JPH08110523A - 液晶表示素子用スペーサー及び液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子用スペーサー及び液晶表示素子

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Publication number
JPH08110523A
JPH08110523A JP24406494A JP24406494A JPH08110523A JP H08110523 A JPH08110523 A JP H08110523A JP 24406494 A JP24406494 A JP 24406494A JP 24406494 A JP24406494 A JP 24406494A JP H08110523 A JPH08110523 A JP H08110523A
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JP
Japan
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liquid crystal
crystal display
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monomer
display element
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Application number
JP24406494A
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English (en)
Inventor
Toichi Yamada
都一 山田
Susumu Tanaka
進 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液晶とスペーサーの界面における液晶分子の
異常配向を防止し、しかも表示コントラストを向上させ
ることのできる液晶表示素子用スペーサー及び液晶表示
素子を得る。 【構成】 3個以上のエチレン性不飽和基を有する単量
体100〜60重量%と2個のエチレン性不飽和基を有
する単量体0〜40重量%とからなる単量体100重量
部と、(メタ)アクリロニトリル5〜50重量部と、顔
料とを混合し、これを水性媒体中に微粒子状に懸濁させ
重合して得られる着色重合体微粒子4の表面に、一般式
1 SiX3 (但し、R1 は1〜5デバイのダイポール
モーメントを有する基、Xはハロゲン又は炭素数1〜4
のアルコキシ基である)で表される有機シラン化合物1
から得られた被膜を形成して目的の液晶表示素子用スペ
ーサー6を得る。また、このスペーサーを用いて目的の
液晶表示素子を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、優れた表示品質が得
られる液晶表示素子用スペーサー及び液晶表示素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、一般に配向層を形成し
た透明電極基板をスペーサーを介して所定の間隙に対向
配置して周辺をシールし、その間隙に液晶を注入し封止
して製造される。スペーサーは、電極基板間の間隙を均
一にするために必要である。
【0003】この種の液晶表示素子において、スペーサ
ーの近傍で液晶分子の異常配向が起こると、液晶表示素
子の画面上で明点又は暗点(これ等がスペーサー間で互
いにつながって、あたかも白い線が多く連結しているよ
うに見えることがあり、これはディスクリネーション線
と呼ばれる)が生じ、画面の表示品質が低下する。特
に、スーパーツイスト(STN)型液晶表示素子におい
ては、この現象が起こりやすい。
【0004】液晶分子とスペーサーとの界面において、
液晶分子の垂直配向を充分に行わせることができれば、
上記の明点又は暗点を消去することができ、その結果、
液晶表示素子の表示品質を飛躍的に向上させることが可
能となる。
【0005】液晶分子とスペーサーとの界面における液
晶分子の水平配向を起こらないようにし、かつ液晶分子
の垂直配向を促進するための方法がいくつか提案されて
いる。例えば、特開昭64−59212号公報、特開平
2−297523号公報には、ガラスファイバー、シリ
カ、アルミナ等の無機スペーサーの表面を、有機シラン
化合物(シランカップリング剤)で処理することによ
り、液晶分子を垂直配向させる方法が提案されている。
しかし、従来方法では、液晶分子を垂直配向させるには
不充分である。
【0006】また、プラスチック微粒子からなるスペー
サーも知られており、例えば、特開昭57−18911
7号公報には、このようなプラスチック微粒子からなる
スペーサーを用いて液晶表示素子の表示コントラストを
向上させるために、着色したプラスチック微粒子からな
る着色スペーサーを用いた液晶表示素子が提案されてい
る。
【0007】この種の着色プラスチック微粒子は、一般
にエチレン性不飽和基を有する単量体を顔料の存在下で
水性媒体中で懸濁重合して製造されるが、従来方法で
は、着色重合体微粒子の内部に顔料を均一に分散させる
ことが難しく、微粒子の着色濃度が薄かったり或いは着
色微粒子に着色されていない微粒子が混在したりして、
濃色で均一に着色された着色重合体微粒子は得られず、
そのため液晶表示素子の表示コントラストを向上させる
には不充分である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を解決するものであり、その目的とするところは、液
晶分子を垂直配向させることにより、液晶分子とスペー
サーとの界面における液晶分子の異常配向を防止し、し
かもスペーサーを濃色で均一に着色することにより、表
示コントラストを向上させることのできる液晶表示素子
用スペーサー及び液晶表示素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、3個以上
のエチレン性不飽和基を有する単量体100〜60重量
%と2個のエチレン性不飽和基を有する単量体0〜40
重量%とからなる単量体100重量部と、(メタ)アク
リロニトリル5〜50重量部と、顔料とを混合し、これ
を水性媒体中に微粒子状に懸濁させ重合して得られる着
色重合体微粒子の表面に、一般式R1 SiX3 (但し、
1 は1〜5デバイのダイポールモーメントを有する
基、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基
である)で表される有機シラン化合物から得られる被膜
