JP2009142269A - ヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬 - Google Patents

ヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬 Download PDF

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Abstract

【課題】操作が簡便で、かつ測定精度、特異性、再現性に優れたヒトIgGの測定試薬を提供すること。
【解決手段】被験試料中のヒトIgGを測定する試薬において、ヒトIgGのFcを認識するが抗原認識部位を異にする2種のモノクローナル抗体を構成成分とし、前記モノクローナル抗体のうち、一方の抗体が標識抗体であり、他方の抗体が固相抗体であることを特徴とするヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬が提供される。当該ヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬としては、寄託番号FERM P−21367で表されるハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体及び寄託番号FERM P−21366で表されるハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体を構成成分とするヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬が好適である。
【選択図】なし

Description

本発明はヒトイムノグロブリンG(IgG)のFcを認識するモノクローナル抗体を使用する、高感度の被験試料中のヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬に関する。
血清蛋白のグロブリンの1つであるγ−グロブリンは免疫に関与していることから免疫グロブリン(Ig)と呼ばれ、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5つが知られている。IgGは活性化Bリンパ球より分化した形質細胞より産生され、各種の免疫抗体、感染性を失わせる中和抗体、また細菌を捕捉するオプソニン抗体として作用し、リンパ節、脾、骨髄、胸腺、小腸粘膜、気道粘膜などで産生される胎盤通過性の血漿蛋白である。IgGは細菌、ウイルス、薬物、組織抗原などの刺激に対する生体反応を示す。血中のIgGを測定することにより、抗原刺激に対する生体反応の亢進、IgG産生部位の異常などを知ることができる。IgG高値を示す病態・疾患としては多クローン性高γ−グロブリン血症、膠原病、無症候性M蛋白血症、慢性感染症、骨髄腫、IgG型多発性骨髄腫などが知られている。またIgG低値を示す病態・疾患としては無・低γ−グロブリン血症、重症免疫不全症、ネフローゼ症候群などが知られている。
近年、被験試料中のIgGを測定する目的でIgGを特異的に認識する試薬が開発され、IgGに対するポリクローナル抗体を構成成分とするエンザイムイムノアッセイ(EIA)試薬が市販されている(Betyl社製品:ZEPTOMETRIX社製品:IMMUNO−TEK Human IgG Quantitative ELISA Kit)。また、特許文献1は、ヒトIgGの異なる領域を認識する4種類の遊離したモノクローナル抗体を使用して、ヒトIgG抗原を凝集法で測定している。しかしながら、この測定方法は感度が低く、大量の抗IgG抗原分子を必要とする。また当該4種のモノクローナル抗体のヒトIgG各サブクラスへの結合性は不明である。
特表昭57−501147号公報
しかしながらポリクローナル抗体を用いてエンザイムイムノアッセイを行う場合は、ポリクローナル抗体中に夾雑抗原に対する抗体が含まれる可能性があり特異性の面で課題がある。また、抗原吸収法により抗体の交差反応性を除去して測定試薬が調製されることから、一定品質の試薬を安定して製造し、供給する面でも課題があった。
そこで、本発明の課題は、操作が簡便で、かつ測定精度、特異性、再現性に優れたヒトIgGの部位特異的な高感度測定試薬を提供することにある。
本発明者らは鋭意努力を重ね、従来入手されていなかったヒトIgGのFcを特異的、高感度に認識する2種の抗ヒトIgGモノクローナル抗体の創成に成功し、当該2種のモノクローナル抗体を使用することにより、従来の課題が解決されること、当該モノクローナル抗体を使用すれば、ヒトIgGのFcを含有するタンパク質のモニタリングにも有用であることを見出し本発明を完成させた。
本発明の第1の発明は、被験試料中のヒトIgGのFcを含有するタンパク質を測定する試薬において、ヒトIgGのFcを認識するが抗原認識部位を異にする2種のモノクローナル抗体を構成成分とし、前記モノクローナル抗体のうち、一方の抗体が標識抗体であり、他方の抗体が固相抗体であることを特徴とするヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬に関する。
