JP6183920B2 - 腎炎の病変部位の検査方法およびそのための試薬 - Google Patents

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Description

本発明は、Fibroblast-specific protein 1(以下、FSP1)を被験者由来の生体試料に含まれる単量体FSP1濃度と多量体FSP1濃度を比較することを特徴とする腎炎の病変部位を判定するための検査方法および該検査を実施するための試薬などに関する。
FSP1は、線維芽細胞に特異的なマーカーとして同定されたタンパク質であり(非特許文献1)、対EF handドメインを有するフィラメント結合S100A4タンパク質をコードしている(非特許文献2)。本発明者らは、半月体形成性糸球体腎炎などの活動性糸球体疾患では、ポドサイトや半月体細胞にFSP1の発現亢進が見られ(非特許文献3)、半月体形成性糸球体腎炎患者の尿中FSP1が該疾患のバイオマーカーとなりうることを見出した(非特許文献4)。さらに、尿中FSP1は細胞性半月体形成を認める糸球体の出現頻度と正相関を示すことから、疾患活動性の指標になることも見出した。
しかし、生体試料中FSP1と腎疾患の関連性が実証されているのは半月体形成性糸球体腎炎に留まり、腎間質性疾患と生体試料中FSP1との関わりは未だ報告がない。また、腎炎患者における病変部位を簡便に判定する方法も臨床現場において依然として希求されている。
Struts et al., The Journal of Cell Biology, Vol.130, 393-405, 1995 Okada et al., The American Physiological Society, Vol.273, F563-574, 1997 Yamaguchi et al., American Journal of Kidney Diseases, Vol.54, 653-664, 2009 Iwano et al., Journal of the American Society of Nephrology, Vol.23, 209-214, 2012
本発明は、腎炎の病変部位を判定するための方法および該判定を実施するための試薬を提供することを課題とする。
本発明者らは、研究の結果、間質性腎疾患患者の生体試料中においてFSP1が検出でき、さらに該FSP1は多量体型がドミナントであることを見出した。一方、半月体形成性糸球体腎炎患者の生体試料中において見出されるFSP1は単量体型がドミナントであることを併せて見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下よりなる。
[1]以下の工程を含むことを特徴とする、腎炎の病変部位を判定するための検査方法:
(1)被験者由来の生体試料における総FSP1濃度、単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度のうちいずれか2つ以上を測定する工程、
(2)被験者由来の生体試料における単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度を比較する工程。
[2]生体試料が尿試料であることを特徴とする、[1]に記載の検査方法。
[3]総FSP1濃度、単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度の測定が、免疫化学的測定法によって測定されることを特徴とする、[1]または[2]に記載の検査方法。
[4]判定される腎炎の病変部位が、糸球体または間質組織である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の検査方法。
[5]FSP1特異的抗体を、少なくとも1種類含む、腎炎の病変部位を判定するための試薬。
[6]判定される腎炎の病変部位が、糸球体または間質組織である[5]に記載の試薬。
本発明の検査方法およびそのための試薬は、腎炎患者または腎炎であることが疑われる被験者の病変部位の判定を迅速かつ簡便ならしめることができる。
