JPH08111968A - 永久磁石式同期電動機 - Google Patents

永久磁石式同期電動機

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JPH08111968A
JPH08111968A JP6246141A JP24614194A JPH08111968A JP H08111968 A JPH08111968 A JP H08111968A JP 6246141 A JP6246141 A JP 6246141A JP 24614194 A JP24614194 A JP 24614194A JP H08111968 A JPH08111968 A JP H08111968A
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core
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Hiroki Matsubara
浩樹 松原
Yoichi Ikeda
洋一 池田
Haruyuki Yonetani
晴之 米谷
Moichi Sakabe
茂一 阪部
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多極着磁されたリング状永久磁石を有する回
転子を備えた永久磁石式同期電動機において、必要なト
ルクを発生する有効磁束を減少させることなくコギング
トルクを小さくできかつ小形で高効率の永久磁石式同期
電動機を得ること。 【構成】 固定子鉄心の歯23の内径部の曲率半径Rを
固定子鉄心30の内径Dより大きくすると共に、回転子
31に極異方性のリング状永久磁石25を用い、着磁後
の表面磁束波形がほぼ正弦波形となるように着磁する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、サーボモータや可変
速電動機として使用される多極着磁されたリング状永久
磁石を有する回転子を備えた永久磁石式同期電動機に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】図11〜図17は従来例を示し、図11
は多極着磁されたリング状永久磁石を有する回転子を備
えた永久磁石式同期電動機の固定子鉄心と回転子の構成
を示す断面図、図12はラジアル方向異方性のリング状
永久磁石の磁化方向を示す機能説明図、図13はラジア
ル方向異方性のリング状永久磁石をスキュー着磁せずに
多極着磁し、固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径R=9
および固定子鉄心の内径D=18の場合のリング状永久
磁石表面の磁束波形図、図14は図13の磁束波形に対
応する逆起電圧波形図、図15は図14の逆起電圧波形
を周波数分析したスペクトラム図、図16は図14の逆
起電圧波形に対応するコギングトルク波形図、図17は
ラジアル方向異方性のリング状永久磁石にスキュー着磁
をした場合の磁極の分布を示す機能説明図である。
【0003】図において、1は磁束を通すことのできる
材料で作られたシャフト、2はラジアル方向異方性のリ
ング状永久磁石、3,3aは固定子鉄心の歯、4,4
a,4bはコイルを収納するスロット、5は複数のコイ
ルの1つを示し固定子の歯3aに巻回され隣り合うスロ
ット4a,4bに収納されたコイル、6はコイル5を保
護するための絶縁紙、7は多極着磁されたリング状永久
磁石の磁束の道、8は固定子鉄心のコアバック、9は空
隙、10は固定子鉄心である。
【0004】次に、前述した従来の永久磁石式同期電動
機についてその動作を説明する。ラジアル方向異方性の
リング状永久磁石2は、その着磁の容易な方向は図12
に示すように、リング状永久磁石の中心から外部へ向う
放射状の方向である。したがって、多極着磁されたラジ
アル方向異方性のリング状永久磁石2のある極から出た
磁束7はシャフト1の内部を通って隣の極へ到達するこ
ととなる。そして多極着磁されたラジアル方向異方性の
リング状永久磁石2の表面の磁束波形は図14に示すよ
うにほぼ台形波形となってしまい、ラジアル方向異方性
のリング状永久磁石を正弦波状に着磁することは極めて
難しいものである。このような磁束波形を有する多極着
磁されたラジアル方向異方性のリング状永久磁石2とシ
ャフト1から構成される回転子が固定子鉄心10の内側
で空隙9を隔てて回転した場合、コイル5に誘起される
逆起電圧波形は図14に示されるようにほぼ正弦波形と
なるが、周波数分析してみると図15に示すように基本
波成分(イ)以外に大きな調波成分(ロ)や(ハ)を含
んでいることが分る。そしてこの調波成分によって発生
