊土社、参照)を挙げることができ、いずれの
方法を用いて導入してもよい。
【0039】本発明の形質転換体は、本発明の第1の態
様の新規DNAを大量に得ることを目的として使用する
ことができる。また、上述のように、本発明の第1の態
様の新規DNAを適当なプロモーターの制御下に連結
し、宿主細胞を組換えて得た形質転換体は、本発明の第
2の態様の新規ポリペプチドを産生するようになる。ま
た、本発明の組換えDNA分子の機能を充分に発揮させ
るためには、本発明の組換えDNA分子の作成に使用す
るベクターは、宿主細胞に適した種類のものでなければ
ならない。組換えDNA分子に使用したベクターと宿主
との好ましい組合わせの例としては、pUC118と大
腸菌、pEF−BOSとCOS細胞あるいはCHO細
胞、Yacと酵母、AcNPVとSf細胞等(実験医学
臨時増刊、遺伝子工学ハンドブック1991年3 月20日発
行、羊土社、参照)を挙げることができる。同様に、組
換えDNA分子に含まれるプロモーター、シグナルペプ
チドをコードする塩基配列、マーカー遺伝子等も宿主に
適したものを使用する。本発明の形質転換体は、原核細
胞、真核細胞等いかなる細胞を形質転換したものであっ
てもよいが、CHO細胞等の動物細胞;大腸菌、酵母等
を形質転換したものが例示される。これらの中でも、外
来タンパクの発現量の多い大腸菌や酵母が好ましく、修
飾が起こらない点で特に大腸菌が好ましい。
【0040】本発明の第4の態様の形質転換体は、本発
明の第3の態様の組換えDNA分子を大量に製造する目
的や、本発明の第2の態様の新規ポリペプチドを製造す
る目的等に使用できる。本発明の形質転換体はいかなる
目的で使用するものであってもよいが、本発明の新規ポ
リペプチドを産生するものが好ましく、本発明の新規ポ
リペプチドを培養液中に分泌するものであることがさら
に好ましい。
【0041】本発明の第5の態様の製造方法は、本発明
の第4の態様の形質転換体を使用することを特徴とする
本発明の第2の態様の新規ポリペプチドの製造方法であ
る。形質転換体の作製方法については上述した通りであ
る。本発明の製造方法においては、本発明の第4の態様
の形質転換体を培養し、必要に応じて遺伝子の発現誘導
や増幅を行う。次いで混合培養物を回収し、濃縮、可溶
化、透析、各種のクロマトグラフィー等の操作を適宜組
み合わせて、本発明の新規ポリペプチドの精製を行う。
形質転換体の培養は、各種の成書を参考にして、一般的
な手法で行うことができる(例えば、「微生物実験法」
社団法人日本生化学会編、株式会社東京化学同人発行、
1992年、参照)。遺伝子の発現誘導を行う場合には、組
み込まれたプロモーターによって適当な薬剤を選択して
使用する。例えば、trpプロモーターが組み込まれて
いる場合には3β−インドールアクリル酸を用い、MM
TVプロモーターの場合にはデキサメタゾンを、またA
OX1プロモーターの場合にはメタノールをそれぞれ使
用するとよい。遺伝子の増幅を行う場合の代表的な例と
しては、dhfr欠損CHO細胞を宿主とし、dhfr
を有するベクターを使用した際にメトトレキセートを使
用する場合等が挙げられる。
【0042】本発明の第5の態様において、「培養混合
物」とは、培養上清または細胞のライセートをいい、産
生された上記の新規ポリペプチドが細胞培養上清中に分
泌される場合は、培養上清から上記ポリペプチドを精製
できる。本発明の形質転換体は本発明の新規ポリペプチ
ドを分泌するものが好ましいが、分泌しない場合もしく
はその量が少ない場合には、リゾチーム、界面活性剤、
凍結融解、加圧等の方法から宿主細胞に適したものを適
宜選択して細胞を破砕した後、遠心分離、濾過等の方法
により上記ポリペプチドを抽出し、精製する。宿主細胞
が大腸菌であって、上記新規ポリペプチドがペリプラズ
ムに蓄積される場合には、ウィルスキー(Willsky )等
の方法(J. Bacteriol., 127巻, 595-609 頁、1976年)
を採用して上記ポリペプチドを回収することができる。
【0043】上述の培養混合物から本発明の第2の態様
の新規ポリペプチドを精製する方法としては、通常ポリ
ペプチドの精製に使用されている方法のなかから適当な
方法を適宜選択して行う。具体的には、塩析法、限外濾
過法、等電点沈澱法、ゲル濾過法、電気泳動法、イオン
交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーや
抗体クロマトグラフィー等の各種アフィニティクロマト
グラフィー、クロマトフォーカシング法、吸着クロマト
グラフィーおよび逆相クロマトグラフィー等、通常使用
される方法の中から適切な方法を適宜選択し組み合わ
せ、必要によりHPLCシステム等を用いて精製を行え
ば良い。なお、大腸菌を使用して、本発明の新規ポリペ
プチドを、インクルージョンボディーとして産生させた
場合には、精製の際に適当なステップにおいて、可溶
化、デネイチャー、リフォールディングの操作を行う
(トマス E. 及びクライトンJ.(Thomas E. and Creight
on J.): Molecular Biology, 87巻, 563-577 頁、1974
年)。