F1-2抗体およびI11-23抗体のエピトープマッピングを示す図である。1:配列番号:2のアミノ酸配列のアミノ酸番号1〜12番目に該当する配列、2:配列番号:2のアミノ酸配列のアミノ酸番号4〜15番目に該当する配列、3:配列番号:2のアミノ酸配列のアミノ酸番号7〜18番目に該当する配列、4:配列番号:2のアミノ酸配列のアミノ酸番号10〜21番目に該当する配列、5:配列番号:2のアミノ酸配列のアミノ酸番号68〜79番目に該当する配列、6:配列番号:2のアミノ酸配列のアミノ酸番号71〜82番目に該当する配列、7:配列番号:2のアミノ酸配列のアミノ酸番号74〜85番目に該当する配列、8:配列番号:2のアミノ酸配列のアミノ酸番号77〜88番目に該当する配列、9:配列番号:2のアミノ酸配列のアミノ酸番号80〜92番目に該当する配列。 F1-2抗体とI11-23抗体が認識するヒトFSP1に対するエピトープ部分が異なることを示す図である。F1はF1-2モノクローナル抗体を示す。I11はI11-23モノクローナル抗体を示す。各レーンにはそれぞれ、ヒト線維芽細胞抽出物、マウス線維芽細胞抽出物、ヒト上皮細胞抽出物を電気泳動した。F1-2抗体はヒトFSP1とマウスFSP1の分子相同性が低いN末端を認識し、I11抗体はヒトFSP1とマウスFSP1の分子相同性が高いEF handドメインを認識する。I13抗体の認識部位はF1-2抗体と同じと考えられる。 半月体形成性糸球体腎炎(A1-3、D)および間質性腎炎(B1-3、C)の多量体FSP1濃度と単量体FSP1濃度の総FSP1濃度に対する割合(%)を示すグラフである。
本発明は、被験者由来の生体試料を用いて腎炎の病変部位を判定するための検査方法を提供する。
本発明の検査方法が適用できる被験者は特に制限されないが、例えば、腎炎患者と臨床的に判断できるが、その病変部位が特定できない患者、または腎炎を発症していることが疑われる被験者などが挙げられる。本発明の検査方法によって判定される腎炎の病変部位は、糸球体(即ち、糸球体病変)および間質組織(即ち、間質性病変)を含む。本発明で判定される糸球体病変は、生体試料中に単量体FSP1を含む特徴を有する糸球体病変であり、活動性の高い糸球体病変が判定により適する。ここで糸球体病変の活動性が高いとは、糸球体における半月体の形成、メサンギウム細胞の増殖、あるいはT細胞やマクロファージの糸球体内への浸潤が観察される状態をいう。そのような糸球体病変としては、半月体形成性糸球体腎炎、IgA腎症、ループス腎炎、紫斑病性腎炎等が挙げられる。また、本明細書において判定される間質性病変は、生体試料中に多量体FSP1を含む特徴を有する間質性病変であり、活動性の高い間質性病変が判定により適する。ここで間質性病変の活動性が高いとは、T細胞やマクロファージの間質への浸潤が観察される状態をいう。そのような間質性病変としては、間質性腎炎、腎間質線維化等が挙げられる。
本発明の検査方法に用いられる生体試料としては、上記被験者から採取されるものであれば特に制限はないが、例えば、尿など生体から容易に採取できるものや、生体組織も生体試料として用いることができ、例えば、腎臓などが挙げられる。生体試料として尿を用いる場合、例えば自然尿、カテーテル尿などが挙げられる。但し、尿路感染が疑われる尿試料や肉眼的血尿は除外されることが好ましい。また、尿試料はそのまま検査に用いてもよいが、デブリスを除去すべく遠心分離などの前処理を行ってもよい。さらに、試料は検査を実施する直前に被験者から採取されたものでも、予め採取され冷凍保存されたものでもよい。
本発明者らは、後述する実施例において示すように、半月体形成性糸球体腎炎患者においては、尿中FSP1が単量体型としてドミナントに存在することを見出した。また同時に、間質性腎炎患者・腎間質線維化患者においては、尿中FSP1濃度が多量体型としてドミナントに存在することを見出した。
従って、本発明の腎炎の病変部位を判定するための検査方法は、以下の工程を含むことを特徴とする。
(1)被験者由来の生体試料における総FSP1濃度、単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度のうちいずれか2つ以上を測定する工程、
(2)被験者由来の生体試料における単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度を比較する工程。
本発明において総FSP1濃度とは、生体試料における単量体FSP1および多量体FSP1を含むFSP1タンパク質の濃度をいう。
本発明の総FSP1濃度、単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度の測定方法は、特に制限されるべきものではなく、生体試料中の抗原量、抗原量に対応した抗体、抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。そのような方法としては、例えば、ゲル電気泳動(例:SDS-PAGE、NATIVE-PAGE、二次元ゲル電気泳動など)や、各種の分離精製法(例:イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動など)、イオン化法(例:電子衝撃イオン化法、フィールドディソープション法、二次イオン化法、高速原子衝突法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、エレクトロスプレーイオン化法など)、質量分析計(例:二重収束質量分析計、四重極型分析計、飛行時間型質量分析計、フーリエ変換質量分析計、イオンサイクロトロン質量分析計など)等に供することにより行うことができる。本発明においては、免疫化学的測定方法によって行うこともまた好ましい。
