JPH08103284A - L−トリプトファンの製造法 - Google Patents

L−トリプトファンの製造法

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JPH08103284A
JPH08103284A JP6243095A JP24309594A JPH08103284A JP H08103284 A JPH08103284 A JP H08103284A JP 6243095 A JP6243095 A JP 6243095A JP 24309594 A JP24309594 A JP 24309594A JP H08103284 A JPH08103284 A JP H08103284A
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tryptophan
concentration
synthase
serine
indole
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JP6243095A
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Kazuhisa Hatakeyama
和久 畠山
Miki Kobayashi
幹 小林
Masato Terasawa
真人 寺沢
Hideaki Yugawa
英明 湯川
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 L−トリプトファンによるフィードバック阻
害が軽微なトリプトファンシンターゼを含有する微生物
またはその処理物の存在下、pH9.0〜10.0の水溶
液中でインドールとL−セリンとを反応させて、L−ト
リプトファンを3〜5%(w/v)の濃度まで生成蓄積
せしめ、該水溶液よりL−トリプトファンを採取するこ
とを特徴とする、L−トリプトファンの製造法。 【効果】 本発明の製造方法により、L−トリプトファ
ンを高効率で安価に製造することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、L−トリプトファンの
製造法に関し、更に詳しくは、インドールおよびセリン
を用い、トリプトファンシンターゼの酵素法により、反
応液中に高濃度のL−トリプトファンを生成蓄積せしめ
る、L−トリプトファンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インドールおよびL−セリンを基質とし
てトリプトファンシンターゼを触媒とする酵素反応によ
り、L−トリプトファンを製造する方法として、本発明
者らは、先にエシェリヒア・コリ(Escherichia coli
菌体のトリプトファンシンターゼを用いる方法を提案し
ている(特公平5−79311号公報参照)。さらに、
本発明者らは、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevib
acterium flavum)菌体を用いる方法も提案している
(特公平5−25476号公報参照)。これらの方法に
よれば、酵素反応液のpHをpH6.0〜8.5に維持
して酵素反応を実施するため、反応生産物であるL−ト
リプトファンの生成濃度はいずれも3%(w/v)未満
であった。本発明者らは、酵素反応液のpHを9.0〜
10.0に維持することにより、酵素反応液中のL−ト
リプトファン濃度を向上可能なことに着目した。酵素反
応液中のL−トリプトファンを高濃度に生成させること
ができれば、効率よく安価にL−トリプトファンを製造
することが可能となる。しかしながら、一般に、アミノ
酸の生合成酵素は、生成物によるフィードバック阻害に
よりその生合成が制御されており、L−トリプトファン
生合成系においてもその濃度が上昇すると、トリプトフ
ァンシンターゼは、フィードバック阻害を受け、十分な
酵素活性を発揮することができないことが知られてい
る。例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli
のトリプトファンシンターゼに対するL−トリプトファ
ンの阻害定数はKi=0.2mMであり、低濃度のL−
トリプトファンにより強い阻害を受けることが知られて
いる(Agric. Biol. Chem.,vol.46, 2711〜2718, 198
2)。従って、トリプトファンシンターゼ活性を利用し
てインドールとL−セリンから高濃度にL−トリプトフ
ァンを製造することは、困難を伴う。
【0003】そこで、L−トリプトファン阻害を軽減し
た酵素の取得が図られている。例えば、フィードバック
阻害の脱感作株としてブレビバクテリウム・ラクトファ
ーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)のトリ
プトファンアナログ耐性株(特開昭61−40479号
公報参照)が取得されているが、そのフィードバック阻
害の脱感作濃度は、20mM(4.08 g/l)とい
う、非常に低濃度であり、3%(w/v)(約100m
M)以上のトリプトファン濃度でのフィードバック阻害
に関する知見はない。また、脱感作株を用いるL−トリ
プトファンの生成濃度は2.8%(w/v;pH8.