が形成されている液晶表示素子用スペーサーを用いるこ
とによって、達成することができる。
【0010】また、上記の目的は、3個以上のエチレン
性不飽和基を有する単量体100〜60重量%と2個の
エチレン性不飽和基を有する単量体0〜40重量%とか
らなる単量体100重量部と、(メタ)アクリロニトリ
ル5〜50重量部と、顔料とを混合し、これを水性媒体
中に微粒子状に懸濁させ重合して得られる着色重合体微
粒子の表面に、一般式R1 SiX3 (但し、R1 は1〜
5デバイのダイポールモーメントを有する基、Xはハロ
ゲン原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基である)で表
される有機シラン化合物と、一般式R2 SiX3 (但
し、R2 は炭素数1〜21のアルキル基、Xはハロゲン
原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基である)で表され
る有機シラン化合物との混合物から得られる被膜が形成
されている液晶表示素子用スペーサーを用いることによ
って、達成することができる。
【0011】この発明で用いる3個以上のエチレン性不
飽和基を有する単量体としては、テトラメチロールメタ
ンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタ
ントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン
テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メ
タ)アクリレート、トリアリル(イソ)シアヌレート、
トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
【0012】また、この発明で用いる2個のエチレン性
不飽和基を有する単量体としては、ジビニルベンゼン、
1,4−ジビニロキシブタン、ジビニルスルホン、ジア
リルフタレート、ジアリルアクリルアミド、(ポリ)エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0013】そして、この発明では、上記3個以上のエ
チレン性不飽和基を有する単量体100〜60重量%、
好ましくは90〜70重量%と、2個のエチレン性不飽
和基を有する単量体0〜40重量%、好ましくは10〜
30重量%とからなる単量体を用いる。
【0014】3個以上のエチレン性不飽和基を有する単
量体が60重量%を下回ると、重合体の架橋構造が少な
くなり、得られる着色重合体微粒子の機械的強度や耐溶
剤性が低下する。一方、この3個以上のエチレン性不飽
和基を有する単量体が多くなると、その重合性が低下す
る傾向にあり、これを改善するため及び重合体の架橋度
を調整するために、2個のエチレン性不飽和基を有する
単量体を40重量%以下の範囲で使用する場合がある。
【0015】上記単量体の種類及びその使用量は極めて
重要であって、この割合を外れると、これに(メタ)ア
クリロニトリルを適量使用しても、単量体中に顔料を均
一に分散させることが難しくなる。
【0016】この発明で用いる(メタ)アクリロニトリ
ルは、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルを意味
する。この(メタ)アクリロニトリルは、上記2種の単
量体の合計100重量部に対して5〜50重量部、好ま
しくは10〜40重量部使用する。この(メタ)アクリ
ロニトリルの使用量が5重量部未満では、単量体中の顔
料の分散性が低下し、逆に(メタ)アクリロニトリルの
使用量が50重量部を越えると、エチレン性不飽和基を
有する単量体の量が相対的に少なくなって、得られる着
色重合体微粒子の機械的強度が低下する。
【0017】また、この発明で用いる顔料は、市販され
ている通常の有機顔料、無機顔料のいずれであってもよ
く、これ等の顔料は、単独で或いは2種以上を混合して
使用される。顔料の粒径は、平均粒径で1μm 以下が好
ましく、0.05〜0.5μm がより好ましい。
【0018】有機顔料としては、キナクリドンレッド、
パラレッド、塩素化パラ、リトールルビン、ピグメント
スカーレッド、マダーレーク、アリザリンマルーン、ヘ
リオボルドー、チオインジゴ、トルイジンマルーン、カ
ルバゾールジオキサジンバイオレット、レッドレーク
C、ピラゾロンレッド、ナフトールレッド、アントラキ
ノンレッド、イソインドリノンレッド、アントラキノン
イエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ベン
ジジンイエロートルイジン、ベンジジンオレンジ、ジス
アゾレッド、ジアニシジンオレンジ、ピランスロンオレ
ンジ、GRペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロ
ー、フラバンスロンイエロー、アンスラピリミジンイエ
ロー、ニッケルアゾイエロー、フタロシアニンブルー、
フタロシアニングリーン、ピグメントグリーンB、イン
ダンスロンブルー、アニリンブラック等が挙げられる。
【0019】無機顔料としては、カドミウムイエロー、
カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、クロ
ームバーミリオン、鉛シアナミド、アンチモンホワイ
ト、アンチモンレッド、チタンホワイト、チタンイエロ
ー、レモンイエロー、マルスイエロー、オーカー、コバ
ルトバイオレット、マンガンバイオレット、ウルトラマ
リン、ベルリンブルー、コバルトブルー、セルリアンブ
ルー、クロムグリーン、エメラルドグリーン、コバルト
グリーン、カーボンブラック等が挙げられる。
【0020】これ等の顔料の使用量は、前記単量体と
(メタ)アクリロニトリルとの合計に対して、一般に1
〜50重量%が好ましく、3〜30重量%がより好まし
い。顔料の使用量が1重量%を下回ると、重合体微粒子
を濃色に着色することが難しく、逆に顔料の使用量が5
0重量%を上回ると、重合体微粒子の機械的強度が低下
する。
【0021】この発明においては、上記特定のエチレン
性不飽和基を有する単量体と(メタ)アクリロニトリル
と顔料とを混合し、これを水性媒体中に微粒子状に懸濁
させ重合して着色重合体微粒子を製造する。この着色重
合体微粒子を製造する具体的な方法としては、次のよう
な方法が好適である。
【0022】先ず、上記特定のエチレン性不飽和基を有
する単量体と(メタ)アクリロニトリルと顔料とを適量
混合し、顔料を上記単量体と(メタ)アクリロニトリル
に均一に分散させる。顔料の混合分散には、ボールミ