本発明の第1の発明において、モノクローナル抗体が寄託番号FERM P−21367で表されるハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体hIgG 4−10D及びモノクローナル抗体が寄託番号FERM P−21366で表されるハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体hIgG 13−9Dであってもよく、測定方法としてエンザイムノアッセイを用いてもよい。さらに、被験試料が、血漿、血清又は細胞培養物から選択されてもよい。
本発明の第2の発明は、本発明の第1の発明のタンパク質の測定試薬を使用することを特徴とするヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定方法に関する。
本発明の第3の発明は、寄託番号FERM P−21367で表されるハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体hIgG 4−10D及び寄託番号FERM P−21366で表されるハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体hIgG 13−9Hから選択される、ヒトIgGのFcを認識するモノクローナル抗体に関する。
本発明の第4の発明は、寄託番号FERM P−21367で表されるハイブリドーマ細胞及び寄託番号FERM P−21366で表されるハイブリドーマ細胞から選択される、ヒトIgGのFcを認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞に関する。
さらに、本発明の第5の発明は、
(A)所望の抗原と被検試料を接触させる工程;および
(B)さらにヒトIgGのFcを認識する標識化モノクローナル抗体を接触させる工程、を包含する、所望の抗原を認識するヒトIgGを測定する方法に関する。
本発明により、操作が簡便で、測定精度が高く、特異性、再現性にも優れたヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬が安定して提供される。
本発明の試薬の態様としては、ヒトIgGの各種サブクラスのFcに共通に反応し、1.血中IgG抗体価の絶対量の変化を調べることができる、2.ヒトIgGのFcを含有するヒト型モノクローナル抗体のモニタリングや、製造工程での品質管理、定量の測定手法として用いることができる、3.ヒトIgGのFcを含有するタンパク質(Fc融合タンパク質)を発現・精製過程で簡易定量することができる等の顕著な効果を有している。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明で「ヒトIgG」とは、ヒト血中に存在するIgG(免疫グロブリンG)を意味する。天然のIgG分子はHγ鎖2本とL鎖2本の4本のポリペプチド鎖からなり、分子量15万、1〜3%の糖鎖を含むタンパク質である。Hγ鎖には4種類のサブクラス、γ、γ、γ、γがあり、それぞれの鎖を含むIgGはIgG1、IgG2、IgG3、IgG4と呼ばれ、エフェクター機能に違いがある。前記のヒトIgGは、ヒト血中に存在する天然のIgG、B細胞やB細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマなどのヒトIgGを産生しうる細胞を人為的に培養した培養上清中に遊離されるIgG、更にB細胞のmRNAやそのcDNA等を用いて遺伝子工学的に作製したリコンビナントのIgGも含まれる。
本発明で「Fc」とは、Igをタンパク質分解酵素のパパインで消化して得られるフラグメントのうち、H鎖のC末端側が含まれるフラグメントを意味する。免疫グロブリンのH鎖は、N末端から可変領域V、定常領域C1、C2、C3ドメインが並んでいるが、FcにはC2及びC3ドメインが含まれる。
本発明で「ヒトIgGのFcを含有するタンパク質」とは、ヒトIgGのFcを共有結合又は水素結合、疎水結合、静電結合などの非共有結合により含有するタンパク質を意味する。
本発明で「モノクローナル抗体」とは、単一クローンの抗体生産細胞が分泌する抗体を意味し、単クローン(性)抗体ともいう。特定の抗原決定基を認識する抗体であり、アミノ酸配列の一次構造が均一である。本発明のモノクローナル抗体は、細胞融合法により調製されるハイブリドーマが産生する抗体に加えて、抗体産生細胞のmRNA等を用いて遺伝子工学的に作製された抗体も含まれる。
本発明で「所望の抗原」とは、本発明の抗体が認識するヒトIgGによって特異的に認識される物質を意味する。所望の抗原は、目的に応じて適宜選択されるもので、タンパク質、多糖類、核酸、脂質、これらの複合体などの天然抗原、ハプテンなどの人工抗原が含まれる。
(1)ヒトIgGのFcを含有するタンパク質測定試薬
すなわち本発明を概説すれば本発明は、被験試料中のヒトIgGのFcを含有するタンパク質を測定する試薬において、ヒトIgGのFcを認識するが抗原認識部位を異にする2種のモノクローナル抗体を構成要素とし、前記モノクローナル抗体のうち、一方の抗体は標識抗体で、他方の抗体は固相抗体であることを特徴とするヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬に関する。以下に前記モノクローナル抗体について説明する。本発明で用いる抗体は、前述のヒトIgGのFcを抗原として認識し、かつ当該Fcを高感度で検出できるモノクローナル抗体であればいかなるものでも良い。また、ヒトIgGのFcを抗原として認識し得る本発明の抗体にペプシン、パパイン等のタンパク質分解酵素を作用させ、抗体のFc部分を除去して得られる、F(ab’)、Fab’、Fab等のフラグメントも本発明で使用する抗体に含まれる。