【0044】次に、本発明の第6の態様の新規抗体につ
いて説明する。本発明の第6の態様の新規抗体は、本発
明の第2の態様の新規ポリペプチドと結合することを特
徴とし、この特徴を有する限り、モノクローナル抗体で
あっても、ポリクローナル抗体であってもよい。抗体、
すなわち、免疫グロブリンの構造は、H鎖とL鎖とから
なり、物理化学的性質や免疫学的性質は、5つのクラス
(IgG, IgA, IgM, IgD, IgE )に分けられ、このうち、
IgG、IgAはさらにH鎖のタイプによって、サブク
ラスに分けられる。本発明の新規抗体は、これらのいず
れのクラス、サブクラスのいずれに属するものであって
もよい。さらに、免疫グロブリンは例えばペプシンで分
解すると、F(ab’)2 とFc’に、また、パパイン
で分解するとFabとFcの2つのフラグメントに分か
れる。本発明の新規抗体は、抗原と結合するものであれ
ば、完全な抗体分子でもあってもよく、上述のような一
部のフラグメントであってもよい。また、本発明の新規
抗体はキメラ抗体であってもよい。
【0045】本発明の新規抗体は、それがポリクローナ
ル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよ
く、公知の方法を参考にして得ることができる(例え
ば、免疫実験操作法、日本免疫学会編、日本免疫学会発
行、参照)。以下に簡単に、その方法を説明する。本発
明の新規抗体を得るには、まず、動物に免疫抗原として
本発明の第2の態様の新規ポリペプチドを接種する。接
種は、必要に応じてフロイントの完全アジュバント(F
CA)や不完全アジュバント(FIA)等の適切なアジ
ュバントとともに行ってもよい。また、必要があれば2
〜4週間の間隔で追加免疫する。追加免疫後に採血を行
い、抗血清を得る。抗原として用いる本発明の新規ポリ
ペプチドは、抗体の精製用に使用しうる精製度のもので
ある限り、いかなる方法で得られたものであってもよ
い。また、免疫抗原として本発明のポリペプチドの一部
の10〜20アミノ酸からなるペプチドを合成し、この
ペプチドをキーホールリンペットヘモシアニン(KL
H)等のキャリアと結合させて使用し、本発明のポリペ
プチドと結合する抗体を選別してもよい。本発明の新規
ポリペプチドで免疫する動物は、いかなる種であっても
良いが、通常、免疫学的な実験に使用されるラット、マ
ウス、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ニワトリ、ヤギ、ブタ、
ウシ等の中から目的の抗体を産生しうる動物種を選択し
て使用することが好ましい。
【0046】ポリクローナル抗体は、上述の様にして得
られた抗血清を精製して得ることができる。抗血清を、
塩析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティク
ロマトグラフィー等の公知の方法を適宜組み合わせて精
製し、ポリクローナル抗体を得ることができる。モノク
ローナル抗体は、以下のようにしてを得ることができ
る。すなわち、免疫した動物から脾細胞またはリンパ球
等の抗体産生細胞を採取し、ポリエチレングリコール、
センダイウイルス、電気パルス等を用いる公知方法によ
って、ミエローマ細胞株等と融合し、ハイブリドーマを
作製する。その後、本発明の第2の態様の新規ポリペプ
チドに結合する抗体を産生しているクローンを選択して
培養し、その選択されたクローンの培養上清より、モノ
クローナル抗体を精製する。モノクローナル抗体は、塩
析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロ
マトグラフィー等の公知方法を適宜組み合わせて精製す
る。
【0047】また、遺伝子工学的な方法を用いても本発
明の新規抗体が得られる。具体的には、以下のようにし
て行う。すなわち、本発明第2の態様の新規ポリペプチ
ドで免疫した動物の脾細胞、リンパ球あるいは、本発明
第2の態様の新規ポリペプチドに対するモノクローナル
抗体を産生するハイブリドーマからmRNAを採取し、
これをもとにcDNAライブラリーを作成する。抗原と
反応する抗体を産生しているクローンをスクリーニング
し、得られたクローンを培養し、その培養混合物から目
的とする抗体を上述のような公知の方法を組み合わせ
て、精製することができる。
【0048】本発明の新規抗体は、体液中や組織中に存
在する本発明の新規ポリペプチドを検出するために使用
することができる。また、本発明の新規ポリペプチドを
精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各
分画中の本発明の新規ポリペプチドを検出するために使
用することができる。
【0049】
【実施例】以下に、実施例をもって本発明を一層具体的
に説明するが、これらは一例として示すものであり、本
発明はこれらにより何等限定されるものではない。ま
た、以下の記載において用いる略号は、当該分野におけ
る慣用略号に基づくものである。なお、以下に示す実施
例中の諸操作は、主に下記の雑誌、成書を参考として実
施した。
【0050】1.マニアティス T.(Maniatis T.)