5)であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、トリプトファン
シンターゼを用いたインドールおよびL−セリンからの
L−トリプトファンの製造では生成したL−トリプトフ
ァンによりトリプトファンシンターゼが強いフィードバ
ック阻害を受けるため3%〜5%という高濃度ではL−
トリプトファンを生成蓄積することができなかった。本
発明は、上記問題を解決し、従来に比べて効率的かつ安
価なL−トリプトファンの製造方法を提供すべくなされ
たものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、L−トリプトファ
ンによるフィードバック阻害が軽微なトリプトファンシ
ンターゼを産生する微生物菌体またはその処理物の存在
下、pH9.0〜10.0の水溶液中でインドールとL−
セリンとを反応させることにより、3〜5%(w/v)
の高濃度でL−トリプトファンを生成蓄積し、該水溶液
よりL−トリプトファンを採取し得ることを見いだし、
本発明を完成するに至った。
【0006】以下に本発明の方法を詳述する。本明細書
中において、「L−トリプトファンによるフィードバッ
ク阻害が軽微なトリプトファンシンターゼ」とは、L−
トリプトファンが反応液中に不存在の際のトリプトファ
ン合成活性に対する、L−トリプトファンが反応液中に
存在する際に残存しているトリプトファン合成活性の割
合が高いトリプトファンシンターゼを意味し、具体的に
は、L−トリプトファン不存在の際の活性を100%と
したときに、L−トリプトファンが3%(w/v)(約1
50mM)の濃度で存在する際にL−トリプトファン不
存在の際に示す活性の10%以上、L−トリプトファン
が4%(w/v)(約200mM)の濃度で存在する際に
L−トリプトファン不存在の際に示す活性の5%以上、
またはL−トリプトファンが5%(w/v)(約250m
M)の濃度で存在する際にL−トリプトファン不存在の
際に示す活性の3%以上の活性を示すトリプトファンシ
ンターゼを意味する(試験条件:pH9.6、37
℃)。また、L−トリプトファンによるフィードバック
阻害が軽微なトリプトファンシンターゼは、もとより該
阻害が軽微なトリプトファンシンターゼであっても、突
然変異処理または遺伝子組換等により人為的に該阻害を
軽微にされたトリプトファンシンターゼであってもよ
い。従って、トリプトファンシンターゼの供給源は、前
記トリプトファンシンターゼを含有する微生物であれば
特に制限されず、そのような微生物として、例えば、コ
リネ型細菌である、コリネバクテリウム・グルタミカム
Corynebacterium glutamicum)ATCC31831、ブレビバク
テリウム・ラクトファーメンタム(Breviba cterium lac
tofermentum)ATCC13869、ブレビバクテリウム・フラバ
ム(Breviba cterium flavum)MJ−233株(FERM BP
-1497)等を好適に用いることができる。当然ながら、
L−トリプトファンによるフィードバック阻害が軽微な
トリプトファンシンターゼに関し、遺伝子組換え技術を
用いて該酵素を菌体内に著量蓄積せしめた遺伝子組換え
菌体(形質転換微生物菌体)およびその処理物も本発明
に包含される。
【0007】微生物の培養は炭素源、窒素源、無機塩等
を含む通常の栄養培地を用いて行うことができる。培養
には、炭素源として、例えばグルコース、エタノール、
メタノール、廃糖蜜等を、そして窒素源として、例えば
アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝
酸アンモニウム、尿素等を、それぞれ単独もしくは混合
して使用することができる。また、無機塩として、例え
ばリン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸
マグネシウム等を使用することができる。この他にも必
要に応じ、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンス
ティープリカー、カザミノ酸、ビオチン、チアミン等の
各種ビタミン等の栄養素を培地に適宜添加することもで
きる。
【0008】培養は、通常、通気攪拌、振盪等の好気的
条件下、約20〜約40℃、好ましくは約25℃〜約3
5℃の温度で行うことができる。培養途中のpHは5〜
10、好ましくは7〜8付近の範囲とすることができ、
培養中のpH調整は酸又はアルカリを添加することによ
り行うことができる。培養開始時の炭素源濃度は、好ま
しくは1〜20%(w/v)、更に好ましくは2〜5%
(w/v)である。また、培養期間は通常1〜7日間で
ある。
【0009】L−トリプトファンを製造するに際し、こ
れらの微生物菌体は、上記の如く培養して得られる培養
物(培養生成物)、該培養物を遠心法等により分離して
得られる微生物菌体または該菌体処理物、例えば洗浄菌
体、乾燥菌体、あるいはそれらの固定化物等の種々の形