さらに、得られたモノクローナル抗体をもとに、遺伝子工学的に製造される組換え抗体や、定常領域を他の抗体の定常領域に置換したキメラ抗体であっても良い。このような抗体は、二重特異性抗体(二価抗体)、scFv、Fab、Diabody、Triabody、Tetrabody、Minibody、Bis−scFv、(scFv)−Fc、intact−IgGが例示され、Holligerら、Nature Biotechnology、第23巻、第9号、p.1126−36(2005)に詳述される。
本発明に使用される2種のモノクローナル抗体は、ヒトIgGのFcの異なる部位を認識する。これらの認識部位はFcであれば特に限定はされないが、2種の抗体が互いに干渉しない部位であることが好ましい。上述のとおり、ヒトIgGのH鎖には、4つのサブクラスがあるが、これらのサブクラスを共通して認識するモノクローナル抗体が好適である。ヒト血清に含まれるIgGは、おおよそIgG1が65%、IgG2が25%、IgG3が6%、IgG4が4%であり、IgG1及びIgG2を共通認識するモノクローナル抗体は、実質的にヒトIgGを共通認識する抗体と言え、本発明に使用される2種のモノクローナル抗体は、特にIgG1及びIgG2を共通して強く認識する抗体が好適である。
本発明に使用されるモノクローナル抗体は、ヒトIgGのFcを含有する分子を認識することができる。このような分子には、天然のヒトIgG、ヒトIgGのFcを含有するキメラ抗体が例示される。またリンパ液中、血中など体内での目的タンパク質の安定化のさために、当該タンパク質とヒトIgGのFcとを融合して調製したヒトIgGのFcと目的タンパク質の融合タンパク質が例示される。
本発明に使用されるモノクローナル抗体は、いわゆる細胞融合法によって作製されたハイブリドーマを使用して製造される。前記ハイブリドーマは、抗体産生細胞の集団と骨髄腫細胞と融合ハイブリドーマを形成させ、該ハイブリドーマをクローン化し、ヒトIgGのFcを認識する抗体を産生するクローンを取捨選択し、さらに本発明の目的に好適なクローンを選別することによって樹立される。
抗体産生細胞には、例えばヒトIgG、そのFc又はそれらの一部によって免疫された動物の脾細胞、リンパ節細胞、Bリンパ球等が利用できる。免疫させる動物としては、マウス、ラット、ウマ、ヤギ、ウサギ等が挙げられる。抗原としてはヒトIgGやその断片が利用可能であり、例えば次のようにして製造され、免疫に使用される。例えば免疫原として用いるヒトIgGを天然から得る場合は、IgGを含むヒト血清画分あるいは血漿画分から塩析、透析やアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー等各種クロマトグラフィーを用いて精製することが可能である。かくして得られたヒトIgGを直接、もしくはパパインやペプシンなどによる酵素消化後、Fcを分取して、KLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)に代表されるキャリアタンパク質と結合後、又はPVP(ポリビニルピロリドン)と混合後、フロイントのアジユバントと混合して、動物の免疫に使用する。またはヒトIgGやその断片を直接フロイントのアジユバントと混合し、動物の免疫に使用する。免疫は動物の皮下、筋肉内あるいは腹腔内に1回に20〜200μgの抗原−アジュバント混合物を、2〜3週間に1回、3〜7回投与することにより行われる。最終免疫より約3〜5日後、免疫動物から抗体産生細胞を分取する。
骨髄腫細胞としてはマウス、ラット、ヒト等由来のものが使用される。細胞融合は例えばG.ケラー(G.Kohler)「ネーチャー(Nature)第256巻、第495頁(1975)」に記載の方法、又はこれに準ずる方法により行われる。この際、30〜50%ポリエチレングリコール(分子量1000〜6000)を用い、抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを30〜40℃の温度下、約1〜3分間程度反応させる。細胞融合により得られたハイブリドーマはスクリーニングに付される。例えば、抗原としてヒトIgGを用いた酵素抗体法等により前記IgGを認識する抗体を生産するハイブリドーマのスクリーニングが行われる。得られた抗体産生ハイブリドーマは、例えば限界希釈法によりクローン化される。得られたクローンは、次いで目的とする高感度、高特異性のモノクローナル抗体を産生するクローンを選択するため、例えば酵素抗体法等によるスクリーニングに供される。
こうして選ばれたクローンは、例えばあらかじめプリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン)を投与したBALB/cマウスの腹腔内へ移植し、10〜14日後にモノクローナル抗体を高濃度に含む腹水を採取する。この腹水からのモノクローナル抗体の回収は、イムノグロブリンの精製法として従来既知の硫安分画法、ポリエチレングリコール分画法、イオン交換クロマトグラフ法、ゲルクロマトグラフ法、アフイニテイークロマトグラフ法等を応用することで達成される。