本発明において、試料中において検出されるFSP1は、単量体型または多量体型(2量体またはそれ以上の多量体型を含んでよい)をとるが、単量体型のFSP1としては、配列番号:2で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質が挙げられる。配列番号:2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:2で表されるアミノ酸配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、特に好ましくは約95%以上、最も好ましくは約98%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。本発明のFSP1は、好ましくは、配列番号:2で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質、すなわちヒトFSP1である。
本明細書におけるアミノ酸配列の相同性は、例えば、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;マトリクス=BLOSUM62;フィルタリング=OFF)にて計算することができる。
本発明の総FSP1濃度、単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度のうちいずれか2つ以上を測定する工程において、免疫化学的測定法を用いる場合、FSP1特異的抗体を用いることを特徴とする。本発明において用いられるFSP1特異的抗体としては、生体試料中から単量体FSP1および多量体FSP1の両方を認識する抗体、多量体FSP1だけを認識する抗体、単量体FSP1だけを認識する抗体が挙げられる。
本発明において用いられるFSP1特異的抗体のうち、単量体FSP1および多量体FSP1の両方を認識する抗体は、後述する免疫化学的測定方法において記載する通り、異なるエピトープを認識する2種類の組合せで用いられうる。従って、それぞれの抗体が認識するエピトープはFSP1上で離れた位置にあることが好ましい。そのような抗体としては、FSP1のEF handカルシウム結合ドメインをエピトープとして認識する抗体、好ましくは配列番号:4に表されるアミノ酸配列をエピトープとして認識する抗体、およびFSP1のN末端アミノ酸配列をエピトープとして認識する抗体、好ましくは配列番号:3に表されるアミノ酸配列をエピトープとして認識する抗体が挙げられる。
本発明のFSP1特異的抗体は適切な免疫原を用いて、公知の方法で製造することができる。免疫原としては、例えば、FSP1の全長タンパク質またはその部分ペプチドが挙げられる。本発明において、免疫原として用いられるFSP1の全長タンパク質とは前記した通りのタンパク質である。また、本発明において、免疫原として用いられるFSP1部分ペプチドとは、配列番号:2と同一または実質的に同一のアミノ酸配列の部分アミノ酸配列を含むペプチドである。
または、免疫原として用いられるFSP1部分ペプチドとしては、FSP1のN末端アミノ酸配列またはFSP1のEF hand カルシウム結合ドメインを含むペプチドであってもよい。FSP1のN末端アミノ酸配列の一例としては、配列番号:2で表されるアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号1〜12番目に該当する配列(配列番号:3)と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含むペプチド配列である。また、FSP1のEF hand カルシウム結合ドメインの一例としては、配列番号:2で表されるアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号80〜92番目に該当する配列(配列番号:4)と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含むペプチド配列である。
免疫原として用いられるFSP1は、哺乳動物の細胞または組織から自体公知のタンパク質の精製方法によって製造することができる。具体的には、哺乳動物の組織または細胞をホモジナイズし、可溶性画分および/または核画分を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー等で分離精製することによって、FSP1を製造することができる。