ル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、サンドグ
ラインダー、ナノマイザー等が使用される。この場合、
必要であれば、例えば、楠本化成社製のディスパロン
(商品名)等の公知の顔料分散剤を用いる。
【0023】次に、上記特定のエチレン性不飽和基を有
する単量体と(メタ)アクリロニトリルと顔料との混合
液を、水性媒体中に微粒子状に懸濁させる。水性媒体と
しては、一般に水が用いられる。そして、この水性媒体
には、通常、水溶性の懸濁安定剤を適量溶解させるか或
いは難水溶性の懸濁安定剤を適量分散させて用いられ
る。
【0024】水溶性の懸濁安定剤としては、ポリビニル
アルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ゼラ
チン、メチルセルロース、ポリメタクリルアミド、ポリ
エチレングリコール、ポリエチレンオキサイドモノステ
アレート、ソルビタンテトラオレエート、グリセリンモ
ノオレエート、ドデシルベンゼンスルホン酸等の水溶性
有機化合物が用いられる。
【0025】また、難水溶性の懸濁安定剤としては、硫
酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、燐酸マグ
ネシウムコロイド(二燐酸ナトリウムと塩化ナトリウム
との混合物)、コロイダルシリカ、酸化アルミ等の難水
溶性の無機化合物が用いられる。
【0026】上記特定の単量体と(メタ)アクリロニト
リルと顔料との混合物を、水性媒体中に微粒子状に懸濁
させるには、例えば、上記混合液中の単量体と(メタ)
アクリロニトリルとの合計100重量部に対して、水性
媒体を200〜1000重量部混合し、これを攪拌羽根
で攪拌する。攪拌羽根の攪拌速度や水性媒体の粘度を変
えることにより、重合性単量体の懸濁粒子の粒子径や粒
子径の分布を調節することができる。懸濁粒子の平均粒
子径は、一般に0.1〜300μm の範囲に調節され
る。
【0027】顔料を分散させた微粒子状の前記特定の単
量体と(メタ)アクリロニトリルとを、懸濁重合させる
には、上記懸濁液にラジカル重合開始剤を予め添加して
おくか、或いは加熱の直前に添加し、これを加熱するこ
とによってラジカル重合開始剤を分解させ、単量体と
(メタ)アクリロニトリルとを重合させる。
【0028】ラジカル重合開始剤としては、アゾニトリ
ル系化合物や有機過酸化物からなる通常の油溶性ラジカ
ル重合開始剤が用いられる。アゾニトリル系化合物から
なる重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4’−ジメチル
バレロニトリル、2,2’−アゾビス−メチルブチロニ
トリル、2,2’−アゾビス−メチルヘプトニトリルな
どが挙げられる。
【0029】有機過酸化物からなるラジカル重合開始剤
としては、過酸化アセチル、過酸化デカノイル、過酸化
ラウロイル、過酸化ベンゾイル、過酸化p−クロロベン
ゾイル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化炭
酸ジイソプロピル、過酸化ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、過酸化アセチルシクロヘキシルスルフォニル、過イ
ソ酪酸t−ブチル、過ビバリン酸t−ブチル、過2−エ
チルヘキサン酸t−ブチル、過酸化ジt−ブチル、過酸
化t−ブチルクミル、過酸化ジクミルなどが挙げられ
る。
【0030】これ等のラジカル重合開始剤は、単量体と
(メタ)アクリロニトリルの合計量100重量部に対し
て、一般に0.5〜15重量部の範囲で使用される。開
始剤が0.5重量部を下回ると重合率が著しく低下し、
15重量部を上回る量の開始剤は必要ではない。重合温
度は、使用するラジカル重合開始剤の種類により異なる
が、一般に40〜150℃程度である。また、重合時間
は、一般に30分〜10時間程度である。
【0031】こうして、着色重合体微粒子が生成し、こ
の着色重合体微粒子は、濾過或いは遠心分離等の手段で
分離され、水等で洗浄した後加熱或いは減圧等により乾
燥され、その後分級操作を施して粒子径を1〜100μ
m の範囲の所望の粒度分布、好ましくは変動係数(標準
偏差/平均粒子径)が10%以内に調整され、着色重合
体微粒子の製品とされる。この重合体微粒子は、ほぼ真
球状でこの重合体微粒子の内部に顔料が均一に分散され
ている。
【0032】請求項1記載の発明においては、上記の方
法で得られる着色重合体微粒子の表面に、一般式R1
iX3 (但し、R1 は1〜5デバイのダイポールモーメ
ントを有する基、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜4の
アルコキシ基である)で表される有機シラン化合物から
得られる被膜が形成される。
【0033】上記1〜5デバイのダイポールモーメント
を有する基R1 は、液晶分子が着色重合体微粒子の表面
に対して垂直に配向するのを促進させるもので、ダイポ
ールモーメントが1デバイ未満のものはダイポールモー
メントの強さが充分でなく、液晶表示素子用スペーサー
と液晶分子との界面における液晶分子の垂直配向が起こ
り難くなり、逆に5デバイを越えるものは液晶表示素子
用スペーサーの周辺に弱い電場が生じ、却って、液晶表
示素子に電圧を印加した時の液晶分子の正常な配向が妨
げられる。
【0034】また、Xは加水分解により着色重合体微粒
子の表面に結合するもので、アルコキシ基の炭素数が4
を越えるものは、反応性が悪く、また工業的にも製造し
にくい。特に、Xは塩素原子、臭素原子、メトキシ基及
びエトキシメトキシ基のうちいずれか一つであることが
好ましく、メトキシ基又はエトキシメトキシ基がさらに
好ましい。
【0035】上記ダイポールモーメントの値が1〜5デ
バイである基としては、例えば、アセトキシ基、アミド
基、アルデヒド基、エポキシ基、シアノ基、スルホン
基、スルホニル基、ハロゲノアルキル基、ピリジン基、
ニトロ基、ラクトン基等が挙げられる。
【0036】このような有機シラン化合物(R1 SiX
3 )としては、例えば、2−アセトキシエチルトリメト
キシシラン、2−アセトキシエチルトリクロロシラン、
2−アセトキシエチルメチルジクロロシラン、2−アセ
トキシプロピルメチルジクロロシラン、アセトキシプロ
ピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)−エチルトリメトキシシラン、N−グリシジル−
N,N−ビス〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピ
ル〕アミン、N−グリシジル−N,N−ビス〔3−(ト
リメトキシシリル)プロピル〕アミン、β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−シ
アノブチルトリクロロシラン、2−シアノエチルメチル
ジクロロシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラ
ン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、シアノメチ
ルフェネチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピル
メチルジクロロシラン、3−シアノプロピルトリクロロ
シラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、トリ
フルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプ
ロピルトリクロロシラン、ノナフルオロヘキシルトリク
ロロシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシ
ラン、トリデカフルオロオクチルトリクロロシラン、ヘ
プタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン、ヘプタ
デカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデ
カフルオロデシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオ
ロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチ
ルメチルジクロロシラン、トリデカフルオロトリクロロ
シラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラ
ン、トリエトキシシリルプロピル−p−ニトロベンズア
ミド、N−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−
2,4−ジニトロフェニルアミン、β−トリメトキシシ
リルエチル−2−ピリジン、2−〔2−(トリクロロシ
リル)エチル〕ピリジン、4−〔2−(トリクロロシリ
ル)エチル〕ピリジン、N−(3−トリエトキシシリル
プロピル)−p−ニトロベンツアミド等が挙げられる。
【0037】請求項2記載の発明においては、上記の方
法で得られる着色重合体微粒子の表面に、上記有機シラ
ン化合物(R1 SiX3 )と、一般式R2 SiX3 (但
し、R2 は炭素数1〜21のアルキル基、Xはハロゲン
原子又は炭素数1〜4のアルコキシ基である)で表され
る有機シラン化合物との混合物から得られる被膜が形成
される。
【0038】上記炭素数1〜21のアルキル基R2 は、
液晶分子が着色重合体微粒子の表面に対して垂直に配向
するのを促進させるもので、アルキル基の炭素数が21
を越えるものは、アルキル基の部分が曲がりやすくなっ
て効果が小さく、また工業的にも製造しにくい。特に、
2 は炭素数2〜11の分岐のない直鎖アルキル基であ
るとき、その効果が最も大きい。。
【0039】また、Xは加水分解により着色重合体微粒
子の表面に結合するもので、アルコキシ基の炭素数が4
を越えるものは、反応性が悪く、また工業的にも製造し
にくい。特に、Xは塩素原子、臭素原子、メトキシ基及
びエトキシメトキシ基のうちいずれか一つであることが
好ましく、メトキシ基又はエトキシメトキシ基がさらに
好ましい。
【0040】このような有機シラン化合物(R2 SiX
3 )としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラ
ン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキ
シシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメ
トキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピル
トリプロポピキシシラン、プロピルトリブトキシシラ
ン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシ
ラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリブトキ
シシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリ
エトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシ
ルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、
ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシ
ラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキ
シシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメト
キシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリ
メトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタ
デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシ
シラン等のトリアルコキシル化アルコキシシランが挙げ
られる。
【0041】また、メチルトリクロロシラン、エチルト
リクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、ブチルト
リクロロシラン、ペンチルトリクロロシラン、ヘプチル
トリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、オクチ
ルトリクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、デシル
トリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、オクタ
デシルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、エ
チルトリブロモシラン、プロピルトリブロモシラン、ブ