本発明に使用されるヒトIgGのFcに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマのELISA法による選抜に、二次抗体としてポリクローナル抗体を用いると、抗原がIgGであることから二次抗体が直接抗原に反応してしまうため、有効なモノクローナル抗体を検出することが困難である。しかしながら、ラットで作製した抗マウスIgGラットモノクローナル抗体カクテル(3種のモノクローナル抗体の混合抗体)−ペルオキシダーゼ標識抗体がこの選抜に大いに威力を発揮する。このカクテルに使用するモノクローナル抗体は、それぞれサブクラスがマウスIgG(G1、2a、2b、G3)クラス特異的であり、特異性の高いIgGクラスのマウスIgG産生ハイブリドーマの選別を行うことができる。本発明の抗体を産生するハイブリドーマはこの手法を駆使することによってはじめて単離することが可能になった。
かくして得られた抗IgG−Fcモノクローナル抗体について、それぞれ多数の組み合わせをさらにスクリーニングすることにより、高感度で再現性よくヒトIgG−Fcを測定できるモノクローナル抗体の組み合わせが決定される。
本発明の測定試薬は、上記のようにして得た2種のモノクローナル抗体を構成成分とする。本発明の測定試薬は、10ng/mLの濃度で存在する、ヒトIgGのFcを含有するタンパク質を検出することが可能である。本発明の一態様として、これらのモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞hIgG 4−10Dにより産生されるモノクローナル抗体hIgG 4−10D及びハイブリドーマ細胞hIgG 13−9Hにより産生されるモノクローナル抗体hIgG 13−9Hである。ハイブリドーマ細胞hIgG 4−10Dは、平成19年9月19日(原寄託日)より独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305−8566))にFERM P−21367として寄託されている。ハイブリドーマ細胞hIgG 13−9Hは、平成19年9月19日(原寄託日)より独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305−8566))にFERM P−21366として寄託されている。これら2種の抗体を含有するヒトIgGのFc測定試薬は、IgG1、IgG2両サブクラスのFcを強く認識することから、広くヒトIgGのFcの測定に適用することができる。
前記の抗体、すなわちモノクローナル抗体hIgG 4−10D及びモノクローナル抗体hIgG 13−9H、ならびにこれらの抗体を産生するハイブリドーマハイブリドーマ細胞hIgG 4−10D、hIgG 13−9Hは、いずれも本発明に包含される。
本発明の測定試薬は、測定方法として二抗体サンドイッチ法などの固相酵素免疫検定法(ELISA)を含むエンザイムイムノアッセイに用いることができる、ヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬である。一態様として、被験試料はヒト血漿、血清などの体液又は細胞培養物等が挙げられる。また、本発明の測定試薬は、ヒト血清成分の混入追跡、ヒト抗体又はヒト化抗体の品質検定モニタリングに有用であり、Fc融合タンパク質の発現検出に使用できる。
本発明の測定試薬は、上記のようにして得た2種のモノクローナル抗体を構成成分とするが、これらの抗体のうち、一方は固相抗体、他方は標識抗体として使用する。ここで、固相抗体とは適切な不溶性担体に固定化された抗体を意味し、標識抗体とは適切な標識物質により標識化された抗体を意味する。固相抗体はFcとの抗原抗体反応によって対象試料中の被検物質であるヒトIgG(又はヒトIgGのFcを含有するタンパク質)をトラップするために使用され、トラップされた前記の被験物質を検出するために標識抗体が使用される。本発明に使用される標識モノクローナル抗体は、特に限定されるものではないが、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質、タンパク質などを用いて標識化される。放射性同位元素としては、特に限定されるものではないが、例えば[125I]、[131I]、[H]、[14C]などが好ましい。酵素としては、特に限定されるものではないが、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えばβ−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが挙げられる。蛍光物質としては、特に限定されるものではないが、例えばフルオレスカミン、フルオレッセインイソチオシアネートなどが挙げられる。発光物質としては、特に限定されるものではないが、例えばルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが挙げられる。さらに、ビオチンのような化合物を用いることができる。本発明の測定試薬において、標識抗体は溶液又は凍結乾燥等の各種形態で提供することができる。
固相抗体は、ビーズ、マイクロタイタープレート、試験管、ニトロセルロース膜、ナイロン膜等の担体表面に、当業者には公知の方法によって、ヒトIgGのFcの少なくとも一部を認識する本発明の抗体を結合させることによって調製される。また、固相抗体を調製するための抗体、担体及び固相化に必要な試薬を、固定化する前の段階で提供しても良い。前記目的に使用される抗体も、本発明の固相抗体に含まれる。