免疫原として用いられるFSP1もしくはその部分ペプチドは、公知のペプチド合成法に従って製造することもできる。
ペプチド合成法は、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれであってもよい。免疫原として用いられるFSP1を構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合し、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的とするタンパク質を製造することができる。
本発明で使用されるFSP1特異的抗体としては、動物の血中に産生されるもの、ハイブリドーマに産生されるもの、遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるもの、ファージディスプレイ法によりスクリーニングされる抗体遺伝子を含む細胞に産生されるもの、もしくは、ヒトの抗体を生産するトランスジェニックマウスから直接得られるヒト抗体などが挙げられる。
FSP1特異的抗体は当業者に公知の方法によって作製することができる。
FSP1は、哺乳動物に対して、投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。免疫原として使用するFSP1は、前記のFSP1の全長タンパク質であっても、その部分ペプチド(必要に応じて、ウシ血清アルブミン、KLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)等のキャリアータンパク質に架橋した複合体とすることもできる)であってもよい。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。用いられる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙げられるが、マウス及びラットが好ましく用いられる。
ハイブリドーマの作製に際しては、抗原を免疫された哺乳動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓又はリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、FSP1を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)又はプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体又はプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したFSP1を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相又はプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
以上のようにして、得られたFSP1特異的抗体を用いて、免疫化学的測定法によって被験者由来の生体試料における総FSP1濃度、単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度をそれぞれ測定することができる。具体的には例えば、以下のようにして実施することできる。
(1)サンドイッチELISA法、イムノクロマト法、凝集法
固相化したFSP1特異的抗体に生体試料を含む被験液を反応させ(1次反応)、さらに固相化したFSP1特異的抗体と同一または別異の標識化したFSP1特異的抗体を反応させ(2次反応)た後、標識体の活性を測定することにより被験液中の総FSP1量、多量体FSP1量または単量体FSP1量を定量することができる。
固相化したFSP1特異的抗体は、単量体FSP1および多量体FSP1の両方を認識する抗体、多量体FSP1だけを認識する抗体、単量体FSP1だけを認識する抗体のいずれであってもよい。固相化の担体としては、マイクロプレートウェル、ニトロセルロース膜、ラテックスビーズ、磁気ビーズなどを用いることができる。固相化方法は物理的に吸着させてもよいし、化学結合等で配向性を持たせてもよい。また、固相化は1次反応前に予め行ってもよいし、サンドイッチ複合体を形成した後でもよい。
標識化したFSP1特異的抗体は、抗原抗体反応物を検出しうる標識体を結合させて用いる。標識化した抗体は、固相化したFSP1特異的抗体と同一の抗体でも別異の抗体であってもよい。標識体はラジオアイソトープ、金コロイド、酵素、蛍光物質、発光物質または酵素基質等を用いることができる。また、標識体は間接的に検出を可能にする物質であっても構わない。間接的に検出を可能にする方法としては例えば、ストレプトアビジン=ビオチン反応、糖鎖=レクチン反応、核磁気共鳴反応等が挙げられる。あるいは、固相化したFSP1特異的抗体に用いられた固相が、ラテックスビーズ、磁気ビーズである場合は、2次反応に用いるFSP1特異的抗体もラテックスビーズ、磁気ビーズに固相化することによって、サンドイッチ複合体を凝集化させて、凝集物そのものの濁度を検出に利用してもよい。