態で使用され得る。また、前記菌体の破砕物、あるいは
それらを抽出・精製して得た酵素または該酵素を固定化
した固定化酵素を使用してもよい。かくして得られるト
リプトファンシンターゼを含有する微生物またはその処
理物をインドールとL−セリンを含有する水溶液中で酵
素反応させて、反応液中にL−トリプトファンを生成蓄
積せしめることができる。
【0010】酵素反応液中における基質の濃度は特に制
限されるものではないが、インドールの濃度としては
0.1〜10mMの範囲が好ましく、セリンの濃度とし
ては、L−セリンを用いる場合は10mM以上、そして
D,L−セリンを用いる場合は20mM以上であること
が好ましい。L−トリプトファンの生成率を高めるた
め、反応液中に、基質であるインドールおよびセリンの
他にピリドキサールリン酸を存在させることが好まし
い。
【0011】溶媒としては、一般的には脱イオン水、蒸
留水等の水を用いるが、必要に応じて、トリトンX−1
00(ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル
系非イオン性界面活性剤)、ツイーン20(ポリオキシ
エチレンソルビタンモノラウレイト系非イオン性界面活
性剤)等の界面活性剤を添加してもよい。反応液のpH
は9.0〜10.0であり、pHの調整は通常用いられ
る酸および/またはアルカリを添加して行うことができ
る。反応温度は、通常15〜60℃、好ましくは20〜
50℃の範囲である。
【0012】さらに、本発明の製造法は、上記酵素また
は該酵素を産生する微生物菌体を、適当な膜を利用して
系内に封じ込め、反応の進行と同時に生成物含有透過液
を系内より抜き出して生成物と菌体との分離を連続的に
行うことにより、L−トリプトファンを高濃度に効率よ
く連続製造することもできる。得られたL−トリプトフ
ァンの分離および精製は、通常のイオン交換樹脂法およ
び晶析法等の公知の方法を組み合わせることにより、容
易に行うことができる。以上の条件に従い処理すること
により、目的物であるL−トリプトファンを、効率よ
く、かつ安価に得ることができる。以上に本発明を説明
してきたが、下記の参考例および実施例によりさらに具
体的に説明する。
【0013】
【実施例】参考例: トリプトファンシンターゼを用いたL−トリ
プトファン合成反応におけるL−トリプトファンのフィ
ードバック阻害 コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium
glutamicum)ATCC31831、ブレビバクテリウム・ラクト
ファーメンタム(Brevibacterium lactoferment um)ATC
C13869、およびブレビバクテリウム・フラバム(Brevib
acterium flavum)MJ−233株(FERM BP-1497)が
それぞれ産するトリプトファンシンターゼを用い、イン
ドールとL−セリンとを基質とするトリプトファン合成
反応におけるL−トリプトファンのフィードバック阻害
を、下記手順にて測定した。まず、上記3種類の微生物
菌体から、それぞれの粗酵素液を調製した。即ち、半合
成培地BTC培地[組成:尿素2g、(NH4)2SO4
g、K2HPO4 0.5g、KH2PO4 0.5g、MgS
4 0.5g、FeSO4・7H2O6mg、MnSO4
4〜6H2O 6mg、カザミノ酸 5g、ビオチン 20
0μg、塩酸チアミン 200μg、グルコース 20
g、および蒸留水 1000m1、pH7.2]100
ml中にて、それぞれの菌株を対数増殖期後期まで培養
し、遠心分離により菌体を集めた。得られた湿菌体 0.
5gを2mlの菌体懸濁液[組成:L−セリン 10m
M、ピリドキサールリン酸(PLP) 0.12mM、お
よび蒸留水1L]に懸濁し、0.2gのガラスビーズを
加えてソニック型菌体破砕装置(ソニファー250、ブ
ランソン社製)を用いて低温下(約4℃)で3分間の超
音波処理を3回行った。この菌体破砕物を遠心分離(1
2,000rpm、4℃、30分間)に付し、その上清
液を粗酵素液とした。
【0014】L−トリプトファンを種々の濃度(0g/
l、20g/l、30g/l、40g/l、または50g/
l)で含有する酵素反応液[組成:L−セリン 20m
M、インドール 1mM、PLP 0.04mM、および
NaCl 40mM、25%アンモニア溶液にてpH
9.6に調製]0.9mlに、希釈液[組成:L−セリ
ン 20mM、およびPLP 0.04mM]で適宜希釈
した上記粗酵素液 0.1mlを添加し、37℃で60分
間反応させた後、10%トリクロロ酢酸溶液 1.0ml
を添加して反応を停止させた。この液を遠心分離(80
00×g、4℃、10分間)に付した後、得られた上清
液を 0.5ml分取し、これに0.1mlの5NNaO
H溶液とトルエン 4.0mlを添加し、撹拌後2分間静
置した。上層(トルエン層)1.0mlを呈色液[P−
ジメチルベンズアルデヒド 3.6g、濃塩酸 18ml
をエタノールで300mlにメスアップした溶液]3.