本発明の測定試薬は、ヒトIgGのFcを認識する2種のモノクローナル抗体に加えて、様々な試薬、材料、器具等を適宜含有させることができる。例えば、下記(3)の方法に使用する、所望の抗原を吸着させるための吸着プレートを含んでいてもよい。また、標識した抗体を検出するための試薬、使用する際にコントロールとなる試薬を含んでいてもよい。
(2)ヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定方法
本発明のヒトIgGのFcを含有するタンパク質測定方法は、前記(1)に記載のタンパク質測定試薬を使用することを特徴とする方法である。被検物質と固相抗体を接触させ、これに標識抗体をさらに接触させ、これらのモノクローナル抗体と被検物質の複合体を検出することにより、ヒトIgGのFcを含有するタンパク質を測定することができる。さらに、被検試料と接触させた後に固相抗体を洗浄する工程及び/又は被験物質と結合しなかった標識抗体を洗浄により除去する工程を含んでいてもよい。また、固相抗体及び標識抗体は、前記(1)に記載の通り固相化及び標識化の操作により調製される。本発明の一態様として、モノクローナル抗体hIgG 4−10D、hIgG 13−9Hの使用が好適であり、固相抗体としてモノクローナル抗体hIgG 4−10D、標識抗体としてモノクローナル抗体hIgG 13−9Hの組み合わせの測定系が特に好適である。本発明の方法においては、定性的な測定と、定量的な測定が含まれる。
本発明の方法は、被験試料中に含まれる10ng/mL以上の、ヒトIgGのFcを含有するタンパク質が検出可能である。本発明の方法は、ヒトIgGのFcの異なる部位を認識する2種のモノクローナル抗体を使用することにより、高い特異性を有する識別が可能である。
(3)所望の抗原を認識するヒトIgG量を測定する方法
本発明の所望の抗原を認識するヒトIgGを測定する方法は、以下の工程を包含すること特徴とするタンパク質測定方法である。
(A)所望の抗原と被検試料を接触させる工程;
(B)さらにヒトIgGのFcを認識する標識化モノクローナル抗体を接触させる工程。
本願発明の1つの態様として、所望の抗原を固相化してもよい。固相化する担体は、特に限定はされないが例えば、ビーズ、マイクロタイタープレート、試験管、ニトロセルロース膜、ナイロン膜等が挙げられる。これらの担体表面に、当業者には公知の方法によって、所望の抗原を固相化してもよく、使用者が固相化するための試薬類を用意しても良い。
所望の抗原と被検試料を接触させる工程は、所望の抗原と被検試料が接触するような処理であれば特に限定はなく、例えば両者を混合すればよい。さらに、接触させた結果生じる接触物に対して、所望の抗原と結合しない物質を除去する工程を加えても良い。さらに、所望の抗原と結合した物質(IgG)を洗浄する工程を加えても良い。この場合、所望の抗原が固相化されていると、所望の抗原に結合しない物質を除去又は洗浄することが容易である。
上記所望の抗原と被検試料を接触させる工程により生じる接触物、すなわち所望の抗原と被検試料中のヒトIgGとの複合体に対し、前記(1)に記載するヒトIgGのFcを認識する本発明のモノクローナル抗体をさらに接触させる。さらに、前記のIgGと結合しないモノクローナル抗体を除去する工程及び/又は前記のIgGと結合したモノクローナル抗体を洗浄する工程があってもよい。そして、所望の抗原と被検試料中のヒトIgGの複合体に結合したモノクローナル抗体を検出することにより、被検物質中に存在する所望の抗原を認識するヒトIgGのFcを含有するタンパク質を検出することができる。本発明の一態様として、モノクローナル抗体hIgG 4−10D、モノクローナル抗体hIgG 13−9Hが好適に使用できる。これらの抗体を前記のとおり標識して使用することにより、容易、かつ高感度に所望の抗原を認識するヒトIgGを測定することができる。
本発明の方法では、ヒトIgGのFcを認識するモノクローナル抗体を使用することにより、高い特異性を有する識別が可能となる。すなわち、被験試料中に10ng/ml以上含まれる、所望の抗原を認識するヒトIgGが検出可能である。
(4)ヒトIgGのFcを含有するタンパク質の精製方法
本発明のヒトIgGのFcを含有するタンパク質の精製方法は、ヒトIgGのFcを認識するモノクローナル抗体を使用することを特徴とする方法である。本発明の精製方法においては、前記モノクローナル抗体が固相化されていてもよい。本発明の一態様として、モノクローナル抗体hIgG 4−10D、モノクローナル抗体hIgG 13−9Hが好適に使用できる。
本発明の精製方法では、ヒトIgGのFcを認識するモノクローナル抗体を使用することにより、高い精製効果が得られる。例えば、ヒト血清から、IgGを70%以上の回収率と98%以上の純度で精製することが可能となる。
以下に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の範囲のみに限定されるものではない。
実施例1 抗体の作製
(1)抗原免疫・細胞融合