生体試料中の多量体FSP1および/または単量体FSP1とFSP1特異的抗体からなるサンドイッチ複合体は、非特異的に抗体と反応した物質や未反応の抗体を除去する工程により選別される。除去方法は、界面活性剤等を含む緩衝液による洗浄工程、磁石あるいは電気化学的性質を用いた分離工程、あるいは分子篩やクロマトグラフィーのような移動度の違いによる分離工程が考えられるが、免疫複合体のみを特異的に残存させる方法であればどのような方法であっても構わない。
上記の検出手段のいずれかを用いることで免疫複合体を測定することができる。免疫複合体量は、例えば吸光度、蛍光強度、発光強度等によりその多寡を決定するが、別途濃度既知のFSP1が示す免疫複合体量との比較による定量を行なってもよいし、単純にその強度のみを定性的に比較しても構わない。
上記の測定法によって検出されるFSP1は、固相化したFSP1特異的抗体と標識化したFSP1特異的抗体がそれぞれ別異の単量体FSP1および多量体FSP1の両方を認識する抗体であった場合(例えば、一方の抗体がFSP1のEF handカルシウム結合ドメインをエピトープとして認識する抗体であり、他方の抗体がFSP1のN末端アミノ酸配列をエピトープとして認識する抗体である場合)、生体試料中の多量体FSP1と単量体FSP1の両者を検出することができる。かかる場合、固相化したFSP1特異的抗体と標識化したFSP1特異的抗体として同一の抗体(例えば、FSP1のEF handカルシウム結合ドメインをエピトープとして認識する抗体)を用いることによって、多量体FSP1のみを検出し、単量体FSP1を算出することができる。あるいは、固相化したFSP1特異的抗体として多量体FSP1のみを認識する抗体または単量体FSP1のみを認識する抗体を用いることによって直接、多量体FSP1または単量体FSP1を検出することもできる。
(2)競合法
上記サンドイッチELISA法等を測定原理とする測定法は、FSP1特異的抗体の一方または両方が1種類の多量体FSP1または単量体FSP1のみを認識する抗体のみを用いることによる競合法を測定原理とする測定法であってもよい。この場合、抗原としてFSP1またはそれと同等の抗原性を有する物質(FSP1の部分ペプチド)を、ラジオアイソトープ、金コロイド、酵素、蛍光物質、発光物質あるいは酵素基質等により標識し、マイクロプレートウェル、ニトロセルロース膜、ラテックスビーズ、磁気ビーズなどに固相化された多量体FSP1のみを認識する抗体または単量体FSP1のみを認識する抗体に対して、生物試料中のFSP1と競合させることにより、生物試料中のFSP1を測定することができる。
(3)吸収法
上記サンドイッチELISA法または競合法を用いた測定法において、多量体FSP1のみを認識する抗体または単量体FSP1のみを認識する抗体等を用い、予め生体試料中の多量体FSP1もしくは単量体FSP1のいずれか一方を該抗体等で吸収、除去する工程を経た後に、FSP1の測定を行なうことにより、除去されなかったFSP1のみを測定することもできる。
本発明の検査方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えてFSP1の測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。例えば、入江寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol.70(Immunochemical Techniques(PartA))、同書Vol.73(Immunochemical Techniques(PartB))、同書Vol.74(Immunochemical Techniques(PartC))、同書Vol.84(Immunochemical Techniques(PartD:Selected Immunoassays))、同書Vol.92(Immunochemical Techniques(PartE:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、同書Vol.121(Immunochemical Techniques(PartI:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