等:Molecular Cloning; a LaboratoryManual, Cold Sp
ring Harbor Laboratory, ニューヨーク(New York),
1982年 2.ミカエル A.I(Michael A.I.)等編、Polymerase C
hain Reaction, PCRProtocols, a guide to methods an
d applications(1990年) 、アカデミック出版(Academi
c Press) 3.サムブルック J.(Sambrook J.) 等: Molecular
Cloning 2nd ed.,ColdSpring Harbor Laboratory, ニ
ューヨーク(New York), 1989年 4.実験医学臨時増刊、遺伝子工学ハンドブック1991年
3 月20日発行、羊土社 5.「微生物実験法」社団法人日本生化学会編、株式会
社東京化学同人発行、1992年 6.トマス E. 及びクライトン J.(Thomas E. and Crei
ghton J.): MolecularBiology, 87巻, 563-577 頁、197
4年 7.免疫実験操作法、日本免疫学会編、日本免疫学会発
【0051】(1)ヒトFas抗原バリアント分子の存
在の確認 正常ヒト肝の全RNAは、部分摘出ヒト肝臓よりグアニ
ジン−イソチオシアナート/酸フェノール法で調製し
た。上述のようにして得た正常ヒト肝の全RNAを用い
て、逆転写PCR法(RT−PCR)により目的とする
DNAの増幅を行った。すなわち、ヒトFas抗原cD
NAの塩基配列(イトウ N.(Itoh N.) 等、 Cell, 6
6 巻,233-243 頁、1991年)をもとに、ヒトFas抗原
cDNAの細胞外領域の一部分を、増幅可能な一対のオ
リゴヌクレオチドプライマー(プライマー1及びプライ
マー2)を設定し、上述の正常ヒト肝の全RNAを用い
て逆転写PCR法により増幅させた。ここで使用するプ
ライマー1は、Nt356−380(5’−TGATG
GCCAATTCTGCCATAAG−3’)であり、
プライマー2はNt426−403(5’−CCATT
GACTGTGCAGTCCCTAG−3’)である
(それぞれ、イトウ N.(Itoh N.) 等 Cell, 66 巻,
233-243 頁、1991年)。
【0052】1)逆転写PCR法(RT−PCR) RT−PCRは下記のように行った。まず、1μgのヒ
ト肝の全RNAと0.2μgのプライマー2を滅菌水中
にて70℃で10分間加温し、その後氷水中で急冷し
た。この溶液に、4種のデオキシリボヌクレオチド三リ
ン酸(deoxyribonucleotide triphosphate(dNTP)、ファ
ルマシア社製)をそれぞれ終濃度500μMになるよう
に加え、20ユニット(unit) のリコンビナントMoMuLV
逆転写酵素(Superscript II、BRL社製)、この酵素
に添付された5×バッファー及び0.1Mのジチオスレ
イトール(DTT )を最終濃度が0.01Mとなるように
加えて、最終容量を15μlとした(RT反応溶液)。
その後、上述の各成分を含むRT反応溶液を45℃で1
時間反応させ、逆転写反応を行った。逆転写反応の終了
後、上記のRT反応溶液のうちの2.5μlを用いてP
CR反応を行った。反応溶液の残りは−80℃で保存
し、後述する操作に使用した。
【0053】PCR反応は、1unitのTaqポリメ
ラーゼ及び5μlのTaqポリメラーゼに添付された1
0×反応液(ベーリンガー マンハイム(Boehringer
Mannheim)社製)、4μlの25nM MgCl2 、5
μlの2mM dNTP、各1μgのプライマー1およ
び2を含む最終容量50μlのPCR反応溶液中で行な
った。50μlのミネラルオイルを上記PCR反応液に
重層し、サーマルサイクラーPC700(アステック社
製)を用いてPCRを行なった。PCRサイクルは、9
5℃で1分間、62℃で1分間そして75℃で30秒を
1サイクルとして、35サイクル行った。最終サイクル
の終了後、反応溶液を75℃で2分間保温し、次いで4
℃まで冷却し、反応を停止させた。重層したミネラルオ
イルを100μlのエーテルで2回抽出して除去し、上
記PCR反応溶液を4%のポリアクリルアミドゲル(3
9:1のアクリルアミドモノマー:ビスアクリルアミ
ド)の電気泳動を行い産物を分離し、0.5μg/ml
濃度のエチジウムブロマイドで染色した。結果を図1に
示す。図1に示したように、71bpの位置に主産物の
バンドが認められたが、このバンドは、既知の膜結合型
Fas抗原由来の産物であると推定された。
【0054】2)RT−PCR産物を用いたクローンの
単離 主産物以外のバンドは、生成量が少ないために明瞭に認
められなかったものもあると考えられたので、主産物よ
り易動度の小さい部分(すなわち分子量の大きい約15
0bp程度までの領域)のポリアクリルアミドゲルを切
り出してエレクトロフォレティックコンセントレータ
モデル750(ISCO社)を使いTBEバッファー中
で1Wで2時間通電して抽出した。抽出液をフェノール
処理、クロロホルム処理した後、エタノール沈殿により
精製し、この部分に含まれているDNA断片を回収し
た。抽出したDNA断片を、制限酵素SmaIで切断し
たプラスミドベクターpUC118にT4 DNAリガ
ーゼを用いてブラントエンドライゲーション法により連
結して組込み、Rb法(サムブルック J.,モレキュ