ヒト血清由来ヒトIgG 1mg/mL溶液を抗原とし、マウス4匹に50μg/shot/bodyの投与量で、初回免疫は、フロイント完全アジュバントとエマルジョンを形成させてから腹腔投与し、2回目以降は、市販の水溶性アジュバント(RIBI Adjuvant)と混合して、2週間隔合計4回の投与を行った。以上の免疫操作は、マウスを2匹ずつ2群に分け、2週間の時差をおいて実施した。先に免疫を開始した群のマウスについて、眼窩静脈血清中のヒトIgGに対する抗体価の上昇を確認した上で、両個体に最終免疫を実施した。最終免疫3日後にこの2個体の免疫動物の脾臓を摘出し、無血清培地で分散・洗浄した後、細胞融合用ミエローマ(P3U1)と5:1(脾臓:ミエローマ)の割合で混合し遠心上清を除いた細胞ペレットとした。この細胞混合物に適温に保温した50%PEG溶液1mLを一定速度で、軽い振とうを加えながら混合し、合計3mLまで加え、そのあとは、無血清培地7mLを同様に一定速度で加え、10mLにフィルアップし、この操作で細胞融合を実施した。残る2匹のマウスも同様の最終免疫をさらに1回追加して、3日後に採取した脾臓を細胞融合に供した。
2回のチャレンジで、多数の融合細胞を取得した。この幅広い母集団より抗原に特異的な抗体をスクリーニングした。
(2)HAT選択
融合細胞のスクリーニングには、クローニング培地(三光純薬社製)にHAT(H:ヒポキサンチン、A:アミノプテリン、T:チミジン)を加えたものを用意し、融合日の翌日から3回の培地交換をこのHAT培地で行った。アミノプテリンは核酸のde novo合成を阻害するので、ヒポキサンチンとチミジンを用いたサルベージ経路を利用しない限り細胞の生育ができない。上記経路に必須なHGPRT(ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ)酵素を欠損しているミエローマ細胞はHAT培地中では生育できない。B細胞にはこの酵素があるので、融合したハイブリドーマのみがHAT培地中で生育できることになる。したがって、この培地交換操作で成長してきた細胞は、脾臓由来のde novo合成系を持ちかつ不死化した融合細胞と言えた。
(3)スクリーニング
免疫原と同様のヒトIgGを、5μg/mL PBS、50μL/wellで、イムノプレート(ナルジェヌンク社製)上に添加し、4℃で一晩放置してIgGを物理吸着させた。ブランク用抗原として、ウシ血清より精製したポリクローナルウシIgGを準備し、5μg/mL PBS、50μL/wellで同様にコーティングした。上記の操作の後、抗原溶液を捨てて、50%Blocker Casein(ピアス社製)を200μL/wellになるように加えて、室温(20〜30℃)で1時間放置してブロッキング操作を行った。その後、ブロッキング溶液を捨て、上記(2)で得られた融合細胞の培養上清(原液使用)を、ナンバリングした上で抗原プレートに投入し、一次反応を室温(20〜30℃)で1時間行った。PBSで反応終了後の各ウェルを3回洗浄し、ペーパータオルで充分に液を切った。検出にはマウスIgGでラットを免疫し作製した抗マウスIgGラットモノクローナル抗体カクテル−ペルオキシダーゼ標識抗体を使用した。前記抗体を1μg/mL、50μL/wellで添加し、室温(20〜30℃)で1時間反応を行った。その後、標識抗体液を捨て、ウェルをPBSで4回洗浄した。ペーパータオルに打ち付けて、洗浄液を充分に除き、ペルオキシダーゼ基質であるABTS[2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)]溶液(ピアス社製)を50μL/well投入し、室温で15〜30分発色させ、強弱ある陽性株を幅広く検出した。等量の150mM シュウ酸を加えて反応を停止させた後、肉眼及びプレートリーダーで陽性株を確認し、ブランク抗原に反応せず、目的のヒトIgG蛋白に反応する株、総数20株を選抜した。
(4)陽性株選抜とクローニング・株樹立
二次スクリーニングとして、ブタ、ヒツジ、モルモット、ヤギやニワトリIgGに対する交差反応がなく、かつヒトIgGに強く反応する4種類のハイブリドーマ元株を選択し、直ちに限界希釈法によりクローニングを行った。クローニングされた4種類のハイブリドーマについて、それぞれクローンを各2種(本株・亜株)確保した。
(5)マウス腹水採取
上記の4種類のハイブリドーマクローンは、本株・亜株ともに凍結細胞としてマスター細胞を保管し、ほぼ並行しながら、本株をBALB/cマウスの腹腔内で大量培養し、腹水として粗精製抗体を得た。腹水は、1個体あたりおよそ3〜5mLであった。
(6)抗体精製
得られた腹水は、50%飽和硫安塩析・透析を行い、その画分をProtein Aカラムに供した。平衡化緩衝液は、3M NaCl、1.5M glycin−NaOH緩衝液(pH8.9)の高塩濃度のものを調製し、どのサブクラスのIgGであっても良好に結合する条件を採用した。平衡化緩衝液で2倍希釈した腹水硫安塩析画分を腹水液量とほぼ等量の容積のProtein A樹脂にアプライし、溶出液の吸光度A280がほぼゼロになるまで平衡化緩衝液でカラムを洗った。その後、クエン酸緩衝液(pH4.0)とクエン酸緩衝液(pH3.0)の2段階で溶出を行った。サブクラスIgG1、IgG2aは主にpH4.0で溶出され、IgG2bは、pH3.0で溶出された。溶出画分は、ただちに1M Tris緩衝液(pH9.0)で中和し、硫安塩析濃縮を行った。最終抗体は、PBSで透析し、0.22μmフィルターろ過により無菌化した。抗体を10%SDS−PAGE(還元加熱条件)により分析し、H鎖とL鎖以外のものがない良好な純度の抗体であることを確認した。