後述の実施例に示されるように、活動性の高い糸球体病変である半月体形成性糸球体腎炎患者と活動性の高い間質性病変である間質性腎炎または腎間質線維化患者とを比較して、半月体形成性糸球体腎炎患者では尿中FSP1は単量体型がドミナントである。また、尿中FSP1は細胞性半月体形成を認める糸球体の出現頻度と正の相関を示す。一方、間質性腎炎または腎間質線維化患者においては、尿中FSP1は多量体型がドミナントである。従って、腎炎の病変部位の判定のための検査方法は、単量体FSP1濃度と糸球体病変の罹患率、あるいは多量体FSP1濃度と間質性病変の罹患率との間のこのような正の相関に基づき行われる。
例えば、被験者からの生体試料における単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度を比較する。あるいは、単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度と糸球体病変および間質性病変の罹患の有無との相関図をあらかじめ作成しておき、被験者における単量体FSP1および多量体FSP1の濃度をその相関図と比較してもよい。濃度の比較は、好ましくは、有意差の有無に基づいて行われる。
そして、被験者において単量体FSP1濃度が多量体FSP1濃度よりも高い(単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度の総和の51%以上)場合に、腎炎の病変部位が糸球体であり、逆に多量体FSP1濃度が単量体FSP1濃度よりも高い(単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度の総和の51%以上)場合に、腎炎の病変部位が間質性組織である可能性が高いと判断することができる。あるいは腎炎の病変部位が糸球体または間質性組織である患者の生体試料における濃度に近似する場合には、腎炎の病変部位が糸球体または間質性組織である可能性が高いと判断することができる。
さらに、本発明は、腎炎の病変部位の判定の検査用試薬にも及ぶ。本発明の試薬は、上述の本発明の検査方法を簡便に実施するための試薬であればよく、特に限定されない。該検査するための試薬は、FSP1特異的抗体を含有してなる。該FSP1抗体としては、単量体FSP1および多量体FSP1の両方を認識する抗体、多量体FSP1だけを認識する抗体、単量体FSP1だけを認識する抗体が挙げられ、それらの抗体を1種類以上有することが好ましい。本発明におけるFSP1特異的抗体としては、上記検査方法において記載したものと同一のものが挙げられる。
本発明のFSP1特異的抗体は、水もしくは適当な緩衝液中に溶解した状態で提供することができる。あるいは、本発明のFSP1特異的抗体は、適当な固相に固定化された状態で提供することもできる。固相としては、例えば、マイクロプレートウェル、ニトロセルロース膜、ラテックスビーズ、磁気ビーズ等が挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明のFSP1特異的抗体は、予め上記の標識物質で標識した状態で提供することもできるし、標識物質とそれぞれ別個に提供され、用時標識して用いることもできる。
本発明の試薬は、前記抗体に加えて、単量体FSP1濃度または多量体FSP1濃度を測定するための反応において必要な他の物質であって、共存状態で保存することにより反応に悪影響を及ぼさない物質をさらに含有することができる。あるいは、該試薬は、FSP1を検出するための反応において必要な他の物質を含有する別個の試薬とともに提供されてもよい。例えば、FSP1を検出するための当該他の物質としては、反応緩衝液、ブロッキング液、酵素基質、非特異反応防止剤、防腐剤または界面活性剤等が挙げられる。
以下に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではないことは明らかである。
(実施例1)FSP1に対するモノクローナル抗体の取得とエピトープマッピング
GSTタグ配列およびHisタグ配列を有するpET-49b(+)ベクター(Novagen)に全長ヒトFSP1遺伝子を挿入することによってFSP1発現ベクターを調製した。BL21DE3コンピテント細胞を該ベクターで形質転換し、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(Takara Bio Inc.)を用いてタンパク質を誘導発現させた。発現した融合タンパク質をHisTrap HP カラム(GE Healthcare)を用いて、カラムクロマトグラフィーによって精製後、ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ(Novagen)を用いてGSTタグおよびHisタグを切断し、精製組換えヒトFSP1(rFSP1)を取得した。rFSP1(50μg/250μl)を等量のCFA(Difco Laboratories)中で乳化し、抗原として用いた。