チルトリブロモシラン、ペンチルトリブロモシラン、ヘ
プチルトリブロモシラン、ヘキシルトリブロモシラン、
オクチルトリブロモシラン、ノニルトリブロモシラン、
デシルトリブロモシラン、ドデシルトリブロモシラン、
オクタデシルトリブロモシラン等のトリハロゲン化アル
キルシランが挙げられる。
【0042】この発明の液晶表示素子用スペーサー(請
求項1又は2記載の発明)において、上記の有機シラン
化合物(R1 SiX3 )は単独或いは二種以上を混合し
て使用される。また、有機シラン化合物(R2 Si
3 )も単独或いは二種以上を混合して使用される。そ
して、有機シラン化合物(R1 SiX3 )の使用量、或
いは有機シラン化合物(R1 SiX3 )と有機シラン化
合物(R2 SiX3 )との混合物の使用量は、いずれも
着色重合体微粒子1重量部に対して、一般に0.001
〜10重量部、好ましくは0.005〜1重量部であ
る。
【0043】この発明の液晶表示素子用スペーサー(請
求項1又は2記載の発明)は、例えば、上記有機シラン
化合物を適当な溶剤に溶解し、その溶液に着色重合体微
粒子を浸漬して加熱する。その後、この処理された着色
重合体微粒子を濾過して集め、これを加熱することによ
り乾燥させて、着色重合体微粒子の表面に有機シラン化
合物による被膜を形成する。
【0044】有機シラン化合物の溶剤としては、有機シ
ラン化合物を溶解でき且つ有機シラン化合物と反応する
活性水素を有しない溶剤が好ましい。例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤及びヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族系
溶剤、及びアルコールやアルコールと水との混合溶剤を
用いることができる。
【0045】特に、アルコキシ基を有する有機シラン化
合物の場合には、ハロゲン原子を有する有機シラン化合
物より反応性が低いので、例えばメタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール等のアルコールが使用で
きる。また、この場合には上記アルコールに水を混合し
た混合溶剤を使用してもよい。
【0046】上記着色重合体微粒子に対する溶剤の使用
量は、着色重合体微粒子1重量に対して1〜100重量
部が好ましく、さらに好ましくは3〜20重量部であ
る。
【0047】加熱乾燥時の加熱温度は、通常60〜25
0℃、好ましくは80〜180℃であり、加熱時間は、
通常30分〜10時間、好ましくは1〜3時間の範囲で
ある。
【0048】なお、着色重合体微粒子とその表面に形成
される被膜との接着性を上げるため、及び比較的薄い被
膜を着色重合体微粒子の表面に均一に形成するために、
着色重合体微粒子と被膜との間にチタン酸化物層を設け
てもよい。このチタン酸化物層は、例えば、有機チタネ
ート化合物を用いて形成することができる。
【0049】有機チタネート化合物としては、例えば、
テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テト
ロブトキシチタン、テトラペントキシチタン、テトラヘ
キソキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)
チタン、テトラデシアルコキシチタン、テトラステアロ
キシチタン、ジプロポキシ−ビス(トリエタノールアミ
ナト)チタン、ジヒドロキシ−ビス(ラクタト)チタ
ン、チタニウム(アセチルアセトナト)チタン、ジブト
キシ−ビス(トリエタノールアミナト)チタン等が使用
される。
【0050】有機チタネート化合物を用いてチタン酸化
物層を形成するには、先ず、この有機チタネート化合物
を溶剤に溶解させ、得られた溶液を着色重合体微粒子の
表面に塗布する。その後、有機チタネート化合物が空気
中の水分と反応して加水分解することにより、チタン酸
化物層を形成する。溶剤としては、n−ヘキサン、シク
ロヘキサン、ベンゼン、トルエン、トリクレン、フロン
(商品名)等が挙げられる。
【0051】有機チタネート化合物を、着色重合体微粒
子に塗布する方法としては、有機チタネート化合物の溶
液中に着色重合体微粒子を浸漬させ、十分に混合しなが
ら、溶剤を蒸発させる方法が好適である。溶剤を蒸発さ
せた後、60〜150℃で加熱することが好ましい。
【0052】着色重合体微粒子の表面のチタン酸化物量
は、チタン換算量で、着色重合体微粒子の表面積1m2
当たり0.01〜500 mgの範囲が好ましく、0.1
〜100 mgの範囲がさらに好ましい。チタン酸化物量
が少ないと接着性の改善効果があまりなく、逆に多くな
るとスペーサーの電気抵抗が低下する。
【0053】着色重合体微粒子の表面に、上記有機シラ
ン化合物(例えば、トリアルコキシシラン)による被膜
を形成する際の反応の模式を図1に示す。まず、有機シ
ラン化合物1のアルコキシ基が加水分解されて置換シラ
ノール2が生成する。
【0054】次に置換シラノール2が縮合して縮合体3
を形成する。縮合体3の水酸基は、着色重合体微粒子4
の表面に存在する水酸基、或いは着色重合体微粒子4の
表面に形成されたチタン酸化物層の表面の水酸基と水素
結合することにより水素結合体5を形成する。
【0055】最後に水素結合体5を加熱処理することに
より、水素結合体5はSi−O結合になり、強固に結合
されて結合体6を形成する。こうして、着色重合体微粒
子の表面に1〜5デバイのダイポールモーメントを有す
る基を有する有機シラン化合物による被膜が形成され、
この発明の液晶表示素子用スペーサーが得られる。
【0056】この液晶表示素子用スペーサーを用いて液
晶表示素子(請求項3記載の発明)を製造するには、通
常の公知の方法が採用される。例えば、図2に示すよう
に、先ず一対の透明基板10の対向する面にそれぞれ、
絶縁膜11(例えばSiO2膜)を形成する。その後、
それぞれの透明基板の絶縁膜11上に透明電極12(例
えばITO膜)をフォトリソグラフィーによりパターニ
ングして形成する。
【0057】そして、それぞれの基板の透明導電極12
上にポリイミド膜等の配向膜13を形成する。このよう
に形成した電極基板上、すなわち透明基板10の配向膜
13上に、上述の液晶表示素子用スペーサー9を散布す
る。液晶表示素子用スペーサー9の散布密度は、50〜
200個/mm2 が好ましい。
【0058】電極基板上に液晶表示素子用スペーサー9
を散布する方法としては、液晶表示素子用スペーサー9
をそのまま散布してもよいが、より均一に散布するため
に、水性分散媒(例えば水分散媒やアルコールを含有す