0mlに添加し、撹拌して充分に混和させた。40分間
放置した後、この液の波長540nmにおける吸光度
(OD540nm)を測定することによりインドールの残量
を測定した。得られたインドールの減少量を基に、上記
3種類の微生物菌体由来の粗酵素液中に存在するトリプ
トファンシンセターゼのL−トリプトファン合成活性を
それぞれ算出した。比較例として、エシェリヒア・コリ
Escherichia coli)K−12株(ATCC27325)につい
ても、同様の試験を実施した。結果を下記表1に示す。
なお、トリプトファンシンターゼのL−トリプトファン
合成活性は、それぞれの粗酵素液について、反応液中の
L−トリプトファン濃度が0g/lである際の活性を1
00とした相対値として示した。
【0015】
【表1】
【0016】表に示した如く、コリネ型細菌であるコリ
ネバクテリウム・グルタミカム、ブレビバクテリウム・
ラクトファーメンタム、およびブレビバクテリウム・フ
ラバムMJ−233株において、トリプトファンシンタ
ーゼを用いたトリプトファン合成反応におけるL−トリ
プトファンのフィードバック阻害は、エシェリヒア・コ
リK−12株における阻害よりも軽微なものとなってお
り、L−トリプトファンが4%(w/v)の濃度で存在
する際に5%以上の残存活性を示している。
【0017】実施例1 コリネバクテリウム・グルタミ
カム ATCC31831 株によるL−トリプトファン
の生産 前記半合成培地BTC培地 100mlを500ml容
三角フラスコに分注してオートクレーブにより滅菌(1
20℃、30分間)した後、コリネバクテリウム・グル
タミカム ATCC31831 株を植菌した。これにグ
ルコースを20g/lの濃度となるように添加し、30
℃にて2日間、振とう培養を行った。次に、本培養培地
JBT培地[組成:(NH42SO4 23g、K2HP
40.5g、KH2PO4 0.5g、MgSO4 0.5
g、FeSO4・7H2O 20mg、MnSO4・4〜6
2O 20mg、ビオチン 200μg、塩酸チアミン
100μg、カザミノ酸 3g、酵母エキス 3g、グル
コース 50g、および蒸留水1000m1]1000
mlを2L容ジャーファーメンター(エイブル社製)に
仕込み、オートクレーブにて滅菌(120℃、30分
間)後、前記培養物20mlを添加して、回転数100
0rpm,通気量1vvm、温度33℃、pH7.6に
て24時間培養を行った。10台のジャーファーメンタ
ーを用いて培養した培養終了液から、遠心分離により菌
体を集めた。脱イオン水にて2度洗浄した菌体を−20
℃で2日間冷凍した。
【0018】得られた凍結菌体 420gを、インドー
ル 0.1g、L−セリン 2.1g、ピリドキサールリン
酸 100mgおよびNaCl 2.3gを含有する反応
液500ml(該液のpHは、表2に示す実験区に従
い、25%アンモニアにてそれぞれpH9.3、9.5、
および9.7に調整)に懸濁した後、全体の体積が10
00mlとなるように蒸留水にて調整した。この懸濁液
を3L容ジャーファーメンター(エイブル社製)に注入
し、30℃で96時間撹拌しながら反応を行った。反応
中、反応液のpHを25%アンモニアを用いて各実験区
の初期pH値に維持した。また、3分毎に、0.013
gのインドールおよび0.012gのL−セリンを添加
した。反応中、L−トリプトファンの生成量を、反応液
を遠心分離して得た上清液を高速液体クロマトグラフィ
ー(島津製作所製)で分析することによりモニタリング
した。その結果、実験区(2)では、96時間後にL−
トリプトファンが溶解度限界の濃度まで生成蓄積された
(表2参照)が、この時点までに総量24.96gのイ
ンドールおよび23.04gのL−セリンが添加されて
いた。また、実験区(1)および(3)においても、そ
れぞれ72時間後および120時間後に、表2に示す如
く、L−トリプトファンが溶解度限界の濃度まで生成さ
れた。各実験区の反応終了液 500mlにNaOH水
溶液を添加してpHを10に調整した後、アンモニア型
強酸性イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK−1B、三菱
化成製)のカラムを通してL−トリプトファンの粗結晶
を析出させた。次いで、これをアセトンで洗浄した後に
乾燥させたところ、L−トリプトファンの結晶が回収さ
れた。これらの結果を表2に示す。
【0019】
【表2】
【0020】実施例2 ブレビバクテリウム・ラクトフ