モノクローナル抗体を生じさせるため、BALB/cマウス(雌、7週齢)(CLEA Japan Inc.)に抗原を腹腔内投与し、同様の免疫を2週間、4週間、6週間後に行った。4回目の免疫から1週間後、アジュバント無しで抗原を尾静脈中に追加接種した。追加接種から3日後、マウスから脾臓を摘出し、100-メッシュスチール網を通して、解離させた。解離した脾細胞(2x108)を、50%ポリエチレングリコール(Roche Applied Science)の存在下、同数のミエローマ細胞と融合させた。融合細胞を5%Briclone(Archport)を含む選択増殖培地中に懸濁し、96ウェル培養プレート(2x105細胞/ウェル)に播いて、定期的に培地を交換しながら培養した。ハイブリドーマコロニーを含むウェルの上清に対してダイレクトELISAを用いて特定の抗体が存在するかスクリーニングに供し、陽性ウェル由来のハイブリドーマ細胞を限定希釈によって2回クローニングした。各クローンを培地中で培養し、抗体豊富な上清を硫酸アンモニウム沈殿によって濃縮し、PBSで透析し、−80℃で保存した。
ハイブリドーマ細胞を持つ484ウェルから上清を回収し、抗体の検出を試みた。ダイレクトELISAとnative PAGEを用いて、5つの抗体が、rFSP1に結合することを見出した。これら5つのクローンのうち、高力価を有する、rFSP1に結合する2種類の抗体(F1-2およびI11-23)を選抜した。アイソタイプ解析(AbD Serotec)では、F1-2はIgG2a(κ)サブクラスに属し、I11-23 はIgG1(κ)サブクラスに属することが判った。PepSpots(JPT Peptide Technologies)を用いたエピトープマッピングでは、これら2つのモノクローナル抗体は異なるエピトープを認識し、F1-2はFSP1のN末端(配列番号:2で表されるアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号1〜12番目に該当する配列;配列番号:3)を認識し、I11-23 はEF handカルシウム結合ドメイン(配列番号:2で表されるアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号80〜92番目に該当する配列;配列番号:4)を認識することがわかった(図1)。また、ヒトFSP1とマウスFSP1を用いたエピトープ結合実験でも、F1-2はFSP1のN末端を認識し、I11-23 はEF handカルシウム結合ドメインを認識した(図2)。
(実施例2)腎疾患患者由来の試料に対するサンドイッチELISA法を用いた尿中FSP1の測定
半月体形成性糸球体腎炎患者2名、間質性腎炎患者1名、腎間質線維化患者1名から尿検体を採取した。半月体形成性糸球体腎炎患者2名のうちの1名および間質性腎炎患者からは独立に3回ずつ尿検体を採取した。また、糸球体病変の活動性が低い膜性腎症と腎硬化症からも尿検体を採取した。尿検体中のFSP1の量をサンドイッチELISA法を用いて測定した。腹水抗体から精製したI11-23抗体を固相化濃度(1.25μg/mL)で96穴マイクロプレートの各ウェルに固相化し、採取した尿検体を4倍希釈した試料100μLを該ウェルに接触させた。室温で1時間、1次反応させた後、ウェルを3回洗浄した。次に腹水抗体から精製したF1-2抗体およびI11-23抗体をそれぞれHRP標識し、2000倍希釈した標識化F1-2抗体100μLおよび4000倍希釈した標識化I11-23抗体100μLをウェルにそれぞれ接触させた。室温で1時間、2次反応させた後、ウェルを3回洗浄した。基質液100μLをウェルに接触させ、37℃で30分間反応させた。反応停止液100μLをウェルに接触させ、反応を停止させた後、反応液の吸光度を測定した。予め上記の方法によって各濃度FSP1(0,1,2,4,8,16,32,64ng/mL) 100μLを標準タンパク質溶液として吸光度とFSP1濃度の標準曲線を作成し、該標準曲線を基に得られた各検体の吸光度から各FSP1濃度(ng/mL)を推定し、併せてその差を算出した(表1)。また、活動性の高い糸球体腎炎である半月体形成性糸球体腎炎(A1-3、D)および活動性の高い間質性腎炎である間質性腎炎、腎間質線維化(B1-3、C)については、多量体FSP1濃度と単量体FSP1濃度の割合をグラフとして表示した(図3)。
Figure 0006183920