る水分散媒)、フロン系分散媒等の分散媒に分散させ、
この分散液を散布し乾燥して分散媒を蒸発させるのが好
ましい。
【0059】特に、最近は、フロンの規制が厳しくな
り、これに代わる分散媒として水性分散媒が用いられる
ようになりつつあるが、特にプラスチック系のスペーサ
ーは、水性分散媒に分散しにくい傾向がある。しかし、
この発明の液晶表示素子用スペーサーは、水性分散媒で
も良好に分散するので、水性分散媒を用いるのが好まし
い。この種の水性分散媒としては、通常、アルコールを
含有する水分散媒が用いられる。
【0060】その後、この電極基板をスペーサーを介し
て対向配置し、その周辺をシール剤14によりシール
し、その間隙に液晶8を注入し注入口を封止することに
より液晶セルを作製する。得られた液晶セルに適当な配
線を施すことにより、液晶表示素子15を製造する。液
晶8としては、一般にネマチック液晶、特に正の誘電率
異方性を有するネマチック液晶が用いられるが、コレス
テリック液晶やスメチック液晶も使用できる。
【0061】
【作用】この発明において、3個以上のエチレン性不飽
和基を有する単量体100〜60重量%と2個のエチレ
ン性不飽和基を有する単量体0〜40重量%とからなる
単量体100重量部と、(メタ)アクリロニトリル5〜
50重量部と、顔料とを混合し、これを水性媒体中に微
粒子状に懸濁させると、(メタ)アクリロニトリルはシ
アノ基により電子吸引力が非常に強いため、顔料粒子の
表面と親和性が大きく、(メタ)アクリロニトリルが顔
料粒子の表面近傍に集まる。その結果、顔料粒子相互間
の分子間力が弱められ、顔料粒子の凝集が殆ど起こらな
くなり、単量体の微粒子状液滴中に顔料が均一に分散さ
れるものと推察される。
【0062】そして、単量体の微粒子状液滴中に顔料が
均一に分散された状態で懸濁重合を行うと、顔料粒子の
表面近傍に存在する(メタ)アクリロニトリルは単量体
と共重合して共重合体を形成し、顔料粒子の表面を被覆
する。こうして、顔料粒子の凝集防止が確実に行われ、
重合体微粒子の内部に顔料粒子が均一に分散された着色
重合体微粒子が得られる。
【0063】このように重合体微粒子の内部に顔料粒子
が均一に分散されると、顔料粒子が凝集した状態で分散
された重合体微粒子に比べ、機械的強度が高められ且つ
均一で濃色に着色されることになる。
【0064】しかも、単量体は、上記のように特定のエ
チレン性不飽和基を有する単量体からなるので、この単
量体の重合によって得られる着色重合体微粒子は、適度
の架橋構造を有し、この架橋構造と(メタ)アクリロニ
トリルによる共重合体の分子構造とが相まって、着色重
合体粒子の機械的強度と耐溶剤性(有機溶剤により顔料
が抽出されない性質)が向上する。
【0065】そして、上記のような着色重合体微粒子を
液晶表示素子用スペーサーとして用いると、この液晶表
示素子用スペーサーは、機械的強度と耐溶剤性に優れ且
つ均一で濃色に着色され、可視光線透過率を殆ど零にす
ることができる。その結果、この液晶表示素子により表
示を行う場合、暗部において液晶層内の液晶表示素子用
スペーサーが白点として視認されず、液晶表示素子の表
示コントラストの低下を防止することができる。
【0066】さらに、上記着色重合体微粒子は、特定の
エチレン性不飽和基を有する単量体と(メタ)アクリロ
ニトリルとを重合させて得られるもので、その表面には
親水性の基が多いため、着色重合体微粒子の表面には結
合水及びこの結合水に由来する水酸基が多く存在してい
る。
【0067】それゆえ、上記着色重合体微粒子の表面
に、有機シラン化合物(R1 SiX3、或いはR1 Si
3 とR2 SiX3 との混合物)を被覆すると、これ等
の有機シラン化合物は、図1に示すように、着色重合体
微粒子の表面の結合水によって加水分解されて置換シラ
ノールとなり、この置換シラノールが上記水酸基と反応
することにより、着色重合体微粒子の表面に容易に結合
する。
【0068】したがって、請求項1記載のスペーサーに
あっては、その表面には有機シラン化合物(R1 SiX
3 )の1〜5デバイのダイポールモーメントを有する基
1(符号71で示す)が多数存在することになる。そ
して、これ等の基R1 のダイポールとその周辺に存在す
る液晶分子のダイポールの間に静電的な相互作用が生
じ、その結果、図3に示すように、スペーサーである着
色重合体微粒子と液晶分子の界面において、液晶分子は
スペーサーの表面に対して垂直に配向するものと考えら
れる。
【0069】また、請求項2記載のスペーサーにあって
は、その表面には有機シラン化合物(R1 SiX3 )の
1〜5デバイのダイポールモーメントを有する基R
1 (符号71で示す)及び有機シラン化合物(R2 Si
3 )のアルキル基R2 (符号72で示す)が多数存在
することになる。上記アルキル基R2 は、スペーサーで
ある着色重合体微粒子の表面に対して垂直に立ち上がっ
ている。
【0070】そして、スペーサーの表面付近において
は、図4に示すように、上記アルキル基R2 が、上記1
〜5デバイのダイポールモーメントを有する基R1 の作
用により垂直に配向した液晶8の分子を挟んだ状態とな
るため、液晶分子と液晶表示素子用スペーサーとの界面
において、液晶分子はスペーサーの表面に対して垂直に
確実に配向するものと考えられる。
【0071】特に、スペーサーをアルコールを含有する
通常の水性分散媒に分散させて電極基板上に散布すると
きは、スペーサーがより均一に電極基板上に散布され
る。その理由は、1〜5デバイのダイポールモーメント
を有する基R1 が水と親和性がよく、また、上記ダイポ
ールモーメントを有する基R1 やアルキル基R2 と、水
性分散媒中のアルコールのアルキル基との間に親和力が
作用し、その結果、スペーサーの表面がアルコールの分
子で覆われた状態となり、親和性が発現し、水性分散媒
に分散しやすくなるからであると考えられる。
【0072】
【実施例】次に、この発明を実施例及び比較例を挙げて
説明する。実施例1 (1)着色重合体微粒子の調製 テトラメチロールメタントリアクリレート85.5gと
ジビニルベンゼン28.5gとアクリロニトリル36.
0gとを均一に混合し、これに顔料としてアニリンブラ
ック14.5gを添加し、ビーズミルを用いて48時間
かけて顔料を均一に分散させた。
【0073】この顔料分散の単量体混合物に、過酸化ベ
ンゾイル2.0gを均一に混合し、これを濃度3重量%
のポリビニルアルコール水溶液850gに投入しよく攪
拌し、これをホモジナイザーで粒径が約3〜10μm の
微粒子状に懸濁させた。
【0074】この懸濁液を、温度計と攪拌機と還流冷却
器とを備えた2リットルのセパラブルフラスコに移し、