ラークローニング,1989年、参照)で調製した大腸
菌コンピテントセルN38にトランスフォーメーション
し多数のクローンを得た。これらのクローンについて、
常法に従い、T7 DNAポリメラーゼ(ファルマシア
社製)を用いたジデオキシチェーンターミネイション法
を用いて[32P]dCTP標識により塩基配列の決定を
行った。
【0055】3)クローンの塩基配列の決定 得られたクローンのうち32個について塩基配列決定を
行ったところ、既知のFas−cDNAと全く配列の異
なる16個のリコンビナントクローンが独立に得られ
た。これら16個のクローンのうち、9個のクローンは
プライマー1や2すらも全く有さず、配列もFas−c
DNAと無関係であったため、アーチファクトとして廃
棄した。残りの7クローンは、プライマー1とプライマ
ー2の塩基配列を持ち、同一の塩基配列を持っていた。
その結果を図2に示す。
【0056】図2には、ヒトFas抗原バリアントcD
NAを含むクローンより得られた部分的塩基配列を、既
知のFas抗原と共に示した。図2に示すように、これ
らのクローンの塩基配列は、既知の膜結合型Fas−c
DNAと大部分一致したが、既知の膜結合型Fas−c
DNAの塩基配列のほぼ中央部にある・・・・CCTC
CAGの後にGCAGという4塩基の挿入があり、この
後に引き続いてGTGAAAGG・・・・と既知の配列
が続いていた。このような挿入塩基を有するクローンを
Fas抗原バリアントと命名した。
【0057】4)Fas抗原バリアントのアミノ酸配列 図3及び配列表の配列番号1に示すように、上述のよう
にして得られたFas抗原バリアントのアミノ酸配列に
よれば、既知の膜結合型Fas抗原のアミノ酸配列の5
1番目のGluの替わりにArgが導入されており、こ
の直後に停止コドンTGAが位置していた(配列表の配
列番号1)。従って、既知のFas抗原が膜貫通部位を
有する319アミノ酸よりなる典型的な膜タンパクであ
るのに対し(図9)、上記のFas抗原バリアントは、
シグナル部分を除いてわずか51個のアミノ酸より構成
されていた。また、上記のFas抗原バリアントは、既
知のFas抗原のN−末端側に位置しており、細胞外ド
メインの一部と同じ配列を共有し、C末端側にアルギニ
ン残基を付加した形となった。また、上記のようなFa
s抗原バリアントには、膜を貫通するのに必要な連続し
た疎水性アミノ酸領域は存在せず、分泌可能な天然に存
在する可溶型の分子となっている。
【0058】(2)ヒトゲノム上におけるFas抗原バ
リアント生成のメカニズム ヒトFas抗原のmRNAには、膜結合型の他にそれに
4塩基の挿入されたバリアント型が混在することが上述
の(1)の解析により明らかとなった。この様な4塩基
の挿入がゲノム上で起こるメカニズムとしては、主とし
て次の三つの可能性がある。すなわち、a)スプライス
供与部の選択、b)スプライス受容部の選択、c)わず
か4塩基より構成され選択的に利用される独立したエキ
ソンの存在である。このメカニズムを明らかにするため
に、ヒトゲノムライブラリーをFas抗原−cDNAの
細胞外ドメインをコードする領域をプローブとしてスク
リーニングした。
【0059】1)ヒト染色体DNAライブラリーのスク
リーニング ヒト(胎盤)染色体DNAファージライブラリー(EM
BL3 SP6/T7、クローンテック(Clonte
ch)社)を指示菌(NM538)に感染させ、軟寒天
と混合し、寒天プレートに重層した。37℃にて一晩イ
ンキュベーションし、ファージプラークを形成された。
これを一旦、4℃で約1時間冷却し、その後、ファージ
をニトロセルロースフィルターに転写した。一方、実施
例(1)−1)で得たヒト肝由来cDNAを鋳型とし
て、センスプライマー3(GCTCAACAACCAT
GCTGGGCATCT)およびアンチセンスプライマ
ーF−A703(22)(GATCCTTCCTCTT
TGCACTTGG)配列を作製し、これらを用いてR
T−PCRを行い、細胞外ドメインをコードする約35
0bpのcDNAを増幅させた。ランダムプライマーラ
ベリングキット(日本ジーン社製)を使用して説明書に
従い増幅産物を[32P]標識し、プローブを調製した。
このプローブとニトロセルロースフィルターをハイブリ
ダイズさせた。すなわち、フィルターを50%ホルムア
ミド、5×デンハルト溶液、0.1%SDS、250μ
g/mlの変性サケ精子DNAを含む5×SSC中で、
42℃で6時間プレハイブリダイゼーションした。次
に、50%ホルムアミド、1×デンハルト溶液、0.1
%SDS、100μg/mlの変性サケ精子DNA、1
0%(W/V)デキストラン硫酸を含む5×SSCに上
述のプローブを1.0×106 cpm/mlとなるよう
に添加し、前記フィルターを42℃で18時間ハイブリ
ダイゼーションさせた。0.1%SDSを含む2×SS
Cを用い、室温で2回フィルターを洗浄し、次いで、
0.1%SDSを含む0.3×SSCを用い、37℃で
3回洗浄した。オートラジオグラフィーを行なったとこ
ろ、多数のポジティブクローンが検出された。得られた
ポジティブクローンのうち2つのクローンλhFas1
およびλhFas2から公知の方法(Sambrook J.等、Mo
lecular Cloning: a Laboratory Manual, 2nd ed.Cold
Spring Harbor Laboratory, New York, 1989 年) に従
いファージDNAを調製した。
【0060】2)ゲノムクローンλhFas1の解析 Fas抗原ゲノムDNAクローンλhFas1を制限酵