するコギングトルクは図16に示すように極めて大きな
ものとなる。ところで、この大きなコギングトルクを減
少させる手段としては一般的にはスキュー着磁という方
法を用いて、図17に示すように磁極の境界をリング状
永久磁石の中心線と平行でなく斜めにし、極磁の急激な
変化を緩和することが行われている。しかし、この方法
では必要なトルクを発生する有効磁束までも減少させて
しまい、永久磁石式同期電動機の小形化や高効率化には
相反する条件となってしまう欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の永久磁石式同期
電動機においては、ラジアル方向異方性のリング状永久
磁石を用いていたためにコギングトルクが大きくなり、
そのために電動機の発生する振動が大きくなるという欠
点があった。そしてこのコギングトルクを減少させるた
めにスキュー着磁を行っていたが、この方法では必要な
トルクを発生する有効磁束までも減少させてしまうこと
になり、永久磁石式同期電動機の小形化や高効率化が極
めて難しいという不具合があった。
【0006】この発明はかかる問題点を解決するために
なされたものであり、磁束を通すコアバック、複数の
歯、および前記コアバックと複数の歯とに囲まれコイル
を収納する複数のスロットを有する固定子鉄心と、多極
着磁されたリング状永久磁石を有する回転子と、を備え
た永久磁石式同期電動機において、必要なトルクを発生
する有効磁束を減少させることなくコギングトルクを小
さくできる永久磁石式同期電動機を得ることを目的とし
ている。
【0007】さらに、コイルを高密度に巻回して小形、
高効率とすることのできる永久磁石式同期電動機を得る
ことを目的としている。
【0008】そして、固定子鉄心のコアバックの面積を
最小限として小形、高効率とすることのできる永久磁石
式同期電動機を得ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係わる永久磁
石式同期電動機においては、固定子鉄心の歯の内径部の
曲率半径を固定子鉄心の内径より大きくしたものであ
る。
【0010】また、多極着磁されたリング状永久磁石
は、極異方性磁石を用い着磁後の表面磁束波形がほぼ正
弦波形となるように着磁したものである。
【0011】また、固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径
を固定子鉄心の内径より大きくし、かつ多極着磁された
リング状永久磁石として極異方性磁石を用い着磁後の表
面磁束波形がほぼ正弦波形となるように着磁したもので
ある。
【0012】また、固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径
をR、固定子鉄心の内径をDとするとき、これらの関係
を1.2×D<R<2.5×Dとしたものである。
【0013】さらに、固定子鉄心の歯の歯幅を一定と
し、この固定子の歯を挟んで隣り合うそれぞれのスロッ
トの固定子鉄心のコアバックに面する辺と固定子鉄心の
内径に面する辺とを共に前記固定子鉄心の歯に垂直にし
たものである。
【0014】そして、固定子鉄心の外形は固定子鉄心の
歯に対応した位置に辺を持ち、固定子鉄心の歯と同数の
辺を有する多角形としたものである。
【0015】
【作用】この発明に係わる永久磁石式同期電動機におい
ては、固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径を固定子鉄心
の内径より大きくしたので、空隙でのエネルギー変化を
緩やかにしコイルに誘起される逆起電圧に含まれる調波
成分を少なくすることになる。
【0016】また、多極着磁されたリング状永久磁石
は、極異方性磁石を用い着磁後の表面磁束波形がほぼ正
弦波形となるように着磁したので、調波成分の無い基本
波成分のみがコイルに誘起されることになる。
【0017】また、固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径
を固定子鉄心の内径より大きくし、かつ多極着磁された
リング状永久磁石として極異方性磁石を用い着磁後の表
面磁束波形がほぼ正弦波形となるように着磁したので、
空隙でのエネルギー変化を緩やかにしコイルに誘起され
る逆起電圧に含まれる調波成分を少なくすると共に調波
成分の無い基本波成分のみがコイルに誘起されることに
なる。
【0018】また、固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径
をR、固定子鉄心の内径をDとするとき、これらの関係
を1.2×D<R<2.5×Dとしたので、空隙でのエ