表1または図3の通り、活動性の高い糸球体病変患者である半月体形成性糸球体腎炎患者においては、多量体FSP1濃度と単量体FSP1濃度の総和を100%とした場合、単量体FSP1濃度の割合はそれぞれ、約84.1%(A1)、約73.3%(A2)、約81.3%(A3)、約82.2%(D)であった。一方、活動性の高い間質性病変患者である、間質性腎炎または腎間質線維化患者においては、多量体FSP1濃度と単量体FSP1濃度の総和を100%とした場合、多量体FSP1濃度の割合はそれぞれ、約89.2%(B1)、約89.7%(B2)、約97.3%(B3)、約92.8%(C)であった。また、活動性の低い糸球体病変患者(E,F,G,H,I)においては、単量体FSP1濃度、多量体FSP濃度共に小さく、FSP1の漏出が少なかった。
同一のエピトープを認識する固相化I11-23抗体と標識化I11-23抗体によってFSP1が検出されるという結果は、間質性病変である間質性腎炎および腎間質線維化患者の尿中では多量体FSP1が存在し、また単量体FSP1よりも存在比が高いことから、それがドミナントであることを示唆している。一方、異なるエピトープを認識する固相化I11-23抗体と標識化F1-2抗体によってFSP1が検出されるという結果は、糸球体病変である半月体形成性糸球体腎炎患者の尿中では単量体FSP1が存在し、また多量体FSP1よりも存在比が高いことから、それがドミナントであることを示唆している。従って、尿検体中のFSP1が多量体としてドミナントであるか単量体としてドミナントであるかが、腎炎の病変部位と相関することを確認できた。
本発明の検査方法およびそのための試薬は、腎炎患者または腎炎であることが疑われる被験者の病変部位の判定を迅速かつ簡便ならしめることができる。
本願は日本で出願された特願2012-247896(出願日:2012年11月9日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (7)

  1. 以下の工程を含むことを特徴とする、腎炎の病変部位の検査方法:
    (1)腎炎患者又は腎炎を発症していることが疑われる患者である被験者由来の尿試料における総FSP1濃度、単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度のうちいずれか2つ以上を測定する工程、
    (2)被験者由来の尿試料における単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度を比較する工程、
    (3)工程(2)における比較の結果を、被験者由来の尿試料において単量体型FSP1がドミナントである場合に、腎炎の病変部位が糸球体であり、逆に多量体型FSP1がドミナントである場合に、腎炎の病変部位が間質性組織であるという基準と比較する工程。
  2. 総FSP1濃度、単量体FSP1濃度および多量体FSP1濃度の測定が、免疫化学的測定法によって測定されることを特徴とする、請求項1に記載の検査方法。
  3. (1)において、被験者由来の尿試料における総FSP1濃度及び多量体FSP1濃度を測定することを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の検査方法。
  4. (a) 固相化したFSP1特異的抗体と標識化したFSP1特異的抗体を含む、多量体FSP1と単量体FSP1の両者を検出するための試薬であって、固相化したFSP1特異的抗体と標識化したFSP1特異的抗体とが、それぞれ別異の、単量体FSP1及び多量体FSP1の両方を認識する抗体である、試薬;及び
    (b) 固相化したFSP1特異的抗体と標識化したFSP1特異的抗体を含む、多量体FSP1のみを検出するための試薬であって、固相化したFSP1特異的抗体と標識化したFSP1特異的抗体とが同一の抗体である、試薬
    を含む、腎炎の病変部位を判定するための試薬。
  5. (b)の試薬に含まれるFSP1特異的抗体が、FSP1のEF handカルシウム結合ドメインをエピトープとして認識する、請求項に記載の試薬。
  6. (a) 固相化したFSP1特異的抗体と標識化したFSP1特異的抗体を含む、多量体FSP1と単量体FSP1の両者を検出するための試薬であって、一方の抗体がFSP1のEF handカルシウム結合ドメインをエピトープとして認識する抗体であり、他方の抗体がFSP1のN末端アミノ酸配列をエピトープとして認識する抗体である、試薬;及び
    (b) 固相化したFSP1特異的抗体と標識化したFSP1特異的抗体を含む、多量体FSP1のみを検出するための試薬であって、両方の抗体がFSP1のEF handカルシウム結合ドメインをエピトープとして認識する抗体である、試薬
    を含む、腎炎の病変部位を判定するための試薬。
  7. 判定される腎炎の病変部位が、糸球体または間質組織である請求項のいずれか1項に記載の試薬。
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