(7)抗体修飾
得られた精製抗体のうち、一定量(試験的に各抗体1mg)を用いて、過ヨウ素酸法によるペルオキシダーゼ標識を施した。過ヨウ素酸法は、ペルオキシダーゼの糖鎖ジオールを脱水素酸化させてシッフベースを形成させ、抗体側のアミノ基に結合させる方法である。4種類の抗体は、すべてペルオキシダーゼ標識体とした。ヒトIgGのFcを有する融合タンパク質を固相化したプレート上で、これらの標識抗体の段階希釈物を反応させた後にペルオキシダーゼの検出反応に供した。その結果を表1に示す。
Figure 2009142269

表1の結果から、抗原との結合活性を保持した状態で酵素標識体を作製できたこと、各抗体がヒトIgGのFcを認識することが確認できた。
実施例2 測定系の構築及び性能試験
(1)測定系構築
固相と標識とに実施例1で得られた4種類の抗体のそれぞれを用い、合計16とおりの組み合わせで、ヒトIgGを定量できる系をスクリーニングした。試験された抗ヒトIgGモノクローナル抗体の種々の組み合わせの中にはヒトIgGのサブクラス依存的な結合反応を示すものも多数存在した。本スクリーニングによって、ヒトIgMに交差することなく高感度にヒトIgGのサブクラスを網羅して測りこむことのできるIgGのFcのサブクラス共通測定系をようやく1種類得ることに成功した。
(2)測定系の性能試験
実施例2−(1)でのスクリーニングから、固相抗体にモノクローナル抗体hIgG 4−10D、標識抗体にモノクローナル抗体hIgG 13−9Hを用いる組み合わせの測定系が確立した。
その測定系を使用した測定方法を以下に示す。
(A)イムノプレート器材(ナルジェヌンク製)に、PBSで10μg/mlに希釈したモノクローナル抗体hIgG 4−10D溶液を100μL/wellで投入し、4℃で一晩放置する。
翌日、抗体溶液を捨て、25%ブロックエース+0.3Mマルトース/PBS溶液(ブロッキング溶液)を200μL/wellで投入し、4℃一晩放置し、器材余剰部分をタンパク質ブロックする。
翌日、ブロッキング溶液を捨て、以下の測定に使用する。
(B)各濃度の検体を100μLずつマイクロピペットで各wellに2連ずつ加え、室温(20〜30℃)で1時間反応させる。(第一反応)
反応液を捨て、0.1%Tween20含有PBSで3回洗浄後、モノクローナル抗体hIgG 13−9H標識抗体液を100μLずつ各wellに加え、室温(20〜30℃)で一時間反応させる。(第二反応)
反応液を捨て、0.1%Tween20含有PBSで4回洗浄後、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)溶液(BioFX社製)を100μLずつ各wellに加え、室温(20〜30℃)で15分反応させる。(第三反応)
1N 硫酸を100μLずつ、TMBZ溶液を入れた順番に各wellに加え、反応を停止させた後よく混和する。
蒸留水を対照としてマイクロプレートリーダーをブランク補正し、波長450nmで吸光度を測定する。
標準曲線を作成し、検体の吸光度から対応するヒトIgG濃度を読み取る。
上記測定系により、ヒトIgG標準品(シグマ社製)を測定した結果を表2に示す。表2に示すように、この系では10ng/mLのヒトIgGであっても検出可能であった。
Figure 2009142269
(3)同時再現性試験
実施例2−(2)記載の測定系で同時再現性試験を行った。表3に結果を示すように、CV値は5%以下で良好な同時再現性を示した。
Figure 2009142269
(4)日差再現性試験
実施例2−(2)記載の測定系で日差再現性試験を行った。表4に結果を示すように、良好な日差再現性を示した。
Figure 2009142269
(5)添加回収試験
実施例2−(2)記載の測定系でヒトIgGの添加回収試験を行った。各種濃度のヒト血清検体2種を等量に混合したサンプルを測定し、実測値からヒトIgG量の理論値との差(=回収率)を求めた。表5及び表6に結果を示すように、添加回収率80%から130%(平均値101.27%)と良好な結果が得られた。
Figure 2009142269
Figure 2009142269
(6)ヒトIgGのFcとの反応性
実施例2−(2)記載の測定系でヒトIgGのFcとの反応性試験を行った。ヒトIgGのFcとして、キメラ抗体(抗GMP140 PL7−6F(ab’)2とHuman Fc regionのキメラ抗体、特開平5−304982号公報)及びヒトIgGのFcを含有する融合タンパク質を産生する細胞(M601−2)の培養上清を使用した。表7に結果を示すように、実施例2−(2)記載の測定系でヒトIgGのFcを検出できることを確認した。
Figure 2009142269
(7)ヒトIgG各サブクラスとの反応性
実施例2−(2)記載の測定系でヒトIgG各サブクラスとの反応性試験を行った。各サブクラスのヒトIgG(シグマ社製)は、100μL/mLに調製して使用した。表8に結果を示すように、実質的にヒト血清中のIgGの各サブクラスを共通して検出できることが示された。
Figure 2009142269
(8)交差反応性
実施例2−(2)記載の測定系で交差反応性試験を行った。Human Serumはインフォームド・コンセントの得られたヒト健常人ドナーより採取し、各種の動物血清は、コスモバイオ社より入手し、1×10、1×10、2×10に希釈して使用した。表9に結果を示す。表9に示すように、ヒト特異的に検出可能であることが示された。