ネルギー変化を緩やかにしコイルに誘起される逆起電圧
に含まれる調波成分を少なくすることを最適に行うこと
になる。
【0019】さらに、固定子鉄心の歯の歯幅を一定と
し、この固定子の歯を挟んで隣り合うそれぞれのスロッ
トの固定子鉄心のコアバックに面する辺と固定子鉄心の
内径に面する辺とを共に前記固定子鉄心の歯に垂直にし
たので、コイルを整列して巻回することになる。
【0020】そして、固定子鉄心の外形は固定子鉄心の
歯に対応した位置に辺を持ち、固定子鉄心の歯と同数の
辺を有する多角形としたので、コアバックの磁路の寸法
を均一にすることになる。
【0021】
【実施例】
実施例1.図1〜図4を用いて、固定子鉄心の歯の内径
部の曲率半径と固定子鉄心の内径の関係に関するこの発
明の一実施例を説明する。図1は多極着磁されたリング
状永久磁石を有する回転子を備えた永久磁石式同期電動
機の固定子鉄心と回転子の構成を示す断面図、図2はブ
レーキを付属した永久磁石式同期電動機の全体構成図、
図3は固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径と固定子鉄心
の内径の関係を示す部分断面図、図4は固定子鉄心の歯
の内径部の曲率半径と固定子鉄心の内径の関係がコギン
グトルクに及ぼす影響を示す特性図である。
【0022】図において、従来例と同一符号は同一また
は相当部分を示し、21はシャフト、22は極異方性の
のリング状永久磁石、23,23aは固定子鉄心の歯、
24は固定子鉄心の歯23の一部で固定子鉄心の歯の内
径部突起、25は非磁性体の樹脂などで作られたスペー
スリング、26は固定子鉄心の内径を示す仮想線、27
は多極着磁されたリング状永久磁石の磁束の道、30は
固定子鉄心で複数の固定子鉄心の歯23、複数のスロッ
ト4、コアバック8を有している。31は回転子でシャ
フト21、スペースリング25、極異方性のリング状永
久磁石22を有している。41aおよび41bはそれぞ
れ負荷側および反負荷側のブラケット、42aおよび4
2bはそれぞれ固定子鉄心に負荷側41aおよび反負荷
側のブラケット41bを支えるための負荷側および反負
荷側の端板、43aおよび43bはそれぞれ負荷側およ
び反負荷側のベアリング、44はブレーキである。
【0023】次に、この実施例の永久磁石式同期電動機
の動作を説明する。極異方性のリング状永久磁石22
は、その着磁の容易な方向は図1に示す多極着磁された
リング状永久磁石の磁束の道27と同じ方向となる。し
たがって従来例のラジアル方向異方性リング状永久磁石
と異なり、多極着磁されたリング状永久磁石の磁束は極
異方性のリング状永久磁石22の内側には通らないた
め、極異方性のリング状永久磁石22の内側に設けられ
る構造材の材料としては透磁率の高い炭素鋼を用いる必
要がなく、非磁性体の樹脂などで作られたスペースリン
グ25を用いている。このことは図2に示す回転子31
の慣性モーメントを下げたり、ブレーキ44からの漏れ
磁束が極異方性のリング状永久磁石22に影響を及ぼす
のを防ぐ効果を持っている。
【0024】図3において、固定子鉄心の歯23の先端
に設けられている固定子鉄心の歯の内径部突起24はコ
イル5を収納するスロット4を形成する役目を持つと共
に、多極着磁されたラジアル方向異方性のリング状永久
磁石2または多極着磁された極異方性のリング状永久磁
石22が発生した磁束を固定子鉄心の歯3または23に
通過させる場合の磁束の調波含有率に大きな影響を与え
る。すなわち、固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径を
R、固定子鉄心の内径26をDとすると、従来例のごと
くR=0.5×Dとした場合には、固定子鉄心の歯の内
径部突起24の存在する部分とスロット4の開口部との
パーミアンス変化が大きいため、空隙9でのエネルギー
の変化が急激になりコギングトルクが大きくなる。そこ
で、R>Dとすることにより、固定子鉄心の歯23の中
心部から内径部突起24の先端に向かって徐々に等価空
隙長を大きくしてやれば、パーミアンスの変化が小さく
なって空隙9でのエネルギーの変化が小さくなりコギン
グトルクが小さくなる。
【0025】図4は横軸に固定子鉄心の歯23の内径部
の曲率半径Rを固定子鉄心の内径Dの関数としてとり、
縦軸にコギングトルクの振幅を相対値としてとったもの
である。この図から分るように、R=1.8×Dのとき
がコギングトルクの振幅は最も小さく、従来例のごとく
R=0.5×DのときはR=1.8×Dのときの2.7
倍以上あることが分る。また反対に曲率半径Rの値が
1.8×Dを越えてさらに大きくなると、こんどは再び
高調波を含むようになりコギングトルクの振幅は再び増