窒素雰囲気中で攪拌しながら85℃に加熱し7時間重合
反応を行い、さらに90℃で3時間加熱し重合反応を行
った。
【0075】その後、重合反応液を冷却し、生成した着
色重合体微粒子を濾過し充分に水洗して乾燥させて、粒
径が約3〜10μm の着色重合体微粒子145gを得
た。この着色重合体粒子を分級して、所望の粒度分布
(平均粒径6.67μm 、標準偏差0.35μm )を有
する真球状の着色重合体微粒子を得た。
【0076】(2)着色重合体微粒子の性能評価 ・着色状態 上記の着色重合体微粒子について、目視により色濃度を
観察したところ、黒色で濃色且つ均一に着色されてい
た。また、着色重合体微粒子の表面及び切断面を走査型
電子顕微鏡により観察したところ、重合体微粒子の内部
に顔料が均一に分散されていることが確認された。
【0077】・機械的強度 微小圧縮試験機(島津製作所製のPCT−20型)を用
いて、分級により粒度を調整した上記着色重合体微粒子
の機械的強度を測定した。この機械的強度は、一個の微
粒子試料における10%圧縮変形強さ(K10値)(kgf/
mm2)及び徐荷重時の圧縮変形の回復率(%)で評価し
た。
【0078】ここで、微粒子試料の10%圧縮変形の強
さ(K10値)は、K10=3/21/2・F・S-3/2・R
-1/2で表され、Fは圧縮荷重(kgf)、Sは10%圧縮変
形時の変位(mm)、Rは微粒子試料の粒径(mm)である。そ
の結果、K10値は480±20(kgf/mm2)、回復率は6
4.4%で、機械的強度が優れている。
【0079】・耐溶剤性 分級により粒度を調整した上記着色重合体微粒子1gを
50mlのエタノール溶剤及びアセトン溶剤に添加し、
20℃で7日間放置した後濾過し、この濾液について可
視光領域の最大吸収透過率を測定した。その結果、エタ
ノール溶剤では透過率98.6%、アセトン溶剤では9
7.5%で、有機溶剤による顔料の抽出(脱色)が殆ど
なく、耐溶剤性が優れている。以上の結果を、参考例1
として表1に示す。
【0080】さらに、実施例1において、3個以上のエ
チレン性不飽和基を有する単量体、2個以上のエチレン
性不飽和基を有する単量体、(メタ)アクリロニトリル
及び顔料を表1及び表2に示すように変更し、それ以外
は実施例1と同様に行って着色重合体微粒子を得た。こ
の着色重合体微粒子の性能を参考例2〜9として表1及
び表2に併記した。
【0081】(3)液晶表示素子用スペーサーの作製 有機シラン化合物として2−アセトキシエチルトリクロ
ロシラン(2−アセトキシエチル基のダイポールモーメ
ント1.7デバイ)0.2gを用い、この有機シラン化
合物を、トルエン50mlに溶解し、これに分級により
粒度を調整した上記参考例1の着色重合体微粒子(平均
粒径6.67μm 、標準偏差0.35μm )10gを浸
漬した。この混合液を、55℃の水浴中で攪拌しながら
1時間加温した後濾過した。得られたスペーサー粒子を
120℃の乾燥器中で1時間加熱することにより、上記
有機シラン化合物による被膜を表面に有する液晶表示素
子用スペーサーを得た。
【0082】(4)液晶表示素子の作製 図2に示すように、一対の透明ガラス基板(300mm×
300mm)10の一面に、それぞれCVD法により絶縁
膜(SiO2 膜)11を蒸着した。その後、一方のガラ
ス基板10の絶縁膜11上に、透明電極膜(ITO膜)
12をスパッタリング法にて全面に形成した。他方のガ
ラス基板10の絶縁膜11上に透明電極膜(ITO膜)
12を通常のフォトリソグラフィーによりパターニング
を行った。
【0083】上記両方のガラス基板10の透明電極膜1
2上に、オフセット法によりポリイミド中間体LP−6
4(東レ社製)を印刷し、280℃で2時間焼成するこ
とによりポリイミド配向膜13を形成した。その後、こ
のポリイミド配向膜13と液晶分子とが接したときに、
この液晶分子のツイスト角が240°となるような方向
に、配向膜13のラビングを行った。
【0084】このようにして得られた電極基板上に、上
記液晶表示素子用スペーサーを、エタノールを含有する
水性分散媒に分散させ、この分散液を噴霧式スペーサー
散布器により120個/mm2 の密度で散布し乾燥した
後、このガラス基板の周縁部にシール印刷を行った。シ
ール剤14としては一液型エポキシ樹脂(三井東圧化学
社製のストラクトボンド)を用いた。
【0085】こうして準備された二枚の電極基板を、各
々の対向するシール印刷部分が接するようにして密着さ
せて貼り合わせ、その後シール剤14を180℃で1時
間加熱加圧することにより硬化させた。次いで、常法に
より液晶8を上記電極基板のセルの間隙に注入すること
によりSTN液晶セルを作成した。
【0086】(5)液晶表示素子の表示品質の評価
【0087】得られた液晶セルを用いた液晶表示素子1
5は、点灯作動時に液晶分子と液晶表示素子用スペーサ
ーとの界面での液晶分子の異常配向に基づく明点及び暗
点(ディスクリネーション線)が全く観察されなかっ
た。したがって、液晶分子と液晶表示素子用スペーサー
との界面での液晶分子の垂直配向が起こっていることが
わかる。
【0088】また、電圧無印加状態で暗レベルを示すネ
ガタイプで表示させたところ、暗部において液晶層内の
液晶表示素子用スペーサーが白点として視認されず、液
晶表示素子の表示コントラストは良好であった。これ
は、使用した着色重合体微粒子が均一で黒濃色に着色さ
れているからである。以上の結果を表3に示す。
【0089】実施例2〜13及び比較例1、2 実施例1において、有機シラン化合物を表3〜表5に示
すように変更し、それ以外は実施例1と同様に行って液
晶表示素子用スペーサー及び液晶表示素子を作製した。
得られた液晶表示素子の表示性能を表3〜表5に示す。
これ等の表においては、有機シラン化合物を、前記一般
式R1 SiX3 で表されるものと、一般式R2 SiX3
で表されるものとに分け、R1 基のダイポールモーメン
トは単位D(デバイ)で括弧内に示した。
【0090】なお、実施例5及び11においては、有機
シラン化合物の溶剤としてトルエンに代えて、エタノー
ル/水(容量比9:1)を用いた。また、実施例4、5
及び10〜13においては、次の方法で下塗りとしてチ
タン酸化物層を設けた。
【0091】すなわち、テトラブトキシチタン0.35
gを50mlのn−ヘキサンに溶解させて溶液を調製
し、この溶液に実施例1で使用した着色重合体微粒子を
加え、よく攪拌した後、n−ヘキサンを蒸発させた。そ
の後、80℃で1時間加熱処理し、次いで、これを乳鉢
を用いて充分に粉砕することにより、チタン酸化物層が
表面に形成された着色重合体微粒子を作成した。