Figure 2009142269
実施例3 キットの応用例
以下、当該キットの応用例として、ヒト尿(随時尿)測定例を示す。
インフォームド・コンセントの得られたヒト健常人ドナーより11回に渡り採尿を実施した。各サンプルを10倍希釈したものを実施例2−(2)記載の測定系を用いて測定した。その結果を表10に示す。
Figure 2009142269
実施例4 インフルエンザウイルスを認識するヒトIgGの検出
イムノプレート器材(ナルジェヌンク製)に、PBSで50倍に希釈したインフルエンザHAワクチン(ビケンHA、阪大微生物病研究会)を50μL/wellで投入し、4℃で一晩放置した。
翌日、溶液を捨てPBSで2回洗浄した後、50%Blocker Caseinを含むPBS溶液(ブロッキング溶液)を200μL/wellでを投入し、室温で2時間放置し、器材余剰部分をタンパク質ブロックした。その後、ブロッキング溶液を捨て、以下の測定に使用した。
検出対象として、実施例2−(8)で使用したウシ血清、ブタ血清、ヒト血清、並びにネスコールXA(アルフレッサファーマ社製)、ワコー血清(和光純薬工業社製)、コンセーラ(日水製薬社製)、ネスコール(異常域)(アルフレッサファーマ社製)を使用した。各検体を10、10、10倍に希釈し、100μLずつマイクロピペットで各wellに加え、20℃で1時間反応させた(第一反応)。反応液を捨て、0.1%Tween20含有PBSで3回洗浄後、モノクローナル抗体hIgG 4−10D標識抗体液を100μLずつ各wellに加え、20℃で一時間反応させた(第二反応)。反応液を捨て、0.1%Tween20含有PBSで4回洗浄後、TMBZ溶液を100μLずつ各wellに加え、20℃で15分反応させた(第三反応)。
1N 硫酸を100μLずつ、TMBZ溶液を入れた順番に各wellに加え、反応を停止させた後よく混和した。
蒸留水を対照としてマイクロプレートリーダーをブランク補正し、波長450nmで吸光度を測定し、標準曲線を作成し、検体の吸光度からインフルエンザウイルスを認識するヒトIgGを測定した。
その結果を表11に示す。表11は各検体の吸光度の測定値から、吸光度2.0以上を4+、同1.0以上を3+、同0.5以上を2+、同0.1以上を1+、同0.09以上を±、同0.09未満を−と評価した。その結果、本発明のモノクローナル抗体は良好な反応性を示した。
Figure 2009142269
本発明は、ヒトIgGを測定することにおいて高感度な測定試薬を提供する。本発明の測定試薬を用いて、免疫系に関する各種疾患の病勢や薬剤による治療効果、及び予知、診断に有用な情報を提供することができる。

Claims (7)

  1. 被験試料中のヒトIgGのFcを含有するタンパク質を測定する試薬において、ヒトIgGのFcを認識するが抗原認識部位を異にする2種のモノクローナル抗体を構成成分とし、前記モノクローナル抗体のうち、一方の抗体が標識抗体であり、他方の抗体が固相抗体であることを特徴とするヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬。
  2. モノクローナル抗体が寄託番号FERM P−21367で表されるハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体hIgG 4−10D及びモノクローナル抗体が寄託番号FERM P−21366で表されるハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体hIgG 13−9Hである請求項1記載のヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬。
  3. 測定方法としてエンザイムイムノアッセイを用いる、請求項1又は2記載のヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬。
  4. 被験試料が、血漿、血清又は細胞培養物から選ばれる請求項1〜3いずれかに記載のヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定試薬。
  5. 請求項1記載のタンパク質の測定試薬を使用することを特徴とするヒトIgGのFcを含有するタンパク質の測定方法。
  6. 寄託番号FERM P−21367で表されるハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体hIgG 4−10D及び寄託番号FERM P−21366で表されるハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体hIgG 13−9Hから選択される、ヒトIgGのFcを認識するモノクローナル抗体。
  7. 寄託番号FERM P−21367で表されるハイブリドーマ細胞及び寄託番号FERM P−21366で表されるハイブリドーマ細胞から選択される、ヒトIgGのFcを認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞。
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