素Sau3AIで切断し、次いでpUC118をBam
HIで切断してクローニングサイトを形成し、このクロ
ーニングサイトに上記の2つのうちクローンλhFas
1をショットガンサブクローニングした。前記1)で調
製したcDNAをプローブとして上述した方法で陽性ク
ローンを選択し、塩基配列を解析した。結果を図4及び
配列表の配列番号3に示す。図4には、ヒトゲノム内に
おける4つの塩基挿入配列直前部分のエクソン−イント
ロン領域の塩基配列を、エクソンの塩基配列を大文字
で、また、イントロンの塩基配列を小文字でそれぞれ示
した。イントロンの塩基配列の最上流部にはスプライス
供与部コンセンサス配列gtatgt--- が見られた。図4に
示すように、このクローンの塩基配列解析の結果から、
Fas抗原バリアントの4塩基の挿入のあった部位は、
エキソン−イントロン接合部であることが明らかになっ
た。また、このゲノムクローンは挿入配列の部分より上
流域のエキソンを含むものであった。しかしながら、問
題の4塩基配列は、エキソン部分に直接引き続いては出
現しなかった。
【0061】3)ゲノムクローンλhFas2の解析 もうひとつのゲノムクローンλhFas2から同様な手
法により、Sau3AIサブクローンをもとめ塩基配列
を決定した。結果を図5及び配列表の配列番号4に示
す。図5には、ヒトゲノム内における4つの塩基の挿入
配列部分、及びその直前直後の塩基配列を示した。図中
の下線は挿入された塩基配列GCAGを示す。この挿入
された塩基配列の直前には、スプライス受容部コンセン
サスからややはずれた-----tttccttggが存在していた。
図5に示すように、ゲノムクローンλhFas2には、
図4に引き続くエキソン部分が存在し、その直前部分は
GCAGという配列であることが明らかになった。この
配列はバリアントに見られる挿入配列そのものであるた
め、Fas抗原バリアントの生成機構は、スプライス受
容部の選択によると考えられる。
【0062】(3)Fas抗原バリアントをコードする
mRNAのcDNAクローンの分離 ヒトFas抗原のcDNAの塩基配列をもとに、新たに
2種のプライマー、プライマー3(5’−GCTCAA
CAACCATGCTGGGCATCT−3’)とプラ
イマー4(5’−TTCACCTGCCTGGAGGA
CAGGGCTTA−3’)を設定し、実施例(1)−
1)で得たヒト肝cDNAより、(1)と同様にPCR
法を行い増幅させた。結果を図6に示す。
【0063】図6に示すように産物のサイズは約220
bpであり、Fas抗原バリアントの上流域が膜結合型
と同一であると仮定した産物のサイズである216bp
と全く矛盾しなかった。ここで得られた上記のDNA断
片をポリアクリルアミドゲルから切り出して電気泳動的
に溶出した後、実施例(1)−2)に記載のpUC11
8のSmaI消化ベクターとライゲーションし、Rb処
理大腸菌コンピテントセルN38にトランスフォーメー
ションした。得られた多数のクローンをシークエンス
し、その結果を図7及び配列表の配列番号5に示す。プ
ラスミドDNAをpUshFas51と命名し、組換え
大腸菌N38(pUshFas51)を工業技術院生命
工学工業技術研究所に寄託している。(寄託番号FER
M P−14278) 図7には、比較のため文献に示されたFas−cDNA
の同一領域の塩基配列が示してあるが、やはりFas抗
原バリアントにおける4塩基の挿入を除いて両者は完全
に一致した。次いで、図8及び配列表の配列番号3に、
Fas抗原バリアントのmRNAによってコードされる
アミノ酸配列を示す。
【0064】図8に示すように、−16のMetから始
まり−1のAlaまで、及び+1のArgから+50の
Glyまでは既知のFas抗原とFas抗原バリアント
のアミノ酸配列は完全に一致したが、+51以降が相違
した。すなわち、既知のFas抗原では+51よりGl
u−Arg−Lys・・・・・と連続して行くのに対
し、Fas抗原バリアントでは+51はArgであり、
次に停止コドンTGAが位置してポリペチド鎖合成が停
止していた。従ってこの分子は、シグナル配列が切り離
された後に、51アミノ酸よりなる分子量5,430の
分泌型可溶性蛋白質と考えられた。
【0065】(4)本発明の新規DNAを使用した、本
発明の新規ポリペプチドの製造 1)プラスミドpM468の構築 以下の実施例で使用する発現ベクター、プラスミドpM
468を、プラスミドpM463を材料に以下の方法で
作製した。なお、プラスミドpM463は、プラスミド
pBR322の誘導体であり、大腸菌内にて複製する機
能、アンピシリン耐性遺伝子、トリプトファンプロモー
ター、アルカリフォスファターゼ(phoA)のシグナ
ルペプチドおよびヒト膵分泌性トリプシンインヒビター
(以下、PSTIと略す)をコードするDNAを有する
プラスミドとして構築されたプラスミドである(カナモ
リ T.(Kanamori T.)等、Gene, 66巻、295-300 頁、19
88年) 。まず、プラスミドpM463を制限酵素Hin
dIII およびNruIにて二重消化し、得られたDNA
断片混合物を0.7%アガロースゲル電気泳動に供し、
約3.4kbのDNA断片をジエチルアミノエチルセル
ロース紙(以後、DEAEセルロース紙と略す)に吸着
させ、残りのDNA断片と分離した。さらに、DEAE
セルロース紙を高濃度塩溶液(2M NaCl/10m
Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)/1mM EDT
A)にて洗浄し、約3.4kbのDNA断片をDEAE
セルロース紙より回収した。一方、SD配列、大腸菌ア
ルカリフォスファターゼシグナルペプチドをコードする
塩基配列、PSTIのN末端側のアミノ酸配列の一部を
コードする塩基配列から成るリンカーを設計し、それを
6つの断片に分割し、各断片を化学合成機(381A、
アプライドバイオシステムズ社製)にて合成した(図1
0)。
【0066】これら6つの断片のうち、S34、S3
5、S18、S19をATPの存在下、T4ポリヌクレ
オチドキナーゼで5’末端をリン酸化した。続いて、オ
リゴヌクレオチドS33とS34、S35とS18、お
よびS19とS20をそれぞれアニーリングさせた後、
T4 DNAリガーゼ(宝酒造社製)を使用してライゲ
ーションした。ライゲーション後のサンプルを8%ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動に供し、約100bpのD
NA断片(リンカー1)を分離、調製した。次に上記の
約3.4kbのDNA断片とこの約100bpのDNA
断片をライゲーションし、大腸菌HB101株を形質転
換させ、所望のアンピシリン耐性コロニーを分離した。
得られた形質転換体からプラスミドDNAを分離し、プ
ラスミドpM468と命名した。
【0067】2)プラスミドpM1059の構築 得られたプラスミドpM468をさらにHindIII 、
BamHIで二重消化し、0.8%ローメルティングア
ガロースゲル(シーケムGTG(SeakemGTG)、宝酒造社
製)で分離し、目的とするDNA断片を含むゲルを切り
出した。65℃にてアガロースを融解させフェノール処
理しエタノール沈殿により目的のDNA断片を抽出・精
製し、約3.3kbpのDNA断片を調製した。また、
プラスミドpM468を鋳型に、BstEII/Kpn
I、BamHIサイトを有するように設計したアンチセ
ンスプライマーA−Bst−pho(39)(CGCG
GATCCGGTACCTTTTTTGGTAACCG
GGGTAAACAG)とトリプロファンプロモーター
のHindIII サイト上流に位置するセンスプライマー
trpS333(CGCAAGTTCACGTAAAA
AGC)を化学合成し、OPCカラム(アプライドバイ
オシステムズ社製)を用いて精製し、さらに逆相HPL
Cで精製したのち、PCRを行なった。すなわち、上述
のPCR用の鋳型DNAを含む溶液100μl中に上記
のプライマーを添加し、ジーンアンプキット(Gene Amp
TM DNA Amplification Reagent kit with AmpliTaqTM
宝酒造社製)により、94℃1分間、55℃2分間、7
2℃3分間を1サイクルとして、30サイクルのPCR
を行なった。PCR終了後の増幅産物を、2%アガロー
スゲル電気泳動に供したところ、目的とする約120b
pのサイズの単一のバンドが確認された。得られた増幅
産物をHindIII 、BamHIで二重消化し4%ロー
メルティングアガロースゲル(既述)を用いた電気泳動
で分離し約120bpのDNA断片を抽出、精製し調製
した。この断片を上述したプラスミドpM468由来の
約3.3kbpのDNA断片とT4 DNAリガーゼ
(宝酒造社製)を用いてライゲーションし、大腸菌JM
109にトランスフォーメーションすることにより、プ
ラスミドpM1059を得た。
【0068】3)発現プラスミドpM1065の構築 得られたプラスミドpM1059をさらにBstEII、
BamHIで二重消化し、0.8%ローメルディングア
ガロースゲル(既述)で分離し約3.3kbpのDNA
断片を調製した。また、プラスミドpUshFas51
を鋳型に、51アミノ酸をコードするヒトFas抗原バ
リアンドcDNAを組み換えられるように、BstEII
サイトとFas抗原N末端配列を有するセンスプライマ
ーBst−pA−sF(28)(TTGGGTTACC
AAAGCCAGATTATCGTCC)とBamHI
サイトと終止コンドTGAを有するアンチセンスプライ
マーA−varF(30)(CGCGGATCCTCA
TCACCTGCCTGGAGGACA)を化学合成
し、OPC、HPLCにより精製した。上述したように
100μlの反応液、94℃1分間、55℃2分間、7
2℃3分間を1サイクルとして、30サイクルのPCR
を行なった。PCR終了後の増幅産物を2%アガロース
ゲル電気泳動に供したところ、目的とする約200bp
のサイズの単一バンドが確認された。得られた増幅産物
をBstEII、BamHIで二重消化し、2%ローメル
ティングアガロースゲル電気泳動で分離し、約190b
pのDNA断片を調製した。これを上述したプラスミド
pM1059由来の約3.3kbpのDNA断片とライ
ゲーションし、大腸菌DH5にトランスフォーメーショ
ンすることにより発現プラスミドを得、プラスミドDN
Aを調製した。DNAシーケンサー(DNAシーケンサ
ー373A、アプライドバイオシステムズ社製)にて、
このプラスミドDNAのシーケンシングを行い、目的と
する塩基配列を有することを確認し、pM1065と命
名した。
【0069】4)形質転換体の作製および培養 上記発現用プラスミドpM1065を用い、ハナハンの
方法(Hanahan, D. 著、Techniques for Transformatio
n of E. Coli, In: DNA cloning, vol.1, Glover, D.