【0092】実施例2〜13で得られた液晶表示素子に
ついて、電圧無印加状態で暗レベルを示すネガタイプで
表示させたところ、暗部において液晶層内の液晶表示素
子用スペーサーが白点として視認されず、液晶表示素子
の表示コントラストは良好であった。これは、使用した
着色重合体微粒子が均一で黒濃色に着色されているから
である。
【0093】また、点灯作動時に液晶分子と液晶表示素
子用スペーサーとの界面での液晶分子の異常配向に基づ
く明点及び暗点(ディスクリネーション線)が全く観察
されなかった。したがって、液晶分子と液晶表示素子用
スペーサーとの界面での液晶分子の垂直配向が起こって
いることがわかる。
【0094】一方、比較例1及び2で得られた液晶表示
素子は、電圧無印加状態で暗レベルを示すネガタイプで
表示させたところ、暗部において液晶層内の液晶表示素
子用スペーサーが白点として視認されず、液晶表示素子
の表示コントラストは良好であった。これは、使用した
着色重合体微粒子が均一で黒濃色に着色されているから
である。
【0095】しかし、比較例1で得られた液晶表示素子
は、点灯作動時に明点の存在が認められた。液晶分子と
液晶表示素子用スペーサーとの界面での液晶分子の異常
配向に基づく明点及び暗点(ディスクリネーション線)
が多数観察された。したがって、液晶分子と液晶表示素
子用スペーサーとの界面での液晶分子の垂直配向が殆ど
起こっていないことがわかる。
【0096】なお、参考のために、前記参考例7〜9で
得られた着色重合体微粒子を用い、それ以外は実施例1
と同様に行って液晶表示素子用スペーサー及び液晶表示
素子を作製し、表示性能を評価した。
【0097】この場合、点灯作動時に液晶分子と液晶表
示素子用スペーサーとの界面での液晶分子の異常配向に
基づく明点及び暗点(ディスクリネーション線)が全く
観察されなかった。したがって、液晶分子と液晶表示素
子用スペーサーとの界面での液晶分子の垂直配向が起こ
っていることがわかる。
【0098】しかし、電圧無印加状態で暗レベルを示す
ネガタイプで表示させたところ、暗部において液晶層内
の液晶表示素子用スペーサーが白点として視認され、液
晶表示素子の表示コントラストは不良であった。これ
は、使用した着色重合体微粒子が不均一で淡黒色に着色
されているからである。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
【0104】
【発明の効果】上述の通り、この発明の液晶表示素子用
スペーサーは、機械的強度と耐溶剤性に優れ且つ均一で
濃色に着色され、可視光線透過率を殆ど零にすることが
できる。したがって、この液晶表示素子用スペーサーを
用いた液晶表示素子により表示を行うと、暗部において
液晶層内の液晶表示素子用スペーサーが白点として視認
されず、液晶表示素子の表示コントラストの低下を防止
することができ、優れた表示品質を有する。
【0105】しかも、この発明の液晶表示素子用スペー
サーは、液晶分子を垂直配向させることができ、液晶分
子と液晶表示素子用スペーサーとの界面における液晶分
子の異常配向を防止することができる。したがって、こ
の液晶表示素子用スペーサーを用いた液晶表示素子は、
点灯作動時に明点、暗点(ディスクリネーション線)が
全く発生せず、優れた表示品質を有する。
【0106】なお、この発明の液晶表示素子用スペーサ
ーは、アルコールを含有する通常の水性分散媒に分散さ
せて電極基板上に均一に散布させることができ、このよ
うな水性分散媒はフレオン系分散媒に比べ無害であるた
め、液晶表示素子の製造上有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】着色重合体微粒子の表面に有機シラン化合物に
よる被膜が形成される過程を示す模式図である。
【図2】この発明の液晶表示素子の要部断面図である。
【図3】液晶分子と請求項1記載の液晶表示素子用スペ
ーサーとの界面において液晶分子が垂直配向する機構を
示す説明図である。
【図4】液晶分子と請求項2記載の液晶表示素子用スペ
ーサーとの界面において液晶分子が垂直配向する機構を
示す説明図である。
【符号の説明】
1 有機シラン化合物 2 置換シラノール 3 縮合体 4 着色重合体微粒子 5 水素結合体 6 結合体 71 有機シラン化合物による被膜の1〜5デバイのダ
イポールモーメントを有する基(R1) 72 有機シラン化合物による被膜のアルキル基(R2) 8 液晶分子 9 液晶表示素子用スペーサー 10 透明基板 11 絶縁膜 12 透明導電膜 13 配向膜 14 シール剤 15 液晶表示素子

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3個以上のエチレン性不飽和基を有する
    単量体100〜60重量%と2個のエチレン性不飽和基
    を有する単量体0〜40重量%とからなる単量体100
    重量部と、(メタ)アクリロニトリル5〜50重量部
    と、顔料とを混合し、これを水性媒体中に微粒子状に懸
    濁させ重合して得られる着色重合体微粒子の表面に、 一般式R1 SiX3 (但し、R1 は1〜5デバイのダイ
    ポールモーメントを有する基、Xはハロゲン原子又は炭
    素数1〜4のアルコキシ基である)で表される有機シラ
    ン化合物から得られる被膜が形成されていることを特徴
    とする液晶表示素子用スペーサー。
  2. 【請求項2】 3個以上のエチレン性不飽和基を有する
    単量体100〜60重量%と2個のエチレン性不飽和基
    を有する単量体0〜40重量%とからなる単量体100
    重量部と、(メタ)アクリロニトリル5〜50重量部
    と、顔料とを混合し、これを水性媒体中に微粒子状に懸
    濁させ重合して得られる着色重合体微粒子の表面に、 一般式R1 SiX3 (但し、R1 は1〜5デバイのダイ
    ポールモーメントを有する基、Xはハロゲン原子又は炭
    素数1〜4のアルコキシ基である)で表される有機シラ
    ン化合物と、一般式R2 SiX3 (但し、R2 は炭素数
    1〜21のアルキル基、Xはハロゲン原子又は炭素数1
    〜4のアルコキシ基である)で表される有機シラン化合
    物との混合物から得られる被膜が形成されていることを
    特徴とする液晶表示素子用スペーサー。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の液晶表示素子用ス
    ペーサーを用いたことを特徴とする液晶表示素子。
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