加してくる。したがって、曲率半径Rの値としては、曲
率半径Rの値が変化してもコギングトルクの振幅があま
り変化しない範囲、すなわち1.2×D<R<2.5×
Dを選ぶことが最も効果的である。
【0026】実施例2.図5〜図8を用いて、極異方性
のリング状永久磁石を用いて着磁後のリング状永久磁石
の表面磁束波形をほぼ正弦波形となるように着磁するこ
とに関するこの発明の一実施例を説明する。図5は極異
方性のリング状永久磁石を着磁後のリング状永久磁石の
表面磁束波形が正弦波形より多少内細りとなるように多
極着磁し、固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径R=40
および固定子鉄心の内径D=18の場合のリング状永久
磁石表面の磁束波形図、図6は図5の磁束波形に対応す
る逆起電圧波形図、図7は図6の逆起電圧波形を周波数
分析したスペクトラム図、図8は図6の逆起電圧波形に
対応するコギングトルク波形図である。
【0027】図において同一符号は同一または相当部分
を示し、17は比較のために破線で示した理想的な正弦
波形、18は正弦波形より多少内細りとした着磁後のリ
ング状永久磁石の表面磁束波形である。このような磁束
波形を有する多極着磁された極異方性のリング状永久磁
石22を有する回転子31が固定子鉄心30の内側で空
隙9を隔てて回転した場合、コイル5に誘起される逆起
電圧波形は図6に示されるようにほとんど正弦波形とな
り、周波数分析してみると図7に示すように基本波成分
(イ)以外には小さな調波成分(ロ)だけが存在してい
る。そしてこの調波成分によって発生するコギングトル
クは図8から分るように小さく、図16に示す従来例で
のコギングトルクに比べると約1/5になっている。
【0028】ところで、図8に示すコギングトルクは、
極異方性のリング状永久磁石22を用いて着磁後のリン
グ状永久磁石の表面磁束波形が正弦波形より多少内細り
となるようにした効果と固定子鉄心の歯の内径部の曲率
半径Rと固定子鉄心の内径Dとの関係をR=2.22×
Dとした効果の2つの効果により、図16に示す従来例
でのコギングトルクに比べると約1/5になっている。
他方、図4から曲率半径Rと固定子の内径Dとの関係を
R=2.22×Dとした効果は図16に示す従来例での
コギングトルクを約1/3にするものと推定される。し
たがって、極異方性のリング状永久磁石22を用いて着
磁後のリング状永久磁石の表面磁束波形が正弦波形より
多少内細りとなるようにした効果はそれ単独では図16
に示す従来例でのコギングトルクを約3/5にするもの
であることが分る。
【0029】実施例3.図9を用いて、固定子鉄心のス
ロットの形状に関するこの発明の一実施例を説明する。
図9は固定子鉄心の歯、スロット、およびコアバックの
形状を示す断面図である。図において同一符号は同一ま
たは相当部分を示し、33,33aは複数ある歯幅が一
定な固定子鉄心の歯、34a,34bは固定子鉄心の歯
の一つである33aを挟んで隣り合うスロット、35
a,35bはそれぞれスロット34a,34bのコアバ
ック38に面する辺、36a,36bはそれぞれスロッ
ト34a,34bの固定子鉄心の内径に面する辺、37
a,37bはそれぞれスロット34a,34bの固定子
鉄心の歯33aに面する辺、45は整列巻されたコイル
である。
【0030】ここで、スロット34a,34bのコアバ
ック38に面する辺35a,35b、および固定子鉄心
の内径に面する辺36a,36bは共に固定子鉄心の歯
33aに面する辺37a,37bに垂直に設けられてい
る。したがって、コアバック38に面する辺35aと固
定子鉄心の内径に面する辺36aと固定子鉄心の歯33
aに面する辺37aとに囲まれたスロット34aの部
分、およびコアバック38に面する辺35bと固定子鉄
心の内径に面する辺36bと固定子鉄心の歯33aに面
する辺37bとに囲まれたスロット34bの部分は、固
定子鉄心30の中心から放射状に引いた固定子鉄心の歯
33aの中心線(ハ)に対して線対象に配置される。
【0031】このため、図1に示す固定子鉄心の歯23
aに巻回されているコイル5ではスロット4a,4bの
それぞれの上下2つの辺が固定子鉄心の歯23aに垂直
でないためにコイル5を整列して巻回することができな
いのに対して、この実施例に示す固定子鉄心の歯33に
巻回されたコイル45では図に示すように整列巻するこ
とができる。したがって、同じスロットの断面積に対し
ては従来のものより高密度に巻回してコイルの導体面積
を増して損失を下げることができ、永久磁石式同期電動
機の小形化や高効率化を図ることができる。
【0032】実施例4.図9〜図10を用いて、固定子
鉄心の外形に関するこの発明の一実施例を説明する。図