ァーメンタム ATCC13869 株によるL−トリプ
トファンの生産 実施例1と同様にして得たブレビバクテリウム・ラクト
ファーメンタム ATCC13869 株の凍結菌体 4
50gを用い、3L容ジャーファーメンター(エイブル
社製)内で、実施例1と同様の条件下に反応を行った。
その結果、実験区(1)、(2)および(3)では、それ
ぞれ72時間後、96時間後および120時間後に、表
3に示す如く、L−トリプトファンが溶解度限界の濃度
まで生成された。各実験区の反応終了液 500mlに
NaOH水溶液を添加してpHを10に調整した後、ア
ンモニア型強酸性イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK−
1B、三菱化成製)のカラムを通してL−トリプトファ
ンの粗結晶を析出させた。次いで、これをアセトンで洗
浄して乾燥させたところ、L−トリプトファンの結晶が
回収された。これらの結果を表3に示す。
【0021】
【表3】
【0022】実施例3 ブレビバクテリウム・フラバム
MJ−233株によるL−トリプトファンの生産 実施例1と同様にして得たブレビバクテリウム・フラバ
ムMJ−233(FERMBP-1497)株の凍結菌体 400g
を用い、3L容ジャーファーメンター(エイブル社製)
内で、実施例1と同様の条件下に反応を行った。その結
果、実験区(1)、(2)および(3)では、それぞれ7
2時間後、96時間後および120時間後に、表4に示
す如く、L−トリプトファンが溶解度限界の濃度まで生
成された。各実験区の反応終了液 500mlにNaO
H水溶液を添加してpHを10に調整した後、アンモニ
ア型強酸性イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK−1B、
三菱化成製)のカラムを通してL−トリプトファンの粗
結晶を析出させた。次いで、これをアセトンで洗浄して
乾燥させたところ、L−トリプトファンの結晶が回収さ
れた。これらの結果を表4に示す。
【0023】
【表4】
【0024】
【発明の効果】本発明の方法に従い、L−トリプトファ
ンによるフィードバック阻害が軽微なトリプトファンシ
ンターゼを産生する微生物菌体またはその処理物の存在
下、pH9.0〜10.0の水溶液中でインドールとL−
セリンとを反応させてL−トリプトファンを3〜5%
(w/v)の濃度まで生成蓄積せしめ、該水溶液よりL
−トリプトファンを採取することにより、従来に比べ
て、高効率かつ安価にL−トリプトファンを製造するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:15) (72)発明者 湯川 英明 茨城県稲敷郡阿見町中央8丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−トリプトファンによるフィードバッ
    ク阻害が軽微なトリプトファンシンターゼを含有する微
    生物またはその処理物の存在下、pH9.0〜10.0の
    水溶液中でインドールとL−セリンとを反応させてL−
    トリプトファンを3〜5%(w/v)の濃度まで生成蓄
    積せしめ、該水溶液よりL−トリプトファンを採取する
    ことを特徴とする、L−トリプトファンの製造法。
  2. 【請求項2】 L−トリプトファンによるフィードバッ
    ク阻害が軽微なトリプトファンシンターゼが、インドー
    ルとL−セリンとを含有する酵素反応液中にL−トリプ
    トファンが3%(w/v)(約150mM)の濃度で存在
    する際にL−トリプトファン不存在の際に示す活性の1
    0%以上、L−トリプトファンが4%(w/v)(約20
    0mM)の濃度で存在する際にL−トリプトファン不存
    在の際に示す活性の5%以上、またはL−トリプトファ
    ンが5%(w/v)(約250mM)の濃度で存在する際
    にL−トリプトファン不存在の際に示す活性の3%以上
    の活性値を示すトリプトファンシンターゼである、請求
    項1に記載のL−トリプトファンの製造法。
  3. 【請求項3】 前記トリプトファンシンターゼがコリネ
    型細菌由来のトリプトファンシンターゼである、請求項
    1に記載のL−トリプトファンの製造法。
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