M.(ed.), 109-136 頁、IRL出版(IRL Press), 1985
年)により大腸菌JE5505株を形質転換し、大腸菌
JE5505(pM1065)を作製した。得られた形
質転換体それぞれを50μg/mlアンピシリン含有L
−ブロース5mlにて終夜培養した。次いで、50μg
/mlのアンピシリンを含む、50倍量のM9CA培地
に、この培養液を植菌し、37℃にて約1時間培養した
後、培地に終濃度10μg/mlの3β−インドールア
クリル酸(和光純薬工業社製)を添加し、さらに16時
間培養した。得られた培養混合物を遠心分離器(CR2
0B3、日立工機社製)を使用して遠心分離し、上清を
回収した。
【0070】5)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動法による新規ペプチドの確認 得られた培養上清をラエムリ(Laemmli )の方法(Laem
mli U. K., Nature, 227巻、680-685 頁、1970年)を参
考にして、以下の方法でSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動(以後SDS−PAGEと略す)に供した。
まず、上記培養上清に等容量のセプラゾールII(第一化
学薬品社製)を加えて、100℃で5分間加熱処理を行
なった。熱処理後のサンプルを15%ゲル(5cm×9
cm、厚さ1mm)にアプライし、15mAにて60分
間、ついで30mAにて35分間の電気泳動を行なっ
た。なお、分子量マーカーとしては、市販のキット(エ
レクトロフォレーシス キャリブレーションキット(Ele
ctrophoresis Calibration Kit) 、ファルマシア社製)
を使用した。泳動終了後、市販の銀染色キット(2D−
銀染色試薬・II「第一」、第一化学薬品社製)にて染色
を行なった。その結果、JE5505の培養上清には認
められないバンドがJE5505(pM1065)の培
養上清において認められた。
【0071】
【発明の効果】本発明により、ヒトFas抗原の細胞外
領域の一部である天然に存在するヒトFas抗原バリア
ントが提供された。本発明のヒトFas抗原バリアント
は、可溶型のポリペプチドであり、分子量が約5,40
0と小さいことから抗原性が低い。また、ヒトFas抗
原との相同性が高いため、このような治療の際に本発明
のヒトFas抗原バリアントを使用することにより、F
asリガントのFas抗原への結合を阻害してアポトー
シスの誘導を調節することが可能となる。従って、本発
明のヒトFas抗原バリアントは肝炎、腎炎、多臓器不
全の治療や移植の際の臓器の保全などに有効である。
【0072】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:51 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列 Arg Leu Ser Ser Lys Ser Val Asn Ala Gln Val Thr Asp Ile Asn 1 5 10 15 Ser Lys Gly Leu Glu Leu Arg Lys Thr Val Thr Thr Val Glu Thr 20 25 30 Gln Asn Leu Glu Gly Leu His His Asp Gly Gln Phe Cys His Lys 35 40 45 Pro Cys Pro Pro Gly Arg 50 51
【0073】配列番号:2 配列の長さ:153 配列の型:cDNA to mRNA 配列 AGATTATCGT CCAAAAGTGT TAATGCCCAA GTGACTGACA TCAACTCCAA GGGATTGGAA 60 TTGAGGAAGA CTGTTACTAC AGTTGAGACT CAGAACTTGG AAGGCCTGCA TCATGATGGC 120 CAATTCTGCC ATAAGCCCTG TCCTCCAGGC AGG 153
【0074】配列番号:3 配列の長さ:67 配列の型:アミノ酸 配列 Met Leu Gly Ile Trp Thr Leu Leu Pro Leu Val Leu Thr Ser Val -15 -10 -5 Ala Arg Leu Ser Ser Lys Ser Val Asn Ala Gln Val Thr Asp Ile -1 1 5 10 Asn Ser Lys Gly Leu Glu Leu Arg Lys Thr Val Thr Thr Val Glu 15 20 25 Thr Gln Asn Leu Glu Gly Leu His His Asp Gly Gln Phe Cys His 30 35 40 Lys Pro Cys Pro Pro Gly Arg 45 50 51
【0075】配列番号:4 配列の数:201 配列の型:cDNA to mRNA 配列 ATGCTGGGCA TCTGGACCCT CCTACCTCTG GTTCTTACGT CTGTTGCTAG ATTATCGTCC 60 AAAAGTGTTA ATGCCCAAGT GACTGACATC AACTCCAAGG GATTGGAATT GAGGAAGACT 120 GTTACTACAG TTGAGACTCA GAACTTGGAA GGCCTGCATC ATGATGGCCA ATTCTGCCAT 180 AAGCCCTGTC CTCCAGGCAG G 201
【0076】配列番号:5 配列の数:216 配列の型:cDNA to mRNA 配列 -15 -10 -5 Met Leu Gly Ile Trp Thr Leu Leu Pro Leu Val Leu GCTCAACAACC ATG CTG GGC ATC TGG ACC CTC CTA CCT CTG GTT CTT 47 -1 1 5 10 Thr Ser Val Ala Arg Leu Ser Ser Lys Ser Val Asn Ala Gln Val ACG TCT GTT GCT AGA TTA TCG TCC AAA AGT GTT AAT GCC CAA GTG 92 15 20 25 Thr Asp Ile Asn Ser Lys Gly Leu Glu Leu Arg Lys Thr Val Thr ACT GAC ATC AAC TCC AAG GGA TTG GAA TTG AGG AAG ACT GTT ACT 137 30 35 40 Thr Val Glu Thr Gln Asn Leu Glu Gly Leu His His Asp Gly Gln ACA GTT GAG ACT CAG AAC TTG GAA GGC CTG CAT CAT GAT GGC CAA 182 45 50 Phe Cys His Lys Pro Cys Pro Pro Gly Arg End TTC TGC CAT AAG CCC TGT CCT CCA GGC AGG TGA A 216