10は固定子鉄心のスロット、コアバック、および外形
の形状を示す断面図である。図において同一符号は同一
または相当部分を示し、39はコアバック、40は固定
子鉄心の外形の一辺、50は固定子鉄心である。図9に
示す固定子鉄心30の場合はその外形は丸形状であるた
め、コアバック38の磁束が通る断面は固定子鉄心の歯
33aが位置する部分(イ)で広く、スロット34a,
34bの中央部(ロ)で狭い形状となっている。したが
って、有効な磁束の通ることのできる断面はスロット3
4a,34bの中央部(ロ)で制約され、固定子鉄心の
歯33aが位置する部分(イ)は余分な面積を有してい
ることになる。
【0033】そこで、図10に示す固定子鉄心50は、
その外形が固定子鉄心の歯33に対向して固定子鉄心の
歯33の数と同じ数の辺40を有するものである。固定
子鉄心の歯33aに対向する外形の一辺40aはスロッ
ト34aのコアバック39に面する辺35a、およびス
ロット34bのコアバック39に面する辺35bとに平
行に設けられている。したがって、コアバック39の有
効な磁束の通ることのできる断面は、固定子鉄心の歯3
3aが位置する部分(イ)およびスロット34a,34
bの中央部(ロ)とも同じ断面積となり、均一なコアバ
ック断面積となる。このように固定子鉄心の外形部分で
コアバックとして有効な磁束を通すための断面積以外の
余分な断面積を取り除くことができるので、小形にする
ことができる。
【0034】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように構成さ
れているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0035】固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径を固定
子鉄心の内径より大きくしたので、空隙でのエネルギー
変化を緩やかにしコイルに誘起される逆起電圧に含まれ
る調波成分を少なくすることになり、必要なトルクを発
生する有効磁束を減少させることなくコギングトルクを
小さくできる効果がある。
【0036】また、多極着磁されたリング状永久磁石
は、極異方性磁石を用い着磁後の表面磁束波形がほぼ正
弦波形となるように着磁したので、調波成分の無い基本
波成分のみがコイルに誘起されることになり、必要なト
ルクを発生する有効磁束を減少させることなくコギング
トルクを小さくできる効果がある。
【0037】また、固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径
を固定子鉄心の内径より大きくし、かつ多極着磁された
リング状永久磁石として極異方性磁石を用い着磁後の表
面磁束波形がほぼ正弦波形となるように着磁したので、
空隙でのエネルギー変化を緩やかにしコイルに誘起され
る逆起電圧に含まれる調波成分を少なくすると共に調波
成分の無い基本波成分のみがコイルに誘起されることに
なり、必要なトルクを発生する有効磁束を減少させるこ
となくコギングトルクをより小さくできる効果がある。
【0038】また、固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径
をR、固定子鉄心の内径をDとするとき、これらの関係
を1.2×D<R<2.5×Dとしたので、空隙でのエ
ネルギー変化を緩やかにしコイルに誘起される逆起電圧
に含まれる調波成分を少なくすることを最適に行うこと
になり、必要なトルクを発生する有効磁束を減少させる
ことなくコギングトルクを最適に小さくできる効果があ
る。
【0039】さらに、固定子鉄心の歯の歯幅を一定と
し、この固定子の歯を挟んで隣り合うそれぞれのスロッ
トの固定子鉄心のコアバックに面する辺と固定子鉄心の
内径に面する辺とを共に前記固定子鉄心の歯に垂直にし
たので、コイルを整列して巻回することになり、コイル
を高密度に巻回して小形、高効率とすることのできる効
果がある。
【0040】そして、固定子鉄心の外形は固定子鉄心の
歯に対応した位置に辺を持ち、固定子鉄心の歯と同数の
辺を有する多角形としたので、コアバックの磁路の寸法
を均一にすることになり、固定子鉄心のコアバックの面
積を最小限として小形、高効率とすることのできる効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1による永久磁石式同期電
動機の固定子鉄心と回転子の構成を示す断面図である。
【図2】 この発明の実施例1によるブレーキを付属し
た永久磁石式同期電動機の全体構成図である。
【図3】 この発明の実施例1による固定子鉄心の歯の
内径部の曲率半径と固定子鉄心の内径の関係を示す部分
断面図である。
【図4】 この発明の実施例1による固定子鉄心の内径
と歯の内径部の曲率半径とコギングトルクとの関係を示
す特性図である。
【図5】 この発明の実施例2による着磁後のリング状
永久磁石表面の磁束波形図である。
【図6】 この発明の実施例2による図5の磁束波形に
対応する逆起電圧波形図である。
【図7】 この発明の実施例2による図6の逆起電圧波
形を周波数分析したスペクトラム図である。
【図8】 この発明の実施例2による図6の逆起電圧波
形に対応するコギングトルク波形図である。
【図9】 この発明の実施例3による固定子鉄心の歯、
スロット、およびコアバックの形状を示す断面図であ
る。
【図10】 この発明の実施例4による固定子鉄心のス
ロット、コアバック、および外形の形状を示す断面図で
ある。
【図11】 従来の永久磁石式同期電動機の固定子鉄心
と回転子の構成を示す断面図である。
【図12】 従来のラジアル方向異方性のリング状永久
磁石の磁化方向を示す機能説明図である。
【図13】 従来の着磁後のリング状永久磁石表面の磁
束波形図である。
【図14】 従来の図13の磁束波形に対応する逆起電
圧波形図である。
【図15】 従来の図14の逆起電圧波形を周波数分析
したスペクトラム図である。
【図16】 従来の図14の逆起電圧波形に対応するコ
ギングトルク波形図である。
【図17】 従来のスキュー着磁をした場合の磁極の分
布を示す機能説明図である。
【符号の説明】
2 ラジアル方向異方性リング状永久磁石、4,4a,
4b,34a.34bスロット、5,45 コイル、
8,38,39 コアバック、23,23a,33,3
3a 固定子鉄心の歯、24 固定子鉄心の歯の内径部
突起、25 極異方性リング状永久磁石、26 固定子
鉄心の内径、30,50 固定子鉄心、31 回転子、
35a,35b スロットの固定子鉄心のコアバックに
面する辺、36a,36b スロットの固定子鉄心の内
径に面する辺、37a,37bスロットの固定子鉄心の
歯に面する辺、40,40a 固定子鉄心の外形の一
辺。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪部 茂一 尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機 株式会社中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁束を通すコアバック、複数の歯、およ
    び前記コアバックと複数の歯とに囲まれコイルを収納す
    る複数のスロットを有する固定子鉄心と、多極着磁され
    たリング状永久磁石を有する回転子と、を備えた永久磁
    石式同期電動機において、前記固定子鉄心の歯の内径部
    の曲率半径を固定子鉄心の内径より大きくしたことを特
    徴とする永久磁石式同期電動機。
  2. 【請求項2】 磁束を通すコアバック、複数の歯、およ
    び前記コアバックと複数の歯とに囲まれコイルを収納す
    る複数のスロットを有する固定子鉄心と、多極着磁され
    たリング状永久磁石を有する回転子と、を備えた永久磁
    石式同期電動機において、上記多極着磁されたリング状
    永久磁石は極異方性磁石を用い着磁後の表面磁束波形が
    ほぼ正弦波形となるように着磁したことを特徴とする永
    久磁石式同期電動機。
  3. 【請求項3】 固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径を固
    定子鉄心の内径より大きくしたことを特徴とする請求項
    第2記載の永久磁石式同期電動機。
  4. 【請求項4】 固定子鉄心の歯の内径部の曲率半径を
    R、固定子鉄心の内径をDとするとき、1.2×D<R
    <2.5×Dとしたことを特徴とする請求項第1または
    3記載の永久磁石式同期電動機。
  5. 【請求項5】 固定子鉄心の歯は歯幅が一定であり、こ
    の固定子鉄心の歯を挟んで隣り合うそれぞれのスロット
    の固定子鉄心のコアバックに面する辺と固定子鉄心の内
    径に面する辺とを共に前記固定子鉄心の歯に垂直にした
    ことを特徴とする請求項第1,3または4記載の永久磁
    石式同期電動機。
  6. 【請求項6】 固定子鉄心の外形は固定子鉄心の歯に対
    応した位置に辺を持ち固定子鉄心の歯と同数の辺を有す
    る多角形としたことを特徴とする請求項第1,3,4ま
    たは5記載の永久磁石式同期電動機。
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