【0077】配列番号:6 配列の数:212 配列の型:cDNA to mRNA 配列 -15 -10 -5 Met Leu Gly Ile Trp Thr Leu Leu Pro Leu Val Leu GCTCAACAACC ATG CTG GGC ATC TGG ACC CTC CTA CCT CTG GTT CTT 47 -1 1 5 10 Thr Ser Val Ala Arg Leu Ser Ser Lys Ser Val Asn Ala Gln Val ACG TCT GTT GCT AGA TTA TCG TCC AAA AGT GTT AAT GCC CAA GTG 92 15 20 25 Thr Asp Ile Asn Ser Lys Gly Leu Glu Leu Arg Lys Thr Val Thr ACT GAC ATC AAC TCC AAG GGA TTG GAA TTG AGG AAG ACT GTT ACT 137 30 35 40 Thr Val Glu Thr Gln Asn Leu Glu Gly Leu His His Asp Gly Gln ACA GTT GAG ACT CAG AAC TTG GAA GGC CTG CAT CAT GAT GGC CAA 182 45 50 Phe Cys His Lys Pro Cys Pro Pro Gly Glu TTC TGC CAT AAG CCC TGT CCT CCA GGT GAA 212
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒト肝RNAのプライマーを用いたRT−P
CRプロファイルを示すゲル電気泳動を示す図面代用写
真である。
【図2】 ヒトFas抗原バリアントcDNAクローン
の部分的塩基配列を示す図である。
【図3】 ヒトFas抗原バリアントの予想アミノ酸配
列を示す図である。
【図4】 ヒトゲノム内における4塩基挿入配列直前直
後のエクソン−インロン領域の塩基配列を示す図であ
る。
【図5】 ヒトゲノム内における4塩基挿入配列部分、
及びその直前直後の塩基配列を示す図である。
【図6】 ヒト肝RNAのプライマーを用いたRT−P
CRプロファイルを示すゲル電気泳動を示す図面代用写
真である。
【図7】 ヒトFas抗原バリアントcDNAクローン
の塩基配列を示す図である。
【図8】 ヒトFas抗原バリアントの全アミノ酸配列
を示す図である。
【図9】 ヒトFas抗原およびマウスFas抗原の全
アミノ酸配列を示す図である。
【図10】 プラスミドpM468のリンカーを分割し
た各断片の塩基配列を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/02 C 9282−4B //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19)

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトFas抗原バリアント、またはそれと
    実質的に同一の機能を有するペプチドをコードする新規
    DNA。
  2. 【請求項2】下記式1(配列表の配列番号1)のアミノ
    酸配列をコードする塩基配列を有することを特徴とする
    請求項1に記載の新規DNA。 式1 Arg Leu Ser Ser Lys Ser Val Asn Ala Gln Val Thr Asp Ile Asn 5 10 15 Ser Lys Gly Leu Glu Leu Arg Lys Thr Val Thr Thr Val Glu Thr 20 25 30 Gln Asn Leu Glu Gly Leu His His Asp Gly Gln Phe Cys His Lys 35 40 45 Pro Cys Pro Pro Gly Arg 50 51
  3. 【請求項3】下記式2(配列表の配列番号2)の塩基配
    列を有することを特徴とする請求項1または2に記載の
    新規DNA。 式2 AGATTATCGT CCAAAAGTGT TAATGCCCAA GTGACTGACA TCAACTCCAA GGGATTGGAA 60 TTGAGGAAGA CTGTTACTAC AGTTGAGACT CAGAACTTGG AAGGCCTGCA TCATGATGGC 120 CAATTCTGCC ATAAGCCCTG TCCTCCAGGC AGG 153
  4. 【請求項4】下記式3(配列表の配列番号3)のアミノ
    酸配列をコードする塩基配列を有することを特徴とする
    請求項1に記載の新規DNA。 式3 Met Leu Gly Ile Trp Thr Leu Leu Pro Leu Val Leu Thr Ser Val -15 -10 -5 Ala Arg Leu Ser Ser Lys Ser Val Asn Ala Gln Val Thr Asp Ile -1 1 5 10 Asn Ser Lys Gly Leu Glu Leu Arg Lys Thr Val Thr Thr Val Glu 15 20 25 Thr Gln Asn Leu Glu Gly Leu His His Asp Gly Gln Phe Cys His 30 35 40 Lys Pro Cys Pro Pro Gly Arg 45 50 51
  5. 【請求項5】下記式4(配列表の配列番号4)の塩基配
    列を有することを特徴とする請求項1または4に記載の
    新規DNA。 式4 ATGCTGGGCA TCTGGACCCT CCTACCTCTG GTTCTTACGT CTGTTGCTAG ATTATCGTCC 60 AAAAGTGTTA ATGCCCAAGT GACTGACATC AACTCCAAGG GATTGGAATT GAGGAAGACT 120 GTTACTACAG TTGAGACTCA GAACTTGGAA GGCCTGCATC ATGATGGCCA ATTCTGCCAT 180 AAGCCCTGTC CTCCAGGCAG G 201
  6. 【請求項6】前記式3(配列表の配列番号3)のアミノ
    酸配列をコードする新規DNAまたは前記式4(配列表
    の配列番号4)に記載の新規DNAの少なくとも一部を
    有することを特徴とする請求項1に記載の新規DNA。
  7. 【請求項7】ヒトFas抗原バリアントまたはそれと実
    質的に同一の機能を有する新規ポリペプチド。
  8. 【請求項8】下記式1(配列表の配列番号1)のアミノ
    酸配列を有することを特徴とする請求項7に記載の新規
    ポリペプチド。 式1 Arg Leu Ser Ser Lys Ser Val Asn Ala Gln Val Thr Asp Ile Asn 5 10 15 Ser Lys Gly Leu Glu Leu Arg Lys Thr Val Thr Thr Val Glu Thr 20 25 30 Gln Asn Leu Glu Gly Leu His His Asp Gly Gln Phe Cys His Lys 35 40 45 Pro Cys Pro Pro Gly Arg 50 51
  9. 【請求項9】前記式1(配列表の配列番号1)に記載の
    アミノ酸配列の少なくとも一部を有することを特徴とす
    る請求項7に記載の新規ポリペプチド。
  10. 【請求項10】請求項1ないし6のいずれかに記載の新
    規DNAを含む組換えDNA分子。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の組換えDNA分子で
    形質転換されたことを特徴とする形質転換体。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の形質転換体を培養
    し、その培養混合物から請求項7ないし9のいずれかに
    記載の新規ポリペプチドを回収することを特徴とする、
    請求項7ないし9のいずれかに記載の新規ポリペプチド
    の製造方法。
  13. 【請求項13】請求項7ないし9のいずれかに記載の新
    規ポリペプチドを認識する新規抗体。
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